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 > ザ・チャンバラ さん
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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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121.  デス・レース(2008) 《ネタバレ》 
なぜか一部で神格化する動きもありますが、オリジナルの『デス・レース2000年』は紛れもない駄作です。ポール・W・S・アンダーソンが素晴らしいのは、往年の名作のリメイクで勝ち目のない戦いを挑むのではなく、知名度ある駄作のリメイクを思いついたということ。どうやってもオリジナルより良くなるしかないのですから、企画を思いついた時点で勝ったようなものです。案の定、この企画にはハリウッドの目利きトム・クルーズが飛びつき、2001年頃にはトム主演で『デス・レース3000年』として企画が進んでいました。しかし、現場をコントロールしたがるトムに監督が手を焼いたのか、『デス・レース2000年』のリメイクに出演することはリスキーであるとトム側が判断したのか、いつの間にか『3000年』の企画は消え去っていたのでした。。。 ジェイソン・ステイサムを新たな主演に迎えて仕切り直した本作を観ると、この企画からトムが降りたのは正解だったように思います。本作は世界観の脆弱性という大きな弱点を抱えているのですが、B級番長ステイサムの偉大なB級オーラが観客の疑問をすべて掻き消してしまい、とてもピュアな気持ちで映画を鑑賞することが出来るのです。トム・クルーズでは、こんな特殊な芸当は不可能でした。内容は力押し一辺倒でツッコミどころも大量にあるのですが、ともかく勢いあるB級アクションとしては満足できる仕上がりとなっています。中盤で登場する武装トレーラーのバカバカしさなどは一見の価値ありで、マシンガンや火炎放射器が車体の至るところに取り付けられ、ケツには戦車をくっつけられているという小学生の落書き並みのデザインには頭が下がる思いがしました。主人公とライバルが共闘してこれを迎え撃つという週刊少年ジャンプな展開もバチっと決まっており、王道のB級ぶりが心地よくて仕方ありませんでした。これに巨乳美女というオマケも付くのですから、男子必見の映画だと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-09-29 23:51:00)(笑:1票)
122.  S.W.A.T.
「特別狙撃隊S.W.A.T.」のリメイク企画は80年代から存在していましたが(一時はアーノルド・シュワルツェネッガー主演で話が進んでいた)、本作はそんな長い期間を経てようやく映画化まで漕ぎ着けたという期待の一作。映画会社はこれをシリーズ化する気満々だったようで、やたらめったら見せ場を詰め込む通常のアクション大作とは明らかに異なる造りとなっています。前半部分ではチーム結成までの経緯が丁寧に描かれ、訓練の場面では見た目の派手さよりもリアルに見えることが優先されています。俳優たちの銃さばきも様になっており、アクション大作としては珍しく地に足のついた内容となっているのです。「傑作ではないが、程よくまとめられた佳作かな」なんて思いながら見ていたのですが、映画は後半で一気に崩壊します。麻薬王による「俺を逃がせば1億ドル」発言をきっかけにL.A.全体が戦場と化すという展開があまりに突飛すぎて、映画についていけなくなるのです。こんな荒唐無稽な話は『ダイ・ハード』や『バッド・ボーイズ』でやればいいのであって、リアリティへの目配せをしてきた本作でやるべきではありませんでした。また、中盤までほぼ姿を消していたジェレミー・レナーが、クライマックスになって突如ラスボス化するという構成も不自然。彼をラスボスの位置に据えるのであれば、コリン・ファレルや警察組織との相克をより明確に描いておく必要がありました。
[映画館(字幕)] 4点(2012-09-29 23:49:26)
123.  13デイズ
