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プロフィール
コメント数 1946
性別 男性
年齢 49歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1301.  ランナウェイ/逃亡者 《ネタバレ》 
年の離れた妻を交通事故で亡くしたものの遺された可愛い盛りの娘と共に充実した日々を送る弁護士ジム。だが、彼には30年間隠し続けてきた過酷な過去があった――。それは理想に燃えて身を投じた学生運動の暴走の果てに銀行強盗を行い、人を死なせてしまったという残酷な事実だった。以来、警察の手を逃れ名前も経歴も捨て別人として生きてきた彼だったが、地方紙の新聞記者によってそんな過去が暴かれてしまう。「自分はまだ捕まるわけにはいかない……」。愛する娘を弟に預け、FBIや新聞記者の追撃を逃れながら彼はかつての仲間たちの元を訪ねてゆく。固く閉ざされた真実を求めて……。娘のために孤独な逃避行を続けるある一人の男を淡々と見つめた社会派サスペンス。監督・主演は往年のハリウッドスター、ロバート・レッドフォード。なんだかいかにも彼が好みそうな真面目なキャラクターばかりが登場し、まるで映画学校の教科書のような超オーソドックスなストーリーが展開されてゆくなんとも地味な作品に仕上がってましたね、これ。うーん、さすがにちょっと古臭いっすわ~。てか、これってハリソン・フォード往年の名作『逃亡者』と展開がほとんど一緒ですやん。それならそれでもっと個性的なキャラクターを登場させるだとか、もっと政治的に物議を醸しそうな先鋭的なテーマを扱ってみるとか、他にはないこの作品ならではという個性が欲しかったです。あまりにも地味で古臭いという印象が強いせいで(それにちょっぴり冗長だし)すぐに記憶から消え去りそうな残念な作品でありました。レッドフォード作品ってどれも作りが優等生に過ぎて、僕とはあまり相性がよくないみたいです。あ、あと内容とは全く関係ない話なんですけど、レッドフォードの11歳の娘を演じた女の子が同じ歳ぐらいの頃のクロエ・グレース・モレッツにめちゃくちゃそっくり(血縁関係があるんじゃとさえ思っちゃいました)な、かなりのカワイこちゃんだったのがびっくり!久々に、僕のロリコンレーダーにビビッとくるなかなかの美少女に出会えてラッキーでした。おわり。
[DVD(字幕)] 4点(2014-07-01 13:34:24)
1302.  悪の法則 《ネタバレ》 
麻薬組織と繋がりのある企業の顧問弁護士として、今まさに引き返せない悪の道へと手を染めようとしている男。何も知らない美しい彼の妻。金と女のためならどんな手段でも平気で行う強欲な経営者。淫乱で謎の多い怪しげなその彼女。そして、何もかも分かったように斜に構え全てを冷笑的に見つめる男…。果てしない欲望と愚かで醜い性欲を抱えたそんな彼らが互いに騙し騙され破滅へと向かってゆく姿をシニカルに描き出すピカレスクロマン。「エイリアン」や「ブレードランナー」といったSF映画の名作を数多く残してきたものの、「グラディエーター」辺りから世間での高評価とは裏腹に僕の中では確かにその映像の美しさやスケールの壮大さなどは認めるものの、いまいち心に響くものが乏しい作品ばかり撮ってきたリドリー・スコット監督。現代アメリカ文学の重鎮マッカーシーの原作を映画化したという今作も、やはり哲学的で難解な作品でありました。でも、この華がありながらちゃんと実力も兼ね備えた豪華な役者陣が織り成すミステリアスなストーリーと、 淫猥な雰囲気がこってり濃厚に漂うこのダークな世界観はけっこう良かったかも。特に、フェラーリのフロントガラスに無毛つるつるのあそこをねっとりぐっちょり擦り付けて絶頂を迎えちゃうキャメロン・ディアスの文字通りのカーセックスシーンはめちゃくちゃエロかったっすね~。久し振りに、映画を観ながら僕の股間がエキサイトしちゃいました(笑)。まあ、見事なまでに最低の人間ばかりが登場する、胸糞悪~い後味最悪な映画ではあったけど(最後に送り付けられるあのDVDの中身なんか、想像しただけで吐きそうやし笑)、全ての人間の根源には必ず悪があるという事実を冷徹に見つめながらもどこかコミカルでエネルギッシュに描いたこの作品、うん、けっこう見応えあったっす。リドリー・スコット、ちょっぴり見直したよ!
