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プロフィール
コメント数 354
性別 男性
自己紹介 「昔は良かった」という懐古主義ではなく
「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、
 昔の映画を中心にレビューを書いてます。

サブスクが苦手。

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121.  アラビアのロレンス 完全版 《ネタバレ》 
私を映画ファンに仕立たのは間違いなく「燃えよドラゴン」と「雨に唄えば」、そしてこれ。この作品は間違いなく全ての芸術作品もひっくるめて後世に残すべき文化遺産である!と声を大にして訴えたい。「清潔な」砂漠を愛した一軍人が歴史と民族の諍いに巻き込まれ英雄となり、その手を血に染め敗残者として記録から姿を消す。歴史の記録/記憶の作られ方や人間(民族)の倫理観や行動について考えさせられただけでない、自分にとってこの映画は「個の確立(砂漠を越えた後のあの『Who are You?』は深い)のあり方」そして強い意志を持って未来を乗り越える事の素晴らしさ(逆に今になってみるとそういった希望はなかなか叶わない難しさも感じる)を教えてくれた。なおかつこの映画は絶対にCGでは再現不可能な、人間の息づかいがスクリーンからあふれている!役者も音楽もなにもかも素晴らしいがやっぱりここは名匠デビット・リーン(=この人の作品に流れる「異文化コミュニケーション」の取りあげ方は現代の社会でも十分議題に挙げられるべきテーマでまったく古くさくない)のテクニックに堪能しよう。何回見ても飽きないし毎回新たな発見があるこの映画、ぜひ機会があればスクリーンで堪能ください。テレビ画面ではこの映画、多分7点くらいでしかない!
[映画館(字幕)] 10点(2012-06-16 09:50:36)(良:1票)
122.  ある戦慄 《ネタバレ》 
正直言えばもう少し尺を短くしてもらいたい気もするが(特に地下鉄内の「出来事」が始まる前の人員紹介。ただその情景を延々と見せつける事で彼ら=我々観客自身の投影であること、併せてその焦燥やいらだちが引き立つ効果があるのも承知)なかなかの一本ではないか。深夜の地下鉄内で暴漢に絡まれる乗客は自分が巻き込まれなかった事に時に安堵し、他人の苦しみを見過ごし勇気を持って対応できず結局他者任せでなあなあに事を終わらせるという結末。まったくすかっとした気分になれないからこれは「隠れた一本」になったのでしょう。戦病軍人・黒人・同性愛者をこの時代から取りあげていた、という点もポイント。
[DVD(字幕)] 7点(2012-05-13 14:46:46)
123.  罠(1949) 《ネタバレ》 
「好きな洋画男優をあげる」という映画ファンのいつもの遊び。私にとってロバート・ライアンは絶対に入る俳優。どちらかといえば肉体派の俳優であるにも関わらず、知性があるというのか/胸に秘めた苦悩や悲しみ・狂気がちゃんと滲み出ているそのたたずまいが大好きです。「十字砲火」「危険な場所で」「拳銃の報酬」「最前線」「狼は天使の匂い」「ワイルドバンチ」皆良いが、今回はこの映画。もともとボクサー経験のあった彼ではありますがバート・ランカスターでもカーク・ダグラスも、ましてやチャールトン・ヘストンなぞはこんな陰のある、味わい深い役はできません。そしてロバート・ワイズの職人ぶりが遺憾なく発揮された名作であります。スコセッシはこの映画がお気に入りで「レイジング・ブル」にも影響を与えたフィルムだとか。ああなるほど!
