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121.  天然コケッコー 《ネタバレ》 
【そよさん】心やさしい少女。下級生の母親的存在。思い出をとても大切にする。それは大沢が捨てた校舎の石を捨てれなくて持ち帰る挿話に集約されている。「もうすぐ消えてなくなると思えば、些細なことが急に輝いてみえてきてしまう。一緒に登校したことを奇跡みたいに思い出すことがあるのだろうか」大沢に愛のある接吻はできなかったが、黒板にはできた。ジャケットにこだわるところはリアリティがあります。 【大沢くん】いつも無愛想でつまらなそうな顔。両親が離婚し田舎へ引っ越すという悲運を負う。都会ずれし、プロレスとゲームが趣味。自殺者に花を供え、拝んでいるさやに無理やりキスしようとするほど無神経。「おまえの手、おしっこくさい」「(膀胱炎の子を心配するそよに)よかったじゃん、ガキの子守りしなくてすむし」などと心無い発言が多い。「この高校パス、だって坊主じゃん」「都会の高校行くかもしれん」でもそよの温かさにほだされ、田舎の学校に残ることに。悪い人じゃないんだけどね。 【感想】修学旅行で都会の喧騒に馴染めないそよだったが、ふと町騒が山の音と同じだと気づく。幻想的な映像と音楽が流れる。新しい世界との折り合いがついた瞬間だ。「あんたらとはいつか仲良くできる日がくるかもしらん」元気になって大沢の手をとって歩きだす。少女の心の成長の一頁を鮮やかに切り取った場面です。そよとって大沢は外部世界の象徴。彼から刺激を受けつつ、ささやかな冒険を通して、時には傷つきながらも成長してゆく姿が瑞々しく描かれています。大沢の魅力が少ないのが残念。さやを救った場面くらい。あとは接吻のおねだりばかり。田舎の人の心に触れ心が癒され、やさしい少年に成長してゆくのが理想なのですが。ロングショットによる長回しや合間に挿入される季節の映像が印象的。ラストショットは少し作り過ぎでしょうか。「扉から教室を見るさや」から「窓から教室を見るさや」への転換は見事ですが、陽光浴びるカーテンのゆらぎ、満開の桜の位置、舞う花びらなどコテコテです。きっと私の心が汚れてるからそう見えるのでしょうね。反省。不倫、ロリコン男など田舎を描くのにリアリティありましたが、映画の主題からして不要でしょう。短縮して短編映画の如き雰囲気にすれば傑作になれたかも。題名は「天然の鶏=地鶏」で田舎に自然に暮らす人のこと。ボロイラーにはなりたくなりですね。心は地鶏で居たいです。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-09 18:04:15)(良:2票)
122.  デッド・フライト 《ネタバレ》 
ツッコミましょう。 ①研究所の一人が誤って感染してしまい、彼女を救うために箱に封じ込め、極秘にパリに運ぶ途中の出来事。でもパリに入ってからどうするか決まっていない様子。だったらパリに行く必要がないと思うが。国内に潜伏すればいい。②ゾンビを閉じこめる箱がロックされていない。内から出れないように厳重に施錠する筈。 ③殺さないから出てこい、といって撃つのが卑怯。 ④死者が生き返るウイルスと説明があったが、人間を襲って食ったり、強くなる説明がない。ゾンビ同士で殺し合いはしないの?完全に食べれらちゃう人とゾンビ化する人がいる。大量失血したら動けなくはずだが。 ⑤血液感染するはずなのに、生存者の中に咬まれてもゾンビ化しなかった人がいる。 ⑥武器になりえるパターは飛行機に持ち込めない。タイガーウッズに似すぎている。パターで首は飛ばない。 ⑦問題について協議するペンタゴンの役人の人数が少ない。管制塔の従業員も数が少ない。そもそもジャンボジェット機なのに乗客が少ない。CAも少ない。 ⑧トイレの鏡の壁を破ってゾンビが飛び出てくる ⑨床を破ってゾンビ両腕が飛び出てきて、あたかも眼があるかのように人を捕まえる。 ⑩銃を乱射しても飛行機の壁に穴が開かない。 ⑪金玉撃つより脳を撃て。 ⑫戦闘機は撃墜命令を受けているのに、生存者がいるからと勝手にミサイルを爆破させた。 ⑬人間を乗せた椅子がぶつかっただけで戦闘機が爆発炎上。 ⑭生き残った人たちは不思議とゾンビのことを全く気にしていない。のんびりムード。
[DVD(字幕)] 4点(2010-06-07 09:51:43)
123.  ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 《ネタバレ》 
