1521. チャイナ・シンドローム
原発を巡る利潤と派生する圧力を描く原発問題入門編のような映画。メルトダウンによる恐怖と、目先の利益追求に血眼になって口封じに走る人為の恐怖と、はてどちらがより恐ろしいのやら。30年以上も前に提示されたこの問題、もうずっと人類は取り組み続けてて、けれど原発所員の発した「孫に暖房はいらないのか?」の問いにいまだに答えられずにいるんだ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-26 23:59:38) |
1522. ワイルドシングス
何転したのかわかんないや 五転?六転かな。なんか途中でついていくのが面倒になってしまったよ。まさしく“過ぎたるは~”です。デニス・リチャーズの太い眉毛が印象的だった。ブルック・シールズ路線を狙ったんだろうけどもやはりB・シールズとは別物。 [地上波(吹替)] 5点(2013-06-23 01:07:33) |
1523. 街の灯(1931)
《ネタバレ》 私は年代の古さを加味して映画を評することがあんまり得意じゃないのだけど、このチャップリンの最高傑作とも言われる作品は、やはり満点だと思うのですよ。今の時代さすがに爆笑は無理でも、コミカルなギャグシーンの数々はお約束のオンパレードで、“来るぞ来るぞ、はい来た!”のノリが今も充分楽しいし、当時どんなにか人々の心を愉快にしてくれたか、想像に難くないというものです。最後に憧れの富豪様が目の前の浮浪者だと知った時の、娘の顔にちらりと浮かぶ失望。この残酷なシーンは無くても良かったのかもしれないけど、あえて喜劇王は二人を再会させて真実を明かした。それによってより際立つ男の哀しさ。“可笑し哀しい”絶妙なブレンド感こそがチャップリンの真骨頂。ビターに締めたこのラストシーンによって、この映画の格がワンランク上がったように感じます。 [地上波(字幕)] 10点(2013-06-20 00:48:51)(良:2票) |
1524. ネル
《ネタバレ》 外界と隔絶された“オオカミ少女”のたどるストーリーラインとしては全くの王道で、周囲が彼女の“純粋”さとか“悪意の無さ”に感化されてゆくというオチもありきたりすぎて、まさかほんとにそう来る?と思った。ネルは知的障害というわけではないのは分かるけど、法廷で彼女が持論をとうとうと述べ出すのはちょっといきなりな感じがした。こんなに論理的な会話、それまでしてなかったじゃない?ジョディの演技はいつもながら上手いし凄いし天才的。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-06-20 00:29:58) |
1525. マッドマックス サンダードーム
ティナ・ターナーが張り切って姐御役を引き受けた3作目。張り切ったわりに、あまりキャラが練りこまれておらず、良い人なのか悪い奴なのか宙ぶらりんに。宙ぶらりんになってたのはM・ギブソンだったか。ちょっとTVのバラエティみたいだったな。未来都市を夢見る一団と、突入するのも逃げ出すのもなんだか安易に事が進む。前作までのオマージュどころか単なる焼き直し。柳の下に3匹目のどじょうはいませんでした。 [ビデオ(字幕)] 4点(2013-06-20 00:06:52) |
1526. トゥームレイダー
人気のゲームを下案にして人気女優を使って21世紀版インディ・ジョーンズを作れば当たるだろう、という制作の下心が丸出しの作品。予想はしてたけど予想通りのつまらなさ。安上がりのCGで今さら石像が動いたところで何の驚きがあろうか。なんで観たかというとアンジェリーナといえばコレ、という評価を耳にしてしまったから。彼女だけでも輝いていたらなあ、と。そしてがっかり。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2013-06-17 23:13:14) |
1527. 人生万歳!
