1521. 竜馬暗殺
なんか最初は「気取ったモノクロ映像だなぁ・・・」と、げんなりモードで観ていたが、途中から不思議と、このザラついたモノクロ映像の世界に浸っていた。 そして、終わる頃には、むしろ心地よいとさえ感じていた。 モノクロの映像世界に浸っていたら、いつの間にか「完」の文字・・・という不思議なATG作品だった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-16 01:22:03) |
1522. ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~
堕落した男についていく女。 この構図をシンプルに描いている。 浅野忠信と松たか子が初めて組んだ主演作というだけで、もう両者のファンにとってはそれだけで十分なわけだが、両者共に持ち味を発揮しているのが更に良い。 [DVD(邦画)] 6点(2011-01-13 23:14:06) |
1523. トパーズ(1969)
アルフレッド・ヒッチコック独特の映像美は健在。 米・ソ冷戦をテーマにした政治モノのサスペンスだが、今観るとどうもテーマ的に過去の遺物と感じる。 スパイ合戦の中から、終盤にかけて盛り上がる緊迫感は、さすがヒッチコック。 小物を使った小細工も相変わらず見事! オッサンばかり出てくるのがタマにきず。 それにしても何だろう・・・この映像は。 密談のシーンとかで、背景に人物が浮かんで見える。 背景と人物との境界がぼやけているというか何というか。 不思議な映像だ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-01-09 11:31:15) |
1524. 夏時間の庭
緑あふれる風景は極めて美しい。 その風景のどこを切り取っても、まさしく画になる美しさ。 そこで淡々と繰り広げられる、親子三代にわたる物語。 さして刺激もないが、美しい風景と美術品に身を委ねるべき映画。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-12-31 23:21:58) |
1525. CURE キュア
なんだろなぁ・・・ 全てが中途半端だった。 怖さも大したことはなく、サスペンスとしてもそれほど緊迫感もなく、人間ドラマにしてもそれほど深くなく・・・ 役所広司の演技は素晴らしいが、萩原聖人がミスキャストかも。 ただ一方で、つまらないかと言ったらそういうわけでもなく、最後まで観る者を吸引する力を持った作品だった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-12-28 01:02:34) |
1526. ダイヤルMを廻せ!
ミステリー映画が苦手、というか、頭が悪いせいか基本的に謎解きの類いは理解ができない。 鍵うんぬんのクダリでさえ理解できなかった。 晩年に、次第にミステリー色が濃くなっていったヒッチコックが残念でならない。 アメリカとヒッチコックとの相性の悪さも再確認できた作品だが、雰囲気はヒッチコックにしか出せないものを感じた。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-12-26 15:32:47) |
1527. ノルウェイの森
《ネタバレ》 原作はリアルタイムで既読・・・っていうか、既読か未読か、そんな事は映画を観る上で、ほとんどどうでもいい事。 この作品を、どのような動機で映画館まで観に行ったのか? それが、この作品を観た人の満足感を左右するだろう。 私は、監督のトラン・アン・ユンと撮影のリー・ピンビンが好きだから観に行った。 彼らのコンビが創り出す映像美は、『夏至』などで既に証明済み。 そのコンビが、かの世界的ベストセラー小説『ノルウェイの森』をどう料理するか? あくまで主眼点は、トラン・アン・ユンとリー・ピンビンにあった。 それに対し、『ノルウェイの森』という孤高の小説が主眼点になっていると、観た後の違和感や不満足感は免れないだろう。 さて、肝心の映像だが、まずまずといったところだろうか。 ただし、草原に風が吹きすさぶシーンは実に素晴らしかった。 あの風が吹きすさぶシーンこそが、私にとっての最大のインパクト。 問題点は、妙に中途半端なラブシーンが、しつこい位に出てきたこと。 それも菊地凛子たちの観たくもないラブシーンばかり。 肝心の水原希子のラブシーンは無し。 水原希子の、あの細くて綺麗な脚を、もっと触って欲しかったのになぁ。 演技うんぬんは、元々、淡々として退廃的なムード漂う内容なのだから、まあいいんでしょう、あんなもんで。 ラストの、松山ケンイチがヨダレを風に吹き飛ばしながら、絶叫するシーンには息をのんだ。 それと、恐怖を煽る様な音楽とともにカメラが横移動して、菊地凛子の首吊りシーンを映す演出なんかも、なかなか良い。 トラン・アン・ユン監督を目当てで観た人でないと、問題作『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』と同様、観る者を置き去りにしてしまうに違いない。 [映画館(邦画)] 7点(2010-12-23 23:39:21)(良:1票) |
1528. 密告(1943)
