1281. 悪魔のえじき/ブルータル・デビル・プロジェクト
《ネタバレ》 少々古い話だが、いわゆるドイツの三大鬼畜監督(若しくは鬼畜四天王)の中でシュナースの手腕というのは群を抜いてスカタンで、彼の映画には率直なトコロ観る価値を持つモノが殆ど無いというのがほぼ常態だと言ってよい。後年、あまりの製作費の無さに血糊を使えず代りに粉を使用するなど、(色々な意味で)涙なくしては観れない程の有様に陥ってゆくが、中で唯一本作のみがそんなシュナースの作品として立派に観る価値を持つ作品に仕上がっていると言えるだろう。 何より、物量が段違いである。3分に一度は人体を破壊しなければならないルールでも在るかの如く、無暗矢鱈にグロ描写が挿入されまくってゆく。かつそれらには(似た様な描写も多いとはいえ)それなりにオリジナリティ有る描写も豊富で、そこそこ飽きずに観てゆくことが出来る。序盤の4人同時ギロチン斬首、腹だの顔面だののフック皮剥ぎ、果ては尻フックからの脊髄抜きなど、グロ的にはまずかなり見所の多い作品だと言うことが出来る。 このとおり、前半はひたすらグロ描写のオンパレードに終始し、もしこのノリで後半もつくっていたら恐らく失速したであろう所を、一転して悪ノリで突っ走ってゆくのが本作が成功している第2の要因である。ゾンビ・忍者カンフー・ランボー的なドンパチ・果てはジェイソンに空飛ぶギロチンと、使いたいモノをとりあえず全部入れてみました!(クオリティは、知りません!)な無責任なノリが、今作では非常に秀逸なテンポを生み出しており、この手のストーリーの無い映画としては異例なまでに、むしろ後半になるほど尻上りに面白さ自体は増していくのである。 個人的な結論を述べる。映画というのは、まずとにかく自分の好きなモノを撮るべきなのだ、と。ある種奇跡的な本作を観るにつけ、そうとしか言い様が無い感傷を私は抱くのである。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2020-02-19 00:52:51) |
1282. アントラム 史上最も呪われた映画
《ネタバレ》 『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が流行った頃というのは私はまだ義務教育の時分、私の仲間内ではあの作品は中々ホットな話題になったものだった。当時は(特に子供にとっては)まだネットの情報のスピード感は現在には遠く及ばず、映画も観ただけでは訳が分からなかったが、ご丁寧に解説本を手に入れた輩が居て、あーだこーだと大いに盛り上がったのを覚えている。 今作も宣伝手法的に『ブレア~』に似たような作品かと思ったが、明確に異なるのは、今作が部分的にドキュメンタリであること、そして、問題の映像というのが最初から「映画=つくりもの」であると明言されていることだ。当然フェイクだと分かってはいるものの、では一体どういう映像を持ってくるのか、という興味のもと足を運んだ。 お膳立て抜きにその映画の内容だけを言うと、雰囲気系のホラーというか、ひたすら思わせぶりで意味ありげなんだけど、結局これが何なのか、どういう意味なのかは判然とせず、ただただ不可解で不気味、という感じの作品である。『ブレア~』も似た様なものだったとも言えるが、今作の不気味さ(+それが催す不安)は、決して一顧だにせず凡作と斬って捨てることの出来るものでもなく、ある程度の観る価値がある映像だと思う。 今作はある種「フェイクだと思ってない客」向けの極めて正統派なフェイクだとも思う。「フェイクだと分かってて冷やかし半分で来る客」が喜びそうな分かり易い仕掛けや演出、あとメタな展開とかは皆無に近い。その意味でいうと、観て分かった今作と『ブレア~』との決定的な違いは、今作は映画単体として完結してしまっている点である(=オーラスに「この映画は、どうもこういうことだったらしい」的な説明が入るのだ)。