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-01 08:40:18)(良:1票)
1303.  オン・ザ・ロード(2012) 《ネタバレ》 
第二次大戦終結後のアメリカ。作家を志す貧しい青年サルと、目の前にある快楽にただひたすら溺れる破天荒な生活を送る青年ディーン。未来も過去もなく、ただ“いま”という時間を実感するためにある日、彼らは何も持たず路上へと旅立ってゆくのだった。生きる喜びを全身全霊で感じるために――。酒とドラックとセックスに明け暮れる若者たちのアメリカ全土を巡る無軌道な旅路を乾いた映像とノリの良い音楽で刹那的に描き出す青春ロードムービー。日本でも根強い人気を誇るジャック・ケルアックの有名な小説を豪華キャストをそろえ映画化したということで今回鑑賞。監督は、若き日のチェ・ゲバラの青春バイク旅を乾いたタッチで描いたロードムービーの佳品『モーターサイクル・ダイアリーズ』を撮ったウォルター・サレス。相変わらずこの監督の南米特有のドライな映像のなかにときおり垣間見せる、詩情豊かシーンは心惹かれるものがありますね。前作の雰囲気がけっこう気に入っていた自分としては、こちらのセンス溢れる映像や音楽もなかなか堪能できました。ただ、ずっと昔に原作は読んだのだけど、はっきり言ってその良さがさっぱり分からなかった自分としては映画化された今作のストーリーもやっぱり受け付けませんでした。べつに僕は必ずしも映画にモラリティを求めているわけではありませんが、それでもこの誰であろうと気に入った女が居ればすぐに口説いてセックスし、友人を含めて乱交やりたい放題、知り合いが後部座席に乗っていようが構わず運転中に女にフェラさせ、金に困れば男とでもやる彼らの姿は、もう倫理観の欠落というより単なるケダモノとしか思えません。確かに映画としてある程度完成度は高いのでしょうが、彼らにこれっぽっちも感情移入できなかった自分としてはそこまで高評価できませんでした。『モーターサイクル~』のチェ・ゲバラのように、長い旅路の果てに未来に繋がる大切な希望のようなものを手に入れるだとか、あるいは自堕落な生活の果てに自業自得の絶望のどん底へと堕ちてしまうとか、そういった心に残る意味のあるラストが欲しかったです。
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-30 15:44:31)
1304.  レッド・ドーン 《ネタバレ》 
ぼくはアメリカぐんのゆうしゅうなへいしなんだ。そんなぼくが、ひさしぶりにこきょうへとかえってきたら、とつぜん、きたちょーせんのへいしがせめてきて、あっというまにアメリカぜんどがせんりょうされてしまったんだ。あれ、せかいさいきょーのアメリカぐんはどこにいっちゃったんだろう?ってぎもんはこのさいむしして、ぼくたちはウルヴァリンってレジスタンスをけっせいして、みんなでゲリラせんをしかけていったんだぜ。まあ、メンバーはまだ10にんもいないし、だれがだれだかわからないし、どいつもこいつもみりょくにかけるやつばっかだけどさ、これから、きたちょーせんのわるいやつをぼこぼこにして、ぼくらのあいするアメリカをとりもどしてやるから、みんなきたいしてまっててくれよな。え、さくせんがおそまつすぎ?ストーリーがばかばかしすぎてしぬ?ラストがあほすぎてぶちぎれそう?そんなこというやつは、もしきたちょーせんのわるいやつにつかまってもたすけてやんないんだからね!あはは…
[DVD(字幕)] 2点(2014-06-30 07:17:04)
1305.  デッドマン・ダウン 《ネタバレ》 
ボスの命令なら簡単に人を殺すことも厭わない凶悪なギャング組織のメンバー、ヴィクター。数ヶ月前から謎の脅迫を受けるボスの忠実なしもべとして組織の中でめきめきと頭角を表していた彼だったが、ある日致命的なミスを犯してしまう。向かいのマンションに住む女性に人を殺すところを見られてしまったのだ――。女性の名は、ベアトリス。顔の目立つところに大きな傷跡のある孤独な女性だった。「このことを警察に知られたくなかったら、あたしの顔を傷物にしたあの男も殺して!」と、飲酒運転によって彼女の顔に傷を負わせた男への復讐を強要されるヴィクター。仕方なく承諾するヴィクターだったが、彼もまた数年前に起こった悲劇的な出来事によって心に深い傷を負った復讐者だった……。都会の片隅で孤独に生きる男と女の互いの過去と未来がスリリングに交錯するクライムサスペンス。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、都会の夜の空気を濃厚に漂わせる大人な雰囲気とまったく先の読めないストーリーとで、僕は最後まで面白く観ることが出来ました。うん、なかなか良かったですよ、これ。感情を必死に抑制しながら淡々と復讐をこなしてゆくコリン・ファレルがけっこう嵌まり役で相変わらずカッコ良かったし。彼が、組織の一員を演じながらビルの屋上から仲間を狙撃するシーンは、まあベタっちゃあベタですけど素直に手に汗握っちゃいましたもん。そんなヴィクターに結果的に騙されてしまうことになる親友役のドミニク・クーパーも、いかにも情熱的な若いチンピラって感じで良い味出てました。まぁあんなに綿密に考え抜いた作戦(いくらなんでも回りくど過ぎるんちゃう?って突っ込みはナシよ笑)が狂っちゃったからって最後は一人で乗り込んでいって、「オラオラオラ!!」って銃ぶっ放してぜんぶ力ずくで解決しちゃうってとこはアレでしたけど(笑)。それでも静かな怒りを胸に秘めた男の重厚な復習劇としてだけじゃなく、心に癒しきれない傷を抱えた男女の大人なラブストーリーとしてもよく出来ていたと思います。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-29 19:39:16)
1306.  パニッシュメント(2013) 《ネタバレ》 
それはいつものように平凡な一日になるはずだった――。PM2:00、自堕落な母親とまだ生まれたばかりの病弱な赤ん坊と共に暮らしている少年コリーは、とても手が出そうにない高額な薬を手に入れるため銃を手に薬局へと向かっていた。2:02、違法な荷物ばかりを扱うバイク便の女運転手アレクサは、ギャングに追われていた謎の青年をひょんなことから後ろに乗せて助けてやるのだった。2:01、政府のテロ対策捜査班として相棒と共に任務を遂行中のマーティは、爆弾テロを計画中らしき容疑者のアジトへと乗り込んでゆく。2:03、元全国ネットのニュースキャスターだったもののいまや落ちぶれてホームレスとなってしまったドークは、同じくホームレスの友人と共に警官の銃を盗むのだった。2:04、小さな街で、そんなまったく関係なさそうな人々の物語が、「口の中を噛んだことがある?」と何度も問い掛ける黒人の女の子フューによって、とある奇跡へと収斂されてゆく……。都会の片隅で刹那的に生きる様々な人々の夢と現実が複雑に交錯しあう群像劇。明らかにデビュー当時のタランティーノの影響を色濃く受けているであろう、この全編に漂う猥雑な雰囲気は良かったと思います。実力派の役者陣が織り成す渋い演技も見応え充分。ただ、残念ながら本家に比べて圧倒的にセンスが不足しているせいで、奇を衒っただけの単なる凡作どまりの出来に終わってしまったのが本作の残念ポイント。まず、音楽が超ダサい。タランティーノ目指すなら、これは致命的でしょう。そして小さな街の中で様々な人々のくだらない物語が、最後、キリストの奇跡へと繋がってゆくといういかにも〝パルプ・フィクション〟な展開も完全に無理ありありで、見事なまでに破綻しております(笑)。でもね、頑張ってるのは分かるんですよ。全編にわたって、タランティーノを少しでも追い越せるような映画を創りたい!という意欲だけはビシバシ感じます。そんな監督の頑張った感と髭もじゃクリスチャン・スレーターの最近の半端じゃない落ちぶれた感にエールを込めて5点!
