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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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141.  ジャンヌ・ダルク(1999)
もったいないというか、なかなか深い映画なんですけどね。ジャンヌ・ダルクをテーマにしながら、神の意思や英雄物語の否定をやっちゃってるわけですよ。神の意志による戦争という矛盾、伝説ではないジャンヌの実態など、すごくいい視点ですよ。ジャンヌの抱く、美化された死や奇跡のイメージのビジュアル化、人格化された良心との対話など、素晴らしいアイデアもいくつかあります。ただし、全体的に切り口が短絡的なために、主題がかえってブレてしまってます。戦場に転がる死体にショックを受けるジャンヌ、愚直なまでに神への信仰を叫ぶジャンヌなど、ちょいとしつこすぎです。王位を得た途端に傲慢になるシャルル7世の描写も、あまりに単純すぎてガッカリでした。姉の惨殺、ジャンヌへのリンチなどの描写も、生々しすぎてかえってメッセージ性を削いでしまってます。この辺が、常にベタにこだわり続けるベッソンの限界なんですね。まぁ、戦場の迫力は大変なものだったし、「Follow me!」には燃えたし、アランソン、ジル・ド・レ、ライール、ジャン・ドーロンなど、ジャンヌの脇を固める男達はみんなかっこよかったし、娯楽性もそこそこ。悪い映画ではないと思います。
6点(2004-07-31 16:29:51)
142.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
老いたマイケルの物語と、ファミリーの子供たちの物語を同時に見せるという構成は第一作を踏襲したものであり、第一作でファミリーを継いだマイケルが、今度は後進を育成する側に回るという点がなかなか興味深かったのですが、残念なことに彼とヴィンセントの間のドラマはうまく流れていません。ヴィンセントは、登場場面こそ父親ソニー譲りの狂犬ぶりを見せて「こいつはちゃんとしつけねば」と観客を大いに不安にさせるものの、その後はさほどの暴れっぷりを見せることもなく、気が付けば三代目ドンの座に納まっているのだから、そこに感動も何もないのです。演じるアンディ・ガルシアの力量にも問題があって、第一作のアル・パチーノはドラマの進行とともに表情がどんどん変わっていき、普通の青年から大ファミリーを束ねるドンへの変貌ぶりをきちんと体現できていたのに対して、ガルシアには最初から最後までこれといった変化が見られませんでした。 1979年に発生したローマ法王暗殺疑惑をそのまま当てはめた本作の展開は、スケールが大きすぎて逆にピンとこなかったし、敵がまったくキャラ立ちしていないために、マイケルが一体誰と戦っているのかすら見失いそうになりました。芸術面でも娯楽面でも前2作からかなり後退したと言わざるをえません。 唯一興味深く感じたのはラストであり、一時は世界の権力中枢に迫るほどの勢いを持っていたマイケルがたった一人で亡くなる様は、孫との戯れの中で亡くなったヴィトーの最期と好対照をなしており、マイケルが最後の最後まで孤独な人間であったことを浮き彫りにしています。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2017-03-18 02:49:31)
143.  エリザベス 《ネタバレ》 
