121. キャプテン・フィリップス
《ネタバレ》 映画としての演出はあると思いますがいいドキュメンタリーだと思います。海賊の立場、アメリカ(軍)の存在意義、それぞれの実情がわかります。またプロの職業人を演じるトム・ハンクス、海賊を演じるソマリア人の演技も素晴らしい。トム・ハンクスは言わずもがなですが、ほぼ素人であるソマリア人たちの演技も迫真に迫っています。 海賊は貧しい地元漁師が生活のために行っています。しかも雇われ海賊です。自分からではなく、ある意味嫌々海賊を行っているのでしょう。ではなぜ海賊を行わなければ生活できないのか。もちろん長きにわたる内戦のせいというのもあります。さらに(映画では詳しい説明がありませんが)、ソマリアの漁師は昔は自分たちが食べる分+国内消費分の魚を捕って十分に暮らしていましたが、そこに海外資本の大規模な漁業船団がやってきたのです。そうなると地元漁師は太刀打ちできません。ではなぜ海外の漁船がやってくるのか。じつはソマリア沖はマグロの良漁場なのです。昨今のマグロ人気がそうさせていると考えると、実は我々日本人にも海賊発生の遠い原因の一端があるのかもしれないと思い、少々複雑な気持ちになりました。ただ、映画はすばらしいです。 [映画館(字幕)] 8点(2013-11-30 12:50:15) |
122. 清須会議
《ネタバレ》 「王様のレストラン」で三谷幸喜のファンになった自分は「ラヂオの時間」以降全ての監督作を見てきた。「ラヂオの時間」は初監督作品ということもあり三谷幸喜お得意の密室コメディーの面白さが存分に発揮された傑作だった。しかし、第2作の「みんなのいえ」以降、作品を出すごとに面白くなくなっていった。おそらく周囲の「三谷幸喜なら凄いコメディーを作るに違いない」という声に応えるべく変に気負ってしまっていたのではないか。その結果ギャグが空回りしてしまっていたのだ。しかし前作「ステキな金縛り」では以前と比べそんな気負いが薄れたような気がしたし、実際それ以前の作品に比べれば格段に面白さが復活していた。 前置きが長くなったが、本作「清須会議」はコメディーであることを初めから捨てている。そのためか以前のような変な気負いもなく、久々の良作であると感じた。三谷幸喜が小学生の頃から暖めていたというだけあってよく練られたわかりやすい脚本になっていると思う。自分は戦国時代の知識はそんなにあるほうではないが、人物関係や背景など理解できないことは全くなかった。 時代劇としては戦闘シーンもほぼなく淡々と話が進むが、物足りなさは感じない。真面目に作ったという印象である。とはいっても全くギャグがないわけではない。前作「ステキな金縛り」の落ち武者の幽霊・更科六兵衛が生前の姿でチラッと登場したり、秀吉の妻・寧が変なおじさん踊りをしたり(中谷美紀が変なおじさんを踊るんですよ!!)と、面白い場面も。 [映画館(邦画)] 7点(2013-11-23 00:24:59) |
123. 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語
《ネタバレ》 TV版、劇場版(総集編)とも視聴済み。アニメーション表現自体はこの作品独自のものなので、どうこう言うべきものではないと思う。こういうものだと受け入れるだけのこと。逆にストーリーはもう一歩。何となく話の筋は理解できるが、真相をつかむには何度も観なくてはならない印象を受けた。まず、この「新編」がTVシリーズの続き(同じ時間軸で同じ世界)なのかということがわからなかった。なぜならTVシリーズで円環の理となり肉体的存在がなくなったまどかが存在している世界だったから。あと、「叛逆」を行ったのは結局ほむらという認識で良かったのか。キュウベエは円環の理となったまどかの力をまた利用しようとしていただけなのか。それは「叛逆」なのか。こういうことが一発でわかる人もいるのだろうが、そうでない自分には若干のフラストレーションが溜まった。わざとわかりにくくして何回も見させて、徐々に理解するカタルシスを得させるという演出方法も理解できなくはないが、1回見ただけで誰もが内容をクリアに理解できるような演出もあったのではないか。一回の鑑賞で理解できたならもう1点追加したと思う。 [映画館(邦画)] 6点(2013-11-15 00:57:25) |
124. 劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
