1341. 海の沈黙
《ネタバレ》 極めて上質な文芸映画。ごくコンパクト、かつ非常にシンプルで明快な話ながら「人間性」というものをここまで見事に鮮烈に描き出すか、という傑作。物語(原作の小説)自体のハイ・クオリティを、理知的で静謐な優れた雰囲気で映像表現に結実させる演技・演出というのは、どちらも実に素晴らしい。メルヴィル、斯くの如し。必見。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-04-18 13:42:29) |
1342. 高慢と偏見とゾンビ
《ネタバレ》 この映画、アイデア(古典的名作+ゾンビ+カンフー)は飛んでてスゴく好きなのだし、カネも結構潤沢に使ってるし、役者も容姿・演技共に悪くないし、原作も面白いらしい、と。ソレが、何故にこんなに面白くないのか、というコトなのだケド… 今作の柱は当然、ラブコメ&ゾンビアクションという二本になるのだろーケド、暢気で気楽な(ハズの)ラブコメディと、パニックでサバイバルな(ハズの)ゾンビシーンが交互に訪れるという構成自体が、ラブコメとしては(恋にかまけてるドコロじゃない)緊迫感を、ゾンビとしては(一般的なソレよりもだいぶんかったるい)まろやかな雰囲気を生じてしまっており、要はドッチにせよ非常に中途半端かつチグハグ・不整合な質感に成り果ててる…と(まずは)思うのだよね。ソレは映画のテンポ的な面でも同様で、結果的に全体のソレは心理的恋愛映画的なややスローなモノであるのだケド、だからゾンビ映画としては(例えコメディ含みであったとしても)コレも実にかったるいローテンポであって、結果としてその部分がナンともダルくてヌルく感じられてしまうのであるね。そしてもう一つ痛いのが、美女がカンフーで大暴れ!となるはずだったアクションとて素人に付け焼刃でやらせても上手くいくハズも無く、結果的にはコレも非常に中途半端な出来に為ってしまってる…とゆーか。 要素の奇抜な取り合せがシナジーを生むハズが、逆に各々の良さを悉く潰し合ってる…というシンプルな失敗、なのかなあ、と。そして、こーいう奇を衒ったアイデアでこの中途半端極まりない質感とゆーのは、これまた実に悲惨なマデに寒々しくもなってまう…のだよね。諸々と実に残念な… [DVD(字幕)] 4点(2020-04-18 12:44:21) |
1343. 天使たちのビッチ・ナイト
《ネタバレ》 女子修道院で若い男がハーレム状態!という建付けは、日本で言えば尼寺もののロマンポルノ的なエロティック・コメディを想起させる。がしかし、その場合エロティック部分に関しては「貞淑だけど欲求不満」な尼さん(修道女)というのが一番「ホット」なポイントであり、翻って本作の修道女は「下品で馬鹿でド淫乱」という点でどうもリビドーが燃え上がってこない。コンセプトとして、修道女がフXXク連呼してるのが笑えるでしょ?ということらしい(マジで、ド初っ端から4文字ワードの大盤振舞い)。だがそもそも(いっちゃんの主演女優はまだともかく)修道女は揃って若くも無ければ大して可愛くもないのですよコレが! なので中盤までは率直に、コメディもエロもイマイチだ~なァと思って観ていたのだが(エロシーンでも皆ダボダボの修道服着込んでるからなんも見えねーし)、どういう流れか修道女がベラドンナ飲んでラリった挙句、野外で下半身丸出しのモザイク祭りな逆レイプ・黒魔術・乱痴気ワルプルギスの夜を繰り広げるという極めてカオスな展開が炸裂し、一気にテンションが跳ね上がった。ハッキリ言って本作はこのシーンに鑑賞の価値の全てがあるかと思う(収拾不能なまでにカオスな状況を見事に落とすジョン・C・ライリーの一言「奇跡だ」にも大爆笑した)。このシーンに関しては、修道女3人のハイテンションで狂気極まる演技も素晴らしかった(特に凄かったのが、ジネーヴラ役のコ)。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-04-18 00:24:33)(良:1票) |
1344. チャップリンの黄金狂時代
