141. 告発
ケビン・ベーコン、クリスチャン・スレーター、ゲイリー・オールドマン・・・。素晴らしい演技派の俳優陣が揃いました。中でも今回のケビンの演技は特筆すべきだろう。プロ魂のこもった熱演に関心したし、多彩な役に挑戦する心意気にも好感を持った。作品の内容も、刑務所を逆に告発するというセンセーショナルで難しい題材が上手く描けているという点で非常に優秀な作品かと思います。しかし、個人的には今ひとつ起伏に欠けた部分も感じました。ドキュメントとしての出来では文句無く10点つけますが、私は常に「映画」というジャンルに必要なエンターテイメント性を重視して見るようにしているので「普通では有り得ない」という意外性の有る部分も必要かと思います(もちろん度が過ぎるというのは例外ですが)。 「そんな馬鹿な!所詮映画だからな。」というような言葉を聞くことがよく有りますが(私はそういう人種に対して軽蔑の念を抱いてしまいますが)、私は逆にそれこそがエンターテイメントとして大切な要素の一つと思っています。 7点(2004-01-11 18:08:10)(良:1票) |
142. 呪怨<OV>(2000)
「怖い」ではなくて「気味が悪い」という表現が一番良いかと思います。それに加えて恐怖描写が容赦ない。本当にグロテスクなシーンも有るし、薄気味悪い演出方法は本当に上手い。 一軒家で行われる惨劇は、生活空間としても身近な印象で生々しい。日本のホラーとしは最高傑作かも知れない。 7点(2004-01-11 10:43:00)(良:1票) |
143. U・ボート
《ネタバレ》 密室での緊迫感や恐怖心がこちらにまで漂ってくるような演出が素晴らしい。乗組員の人物描写が上手いので、徐々に感情移入してきます。海底深くまで沈んでしまって動力が停止してしまったシーンなどは、映画と分かっていながらも真剣に何とか動いて欲しいと思ってしまいました。 全ての苦難を乗り越えて何とか生き残ったと思いきや、最後にアッサリと全員殺されてしまうのですがら、本当に衝撃のシーンでしたね。 「必死に勝ち取った生」と「いとも簡単に奪われる命」という対比は痛烈な反戦メセージとして記憶に焼き付きました。 7点(2004-01-11 09:38:25) |
144. 星降る夜のリストランテ
《ネタバレ》 レストランに訪れた来客たちのエピソードを会話の妙味で延々と見せる異色作。 特に好きなのは、歳の差があいた不倫カップルです。若い女性が不倫相手の男性の奥さんに「別れて欲し」いという内容の手紙を書いて、それを持って来ていた。手紙を送り付けるからその前に内容を聞いてくれと言い出し朗読し始める。それがまた長いのなんの、便箋に5枚ぐらいあったのではないか。内容も理屈っぽくて非常に自分勝手な言い分になっている。それを延々と聞かされている相手のおじさんの情けない表情がたまらなく面白い。 あと、料理人とウエイターのやり取りも笑えるし、日本人の家族もテーブルを囲んでいるのですが、子供はゲームボーイばかりやってるし、父親は記念撮影してるし、凄くよく日本人の特長を掴んでいると関心した。舞台は最後までレストランの中だけで進みますが、テーブルを囲む人達の個々のエピソードが面白いし、会話の表現方法に独特の味が有るので退屈しません。このような一つの場所だけで話しが進むという設定でも十分に楽しめる点が素晴らしいと思う。脚本のがよく練られているのが成功の要因だろう。 見てるこちら側も、実際にレストランの片隅で、来客者の話を盗み聞きしてるような感覚になれます。 7点(2004-01-08 16:24:34) |
145. 眼下の敵
《ネタバレ》 アメリカの駆逐艦とUボートの闘いを描いた戦争映画です。第二次世界大戦を舞台にしたハリウッド映画の場合は「ドイツ=悪」として表現されることが多いのですが、この作品は従来の戦争映画とは異なり、ドイツ兵を悪役とは見なしていません。 アメリカ・ドイツ双方の艦長は互いに非常に優秀な人材で、人物像としても誇れる感性を持ち、部下からも慕われている。壮絶な戦闘を繰り広げるうちに、敵ながらお互い尊敬に値する気持ちが沸いてきます。結果として闘いは痛み分けとなり、アメリカ側の艦長がドイツ側の艦長を救助します。もし、立場が逆の場合でもドイツ側の艦長は同じことをしていたでしょう。 意見の相違や文化の違いなどにより双方の不満が蓄積し「怒り」が生まれ「殺し合い」に及ぶ。世界から戦争や紛争が完全に無くなることは絶対に無いだろう。しかし、それにより本来は争う必要のない者同士が殺し合うという愚行を繰り返すことになる。この作品が語る「悪」とは戦争という行為そのものであり、人間の「心の闇」を指している。 7点(2004-01-07 16:10:50) |
146. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