父・ヘンリー8世と母・アン・ブーリンの愛憎劇を描いた『ブーリン家の姉妹』がなかなかの面白さだったので、その子・エリザベス1世の初期統治を扱った本作も連続で鑑賞しました。 いつ殺されてもおかしくない状況からの女王就任に、宗教問題で分断された国家の統合、王位簒奪を狙う周辺国家との駆け引き、国内最有力貴族による反逆未遂など、映画として面白いイベントてんこ盛りのエリザベス治世なのですが、これが実に盛り上がりに欠けるという残念な内容となっています。どうやら本作は当然に英国史を知っている人たちを対象として作られているようであり、各イベントについては観客の側で脳内補完してもらえることが前提となっているため、英語文化圏以外の観客にとっては各登場人物の行動原理が分かりづらい、大した煽りもなく大事がさらっと流されていくという不親切な仕上がりとなっています。 また、エリザベスのメロドラマが作品の横軸となっているものの、物語開始時点ですでにエリザベスとロバートとの関係性が出来上がってしまっているため、こちらも感情移入が難しくなっています。 美術や演技など見どころは多いものの、アカデミー作品賞ノミネートの割にはドラマ部分に力がなく、「名物に旨い物なし」を地でいくような仕上がりとなっています。
[DVD(吹替)] 5点(2016-12-05 15:29:18)(良:1票)
144.  GONIN 《ネタバレ》 
90年代は日本映画が海外で賞を獲りまくる一方で観客がまるで入らず、良くも悪くも映像作家達が野放しにされていた時代なのですが、そんな時代を象徴する作品のひとつが本作です。豪華キャストを投入した全国公開作品でありながら作りは驚くほど粗削り。石井隆作品らしく印象的な場面が多くて映画全体にパワーと勢いが溢れている反面、監督が興味を示さないパートについてはかなり強引な省略がなされており、唐突な展開が目立ちます。 例えば、根津甚八演じる氷頭と家族の関係。中盤にてヒットマンに家族を殺されたことから氷頭はヤクザに対して弔い合戦を挑むこととなるのですが、その前段階において家族と氷頭との関係性を見せる描写がほとんどないために感情的な盛り上がりを逃しています。それどころか、家族が殺された瞬間にも氷頭は何らの感情も表さず、仲間と合流した後にも家族の死という重大事件に一切言及しないことから、見ている私は「あれ?家族は無事だったの?さっき殺されたのは家族以外の別人だったっけ?」と混乱してしまいました。通常の映画文法ならば当然あるべき描写が足りていないため、本来は簡単なはずの話がひどく分かりづらくなっています。 また、この頃の邦画は録音が悪いのかセリフが聞き取りづらい点もマイナスでした。せっかく素晴らしいバイオレンス描写があるのに、説明不足なお話と聞き取りづらいセリフのせいで興が削がれたことは残念でした。
[インターネット(字幕)] 5点(2016-10-25 17:44:27)
145.  ステート・オブ・グレース 《ネタバレ》 
製作当時は伸び盛りの若手・中堅俳優を集めたつもりが、今になって見返すと錚々たるメンツが顔を揃えたクライムドラマ。『ゴッドファーザー』以来とも言えるほどのキャストの充実ぶりで、俳優のパフォーマンスを楽しむ映画としてはかなりレベルが高いです。 中でも突出しているのがゲイリー・オールドマンで、やっちゃいけないことをやらかして事態をどんどん悪化させる狂犬役なのですが、それと同時に情に厚く、さらには持って生まれた愛嬌からどこか憎めない魅力を放っているという極めて複雑な役どころながら、オールドマンはこれを完璧に演じています。彼の隣に座れば、ショーン・ペンすら脇役に甘んじてしまうほどの圧倒的な存在感とパフォーマンスであり、彼が作品の要となっています。 それだけに、オールドマン退場以降は映画全体が急激に失速しました。ショーン・ペン演じる主人公・テリーの苦悩は表層的だし、ロビン・ライト(本作ではやたら脱ぐ)との関係にもロミオとジュリエットのような痛々しさが足りておらず、いろいろと中途半端。そのようにいろんな要素が少しずつ欠けた状態だったため、ブチ切れたテリーが二丁拳銃で殴り込むクライマックスには唐突感があり、何とも消化不良でした。 また、敵役となるエド・ハリス演じるフランキーの人物像もうまく定まっていません。若いボスであるため隣町のイタリア系大親分からはボクちゃん扱いされている上に、そもそも貧弱なアイリッシュ系組織をまとめあげることにも苦労しており、内外からの批判にあっている不遇の存在。その苦悩はある程度描かれているものの、一方で人間性に問題があるともとれる言動も多く、同情すべき悪党なのか、断罪すべき悪人なのか、作品中での位置づけがよくわからないのです。彼が弟や幼馴染に対して抱く感情もはっきりと描写されていないため、組織防衛のための苦渋の決断にもドラマ性が伴っていません。エド・ハリスによる演技は悪くなかっただけに、脚本レベルでの掘り下げが不足していることが残念でした。