《ネタバレ》 ナレーション付版で鑑賞。冒頭、冒険家として(雪山で)出てくるのがいつもの格好のチャップリンなのが、まず笑いドコロ(個人的にはこの時点でツボ)。あと好きなのが、ロールパンにフォークの名シーン。『Mr.ビーン』の大好きなクリスマスの回で、人形を手で動かすコントを思い出した。チャップリンやアトキンソン、一流のコメディアンは、モノを使って(自分が動かなくても)面白さを同じ様に創り出す。「笑い」の根本に対する深い洞察と理解が窺える。女優もチャーミング、かつ程よく世慣れた感じがチャップリンとはアンマッチでそれも面白い。人類の宝という映画ですね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-04-17 00:11:39) |
1345. 追憶(2017)
《ネタバレ》 昭和の名作を彷彿とさせる様な重く凍てついた雰囲気で始まり、その後も岡田准一を取り巻く展開はシリアスそのもの、なので率直に、相当に悲劇的なラストをどこかで期待していた。だから、意表を突く結末には個人的には正直言って大いに拍子抜けしたし、その意味では終盤までの重厚さはある種、ミスリードと言えるものだったとも思う(ただ、そもそもそんな重厚な大河サスペンスが100分の映画にゃならんよねえ…)。 でもそれは、たとえ不幸な過去があっても人はそれを乗り越えられる、というメッセージにも感じられるし、このささやかなハッピーエンドを喜ぶ方が人間としては自然だろう、とも思う。重ねて、テクニカルなものだったとしても全体の重苦しい雰囲気は中々に上質であったし、豪華俳優陣の演技も総じて素晴らしかった。少し贔屓目が入るが、1点プラスしておきたい。 [DVD(邦画)] 7点(2020-04-16 18:32:05) |
1346. 秒速5センチメートル(2007)
中学生までに恋をしない人など、存在しないだろう。だがその年頃で、芽生えた感情の行き着く涯てと、其処に辿り着く術を悟っている(否、その齢で何か一つでも世界の理を悟っている)などと云う人は、決して多くは無い筈だ。その純粋な感情は、世界に触れた後ではもう取り戻すことは出来ない。どうすれば好いのか解らなかった想いは、其れ故に無限の可能性を以て誰の人生の中にも永く残り続ける、唯そういう事なのだろう、と。 本作は物語と言うよりも、詩であり、音であり、歌であり、画であるかと思う。特に画に関しては、何処の細部までも緻密に、あらゆる一枚までも慎重に考え抜かれ、作者の魂が注ぎ込まれた様な、どこか厳かな仕上りを為している。そして、それらの諸々は総て一つの歌の下に統合されるべく組立てられている(本作は、63分の只の一つの歌なのだ)。画の卓越した美しさによって見開いた感性で、歌に連れて流れ込む「感傷と郷愁」の感情を感じ取る。その意味では、その齎す感覚は少し独特だと言える作品に思う。 [DVD(邦画)] 9点(2020-04-15 23:26:35) |
1347. メリィ・ウィドウ(1934)
《ネタバレ》 わりかし歌うシーンが多く、原典のオペレッタ程でも無いが歌芝居だといってもよい雰囲気(もちろん音楽は原典から拝借している)。ショーガールのラインダンスや大規模な舞踏会シーンが豪華なセットの中で繰り広げられるのも素晴らしい見どころ。ルビッチお得意のクスリと笑えるコメディシーンもそこかしこに在る。 しかし、話の内容自体は原典からは大きく変えられており、正直あまり主役の2人に魅力を感じない(軽薄な男と高飛車な女、なんか大人げないと言うか…否、大人の魅力を感じないと言う感じか)。原典も言っちゃあ他愛無い話なのは確かで、別にそっちが格段に良かったとは言わないのだが、今作は話の内容としては個人的には率直に少し微妙。 [DVD(字幕)] 5点(2020-04-15 22:33:47) |
1348. サムソンとデリラ(1949)
《ネタバレ》 聖書の有名なお話。ただこの話は、中盤の展開が中々に無理筋で(聖書の話だからイジリようが無いし)、映画的には良い見せ場もモチロンあると言えるのだが、すんなりと納得のいく脚本づくりは相当に難しいかなあ、という印象。本作も色々とそんなに悪くは無いのだが、まあまあの域は出ない。 難しいのは百も承知だが、個人的には『ベン・ハー』をリメイクするよりこっちをリメイクして欲しい(ラストシーンは現代の技術で本気でつくったら相当な名シーンに為り得ると思うのだよね。サン=サーンスのオペラ版でも、話は決してつまらなくはないけどラストは抽象的になってどうしても拍子抜けしちゃうところだし。一度本気でつくったのを見てみたいコンテンツ)。 [DVD(字幕)] 5点(2020-04-15 18:04:03)(良:1票) |
1349. 狼の時刻