過去に最強の超獣を海に封印したウルトラ4兄弟。封印を解き放つため四体の宇宙人が襲来。バカな一体がメビウスに挑んで撃破される。が、Mの戦闘能力は研究される。3体でMを拘束。4兄弟が最後のエネルギーを使って変身、Mを助けようとする。だが侵略者の目的は最初から4兄弟でMは囮にすぎなかった。4兄弟は拘束され、Mは倒れる。子供との約束を守るため、Mは最後の力を振り絞り、再び変身。4兄弟を助ける。だが既に宇宙人は4兄弟のエネルギーをマイナスに変えて封印を解き、超獣を解き放った。超獣は仲間であるはずの宇宙人を殺すほど残虐で悪魔的、かつ強い。たちまち危機に陥るウルトラ兄弟。そこへゾフィー、タロウが駈けつけ、エネルギーを供給。全員でMにエネルギーを注入し、合体、Mは新タイプに変身。超獣を倒す。 サイドストーリー1は、怪獣に襲われた恐怖で自信を失った子供が勇気を希望を取り戻す話。「最後まであきらめないのが大切」「信じる力が勇気になる」「未来を信じる心の強さが不可能を可能にする」などのクサイ言葉のオンパレード。美辞麗句を並べても感動にはならない。それを物語で見せるのが本来のウルトラマン物語の筈。サイドストーリー2は、Mであるミライがなぜウルトラマンは人間のために戦うのかという問いの答えを見つけ出す話。ミライの見つけた答は「人間が好きだから」。単純すぎ!総括:戦闘シーンが多いのが特徴。超獣が強いのは見ごたえがある。が、援軍が来ないと勝てないというのはいただけない。兄弟はもっと知恵を絞らないといけない。今回は宇宙人たちの方が知恵があった。メビウスの内面の成長を描いているが、そんなことは子供たちにとって興味はないだろう。ウルトラマンはあくまでヒーローであるべきで、悩み苦しむヒーローは魅力がない。又ガイズの隊員とウルトラマンが力を合わせて成長する話にすべき。ガッツが蚊帳の外だったのは解せない。一緒に戦ってこそ両者の絆が強くなるのだ。援軍はゾフィー達でなくガイズであるべきだった。原点に戻り、単純でスカッとする「怪獣映画」のウルトラマンが見たい。4兄弟の人間体の現在が見れたのは収穫。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-03 19:15:23)
124.  紀元前1万年 《ネタバレ》 
時代考証:①巨大ピラミッド建造はBC2000年頃。大船建造も同様。②トウモロコシの原産は南米でアフリカには16世紀頃伝わる。寒冷地では育たない。③唐辛子の原産は南米で、コロンブスが1493年にスペインへ最初の唐辛子を持ち帰る。④巨鳥モアはニュージーランドに生息。⑤金属ナイフ製造はBC3500年頃。⑥馬の家畜化はBC4000年頃のウクライナ地方。⑦最古の文明はBC3500年頃のシュメール文明(メソポタミア)。その萌芽はBC9000年。⑧象限儀(天体測量の道具)、アストロラーベの発明はBC150年頃。⑨車輪の発明はBC5000年のメソポタミア。 失望:①伝説を解説するナレーションは、冒険が成功することがわかってしまうので不要。②巫女はいらない。③主人公デレーに野性味がなく、顔も身体も弱々しい。どこが伝説の男だ!ヘタレキャラである。④剣歯虎とマンモスが人を襲わない。⑤剣歯虎を助けた「優しさ」が武器となる思っていたが、単なる力業だけの男だった。⑥デレーってラッキーなだけの男。⑦中ボスが女に執着するのが中途半端。⑧父のエピソードが希薄。⑨軽装で氷山越え、砂漠越え。⑩女は目が青いだけで取り柄なし。 ツッコミ:①ラスボス弱すぎ。カリスマ性ゼロ。悪知恵が働くか、最強でなきゃだめしょ。②ラストの敵の軍隊弱すぎ。それまでは強かったのに。③遠くに投げた槍が当たりすぎ。ラスボス少しは避けろよ。④ラスボスは何故オリオンの印をもつ者を恐れるのか?⑤青い目の女が一度死んで再生したのは、巫女の呪術のおかげ?⑥「砂漠を越えて先回りする」と言っていたけど、先回りしてない。敵より後に着いてる。⑦敵城の周囲が砂漠で、樹木がほとんどない。あれではピラミッドの建造できないし、マンモスの餌もない。⑧マンモス倒すのに網はないでしょ。沼地に追い込むか、槍攻撃。⑨戦い終わって敵民族はどうなったの?改心?おとがめなし?⑨牙と対話?ハアー? 感想:マンモス、巨鳥、ピラミッド、騎馬戦闘、恋愛、神話など詰め込みすぎ。男が成長する物語になっていないので感動できず。「恐竜100万年」のように会話のない、骨太の物語ならよかった。あるいはマンモス、剣歯虎を仲間にした冒険活劇ファンタジーとか。とにかくノリが悪い、映画作りの”熱さ”がない。監督は何を伝えたかったのか?多くの謎を残したまま終了。ああ、つまんなかった。
[DVD(字幕)] 5点(2010-05-13 17:27:01)(良:1票)
125.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
CAが仕事を通じて成長する物語かと思っていたが、航空の仕事の紹介だった。全体を通じて仕事上のミスが多すぎ。あの頼りない操縦士が機長に昇格できたはずがない。CAもケーキをだめにしたり、お客さんに頼まれたことをこなせなかったり、怒らせたり。客をなだめるのにクーポン券を渡すのは疑問。今時「機長を出せ」とか、「行き先を変えろ」と騒ぐ客がいるだろうか?故障の原因はバードストライク。バードパトロールはニセ記者に気を取られていたとはいえ職務怠慢。仕事と取材は分けようよ。この人最後まで反省なし。最悪は航空マニアに指摘されるまで鳥が原因と気づかなかったこと。鳥で簡単にエアデータコンピュータが故障するとは、なんとも脆弱。操縦士はバードストライクを目撃しているのだから、直ちにシステムチェックすべき。また故障がわかるまで時間がかかりすぎる。速度を計測する気筒管の破損に気づかないなんて。