謎解きサスペンス作品としては磐石の内容で、さすがはアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督という感じ。 謎解き作品があまり好きではないので、そこまでハマらなかったが、それでも十分に楽しめるレベルにあり、更に、ラストの犯人と思しき人間が、二転三転する急速な展開は見事。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-19 00:14:06) |
1529. セシルの歓び
もちろんお目当ては“B・B”ことブリジット・バルドー。 ローラン・テルジェフは、相変わらずイワン・レンドル似。 ブリジット・バルドーの美しさときたら素晴らしい! まさに60年代だからこその、奇跡の美しさ! はっきり言って、ブリジット・バルドーのブロンド、スタイル、美しさを堪能する目的以外では、観る価値のない作品! そんだけ、ブリジット・バルドーの魅力満載で、しかも、それ以外に見所なし!! ブリジット・バルドーに始まって、ブリジット・バルドーに終わる。 ブロンド(B)美人(B)、のブリジット・バルドー(B・B)。 究極的には、“B・B・B・B”か?! まあ、いいや。 とにかくブリジット・バルドーが美しかったから! 以上!! [ビデオ(字幕)] 6点(2010-12-17 01:37:52) |
1530. 蛇の道(1998)
有名な作品を何本も撮った黒沢清監督だが、この作品は比較的マイナーであるにも関わらず、かなり面白かった。 黒沢清監督の作品としては、隠れた傑作と言えるだろう。 哀川翔が、とてもいい演技をしている。 控えめな中に、とてつもない狂気を孕んでいて、それが最初から最後まで持続する。 サスペンスな中にも、ミステリー的な謎解き要素もあったりで、非常に面白い。 ただ微妙に分かりづらい部分があるのも確かで、スピーディにみせるタイプの作品だけに、もう少し分かりやすく作られていたら、更に傑作度がアップしたに違いない。 人間の持つ“復讐心”。 それを題材に、ここまで緊迫感を持たせながら、最初から最後まで飽きさせることなくみせる。 自分の黒沢清監督に対するイメージ、そして哀川翔に対するイメージが、非常に良い意味でくつがえった満足感アリ。 日本映画で隠れた傑作を探している方は、必見の作品! [ビデオ(邦画)] 8点(2010-12-16 00:03:05) |
1531. ある歌い女の思い出
《ネタバレ》 日本初ソフト化のチュニジア映画ということで、それを観ることができただけでも満足。 母と同じ悲しい運命を、その娘も辿る・・・という話。 王宮内では、指導者が絶対的権力を持っていて、あらゆる面において欲望を満たすわけだが、とりわけ“性”の問題については実にダークな一面があり、それが本作の主題となっている。 江戸時代の将軍でもそうだし、北朝鮮のキンショーニチでもそうだし、オウムのポアするぞ!と言っていたデブもそうだった。 つまり、閉鎖的組織の中で、絶対的権力を持つ男の指導者は、結局、“性”の欲望を、支配下に置く女性で満たしまくる。 指導者の夜の相手を務めていた母親が、まだ幼い娘を同じ目に遭わせたくないと思い、必死に抵抗する。 立場の弱い母親が、娘を思うその気持ちが痛いくらいに伝わってきた。 しかし、単調さは否めず、ただそういった題材を普通にみせているだけの作品だった。 エキゾチックな趣きはあるので、たまに観るにはそれなりに満足できる内容。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-15 23:49:05) |
1532. 女性上位時代
当時24歳だったカトリーヌ・スパークが、裸体を惜しげもなくさらし、当時の日本人ヤング(ヤンキー、ではない。)を熱狂させたという作品らしい。 今観ると、音楽といいファッションといい、観ていてかなり恥ずかしくなる部分も多々見受けられるが、金髪であのプロポーションと露出度、そしてそれなりに美貌であるからして、熱狂させたというのが頷ける内容。 アイドル映画と言ってしまえばそれまでの内容だが、やはり我々日本人からすると、この60年代のイタリアやフランスの金髪女性は、理屈ぬきの魅力というか、一種の憧れを感じてしまう。 軽い気持ちで観られるファッション映画、そして少しエッチ要素もあってニンマリできるところなど、お手軽でいて、観た後に万事快調!になれる作品だ。 いやぁ~、こういうのもたまには悪くないね! [DVD(字幕)] 6点(2010-12-12 01:01:48)(良:1票) |
1533. アメリカの友人
《ネタバレ》 初期の頃に作られたヴィム・ヴェンダース作品だけあって、自分には十分楽しめた。 死を宣告された男が、目に見えない“時間”というものと闘いながら、それでいて自分では分からないうちに大きな事件へと巻き込まれていくという流れは、独特で面白い。 特に、電車内での殺しの一部始終は、手に汗握る緊張感! サスペンスとしての魅力も存分に発揮しながらも、死に直面した男の生き様を描いた人間ドラマとしての深みも加わり、現在のヴェンダースには作れないであろう、個性のある優れた作品である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-12 00:48:38) |
