121. 私は「うつ依存症」の女
両親の不和から生まれたストレスの矛先が愛情の名の下に無意識のうちに子供に向けられていく。 子供にとっては逃れようにも逃れられない一番厄介な重荷だ。 子供はその重荷に答えようとして頑張る。 そして知らず知らずのうちに心が押しつぶされゆがむ。 親として気を付けなくてはならない身近な問題をトゥルーストーリーとしてフィルムに焼き付けたスタッフキャストの気概は評価したい。 キャストも脇役を含めみな良かった。 特にクリスティーナ・リッチの2面性のあるデリケートな演技は見て損は無い。 彼女には演技の幅を広げて是非とも大きな女優になってほしい。 底知れぬ魅力を感じます。 テーマの性質上見にくい内容ではあるが、熱気に引っ張られて最後まで観られた。 出来ることなら多くの人に見てほしい作品。 米国で処方されている薬の量を見ても、もはやこれは他人事ではないと思う。 6点(2004-06-26 17:08:41) |
122. 雨あがる
寺尾聰の静かなたたずまいの中に一瞬背筋の冷たくなる殺気を感じました。でも、むやみに人を斬らないのがいいですね。命の重みのあるチャンバラは、たとえへっぴり腰でも緊張感があって好きです。ラストの5~6分のもたもた感はもっと何とかならなかったのかなと思った。あそこをもっとすっきりと描けばもっと評価が高くなってたはず。宮崎美子の良妻ぶりが光っていた。まさに天然記念妻。トキより貴重。しかし仲代達也はいいですね、ほんのチョィ役でもみんな持って行っちゃう。大きな役者です。 6点(2004-06-20 02:12:53) |
123. トロイ(2004)
合戦シーンは史上最大。 しかし人数こそ多くて壮観だったが戦いは平凡。 やってることは凄いんだけど、引いて観てしまった。 細かいカット割りで、必要以上に揺れるカメラでごまかしながら見せる合戦はもういいって感じ。 ドラマも引き込まれて熱くなるほどの重厚さは無かった。 ブラピも微妙、この程度ででいいんでしょうか、彼は。 これもやっぱり未公開シーン45分くらい入ったスペシャルエクステンデッドエディションが出るのかな。 出れば観てもいいけど、そのままならもういいかな。 6点(2004-06-04 15:35:36) |
124. スペース・カウボーイ
初老の男達の青春回帰ドラマとして肩の力を抜いて見たらそこそこに面白い。ILMのCGが良いので宇宙のシーンも見ごたえがあった。ただラストから逆算して作ってペタッと貼ったようなトミーの境遇設定が、あわれといえばあわれ。宇宙から地球を眺めるシーンは、映画の枠を超えて感動的ではあった。 6点(2004-05-26 13:39:23) |
125. この森で、天使はバスを降りた
《ネタバレ》 複数のエピソードを上手く絡めながら主人公をはじめ、田舎町の人々の人間模様がさり気なく伝わってくる、よくまとまった佳作といった印象だった。だけど、心のきれいな主人公が心無い人から変な誤解を受けて、いじめられたり責められたりする展開にむやみに持っていくドラマが大っ嫌いなので、後半減点で点数は低めです。最後までかばってくれた友人が一人だけいたというのは何よりの救いではあった。 6点(2004-05-03 00:56:53) |
126. キル・ビル Vol.1(日本版)
《ネタバレ》 荒唐無稽、大胆不敵なバイオレンスチャンバラムービーに何を言ってもしょうがないが、どれだけ主人公が強くても敵に八方囲まれてはいけないだろ。 狭い廊下に誘い込んで一人ずつ倒していくとか、まかり間違えばやられるという緊張感がなかったような気がする。 戦術的な詰めの甘さをありがちなワイヤーアクションと細かなカット割でごまかしながらだらだらと見せられてもちょっとさめた。 心底日本びいきのタラちゃんには「五輪の書」と「あずみ」(もちろん漫画の方)をオススメしたい。 ルーシーとの戦いも長すぎる。 もはや助太刀もない私怨のかかった一騎打ち。 日本の映画にオマージュを捧げてくれるのならば、あそここそは電光石火の一太刀で勝負を決めてほしかった。 一方実写のドラマにアニメーションを噛ませるという強引な力技にはやられた。 しかもそのクオリティーは極めて高く、ジャパニメーションの切れのある独特の表現力は世界的な土俵でも充分通用すると言うことをいっぷう変わった形で証明してくれたのはうれしかった。 こういう形で脚光を浴びれば、日本映画界の裾野も少しは広がるだろう。 がんばれ日本映画、捨てたモンじゃないぜ、ディスカバージャパン。 6点(2004-04-21 00:03:19) |
127. ザ・セル