[DVD(字幕)] 5点(2015-08-15 02:27:27)
146.  追跡者(1998) 《ネタバレ》 
『スコーピオン・キング』に『キャットウーマン』に『エレクトラ』と、ハリウッドのスピンオフ企画にはロクなものがありませんが、本作については正編をも上回る予算と人材が投入されていることから、これはヒット映画に便乗した小遣い稼ぎというハンパな企画ではなく、シリーズ化を狙ってかなり真剣に製作された作品であったことが伺えます。実際、『逃亡者』でオスカーまで受賞したジェラード保安官の魅力は本作でも健在であり、熱い信念を持った皮肉屋という彼の個性はきちんと活かされています。さらに、前作ではほとんどアクションをやらなかったトミー・リーが、本作では一転してかなり激しい動きを見せており、新たなヒーローを作り出そうとする努力が随所に伺えます。。。 問題は、本作の舞台があまりに大きすぎたことでしょうか。例によって逃亡者を追いかけていたら、そいつは国際的な諜報戦争の渦中の人物だったことが判明するというお話は、少々荒唐無稽すぎました。そんな大きな舞台の中でいち連邦保安官に過ぎないジェラードが暴れているのでは、違和感しか覚えません。また、脚本上はミステリーを指向しながらも、タイプキャストを使っているためにあらゆる謎がバレバレになっているというキャスティングにも首を傾げました。ウェズリー・スナイプスはどう見ても普通の人間ではないし、ロバート・ダウニーJrは登場時点で怪しさ全開。で、観客が抱いた先入観の通りにネタが明かされて映画は終了するわけですが、監督はこのキャスティングで観客が謎解きを楽しめると考えていたのでしょうか。。。 上映時間が無駄に長いことも、映画をつまらなくしている要因となっています。例えばジェラードの服装ネタ。チキンの着ぐるみを着ての初登場でひとネタやったにも関わらず、その後にも観光用のおかしなTシャツを来たり、部下が用意したダサいスウェットを着たりと、服装ネタを都合3度もやるわけです。また、観客がわかりきったことをクドクドと説明する場面もやたら目に付いたのですが、これら無駄な時間の積み重ねが、本編を必要以上に冗長なものにしています。監督を務めたスチュアート・ベアードは編集マン出身であり、その全盛期には編集の神様とまで言われた人物なのですが、そんな監督がこのような杜撰な編集をしたことには悪い意味で驚かされました。
[DVD(吹替)] 5点(2014-08-27 00:27:59)(良:1票)
147.  マーシャル・ロー(1998) 《ネタバレ》 
劇場公開時には驚くほどヒットしなかったものの、911後にはその先見性に注目が集まった本作。確かに、その内容には凄まじいものがあります。軍隊による捕虜への拷問がひとつのトピックとされているし、アメリカが使い捨てにした地元工作員が後にテロリストになったという事実の指摘や、テロリストを生み出した国家に対してアメリカが戦争を仕掛けることにまで言及されており、1998年の時点でよくぞここまで考えていたものだと感心させられました。さらには、アメリカの入国管理がザルでテロリストが自由に入出国できる状態にあったという、911の元凶となった事項へのツッコミもあり、本作の先見性には本当に驚かされます。本作が製作された時期にはハリウッドは厭戦ムードに入っており、『ザ・ロック』や『ピースメーカー』といったアメリカの正義に対する疑念を出発点とした娯楽作が多く製作されましたが、テーマの捉え方という点において、本作は突出していたと思います。。。 問題は、映画としてまったく面白くなかったということでしょうか。映画は社会派ドラマと娯楽アクションの間で絶えず揺れ動き、結局、どっち付かずとなっているのです。