121. ダンサー・イン・ザ・ダーク
現実はドグマ、非現実をミュージカル。一見とても安易。ラース・フォン・トリアーだからこそ究極となりえた。あまりにもあからさまな星条旗のショット、これほどストレートに己の思想を伝えようとする監督が他にどれだけいるだろう。「オレの映画は芸術だから。分かる人に分かってもらえればいい」というのでは決してない。映画はファンタジー、休日をお手軽に過ごす単なる手段、そんな映画に対して完璧に受身な全ての観客に対して覚醒を、半ば強制するような、いわば挑戦状だ。この作品を単なるメロドラマとして消化できたとしても、それはそれで幸せだろう。これは交通事故に遭ったようなものだと。映画は変わらずファンタジーだと。どちらにしろトリアーは本作の姿勢を、続けるどころかますます増大させていくのだろう。皆こっちをみてくれ!と。つーか変態。ラースはど変態。 8点(2004-01-25 23:13:13)(良:1票) |
122. 少林サッカー
ベッタベタな笑いだろうと予想してたが、そうでもなかった(まあベタだけど)。しかし公開当時の大旋風を思うと、わりと肩透かしを食らう。 4点(2004-01-24 00:51:01) |
123. ロスト・ハイウェイ
リンチな世界に、ボウイ、マンソン。この辺のなんというか現代的な感覚、最近の若い映像作家よりも断然クール。音楽、特に歌には流行がつきもの、この映画も10年後にはダサく感じるのかもしれない。まあとりあえず現時点では非常にスタイリッシュ。そして少なくともこの世界観は時代が変わっても絶対である。 9点(2004-01-22 19:38:28) |
124. マルホランド・ドライブ
お気に入りの監督が新作を出せば、観る前にある程度の想像を膨らませて映画に望む。「マルホランド・ドライブ」は期待通りの作品。予想通りかというと、ちと語弊がある。こういう感じを味わいたいというベクトルの方向はそのままに、しかし大きさは何百倍、そんな感じである。電話がりりりんとなる、そんな些細な所から、登場人物、彼らの振る舞い、発する言葉、全てにゾクゾクしながら気がつけばエンドロール。もはや字幕がいらないくらい、そのままに鳥肌が立つことのなんという快感。王道な展開ながら、そのエネルギーはますます洗練されるばかり。そして気がつきゃヤミツキ。キャー 10点(2004-01-22 19:12:09) |
125. ラスト サムライ
《ネタバレ》 トム・クルーズ、相変わらずセレブなオーラ出まくりなのだが、日本語を口にした途端に、単なる東洋かぶれのガイジンに成り下がる。こうなるともはや立て直しがきかず、しかも武士道精神をリスペクトしつつも小雪には熱い視線を送り続けるなど、都合がいいとこアメリカ人のままなのはどうなのだろう。まるでホームステイに来たエロ留学生のようだ。なによりそれをやってるのがあのトム・クルーズだというのが笑える。このようにトムが単なる道化にしかみえなかったのが多少は功を奏しているのかどうかは分からないが、渡辺謙がいい、よすぎる。もうたくさん出てくる、たくさん喋る。それだけでも同じ日本人として喜ばしい。普段はおくびにも出さない己のナショナリズムが満たされる瞬間である。ファーストカットも彼からだし、死に際の一言は、この映画の中で真面目に鳥肌が立った数少ない場面だった。私は日本人なので、渡辺謙らの英語を聞いてネイティブな人がどういう感情になるのかは、例えこの先自分がベラベラになっても一生分からないのだろうが、とりあえず日本人役者の英語に違和感を感じることはなかった。しかしトムの「さけー!」には一気に冷めた。私としては、話にムリが生じようともトムが終始英語で演じてくれた方が、少なくともより物語に入り込めたように思う。まあそんなのありえないんだろうけど、逆にそのあたりに、この手の映画をつくる上での限界を感じてしまう。 4点(2004-01-22 18:17:02)(笑:3票) |
126. アルマゲドン(1998)
《ネタバレ》 ビリーボブといいブシェミといい、このキャスティングがなんといっても痛快ではないか。話の端々に出てくる、中途半端な映画ウンチクがウザイ。最後、イスラムの人々もなんやかんやいっさいかっさい狂喜乱舞だったなーよっ!合衆国万歳!にしてもラストカット、ブルースウィリスの扱い、いくらなんでもあんまりでないかい? 5点(2004-01-16 09:00:14) |
127. シャロウ・グレイブ
《ネタバレ》 都市生活者って皆、ドライねー。軽薄な人間関係がテクノビートに乗せてカッコよく小気味よく展開する。中盤ちとダレるが、終始ケラケラと観てられる。そして、ユアンの笑顔にゃ誰もかなわんわい 8点(2004-01-16 08:47:55) |
128. ウォーターボーイズ
《ネタバレ》 わりと何回も観たくなります。つーかストーリーとか細かいとこ超テキトー、でもそんなのどうでもいいくらいの爽快感があります。多分計算だと思うんですが、いわゆる話の本筋、マジメな部分をすごくオーソドックス、というかベタに撮ってるとこが笑え、だけど最後には自分もベタになりさがり普通に感動してしまいます。バスの後ろの席でゲラゲラ笑うとことか、頭に火がついたままスローモーションになるとことか、中学生ライクな監督の笑いがツボです。 8点(2004-01-16 08:28:37) |