《ネタバレ》 映像が美しい。島の情景、城内の情景、暗闇に白く浮かび上がる人物像はいずれも絵画的な美しさを持ち、非実存的・非現実的な映像世界の構築に成功している。異形の者たちに取り込まれる夫と、それを見つめる妻の置かれた極めて不穏な空気は、静かに、だが着実に、観ている我々をも侵食する。中々に気味の悪い、だが決して不快なだけではない、不思議な後味が残る。傑作。 [DVD(字幕)] 8点(2020-04-15 13:52:05) |
1350. 埼玉喰種<OV>
《ネタバレ》 血糊とiPhone、あと知り合いにちょっとオッパイ大きい女の子が居れば、誰にでもすぐ撮れる代物ですね。演技経験?不要です。ああ、心配しないでください。エロいこともさせませんから。 [DVD(邦画)] 1点(2020-04-14 21:51:29) |
1351. ヒメアノ~ル
《ネタバレ》 濱田岳と佐津川愛美の恋愛話は、人間臭くもあり、また健気で微笑ましくもある。そこにムロツヨシも加わったコメディの側面は、中々の芝居上手が3人寄っただけあって十二分に観れる出来になっている。一方、森田剛の猟奇犯罪話も、決してその猟奇性の面で深さとかエゲツなさを高度に感じるという訳でも無いが、虚ろで乾いた絶望はまずまず感じ取れるし、それを醸し出す森田の演技も決して悪くはなかった。 ただそもそも、この作品はどういうことを狙ったものなのか、が私にはイマイチ分からない。ふたつの話は明確に対置され、だから何かと何かが比べられている筈なのだが、その何かが何なのかがどうも掴み切れない。濱田岳が体現するある種の「幸福」と、森田剛の「絶望」が対比されているのだ、と言うのは簡単だが、前述どおりその幸せはささやかなもので、そこから落っことしても絶望は大した深さに至らず浅く止まる。これを狙っているのだとしたら、率直に本作はコンセプト面で失敗していると思う。 とは言え、深く考えずに二つの話をどちらも美味しく頂こうと思って観るなら、最初に述べた様にどっちの話も十二分に面白く観れるので、その意味では本作は完全に有用な映画だと言える(もちろん、ヴァイオレンスなサイコ・スリラーを娯楽として消費できることの素養は必要であるが)。 あと一点、佐津川愛美は可愛かったですね~こんなに可愛かったですかね?むしろちょっと有村架純にも見えましたよ。その上、そこそこエロいこともやってくれて、加えて相変わらず演技も実に上手だし、私は有村架純より全然好きですね。 [DVD(邦画)] 6点(2020-04-14 21:43:05)(良:1票) |
1352. 愛欲のプロヴァンス
《ネタバレ》 南仏の明るく美しい風景をバックにしつつも、妙にアンニュイな冴えないオッサン。最初見るからに怪しい青年が出てきてよもやソッチ系の話かと身構えたが、別にただ飲んだくれただけで話は続いてゆく。その後、若いカワイ子ちゃんが出てくるも、彼女も妙に情緒不安定でどことなくメンヘラ風味。男も女も、どうにも拭い去れない過去があるらしい。 そこら辺が繋がってくるのはだいぶ終盤で、その時点では単なる三角関係の話かと思ったら、ラストは正に「ありえね~」な大ドンデン返しの一撃必殺。背徳的なバッドエンドは左程好みとは言えないが、カワイ子ちゃんを思う存分抱いたオッサンが地獄に堕ちたのをザマア見ろと横目で見つつ、単純な話ながらさり気なくも巧みな伏線の貼り方や、心情の移り変わりの自然な表現の上手さ、快刀乱麻な伏線回収の鮮やかさを含め、最後まで観ると結構よい仕事だったとも思う。お手軽でダウナー系な恋愛映画としては、観て疲れることもなく、そこそこ有用かと。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-04-14 16:47:34)(笑:1票) |
1353. 恐怖ノ黒電話
《ネタバレ》 確実にタイトルで損をしている作品ですね。これじゃあ、クラシカルでオーソドックスな(古臭い)ホラーだとしか想像できませんですよ(非常に優れたアイデアのあるモダンな作品なのに…)。 敵の為すがまま、いつ、何をされるかも分からないと言う防御力ゼロの状況は、まるでサメ映画でサメが居る暗い海に放り込まれたかの様な極度の心地悪さを常時醸し出している。しかも、相手はサメではなくて悪辣で悪知恵のはたらく女サイコだという、実に不快で逃げ出したくなる様な極上のホラー具合だ。女サイコは(当然ながら)姿が見えず、終盤、一瞬姿が映りかけるもすぐ消えてしまう、という敢えて「見せない」恐怖の演出もまた秀逸だと感じる。ネガティブなラストも、過去を変えた弊害であることを含めてコレも好みではあるが、DV元旦那についてはラストで殺される以外にはあまり上手く使えていなかった様にも思う(奴が何をどうしたいのかがイマイチ分からないのも一因かと)。どちらかと言えば間違い無くシナリオは複雑な方であることもあって、ツッコもうと思えばツッコめる箇所も幾つか在る…とも言えるが、無理に気にするのも野暮であろう。結論、文句無しの優秀ホラーかと。 [DVD(字幕)] 7点(2020-04-13 21:52:02)(良:1票) |