前述の通り、時に鋭い指摘がなされるものの、同時に、ブルース・ウィリス率いる進駐軍がテロリストそっちのけでFBIと内輪揉めを始めたり、アラブ系住民に対する差別を糾弾する平和的デモ(いわば、テロリスト側にとっては味方)が爆弾テロの標的にされたりと、意味不明な展開が多くて参ってしまいます。「俺こそが法だ!」と叫ぶデヴロー将軍は堂々のズレっぷりですが、アネット・ベニング演じるCIAエージェントも地味にヘンです。潜入対象に情が移ってしまい、もっとも身近に爆弾魔がいたという事実に気付かないというバカっぷりを披露。CIAがこの体たらくではテロリストに勝てませんよ。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2013-10-23 00:49:34)(良:1票)
148.  プッシャー(1997)
世界的にタランティーノ症候群が蔓延していた時期の作品だけあって、本作もモロにタランティーノの影響を受けています。延々と繰り広げられる本筋とは無関係な会話に、突発的な暴力。口数の多い主人公については現在のレフンの作風からすると意外に感じられたのですが、そんな主人公がどんどん追い込まれていき、後半になるとほぼ喋らなく様には、後のレフン作品の片鱗が垣間見えています。部屋にはブルース・リーとマッド・マックスのポスターが貼ってあり、少々手間のかかる彼女に対しても優しく接するという、子供っぽくも気の良い悪党だった主人公が、どんどん粗暴でイヤな奴になっていくという展開にもハリウッドとは一線を画すものがありました。「ピンチに陥った時に、本当に大切な愛を見つけた」なんてセンチな展開など皆無なのです。また、「レストランを開きたいなぁ」なんて笑顔で話していた用心棒が、次の場面ではとんでもない暴言と暴力を振るうという落差の付け方などは非常に効果的であり、本作はただの模倣に終わっていません。。。 ただし、クライムサスペンスに必要な、物語の求心力が不足していた点は気になりました。観客に対して主人公の一発逆転プランが提示され、そのプランがどう転ぶかでハラハラさせるのがこの手の映画の王道だと思うのですが、本作はそうした娯楽的な要素が著しく不足しています。ただただ焦る主人公の姿が映し出されるのみ。全体の空気は良いものの、「これは」という特別な場面に乏しく、少々間延びした映画に感じられました。
[DVD(字幕)] 5点(2013-07-08 22:35:15)
149.  ラストマン・スタンディング 《ネタバレ》 
主人公が何の目的で戦っているのかがよくわからないし、悪党のワルぶりも足りていません。さらにはキャラクターの戦力描写も不適切であり、銃を持たせた時の主人公が最強すぎて、彼が二つの組織の間をコソコソと動き回ることが無意味に感じられてしまいます。実際、クライマックスではたった一人でヤクザの拠点に殴り込んで、全員を射殺してしまうわけだし。だったら最初からそうしろよと思ったのは私だけではないはず。そもそものミスとして、謎の男であるはずの主人公に映画のナレーションをさせてはいけないでしょう。彼は、どこで何をしてきたのか分からない、何を考えているのかも分からない男でないといけないのに、ナレーションでその心境がご丁寧に説明されてしまうのでは、ダークヒーローに必要な神秘性というものが失われてしまいます。。。 ウォルター・ヒルは黒澤明やセルジオ・レオーネに対して敬意を払いすぎるあまり、本作では完全に調子を狂わせてしまったようです。オリジナルにあった要素を自作にも反映させようとしたために、作品全体のバランスが崩れてしまったのです。彼はオリジナル脚本でこそ光るタイプのクリエイターであり、他人のふんどしで相撲をとることは出来なかったようです。とはいえすべてがダメというわけではなく、ヤクザの女が耳を削がれたり、主人公が半殺しのリンチを受けたりする中盤のバイオレンスはなかなかショッキングだったし、そこからペースを上げてクライマックスへと突入していくテンポの作り方も良く、バイオレンスの巨匠の面目はある程度保たれています。また、『フェイス/オフ』が世に出る前年において、二丁拳銃によるアクションをかなりの完成度で披露した辺りのセンスの良さも評価すべきであり、本作は決してダメな映画ではありません。。 