中国との間の尖閣諸島領有問題がこじれにこじれ、反日デモで日本企業がボコボコにぶっ壊されるわ、尖閣に中国の大船団が迫っているわ、中国報道官の日本に対する悪口が日々エスカレートするわと、只事ではない事態に直面している最近の日本。その一方で我らが野田総理の存在感は薄く、彼は一体何をしているのだろうかと考えながらふと思い出したのが本作でした。。。 今回の鑑賞であらためて感じたのですが、この映画の面白さは異常です。本作は戦争に至らなかった事件を舞台にしており、見せ場らしい見せ場は皆無。あーだこーだと議論するおっさん達の姿が上映時間の9割を占めるという何とも暑苦しい内容ながら、これをアクション映画もかくやという娯楽作にまで高めているのです。ロジャー・ドナルドソンによる演出が素晴らしく、膨大な登場人物の入り乱れる複雑な物語を、極めて簡潔に仕上げています。映画全体のテンポの作り方や、イベントに向けての盛り上げ方も見事であり、この監督なくして本作は完成しなかったであろうと思います。。。 ただし、傑作にはなりきれていないという印象です。かつて『ダンス・ウィズ・ウルブス』を製作し、『JFK』にも主演したリベラル一直線のケビン・コスナーの影響か、本作は問題の捉え方があまりに一面的すぎるのです。何が何でも武力行使に持ち込もうとする軍人達が悪として断罪されており、危機を作った張本人であるソ連以上に否定的に描かれています。この手の映画は「あなたならどうしますか?」という問いを観客に投げかけてこそ価値があると思うのですが、製作側が善悪を断定してしまっているのでは楽しみが半減してしまいます。
[DVD(吹替)] 7点(2012-09-25 00:51:42)
124.  運命のボタン 《ネタバレ》 
一歩間違えれば『フォーガットン』になりかねなかった内容を、終始バカっぽくなくまとめあげた監督の手腕は評価します。観客に先読みさせない構成もよく出来ており、ミステリー映画としてはそこそこの完成度だと思います。ただし、視覚的な見せ場がほとんどなく映画としての面白みに欠ける上に、膨大な量の伏線を追いかけることにも疲れてしまい、中盤以降は観ていることが苦痛になりました。観客にネタが割れた時点でさっさと話を閉めればよいものを、その後もダラダラと映画を続けたために、ムダに冗長となっている点もマイナスです。。。 一方、ドラマ作品としては完全に赤点。序盤とクライマックスで主人公の性格に顕著な変化が見られないし、「自分ならどうするか?」と観客に考えさせる内容にもなっていません。これについては、ボタンに係る突飛なルールを主人公が簡単に受け入れてしまうという不自然さをカバーできなかったことと、大金に目がくらんだ主人公のイヤらしさを描けていないことが原因だと思います。この映画は導入部に命をかけるべきだったのに、ここを疎かにしてしまったために全体がダメになったのです。
[DVD(吹替)] 4点(2012-09-18 18:50:38)(良:1票)
125.  パンドラム 《ネタバレ》 
ポール・W・S・アンダーソン(通称:ダメな方のポール・アンダーソン)率いるインパクト・ピクチャーズ製作なので『イベント・ホライゾン』のやり直しかと思ったのですが、微妙な出来だった『イベント~』とは比較にならないほどの素晴らしいSF映画でした。とにかく脚本が良すぎます。『エイリアン』から『猿の惑星』、果ては『宇宙空母ギャラクティカ』まで、既存のSF映画のアイデアを総動員した内容ではあるのですが、それらの元ネタを思いもよらぬ形で料理しており、二転三転どころか五転も六転もするストーリーには驚かされました。『パンドラム(原題も同じ)』というタイトルのチョイスも素晴らしく、このタイトルによって脳内オチ系の物語と勘違いさせておいて、誰も予測しない意外な結末へと導いていくという見事な動線を作り上げています。ここまで見事にやられた映画は久しぶりでした。お見事。。。 これだけ盛りだくさんの内容をコンパクトにまとめ上げた監督の手腕も光っています。観客に与える情報量のコントロールや、ネタを明かすタイミングなどはほぼ完璧。同時にカッコいいメカ描写や音を使ったショック演出などポール・W・S・アンダーソンの得意技はうまく吸収しており、なかなかやってくれます。監督を担当したクリスティアン・アルヴァルドはサイコサスペンスの佳作『アンチボディ/死への駆け引き』を手掛けた人物なのですが、この人のアレンジ力は非常に高く、要注目の監督さんだと思います。
[DVD(吹替)] 8点(2012-09-05 23:29:43)(笑:1票)
126.  D-TOX