最初に述べたとおり、どういう意味だったかというのはこの場合、映画の「外」から来る方が絶対に楽しめると思っている。『ブレア~』当時との環境の違いもあるとはいえ、今作についてはそこが少し残念に思われる。 ネットが氾濫した現代において、この手の「不要な情報をシャットアウトさせたい」コンテンツには限界があるということなのだろう(今作について、もし鑑賞後にネットで調べたなら、フェイクだクソだの非難轟々がイの一番にヒットするのだから)。いち映画ファンとしては「映画は事前情報を入れずに観ろ」が新たな絶対的鉄則となってゆくのかも知れない(事前情報を入れて観て、良かったことなど殆ど無いし)。 [映画館(字幕)] 5点(2020-02-17 20:08:07) |
1283. シグナル100
《ネタバレ》 原作は漫画とのことだが、そちらは未読。しかし率直に、非常に奇抜で秀逸なアイデアのスリラーだと思う。ただ映画については、脚本がその出発点の優れたアイデアを的確に発展させる良い出来とまでは言えず、ごくごく想定の範囲内な展開に留まっている様にも思われる。全体的に演技も可もなく不可もなく程度以下のレベル。 良い点としては(そこまで良くもねーけど)スプラッタ描写は登場人物が高校生なワリに結構血飛沫スプラッシュで分量も多いのと、前述どおり平均的な展開運びながらテンポはさほど悪くなく、コンパクトさも相まって緊迫感は終始まずまず維持されていたかと思う。まあ面白いアイデアだし、変わったスリラーとして観ておく価値はアリかと。一点、ハシカンは可愛いことは可愛いが、あまり存在感があるという訳でもなかった。 [映画館(邦画)] 5点(2020-02-12 21:49:28) |
1284. ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ
《ネタバレ》 主に『13金』あたりのスラッシャー映画のパロディ・コメディなのだが、ネタ元がスラッシャーなのにグロ&エロは全く欠片も微塵も無いという圧倒的な拍子抜け(まあ対象世代を広げるための販売戦略なのだろうが、個人的には詐欺にも近い)。そもそも、主演女優は(好みも有るだろうが)あんまり素直に可愛い!って感じでも無いし、その他女優陣もブスやらバカやら性悪だわで、むしろ80年代スラッシャーならではの良さというものを意図的にも取り払っているかの様に思える(何故だ)。 もう一点、アラフォーの母親役と20代前半の女子大生役の両方をマリン・アッカーマンが(特に特殊な手法を使うことも無く)演じ分けているが、惜しむらく個人的にはここにも大いに違和感があった。この人、極めて美形でかつ若々しく(実年齢は36,7だが)、こういった無茶をおっつけても何とかしてくれそうなレベルだというのは重々認める。しかしそれでもなお、やはり若づくりの方には違和感が大きかった。実際に十分若く見えるかどうかが問題というよりは、無理に若く見せようとしていることが設定上どうしても見透けてしまう、ということ自体が違和感になっている様に思われる。 映画自体は比較的しっかりつくられているので、ただパロディ・コメディなだけでパンチが皆無なノペっとした質感は、重ねて言うが詐欺まがいである。だいぶん残念な仕上りに思う。 [DVD(字幕)] 5点(2020-02-04 20:55:36) |
1285. 女虐 悪魔の悦び<OV>
《ネタバレ》 C級和製スプラッタ(かなりチープ)。ただグロ描写が中々奇抜・独創的でグッド(分量は極めて少ないが)。ストーリー・演出は凡庸だが(前半はとてつもなく退屈)、実は雰囲気は嫌いではない。 [DVD(邦画)] 5点(2020-02-04 20:42:55) |
1286. マーターズ(2015)
