121. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
完全版と言うだけあって脚本も書いたトルナトーレ監督の思いがすべて描ききれていたのはこちらの方でしょう。サルバトーレがエレナと会えずに別れてしまうことになった訳も分かるし、またその原因であるアルフレードのとった行動の是非について観客に考えさせることによって、仕事で成功して世に認められる存在になることと愛する者と結ばれることのどちらが悔いのない人生であると思えるかの問いを投げかけられているように感じました。ただしこの映画を観ていて一番気持ちが良いのはトト時代の話で不思議な友情を築いていくアルフレードとの関係や映画に向ける情熱や個性溢れる村の人々の表情を描くそれぞれ小さな宝石のようにきらきらと輝いている逸話の数々で、この前半を中心にまとめられた劇場公開版の評価が高いのは当然かも知れない。 7点(2004-05-04 09:06:34) |
122. ブルース・ブラザース
何度観てもその度に新たな衝撃を感じます。これはただの馬鹿映画ではない、笑いも音楽も楽しめるまさに「これぞ映画」と言える比類なき傑作。 9点(2004-05-01 23:12:20)(良:1票) |
123. おいしい生活
二十年も前にカセットテープに録音して今でもお気に入りでたまに聴いているイギリスの歌手のトレーシーウルマンがこの映画に出ていたなんて驚きです。今は、いや元々子役時代から役者だったと知ってまた驚きです。本作を観てからしばらく経つのですが、変な小細工のないウディ・アレン映画はなかなか面白い物でした。銀行強盗のためのカモフラージュだったクッキーショップが思いがけず繁盛して次第に大金持ちになっていく展開は見事。いきなり大金持ちになって金の使い方がわからずに見当違いの方向に突っ走る二人の姿にアレンの風刺の効いた主張を感じました。 6点(2004-05-01 23:04:15) |
124. タイタンズを忘れない
合宿中にチームが纏まるのが簡単に進みすぎた嫌いがあるが、後半に向かうに従って次第に引き込まれていきました。今までブーンの事を疎ましく思っていた近所の白人たちが彼の家に向かって歓声を上げた場面と怪我をしたゲリーをピーティが見舞う場面ではじーんと目頭が熱くなった。人種問題とスポーツを通しての友情とをうまく絡めて感動の名作に仕上げられています。ただ実話とはいえすべてが上手く行きすぎているし、人種間の軋轢や選手同士の不協和音が殆ど描かれていない点が気になった。またもし早い段階で試合に負けていたらコーチ・選手・町の人々はどうなっていただろう。学校は荒れ果て街はアメリカで最も人種差別の激しい街になっていたかもと思うと結果的に勝ち進んだからといって根本的な問題がすべて綺麗に片付いた訳ではないと思う。 8点(2004-05-01 16:10:12) |
125. これがピーター・セラーズだ!/艶笑・パリ武装娼館
それぞれの国の人間を演じることでお国柄をネタに笑いにしようとしていたのかも知れないが、ほとんど変装せずに同じ顔で次々現れるので区別がつかず話もよく解からなくて観ていることを次第に苦痛に感じてしまった。おまけに目立った笑いそのものが無いので辛くて辛くて。ピーターセラーズにもこんな映画があるんだと知った作品。 3点(2004-04-24 18:23:25) |
126. ピンク・パンサー2(1975)
久しぶりに観たが、爆笑することはないものの最近のコメディ映画より十分笑える。回転ドアの場面や水着の女性につられてプールに落ちる場面等、世界中のコメディアンに影響を与えたであろうセンスの良さは今も充分輝いている。 7点(2004-04-24 17:57:04) |
127. ア・フュー・グッドメン
徐々に声を荒げ昂揚して行く演技もジャック・ニコルソンにしては迫力が足りず、彼が持っている力量をすべて出し切ったとまでは感じられない。不覚にも墓穴を掘ってしてしまうとは何ともお粗末な結末で今までの公判で争ってきた駆け引きの経緯を全く無意味なものにしてしまっている。自らキャフィ中尉の前に現れておきながら自殺したマーキンソン中佐の行動が意味不明。豊満な胸のデミ・ムーアに知的な役は向いていないし、ただ男ばかりの映画では花がないからこの役を女性にしただけとしか思えない。トム・クルーズとのベッドシーンが無かったのがせめてもの救い。批判ばかりしたけれど不名誉除隊の判決に何の不服も漏らさず「弱いものを助けるべきだった」と一言だけ言って敬礼するラストシーンには不思議とさわやかな感動を感じた。 6点(2004-04-24 11:34:46) |