故障個所はすぐに表示されるべき。速度データが取れないのに何故気づかない。残った気筒管はヒーター故障で氷って使えない。低空飛行すれば氷は解けるが、何故か燃料計算を始める。ハワイまでの飛行時間は約7時間、2時間半しか飛んでないので少し低空飛行しても引き返せるのは明白。それにスピードは管制側である程度把握できる筈。管制塔では落雷で、ほとんどの端末が使用不可に。落雷対策って基本なんですが。整備士は工具が足りないのは一目瞭然なのに工具箱を戻してしまう。整備も完全でなく、不完全なまま飛ぶ。出発ぎりぎりまで整備する体制がおかしい。整備優先のスケジュールにすべき。台風圏内に着陸させるのは論外。名古屋に行け。物語の構成上、最後にミズをカバーして、成長してゆく人間模様を描くのがセオリー。だがほとんどのミスがカバーできていない。ケーキを作ったくらいか。綾瀬と吹石はミスを取り戻せていない。飛行機も引き返してしまった。これでは感動できない。コメディなので、不時着に失敗するかもしれないというサスペンスもない。新婚旅行のバカップルやヅラネタはチープ。 笑えないのは乗客の命がかかっているから。大事故になりかねない飛行機トラブルをコメディにする設定に無理がある。ジャズやシンクロのような趣味なら笑える。完全にアンハッピーフライト。
[DVD(邦画)] 5点(2010-05-12 22:26:59)(良:4票)
126.  ワルキューレ 《ネタバレ》 
ノルマンディー上陸作戦の一月後、敗戦濃厚で、時期は熟していた。あれだけの人数が揃っているので、ヒットラー暗殺だけなら比較的容易に達成できたはず。しかし目的がクーデターであり、短時間による政府と軍の完全掌握を目指していたので、ヒムラーやゲッペルスなども同時に暗殺などと余計なことを考えて何度か機会を逃している。実行犯の大佐が新政府の要職に予定されていたため、爆発物セット後、すぐに逃げ出したが、これが最大の失敗。何をおいても、総統の生死を確認すべきだった。確認がないままクーデターを実行するのはお粗末。大佐は障害者なので、ボディチェックはほとんど受けなかった。いざとなれば総統もろとも自爆する覚悟があれば成功しただろう。カリスマ総統を倒しておけば後をヒムラーが後を継ごうが倒すのは容易である。二段構えの周到さがほしい。暗殺が失敗することは既知だが、サスペンス、緊迫感は十分伝わってきた。そこは評価できる。だが大佐の人間性の描き方が希薄だ。反ナチ思想を持つ経緯を描くべき。戦争の悲惨さも伝わらない。最後は家族の安否を心配するだけの弱い男になってしまっている。彼の兄も連座して処刑されたが描かれていない。夫人と五人の子供はどうやって生き延びたのか?他に関係者6~700人が粛清され、ロンメル元帥も自殺。これらの人の死に大佐たちは責任があるだろう。「計画は失敗したが、彼らの目的は戦争をやめることであり、命をかけた彼らは英雄である」という単純な考えはできないだろう。後半、総統が姿を見せないのは、サスペンスを重視した脚本構成の所為だが、史実を描きたいのなら、総統側の様子も見せるべきた。一方だけを描いても真実は伝わらない。総統のカリスマ性も対等に描くべきだろう。「史上最大の作戦」のように敵味方、両側を描けば、より見ごたえのある映画になった。大佐の人間ドラマをより深めれば「シンドラーのリスト」のような深みが出た。「暗殺=テロ」なので、現代人にとって彼らの行動を無条件に賛美することはできない。歴史の正当な評価は時代と共に変わる。そんなことを考えされられた。
[DVD(字幕)] 6点(2010-05-09 23:57:27)(良:2票)
127.  スパイダー パニック! 《ネタバレ》 
この手の映画にコメディテイストはいらないのではないだろうか。息抜き程度のものならいいが、おちゃらけすぎるとシラけてしまう。不要の最たるものはイカレDJ。蜘蛛が巨大化したのは有害廃棄物の所為とするが、安易すぎる。理由を明確に説明する必要はない。ひたすら恐がらせればいい。ジョーズ、エイリアン、ジュラシックパーク、ザ・フォッグなどのシリアス路線をとればいいのにと思う。テンポもよくない。最初に子供が大グモを発見するが、みんなに認知されるまでに時間がかかりすぎる。悪徳市長の息子もバイクで逃げてから、次に登場するまでに時間がありすぎる。主人公のクリスはもっと強く、リーダーシップがあり、知恵が回る人物にすべきだろう。町を出た経緯、戻ってきた理由もよりシリアスにした方がよい。クモも一匹を丁寧に描写した方がよかった。最初から沢山出すぎである。また弱すぎる。銃で撃たれるとすぐに死んでしまうので恐くない。もっとしぶとい生命力があるはずである。子供がクモのことをよく知っており、静かにすることや香水などのアイデアを出す。これはよかった。そもそもの原因は有害物質を秘密裏に埋め立てていた市長の所為なのだが、それが罰せられず生き残るのはいかがなものか。出口に鍵をかけ、一人だけ逃げ出したという卑劣な人間でもある。また爆発した所有鉱山も保険が出るという。バカ息子も生き残る。悪者が殺されてこそカタルシスが得られるのだ。煙草おばさんが金鉱脈を発見するが、あんなわかりやすいところにあるのなら、誰も気づくはずである。クリスが保安官に何度も言おうとして言えなかったことも肩透かし。たわなさすぎる。誤解を解いて、愛を告白して結ばれる展開などにすべきだったろう。メタンガスのアイデアはよかった。