《ネタバレ》 TV版の最終回から1年後を描く、という触れ込みでしたが、言ってしまえば総集編です。ただし、完全新作ではなく総集編に新作部分を加える構成であることは公開前に記事等で明らかになっています。TV版を見た人ならばあのときの気持ちがよみがえるでしょう。TV版を見ていない人も何とか話の筋を理解できるのではないでしょうか。ただ、初見の方にはめんまがなぜあれだけの実体を伴って現れたのか?しかもじんたんにしか見えないのはなぜか?などの根本的な疑問が残るかもしれません。なぜなら、これらの疑問はTV版を最初から見ていくうちに(はっきりとは示されないが)なんとなく察していくものだと思うからです。 それでも総集編としてはまだましな方で、例えば「劇場版中二病でも恋がしたい」などはTV版を見ていない観客を完全に突き放した総集編になっています。 [映画館(邦画)] 6点(2013-09-17 14:06:11) |
125. マン・オブ・スティール
《ネタバレ》 今回の映画化が過去のスーパーマンシリーズと決別した新たな映画化ということで、どんなストーリーになるのか気になっていたのですが、シビアでハードなストーリーでした。スーパーマン・リターンズも(主人公のスーパーマンが)暗いとか悩みすぎとか言われていましたが、それに負けず劣らず今回の主人公も地球人とクリプトン人のはざまに立って悩みます。また、予想以上の戦闘スピード(戦闘時間ではなく移動速度ね)に驚きました。これ以上速くすると観ている人は何が起こっているのかわからないかもしれない、そんな速さです。そのため、クリプトン人の凄さを表現することには成功しています。あと、ニューヨークの壊されっぷりも凄い。こんなに壊されるニューヨークは近年見たことがないです。個人的には、あの有名なスーパーマンのテーマ曲が使われなかったことが寂しいですね。あの高揚感たっぷりのテーマ曲では「明るく楽しい(?)スーパーマン」になってしまい合わないんでしょうね。あと、他のレビュアーの方も書かれていましたが、危機を乗り越えた後のヒーローとヒロインのキス、ベタ過ぎやしませんか。アメリカ人はあれがないと映画と認めないのでしょうかね?(笑) [映画館(字幕)] 6点(2013-08-31 22:08:05) |
126. タワーリング・インフェルノ
《ネタバレ》 今まで未見ゆえにナメてました。有名な作品だけど1974年作で40年近くも前の作品だし、VFXバリバリの今の映画に比べたら当時は凄かったかもしれないが今となっては大したことなかろうと。ですが、つい最近リバイバル上映されたので映画館で鑑賞することができました。 凄かった。本当に凄かった。 2時間半もある長い映画ですが、一瞬たりとも冗長な部分がなく、最後まで集中して見ることができました。この映画は一般的にはパニック映画やディザスター・ムービーというジャンルに括られますが、見終わったあとは「これはパニック映画ではなくレスキュー映画だ!」と強く感じました。なにしろスティーブ・マックイーン演じる消防士がカッコイイ!シナリオも最近の映画にありがちなアクロバチックな救出劇などの突飛なところがなく、人間ドラマが描かれていて良かったです。 見る前はしょぼいと予想していた当時の特撮も意外と不自然さは感じませんでした。むしろ、エレベータを降りると(廊下やホールではなく)すぐに室内に直結していることや、超高層ビルの壁面ガラスがたったの椅子1脚で割れたりした(しかも割れたガラスは相当薄い)ことの方が不自然さを感じました。 とにかく、初見を映画館の大きなスクリーンで見ることができ、本当に良かった。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-22 15:44:32) |
127. ロッキー