1534. 和製喧嘩友達
《ネタバレ》 短い断片のフィルムだが、人間ドラマがその分ギュギュっと凝縮されている。 惚れた女のコを複雑な想いで見送る“和製喧嘩友達”の二人。 十分ストーリーは理解できるし、人生の悲喜こもごもが巧く表現されている、小津サイレントらしい逸品だ。 [映画館(邦画)] 6点(2010-12-05 18:30:24) |
1535. スラム砦の伝説
寓話めいたというか、宗教がテーマになった呪術的な内容で、パゾリーニの描く世界を想起させるが、パゾリーニの映画ほどに刺激も面白味もない。 “セルゲイ・パラジャーノフの映像魔術”とかいう謳い文句の書いてあるビデオテープをレンタルしてきたが、特に映像面での芸術的な感動も得られず。 これで未見の『ざくろの色』に対する期待度も、一気に降下した気がする。 [ビデオ(字幕)] 2点(2010-12-04 23:39:45) |
1536. 赤軍派-PFLP 世界戦争宣言
行動こそ全てであり、「武装闘争」としつこく主張しておきながら、やたらに理屈をこねくりまわす。 これは一種の矛盾ではないだろうか。 [DVD(邦画)] 3点(2010-11-30 01:10:02) |
1537. シシリーの黒い霧
《ネタバレ》 コスタ=ガヴラス辺りのシリアスな社会派劇と比べてしまうと、面白さにしても、緊迫感にしても劣る印象はぬぐえない。 それにコスタ=ガヴラスの作品には、アートとしての画的な美しさもあった。 シシリー島内での、マフィアや山賊、そしてイタリア軍部や警察などの争いを、克明に描いている。 シシリー島の雰囲気や、その歴史を知る上では意味がある作品だ。 だが逆に言えば、よっぽどシシリー島の歴史に精通していないと、理解が中途半端になる気がする。 イタリア人が観れば楽しめると思うが、日本人にはあまり合わない作品なんじゃなかろうか。 [ビデオ(字幕)] 4点(2010-11-27 21:21:38) |
1538. 哀戀花火
一昔前の中国映画の典型を見るような作品。 とにかく変に真面目っぽく、それでいて陰湿。 封建社会の内実はよく描けているとは思うが、恋愛がらみがどうも回りくどい。 出演陣の演技には熱がこもっており、見応えがあるのは救いだった。 [ビデオ(字幕)] 4点(2010-11-23 23:43:44) |
1539. 鶴は翔んでゆく
戦争映画は見飽きた感があって、これもありきたりなストーリーなのだが、その描く世界観は実に真面目である。 その戦争悲劇に対する真摯な描き方に対しては、敬意を表したい。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-11-21 23:05:29)(笑:1票) |
1540. 囚われの女
《ネタバレ》 現実世界で女を愛することから逃避しSMの世界に没頭する男と、SMの世界にひかれつつも没頭まではできず相手の男をあくまで現実的に愛そうとする女との、いびつなすれ違いを描いた偏愛的ラブロマンス。 アンリ=ジョルジュ・クルーゾーならではの、芸術的センス爆発な映像の数々。 惜しげもなく、というよりも、むしろ「これでもか!」と言わんばかりの映像の数々に、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの一種、自己陶酔的なものを感じた。 エリザベート・ウィネルという女優は初めて知ったが、とても魅力的な女優だ。 エリザベート・ウィネルが着こなすグリーンやレッドのワンピース、そしてそこから伸びる肉感的で美しい脚、画面に映えるブロンドヘアー、魅力的な瞳。それをこれだけ美しく捉えたアンリ=ジョルジュ・クルーゾーには、表面的な芸術的センスだけでなく、美しい女性を魅力的に撮るという、監督しての基本的な技量も同時に感じた。 話としては、SM的倒錯世界をテーマにしているが、本作で描かれるSMは、主人と奴隷という主従関係に重きを置いたものとなっている。 SMには詳しくはないが、これぞまさにSMの原点的な悦楽の世界なのではないだろうか。 女を服従させることで悦びを感じる男と、恥じらいながらもそれに服従することで悦びを感じる女との関係。 なんて完璧な相互依存関係なんだろう。 そこには、外界とは遮断された、二人だけの禁断の世界が広がっている。 だが、不幸なことに、本作のエリザベート・ウィネルが演じた女は、この世界に没頭することができず、ご主人様をご主人様として愛することができずに、普通の男として愛そうとする。 それを受け入れられない相手の男だが、心のどこかで純粋にその女を愛していると自覚してはいる。 男はその葛藤に悩まされ、自殺さえ考える。 だが結局、女を女として受け入れることがその男はできなかった。 その結果生まれた悲劇が、ラストの事故シーン。 全身ギプスで昏睡状態のエリザベート・ウィネルが、実に痛々しく哀しい。 アートな雰囲気を全面に出しつつ、こうした人間ドラマも深く掘り下げられた作品で、監督であるアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの類い稀な才能を堪能することができ、本作は色んな意味で魅力あふれる作品だ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-11-21 18:40:37) |