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プロフィール
コメント数 405
性別 男性
ホームページ https://camuson.exblog.jp/
自己紹介 自分のブログに映画や本の感想文を書き溜めておりましたが、読まれることが絶無のため、こちらに出張しております。
もし興味がありましたら、弊過疎ブログにもお越しください。

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121.  戦場のメリークリスマス 《ネタバレ》 
公開当時、劇場には見に行かなかったのですが、姉貴所有の坂本龍一による同名のサウンドトラックおよびピアノヴァージョンの「CODA」が録音されたカセットテープを聴きまくりました。インストゥルメンタルをじっくり聴くということに目覚めたきっかけでもあり、音楽作品として相当な思い入れがあります。また、何故か写真付きのシナリオ本も家に置いてあったりして、音楽と台本と静止画からイメージを膨らませていました。テレビ放映で部分的に見たことはあると思いますが、公開から30年以上たって初めて通して鑑賞することに。内容としてはジャワ島の日本軍外国人俘虜施設での日本軍兵士と外国人兵士の交流を描いているのですが、とにかく理解しづらいの一言に尽きます。ローレンスとたけし、デヴィッド・ボウイと坂本龍一の2つの関係が軸になっているのはわかるのですが・・・ある程度背景や事情がわかるはずの日本人が見ても、作家の意図を酌むことが難しいので(少なくとも私にはできなかった)、いわんや外国人をやです。多くの外国人を含む演じ手達が、作家の意図がわからず、迷いながら演じていたのではないかと邪推してしまいます。前作「愛のコリーダ」でも感じたのですが、この作家は、印象的な構図の絵をつくるのには長けていると思うのですが(首に敬礼のシーンや、最後の顔アップとか)つなぎや流れがいまひとつで、狙ってる感が出てしまうんですよね。と言うのが、英語が聞き取れない日本人が、日本語字幕の無い北米版blu-rayで見た感想です。また、音楽は大好きなのですが、BGMとしては音楽が勝ちすぎていると思いました。赤道直下、熱帯の中の熱帯と言っていいのですが、その割には映像がおとなしく、絡みつくような蒸し暑さなどが感じられないのです。饒舌な音楽がその現実感の無さに拍車を掛けているような気がします。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-10-12 19:09:41)
122.  おっぱいとお月さま 《ネタバレ》 
弟が生まれて、母親のおっぱいを取られてしまった4、5歳くらいの男の子が、旅芸人(踊り子)のフランス人女性のおっぱいに恋をするという物語です。人で埋め尽くされた路上に、5層、6層に及ぶ組体操による人間の塔がつくられるシーンから始まります。各塔、最上段に子供が登るのですが、主人公の男の子もその登り手の一人として登場します。冒頭から、絵的な面白さに加えて、地域に根ざす人々の風習の奥行きが感じられて、作品世界にぐっと引き込まれました。見てすぐに、これはいい映画だなと思いました。子供の目線、視野で捉えられる狭い世界を丁寧に描いていて、登場人物達はユーモラスにフェティッシュに、ごく自然にキャラが立っていて、見ていて安心感があります。主人公の男の子が、ヒロイン(フランス人女性)に町で出会ったとき、彼女は、いきなり、前をはだけて、おっぱいを露わにしたりします。いつのまにか主人公の妄想シーンに切り替わっていたようです。こちらは準備ができていないので、結構驚きます。サプライズエロですね。けしからん妄想だとは思いますが、いかんせん、子供の妄想ですから、仕方がないというか何というか。なにせ子供の妄想ですから仕方なく甘んじて受け入れたいと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2023-10-12 18:55:11)
123.  瞳の奥の秘密 《ネタバレ》 