《ネタバレ》 ほぼほぼ元ネタ通りな展開のリメイクだが、全体的にややマイルドになっている感じ(特に件の「皮剥ぎ」が何だかよく分からん描写になっているのは正直痛い)。同じと言って劣る所は有れど(所々ただプロットをなぞってるだけな箇所も目立つ)優る所は無いという意味ではややダメリメイクな感じだが、マイルド故の観易さも含め、ギリ許容範囲ではあるか。初心者はこちらでも。 [インターネット(字幕)] 5点(2020-02-04 20:12:35) |
1287. AI崩壊
《ネタバレ》 うーん…良かった点を挙げるとするなら、中盤以降のサスペンス展開は(内容はともかく)運び方自体はそこまで悪くなく、そこそこ緊迫感は維持されていたのと、同じ人工知能でも「コンピュータ」とか「スカイネット」とか言われるよりは「AI」って言われて舞台も2030年の日本としてみると、やっぱり身近さと真実味がだいぶん増すのは確かだと思ったし(AIも将来ホントにそういうの出来てきそうな感じな設定だし)、あと映画自体の質も予算が潤沢なようでかなり高いレベルにつくり込めているとは思った。 ただやっぱり、この色々とイマサラ感120%な題材の映画として、AI暴走の直接原因・その裏の黒幕とかにせよ(政府の陰謀とかやっぱり絡んでくるし)、中盤の追いかけっこにAI(というか実質監視カメラ)を絡めた描写にせよ、そしてラストの大オチなんかも含め、総じて肝心なトコロに大したアイデア・新機軸を感じない平凡な出来であったのはこれも確実で、何か一つでも目新しいものを、と思って観に行った期待は残念ながら裏切られたとしか言い様が無い。まあ別に大して期待はしてなかったけど(だってこんなダサい邦題正直見たこと無いし)。大甘に甘くつけてこの評価としたい。 [映画館(邦画)] 5点(2020-02-01 21:44:39) |
1288. 処刑山 -デッド・スノウ-
《ネタバレ》 ガチの雪山で撮ってて頑張ってんな~とは思うが、中盤までは暗いシーンが多く、そこの照明の使い方に工夫が無くてただ暗いだけなので、単純によく見えなくて普通にイマイチ。終盤は一転して終始昼間のシーンになり、加えて矢鱈と血みどろな単なるスプラッタ合戦と化す。ここまで俳優の顔が血塗れな映画も珍しいが、白い雪原をバックに紅が映える様子は実に美しい(嘘)。チープだが結構好き。 [DVD(字幕)] 5点(2020-01-29 23:08:47) |
1289. キラー・メイズ
《ネタバレ》 肝心カナメの段ボール迷宮の種々のギミックは、チープながらも美術面で相当に面白くてセンスも感じる出来だと言える。が、話の方は全体にかなり意味不明で、それは終盤に近づくに連れどんどん酷くなってゆく。ギミックの出来もハッキリ、序盤の方が後半より面白い。 つまり映画としては率直にかなり尻すぼみで、文句無しに楽しみ切れたとは言えない感じ。非常にユニークな作品であることは確かだが。 [映画館(字幕)] 5点(2020-01-26 18:33:33) |
1290. テリー・ギリアムのドン・キホーテ
《ネタバレ》 やたらと攻撃的な宣伝文句を並べ立てていた作品だが、観てみると存外に普通の映画でかなり拍子抜け。いや確かに、相当に変わった映画なのは間違いないのだが、もっとラディカルに妙ちきりんな作品を期待していた、というだけなんだけど。 だが、普通に映画として観たとすると、実は別に全然アリな作品だと思う。アダム・ドライバーはまたまたかなり頑張ってるし、コミカル面も(分量が少ないのは否めないが)決してそんなに悪くはないし、何よりどこで撮影したのか知らんが、荒れ地の情景にせよ時代を感じる街並みにせよ、また終盤の舞台になる城なんか特にスゴくイイ感じの雰囲気で、正直メチャクチャ行ってみたい。 とは言え、コンセプトが何なのか、という点では、ちょっと掴み切れなかった映画なのは確か。監督の過去作を研究して、そのうち再見したい。 [映画館(字幕)] 5点(2020-01-25 01:50:59) |