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-27 21:18:50)
1307.  モンスター・ハウス 《ネタバレ》 
冴えない学生生活を送る、思春期を迎えたばかりの少年DJ。彼の唯一の親友で、お調子者で太っちょな男の子チャウダー。彼らと偶然知り合うことになる、お高くとまった生意気少女ジェニー。ハロウィンを明日に控えた夜、ひょんなことからともに過ごすことになったそんな3人。彼らはDJの家の向かいに建つ、偏屈な爺さんが独りで暮らしている怪しげな一軒家のとある秘密を知ることに。それは、この家が自らの意志を持って人を襲い食べてしまう恐ろしいモンスターハウスだという驚きの事実だった――。「大変だ!明日はハロウィンでたくさんの子供たちが飴を貰いにこの家にやってきちゃうよ!」。周りの大人たちにいくら話しても全く信じてもらえない。もう僕たちであの恐ろしいモンスターハウスをどうにかするしかない。彼らはそんなモンスターハウスへと一致団結して立ち向かってゆくのだが……。スピルバーグ&ゼメキスというエンタメ映画界の巨匠コンビが製作した、全編美麗なフルCGアニメで描き出すコメディタッチの冒険活劇。娯楽に徹したストーリー、細部にまで拘ったであろうハイクオリティな映像、さすがハリウッドの第一線を突っ走ってきた二大巨匠がダッグを組んだだけあって、映画としてある一定の水準には達していたと思います。ただ、個人的な感想を述べさせてもらうと、全体的に中途半端な印象が拭えない作品でしたね、これ。いまいち魅力に欠ける主人公の少年少女たち(なんか顔が微妙にリアルで怖いんですけど…笑)や、モンスターハウスの全然ワクワクしない地味な造形(アニメなんだからもっとはっちゃけて欲しかった)、スケールがちっちゃ過ぎてなんとも盛り上がりに欠けるストーリー……。何より致命的なのは、館がモンスターと化した原因であるお爺ちゃんとその太った妻との哀しい恋物語がかなりおざなりに描かれちゃってるとこ。どうしてあんなに太った妻をあそこまで愛するようになったのかがさっぱり分からない(お爺さんのそーゆー性癖なの?)せいで、いまいちストーリーに入り込めませんでした。とはいえ徹底的にハードルを下げて観れば、時間も90分とコンパクトだし、適度なヒマ潰しにはなると思います!