[ビデオ(字幕)] 8点(2012-03-25 14:59:58)
124.  旅芸人の記録 《ネタバレ》 
この映画をスクリーンで観る事ができて本当に良かった。ラストショットで誰もが感じる徒労感の意味がビデオ鑑賞とスクリーンのそれではまるで違うから。観客席で自分は旅芸人一座と一緒になって激動の時代を生き抜いてきた、新しい世代に「命のバトン」を受け継ぐ事ができた、生きてて良かった!という感覚がわき出てきた。最初と最後のシチュエーションは同じだが、ラストの彼らは疲労困憊(これは映画館の観客もまたしかり)ではあるが明日への希望が見えた素晴らしい名場面ではないか。ギリシャ神話とその歴史に詳しければなお一層良さがわかったのに、と後悔の念を持ちつつこの点数にする。追記/監督アンゲロプロスはこの映画デビュー作から一貫して国家や宗教、人種を越えた人間の存在意義やそういった人々の真の拠り所が何なのか探求し続けた映像作家であったと思う。そんな彼の作品をもうスクリーンで観る事ができないのが残念だ。ご冥福をお祈りします。
[映画館(字幕)] 9点(2012-02-05 15:23:57)
125.  有りがたうさん 《ネタバレ》 
いつまでもこの作品世界に浸っていたいと思いながらこの映画を観ていた。それは上原やその他の出演者が醸し出す温かい人柄だけではなく、短いショットとフェードの繰り返しによって観客に心地よいテンポを感じさせてくれる監督清水の技量によるものではないか。もう一度述べさせていただきたい。時代によって今の観客にはわかりづらい点・録音映像の見辛さは多々あれどこれこそ元祖「癒し系」ムービー、ゆったりと浸っていたい。ほっこり。
[映画館(邦画)] 9点(2012-01-03 10:47:28)
126.  一命 《ネタバレ》 
邦画史上屈指の名作をリメイクする、という事であまり期待をせずに鑑賞したが、それなりに観ることができた。「原作/映像作品に対するリスペクトを残しつつ、新しい解釈を取りこむ」というリメイク作品のあるべき姿勢を見せてくれているのは好感が持てる。ラスト「竹光」の扱いも主人公の主義主張としては理にかなっていて感心した。それでもこの点数にしたのは『ただ体面を保つためだけの「偽りの武士道」に対する糾弾』が映画的に弱い気がしたから。スクリーンで観た「切腹」では映像から情念というか、怒りが漂うくらいの迫力を感じたがこの映画に関してはあまり感じられないのがつらい。なによりも「切腹」で観客を不安に陥れる効果のあった撮影(宮島義勇の最高傑作でしょ、こりゃ)や音楽(武満徹!)の点でどうしても見劣りしてしまう。こればかりは仕方がないのかな、うむ。
[映画館(邦画)] 6点(2011-10-16 15:45:41)
127.  肉体の冠 《ネタバレ》 
フランス映画が生み出した幾人もの名匠・名監督の中で、私にとってベッケルはたまらなく大好きな一人。監督としての器や世界観だけなら師匠ルノワールの方が上かもしれないが、映像作家としての技量(アクション/日常の穏やかな描写=緩急付けたメリハリのある描写で写し出すところとか)・出演俳優の魅力を存分に引き出しているという点では間違いなく彼の方が上手い、と個人的には思っている。でこの作品。芋みたいなレジアニ、ぽってりなシニョレをここまで魅力的な美男美女に描き出した事自体(特に愛する事を知ったシニョレの表情はまさに官能的)凄いのだが、緩急使い分けた描写=シニョレをのせた船が水面を走り、隠れ家にいるレジアニを尋ねるその美しさ/刑務所からの逃亡劇~親分を射殺するまでの緊迫感あふれるアクションそして断頭台のラストシーンまで、テンポのある語り口で見せてくれる彼の作風にしびれっぱなしですわ。「穴」「モンパルナスの灯」にも負けず劣らずな名作だよ、これは。
[ビデオ(字幕)] 8点(2011-08-21 22:00:32)
128.  やさぐれ姐御伝 総括リンチ 《ネタバレ》 
「不良姐御伝」と同じく池玲子=猪鹿お蝶を主演にした続編だが、やはり監督が輝男なのでその趣はとことん異なる。だいたいストーリー上女優が裸になる必要性がない時でも 、皆様脱ぎまくる(麻薬を持ち運ぶ手段としてああいった方法を活用する、という時点でもうフリーダムである)。敵対関係があってそれぞれにらみ合っていた辰雄と徹、宏だがさんざこき使っていた女達が(もちろんスッポンポンで)襲いかかってくるのを見て取るや「みな協力しまひょ」と握手をする。私はこんな悪役彼らが大好きだ。よくわからない内に挿入される精神病院(ねじの飛びまくった女性達)+お約束の大泉滉。ラストの乱闘シーンで女性陣がばんばん脱ぎまくる中で悪役の一人が根岸明美に向かって叫ぶ、「お前は脱いだらあかんぞ!」という台詞は多分この映画を観ていた全ての観客の意見であったろう。(10人中9人は受け入れられないだろう)輝男が好きなあなたに送る、日本のピンキー・バイオレンス映画史に残る快作。