同時期に製作されたレニー・ハーリンの『マインドハンター(公開は2005年だが、撮影されたのは2002年)』と似通った内容にして、『マインドハンター』を優に超える駄作ぶり。90分程度に絞られた上映時間にも関わらず観ているのが苦痛となる仕上がりであり、サスペンスアクションとしては最下層の完成度だと思います。。。 とにかくスタローンがミスキャスト。婚約者を惨殺されたFBI捜査官という役回りなのですが、撮影当時55歳のスタさんが目を輝かせながら婚約指輪を選ぶ場面や、彼女役のディナ・メイヤー(スタさんよりも22歳年下)とイチャイチャする場面の違和感は相当なものでした。これって30代の俳優が演じるべき役ですよね。婚約者を失って悲しみに暮れる場面ではスタさんの演技力不足がはっきりと表れており、憐みよりも笑いを誘ってしまっています。そもそもの問題として、これまで「うぉーっ!!」と叫びながら数百人の敵をなぎ倒してきたスタさんが、たった一人のシリアルキラーに翻弄される役を演じても説得力がないわけです。集客力の低下によって大規模アクションに出演できなくなり、代わって中・小規模のサスペンスアクションに活動の場を移さざるをえなくなった当時のスタさんの苦境が垣間見えています。。。 また、脚本・演出もかなり杜撰です。犯人がスタさんを逆恨みする背景の描写が致命的に不足しているし、その能力の高さやイカレっぷりもイマイチ伝わってきません。その結果、この程度の犯人に翻弄される警察側の無能ぶりばかりが際立つという事態に陥っています。警察側には個性派俳優を配置しているものの、描き分けができていないために「誰が」「何をやっているのか」の把握が極めて困難という有様。クリス・クリストファーソン、トム・ベレンジャー、ロバート・パトリック、スティーブン・ラング、一週間煮込んだ豚骨スープのような俳優をズラっと並べながらこの体たらくは、さすがに問題だと思います。
[DVD(吹替)] 2点(2012-09-05 23:28:02)
127.  ケース39 《ネタバレ》 
2006年に製作されながらも、エクストリームな児童虐待描写に難色を示したパラマウントによって長らく公開が延期されていたという問題作。その間に、本作よりも後に製作されたはずの『エスター』が公開されてしまい、事実に反して二番煎じ扱いとなってしまった不運な作品でもあります。実際、内容は『エスター』によく似ているため、先に『エスター』を鑑賞していると驚きはかなり薄れます。脚本・演出・演技はどれもしっかりしているだけに、後出しとなってしまったことが大変悔やまれます。。。 『オーメン』も『エスター』もそうでしたが、邪悪な子供を扱った作品には特有の怖さがあります。「この子は邪悪だから、なんとか手を打たねば」と叫んだ途端に主人公はキ◯ガイ扱いされ、社会的に孤立してしまうのです。本作でもその恐怖は存分に描かれていて、主人公が頼れるのは医療刑務所に収監されている実父のみという絶望的な状況にまで追い込まれます。前半では敵対関係にあった両者が共闘するという捻じれた構図が独特であり、この構図が子供の邪悪さを引き立てることにも貢献しています。なかなか計算された脚本ではないでしょうか。
[DVD(吹替)] 6点(2012-09-05 23:25:24)(良:1票)
128.  狼たちの処刑台
「怒らせた相手が軍隊上がりの殺人マシーンだった」、これまでに何十回観たかわからないアクション映画の定番ですが、今回はついに後期高齢者が怒ります。老人でもバイオレンスをやれることを証明した『グラン・トリノ』にモロに触発された内容ではあるのですが、米国人イーストウッドと比較すると英国人マイケル・ケインはかなりマイルド。街の浄化に立ち上がるまでに1時間近くもかけてしまうし、いよいよ行動を起こしてもかなりトロい。肺気腫を患い、わずかな運動で倒れてしまうという映画史上最弱のパニッシャーだけに、アクション映画としての見応えはイマイチです。体力面での弱さを戦略でカバーするという援護描写もなく、おじいさんがゼェゼェ言ってる姿が延々映し出されるという作りとしたのは監督の工夫不足。さらに、この手の映画はただ悪党を倒すだけではなく、「マズイ相手を怒らせた」と吠え面かかせるくだりも重要となるのですが、本作にはそれが不足しているために復讐映画としての面白みにも欠けています。重要そうに見えて、その実何の活躍もしない女刑事の存在も余分だったし、マシュー・ボーンが参加した企画でありながらアクション映画としては赤点です。。。 