《ネタバレ》 リバイバル上映があり劇場で鑑賞。あまりにも有名な作品のため、きちんと観てなくても観た気になっていました。まず思ったのは、アポロとの試合に割り当てられた時間が意外と短いということ。2時間の上映時間のうち20分もないのではないでしょうか。1作目はボクシング映画ではなく人間ドラマだったんですね(2作目以降はボクシングの形をとったアクション映画になるわけですが)。スタローンの演技(とくに滑舌)はすごくいいというわけではないのですが、それが恋愛や他人との関わりに不器用なロッキーというキャラクターに上手くマッチしています。演出もわかりやすく(例えば最初はフィラデルフィア美術館の階段をゼーゼー言いながら登っていたのに、最後では全速力で息も切らさず駆け登るなど)、そんなに複雑なことはしていませんが、タリア・シャイヤ(エイドリアン)やバート・ヤング(エイドリアンの兄・ポーリー)の演技がいい味を出しています。特に、タリア・シャイアの作中での変身ぶり(ロッキーに恋した後は別人のように美人になる)には驚かされます。 あと、イタリアの種馬というニックネームですが、昔はなぜこんな田舎くさいニックネームを付けたのだと思っていましたが、英語ではItalian Stallionと、ちゃんと韻を踏んでいることが今回わかり、ロッキーにしてはちゃんと考えているんだなと、ちょっと感心しました。 [映画館(字幕)] 9点(2013-06-07 23:15:17) |
128. プラダを着た悪魔
夏木マリさんのメリル・ストリープの吹替が違和感がなく、非常に上手いと感じました。あと、美人は何着ても(一流ブランドでなくても)美人。 [地上波(吹替)] 7点(2013-06-07 22:53:39) |
129. 舟を編む
いい映画でした。辞書作りのプロセスが丁寧に描かれていて興味深いです。配役も、原作未読にもかかわらずぴったりだと感じさせてくれるキャストでした。恋愛パートをあっさり進めたのも最近の邦画においては珍しい作りで面白いと思います(もしかしたらそれも原作通りなのかもしれませんがなにぶん未読なので・・・)。年代設定が1995年という、出版においてIT化が十分なされていないだろうと想像できる絶妙な年代なのも上手い演出だと思います。そうでなければ終盤のハプニングなんてあっさり解決してしまいますから。 あと、オダジョーの西岡が良いアクセントになって地味になりがちな画面を上手く締めてくれました。 [映画館(邦画)] 8点(2013-05-11 18:23:12)(良:2票) |
130. ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
《ネタバレ》 表向き(宣伝上)はサバイバル物に見えますが、実際のところは遙かに哲学的な映画でした。いや、サバイバル物としても十分楽しめるのですが、それ以上に何か哲学的なことを考えてしまう、とてもいい映画でした。 トラはほとんどCGだそうですが、本物にしか見えません。もう「ここはCGだ」と感じさせることすらないというのはスゴイ。3Dの効果は薄いと感じました。無くてもいいかな。 [映画館(吹替)] 7点(2013-01-27 02:11:39) |
131. 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
素直に面白かったと思います。この評価は前作を劇場で観てしまったことに対する反動でもあるかもしれません。サスペンスチックな脚本も良かった。前作もこのくらいのレベルだったらなぁ。惜しむらくはふたつ。ひとつは動機。言いたいことはわかるが悪く言えば自分のためでないことにそこまで人生を棒に振れるものかどうか。二つ目は事件を解決する最後の手段。あの方法を取らせるのならそのプロセスをチラっとでもいいから入れておくべき。いきなりあの場面では、ズルいとしか思えない。 [映画館(邦画)] 7点(2012-09-16 22:52:30) |
132. プロメテウス
《ネタバレ》 「エイリアン」のリドリー・スコットが監督ということだけ知っていた状態で見たので、最初の感想は「エイリアンのリメイクみたい」というものでした。鑑賞後、この映画が「エイリアン」の前日譚として企画されたものと知って納得。いろんな疑問は残るものの映像美や雰囲気はとても良かったです。エイリアンシリーズ見てからのほうがより楽しめるか?いや、逆に未消化の謎が増えるだけか。命題である人類の起源について、説明台詞たっぷりでも良いからもっとわかりやすく表現しても良かったのではないか。 <以下ネタバレ>個人的に疑問に思ったこと。冒頭で「白い人」がいたのは人類発生前の地球?「白い人」が自分のDNAを変化させて人類になった?自己犠牲?それともそういう役割の人なのか?「白い人」が作っていたタコのような生物兵器と「白い人」のDNAが混じってエイリアンの元になった?・・・謎だらけ。 [映画館(字幕)] 7点(2012-08-06 01:11:49) |
133. 映画 けいおん!