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-26 18:35:48)
1308.  路上のソリスト 《ネタバレ》 
LAタイムスという超一流新聞社で、多忙な毎日を過ごす敏腕記者ロペス。彼はある日、何故か路上でバイオリンを弾く一人のホームレス、ナサニエルと出会う。その奇矯な言動と特異な格好とはうらはらに、彼の奏でる美しい旋律に興味を引かれたロペスは、思わずコラムで彼のことを取り上げるとそれが静かな反響を巻き起こすのだった。本格的にナサニエルの過去を調べ始めたロペス、するとそこにはかつてその才能を認められ将来を嘱望されながらも統合失調症によって悲惨な現実を生きざるをえなかった彼の哀しい人生があったのだった――。静かな正義感を胸に秘めた新聞記者と路上という自由で孤独な世界に生きる元ソリストとの、人生の再生をかけた友情を実話を基に描いたヒューマンストーリー。丁寧に紡がれた物語と気品に満ちたクラシックの名曲群のおかげでとても美しい静謐な空気に満ちた、ジョー・ライト監督らしい佳作に仕上がっていたと思います。実話を元にしているということもあり、二人の友情物語が変にドラマティックに描かれていないところも好印象です。統合失調症を発症し、四六時中続く幻聴に次第に追い詰められてゆく若き日のナサニエルと、その後、心がすっかり壊れてしまいホームレスとなった現在の彼を見事に演じ分けたジェイミー・フォックスの熱演も見応えありました。それにしても、これまで適切な治療を受けられずホームレスとならざるをえなかった統合失調症患者は果たしてどれくらいいたのでしょう。ナサニエルのような哀しい人生を歩んでしまった人を少しでも減らすために、公的機関のサポートがもっと充実されることを願うばかりです。ただ、一本の映画としてみれば最後まであまりにも優等生的な演出が続くためちょっとパンチに欠けるような印象もなきにしもあらず。ここは好みが分かれるところでしょうね。それでも僕は、この気品に満ちた作品世界に最後までしっとりと浸ることが出来ました。ジョー・ライト監督とはどうやら相性が良いようなので、これからも観ていこうと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2014-06-24 19:04:54)
1309.  ブルーバレンタイン 《ネタバレ》 
ディーンとシンディは、幼い娘を育てるどこにでも居るような若い夫婦。だが、夫ディーンは毎朝缶ビールをかっ喰らってから仕事に向かうという典型的な駄目男だった。対する妻シンディも看護師としての仕事を最優先に考え、いつも家庭は二の次というキャリア志向の強い女だった。当然、そんな二人の結婚生活はもう破綻寸前にまで冷え切っている。家族の紐帯はもはや、可愛い盛りの娘フランキーのみ。そんな夫婦生活をなんとか立て直そうと、ディーンは子供を義父に預け夫婦水入らずでラブホテルに泊まろうという計画を立てるのだが、もはや価値観の全く違う2人はことあるごとに反発することに。そんな夫婦の脳裏によぎるのは、まだ幸せいっぱいだったころの若き日の2人の思い出だった……。絶望的な袋小路へと陥ってしまったそんな現在の夫婦と、彼らがまだ知り合ったばかりのキラキラと輝やくような楽しい日々を対比させるように交互に描き出してゆく濃厚なラブストーリー。最近観た、「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」というクライムサスペンスが思いのほか良かったので、同監督のデビュー作となった今作を鑑賞してみました。感想は……、なんちゅう鬱映画やねん!どんなに深い愛情によって結ばれた夫婦でも一歩間違えばこうしてどん底まで堕ちてしまうという過程がかなりリアルに、そして極めて執拗に描かれておりました。監督、最近なんか大失恋でもしたんかいな(笑)。「プレイス~」でも感じたことですが、この監督の緻密に考え抜かれた編集力は素晴らしいですね。センス溢れる美しい映像や音楽、役者陣の熱演(ゴズリングの見事なまでの駄目男っぷりはさすが!)もこの人の才能をビシバシ感じさせます。それにしても、この物語の根底に貫かれる思想はかなりシニカル。人間は男も女も誰もがみんなロクでもなく自分勝手で、どんな幸せな日々もいつかは崩壊へと向かう、そしてその犠牲となるのは常に子供たちのような弱い存在だ。そんな暗鬱な思想に貫かれた本作、なのに最後、打ち上がる花火の下で背中を向けて立ち去るディーンを追いかける娘の健気な姿に、それでも人間はこの大地で必死に生きてゆくという微かな希望のようなものを受け取ることが出来たように思います。これから結婚しようと考えている幸せ絶頂の全ての若いカップルたちに是非とも観てもらいたい(笑)、良質のリアル鬱恋愛ドラマでありました。
[DVD(字幕)] 8点(2014-06-18 14:08:46)
1310.  プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 《ネタバレ》 