1354. ゾンビプーラ
《ネタバレ》 ことホラーに関して言えば、時折ドマイナー国産の作品も輸入されるというのが結構楽しみなのだ(むかし『パキスタン・ゾンビ』とかゆーのすらありましたよね?本サイトで登録されているパキスタン映画は『パキスタン・ゾンビ』のみのようです)。気のせいかも知れないが、その手のはなんかゾンビ映画が多いよーな気もする(まあ説明不要だからかね)。 シンガポールを舞台にした映画は、多分観てはいるのだろうが、シンガポールに焦点を当てた作品というのはあんまし観たことが無く、本作を観たところ勉強になることが多々あった。 ①シンガポール人て、中国人より見た目が日本人に少し近い気がする(まあ、モロ中国人て人も多いけど)。これを見ると、日本人と言うのは黒潮に乗ってやってきたマレー系の縄文人と、大陸系渡来人とのハイブリッドなのだ、という事が少し理解できるような気もする。 ②シンガポールは言語が特殊。英語なんだけど、全く英語に聞こえない。調べると、どうもこれは"Singlish"というものらしい。ビジネスではこのシングリッシュが主流とのことだが、人口構成は圧倒的に中華系が多いので、彼らの普段使いは中国語であろう。海外輸出も視野に入れてシングリッシュで製作しているのかも知れないが、これは英語話者にも字幕なしだとハッキリ言って無理ですね。 で、内容はと言うと、非常にシンプルかつ局地的なゾンビ・アウトブレイクもの。軍事施設でゾンビが発生し、そこからの脱出がメインとなる話だが(どうも軍事施設の外は安全らしい)、そもそも一番ゾンビの発生に強靭であるべき軍事施設がこの体たらくというのはどうなのだろう(発生前もなんか色々とゆるーい雰囲気で、それもかなり気になるし)。まあ正直あまり観るべきモノの無い作品だったかなあと。 少し前にベトナムでも初のゾンビ映画が撮られたらしいが、日本では配給しないのだろうか。期待。 [インターネット(字幕)] 4点(2020-04-12 22:30:44)(良:1票) |
1355. 恐怖ノ黒洋館
《ネタバレ》 これ、全然ホラーじゃないですね。母と子の哀しく捻れた関係が呼び込んだ、一夜の不思議な出来事、と言うか。これにこの邦題はちょっと酷いな(製作者にとっても、手に取る我々にとっても)。 ただ、コンセプトには大いに共感しつつも、映画としては少し指摘しなければいけない点があるのも確かかと。 ①80分だが、これでもちょっと長すぎる。あと15~20分削るか、少なくとも前半にもう少し場を持たせる何らかの工夫、ないしエピソードを追加しないと。これだと正直、商業的な都合で無理に80分にしている様にしか見えない。 ②極めて微妙な所だが、化物の造形や、ラスト付近の説明がましい部分が、全体の志の高いつくりに比べると惜しむらく少しだけチープなのよね(好みの問題かも知れないが)。 でも、私は本作、実はすごく好きですけどね。掘り出し物。 [DVD(字幕)] 5点(2020-04-12 16:20:21) |
1356. デビルシャーク
《ネタバレ》 これは彼の『ジュラシック・シャーク』よりも更に酷いかもしれない。ストーリーは皆無に近く、サメの襲撃シーン(しかしサメのCGはただ単独で泳いでるだけで人と映ってるシーンは何と無い!という究極の手抜き)+よく分かんない憑依シーン(血糊被ってのたうち回ってるだけ!という至高の手抜き)の単調な繰り返しのみという何ともアホな構成。女優が妙にたくさん(無駄に)登場して水着までは見せてくれるが(せめてオッパイ出せよ)、揃いも揃って微妙なルックスという残念さ加減(タトゥー入れまくりな所を見ても到底プロには見えん)。私はこの映画に何を期待したのだろう。紛う事無き最低映画。 [DVD(字幕)] 1点(2020-04-12 10:15:27)(良:1票) |