とはいえ、これがダメな映画かと言われれば、そうでもありません。アクション以外の部分は充実しており、ドラマ作品としては見応えがあるのです。かなり昔に娘を亡くし、妻は病院で寝たきり。たった一人家に残された主人公の日常が映し出される冒頭からしんみりさせられます。彼の唯一の親友もまた、妻に先立たれた独居老人なのですが、その葬儀に出席するのは主人公一人だけ。独居老人の切実な現実が映し出されるのですが、これが深夜にやってるドキュメンタリーでも観ているかのようなリアリティ。監督は新人らしいのですが、よくぞここまで老人目線のドラマを作れたものだと感心しました。終始不安げな目をしているマイケル・ケインの演技も秀逸であり、老人映画としては素晴らしい出来だと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2012-09-05 21:43:53)
129.  キルショット
これだけの豪華スタッフ・キャストが名を連ねた作品ながら、なぜ日本では劇場公開されなかったのだろうかと不思議に思っていたのですが、内容を観て納得しました。。。 運悪く組織から追われる羽目になり、おまけに逃走資金もないので無鉄砲なチンピラと組まざるをえなくなった老練のヒットマンという基本設定は面白く、いぶし銀の存在感を放つミッキー・ロークはこの役にピタリとハマっているのですが、なんせ脚本がメチャクチャ。この主人公のやることなすことすべてが行き当たりばったりであり、深く考えているようで実は何も考えていないという何ともカッコ悪い主人公になり下がっています。序盤のかっこいいナレーションでは大いに期待しただけに、この落差にはガッカリさせられました。また、物語の横糸である夫婦の再生というテーマもメインパートとうまく絡んでおらず、ドラマとしても赤点。演技の質は総じて高く、特にチンピラ役を演じたジョゼフ・ゴードン=レビットはベテラン俳優に囲まれながらも突出した存在感を披露しているのですが、脚本がこれではせっかくの努力が報われなかったようです。
[DVD(吹替)] 4点(2012-08-25 02:44:34)
130.  スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい
『NARC/ナーク』で注目を集めたジョー・カーナハンの初メジャー作品。カーナハンは『NARC/ナーク』を気に入ったトム・クルーズ直々の指名を受けて『ミッション・インポッシブル3』の監督に抜擢されるも、作品を完璧にコントロールしたがるトム・クルーズと馬が合わずに途中で降板。その時に受けたストレスをぶつけるかの如く「俺はこんな映画が撮りたかったんだぁ!」と暴走したのが本作なのですが、訳の分からん登場人物が入り乱れる内容を器用にまとめており、相変わらず抜群の構成力を披露しています。また、コメディを基調としながらも湿っぽいドラマが同時進行しており、引くほどのグロテスクな暴力描写も含まれるというおかしな味わいの内容なのですが、そんな無茶な内容を不思議な統一感でまとめてみせた手腕も見事なものです。同時期にトニー・スコットが『ドミノ』で同様の試みをして失敗しており、カーナハンが本作で披露した技って実はかなり高度な芸当だと思います。こんな映画を撮れる監督は世界に10人もいないのではないでしょうか。。。 とまぁ監督の技見せとしては素晴らしい作品なのですが、観客が楽しめる作品かと聞かれれば、正直微妙なところです。後の『特攻野郎Aチーム』もそうだったのですが、この監督は娯楽的な盛り上�げというものを不得意としています。見せ場の作り込みは良いもののそれを見せるタイミングが今一つで、本質的には娯楽映画に向かない監督さんだと思います。カーナハンを切って、後にヒットメーカーとなるJJエイブラムス(当時はテレビドラマのプロデューサーという印象が強かった)を『ミッション・インポッシブル3』の後任に据えたトム・クルーズの判断は正解だったようです
[DVD(吹替)] 6点(2012-08-03 01:06:18)(良:1票)
131.  戦場カメラマン 真実の証明