移動遊園地の曲芸バイク乗りとして全米を転々としているルーク。久々に訪れた田舎町で彼は偶然、昔付き合っていた彼女と再会する。懐かしさから昔の思い出話に花を咲かせるルークだったが、その中で彼女の口から驚愕の事実を知らされる。知らぬ間に彼女は自分の子供を妊娠出産していて、彼はいつの間にか父親となっていたのだ――。考えた末、ルークは息子の側で過ごすためにサーカスの仕事を辞めると地元で仕事を捜すことに。たが、現実はどこまでも厳しく、ルークはろくな仕事にもあり付けずしかも彼女にはちゃんとした新しい彼氏が出来てしまう。半ば自棄になった彼は、手っ取り早く大金を稼ぐためにリスクを承知のうえで銀行強盗へと手を染めるのだった……。物語は、中盤でそんなルークの犯罪ドラマから、偶然彼を追うことになった正義感の強い警察官エイヴリーの警察内部の腐敗と戦う彼の物語へと紡がれてゆく。そして15年後、さらには彼らの子供たちへと物語の種子は受け継がれてゆくことに。まるでそれが親の代から続く彼らの宿命だとでも言わんばかりに。理不尽で残酷な現実社会でもがく親と子の苦悩と救済の物語をドラマティックに描いたクライム・サスペンス。何の予備知識もなく今回鑑賞したのですが、久々にこんな骨太の映画に出会えました。2時間20分という決して短くはないこの物語の中に、15年に渡る多種多様な人々のドラマを見事に内包させ最後まで緊張感を途切れさせずに見せ切るこの監督の手腕は素直に素晴らしいと思います。豪華な俳優陣もそんな監督の要求に、プロフェッショナルを感じさせる素晴らしい熱演で応えていて見応え充分。第1部と第2部で主役を演じる、ゴズリング、クーパーもさることながら、第3部で主役を演じたデハーン君のまだまだ荒削りながら、見る者に鋭いナイフを突き付けるような圧倒的な存在感には圧倒されました。カリスマ性や実力、そして将来性をビシバシ感じて今後の成長が今から楽しみ。人間は結局、親や周りの環境から簡単には逃れられない――。それでも必死になってもがき、そんな宿命から逃れようとする人々の姿には感動せずにはいられません。久し振りに作品世界へとどっぷり浸れる良質の映画に出会えました。この監督の過去の作品もあらためて観てみようと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2014-06-14 00:11:24)(良:1票)
1311.  ウルヴァリン:SAMURAI 《ネタバレ》 
昔から僕はこの「X-MEN」シリーズとは相性がよろしくなくて、確か昔一作目だけは観たと思うのだけど個人的に「うーん…」て感じだったので、以来このシリーズは全く観てきませんでした。なのだけど今回は日本が舞台、しかも監督は『17歳のカルテ』や『アイデンティティー』という良質のエンタメ映画を数多く手掛けてきたジェームズ・マンゴールドということでこの度鑑賞。そんなわけで、僕が「X-MEN」シリーズにこれっぽっちの思い入れもなく観始めたことが功を奏したのか、けっこう面白かったですよ、これ。取り敢えず、ウルヴァリンさんは怒ると手の甲から鉄爪が出てきてすぐに傷が治っちゃう不死身のむさ苦しい髭面のおっさんてだけでなく、過去に奥さん?を殺しちゃった悲惨な過去を持つ哀しいおっさんでもあったのですね。そんな哀愁漂う彼が若い女と日本の観光地をウレシハズカシ巡りながら、その先々で暴れまくるアクションシーンはどれもキレもあって普通に楽しめました。まあ、真面目に突っ込み出したら怒りのあまり鼻血が出そうなほど次々と出てくるおかしな日本描写はご愛嬌だけど。「どうだ、このイレズミ!怖いだろ~、俺たち恐ろしいヤクザなんだぜ!」と、わざわざ裸になって会長の娘を追いかけるお馬鹿なヤクザさんたちが一番面白かったかな~。ラブホの火星探検部屋は、逆に狙い過ぎてスベッてたけどね(笑)。それに新幹線をあんなにズタボロにしちゃったウルヴァリンを簡単に途中下車させちゃうJRってどんなけ甘々やねーん!と、そこらへんに目を瞑れば、新幹線での白熱のバトルやら中2病全開の赤毛の女忍者やら、真田広之のダークサイドに堕ちちゃったサムライっぷりとか、僕はけっこう楽しめた口です。
[DVD(字幕)] 6点(2014-06-10 00:04:50)
1312.  アフター・アース 《ネタバレ》 
大気汚染と環境破壊により、全ての動植物が人類を攻撃するように進化してしまった遥か未来。人類はとっくの昔にそんな危険な地球を捨て、新たな新天地である惑星ノヴァ・プライムへと移り住んでいた。軍部隊の将軍を務め、人類を救った英雄でもあるレイジはある日、息子と共に乗り込んでいた宇宙船が隕石の嵐へと巻き込まれ、とある惑星へと墜落してしまう。気がつくと息子と自分以外生存者ゼロ、しかもレイジは両脚を複雑骨折し歩くことも出来なくなっていた。仲間との通信機はここから何日もかかる場所に墜ちた船体後部の中だ。当然、自分が向かうことは出来ない。生き延びる道は、息子キタイがその通信機を求めてたった一人でジャングルを行くしかない。だが、そこはかつて楽園だったものの、いまや危険極まりない地と化した母なる地球だったのだ――。ウィル・スミスとM・ナイト・シャラマンという、ただいまハリウッドでもっとも迷走中の2人がタッグを組み、しかも主役には親バカにもほどがあると失笑されかねないウィルの息子を大抜擢して製作した、観終わってみればやっぱり親バカ爆発なSF超大作。いやー、2人の迷走を象徴するような詰めの甘~い作品でしたね、これ。主役を演じるウィルの息子くん、残念ながらあまりに実力不足過ぎてこれっぽっちも感情移入できません。それにこれだけ面白そうな設定なのに、肝心のクリーチャーの造形が普通の猿だったり虎だったり鷹だったりでワクワク感が欠片もないところなんか、SF映画としてはもう致命傷ですね。あと、主人公を餌にしようとしていた鷹が子供を助けようとしてくれた恩返しにと自らの命を投げ打って助けに来てくれるという、「これは鶴の恩返し・SF鷹バージョンか!」と思わず突っ込まざるを得ない、薄っぺらいヒューマニズムにはもうトホホと苦笑いするしかなかったです。この2人、いつになったら迷路から抜け出すことが出来るのか、他人事ながらちょっとだけ心配です(笑)。
[DVD(字幕)] 4点(2014-06-06 18:27:55)
1313.  めぐりあう時間たち 《ネタバレ》 