《ネタバレ》 全ての事柄が複雑に絡み合う設定だが、分かり易く演出されている。一切の無駄を削ぎ落として、美味しいところだけを料理してくれたような脚本は非常に完成度が高い。カメラワークでの表現も素晴らしく、特にエディがカードで大負けした後の、目がぐるぐる回る描写なんて凄いリアリティー。私も競馬で大負け喰らった時はあんな感じ。 結局、ラストで笑うのは主人公ではなく「あの2人」というのが気持ち良いですね。 7点(2004-01-02 15:56:26) |
147. お熱いのがお好き
トニーとジャックの掛け合いの面白さは言うまでも無いが、やはりこの作品はモンローでしょう。「華が有る」という点で、過去の名の有る女優と比べても、その存在感は群を抜いている。 作中では、かの有名な曲も歌っているが、一番魅力を感じたのは電車の中で歌ったシーンです。本当に輝きを放っているように見えたし、素材の違いを痛感した。 この作品は、脚本・映像・演技と全て兼ね備えており、コメディーの中では指折りの一品です。 7点(2004-01-01 16:46:51) |
148. ポリス・ストーリー/香港国際警察
この映画を見て、女優さん(マギー・チャン)も凄いスタントするんだなと驚きました。バイクのシーンなんて本当に痛そうです。ドタバタコメディーの要素もふんだんに盛り込まれて大変面白い作品だと思います。「笑える」コメディー映画とはこういう作品のことを言うのでは無いでしょうか? 7点(2003-12-31 18:37:46) |
149. ポリス・ストーリー3
ミシェル・ヨーのもの凄いアクションといい、マギー・チャンの落下シーンといい、本当に女優さん頑張りますね。ジャッキーの映画って体を張ってると言うか、命を張って作ってますよね。「本気で映画作りをしている」という印象が強く残ります。 日本やハリウッドのアクション映画も似非アクションばかり撮ってないで、これぐらい気概を入れて取り組んで欲しい。 7点(2003-12-31 18:31:38) |
150. プロジェクトA
スピード感の有る格闘もさることながら、アクションコメディーとしての面白さは抜群。ジャッキーの作品のなかでも最高峰と言われる作品。起承転結が気持ち良いほどに決まっているし、ラストの4人が入り乱れてのバトルロワイアルは見ていて興奮します。海賊の大将は強かったですね。 ハリウッドのアクションよりも数段凄いし、面白い。 7点(2003-12-31 18:21:43) |
151. ヤング・マスター/師弟出馬
スピード感溢れるカンフーの中に、椅子や竹竿を使ったアクロバティックな動きが面白い。役人親子とジャッキーのやり取りは非常に面白くて笑えます。既に完成形を成すこの作品は、過去のジャッキーの作品と比べても上位にランクするものだろう。 7点(2003-12-31 10:11:47) |
152. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
《ネタバレ》 主人公である牧師を含めて数人が死んでしまいます。最後に何人かは生き残れますが、何となくせつない感じのラストでした。 一人ひとりのキャラクターの個性を上手く引き出せているので、「全員生き残って欲しい」と思わせるところなんかは、感情移入できる良い作品だと思います。 ただ、図られたように用意された障害物の設定は、パニック映画としての「お約束」的なエピソードに思えて少し気になる。 あと、気になったのですが「タイタニック」と比べたがる人が多いのは何故? ただ単に同じ沈没ものだから? 7点(2003-12-25 19:31:40) |
153. フレイルティー/妄執
《ネタバレ》 神の啓示により、悪人を退治(殺す)する任務を課せられたと妄想する父親。弟も影響を受けてサイコ化していく・・・、長男はそんな父親を見かねてとうとう殺害してしまう。見る側は、当然父親がイカれていたと思うだろう。それを最後にひっくり返すところに驚きを感じるのだが、面白いのは「兄の名前も神の啓示するリストに入っていた」というとこですね。結局、兄は将来連続殺人犯になるのですから・・・。 さらには、取り調べをしていた警官までもが殺人犯だったと最後に判明する。見る側に対して何重にも罠をしかけた衝撃的な作品です。 丁寧に脚本されているところには関心させられました。 7点(2003-12-25 19:30:42)(良:1票) |
154. JSA
国同士がいがみあい争いあっていても、その全ての人達が憎しみあっている訳ではない。もし、南北の境界線が無かったら親友になれる。そんなケースも有るのです。本来は憎しみ合うことが無いかも知れない人達が、お互いに国の為に殺し合う。朝鮮問題だけではなく、どんな戦争でも行われている悲劇的な事実を衝撃的な内容で伝えている。 7点(2003-12-25 19:25:18) |
155. 情婦