[映画館(邦画)] 7点(2011-07-30 23:55:54)
129.  0課の女 赤い手錠 《ネタバレ》 
私にとって杉本美樹はまさに青(性?)春の女優であった。友達は皆、「夕ニャン」を見て「毎度お騒がせします」で中山美穂にときめいていた時に、自分は年を偽りエッチ映画館に入って一所懸命に東映ピンキー・バイオレンスを堪能していたのだった。(今にして思うとすごいおけべ野郎である。)彼女よりも美しい、グラマーな女優はたくさんいた。だか自分が彼女に惹かれたのは全身全霊で(裸つき)役に取り込む真の「ど根性」。それはどんな漢よりもたくましく、かっこよかったのだ。そんな彼女にどこまでも、ついて行きます!だったわけだ。で彼女の最高傑作は間違いなくこの一本。ある意味周りのキャストにも助けられた感はあるが、本来は可愛いキャラクターの彼女が「女番長」シリーズで築き上げた「日本のクール・ビューティ」路線はここに行き着いた。たしかに彼女は大根だったかもしれない。だがここまで上手い大根はない!とめちゃくちゃ矛盾している文章を書いてこのレビューを終わりにしよう。ここまでお付き合い下さいまして、有り難うございました。  
[映画館(字幕)] 8点(2011-07-18 23:09:42)(良:2票)
130.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地大乱 《ネタバレ》 
私はカンフー映画のファイトシーンとミュージカル映画のペアダンスは同じ概念で考えている。つまり演者は自分の技量を思う存分発揮するだけでなくパートナーの事を考えアクション(ダンス)を一つの作品として美しく楽しく激しく演じるべきであり、それが上手く出来ていれば作品上の多少の「粗」というのは気にならないものである。点数としてはこんなもんだが、この映画はカンフー俳優としてのリー・リンチェイ最高傑作として挙げておきたい。共演者の熊さん&ドニーの力演にも助けられているとは思うが、特にドニー演じるラン提督とのカンフー・アクションはいつまでもスクリーンで堪能していたい、という程の迫力(その後の「HERO」の共演が個人的には残念であっただけに)である。香港映画には珍しくちゃんと話を回収しようとしている点(孫文の扱い・イー叔母さんへの護身術指導)も好感がもてる一本。しかし、この映画ももうすぐ制作から20年かぁ。
[映画館(字幕)] 7点(2011-06-18 09:10:08)
131.  地獄の英雄(1951) 《ネタバレ》 
彼の作歴上では「サンセット大通り」に負けず劣らずけれん味溢れた一本だと思う。特に寂れた町に集まる・散らばる群衆を描いた一連のシーンははっきり言って馬鹿馬鹿しいくらい大げさな表現に終始してしまっていて可笑しい。(ま、その位「真実を見抜けない」愚かな大衆を描いている=アメリカ人ではない監督ワイルダーの視点を感じるのだけど)あとは俳優カーク・ダグラスの凄い「目力」を堪能しよう。息子マイケルにもその資質は引き継がれている。が眼にいろんな感情がこもっている分、やっぱりお父さんの方に迫力を感じる。下の方も書かれているがそこまで悪漢を演じていた彼が改心するに至る流れが弱すぎる事、あとは彼以外の俳優に魅力が足りないのがちょっと惜しいかなという気がするが、この主題に関しては制作から50年以上経った今でも理解・共感出来るはず。隠れた佳作。
[DVD(字幕)] 8点(2011-06-05 17:03:31)(良:1票)
132.  これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫 《ネタバレ》 
シェー!「『ゲゲゲの女房』が当たったからここは漫画家を題材にすベシ!」的な安易な企画設定とポイントのずれた脚本によってせっかくの役者の熱演も無駄にしちゃった、というのが正直な感想なのだ。個人的には赤塚先生の破天荒な行動の数々は「弱者への限りない優しさ」そして「他人を喜ばせたい=孤独を嫌い、寂しさを紛らわせたい」という想いから来ていたものであり、それは年少時に満州からの過酷な引き揚げ体験を経験していたという「闇」からの逃避であったのでは無いかと思うのだよーん。だから「あまり乗り気でなかった仕事/赤塚先生の魅力を感じて~」という話にするのならもう少し先生の多面性を詳しく描いていただきたかった、と思うのココロ。堅物な男性編集者浅野が赤塚先生に感化されて、のびのびと人生を渡り歩く的な話だったらまだ説得力が増したのにまさに賛成の反対なのだ、である。でも、でも、でもである。ご自身が映画の主人公として取りあげられた事に関してきっと赤塚先生は照れくさそうに微笑まれているに違いない。学費がなくて高校へ行けなかった先生は「少しでも映画の世界に浸りたい」と映画の看板屋に就職し漫画の腕を磨いていったんだ。ご自身が売れっ子作家になった時制作したのは「下落合焼き鳥ムービー」だよ!所ジョージにタモリにたこ八郎だよ!この点数はそんな愛すべき映画好き、赤塚不二夫先生への想いを込めた点数である。そんなわけで支離滅裂なレビューになってしまったがこの場合は作品憎んで先生憎まず、いつものあれで閉めようではないか。これでゐゐゐだ!以上。