《ネタバレ》 アレンはいないんだけど、アレン以外の何者でもないおじさんが例によって理屈こきまくり。やっぱり煩い。小娘は落ち着くとこに収まり、母親は自己の解放に成功し、父親は同性愛をカミングアウト、でアレンもどきのおっさんは実に運命的な出会いを果たして再々婚。んー好きずきでしょうなあ。この突拍子も無い出来事がビリヤードの球みたいに次々連鎖を起こしてゆくことに人生の妙を感じれば高評価でしょうし、「そんなうまいこといくかい!」と思っちゃったら全然ダメだし。多分観てる時の心理状態に大きく左右されそう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-06-17 23:03:54) |
1528. セイ・エニシング
ジョン・キューザックが若い!このいかにも人の良さそうな、無害で汎用性の高い顔が抜擢されて生き残ることができてるのが、ハリウッドの懐深いところですね。相対するヒロインもいまいち垢抜けないアイオン・スカイを持ってきたので、どこにでもありそうな高校生カップルの青いお話としてうまく成立しました。十代の繊細さを思い出すには格好の映画です。 [ビデオ(字幕)] 6点(2013-06-17 22:52:54) |
1529. ザ・プラマー/恐怖の訪問者
《ネタバレ》 観終わったとたん「はあー?何だよコレ」と思わず口をついて自分で笑ってしまった。不愉快な配管修理人の得体の知れなさと、時折はさまってくるクル病患者の画。不気味さを増幅させようとの意図はわかりますがいちいち見過ごせないほどの“そんなばかな”な出来事目白押しで観てて困ってしまう。奥さんさっさと大学に問い合わせないし。天井破って入ってくる修理人なんておるかあーっ。おまけにその怪しい他人を家において外出するし。ラストも驚いたというより呆気にとられた。アフリカ民族系音楽の「ほえあ~っ」という叫びに被ってJ・モリスの顔を下から撮ってTHE・ENDですがな。・・なんだようコレ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2013-06-16 23:18:40) |
1530. シシリアン(1969)
仏映画界重鎮のお三方のお陰で画面が締まって、渋さを醸しております。ドロンの移送中脱走劇とか、ハイジャックのスリリング感もなかなかに見応えあり。・・なんですが、前出コメントの皆さんの繰り返しになりますけど、私も言わずにいられない・・この映画演出が所々間違ってるんですな。よりによってJ・ギャバン登場!の場面にかぶる脱力音、ドロンに白ブリーフ、全裸女の岸辺で巨大ウナギ(?)釣り。なぜ~。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-16 23:02:13) |
1531. ブリキの太鼓
《ネタバレ》 所謂「名作」かと思っていたので、観た時はもーびっくりしちゃって。なんかもうグロかった。“耽美”じゃないただのグロ。ことさらに人間の不快感覚を刺激するべく描いているみたいだった。耳障りなオスカルの叫び声。生魚。唾液。牛の頭部の死骸からウナギ。果ては3歳児の性交。小人という畸形をビジュアルに置いて何を描きたかったんだろう。戦争が終わって小人をやめるオスカル。精神と肉体が乖離しているこの奇妙な存在と、所属先の無い自由市だったダンツィヒの混沌が象徴的に重なるのか?うまいこと読み解ければ評論家になれるのだろうけど、ちょっと私にはわからない。“ショック”という意味では、この映画、“時計じかけのオレンジ”にも匹敵するけれど、「ブリキ」で描かれるグロさは言ってみれば平凡で、大きな声では言えないがこの程度のグロテスクならば、私は軽く十や二十は考えつく。展開がことごとく予想を上回る“オレンジ”よりもずっと評価が低くなりました。 [ビデオ(字幕)] 5点(2013-06-11 00:49:55)(良:1票) |
1532. ジャッキー・ブラウン
《ネタバレ》 つまんなくはないけど、タランティーノ作品ならばもう少しキレのある展開を期待してしまうところ。現状パム・グリアーもそれほど光り輝いているという印象でもないし。ロバート・フォスターは普通のおじさん過ぎるし、デ・ニーロもまたなんでこんなに冴えない役を。S・L・ジャクソンひとり気を吐いてあごから一本伸びた編みこみヒゲも凶悪に、人殺してます。映画全体的に淡白です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-11 00:25:33) |
1533. 白と黒のナイフ
主演二人の恋愛沙汰がちょっと邪魔なんだけれど、(グレン・クローズに一目惚れする男がいるとは考え難い)事件の顛末が二転三転する法廷劇モノとしては、この作品かなり良く出来ていると思います。私は最後の最後まで真犯人は読めませんでした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2013-06-11 00:10:52) |
1534. グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
《ネタバレ》 うん 良いお話でした。普通に感動しました。いつもはウルサく感じるR・ウィリアムスも、これだけ抑えてもらえれば。B・アフレックが見事な演技してますよね。天才友人の背中を押す彼の台詞がこの映画のハート部分。そしてデイモンが旅立った事を知った時の喜びと寂しさ、すべて受け入れたような表情。実に繊細でぐっときました。助演男優賞も納得だ。←違う違う受賞はR・ウィリアムスだった。えっなんでだよー。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-06-10 23:50:37) |