長年勤めた検察官を定年になった男が、持て余す時間を使って小説を書こうとするところから物語は始まります。小説のネタは、25年前に捜査にかかわった殺人事件。そして、映像は25年前に切り替わり、書かれつつある小説の内容(捜査の内容)をなぞっていくこととなります。犯人を捕まえた後に一悶着あり、主人公は、何者かに襲われることとなります。殺されてはたまらないと、気になっていた女性上司を置いて一人逃亡し、事件はそのままに。小説の終わり方としては、尻切れトンボで、別れのシーンも取って付けたような、お約束的感動シーンなのですが、事実に基づく以上、それ以上展開の仕様もないといったところです。小説世界から現実に戻り、やはりどこか気にかかるのか、当時の関係者の消息を確かめることに。そして25年を経て、事件の裏側に隠れた秘密を垣間見る・・・と言ったストーリーです。渋い、渋すぎる。大人による大人のためのサスペンス。主人公も渋いのですが、女性上司の魅力が何とも言えません。頭が良く芯が強くどっしりしてるのだけど、清楚な感じでもある、日本映画には出てこないタイプですね。映像もしっとりと落ち着いていて、それでいて、キビキビしたカメラ割りでテンポ良く進んでいく感じです。
[DVD(字幕)] 8点(2023-10-12 18:49:30)
124.  ワルシャワの柔肌 《ネタバレ》 
確実に勝手な邦題をつけてそうなので原題を調べてみました。原題は「Szamanka」でシャーマンという意味です。原題にあるとおり、古代シャーマン(呪術者)の研究者が男主人公で、見た目はちょっとザッケローニっぽいです。女主人公は機械工学科の学生のようですが、近年の鬼束ちひろを彷彿とさせるようなイッちゃてる感があります。基本的にはこの2人がヤりまくるという内容です。邦題から受けるイメージとは全く違い、相当なキチ○イ映画です。柔肌なんてものは存在せず、肉のぶつかり合い、というかむしろ骨のぶつかりあいですね。女性が骨張った体格なので。色気は皆無で、まったく勃たず、男主人公、ひいては白人男性一般はえらいなぁと感心してしまいました。とは言え、そのキチ○イぶりが、思わず笑ってしまえるところまで行き着いていて、結構楽しめます。凍てつく鉛色の空と重工業のイメージ(溶鉱炉や汚ねえミンチ器?)など、重厚な画面が印象的です。音楽の使い方も印象的で、重厚な音楽を急に止める手法を多用し、高揚、恍惚、倦怠が交互に押し寄せてくる感じがうまく表現されていると思います。
[DVD(字幕)] 7点(2023-10-12 18:45:18)
125.  トレマーズ 《ネタバレ》 
NETFLIXでおすすめされていたので視聴することに。特に新規性のないモンスターパニック映画ですが、大枠においてはお約束通りという新規性のなさが、変な背伸びなどをすることなく、等身大でつくり手がつくりたいものをつくる姿勢につながり、逆に功を奏しているなと思いました。何かしらの小難しい新規的な設定などがあると、それをスポンサーや視聴者に理解させるために、説明過多になって、作品としてのバランスを崩すというのは、結構ありがちな失敗だと思いますが、そいういったものとは全く無縁の、B級映画の模範作と言えますね。多少チープながら手作り感の残るモンスターの造形は、むしろ生物的な生々しさ、生臭さ、存在感を感じさせるもので、CG全盛の今となっては新鮮さすら感じさせます。カラッカラに乾いた砂漠、スカッと晴れた空、軽妙な会話のやり取りが、悲愴感を緩和していて、他の同類作品にはあまりない味が出ています。あまり戦力にならないちょっとうるさい感じの爺さんが食われた後、まあ、もちろん食われないに越したことはないけど、むしろ都合よかったんじゃね?他の誰かよりは。盛り上がりも必要だし・・・くらいに感じている自分に気付かされました。よくない映画ですね(笑)とてもイイと思います。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-10-11 18:58:56)(良:1票)
126.  盲獣 《ネタバレ》 
江戸川乱歩の原作は未読です。この世にまたとない触覚の芸術を模索する全盲の男と、監禁される女モデルの話。女を監禁する倉庫を改造したアトリエの壁からは、人間の各部位をかたどったオブジェが生えるように並んでいて、床一杯に巨大な女体の仰向け像、俯せ像が埋め込まれています。その女体の丘の上を、監禁された女と盲人男が追いかけっこをするという意欲的にアバンギャルドな作品です。盲人役の風貌やオーバーアクションを交えた熱演が、なでしこの佐々木則夫監督に似ているなぁと思ってみていたのですが、途中でやっとこ船越英二であることに気付きました。まあ、誰が誰に似ているとかの話は低俗なのでここらへんでやめにしておきます。序盤は丁寧につくられていて面白いと感じたのですが、終盤のモデルの心変わりに説得力があまりなくて、そこからの異常性愛へのエスカレートに、気持ちが付いていけない感じでした。