原題の”Triage”とは『選別』を意味するフランス語で、戦争や大災害が発生した場合にどの負傷者を優先的に治療するのか、どの患者を救急搬送するのかといった優先順位を決めることを指します。序盤の舞台であるクルドの戦場では、まさにこのTriageが克明に描かれます。医師が命の選別を行い、ある命を救うために別の命を切り捨てるという非情な現実。ヨーロッパ映画である本作には『プライベート・ライアン』や『ブラックホーク・ダウン』のようなインパクトある見せ場はありませんが、”Triage”というテーマを見つけてきたことで戦場の恐るべき一側面を描き出すことに成功しています。重傷を負った主人公が生かされるか殺されるかの瀬戸際に立たされるなどサスペンス要素も巧みに盛り込まれており、この監督さんの手腕には感心させられました。。。 主人公が命からがら帰国して以降は映画が中弛みするのですが、精神科医であるクリストファー・リーが登場すると突如として面白くなります。彼の含蓄ある発言は非常に興味深いし、クリストファー・リーの奥行ある演技からも目が離せなくなります。そして終盤に待っている大仕掛け。脚本に仕込まれたこのひと捻りが非常に効果的で、テーマを浮き立たせることに成功しています。日本では劇場公開されず、レンタル屋でも目立たない場所に置かれている本作ですが、見逃すには惜しい良作です。
[DVD(字幕)] 8点(2012-08-01 00:30:41)
132.  ウルヴァリン:X-MEN ZERO
監督:ギャヴィン・フッド…誰だよ?と思って調べてみたら『ツォツィ』の監督でした。初のハリウッド大作、しかも大ヒットシリーズのスピンオフという重大な企画を任されながら、かなり落ち着いた仕事ぶりを披露しています。。。 おかしな格好のキャラが暴れ回る一方で深刻なドラマが展開されるという、他のアメコミ映画と比較するとバランスの取り方の難しいのがX-MENシリーズなのですが、この監督はなかなか器用に作品をまとめています。アメリカが経験した近代戦のすべてを渡り歩いてきたウルヴァリンの半生を冒頭5分で一気にまとめたかと思えば、妻との穏やかな日々や親切にしてくれた老夫婦とのつながりも短時間で簡潔に片付けています。この手際は見事なものだと思いました。見せ場の作り込みも上々で、ミュータントならではの激しいアクションは迫力十分。残念なのは後半になると映画のテンションが一気に下がってしまうことで、ウルヴァリンがストライカー大佐の陰謀を追いはじめてからは、作品が急激に失速します。忍従を重ねた末にいよいよアダマンチウムの爪を出すところがウルヴァリンの見せ場の王道なのですが、そんな彼が積極的に敵を追いはじめると、どうしてもこのカタルシスが半減してしまいます。。。 【2012年7月30日ブルーレイにて再鑑賞】 あらためて鑑賞すると、”ドラマを簡潔にまとめている”という点が本作を中途半端な出来にしているように感じました。ウルヴァリンの人生は悲惨なものです。実の父親を自らの手で殺害し、長い長い人生の大半を戦場で過ごし、唯一血を分けた兄とは敵味方に分かれて殺し合っている。この映画はそんなウルヴァリンの痛みを観客に伝えるべき作品だったのに、ドラマを駆け足で終わらせてストライカーとの確執を中心に据えてしまったために、感情的にピンとこない出来となっています。『X-MEN』第一作の冒頭にて初登場したウルヴァリンの背中にはこの”業”というものが確かに見えていたのですが、本作はその深い闇をすっかり矮小化してしまったという印象です。
[映画館(字幕)] 5点(2012-07-30 01:02:12)
133.  ヒットマンズ・レクイエム
ゴールデングローブ最優秀男優賞受賞にアカデミー脚本賞ノミネートと本国では高く評価された一方で、日本ではDVDスルーとなった本作。かなり陰惨な内容を捻じれた笑いで包んでおり、独特の雰囲気を作り出しています。誰一人として普通ではない登場人物、微妙にズレた会話、際どい人種ネタ、綺麗に回収される伏線と脚本の出来は上々で、役者もピタリとハマっていて完成度はかなり高いのですが、ストレートな映画ではないので好き嫌いは分かれると思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-07-17 00:57:19)
134.  ヒットマン(2007)