[DVD(字幕)] 4点(2010-05-09 08:54:48)
128.  容疑者 室井慎次 《ネタバレ》 
殺人犯が判明するプロセスが抜けているので、ミステリーとしては評価できない。ここが最大の欠点。警察内の権力争いに力点を置いているが、この点において結局は何の進展もなく、中途半端。室井慎次という人間を描けているかといえば、恋人のエピソードくらいしか出てこない。逮捕されたら普通家族が出てくるんだけど。この人、孤児?恋人だけど、あの状況で自殺はないでしょ。難病、不治の恋人のため、学校やめて看病、ハァー?それをやめさせるために自殺?ありえません。それにこの人、不自然なほど無口。もっと自分を弁護しようよ。守るべき警察のためにもね。それにしても警察幹部の弁護士が新人女一人だけなのは何故?後で老弁護士が加わったけど、役立たず仕舞。冒頭、巡査が殺人の容疑者として取り調べを受けているが、その容疑の根拠が示されていない。脚本の手抜きですか?その取り調べが36時間連続で、しかも交番に大勢の刑事が押し掛けてみんなで公開尋問している。なんてシュールなんでしょうか。脚本家はド素人だね。殺人依頼の少女は高校生?夜の学校に行くのは何故?二股交際が面倒くさいから交際者の一人を殺人?巡査はどうしてだれが犯人で、少女が依頼者と知ったのだろうか?知ってたからかばったんだよね。悪徳弁護士は室井に取引をもちかけているが、どうして?告訴を取り下げて何の得があるのか?重いテーマの映画だが、こんな疑問だらけな脚本で感動を得られるはずがありません。エンディングの二人の会話も意味不明でした。二人に愛情が芽生えたのでしょうか?というか、悪徳弁護士は違法取引で懲戒免職になったのか、そっちの方が気になるんですけど。この脚本家を容疑者として調べたい。
[映画館(邦画)] 4点(2010-05-08 08:05:43)
129.  相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 《ネタバレ》 
相原は本当に刑事なのか?捜査のイロハがわかっていない。ただやみくもに怪しそうな人物にぶつかってゆくだけだ。熱血漢ではなく、愚か者です。したがって「推理物」としての魅力はない。さりとて、コメディでもないし、社会派ミステリーでもない。底の浅い、中途半端なものだ。犯罪が1つしか発生しないのが中だるみの原因です。米沢は言う。「物証がすべてですから」だが、やることは証拠を求めてビルに侵入すること。「羊頭狗肉」「言行不一致」とはお前のことだ、語るに落ちたな!と、言いたくなるほどの作品でもない。もともと思い入れがないので、期待値が低いわけです。ある意味得をしている映画かもしれません。で、侵入現場に課長が現れて、証拠品が見つかるという展開は、火サス以下の展開。二人は犯人を誤認しており、真犯人が口をすべらせたのは全くの偶然。犯人があの人だったとして、女が盗聴器を仕掛けますか?殺人を犯した犯人が、刑事が調べ手に来たとき、よけいなことペラペラしゃべりますか?「意外な犯人」を無理やり作った印象がぬぐえません。被害者の日記を保存しておいたのも不自然。税金の無駄遣い、天下り、セクハラなどが浮き彫りにされた青防協の課長や理事長の行く末は暗示されるにとどまっており、カタルシスを得られない。社会派ドラマとしても中途半端。異質の夫婦愛を描くのには成功していると思います。ただそれも顔がそっくりで、名前も同じ、元女房という「偶然」の上に成り立っているもので、安っぽいですね。やはり「あっと驚く物証」で勝負してほしかったです。
[映画館(邦画)] 4点(2010-05-08 04:14:54)
130.  1リットルの涙 《ネタバレ》 
単に「難病もの」といってしまっては身も蓋もない。原因も不明で治療方もない難病と戦った少女の魂の日記が原作。そこには五体満足で当たり前に生活する人々には想像もできないような苦悩、葛藤があったはずです。少女が短命で終わったのは既知なので、興味本位的な観賞はできない。不幸といってこれほどの不幸もないだろう。思春期真っただ中の14歳で罹患。志望校に入学できても、高校一年生で養護学校に転校しなければならないほどの重症に。一生懸命勉強したのに大学進学も断念。「保健士の母のような人の役に立つ職業につきたい」という夢も潰えた。リハビリの先生との淡い恋もはかなく散った。「なぜ病気がわたしを選んだのか」「なぜ私にだけ不幸がふりかかるのか」、主人公の亜也は何度も自分の運命を呪ったのに違いありません。しかし絶望はしなかった。彼女が生きるあかしとして綴った日記を残してくれたおかげて、我々は彼女のことや、病気のこと、家族や友達、先生たちのことを知ることができる。ありがたいことです。さて映画の出来ですが、これは不出来です。こういった映画では、登場人物の感情の揺れをいかに表現するかが出来の善し悪しに関わってきます。演技も大切ですが、タメ、アップ、涙、音楽などの演出効果も重要です。つまり「ここぞ」という場面での「感動を与える演出」が必要なのですが、この作品ではそれが欠けています。脚本は悪くなく、母親の献身的な態度、心やさしくてくれた友達、尊敬する女医との交情、親切で情に熱いパン屋のおばさんなど、泣かせどころはたくさんありました。命をふりしぼるようなセリフひとつひとつに対応する演出方があったはずです。あまりにも淡々と流れていなかったでしょうか。監督の力量が問われるところですね。というわけで、残念ながら、いまひとつ感情移入できませんでした。難病の少女を演じきった女優さんには拍手です。