128. マーサ・ミーツ・ボーイズ
ミネアポリスでは不遇だったマーサがロンドンへ来た途端急にモテモテになるってそんな事あるかぁ?しかも出会う相手が何でこの3人に限られるの?という疑問を押さえ込んで気持ちよく話を進めていく設定のうまさ、構成、展開の巧みさに魅了されてしまった。個人的には時間の経過を前後させる演出はあまり好きではないのだが、この作品ではこれによる効果が最大限に発揮されていて他のお手本とも成り得るほどまでの成功を見せている。 7点(2004-04-22 22:26:41) |
129. 少林サッカー
ハリウッドに対抗できるのは最早香港だけなのか。映画に対する情熱と観客を惹きつけるための心得をよーくご存知でいらっしゃいますね。 8点(2004-04-17 23:32:16) |
130. スピード2
確かにジェイソン・パトリックは一生懸命やってるがこの評価は当然。アクションの主役に選んだ奴が悪い、ヒーローの顔じゃないもの。作品自体の出来はなかなかのものだと思う。だって一作目だってそれほど素晴らしい出来とは思わなかったから。タンカーには何とか斜めにこする程度のぶつかり方で避けられたのに港には正面で突っ込み、しかも陸地にあれほど長く進んでいく方が不自然で、街より船が全然壊れていないのがまた不思議。客船に乗った客は助かったけどタンカーは最後に爆発させてしまっているじゃないか。抱き合っている場合じゃないよ。ウィレム・デフォーも頑張ったけど悪役としてこういった映画を観て思い出すルトガー・ハウアーの演技には遥かに及ばない。 6点(2004-04-11 23:51:50) |
131. パルーカヴィル
全編を通してクドイほど流れているテーマ曲は慣れて来ると耳に心地良いし、脚本と製作者がイタリア人らしくて往年のイタリア映画の匂いがプンプンしている。ただし作品にはテンポの良さやキレと言ったものはまるでない。一攫千金を狙って無い知恵を絞り奮闘するもドジばかりで一度も成功しないというコメディの王道を土台にしているが、すべてのエピソードが消化不良に終わっていてまとめ方が下手なのでどうも楽しめない。3人それぞれの恋愛情景の描き方と、家族(?)にいるコメディ向きの顔の警官も扱い方が良ければもっと笑えたのにコメディに徹してきれていない。ラストは「なーんだ・・」と思うだけでどんでん返しになっていない。これヴェネチア映画祭最優秀新人監督賞受賞ってホント? 4点(2004-04-11 20:00:03) |
132. トレインスポッティング
汚いトイレ、汚い部屋、毎日同じシャツ、タバコの臭いと嫌いなものばかり出てくるので見終わったあと歪んだ顔がしばらく戻らなくて困った。薬物に肯定的な表現が多く賛成できないが、トリップ状態の幻覚ではなくて禁断症状に苦しむ主人公の幻覚の方だけを凝った映像で表現したのは正しい判断だと思う。やっと更正できたのに手に入れた麻薬の質を調べるためにまた以前のヤク漬けの状態に戻ってしまうが、これではこの映画の趣旨すらわからなくなる。仲間の中ではまだまともな考えを持っていると思われた主人公のレントンがなぜ金を1人で持ち逃げしてそこで終わるのか解からない。 3点(2004-04-11 15:41:12)(良:1票) |
133. マトリックス リローデッド
一作目は見始めてすぐに読むのをやめて観ていました。その結果何も記憶に残っていません。今度こそと字幕を追いかけ必死に意味を読もうと頑張ったけど無駄でした。もともと物語り重視の映画ではなかったようです。アクション以外の場面は不条理な会話の連続で疲れてしまう。一瞬は凄いと感じるものの100人のスミスと戦うところなどワイヤーアクションでもスタントで実現出来ないところはよく見るとネオもフルCGになってしまっていてがっかりする。なぜここで戦う必要があるのかも疑問で、見せたい技術がストーリーに勝ってしまっている。比べることすらナンセンスだが、技術に頼った映画は次の技術の登場までの命で、チャップリンのように70年後に生きる私たちをも感動させる映画には決してなり得ない。 高速道路上でのチェイスシーンの合成技術の高さに6点をつけます。 6点(2004-04-10 21:56:02) |
134. 遠い空の向こうに