[DVD(字幕)] 6点(2023-10-03 18:41:21)
127.  アラビアのロレンス 完全版 《ネタバレ》 
第一次世界大戦下の中東紅海周辺が舞台。主役のイギリス軍人のロレンスは、軍事顧問としてアラブの部族を率い、アラブの開放を名目に、オスマン帝国軍を襲撃し、着実に戦果を挙げていきます。しかし、部下を亡くす失意の中でも、人を殺すことに興奮を覚えている自分に戸惑いを感じるようになり、これに、イギリス本国の方針(三枚舌外交)との齟齬や、オスマン軍に捕まり、受けた拷問のトラウマなどが加わり、精神がただれて、イっちゃった人になっていく様子を、雄大かつ苛酷かつ清浄な砂漠を背景に、異国情緒趣味を前面に出さない渋めの演出で描いています。丁寧につくった良い映画だと思うのですが、扱っている史実が複雑で、こちらが疎いということもあり、3時間半と長い割りに、背景が読み取りづらく、感情移入もしづらく、感動のしどころもわかりづらいんですよね。たぶんスルメ的な味わいなのだとは思うのですが。イメージしづらい一次大戦の中東戦線を知るきっかけとして、イギリス側視点で脚色されているものの、有用な作品だと思います。特典のメイキング&インタビューが面白かったです。気温が高くフィルムに黒いシミができてしまうとか、太陽を撮ろうとするとフィルムが焼けてしまうとか。完全版の作成に奔走したスピルバーグが、まだ若々しくて、本作の1ファンとして、目を爛々とさせて本作のすばらしさを語っていたのが特に印象的でした。
[DVD(字幕)] 7点(2023-10-03 18:39:16)
128.  天国の口、終りの楽園。 《ネタバレ》 
メキシコの金持ちのドラ息子(高校生くらい)の親友同士2人が、いけ好かない従兄弟が不在時のスペイン人嫁を誘って、口から出任せの実在しない穴場ビーチを目指してドライブをすることに。その道中でスペイン人嫁のビッチモード(モード反転・裏コード ザ・ビッチ)が発動し、ヤりまくるという作品です。登場人物すべてが、感情まかせで、もはやギャグの領域に入っているので、爆笑できます。海の家の酒場でのバカ騒ぎは、特に笑えました。特典映像の日本公開時来日インタビュー(監督+ドラ息子役の片方)が面白かったです。日本公開版でぼかし(モザイク)が入っていたのを見て、2人ともバカウケしたらしく、その話をしているときも大笑いです。基本的にいい奴らなんだなと思いました。彼は作中はマヌケ顔だったのに、インタビューでは相当なイケメンで、よく演じていたんだなと思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2023-10-03 18:31:33)
129.  ザ・メッセージ 《ネタバレ》 
AD610年頃、イスラム教の開祖マホメット(ムハンマド)が、メッカの外れで山ごもりの最中に神の啓示を受けるところから、弟子や信者が弾圧を受け、メッカを離れ布教を進め、メッカの旧宗教勢力との武力闘争に打ち勝ち、メッカに帰還・凱旋するまでが描かれています。ほとんど馴染みのないイスラム教の初期の歴史について、わかりやすく映像化した貴重なものとなっています。ストーリーとしてひねりが期待されるような類のものではないので、わかりやすいのは何よりです。宗教上マホメットの映像化が許されていないため、マホメットは常に画面の外にいて、神秘的なBGMを流すことによってその存在を示すなどの工夫が面白いです。Wikipedia英語版によると、本作の監督であるムスタファ・アッカド(シリア系アメリカ人)は、ハリウッドでは製作資金が集められず、最終的に、リビアのカダフィ大佐が製作資金を提供したとのことです。制作費1千万ドルですから、結構な大作です。監督曰く、イスラム教について西洋でほとんど知られていないことに驚き、西洋に暮らすイスラム教徒として本作製作の義務感に駆られたとのことです。なるほど、イスラム教の教えは同じ一神教であるキリスト教の教えと大きな差はないと、作中で登場するキリスト教司教に言わせるなど、キリスト教徒が見ることを前提に、配慮した演出がなされているようです。アラビア語版が英語版と同時に製作されていますが、アラビア語版は中東向けにキャストと演出を変えているとのことです。見比べると面白いのでしょうが、こちらは簡単には入手できなさそうです。同監督は、後「ハロウィン」の製作総指揮などで知られますが、2005年、結婚式出席のため、ヨルダンの首都アンマンを訪れた際、自爆テロに巻き込まれ亡くなっています。