“組織に裏切られた暗殺者が逃亡の過程で人間性を取り戻す”、これまで何度見たかわからないほどありふれた物語です。おまけに設定はあまりに雑(生まれた直後からの暗殺者育成なんてコストかかりすぎ、後頭部にバーコード入れてスキンヘッドじゃ目立ちすぎ、影なき暗殺者が組織のロゴマーク入りの道具を持ち歩くなetc…)。しかししかし、これはゲームを原作とするアクション作品。細かいことには目をつむって、ひたすらにビジュアルを楽しむべき映画です。。。 こんな具合にお母さんのような優しい目で鑑賞していたものの、肝心のビジュアルに面白みがないという困ったことになっています。バカバカしくも手の込んだアクションの連続を期待していたのに、ド派手な銃撃戦はたった一回のみ。代わりに繰り広げられるのはイーサン・ハントの真似事なのですが、これでは主人公がヒットマンである必要がなくなっています。ティモシー・オリファントの身のこなしはなかなか様になっているし、オルガ・キュリレンコはエロくてかわいいけど、映画全体が方向性を誤っているのではどうしようもありません。
[DVD(吹替)] 4点(2012-07-06 02:01:42)
135.  レインディア・ゲーム 《ネタバレ》 
隙だらけの包囲網から逃げきれない主人公と、主人公の嘘八百を信じまくる強盗団、どちらもバカにしか見えませんでした。挙句に待っているのはデ・パルマ作品並みに強引なオチと、当時売り出し中だったベン・アフレックのパブリックイメージに配慮して主人公を無理矢理善人にするラスト(車泥棒で服役した男が金を配って回るという…)、こんな雑な話をコメディではなく真剣なクライムサスペンスとして撮っている点がなんともカックンでした。。。 救いはジョン・フランケンハイマーによる演出がマトモだったことで、アクション演出はかなりしっかりしています。編集にマイケル・カーンを引っ張り出してきたことで全体のテンポもうまく整えられており、少なくとも退屈はしない映画となっています。当時ハリウッドの脱ぎ要因だったシャーリーズ・セロンは、ヌードの必要のない本作でも気前よく脱いでくれてるし。ま、一度見れば十分な映画ですが。 
[DVD(吹替)] 5点(2012-07-06 01:57:48)
136.  パニッシャー:ウォー・ゾーン
そこそこ面白かったものの、普通のバイオレンスアクションとして製作され『パニッシャー』である必要のなかったドルフ・ラングレン版、悪い意味でマンガだったトーマス・ジェーン版と来て、三度目の正直で製作された本作ですが、ようやく『パニッシャー』実写版を見られたなという印象です。躊躇のない残酷描写、良い意味でやりすぎなアクション、キャラ立ちしまくりの悪党と、『パニッシャー』に必要なものは揃っています。『ソウ』のライオンズゲートに製作会社が移行したことで残酷描写には恐ろしく気合いが入っており、脳天吹っ飛びまくり。銃撃戦の演出もなかなかカッコよく、三度に及ぶ実写化企画の中では一番だと思います(前2作が酷過ぎただけとも言えますが)。。。 ただし、映画としての完成度はイマイチ。フランク・キャッスルに魅力がなかったことが主な原因で、冒頭からチョンボを重ねるわ、大きなこと言ってる割にサシの殴り合いになると簡単に劣勢に立たされるわと、カッコが悪すぎるのです。こんなことでは悪党をバッタバッタと倒して回る爽快感など味わえるわけもなく、部分評価はできても全体としてはつまらん映画だと言わざるをえません。
[DVD(吹替)] 5点(2012-06-30 19:36:03)
137.  トレイター 大国の敵 《ネタバレ》 
【注!かなりネタバレしています】 ドン・チードル演じる敬虔なムスリムが刑務所でテロ組織にスカウトされ、そのまま爆弾テロの中心人物に。「これはテロリストの実情に迫るドラマ作品か?」と思っていたのですが、物語は中盤で大きく方向転換して『ディパーテッド』になります。この”一粒で二度おいしい”構成は悪くないのですが、脚本と演出がこの物語に追いついていません。。。 ラストを前に、主人公は徹底的に追い込まれます。彼が潜入捜査官であることを知る唯一の人物である上司を射殺され、「テロ計画の障害になる」と判断されたことで彼の恋人はテロ組織に命を狙われ、さらには米国をターゲットにした大規模な爆弾テロが実行されようとしている。まさに八方塞がりの状態なのですが、脚本・演出のマズさからこの絶望的なシチュエーションが観客にはイマイチ伝わってきません。すべての描写が軽すぎるため、観客は素通りしてしまうのです。ここぞというポイントはより克明に描くべきでした。。。 もっと酷いのがガイ・ピアース演じるFBI捜査官の扱いで、彼は最後まで何の活躍も見せず、いてもいなくても大差のない存在となっています。ラストでいよいよ彼の見せ場が来るかと思いきや、ドン・チードルが拳銃1丁ですべての問題を片付けて終了。ドン・チードルがプロデューサーを兼ねた作品だけあっておいしいところはすべて主人公がいただいているようですが、ラストはFBIにも花を持たせた方が面白かったと思います。。。 その他、主人公との友情を育むテロ組織メンバーなど面白くなりそうな要素は多く含まれているのですが、これらの要素は無秩序に並べられているだけで、すべてを有機的に結び付けるという作業は放棄されています。緻密に構成していればかなり面白かったであろう映画だけに、この雑な仕事を残念に思います。