誰もが自分の夢を見つけられる訳ではない。況してやその夢を叶えられる人間は極めて少ない。長男は有望なフットボール選手となり大学で活躍し、次男のホーマーはロケットで宇宙へなどと夢みたいなことを言っていると思っていたら本当にその道で才能を発揮するまでになってしまった。炭鉱での仕事を天職と信じ誇りを持って働いてきた父にとって息子が二人とも自分が歩んできたものとは全く違った道に進んでいくことが簡単に納得できなかったのでしょう。今まで築き上げてきた地位や父親像を否定された様に感じるのは悲しい事だが、反面いつしか自分を超えていくまでに成長した子供たちを見て喜びも感じているのかも知れない。炭鉱へ降りていくエレベーターからホーマーを見る父の視線など台詞の少ない父親の胸中を巧みな演出で的確に表現している。夢の実現を目指して諦めずに努力する姿を見せるサクセスストーリーというよりも、反目しながらも絆を感じ歩み寄ろうとする親子の愛情物語として出来栄えを評価したい。 7点(2004-04-05 23:13:00)(良:2票) |
135. セブン・イヤーズ・イン・チベット
ヒマラヤの山々とチベットの風景を捉えた映像がとても美しい。また未知の国チベットの宗教、歴史、風習を興味深く見せてくれる作品。一つ一つのエピソードはなかなか面白いのに、全体を通してのテーマがもうひとつはっきりしていないので心に残るものが薄小のままで終わる。まだ見ぬ子供に対する心象部分の描き方 がどうも不自然だと思ったら実在のハラーには妻子がなかったらしい。ブラッド・ピットは何をしてもブラッド・ピットにしか見えず役が生きていない。 6点(2004-04-03 16:54:17) |
136. ターミネーター3
悪いと言う評判を聞いてから観たので予想していたよりも面白かったと感じました。冒頭のカーチェイスはすごいですね。やっぱり体を張って実際にスタントでやっているから見応えが充分ですな。こんなに町をぶっ壊しちゃって大丈夫なの?って心配します。ただ次第にVFX(って言うんですか、最近は)を使った場面が増えてからは驚きもなくつまらなくなるのは最近の映画の常ならん。ラストも「えっ、こんな終わり方?」という感じ。途中にシリーズを通しての謎解きのような部分がありこの作品の存在意義を辛うじて示しているものの、この3作目の役割を何とかこなして次作に最終的な責任を丸投げをしたように思えます。 7点(2004-03-28 22:44:46) |
137. ワンス・アンド・フォーエバー
2002年の「理想の上司ベスト3」には選ばれたのでしょうか、メル・ギブソンが部下のためにする神への祈りや壮行会での演説の言葉が素晴らしい。あれなら誰でも「この人のためなら死んでもいい」ときっと思う事でしょう。映画のほとんどの部分を占める戦場の場面はなかなか見応えがあります。飛び散る血しぶき、爆薬に吹き飛ぶ兵士や爆撃の炎に包まれる兵士、本当に火傷したんじゃないかと思うほどのリアリティがあり、あたかも実際にその場にいるような臨場感と戦慄を感じられました。戦術的な賭け引きもあるけれどあまり重要ではなく、戦友同士の絆や殉職兵士に対する悲しみを描いたと思われるテーマは掘り下げ方がもう少し深ければいい作品に仕上がったのにもったいない。また原題の「We Were Soldiers」よりはいいがなぜ日本題をワンス・アンド・フォーエバーにしたのでしょう。 7点(2004-03-28 21:34:22) |
138. この胸のときめき
冒頭でボビー側の話とグレース側の話の切り替えが突然すぎて狙った場面移動の効果が出ていなかった様に思う。なぜエリザベスの事故の場面を省いたのでしょうか。なぜボビーとグレースが無意識のうちに惹かれあうのかもっと丁寧に描いたほうがよかった。主役の二人はあまり上手とはいえませんね。全体の出来としてはまあまあかな。 6点(2004-03-21 16:34:42) |
139. スケアクロウ
何について語ろうとしているのか全く解からない。他人が行った旅行のビデオを長々と見せられていた時の様にとても退屈な時間を過ごしました。 3点(2004-03-20 23:33:59) |
140. 東京物語
遠く離れた親子の再会と母親の死、淡々とした日常をありのままの描いているのは良く判るが、特別なものを感じられず高評価が理解できない。田舎から出てきた親を鬱陶しく感じることや死んだ母親の形見分けについて口出しすることはよくある話で声高に非難される出来事とも思えずこの作品でもっとも自然であった杉村春子の演技を評価したい。寅さんシリーズでの笠智衆は好きだが、この作品では台詞が棒読みに聞こえて感情が伝わってこなかった。山村總や大坂志郎を懐かしく思う年代の私だが、50年前にこの風貌の笠智衆に興味を持って見るばかりで、作品の価値が解からないのはまだまだ人生経験が足らないということなのだろう。 5点(2004-03-20 23:23:52) |