ただし、この映画で6,700万ドルは使いすぎですが。同年公開の『インデペンデンス・デイ』『ザ・ロック』の製作費が7,500万ドル、『セブン』に至っては3,300万ドルで作られている中で、狭い舞台で登場人物の数も限られている本作の製作費の割高感は突出しています。どこに大金が使われたのかを推測しながら本作を見れば、意外と楽しめるかもしれません。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2013-06-25 01:34:54)
150.  リバー・ランズ・スルー・イット
家庭内での長男・長女の立ち位置は悲惨なものです。家族のアイドルでいられるのは生後数年間のみであり、弟・妹の誕生とともにスポットライトを奪われ、以後は良い子であることを強要され続けます。ならばと両親の期待に少しでも近づけるよう努力を重ねると、今度は「真面目なのはいいが、感情を表に出さないから接しづらい」などと言われる始末。一方下の子はというと、家庭のアイドル状態は成人するまで継続し、ありのままに生きることが許容され続けます。欠点までもが両親からの愛情の対象となり、「たまに問題は起こすが、素直でかわいい子」ポジションを確立するというわけです。問題を起こさず真面目に生きても、そのことを褒められもしない長男・長女からすれば、永遠に越えられない壁が弟・妹なのです。。。 本作で描かれるのは、兄の目を通した弟の物語。兄は、自分とは正反対の人種である弟のことをまったく理解できません。だから、弟がどんどん破滅へ向かっても、その原因は兄にも観客にもサッパリわからないし、兄は堕ちていく弟をただ傍観するのみで、彼を止めようともしません。このドラマ展開はかなり斬新なものですが、同時にこれは現実世界の一側面を的確に描写したものだとも感じました。私にも妹がいて、兄妹仲も悪くないのですが、妹の考えが分からない時がしばしばあります。同じ家で育ったとはいえ、まるで違う育てられ方をしたためにモノの捉え方や感じ方がまるっきり異なるのです。。。 この映画のテーマはとてつもなく興味深いものです。それは家族愛とか家庭の断裂といったありがちなテーマではなく、家族内にも理解できないことはいっぱいあるよねという、物凄く深い部分の話をしているからです。レッドフォードは家庭を扱った映画をいくつか手がけていますが、本作はその決定版とも言える内容だと思います。。。 以上、企画の志には大いに賛同できるのですが、如何せん単調で起伏に欠ける映画なので、見入ってしまうほどの面白さはありませんでした。美しい映像で全てを語ろうとするレッドフォードの演出も上品過ぎて肌に合わず、「一度見ればもう充分」というのが率直な感想です。
[DVD(吹替)] 5点(2013-06-18 01:33:40)
151.  ゲーム(1997) 《ネタバレ》 
本格サスペンスではなくダークな寓話なので細部にツッコミを入れても仕方のない映画ではあるのですが、それにしてもご都合主義の多い展開には参ってしまいました。事前に肉体と精神の綿密なチェックを行ったとはいえ、主人公を車ごと海に転落させて死なない保証など何処にもないし、仕掛人が手を回しきれなかった第三者が介入してくるリスクもあります。観客を騙したいのであれば、ウソに説得力を持たせる努力ぐらいはして欲しいところでした。論理的整合性を無視して突っ走った時点で、オチの衝撃度も薄れてしまうのです。フィンチャーの演出力や豪華な俳優陣によって映画全体は救われてはいるものの、脚本はイマイチですね。。。 ここからはオチを踏まえての感想となりますが、これは本当にハッピーエンドだったのかという点が引っかかりました。評論家の宮崎哲弥氏は本作を「自己啓発セミナーの映像化」と考えているようですが、私も宮崎氏の意見に賛成します。日本ではX JAPANのTOSHIやオセロの中島知子がその被害に遭っていますが、徹底的に個人の人格を破壊し、完全に真っ白になったところで「おめでとう、君は生まれ変わったね」と祝福して、コントロール可能な新たな人格を上書きするのが自己啓発セミナーの手口です。