1535. リプリー
《ネタバレ》 “太陽がいっぱい”のリメイクではあるけれど、主人公トム・リプリーの造形がオリジナルと大幅に違う。アラン・ドロン版の野良犬的なぎらつき感は印象強烈だった。M・デイモンリプリーはコンプレックスが裏返って愛憎感情へひた走る。なまっちろい身体に蛍光パンツ(!)のとんでもないダサっぷりでドロンとの違いが際立ち、これはこれで別作品として成功してると思う。デイモンの内向的でやや粘着気味にロウを見つめるうっとうしさ、こりゃJ・ロウでなくともうざったくなります。マットデイモン、すごく上手い。上手いといえば、実のところゲイだったリプリー、そういえばグウィネスを見る目とかに全然色気が無かったもんね。こんなとこにもデイモンの達者ぶりを感じるなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-07 23:32:14) |
1536. 花咲ける騎士道(1952)
《ネタバレ》 のっけから、ふざけたナレーションが良いですよね。歴史をおちょくる語りでもって、あ、これはこういうコメディーなんだな、とこちらの観方も定まるし。半世紀も経ってるのに、笑いのセンスが劣化してなくてとても心地よい。加えてJ・フィリップのイケメンっぷり!うわーチャラいなーっ。でも同時に愛嬌と器の大きさも備えてるのがフランスチャラ男の侮れないところ。キラキラ笑顔をまき散らしつつ、軽々と追っ手もピンチも逃れてく。この人の存在がこの優雅なコメディーにぴったり。敵陣の本拠地を占拠する際のあまりの馬鹿な展開も、処刑の時に木の枝がどーん、も、アドリアーヌが王女となって登場!のくだりも、ドリフ世代としては無理なく楽しく受け入れられます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-07 23:03:19) |
1537. ハイ・クライムズ
《ネタバレ》 どんでん返しがあっさりし過ぎ、ケロリと事が運ぶので観てる側として「だまされた!」という喜びが無い。法廷劇の妙味も無い。冒頭からA・ジャッドがさっそうとスーツを着こなしてケータイ片手に闊歩する、といった“できる女”の描写は多いんだ。鼻につくんだ。でも結局“でき”てなかったわけで。かばってたのは大量殺戮犯かいな。なんやねん。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2013-06-07 22:51:31) |
1538. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
《ネタバレ》 このリアリティ、ほんとに事故現場でカメラが回っているかのような臨場感にたまげたものでした。船内逆さまの大セット、美術担当さんは凄い仕事をしたものです。パニックに陥った人達はこういう行動パターンをする、という心理学の見本のよう。リーダーと従う者あり、相反する意見に固執する者あり、考えを放棄する者あり。人がどんどん死んでゆく。水が流れ込んできて生死を分かつ場面、倒れるツリーと成すすべなく絶叫を後に扉を閉めるハックマン牧師。ここ以外にも容赦なく死が襲い掛かってきて、この映画かなりの非情度。自分がそこにいたらどうなるか・・、と常に彼らと行動を共にしている、このフィルムの中との一体感は数多のパニック映画の中でも屈指の出来。怖くて怖くて観終わってへとへとです。 [地上波(吹替)] 9点(2013-06-07 01:04:57) |
1539. フラッシュダンス
《ネタバレ》 お話は・・、そうねそんなには面白くないかも。ベタですし。封切当時はまさに青春まっさかりで、若さのさなかにいた時は他人のサクセスストーリーにそれほど感じ入らなくて「ふーん」程度の感想だった。それから数十年、ああ青春の輝きは遠い所から見るほどに気付くもの。J・ビールスの若々しさ、初々しさ。夢を追う友人たちの健気さと挫折、後押ししてくれる叔母、恋人だけど上司といった周りの人達のドラマもバランス良く織り込まれて正統派なドラマの作り。演出になかなかセンスを感じるのですよ。路上でのパントマイマー達や、交通整理のお巡りさんのアクションをもコミカルに描写しちゃう場面。事務のおばさんの食事中の悲劇。ブサイク犬グラント君も重要な脇役、ラストのおめかし姿は必見。なにしろオープニングの音楽からどーっと当時の感覚を呼び覚まされてしまうので、なつかし補正も手伝ってちょっと大甘の点数ではありますが。 [映画館(字幕)] 8点(2013-06-07 00:40:07) |
1540. 007/カジノ・ロワイヤル(2006)
《ネタバレ》 歴代の007シリーズってちょっとTVドラマに似た気軽な雰囲気があったと思うのだけど、ここにきて脚本力がワンランク上がってしっかり映画作品になった印象です。実にまともなスパイ映画でした。Qのアイデア武器とかも一切無いし。 クレイグボンドはこれまでのどのボンドよりも不愛想で、英国紳士というよりは乱暴なチンピラ風情にも見えます。タキシード姿も上背に筋肉がつきすぎかな。動きにキレがあってアクションシーンは問題なし。ボンドガールは美人だし、敵役はミケルセンなのでこれまた奥行きのある多彩な表情を見せてくれます。定番の台詞をラストに持ってきたとは粋です。 新しいキャスティングは色々と難を言われるけれど、これだけスタッフのヤル気が感じられる作品でクレイグボンド、上々の滑り出しではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-06-01 00:35:38) |