[DVD(邦画)] 6点(2010-05-07 21:20:23)
131.  MW-ムウ- 《ネタバレ》 
米軍が秘密裏に島で殺人ガスを製作。ガスが漏れて島民多数死亡。発覚を恐れ米軍は残った島民を殺害。島を出ていた島民には秘密を守ることを条件に出世コースを用意。結城と賀来だけは奇跡的に島を脱出、生き残った。賀来は神父になる。ガスを吸って余命少ない結城は復讐を決意。復讐するとしたら普通は、MWの存在を明らかにして米軍と日本政府の陰謀を明らかにすることだが。彼の矛先は少し違う。まずMWの謎に迫った新聞記者を殺し、生存した島民も次々殺した。MWがあることを知ると、強奪してテロ組織に売るという。コイツはアホですか?余命ないはずですよね。どれもこれも行き当たりばったりでつまらない。刑事を呼び出して殺すのなんて愚の骨頂。賀来に罪の意識をきせる意図らしいが、意味をなしてない。悪を悪として描ききれてないので、復讐物語が成立していないのです。①娘をタイで誘拐して現金強奪するなど手の込んだことをする必要はなし。さっさと殺せばいい。自白させて情報を得ようとしないのは何故。②本部長に横領の罪をきせる理由がない。自白させ、さっさと殺せばいい。③結城は部屋に何故あんなに大金を持っているの?お金は政治家に渡したはず。④結城の部屋に指紋がひとつも無いのはありえない。⑤そもそも孤児の結城は大手銀行に就職できないと思う。⑥結城は政治家になかなか復讐しないのは何故?ザコばかり殺しても意味がない。⑦事件の真相に迫った川村記者を殺す必要なし。⑧事故死した川村記者は何故スクープの内容をデスクに話しておかなかったのか。⑨島の貯水池にはMWはなかった。なのに米軍のヘリがいきなり機銃掃射するのは不自然。⑩米軍基地であんなに簡単に秘密兵器を奪取できるはずがない。⑪神父さん、髪を切れや!⑫あの刑事は不自然にカンが働きすぎ。⑬煮え切らないラストがいや!結城は余命がなかった筈じゃないのか!
[DVD(邦画)] 4点(2010-03-10 22:54:49)
132.  感染列島 《ネタバレ》 
ある病院で新型インフルエンザが発生。病人を診察した松岡医師とWHOから派遣された栄子は元恋人同士という少女漫画的設定。松岡は病院をほっぽり出して、感染源の家族の家に聞き取りに行ったり、感染源を調べにミナス島に行ったり、恋人のいる長野へ行ったり、ありえない展開のオンパレード。■日本に病原菌を持ちこんだのは、立花(嶋田久作)医師だが、彼は日本にいる間に発症し、吐血していた。それなのに外国のミナス島に感染源を調べに行っている。発症したら二日も持たない筈だが。それにウイルスのことを誰にも知らせないのはどういうことだ。医者ならすぐに日本へ電話しなさい!というか、日本にいたときに診察を受けなさい!手記を残すならメールしなさい!■感染者が日本人だけなのはありえない。国国際社会なのだから。鉄道が止まって日本中の交通機関やさまざまなインフラ、経済活動がマヒしているそうだが、だったらその様子を詳しく描写すべきだった。恋愛に割く時間があれば、そのような描写に力を入れるべきだったと思う。それがテーマの映画なのだから。政治家などもだすべきだろう。■ウイルスはなかなか発見できなかったが、民間学者の竹中はすぐに発見できた。その理由を説明して欲しい。単純に電子顕微鏡で見つかるのなら国際機関ですぐに見つかっているはずだ。■感染、発病、死亡に至る経緯が詳しく説明されていない。ミナス島では何人かの人が血を吐きながらゾンビのように生きていた。■演技力や演出に問題がある。みんないつも髪の毛サラサラで、顔色もいい。疲労困憊の姿が見えてこないのだ。松岡と栄子の最後のシーン。自動車がガス欠⇒病院へ走る⇒栄子心拍停止⇒松岡がDC治療⇒栄子意識戻る⇒栄子死亡⇒松岡無医師村へ勤務、という流れ。脚本に作為がありすぎて好感が持てない。栄子は感染しているのち治療をするのにも問題あり。栄子の行った血清療法で、中学の女の子は助かるのに、栄子は失敗という矛盾。栄子が医者を目指した理由とか、「明日地球が滅びるとも、君はリンゴの木を植える」というマルチンルターの言葉にしても、きれいごと過ぎる。だからリアリティがないのだ。この種の映画ではリアリティがあるからこそ、恐怖を感じるのだ。■感染すれば目、鼻、口から吐血するという過激な演出をしていても、死亡者1200万人というパンデミックの悲惨さは伝わってこない。主人公に演技力がないせいもある。