[映画館(邦画)] 4点(2011-05-11 22:39:33)
133.  紅夢 《ネタバレ》 
現在の彼の作風は妙な「あざとさ」ばかりが目について正直好きではないのだが少なくとも「秋菊の物語」「活きる」くらいまでは抑えた表現もありの、まさに「緩急を使いわける映像」にとても関心させられた記憶がある。そんな彼のキャリアの頂点は今のところこの一本。古い屋敷にうつる紅い提灯の怪しげな美しさや閉鎖的な空間の中で女性達が繰り広げる狂わしい程の怨念(20代の自分にとってあの紅い色=子宮から流れ出る経血を感じてました。お恥ずかしい)、最後主人公に起こった悲劇等内容的にも見応えある話だがこれは「見せない(もしくはポイントのみ見せる)」彼の演出の巧さを堪能すべきと思う。あえて説明しない=観客の想像力にまかせる事で強い印象に残る演出もあるのだ(こんな事言いたくは無いが、余計な説明の多い変に長い映画のなんと多い事か)。主人公が迎える悲劇的な最後に至るまでの展開が性急すぎるかなとは思うが機会があればぜひ。てか監督イーモウと女優コン・リーの黄金コンビ、DVD発売の機会が無いというのは如何なもんでしょうか。
[映画館(字幕)] 8点(2011-04-25 23:13:18)
134.  カイロの紫のバラ 《ネタバレ》 
W・アレンの映画によくある『グッド・オールドファッションド(かっこつけてカタカナにしました)』感覚に古くささを感じてしまう自分だけど、これは狡いくらいに映画ファンの心を鷲づかみにしちゃう一本だと思う。現実とスクリーンに映る夢は違うものと認識させられたヒロインと自分達観客。だけど最後に映る「トップ・ハット(Heaven~♪I'm in Heaven~♪)」で希望を与えられる、というラスト、はっきり言って卑怯だろう。でもいいんだ。そういった雰囲気作りのうまさ(役者ファローの全盛期!)にうならされる一本。 
[映画館(字幕)] 9点(2011-03-27 21:11:47)(良:1票)
135.  平成ジレンマ 《ネタバレ》 
それぞれの「ジレンマ」を感じてしまい、やりきれない気持ちで映画館を出た。解決策は何も見えてこない。進むべき道がわからないまま(傾いたヨットやスクールの壁に開いた穴、『協調性を養う為の』オカリナの音が強い印象を残す)苦しんでいるスクール生。自らの教育理念たる「体罰=必要な事」が思うように出来ない・学校教育下の問題を受け止めているだけで根本的な解決策が取れない=「こんなこと、やりたくない」とぼやいている校長戸塚。ニートや引きこもりが年々増え続けてゆく中で受け入れ体制も、これといった方針もとれないまま「ゆとり」教育を続けている行政。そんな状況を見つめつつ表層的な事実のみ伝えているだけのマスコミ。どうしたらよいのだろう?そういった鬱屈たる思いを抱えながら、社会の現状を見つめ直し他人事ではなく「自分達の」問題として胸にかかえてゆく事が大切と思う。もとはTV用である以上映画としては落ちるところはあるけれど、TVドキュメンタリーの置かれている立場(劇映画に比べて制作予算/宣伝も、そして発表する機会も少ない現状=良作が埋もれてしまいがち)や「映画館での上映」という新しい試みに対して何とか光があたってもらいたいという意味を込めてこの点数にする。いまのところ関係者に配慮してソフト化の予定は無いとの事、機会があれば是非。しかしこの思い、上手く文章に出来ないな。これもジレンマか。
[映画館(邦画)] 8点(2011-02-20 16:38:46)(良:1票)
136.  浮雲(1955) 《ネタバレ》 