フルメタル・ジャケットの人、まだこんな役をやっているのかと少しびっくりしたが、相変わらず狂気の演技には特異な存在感があった。この人の別の演技も観てみたいと思った。猟奇的な生々しさが無機質な映像とジェニファー・ロペスの美貌によって中和されて鑑賞後の苦々しさは残らなかった。見どころは犯人の精神世界の描写だが、そのコンセプトが先立ってしまい犯人の救いようのなさが映像の美しさの中に埋没してしまった。深読みすればあえて埋没させたととれなくもないが。サスペンスでくくられているのでハラハラしながら最後まで観られた。 6点(2004-04-03 11:21:34) |
128. リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い
ノーチラス号が怒涛のごとく現れたとき、その横っ腹に、「ナンデモアリ」とドでかく書いてあるのが分かったので、そこからは肩の力を抜いて思い切り楽しむ事が出来た。ディズニーランドのアトラクションのようなベニスのドミノ倒しでは、どうせCGヤレヤレ派手にぶっ壊せ状態でかなり盛り上がれた。ショーン・コネリーもやる気満々で、老いてもなおその眼光を失わず、アクションシーンを生き生きとこなしていて嬉しくなった。多くを期待しないで観れば結構楽しめると思う。何人かで「ありえねー」などとツッコミながら観るとなお良い。 6点(2004-03-22 23:31:36) |
129. アマデウス ディレクターズカット
《ネタバレ》 モーツアルトが天才なのは分かっているが、その天才っぷりをどのように描いてくれるのか期待して見たが、少々拍子がはずれた。 ピアノをアクロバティックに弾いたりサリエリが楽譜を見たときの表情でそれも伝わらないではないが、内面的にきらっと輝く天才っぷりも演技力で見せてほしかった。 F・マーレイ・エイブラハムはさすがだったが、彼一人に負ぶさってしまった感があり、人中心で見た場合3時間の大作にしては圧巻という感じでは無かった。 貧しい人々の暮らしが描かれていなかったので、あの夢のようなきらびやかな暮らしはどこまでがリアリティーの範疇なのか判断するのが難しかった。死してごみのように扱われる様は、往々にして後にその真価を認められる芸術家という職業の皮肉なさだめを感じた。 6点(2004-03-22 13:09:37) |
130. オーロラの彼方へ
前半傑作の予感がして引き込まれたが、予想外の展開に持ち込む後半がひねり過ぎてバタバタとしてしまったのはものすごく惜しかった。アイデアは良かっただけに残念。 6点(2004-03-19 02:07:30) |
131. ブラッド・ワーク
枯れたイーストウッドと、軽くサスペンスを見たい時にどうぞ。ストーリーのサスペンスよりも、いつ倒れるかというイーストウッドのほうがよほどハラハラした。枯れたダーティー・ハリーもちょっとだけ見れるのはおまけか。 6点(2004-03-01 02:58:53) |
132. 陽はまた昇る(2002)
西田敏行の熱演に引き上げられて無難な感動を味わえる、正統派の良作になっていたと思う。 V.H.S.が採用されるかされないかは周知の事実だが、それでも結構ハラハラさせられた。 しかしそこで引っ張るよりは、誕生までの過程と技術者たちの具体的な苦労秘話ももっと綿密に描いてほしかった。 こんな成功の裏では無念の涙を飲んだ珠玉の製品も無数あることだろう。 そんな人たちの熱い思いもいつか報われますようにと祈らずにはいられなくなった。 松下幸之助役の中代達矢は少ないシーンで見事な存在感を示していた。 初監督の作品としては上出来だと思った。 6点(2004-02-20 02:36:50) |
133. デッドマン・ウォーキング
死刑を望む被害者側の親族、受け入れる加害者側の親族、そしてその当事者と、命の尊厳の名の元に当事者を擁護する者それぞれの中には、現実的にはもっと凄まじい痛みや苦しみや心の葛藤があるはずだと思った。 ラストの被害者側の親族のとった行動も分からなくはないが、実際はもっとシビアだろう。 この手の作品は淡々とした静けさと、想像を絶する壮絶さの両極端を描ききってこそ観る者を動かす傑作となりうると思うが、そのどちらにも届いていなかった。 スーザン・サランドンはいつもの敏腕弁護士役の油っけをそぎ落とし、静かな尼僧侶役をうまく演じていた。 6点(2004-02-09 12:57:19) |
134. パーフェクト・ワールド
イーストウッドとの追跡劇を脇に置き、ケビン・コスナーと少年の心の交流に焦点を絞って2人の人物像と結びつきを深く描いた事が、この作品の作風をを静かで味わい深い物にしている。 しかしローラ・ダーンとイーストウッドとの掛け合いも、いい味が出ていたので犯人との心理戦の部分をもう少し膨らませていれば、もっと立体的な面白さのある作品になっていたと思う。犯罪心理分析官としてのローラ・ダーンの見せ場が少なかったのはもったいなかった。 どうやっても「いい人」に見えてしまうケビンは犯罪者には向いていないが、今回に限ってはその性質を逆手に取った「トラウマ持ちの実はいい人犯罪者」という役どころに上手くはまっていた。 脇役でのくすぐりも随所に配置され、淡々としているわりには飽きさせない作りには好感が持てたが、地味な作風が災いしてか全体的に印象が薄く感じた。 6点(2004-02-06 01:31:40) |