[DVD(邦画)] 5点(2010-03-07 11:07:50)
133.  チーム・バチスタの栄光 《ネタバレ》 
医療事故に見せかけた連続殺人事件という重いテーマを扱っているが、コメディタッチというのはどういうことか。田口医師が手術を目撃して恐怖をまざまざと体験したり、垣谷医師がはじめてのバチスタ手術に成功して、緊張感から解放されて後ろに倒れこむという印象的な場面があった。命の重さを十分に表現できている。一方で、ソフトボールの試合に乱入したり、うどんをおかずにそばを食べたり、容疑者を動物でたとえてパズルにしたりしている。バランスが悪いのだ。■犯人の殺人動機が「娯楽」「カーニバル」ということらしいが、そういう心情に至る経緯が全く触れられていないのが最大の欠点。まじめに勤務していた医師がある時期から快楽殺人を実行するわけだが、その怪物のような人物像に全く迫らないというのはおかしい。仕事が忙しいくらいしか触れられないのは理解に苦しむ。人間を描く努力をしてほしい。忖度するに原作者は「うまい殺人方法」は考えついたものの「うまい動機」は考えつかなかったのだろう。社会はミステリとしては失格である。■半分しか見えない目で手術を行った桐生医師は無罪放免というのも納得がいかない。「お二人のやられたことは立派な殺人です」と白鳥が啖呵を切っていたが、その言葉はどうなった?それより田口と白鳥は桐生の目の下半分が見えてないとどうやって看破ったのだろうか?心臓の切開場所を人任せにしているからとのことだが、本当に見えなければ手術などできないではないか。それに患者は手術中にすでに死亡しているわけで、それなら体温低下などの何らかの異常が見つかるはずだ。手術の様子は映像に収められているので、犯人は人工心肺医師か麻薬医師とすぐに察しがつくと思うが、どうだろうか?■院長にしても、目立ちたがりやの医師にしても、ウソ泣きの看護師にしても、登場人物全員が薄っぺらい。■聞き取り調査が被疑者の人物像を浮き立たせる肝と思うが、あっさりしすぎていた。謎が謎を呼ぶような展開、雰囲気が欲しかった。謎解きの二段落ちは評価できる。いずれにせよ、このような病院で手術は受けたくないものである。
[DVD(邦画)] 5点(2010-03-05 08:16:03)
134.  劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー 《ネタバレ》 
背景となる世界観が把握できなかった。内容がダークすぎる。正義の味方とおもっていたら悪の首領だったとか、妹が唐突にショッカーの親玉になるとか。裏切りに次ぐ裏切り、ディケイドの態度もコロコロ変わってしまい、混乱させられる。ショッカーの隊員が砲弾のように空を飛び、ビルを破壊し、人々を殺戮するシーンはやりすぎ。こういった変身ヒーローものはスカっとした明るさが欲しい。白は白、黒は黒とはっきり区別することで安心して見ていられるのだ。ショッカーもライダーも巨大化してしまったら、まるでウルトラマンになってしまう。いくらなんでも暴走しすぎだろう。ヤケにならないで、真面目に脚本考えてほしい。■夢の仮面ライダー対決を実現させたのは手柄だ。だが、死んだはずのライダーがすぐに蘇って、大ショッカーと戦うのは強引すぎ。きちんと話の整合性をもたせよう。イカデビルの老人もしかり。子供向けだからといってテキトーな脚本でもいいと思っているのなら、原作者に失礼だ。■夏海は何の活躍もしないね。かわいそ。
[DVD(邦画)] 3点(2010-03-05 00:29:20)
135.  レミーのおいしいレストラン 《ネタバレ》 
ネズミのレミーがシェフになりたい夢を実現する話。奇想天外でおもしろいです。彼には才能があり、努力もし、困難にへこたれないガッツがあります。夢をあきらめかけたとき「自分自身でいいんだよ」と幻のシェフに励まされ、「僕はシェフだ」とレストランに駆け戻るシーンは感動的でした。家族との絆、父親から認められることなども描かれています。ですからこの路線を最後まで突っ走ればよかったのです。しかし「料理は誰でもできる」という主題があり、これが諸悪の根源です。つまり「料理はネズミでもできる」ということになり、ついてゆけません。毛深いねずみ達が作った料理は誰も食べたくないでしょう。区別は必要です。口に入るものなのですから。その結果グストーの店は閉鎖、小さなレストランで隠れて料理するというしょぼいオチです。ハッピーエンドじゃありません。ねずみが人に指示して料理を作らせるというところに留まればよかったのです。そしたら楽しく見れました。それにリングイニは料理ができないままですよね。彼はグストーの息子なのに矛盾してます。やはり選ばれた者しか料理はできないのです。彼の隠れた才能をレミーが導き出すことはできたはずです。彼は労せず遺産で店を手に入れて天狗になり破産。最後まで料理はレミー頼り。彼の成長が見られないのが最大の欠点です。彼に何かになりたいという志があってもよかったはずです。恋愛も付け焼刃的で、祝福する気にはなれません。偶然キスされただけで相手を好きになるなんて、女性を馬鹿にしてます。彼はただ職を得たいだけで終わってます。また料理評論家との勝負があるものの、他の料理人との料理対決がないのも残念なところ。「おいしい映画」とはいきませんでした。悪役シェフはグッジョブ。