[DVD(字幕)] 4点(2012-06-27 00:31:13)
138.  ボビーZ
あらすじだけ聞くと面白そうな話なのに、完成した映画は「なんでこんなことになるの?」と思ってしまうほど残念な仕上がり。「トゥー・デイズ」「15ミニッツ」でも感じたのですが、この監督はとにかく仕事が雑すぎます。基本的な設定や登場人物の背景を描き切らない段階で本筋に突入してしまうので、観客は完全に置いてけぼりとなってしまうのです。本作で言えば、キーパーソンの一人であるエリザベスと失踪前のボビーZとの関係がよくわからないし、ワインセラーを営むブライアンの立ち位置も不明確。主人公カーニーがボビーZの息子を連れて逃げた心理的背景も説明されていないため、「ガントレット」を思わせる逃走劇にも感情移入できません。脚本には矛盾が目立ち、飛行機からの爆撃でカーニーを殺そうとしたかと思いきや、次の場面では「奴を殺すな、生かして捕えろ」と言い出す始末。せっかく良い役者を集めても、この脚本、この演出では台無しです。
[DVD(吹替)] 3点(2012-06-26 00:11:40)
139.  クローバーフィールド/HAKAISHA
JJエイブラムスはコラージュの天才。本作では悪名高きエメリッヒゴジラを作り直しているのですが、そこにスピルバーグの演出手法を採り入れ、テレビドラマでやっていそうな青春ドラマをトッピング。自由の女神の生首が転がるビジュアルは「ニューヨーク1997」からの拝借なのですが、抜群のシチュエーションでこれを投入することで本作を象徴する場面へと昇華させています。。。 脚本は隙がないほどに作りこまれています。軍人さんの忠告を無視して火事場に入る迷惑男の物語なのですが(現実の被災地では一番厄介なタイプ)、主人公の心理的背景を簡潔ながらもしっかりと伝えているおかげで、身勝手な主人公への嫌悪感を覚えることはありません。カメラマン役については”空気を読めないバカ男”というキャラ設定がなされており、友人が目の前で兄弟を失おうが、さっきまで行動を共にしていた女性が血を吐いて死のうがカメラを回し続ける彼の不可解な行動についても一定のフォローがなされています。事態に対処する軍隊の行動は現実的であり、”NYが怪獣に蹂躙されたら?”という設定が論理的に煮詰められていると思います。ここまでやってくれれば文句なしです。。。 本作の問題点といえば、とにかく画面で酔うということ。私は手持ちカメラの映像に慣れているつもりなのですが、それでも凝視するのが苦しい場面がいくつかありました。人によっては鑑賞不可能に近い状態となっており、もし続編を作るのであれば、この点は改善すべきだと思います。 
[映画館(字幕)] 8点(2012-06-20 01:14:51)
140.  しんぼる
「大日本人」が予想外に良かったので本作も鑑賞してみたのですが、残念ながらこちらは酷い出来でした。松本氏は斬新な発想だと思って本作の脚本を書いたのでしょうが、実際のところ映画の世界ではそれほど珍しくはない物語。まず、このボタンの掛け違えが痛かった。観客がラストで驚くことを前提にして映画全体を構成しているため、本編中における思わせぶりな間の取り方などが完全に浮いているのです。。。 さらに痛かったのが、コミカルなパートでまったく笑えなかったこと。本作は日本国外での上映も視野に入れており、松本氏の言う「ベタな笑い」が多く採り入れられています。白い部屋でのドタバタがそれなのですが、これがまったく面白くないという残念な結果に終わっています。コントを得意としてきた松本氏がコメディパートで失敗したのでは話になりません。
[DVD(邦画)] 2点(2012-06-20 00:37:40)
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