1923年、英国、精神の病を患う人妻ヴァージニア・ウルフは閉塞感漂う田舎で「ダロウェイ夫人」という小説を執筆していた。1951年、ロサンゼルス、郊外の一軒家で一見幸せそうな生活を送る一児の母ローラは何もかも捨てて逃れてしまいたいという抑えきれない欲求に苦しんでいた。2001年、ニューヨーク、長年出版社で編集の仕事をしているクラリッサはエイズを患う初老の作家であり自らの私生活でも因縁浅からぬ関係があるリチャードの文学賞受賞記念のパーティーを開こうと奮闘していた。そんな時間も空間も超えた全く関連性のなさそうな3人の女たちの、人生の転機となったとある苦悩の一日を重層的に描く文芸作品。かつて文学青年だった時代に、世界の有名な文学はだいたい読んだつもりになってましたが、この「ダロウェイ夫人」はその名前はもちろん知っていたのだけど恥ずかしながら未読のままでした。確かに、そんな原作を読んだことのない僕のような人間でも、この綿密に考え抜かれた編集や、実力派の役者陣が織り成す熱演、全編に漂う上品で静謐な雰囲気とで、ちゃんとこの暗鬱な世界へと惹き込む監督のセンスはなかなか秀逸だと思います。ただ、この女を家庭という牢獄へと縛り付ける男社会の論理に必死に抗おうとする三者三様の女たちという、この全編を覆ういかにもなフェミニズム臭には若干辟易させられましたけどね。20世紀初頭のウルフは入水自殺し、近代を生きるローラはなんとか死なずに逃げ出し、そして現代を生きるクラリッサは逆に男を自殺に追い込む…。この、時代の変遷と共に強くなる女たちという、フェミニズムの戦いとそれがもたらした功罪を充分勉強させてもらいました。だからといって、映画として良かったかというと、まあ6点かなってのが正直な感想ですけどね。取り敢えず、こういう映画を観るとやっぱり結婚は人生の墓場だって思い知らされるんだよね~。うーん、やっぱ、いつの時代も女って面倒臭い(笑)。ただ、結婚しない人生はもっと墓場だったかもって、最近思い知らされることが多くなった独身生活38年目の僕なのでありました(泣)。
[DVD(字幕)] 6点(2014-06-03 00:29:20)(良:1票)
1314.  (500)日のサマー 《ネタバレ》 
これは運命の女性と出逢うまで幸せになれないと思っていたトムと、彼が一目見て運命の人だと信じてしまった美しい女性サマーとの500日にわたるボーイ・ミーツ・ガールな物語である――。何処にでもあるような平凡な男女の平凡な恋物語を時間軸を行ったり来たりする斬新な設定とセンス溢れる美しい映像と音楽とで見せる切ないラブストーリー。普段、こういう恋愛を真正面から取り上げた映画ってあんまり観ないのだけど、「キックアス」のヒットガール役で僕のロリコン魂に火を点けたクロエ・グレース・モレッツちゃんが出演、しかも最近はすっかり“女の子”から“女”へと成長してしまった彼女のまだ“女の子”だった時代の貴重な姿を是非ともこの目に収めておこうという超不謹慎な理由で鑑賞してみました。なんだけど、うーん、クロエちゃん、あんまり出てなかったぁ(泣)。と、冗談はさておき(?)、もっと女性向けの作品だと思っていたら、意外にもこれって男性目線な映画だったんですね。500日と言えば、ちょうど付き合い始めてからの天国気分から喧嘩や倦怠期やらで危機を迎えたものの、なんとか仲直りできたにもかかわらずやっぱり別れちゃって、でも彼女のことが忘れられなくて縒りを戻すために頑張ってみたり…という誰もが一通り経験するオーソドックスな恋愛のちょうどな期間。特に、300日を過ぎて彼女と別れちゃったトムのウジウジしたどうしようもない駄目な感じ、なかなか共感できました(笑)。男ってこんな時期あるよね~。僕も当時付き合っていた大好きだった彼女にフラれちゃって、それにその頃ちょうど仕事も上手くいかなくて、そのまま酒に溺れてどん底生活を送っていた時期があったので、観てるとその頃のことを思い出しちゃってなんだか無性に切なくなってしまいました。「海に魚はいっぱいいるわ。今は彼女しか居ないと思ってるんだろうけど、私はそうは思わない」トムの妹を演じるクロエちゃんのそんな優しい言葉に素直にジーンときちゃったっす(あー、またこれで僕のロリコン度が増してしまうだろーな笑)。と、またまた冗談はさておき(?)、辛い失恋を経験した全ての男たちに観てもらいたい佳品でありました。お薦めっす。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-31 00:42:02)
1315.  危険なメソッド 《ネタバレ》 
「人間は、男も女も真面目な人もちゃらんぽらんな人もじいさんもばあさんも子供たちも、みんなみんなセックスしたいがために生きとんねん!!」という身も蓋もないリビドー論を確立し、近代における精神疾患治療を飛躍的に向上させた、偉大な精神分析学者であるフロイト(ちょっぴり独断と偏見入ってます笑)。彼の忠実な弟子でありながら、考え方の違いによりのちに袂を分かつことになるユング。精神疾患を患い、そんなユングの患者となる若く美しい女性ザビーナ。長年にわたる彼らの三者三様の愛憎とプライドと性衝動が複雑に絡み合う心理ドラマ。かつてグロ映画界の巨匠として名を馳せたものの、最近はなんだか分かりにくい良く言えば芸術的、悪く言えば退屈な作品ばかり撮っているクローネンバーグ監督、史実をモデルにしたという今作もそんな例に漏れず、最後まで淡々と続く作品でありました。うーん、せっかくフロイトとユングという魅力的な題材を扱っているのだから、そんなシニカルな理論を生み出した彼らの隠された人間的な部分に焦点を当てるとか、最初は患者であるザビーナが回復するにつれて次第に妖艶な魅力を発揮し周りの男たちを狂わせていくとか、あるいは人間の性の深淵をシュールに描き出すとか、そんな他にはない突出した演出が欲しかったですね。過去のクローネンバーグなら確実にそんな方向に作品を仕上げただろうに、そうしなかったのはこれがあくまで史実を元にした作品だからか、あるいは彼が単純に歳取っただけなのか、残念ながら僕は後者としか思えないんだよね~。うーん、最後まであまりにも淡々と続くため、僕にはちょっぴり退屈な作品でありました。おっぱいちょろ出しキーラ・ナイトレイのお尻ペンペンシーンに+1点!