[DVD(字幕)] 6点(2023-10-03 18:28:24)
130.  ミケランジェロの暗号 《ネタバレ》 
舞台は1938年のナチス勢力下のウィーン。主人公はユダヤ人画商の息子。この画商が行方不明のミケランジェロ作のデッサン画を所有していることを、ナチスが嗅ぎつけ、総統閣下からムッソリーニへのおみやげにちょうどよくね?と没収しようとします。画商一家は、永世中立国スイスになんとか亡命を図ろうとするも、出国は認められず、それぞれ別々の収容所に送られることに。移動時に主人公が乗った飛行機が墜落事故を起こし、主人公とナチス親衛隊員1人が生き残るという映画的な展開となり、主人公はいかに立ち回るのか?主人公の命運やいかに?!と言った内容です。話は史実を背景にした完全なフィクションで、二転三転して、サスペンスとしては面白いのですが、史実の重さとどうもうまく馴染まないような気がして、モヤモヤ感が残ります。バランスの取り方が本当に難しいと思うのですが、もうちょっと生きる死ぬの切実感があった方が、メリハリが効いたのかなと思いました。失敗するリスクも高いですが。
[DVD(字幕)] 5点(2023-10-03 18:25:37)
131.  悲しみのミルク 《ネタバレ》 
冒頭。暗い画面の中、女性が口ずさむ子守歌のような歌が流れてきます。少し油断しながらも、字幕の歌詞を追っていると、少しずつ不穏な内容になっていきます。更に注意を傾けると、♪目の前で夫を殺され、夫から切り離したナニを口に突っ込まれつつ犯された、ナニは火薬の味がして苦かった♪~というような相当不穏な内容が混じってきます。老母が病床で内戦時の自分の経験を唄っていたのでした。その後すぐに老母は娘の前で息を引き取ります。母の恐怖の記憶を、母乳を通じて受け継いだ娘が主人公です。母親と同じ目に遭わない自衛手段として膣内にジャガイモを入れています。娘が暮らす貧民街(難民街)の住人は原住民の血が濃いのですが、この娘は端正で精悍な独特の魅力のある美人です。娘は亡くなった母親の埋葬費用を工面するために、リマの街の白人音楽家のお屋敷でメイドとして働くことになります。必要なお金を稼ぐまでの娘の周りの世界を追うことで、下層から見たペルー社会(人の営み、社会構造の歪み、内戦の傷などモロモロ)を、ゆったりとした流れで丁寧に描き出していきます。静かに深く、何とも言えない悲哀が心にしみ入ります。これまでペルーの気候風土などあまり考えたことがなかったのですが、映像を見ると結構ショッキングです。貧民街はリマの街から坂を登った丘陵部にあるのですが、緑が全く存在せず、背後の山々もすべてはげ山で自然の緑が見られません。リマの気候を調べてみると、東京より夏涼しく冬暖かく、曇りが多く湿度は高いが、雨がまったくと言っていいほど降らないようです(年間降水量:30mm程度、平均温度:18℃、平均湿度:87.1%)。砂漠なのに空がスカッと抜けずにどんよりしているのが停滞感を助長します。貧民街の緑のない埃っぽい殺伐とした景色が、植木の緑で覆われたリマの街の屋敷と対照的です。これが最後のシーンを引き立てています。
[DVD(字幕)] 8点(2023-09-27 17:16:10)
132.  永遠<とわ>の語らい 《ネタバレ》 