[DVD(吹替)] 5点(2010-03-04 14:52:42)(良:1票)
136.  つみきのいえ 《ネタバレ》 
町全体が海に沈んでおり、海面がどんどん上昇しているようです。船で物資が届けられるので、人間社会は崩壊してなさそう。おじいさんは家族との思い出を大切にしながら余生を送りたいので、あの家を敢えて離れないのですね。というか町全体に愛着があるようです。子供時代から住んでいるふるさとだから。そして愛する妻との恋愛の思い出もある。幼馴染というところが泣かせますね。生涯一度の恋を貫いた理想的な人生だったのですが、老後は悲劇的です。それにしてもまあ、奇妙な生活ぶりで、悪くいえば偏執的傾向のあるご老人ですね。これは言い過ぎでしょうか。長年の孤独がご老人をそうさせたと解釈しましょう。■海面が上昇するに従って、上階に改築を重ねていったのでしょうか?であれば床下にドアがある奇妙な構造の説明がつきますが。しかし階下には家族の思い出が詰まっています。海面上昇に遭いながらも、何十年かは一緒に住んでいたのかもしれません。家族が水禍で亡くなってしまったと考えれば、老人の気持ちもさらに理解できようというものです。ご老人はあの家で死を迎えるつもりですね。心は家族との思い出に水没しながら。思い出にふけること以外に何の楽しみもないご老体を見るのはつらいです。最後は前向きに生きる姿を見たかったのは無いものねだりでしょうか。希望がないアニメに思えてしかたありません。■地球温暖化へのメッセージが込められいるという意見があります。たぶんそうでしょう。町全体が徐々に海底に沈むことは歴史上稀有なことですから。老人は人類を恨んでいるのかもしれません。それでさらに孤独が増した考えれば、よけい同情しますよ。■「汚れなき子供」向けのアニメを「汚れある大人」が鑑賞すればこんな感想が出てきます。ああ、わが心の中の汚れの海面も上昇しているようです。子供のときに観たかった。
[DVD(邦画)] 6点(2010-03-04 12:16:17)
137.  モンスターVSエイリアン 《ネタバレ》 
地球の危機とか、町が壊されるとか、イカ型宇宙人とか、安直すぎる。キャラの造形もシナリオもギャグも、決定的にオリジナリティに欠けるのだ。お笑いは、ゼリーモンスターがおいしいとこ取りだったが、他のキャラは笑えなかった。ただムシザウルスが蝶に変身して皆を助けにきた場面だけは感動しました。このアイデアは新鮮でした。■他の映画のパロディはもう飽きましたよ。スーザンが自己犠牲で再び巨大化するところが感動どころでしょうが、予定調和に惰してます。危機が危機には感じられない。どこかで見たような場面ばかり。■婚約者とのやりとりも感心しない。この手のものは、やはり恋のハッピーエンドにした方が後味がよい。
[DVD(字幕)] 5点(2010-03-04 11:19:26)(良:1票)
138.  20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗 《ネタバレ》 
1章は謎が謎を呼ぶ展開でそこそこ楽しめました。でも2章で失速。1章の主人公がいなくなりますしね。「ともだち」教団が信者を増やしてゆく様子が描かれていません。ここが重要なところなんですがね。これが無いので、胡散臭さが目立ちます。普通あんな覆面の男のいうことなんて誰も信じないでしょう。リアリティがゼロですね。「世界が滅亡します。自分を信じる者だけが生き残る」なんてバカです。空中浮遊を舞台袖で手伝っていた人までが信じますが、どういうことなのか?「復活劇」は噴飯ものです。第3章は少しマシになります。筋道立てて伏線や謎が一応丁寧に説明・解決されています。■悪役の心の闇も描かれています。でも自殺志願の少年が、世界征服・人類滅亡を本気で実現しようとするでしょうか?それも子供の書いた「預言書」そのままの筋書きで。漫画だとバーチャル世界なのでいいんですが、実写でやられると違和感大ありです。カツマタ君は美人の恋人がいて子供もいます。大人になって幸せをつかみ取ったはずなのですが。オペラ座の怪人のように「異常な人間」にすれば相応しかったのですが。■70年代のテレビ、マンガ、アニメ、ときわ荘、万博などの小ネタが満載で、にやりとさせられます。遊び心満載ですが、これはシリアス映画なのでそぐわない気がします。おバカ映画なのか、シリアスものなのかはっきりして欲しいですね。世界征服、人類滅亡という壮大なテーマで、実際何億人もの人が死にます。世界中でパニックが起こっている筈なのに物語は東京ばかりで、とてもチープな印象。コンサートシーンもつまらない。巨悪に立ち向かう正義の味方の反抗がばからしいほどちゃちくて、うんざりします。もっと頭を使った頭脳戦を見たかったです。インターネットが出てこないのも不思議。■ところで最後、バーチャルアトラクションで主人公が犯人の子供に謝罪しますが、これに何の意味があるのか?