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-30 20:59:18)
1316.  ペネロピ 《ネタバレ》 
私はペネロピ、魔女の呪いを掛けられたウィルハーン家の一人娘なの。どんな呪いかって?それはね、大きな豚の鼻を持って生まれてきちゃったんだ――。そんな大きな豚鼻のせいで、長年ウィルハーン家の大きな屋敷の奥深くでひっそりと生活してきたペネロピ、彼女の呪いを解く方法は良家の心優しい男性と結婚することだった。しかし、その醜い鼻のせいで、お見合い相手は彼女の姿を見るとみんな逃げ出してゆくばかり。そんなおり、スクープを狙う新聞記者が、ギャンブルのせいで落ちぶれた良家の息子をスパイとして雇いそのお見合いへ潜入させるのだった。だが、彼の存在がペネロピの硬く閉ざされた心を次第に変えてゆく…。正直、こういう“ほんわかほのぼのファンタジー”は個人的に苦手なのだけど、豚鼻クリスティーナ・リッチちゃんと鋭い目線がダンディなマカヴォイ君が主演だし、ジャケットもちょっぴりダークな雰囲気だし、「もしかしたら…」と思い、この度鑑賞してみました。なんだけど、いやー、見事に大失敗(笑)。この、何も悪いことが起きず誰一人心の底からの悪人も出てこない、こういう軽~いタッチのロマンティック・コメディってやっぱり苦手っす。豚鼻を見て窓を蹴破って逃げ出す男たちにも、「いやいや、現実には豚鼻じゃなくても逃げ出したいくらいブチャ〇クな人って大勢居るじゃん!それくらい我慢しろよ~」と思わず突っ込んじゃいました(笑)。それに、この「人間は見た目じゃなくて中身が大事なんだよ、うむうむ」という、まるで学校の道徳の教科書を無理やり読まされたようなあまりにも薄っぺら過ぎるテーマにも辟易です。うーん、僕はやっぱりティム・バートンやギレルモ・デル・トロみたいにあくの強~い、時には反道徳的ですらあるダークファンタジーの方が好みですね。でも、こればっかりはジャケットだけじゃ分からんし、地道に観て発見していくしかないんだよね~。こういうのが好き!って人には、ごめんなさいなんだけど、僕は3点っす。豚鼻でもクリスティーナ・リッチは充分可愛かったけどね。
[DVD(字幕)] 3点(2014-05-26 19:39:04)(良:1票)
1317.  オール・アバウト・マイ・マザー 《ネタバレ》 
女手一つで育てあげた大切な一人息子を17歳の誕生日の日に事故で亡くしてしまった母マヌエラ。突然の悲劇に彼女はただ絶望のどん底へと沈み込んでゆくのだった。彼女は一人、住み慣れたマドリードを去り、若き日の思い出の地であるバルセロナへと辿り着く。そこで当時の親友だったオカマのアグラードと再会を果たしたマヌエラは、彼女とともに息子の父親を捜し始める。なぜなら過去、マヌエラは相手に内緒で息子を産んでしまったから――。ヘビースモーカーの舞台女優、彼女から同性愛的寵愛を受ける麻薬中毒の若手女優、エイズを患う男の子供を身篭ってしまうシスター…、これはそんな個性豊かな女たちが織り成す、母親やこれから母親になる予定の、そして誰しもが女優でもある全ての女性たちに捧げられたアルモドバル監督の賛美歌だ。のちに耽美的変態路線を突き進むことになる同監督の世界的な名声を得るきっかけとなった今作なのだが、これは女性たちのユートピアを描いたある種のファンタジーだろう。トランスジェンダーの登場人物が男に襲われているところを主人公が救ったところから、もうこの映画には男の性欲が一切出てこなくなる。ただ、男は精子を提供するだけの存在になってしまうのだ(その象徴がオカマなのに男性器だけはある、あのお父さんだろう)。女たちをねじ伏せ、ただ子供を産ませようとする男たちの醜い性欲が微塵もない世界。そんな世界で描かれる、実に活き活きと人生を謳歌する彼女たちの力強い友情物語に僕は静かな感動を覚えざるを得ない。まだシスターフッドと言う言葉が一般的でなかった時代に、ここまで女性たちの自立と連帯を真正面から描いたアルモドバルには素直に感嘆させられる。独自の映像美と豊かな物語性が混然一体となった、なかなかの佳品と言っていい。
[DVD(字幕)] 8点(2014-05-23 21:08:09)
1318.  アンチヴァイラル 《ネタバレ》 
そう遠くない近未来、庶民は一握りの選ばれしセレブたちへと憧れるあまり、彼・彼女らが感染したウィルスを培養し自らの体内に注射してくれるという、異常ともいえる新サービスに熱狂していた――。ルーカス・クリニックという、その中でも最大手の会社で働く研究員シド。彼は何度も上司の目を盗み、そんなセレブたちが育てた病原菌を自らの体内に感染させ外へと持ち出すという方法で裏へと横流ししていたのだった。だが、同僚のウィルス密売がばれたことをきっかけにシドにも疑いの目が向けられてゆく……。グロ映画界の巨匠クローネンバーグの息子が初監督をつとめたという今作は、そんな父のDNAを濃密に受け継ぐなかなか気持ち悪~いグロ映画でございました。まあ、黒を基調とした映像が特徴だった父親との違いを強調したかったのか、こちらはあくまで白を基調とし、そこにまるでスポイトですっと混ぜるように染まる赤黒い血の描写がなかなか印象的でした。ただ、残念ながらストーリーと世界観が完全に追いついていません。ウィルスを注射された客たちが、それでいったいどんな利益を享受できるのか最後までいまいちよく分からないせいで、一向にこの世界に入り込めないのです。肝心のストーリーの方も、主人公を初めとする登場人物たち誰もがいったい何がしたいのかさっぱり理解不能で退屈極まりなっかったです(睡魔という名の小さな妖精が、僕の耳元で「瞼を閉じちゃえば楽になれるよ…、ほら、早く」と何度も囁きかけてきて、最後まで観るのがホント大変でした)。うーん、親の七光りにもならなかったですね。ブランドン君、もっと親父の過去の作品をじっくり観て勉強し直してから次の作品を撮ってください。