《ネタバレ》 この映画の場合は「ネタバレ」が完全に致命傷になるので、未見の人はこれを読まないように絶対に注意してください。 この映画に「どんでん返し」が有るとういうことは有名で、相当こちらもいろんなオチを想定しながら身構えて見ました。 まず、傍聴席に看護婦と一緒にいた女性。毎回熱心に傍聴していて、涙も見せていました。この時点で彼女が最後に事件に関わってくることは分かりました。(綺麗な女優さんだということも手伝いました)。 僕が予想したオチはこうです。「ボールのドイツ人妻は夫の浮気に気付いていた。その浮気相手をお金持ちの婦人と勘違いして殺害する。すると、上手い具合に夫が容疑者となってしまう。依然として夫の浮気が許せなかったドイツ人妻はボールに罪をかぶせようとする為に不利な証言を始める。しかし本当の浮気相手は傍聴席にいた女性だった。」というものでした。 絶対に自信が有る推理でしたが、見事に玉砕されました。 この映画のオチを完全に予想できる人っているのかな? [映画館(字幕)] 7点(2003-12-23 14:38:17) |
156. ベン・ハー(1959)
《ネタバレ》 キリストまでも絡めた壮大なストーリー、CGなしの豪華なフルセット、どうやって撮影したか不思議なぐらいの豪快な戦車戦、個々の場面にマッチした音楽・・・。世間で言われる通り、全てを兼ね備えた一大スペクタクル。 強者が弱者に対する理不尽な虐待・・・。民族間や宗教観の相違による争いや問題点は当時からのテーマである。そして、それに立ち向かうベン・ハーはまさに正義の象徴として描かれる。 メッサラは幼少の頃はベン・ハーと親友関係にあった。ところが、学ぶ環境や生活する環境から、2人の間には深い溝ができる。有る意味、人間は「環境に洗脳されて生きている」のではないだろうか。作品の中でベン。ハーは、ローマの司令官を救うことにより、出世してローマ屈指の剣闘士になる。しかし、その恵まれた「環境」にあまんずることなく、家族のもとへ戻る。その環境に溺れず流されない人物像は本当の勇気を示していると感じた。 故郷に戻ったベン・ハーは母と妹を殺されたと思い、メッサラへの復讐に燃える。復讐は成功するが、後に残ったものは無かった・・・。それゆえに、キリストの最後の言葉である「神よ彼らを許したまえ」はグッとくるものがあった。 7点(2003-12-21 11:01:51) |
157. 12人の怒れる男/評決の行方(1997)<TVM>
脚本・演出はほぼ同じなので97年度版も当然面白い。 異なる点は、最初に無罪を主張した男性に貫禄がついている。あと、黒人がキャスティングされてますね。個人的な思いは「他民族人に対する偏見を持つ男」に黒人をキャスティングしたのは失敗のように思える。彼自身人種差別を受けてきているはずなので違和感があった。 そして、一番の変化は「容疑者に対して自分の息子と混同した偏見を持つ男」が写真を持ってなかった。楽しげに2人で写った写真が無いと最後の感動が減少してしまうように思えてならない。 7点(2003-12-20 08:19:18) |
158. スティング
俳優の演技も素晴らしいし、それぞれのエピソードにタイトルが付いている演出も舞台の第一幕、第二幕というような感じでイメージにピッタリ。シナリオも上手く構成されていて出来すぎなぐらい。 ただ、何故かオチが読めてしまった。最近の映画は「オチのビックリ」に命をかけたような作品が多数有るせいで、身構えてしまう癖がついたのかも・・・。自分に残念賞。 7点(2003-12-18 18:15:00) |
159. カッコーの巣の上で
普通にしていてもイッているように見えるニコルソンにとって適役だったと思う。 完全にシステム化された病院。プログラマーは婦長である。チーフはアノマリーで・・・、あ、マトリックじゃなかった! もとい、そのシステムにより世間に出ることを恐れるようになって自閉ぎみになっている患者たち。彼らは外の世界に居るよりも、院内の世界の方が気楽にすごせるようになってしまう。異端物資であるチーフは自由という喜びを仲間(患者)に思い出させるように行動を始める。自分で選択する人生、楽しい人生は自分でつかみにいくものだということを、身をもって教えるのである。 患者の心を解放したチーフは、皮肉にも「死ぬ」ことで自分の心を解放することとなった。 婦長の「管理主義」とチーフの「自由主義」。双方の感性のぶつかり合いが見事に演出された見応え有る秀作でした。 7点(2003-12-18 17:13:39) |
160. ゴッドファーザー
非常に重厚な作品という感想です。壮絶なマフィアの世界を偽り無く映像化していて、残虐さや理不尽さが印象深く表現されている。とりわけファミリー(家族)に焦点が絞られている。マフィアという性質上、身内に対する愛情の深さが逆に悲惨な運命へと家族を導いてしまう。 この作品は自分本位なマフィアが、自分の家族への愛情のみを最優先するがゆえに、皮肉にも間違えた方向へと進んでしまう。その悲しい性をうたったものだと思います。 「仁義なき戦い」がよく引き合いにだされますが、「仁義」などがテーマでは無いので完全に見当違い。 そんなものは語ってません。道徳的で現実的な「良い人」を題材にしても面白くないでしょ。 7点(2003-12-18 17:09:57) |