正直若い頃にこの映画を見た感想は「退屈」、それしかなかった。「稲妻」「おかあさん」「乱れる」を観ていてじゃぁこの傑作に!と臨んだらこれだ。あり得ないくらいの暗いトーンに繰り返し流れる重苦しい音楽。森雅之が演じる富岡の屋久島赴任に伴う高峰の「私も連れてって!」に関しては最後憤怒の情すら湧いた。なんじゃそら。ところが今日この映画を見直して本当に胸うたれた。年を経れば経るほど恋愛には不安や暗い面が伴うこと。と同時に若き日の想い出はなぜか明るく楽しかった事しか覚えていないこと。昔の想い出から抜けきれないまま(日光のあるシーンというのが過去の赴任地=インドシナの想い出のみというのが深い)、どこまでも墜ちてゆく彼ら二人とそのような世界を構築した監督成瀬の凄みを感じてしまった。無駄なベッドシーンばかり挿入し「性欲まるだしでーす」みたいな不倫を取り扱うばかりの今の邦画界はこの映画を観て、猛省していただきたい。同じ時期に大石先生とゆき子を演じていた役者高峰の素晴らしさ(この人の魅力は顔もさることながらあまり美声とはいえない「声」)もあるけれどやっぱり森雅之の演じた富岡=邦画史上どの役者も真似できない、役柄の造形につきる。高峰さんの訃報を受けて書いたこのレビュー。今頃天国では成瀬&木下監督が早く高峰さんと新作を撮りたいとウズウズしているよ!改めてご冥福をお祈りします。
[映画館(邦画)] 10点(2011-01-01 13:07:26)(良:3票)
137.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
隣人とは仲良くしておこう。という一言で片付けていいくらいの都合良すぎる話と思う。ただここは役者・演出・脚本の三拍子がそろっている分あざとらしさ、嘘くささが感じられないのが上手いところ。ワイルダーの手にかかれば割れたコンパクトも、テニスラケットもシャンパンも帽子もひからびたパスタでさえ魅力溢れる小道具に早変わり!「蛍の光」がこれほど印象的に使われている映画はない、という事もあげとこうかな。ラブコメディの古典。
[映画館(字幕)] 8点(2010-12-26 19:01:10)
138.  有頂天時代 《ネタバレ》 
(情報が曖昧なので本当かどうか、わからないのですが)F・フェリーニが「ジンジャーとフレッド」を撮った時、取りあげられた当の両人は正反対の対応を取ったそうだ。アステアはフェリー二に感謝の一報を送り、ジンジャーは「告訴してやる」と息巻いた、とのこと。もちろん古き良きハリウッドを愛していたフェリーニであったから話は良作であり、そこには彼なりの深い愛情があったのは当然で最初自分がこの噂を聞いた時、ジンジャーの態度にもうちょっと大らかに構えてやれよと思ったものだった。ただ彼らの映画を見続けた今では仕方のない事、と思っている。つまり彼らが到達した領域は何人も侵すことの出来ないもので例えそれが尊敬の念であっても、貶める様な事は許されないと彼女は感じていたのではないか。それほどまでに彼らのダンスは素晴らしい。で、極私的彼らの最高のシーンは「Pick Yourself up」を挙げたい。踊りの呼吸があわなかった彼らが戸惑いながら踊りを合わせ遂には見事なまでのハーモニーを醸し出す。この場面を観て私の心も飛んでしまう様な楽しさが湧いてくるのでした。話?それは...まあ...もにゃもにゃ。
[映画館(字幕)] 7点(2010-09-26 16:55:45)
139.  赤い天使 《ネタバレ》 
監督増村と若尾文子(様)コンビは次の「華岡青洲の妻」で終わりを迎えるが、この作品でやること全てやりきったのでは無いか、という位の日本映画史上に残る「ド変態映画」。彼女にとって「身体を求める事」は常に死と隣り合わせであった状況下での生きている証であり、「身体を与える事」は血塗られた看護婦として残された最後の仕事・奉仕であったという厳しさ。敵の大群が攻め込んでくる中軍服コスプレプレイをしている、という時点でどうかしているのだが下手に裸を見せるよりも物凄いエロティシズムを感じてしまうのは自分だけか。戦場下で「人間性」など無意味である(バケツに無造作に突っ込まれた足や手の残骸!)事をうたいあげたこの作品は増村にとっての「反戦映画」なのだろう。ただHなシーンはともかく戦場/病院の描写、きっつーい。とりあえず増村+文子(様)コンビの映画は年代順で鑑賞すること、切に願います!
[映画館(邦画)] 8点(2010-09-12 19:25:52)
140.  イノセント 《ネタバレ》 
この作品は監督ビスコンティ自身の人生の投影ではなかったか。原作では生き長らえる男を作品中「自殺」に追い込ませたのは滅び行く貴族社会=監督自身の人生の終止符、これは「遺言」ですよね。しかし嫉妬深い身勝手な男の虚無感といったらもう。ジャンニー二にとっての最高傑作であると同時に、ラウラ・アントネッリにとっても単なるポルノ映画女優ではない役者としての器の大きさ(役柄が「貞操な妻」なんて、ありえんだろ。だからこそジャンニーニとの情事のシーンはそのギャップに凄みすら感じる)を示した一本。
[映画館(字幕)] 9点(2010-09-11 17:48:51)
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