1291. メン・イン・ブラック:インターナショナル
《ネタバレ》 本作も『3』に引き続きSFアクションとしての映画づくりがされているようで、コメディ要素は添え物程度な感じ。緊迫した場面も多いが、一方で完全にスリル&アクションという感じでもなく、なんか中途半端でどっちつかずな感がある。クリヘム君は筋肉は凄いが、俳優としては結構にポンコツなように思っている(テッサちゃんはそんなに悪いとは思わなかったが)。続編があるかどーかは極めて怪しい程度の出来映え(もしつくるんだったら、やっぱり『1』のコメディ全振り路線でお願いしやす)。 [映画館(字幕)] 5点(2020-01-24 01:13:40) |
1292. ジェミニマン
《ネタバレ》 この映画の真のコンセプトはウィル・スミス若返りの特殊CG処理であり、その点では大いに成功しているのは間違い無く、今後の発展も見込めるエポックメイキングな素晴らしい技術なのはよおーく分かった。 しかし、映画自体の内容的にはかなり酷い出来だと思う。至極平凡なメインシナリオ、絶妙に繋がっていかない低レベルな展開運び、そもそも「ジェミニ」のアイデアがただ普通にクローン作っただけというもはや時代遅れな代物だし、せっかくウィル・スミスを2人用意したのにその2人の絡みに特段スペシャルな仕掛けが無いという致命的な企画倒れ… ただ、中盤のバイクチェイスや、スミスvsスミスのステゴロ、終盤のガトリング砲撃ちっぱなし等のアクションはそこそこ見応えも有り、観て損したとまでは思えない程度のクオリティは整っている。暇潰しにはまあ十分かと。 [映画館(字幕)] 5点(2020-01-18 02:56:51) |
1293. チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜
《ネタバレ》 単純正義なスポ根ものとは少し違えたかったのか、「意識高い系」な要素を取り入れてややドロッとさせたりしている。と言っても内容自体は極めてオーソドックスなトコロで(ありがちなスポ根展開もほぼ全部入ってる)、なんというか薄く、盛り上がりにも欠ける出来にも思う(熱が足りない)。ただ若い女優さん達はかなり可愛いコ揃いだし、ダンスもまずまずなクオリティなので、それだけでも観る価値はあるかと。 [インターネット(邦画)] 5点(2020-01-13 00:25:38) |
1294. アナと世界の終わり
《ネタバレ》 ゾンビ映画としてだけ観ると、筋が極めて在り来りで特段目新しいものが無いのがかなり痛いトコロ(脚本も相当にショボくて会話にセンスが全く無い)。ミュージカルとしても別にそんなに面白いという程でもなく、何より、何故にゾンビと歌をコラボした(かった)のかが全く伝わってこない。完全に企画倒れな映画だと思うが、全体的に映画の質自体はさほど悪くもなく、特にミュージカルシーンの歌・歌唱パフォーマンス自体は(ある種無駄に)かなりレベルの高いものにつくり込まれている。なので、凡百の駄作ホラーよりかは幾分マシかと。 [映画館(字幕)] 5点(2020-01-12 22:59:51) |
1295. ティーンスピリット
《ネタバレ》 尺も短いが話の方も相当に薄っぺらく、その面に関してはもはや必要最低限と言ってよい程のお手軽製作映画である。人間ドラマ部分(ティーンの挑戦と苦悩とか、マネージャーとの関係性とか)に見応えを見出すのは正直難しいと思うが、ファニングが実際に歌っているという歌唱パフォーマンスの出来はまずまずで(ラストのライブシーンなんか歌も動きもかなりホンモノっぽい)、そこは観る価値があるカモ。 [映画館(字幕)] 5点(2020-01-12 17:33:16) |
1296. 三月のライオン