TVシリーズにハマった人には最高の内容だろう。TVシリーズで描き切れなかったあるエピソードを上手に補完している。また、映画版だからといって無理にドラマチックな内容にしないところもTVシリーズの演出のままで好感が持てる。一方でファン向けの映画のため、登場人物の性格やこれまでの物語を知らないと面白さは半減する。なのでTVシリーズを見たことがない人にとっては起伏の少ないストーリーに思えてしまうかもしれない。ファンにとっては9~10点、それ以外の人にとっては6~7点くらいが妥当か。最後に苦言を。上映中にサイリウムを振り回しているバカがいた。自重しろ。 [映画館(邦画)] 9点(2011-12-11 02:01:12) |
134. ステキな金縛り ONCE IN A BLUE MOON
《ネタバレ》 三谷監督の映画は「ラヂオの時間」が一番面白く、それ以降はだんだん先細りしていたのが心配だった。「みんなのいえ」も「THE有頂天ホテル」も「ザ・マジックアワー」も面白くない訳じゃないんだけど、ドタバタさせただけみたいに感じられ、「笑い」という点において突き抜け感が低下していた気がする。その点この「ステキな金縛り」は久々に笑えた。自分の中では「ラヂオの時間」に匹敵する面白さだった。主題歌「ONCE IN A BLUE MOON」もすばらしい。あと、「ステキな金縛り」というタイトルの意味はラストに亡き父の幽霊と抱擁する事を表しているんですかね。 [映画館(邦画)] 8点(2011-11-07 11:33:33) |
135. ダイ・ハード
《ネタバレ》 アクション映画の傑作。ダイハード以降のアクション映画は、「ダイハードという教科書」があるにも関わらず教科書を超える作品が少ないのが残念だ。CGによって爆発の派手さばかり強調するのではなく、(ダイハードのような)良い脚本がいかにおもしろさを左右するかということを学ぶべきだと思う。主人公が警官であるという設定から、マクレーンが敵の銃を拾うときは必ずマガジンの残弾数を確認しているのが、細かいがよいシーンだと思う。 [地上波(吹替)] 8点(2011-10-10 00:06:35) |
136. SUPER8/スーパーエイト(2011)
おしいなあ~。何が惜しいかを正確に表現するのは難しいのですが。宇宙人が物語の雰囲気に合ってないというか。いっそのこと最後まで宇宙人を出さないという演出方法もあったのではないでしょうか。あの宇宙人の造形や性格(?)は監督の趣味なんでしょうね。ジュブナイル映画の良作になり得た可能性があっただけに残念。 [映画館(字幕)] 5点(2011-07-16 20:37:29) |
137. 星守る犬
《ネタバレ》 原作漫画では犬のハッピーの気持ちがフキダシとなって表されている。これが非常に効果的で、ハッピーに感情移入できるのだ。しかし映画ではハッピーはしゃべらない。この演出は一見普通に思えるかもしれないが、原作を読んだ人には物足りないと思う。それだけハッピーの気持ちを明らかにするという原作の手法は効果的だったのだ。監督は(犬がしゃべるという)ファンタジー路線を嫌ったのだと思うが、モノローグを入れる手もありだったと思う。私はそうして欲しかった。 [映画館(邦画)] 5点(2011-07-02 19:07:27) |
138. スカイライン-征服-
《ネタバレ》 今年はなぜか宇宙人映画ラッシュであり、これが日本では第1弾。そのあとSUPER 8、世界侵略:ロサンゼルス決戦と続く(SUPER 8は宇宙人ものとは一言も明らかになっていないが多分そうでしょ)。 さて感想はというと、インディペンデンス・デイと宇宙戦争を足して2で割り、それに0.7を掛けて結末をバッサリ引いた、という感じ。8億円というSFとしては低予算の割にはCGがんばってる。でもあのラストは賛否両論ありそう。私は宇宙人の侵略の結末を描いて欲しかった。 あと、ちょっと違和感を感じたのが宇宙人の大型陸戦兵器(?)が人型(ひとがた)のモンスターだったこと。地球の生物と似たような形状にする必要があるのかと。 [映画館(字幕)] 5点(2011-06-19 18:33:25) |
139. プリンセス トヨトミ
《ネタバレ》 予告編がとても面白そうだった。大阪城の地下が秘密基地みたいになっていて、そこにとらわれた主人公が脱出するアクション映画だと思ったのだ。結果的には勘違いだったのだが。原作を読んでいたら見なかったかもしれない。映画としてはまあまあ面白かったが、予想とは違う内容への残念感のほうが大きかった。予告編にダマされた自分が悪いのか、フジテレビの予告編製作力をほめるべきか。綾瀬はるかの乳揺れが見られただけでもよしとするか。 [映画館(邦画)] 4点(2011-06-05 22:35:58) |
140. 塔の上のラプンツェル
《ネタバレ》 実はPIXARとかでないディズニーアニメを映画館で観たのは初めてなのですが、とても良い作品でした。3Dが客寄せの要素だけにとどまっておらず3Dにする意味があったし、映画館で観て良かったと思いました。いままでディズニーアニメは対象を子供に向けていて大人が観ると物足りないものだと勝手に思っていたのですが、この作品に関してはそれは間違いでした。 それによくある勧善懲悪ものだと思っていたら悪役のラプンツェルの育ての母にもラプンツェルへの愛情を表現させていて、なかなか厚みのあるストーリーなのも良かったです。 あと、しょこたんの声優は最後のクレジットを観るまで全然気付かなかったくらい違和感がなく良かったです。カメレオンのキャラも最高。 個人的にはミュージカル場面は好きじゃないなあ。 [映画館(吹替)] 9点(2011-04-23 23:06:31) |