序盤はポルトガル人の美人歴史学者が幼女を引き連れて、夫の勤務地インドに向けて、地中海、紅海沿いの古代文明都市を探訪する様子が延々と続きます(ポルトガル→フランス→イタリア→ギリシャ→トルコ→エジプト→イエメン)。古代都市の景色は、それぞれ特色があって面白いのですが、船での移動時には、船の舳が波を切る部分のアップが延々と続いたり、船の発着時には乗船客の乗降シーンを延々と映したり、ちょっと間が悪いなと思うほどにゆったりした時間が続きます。歴史の勉強にはなるものの、エンターテインメントとしてはどうしたものか、と思いつつ見ていると・・・/これまでとはうってかわって、カメラが船内の食堂に移動します。船長役にジョン・マルコヴィッチ、船長から夕食の席に招待された3人のマダムフランス人女性実業家役にカトリーヌ・ドヌーブ、イタリア人モデル役にステファニア・サンドレッリ、ギリシャ人女優役にイレーネ・パパスと一挙に役者が揃います。4人、4カ国語による語らいがごく自然に繰り広げられ、驚かされます。各界で名を成す癖のある熟女たちを相手に、しなやかに立ち回る船長に惚れてしまいます。そして次の日の夕食の席には、ポルトガル人美人歴史学者とその娘が加わり、5カ国語による語らいに・・・/そして、終盤には、さらに驚きの展開が・・・/大きく3つのパートに分かれていて、次のパートに進むとガラッと作品の色が変わり、驚かされるという作品です。ちょっと他の作品にない変わった感触で面白いのですが、反面、何回も使えない手法だなとも思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2023-09-27 17:12:41)
133.  ザ・レイド 《ネタバレ》 
役者たちはインドネシア人ですが、監督はイギリス人です。RAIDと言ってもハードディスクは関係なく、襲撃、ガサ入れという意味で、麻薬組織アジトに警察特殊火器戦術部隊(SWAT)がガサ入れする話です。麻薬組織は、高層マンションをアジトとしていて、多くの部屋に手下のチンピラが居住しているのですが、一般人も混じっています。漫画「殺し屋1」のヤクザマンションを彷彿とさせます。シンプルなバイオレンスアクションが、ここまでエキサイティングになるとは・・・驚きました。うれしい驚きです。リアルな痛さ、どす黒い血しぶきあり、銃撃戦あり、刃物、素手の格闘あり、重厚かつ多彩で、緊張が途切れることなく飽きることがありません。
[DVD(字幕)] 8点(2023-09-27 17:07:09)
134.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 
本人に気付かせないまま、リアリティ番組の主人公として、その生活をテレビ放映するというような話。リアリティ番組とは言え、リアルをそのまま垂れ流して成立するわけもなく、番組の人気を保つために、隠し撮りだけにとどまらず、主人公のリアルな人生にプロデューサーが介入し、演出的な意図で捻じ曲げ、掌の上で転がしていくところまで踏み込んだところがキモですかね。人権問題に加えて、リアリティ番組におけるフィクション性の問題まで取り込めていて、なかなか味わい深くなっているなと感じました。フィクション作品の中では普通に行われている演出を、超大掛かりな装置と、人海戦術により無理矢理に実現するなど、あえてリアリティを無視することにより、コミカルな味付けが得られているところはいいと思うのですが、それとは別に全体的に醸し出されているインチキ臭さ(絵に描いたような人物像とか、会話のやり取りとか?)は、狙いはわかるのですが、少しうるさく感じてしまいましたかね。友人と語り合う建造中の道路橋の端っこというロケーションも、何か、行く先が途絶した箱庭世界を暗示していて面白いですし、最後に辿り着く境界、一気に世界がブコツなハリボテに変化するところは好きですね。テッド・チャンの中編小説「バビロンの塔」の終盤を連想しました。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-09-21 19:04:01)
135.  永遠に美しく・・・ 《ネタバレ》 
NETFLIXで、たまたまサムネイルを見かけて、30年前にテレビ番組でおすぎ?が紹介していたの思い出して、懐かしく思ったので見ることにしました。不老不死の薬を飲んだ中年女性同士の壮絶で醜い闘いをコメディタッチで描く作品。わかりやすくて、まあまあ笑えますし、いいんじゃないでしょうか。深みがまったくないのが、逆に潔いとも言えます。私なら、どちらか選べと言われたら、首ひねっちゃう方の人よりは、腹に穴空いちゃう方の人でしょうかね。
[インターネット(字幕)] 3点(2023-09-21 19:00:35)
136.  必死剣 鳥刺し 《ネタバレ》 