[DVD(邦画)] 5点(2010-03-03 23:25:01)
139.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
キャメロン監督は前作「タイタニック」のあと、ドラマ「ダークエンジェル」を製作して一線を退き、3D技術の開発に意欲を燃やした。苦節10年で技術が完成、ようやく製作された本映画。予告ではダメ映画の予感がしたが、実際観てみると驚嘆するほどの出来栄えに溜飲が下がる思いがした。脱帽である。娯楽性と芸術性、人間ドラマが融合した完璧に近い脚本に拍手。バランスの取り具合が絶妙なのだ。ハリウッド娯楽SF作品によくあるジョークやおしゃらけなど微塵もない真摯な作品で、どちらが善悪ともいいがたく、自然と共生するとはどういうことかを深く考えさせる哲学的な要素が作品に深みを加えている。脊髄損傷で歩行できない主人公が、アバタープログラムにより、自由に動けるようになり、新し人生に踏み込むという設定がよい。それだけでカタルシスを得られるのだ。トルークマクト(大龍)や父から貰う弓矢などの伏線もうまい。そしてキャメロン監督が得意な、しつこいほど続く戦闘シーンも健在で嬉しくなる。これが成功の第一の要因。次は美術。異星の多種多様な生物群、自然景観が美しい。どれも独創性が高く、大変洗練されている。龍に乗った飛翔シーンだけも一大スペクタクルである。これを見るだけでも価値があろうというもの。そして3D技術の見事さ。映画史上に残る金字塔を打ち立てたと思う。3D元年と言われるが、これを超える作品がいつ出てくるのやら。2Dを含めても、何年も待たされそうだ。■不満もある。「もののけ姫」「ナウシカ」「ダンスウィズウルブス」のいいとこどりのように見える。大佐やおばか上司など悪者キャラが典型的すぎる。もっと人間味を出せばずっと良くなった。彼らの言い分に斟酌すべき要素を持たせ、時に良心の呵責を起こさせるなど人間臭さを出すべきだったろう。これでは「もののけ姫」「ナウシカ」の表面しかなぞっていないと言われても仕方がない。力と力の戦いになりすぎているのは残念。自然と人間との戦いという要素がもっとあれば、壮大な抒情詩になっただろう。樹同士のネットワークや女博士が死んでエイワと一緒になったなどの伏線は張られていたのだから。動物たちが援軍に来るだけでは物足らない。最後は大団円というわけではなく、あれではまた地球から攻めてくるなと不安が残る。続編への伏線なのだろうか。■文句なしの10点。この映画を映画館で見たことを誇りに思います。
[映画館(字幕)] 10点(2010-03-03 13:11:40)
140.  カンフー・パンダ 《ネタバレ》 
弱いパンダが、偶然龍の戦士に選ばれ、修業の果てに龍の巻物の奥義を極め、悪者タイロンをやっつけて町に平和をもたらす物語。パンダのヘタレ、弱さぶりは随所に描かれていて、そこは笑いのツボ。だがどうやって強くなったかは誰も説明できないだろう。シーフー老師のあみだした独自の修業メニューでは、さほど強くなったとは思えない。事実タイロンの前に登場したとき階段登りで疲れていて、息も絶え絶えとなっていた。龍の巻物には何も書いておらず、自分を信じろということでしかない。釈然としないままに映画は終わる。物語のもうひとつの軸は師弟愛だろう。ウーグウェイ導師とシーフー、シーフー老師とタイロン、マスター5、パンダの師弟愛が描かれる。タイロンが堕落した理由が龍の戦士に選ばれなかっただけというのは弱い。タイロンは孤児で、シーフーに育てられ、修業を積んできたのだから、簡単には裏切れないはずである。パンダも決闘が終わった後、シーフー老師のことを忘れていた。このあたりがちぐはぐではないだろうか。第三の敵を用意して、回心したタイロンと共に戦う展開であればよかっただろう。見どころは吊り橋での決闘シーン、これは迫力があった。竹馬、箸などの小道具を使ったセンスにも感心した。決闘ものとして見た場合、次の弱点がある。①敵がタイロンがひとりだけ。何万人もの敵と戦う回想が前半あったのに。②マスター5の見た目が弱い。女もいるし、カマキリやツルはいかがなものか。サイの方がずっと強そうだった。③必殺技がない。指固めは見せなかった。④敵の目的がさほど邪悪でない。強くなって国の支配をめざすなどの動機づけが欲しい。⑤自己犠牲などの感動場面がない。■最後に、父親アヒルとのからみはほのぼのとして温かみがあった。父親の言葉が、龍の奥義の秘密のヒントにもなった。いい味出してます。あのラーメンは食べたいと思った。
[DVD(吹替)] 5点(2010-02-28 19:48:20)(良:1票)
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