1357. 恐怖ノ黒鉄扉
《ネタバレ》 色ボケクソガキ共が盛大に盛ってるところ、殺人鬼が参上して仕置きして回る、といういつものアレなのは全く以てそうなのだが、本作は複数監督によるアイデア持ち寄りの作品であり、まんま各シーンを寄せ集めただけなためにストーリーは(申し訳程度にも)無いも同然、というか流れ・繋がりというものがまるで存在せず、映画として全然統合できていない(ガキ共は各個撃破もいいところ)。率直に言ってここまで来るとこれは映画とは言えないレベルで、その意味では69分という短尺なのが勿怪の幸いな残念さ加減。 ただし、個々のショックシーンの出来映え・独創性自体は、全体の出来に比べれば決して悪くもない(のも幾つかある)。あくまでホラー映像クリップとして観るなら、本作にもいくぶんの観る価値はあるかと(だから映画としては3点だが、その観点で1点を加点してこの評価としたい)。 もう一点、本作はエロも(短尺な割には)比較的豊富なのだが、ひとりクリーチャーレベルで爆乳な女の子が乳放り出すシーンがあり、ここだけは超必見(というかこれは、一般映画では映しちゃダメなレベルでさーね)。 [DVD(字幕)] 4点(2020-04-12 02:48:19) |
1358. ムーンライト
《ネタバレ》 月の光。ある日陰者の人生に一筋差し込んだ、といった映画だが、内容は(無駄をこそげ落して)かなりシンプルかつスリムで、序盤と終盤はその割りにテンポが遅くも感じる。一方で、映像や音楽の美しさ・センスの良さは非常に見事と言えるクオリティ。どちらかと言うと雰囲気映画の部類だとも思うが(誤解を恐れずにハッキリ言えば、あんまり内容は無い様な作品、かも知れない)、その乾いた空虚さもやはりハイセンス。どっちにせよ玄人向きな作品かと。 [DVD(字幕)] 6点(2020-04-12 01:23:29) |
1359. 少林寺拳法
《ネタバレ》 少林拳は中国の武術であるが、「少林寺拳法」はれっきとした日本の武道であり、日本武道評議会に属する武道9団体のひとつである。本作は、その少林寺拳法を創始した開祖・宗道臣先生の一代記である。日本の武道なのに少林寺、というのは、開祖が戦中、特務機関員として中国大陸で任務遂行中に、各地の達人から技術を学んだことに由来している(らしい)。 後年の開祖は、武道を通して若者を教育し社会を正そうとした至極立派な人格者であるが、色々と聞くに、戦後直後は本作で描かれているような(相当に)荒っぽい熱血漢であったのも事実らしい。恐らく演じている千葉真一の感じも含めて、本作は(少なくとも前半は)割とリアルな線を突いている作品なのだと思っている(チンポコの件も、流石にここまではやらないと思うが、半殺し・腕の1本や2本ぐらいは普通にやりかねないと思っている)。 映画としては、任侠ものを時代相応のヤクザ映画ぽく思い切り血腥くしたという風だが、千葉真一はアクションも迫力も率直に出色と言える出来で、シンプルでコンパクトな内容とのバランスも含めて、この手の映画として決して出来が悪い訳では無いと思う。アクションについては、よく見ると実際の少林寺拳法の技術(稽古してる時の「型」は無論、アクションシーンの投げ技・極め技・受けからの突き蹴り等も)がふんだんに盛り込まれ、拳法経験者ならではの見せ場も豊富だと言える。 余談だが、開祖の高弟には実際に隻腕で、代りに錫杖を伝授されて大いに武名を馳せた人物が実在する。誠直也演じる友田のキャラクター造形に、このことが関連している可能性は大いにあると言えるだろう。 [DVD(邦画)] 7点(2020-04-12 00:04:18) |
1360. 恋におちて
《ネタバレ》 コンセプトが「100%プラトニック」という元ネタに比べると、今作は少しだけプラトニックを脱しかけ(未遂)てはいるが(2人の人間臭そうな人となりや時代・お国柄的に不自然でない程度にナニはしつつも)基本的には清純で、背徳感はやはり薄い。かつ、主演2人の演技の質や(特にいい歳こいて恋する乙女なストリープ)、脚本の出来自体は元ネタをもやや上回るかと。 ただ、個人的にはラストは元ネタ通りハッキリ別れて終わる方が良かった。束の間の恋は相手の悪い点が全く見えないからこそ美しいのであって、美しいまま終わるのが良いのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2020-04-11 20:31:42) |