他人から本音をぶつけられる機会が少なく、財産を巡って身内に対してすら猜疑心を持っている富豪や有名人は、この手の心理的揺さぶりに弱いと言われます。相談できる相手がなく常に孤独であるため、揺るぎないと思っていた自分の価値観に自信を持てなくなると、人格が一気に崩壊してしまうのです。そう思って本作のラストを見ると、あまりのバッドエンドぶりに背筋が凍ります。高額なサービス料を自分も負担すると言い出す兄。これが弟とCRS社が仕組んだマインドコントロールの成果であって、今後も何かにつけて金銭的な負担を要求され、そのうちに身ぐるみ剥がされる運命だとしたら?一方的にクビを言い渡され、主人公を死ぬほど憎んでいるはずの出版社社長が笑顔で主人公を迎えていた点など、バッドエンドを匂わせる描写がいくつか仕込まれている点に注目なのです。ちなみに、世界最大の自己啓発セミナー組織であるランドマークエデュケーションは、本作の舞台であるサンフランシスコに所在しています。
[DVD(吹替)] 5点(2013-06-03 22:17:34)
152.  フック
スピルバーグの映画なのでちゃんと面白いものの、他のスピ作品と比較すると落ちる出来だと言わざるをえません。後の『A.I.』でも同じ失敗をするのですが、この人はリドリー・スコットやティム・バートンのように世界観を一から作り上げる能力がないために、ファンタジー映画を撮らせると途端にボロが出てしまいます。7,000万ドル(2013年現在の貨幣価値で1億3,000万ドル)という途方もない金額を投じて巨大セットを作りながら、そのビジュアルはどこかからの借り物感全開で世界観には面白みがありません。さらには、クライマックスのアクションが完全な子供騙しだったことも、映画の評価を落とす原因となっています。あそこで描かれるべきは大人と子供の真剣勝負だったはずなのに、観客から拒絶されるような刺激があってはマズイと気の抜けたチャンバラでお茶を濁してしまったために、娯楽映画としてまったく締りのない内容になっているのです。。。 ただし、本作製作の背景を見ると、この不出来はスピルバーグ一人の責任ではないこともまた事実。1989年にコロンビア映画はバブル絶頂期のソニーに買収され、ソニー・ピクチャーズが発足します。本作はソニー経営下で製作された初の大作であり、世界最高の映画監督であるスピルバーグを雇い、史上最高クラスの予算が投じられた作品ということで、経営陣は本作に対して並々ならぬ期待を寄せていました。さらには、どこまで本気だったのかは定かではないものの、当時のソニー経営陣は映画のテーマパーク化構想(その名も『ソニーランド』)を持っており、本作をソニーランドの中心コンテンツに仕立てあげたいという思惑もあったようで、スピはまさに雁字搦めの状態にあったわけです。件の気の抜けたチャンバラなどは、スピの手落ちというよりも会社側の戦略ミスだったように思います。実際、ソニーは同時期に『ハドソン・ホーク』や『ラスト・アクション・ヒーロー』といった本作と同傾向の大作を数本製作し、そのどれもが「内容があまりに子供騙し過ぎて、子供も騙されてくれなかった」という状況に陥っていましたから。。。 ともかく本作はスピの大きなターニングポイントとなり、以降の作品では残酷描写に手を抜かなくなりました。さらには、雇われ仕事の限界を感じたことから、独自のスタジオであるドリームワークス設立にまで繋がったわけですから、本作の歴史的意義は小さくないと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2013-05-06 02:26:42)
153.  処刑人