《ネタバレ》 決して小綺麗ではない(どっちかつーと小汚い)無機質な都会の情景を背景としていながらも、どこか詩情的で独特なノスタルジックさを醸している雰囲気はまあまあ面白く、加えて色々と映像的な面白さも無くはないと言える。しかし、話の方はほぼほぼ無内容と言ってよいレベルに希薄で、これが2時間の尺になっている必然性が感じられない。終盤は流石にそこそこ面白くもあるのだが。 [DVD(邦画)] 5点(2020-01-04 22:53:27) |
1297. アナベル 死霊博物館
《ネタバレ》 コンセプト(全米各地から集めた色んなオバケ大集合だよ!)にせよ、驚かされ役が可愛くか弱い女子3人なことにせよ、「多分本気は出してこないだろ~」感がアリアリだったのだが、その実、結構ネットリと本格的に怖がらせに来ており、終盤はまずまず怖いのが連続する点はまあ良しとしよう。しかし内容自体はかなり薄目な上、ネットリ度が高すぎてテンポも非常に悪いため、特に中盤までが相当に退屈なのがだいぶんマイナス。ただ、前述通り終盤はまずまずなのと、ラストのホッと安心する感も好印象なので、お手軽に観れるホラーとしてならそこまで悪くないかもと。 [映画館(字幕)] 5点(2020-01-04 02:37:23)(良:1票) |
1298. トランスフォーマー/ロストエイジ
《ネタバレ》 壊滅的に訳の分からないストーリーと、絶望的にクソ長い尺は許容範囲を二回りは超過している(最初の100分はかなり辛かった)。しかし、やはりというかラスト1時間は例の如くの怒涛のアクションがかなり素晴らしい出来(話は引き続きサッパリ分からんが)で、少ーしマイナスではあるが帳尻は合っている感じ。トランスフォーマーのデザインが大分カッコ良くなってるのと、バンブルビーを筆頭にオプティマス以外にも活躍する味方が増えたのも地味に良い点かと思う。評価は極めて難しい所だが、特に劇場で観たらそれなりに満足するかも(問題作気味とも言える)。 [インターネット(字幕)] 5点(2019-12-26 01:47:53) |
1299. ネオン・デーモン
《ネタバレ》 かなりもったりしたテンポで、これは(ストーリー自体の方よりも)極めて美的な画面や洗練された音楽の方をゆっくり存分に楽しんで欲しいという趣向だろう。そういうコンセプトならば、話の方が非常に単純で退屈なのを許容してやらんこともないが、にしても内容面でちょっとパンチが足りない感じ。善の要素たる美しさと、対比される悪たる醜さ・エゲツ無さの描写もどうも淡泊で深みが無いし、加えて言うならば「美しさ」に関しても、エル・ファニングは(非常に適役だとは思うが)どちらかと言えばカワイイ系で、周囲を圧倒する「美しさ」までは感じない(少なくとも他のモデルにそこまで優るようには見えない)。小手先の演出に気を取られ、内容面の勘所を少し見誤ったか。ただ、全体のアーティスティックかつモダンな雰囲気は非常にユニークでグッドだが。 女性の容姿の評価軸は「綺麗・可愛い・色っぽい」の3つだと思っている。(キレイ系じゃないけど)可愛くて少し芋っぽいファニングが、後半どんどん色気を増していく展開が…あれば良かったのに。 [インターネット(字幕)] 5点(2019-12-15 01:10:29) |
1300. 追悼のざわめき
《ネタバレ》 前衛的な映画(エログロたっぷり)だが、あくまで日常の生活風景をベースにしつつも、風変わりかつ奇怪で醜悪な映像の数々には十二分に「見たこと無い感」が有るし、全体的には相当に意味不明ながらも所々は分からなくもない様なストーリー構成は、そこそこ良いアヴァンギャルドな雰囲気を醸しつつも完全に置いてけぼりにはならずに済む絶妙さをも備えている。全体的にまずまず悪くない雰囲気映画だとも思うが、残念なのはとにかく長過ぎること(この手の前衛芸術は尺が長過ぎると、芸術にはなっても映画にはならないのよね)。偶に流れる音楽が妙に安っぽく、雰囲気にそぐわないのも気になる。 [DVD(邦画)] 5点(2019-12-14 12:26:59) |