[DVD(字幕)] 2点(2014-05-20 20:31:13)
1319.  コレクター(2012) 《ネタバレ》 
これは事実を基にした物語である――。アメリカの中都市バッファローでは、毎年冬になると謎の犯人によって娼婦たちが誘拐され行方不明となる事件が多発していた。警察の懸命な捜査にも関わらず、犯人の居所も誘拐された娼婦たちの行方もその糸口すら掴めない。予算の都合で捜査の打切りを宣言する警察。事件を担当していた刑事マイクは諦めきれず独自に捜査を続行するのだった。そんななか、反抗期の自分の娘が図らずも犯人によって誘拐されてしまう。もはや誰も信用できない。マイクは娘を救うため、地道な捜査で犯人を追い詰めていくのだが……。雪深い地方都市を舞台に、娼婦をさらってきては自宅の地下室へと監禁し暴力によって擬似家族を作ろうとする猟奇犯と、さらわれた娘を決死の覚悟で追う刑事との攻防を描くサイコ・サスペンス。とにかく、「羊たちの沈黙」の影響をもろに受けている本作(これってパクリでは…ってくらい、同じような画や音楽が随処に使われてます)。ただ、犯人の異常さや凶悪さが全くと言っていいほど伝わってこず、おかげでこのジャンルに最も必要であるはずのハラハラドキドキ感が見事なまでに感じられない残念な作品となっております。とにかく設定に無理があり過ぎ!何人も地下室に居るのだから、所詮犯人は一人なんだし、みんなで一致団結すれば簡単に叛乱出来そうなもんなのになぜか素直に従う監禁された女性たち。彼女らが医者の手助けもなくきったな~い地下室で簡単に帝王切開で子供を産んで育てちゃったり…。挙句の果ては、「なんじゃそりゃー!」と大声で叫びだしそうになるくらい、強引で無理やりであり得へんオチ。「そんなこと言われたって、だって全部実話なんだもん」という嘘八百な言い訳(だったら、とっとと真犯人捕まえに行けっつーの!笑)で、言い逃れしようとするこの作品のスタッフたちにはもう教育的指導です!!あと、最近トホホな凡作への出演が相次いでいるジョン・キューザック、この頃なんだか小粒なニコラス・ケイジに見えてきちゃってちょっぴり心配(笑)。
[DVD(字幕)] 3点(2014-05-18 12:40:22)
1320.  バレット(2012) 《ネタバレ》 
「裏社会に生きる俺がデカを助けた。普通ならしないが、信念を曲げなきゃならん時もある。これからその話をしよう」――。長年、殺し屋として裏社会の第一線で活躍してきたジミー。ところがある夜、若い相棒と共に簡単な仕事をこなしバーで祝杯を挙げていたら、謎の男によってその相棒を殺されてしまう。「この依頼には必ず何か裏がある……」。そう確信したジミーは、同じく元相棒を殺されたアジア系の若い刑事と不本意ながらもタッグを組み、事件の黒幕を求めて夜の街へと繰り出してゆく。だが、相棒ジミーの娘である女刺青師リサにも犯人の魔の手が迫るのだった……。果たして事件の真相とは?往年のアクションスター、シリベスター・スタローンが主演を務め、『48時間』や『レッドブル』など80年代を代表するエンタメアクションを撮ったウォルター・ヒルが監督を務めた本作。旧世代の遺物のようなそんな2人が製作しただっけあって、これがまぁ恥ずかしくなるくらい超ベタベタなアクション映画でございました。さすがに還暦過ぎたスタローンがまだ現役バリバリの殺し屋ってさすがに無理があると思うんですけどー。なんか動きがいちいちドタドタしててキレがないし(笑)。それに完全アナログ親父のスタローンと、ケータイで何でも瞬時に情報を手に入れちゃう若いハイテク刑事という正反対な2人が事件の黒幕を追ううちに次第に友情を育んでいくという、いかにも古き良き時代のアクション映画を楽しみたいお父さん世代に媚を売るようなストーリー展開に、僕はちょっぴり辟易。「ほら、そこのお父さん、そろそろ若い女の裸見たいでしょ!さあ、どうぞー!」と言わんばかりに出てくるパーティー会場での若い女たちのヌードも、あまりにもサービス過剰感があってなんか馬鹿にされてる気がしちゃいました(まあ、目を見開いて見入ったけども!笑)。うーん、スタローン&ウォルター・ヒルとは言え、さすがにこれは古臭すぎる。5点!
[DVD(字幕)] 5点(2014-05-17 19:21:46)
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