129. 海の上のピアニスト
《ネタバレ》 ティムロスという人選がいい。そしていつもどおりのティムロスが、これまたいい。恋愛を中盤でサラッとスルーするとこも、大作っぽくなくよいと思います。男同士の絆も、ロスだと暑苦しくないです。でも、ロスのピアノや、微妙に座った眼で苦悩する姿にシビレることはありますが、全体として極上の深い感動を与える物語って程ではないです。 6点(2004-01-16 08:11:42) |
130. 千と千尋の神隠し
《ネタバレ》 父ブタ母ブタがメシを食い荒らすとことか、グロくて笑えます。そりゃびっくりするわなーて感じです。そういうとこのリアルさというか変にかわいらしくしない所がいいと思います。あと、監督けっこうオッサン、というか初老ぐらいの印象ですが笑いのツボはけっこうダークというか、現代っぽくて、その辺も好きです。最後も、仰々しくなくて好きです。でも、トトロのが好きです。 6点(2004-01-16 07:57:10) |
131. セブン
《ネタバレ》 先鋭的なビジュアルを繰り出しつつも、なんと高潔なのだろう。オープニングからオチから既成の概念をひっくり返す。最後の日、空が青い。せつねえ 10点(2004-01-16 07:41:40) |
132. ファイト・クラブ
あまりにもクール。文明てなんじゃ?自分を顧みる刹那。結局なにも変わらないけど。人類はもう止まらない。つーか止まれない。あざけ笑うような監督の視線。最後、象徴崩壊。オンタイムでこの作品を体験できたことに、感謝感激アメアラレ 10点(2004-01-16 07:29:12) |
133. アレックス
《ネタバレ》 オープニングいきなり「カルネ」のおっさん登場、ド直球のレイプシーン、ド直球のオマージュtoキューブリック、そして先に逆回転さしてた「メメント」はホントについこないだの作品。おいおいまじかよと思いそうな所だが、その辺の浅はかさはあまり気にならない。中途半端に独自の世界にこもるよりは、こちらの方が観てる側からしたらむしろすがすがしい。そしてこの映画は、観る者に絶望的な痛みを感じさせるには人間のどの部分を叩けばいちばん効果的かを教えてくれた。なにげに音楽はダフトパンクのトーマ。新作はやくでないかなー 8点(2003-12-31 17:50:19) |
134. 木更津キャッツアイ 日本シリーズ
《ネタバレ》 映画だからと変な冒険をせずにTV版そのまんまのスタイルできっちり2時間作ってた所に拍手。TVのをビデオに録って何回もみてそれでもう飽きたー新しいのみてーとなってた頃だったから。まあTVのスペシャルとかでもよかったんじゃんてことだけど、映画にしたってとこでひとつのネタとして成立してるかなとキャッツアイの場合。内容も、文字で書くとしょーもなく感じるんだが、映像になるとなんでこんな笑えんだろうって感じ。その辺、スパイクジョーンズ&チャーリーカウフマンに通じるところがあるのか(ないか)。薬師丸ひろこがTVよりもがんばってた、笑った。しかし、中尾彬といい、岩松了といい、船越といい、知らなきゃ全然おもしろくないよねーTVっ子のための映画だこりゃ 8点(2003-12-31 00:21:57) |
135. マトリックス レボリューションズ
《ネタバレ》 CMあけのようなオープニング。続編とはいえいかがなものか。あれだ、ドラクエⅢみたい。オープニングなしのあれ。ザイオンをはじめとしたグラフィックは、素晴らしいのだがなんかこうリアリティーを感じないというか絵画的というか実際機能してる感じがしないというか。むしろプッと笑ってしまうというか。目が慣れちゃったのかなあ。しかしクライマックスのスミスとネオの対決を観て合点がいった。やはりマトリックス内あっての映画「マトリックス」。マトリックス内でのスタイリッシュなビジュアルとアクションシーン、結局この映画の最大のパワーはこれ。そういった意味でも、現実世界を中心に繰り広げられる本作の点数はこの位。1公開時に、映画「ダークシティ」を引き合いに出してダークシティのが傑作だ!と言ってる評論をなにかで拝見したが、3部作観終わった今、物語としてはこれに賛成。自分的にはマトリックスのストーリーはもはやどうでもいい。そう考えるとなんだかんだでリローデッドはおもしろかったなあと今までの考えを改めたり。しかしあの結末、ほんとに完結すんの?ほんとか?ほんとかあ~?? 4点(2003-12-11 14:14:01) |
136. キル・ビル Vol.1(日本版)
のっけからよし、テンポよしで120分はあっという間。そして全身ぐったり。「キルビル」の世界すべてに共感できたわけではないけれど、隅々までもれなく見所でほんとおもしろかった。ただ、「オレは前世日本人だったと思う」と何かでタランティーノが言っていたけど、きっと前世もアメリカ人なんじゃねえかなあ、異様に日本かぶれの。 9点(2003-11-21 20:18:43)(笑:1票) |