135. カサブランカ
ボギーのニヒルな男のダンディズム、バーグマンの麗しのフェミニズム、洒落た会話の数々、そして淡い大人のラブロマンス。 「時の過ぎ行くまま」にすたれる事も無く、後の数多の作家や役者が模倣を試みた娯楽映画の原点であり名作であることに異論は無いが、刺激の強いあからさまな原色作品に目が慣れてしまった今では残念ながら色あせて見えた。 偉大なるスター映画の化石として大切に博物館に並べておくのが妥当だろう。 それにしてもイングリット・バーグマンは美しかった。 「君の瞳に乾杯」したくなるのも分かる。 時代とともに移り変わる理想の男性像、女性像、ファッションなどもこういったクラシック作品を見る際の楽しみではある。 その時代に思いを馳せる、という意味ではやはり博物館で化石を見るときと一緒だ。 そこにあるのは今はもう絶滅してしまった時代そのものへのロマンである。 少々むず痒くなる部分もあるがそれはそれとして、まったりとその世界に浸るのが正しい見方なのではないかと思う。 6点(2004-01-18 02:45:17) |
136. ストーカー(2002)
観客に恐怖感と同情という相反する二つの感情を同時に抱かせたロビンの演技は繊細で素晴らしく、クリアな映像はその繊細さを際立たせている。 しかし相反する二つの感情を同時に抱かせてしまった事自体が、鑑賞後のどっちつかずの煮え切らない印象を観客に与えてしまったようだ。 脇を固める俳優達も自然に役に溶け込んでいて作品としてのクオリティーは高いが、狙いが裏目に出てしまったのは惜しい。 この監督の次回作に期待したい。 6点(2004-01-10 02:36:23) |
137. ターミネーター3
ターミネーターシリーズは最終的に人間対コンピューターの大戦争を描かなければ終わらないと思っていたので、当初3部作を予想していました。 ジョンとサラがT1、T2での経験を引っさげてT3で大戦争で大団円。 そしたらT2であっさりと優等生的に終わってしまいました。 T3のラストはそんなこともありこれでいいんだと納得しました。 むしろT2でこれをやってほしかったんですが・・・ T3については話の流れやアクションはこれでいいと思うんだけど、内容的にはもう少し「ボリューム」と「粘り」がほしかった。 どうやらT4も企画されているようで、T役にザ・ロックの名が挙がっているとか。 とうとう広げてしまった大風呂敷をどこにどう着地させるのかが今から楽しみ。 出来ればジェームズ・キャメロンに撮ってほしいが・・・ムリだろうな。(追記)DVDが発売されたので購入して再見しましたが、どうにも内容が薄くアクションシーンもひねりが無く、繰り返し観る程では無かったので明日にでも売りに出します。よって点数変更 8から6。 6点(2003-11-21 14:34:42) |
138. グッドフェローズ
スコセッシで、デ・ニーロ、ペッシ、そして実力派の新人レイ・リオッタがそろえば、これだけで傑作だろう。 しかし傑作と呼ぶには印象がうすい。 出来事の羅列が平板で、物語のうねりが波となって伝わってこなかった。 結果ペッシのキレっぷりだけが印象に残る、という作品になってしまった。 惜しい。 6点(2003-11-14 23:35:12) |
139. デッドコースター
つぎ絶対この人死ぬ、ほら、ほら、死ぬ、死ぬって、えっ?、オイオイオイ、おうわっ!、グシャッ、ウッソー!、オエーッ!!!。で全てをくくれる定番型ホラーの新種。 所詮画面の向こうの絵空事、血しぶきや肉片に悲鳴を上げながら楽しんだモンの勝ち。 見終わって全く何も残らない薄さも良かった。 [DVD(吹替)] 5点(2006-03-16 16:18:30)(良:1票) |
140. ファイナル・デスティネーション
《ネタバレ》 人の「運命」はあらかじめ決められていて、それに逆らって生き永らうと「運命」が辻褄を合わせるためにあからさまに殺しに来る、という設定がすでにコメディー。 あとは、誰がどの順番でどうやって殺されるかを従来のホラー映画の方法に則って見せているだけ。 なかなか思った通りにならず、額に汗して意固地になってる「運命」様っていう存在も想像すると笑えるが、意味が分からないしそれが狙いではないでしょう。 前半の質の高い緊張感が、後半では別物になってしまった。 冒頭の事故シーンだけは圧巻でした。 [ビデオ(吹替)] 5点(2006-03-02 17:11:32)(良:1票) |