藤沢周平の原作は未読です。久々に骨のある、しっかりとした時代劇を見た気がします。キャストにごり押し感がなく腰を据えてみることができます。本来当たり前のことですが・・・主要キャストいいですね。豊川悦司、吉川晃司の両者がこれだけ渋い味を出せるとは。バカ殿(村上淳)も雰囲気出ています。岸部一徳は相変わらず安定してます。池脇千鶴の純朴一途な役はどちらかというと見た目相応で、もうちょっと変化ある役をやらせたほうが面白いと思うのですが、まあこれはこれでよいでしょう。話もシンプルで無駄がなく、キャラクターの立ち位置もわかりやすく整理されています。志からすれば、むしろ手を組むべき者同士が、立場上、命をかけて剣を交えなければならないところに、侍(さぶらうもの)の悲哀を感じました。映像も落ち着いていて、信念を貫く侍たちの姿を損なわないものでした。
[地上波(字幕)] 6点(2023-09-05 20:09:34)
137.  竜馬暗殺 《ネタバレ》 
これまで原田芳雄に、坂本竜馬のイメージを見出したことがありませんでしたが、本作をみて、これほどまでにハマリ役があるものかと驚いてしまいました。中岡慎太郎の石橋蓮司は、まだ若さが残っていて、普通っぽさも若干残っていて、意外や意外に色っぽいんですよね。これにも驚きました。大筋の展開に関係ないような何気ないシーンが多いのですが、それが独特の間と深みを作り出しています。映像は、ザラつきの強いモノクロで時代がかった感じです。どのシーンも構図が考え抜かれていて、流れがいい。出来の悪い日本映画にありがちな所在ない感とは一切無縁です。
[DVD(字幕)] 9点(2023-09-05 20:00:01)
138.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 
幸いなことに、ネタバレを回避できたため、満足の行くエンディングを迎えることができました。主人公だと思っていた人が、意外にあっけなく退場して、次の主人公と思われる人が入場して、また退場して、という感じで、シンプルだけど意外性のある展開で、先が読めません。そして、最後に、驚きの事実が明らかになります。気持ちよく、だまされた自分を振り返ることができます。お姉さんより妹さんの方が好みかな。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-09-05 19:56:06)
139.  過去のない男 《ネタバレ》 
おやじ狩り的な暴漢に襲われて、記憶を失ったおじさんが、貧困コミュニティの中で生活し、おばさんに恋をするといったお話。時代設定は、金属製のオシャレな便器や、医療器具などを見るに現代なんでしょうけど、少し黄ばんで粒子の荒い、でも空だけはやたら綺麗な映像が、どこか郷愁を誘います。冒頭で理不尽な暴力がある以外は、底辺社会での男の生活を追う静かな作品。どこか小津作品を感じさせます。ご都合主義のジェットコースター的な展開からは最も遠い位置にあると言えます。それだけに、序盤の非現実的なコメディー描写が必要だったかどうか疑問です。この作品に描かれる貧困が、フィンランドの現実社会をどの程度反映しているのか、こちらに知識がないために判断できず、途上国の作品で描かれる貧困ほど、有無を言わせぬ強烈な切実感がなく、そういったところで、どうしても印象が薄くなってしまうんですよね。人間を疎外する硬直的な社会システムがテーマの一つと考えられますが、記憶がないというのは特殊ケース過ぎて・・・本来手厚い福祉社会システムの中で、どういう人間が網からこぼれて貧困に陥るのかの方に興味が行ってしまいます。ドキュメンタリーじゃないので、それを求めるのは違うかもしれませんが。
[DVD(字幕)] 5点(2023-09-05 19:54:21)
140.  悪魔のいけにえ 《ネタバレ》 
理屈ではない異様さによる恐怖を演出する独特の美的感覚が冴えわたっています。悪キャラのキャラ付けがよくできていて、ホラーとユーモアの融合という意味では面白いのですが、悪キャラ達の静物ディテールに対する偏執的こだわりと、殺し方に対する無頓着とのギャップをどう評価すべきかは悩ましいところです。
[DVD(字幕)] 6点(2023-09-05 19:51:42)
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