個人的に好きなジャンルの映画なのですが、本作は楽しむことができませんでした。街のウジ虫を退治して回る兄弟の物語でありながら、その出発点が社会正義なのか私怨なのかが不明確だったことがまず良くないし、暴力の深みにハマっていくことへの躊躇もないため、ドラマがまったく広がっていません。さらには、悪役となるマフィアたちの悪行の描写が決定的に不足しているために、全体としてエモーショナルな盛り上がりに欠けています。。。 兄弟の戦力設定もいい加減で、武器の扱いについては素人同然の彼らが、コテコテのマフィアとの撃ち合いで偶然勝ってしまうなど、都合の良い見せ場が多すぎました。派手なドンパチも少なく、見せ場は基本的にダイジェスト処理なのでアクション映画としての盛り上がりにも欠けます。。。 ただし、気のいいあんちゃんといった風情の兄弟の人となりには好感が持てたし、見せ場についてはボリュームに不満があったものの、個々の作りにはセンスの良さを感じました。映画ファンから愛されるに足る「色気」も存在しており、可愛げのあるB級映画だと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2013-03-10 02:11:47)(良:1票)
154.  ブルースチール(1990)
キャスリン・ビグロー監督×エリック・レッド脚本×オリバー・ストーン製作という何とも豪華なメンバーで製作されたアクションスリラー。才人が集結しただけあって部分的には素晴らしい場面はあるものの、全体としては平凡な映画だったという印象です。アクション映画としてのイベントが不足している上に、スリラーとしての張りつめた空気作りにも失敗しているので、短い上映時間ながら中弛みをしています。さらには、平凡な金持ちだったロン・シルバーがバイオレンスに目覚めた理由や、狂気に飲まれて歯止めが利かなくなるまでの過程、あるいは複数人の警官を相手とするに足りるだけの射撃術や格闘術をいつどこで身に着けたのかという説明など、この物語にとって必要なピースが少しずつ欠けているため、全体として見るとえらく説得力のない映画に終わっています。ジェイミー・リー・カーティスも劇中言われる程の美人には見えず、映画のあらゆる要素が作り手の意図したレベルに達していないという印象です。
[DVD(字幕)] 5点(2012-11-03 17:35:51)
155.  ハートブルー 《ネタバレ》 
キャスリン・ビグローによる演出は素晴らしいの一言。ハイライトであるサーフィンの美しさのみならず、強盗シーンの臨場感やチェイスシーンの疾走感も素晴らしく、もし彼女が多作の監督であれば、今頃はリドリー・スコットやデビッド・フィンチャーのポジションに居たのではないかとすら感じさせられました。ただし、脚本がボロボロなので映画としてはイマイチです。とりわけ、潜入捜査官とサーファー強盗団が互いの素性を認識して以降の展開は酷いものでした。FBIにマークされていることが分かったのだから強盗団はさっさと海外逃亡すればいいものを、キアヌ捜査官を誘ってスカイダイビング&最後の銀行強盗とはちょいと悠長すぎるでしょう。キアヌもキアヌで、女を人質にとられているとはいえ、言われるがままに銀行強盗のお手伝いまでしてしまうのは頭悪すぎ。逮捕して尋問した方が手っ取り早いと思えてしまうのは、脚本の工夫が足りない証拠です。最悪だったのは、後半の展開でパトリック・スウェイジ演じるボーディを完全な悪人にしてしまったことで、このために捜査官と犯罪者との間に生まれる友情物語という基本的な構図が崩れてしまっています。彼は、盗みこそするが決して人は傷つけない義賊に留めておくべきだったのです。
[DVD(字幕)] 5点(2012-10-30 01:09:38)
156.  ザ・ファーム/法律事務所
飛ぶ鳥を落とす勢いだった若きトム・クルーズを中心とし、その周りをジーン・ハックマンやエド・ハリスといったベテラン勢で固め、さらにその外側にはゲイリー・ビジーやトビン・ベルといった個性派を配置するという層の厚いキャスティングは魅力的でした。本作はパラマウントにとって相当気合いの入った企画だったようで、スタッフ、キャスト共に最高のメンバーが名を連ねています。しかし、そんなパラマウントからの期待とは裏腹に、映画の内容は平凡の域を脱していません。不吉な前兆の積み重ねでイヤな汗をかかされる前半部分はそれなりの面白さだったものの、後半部分で映画は完全に息切れしてしまうのです。監督も脚本家も複雑な話をまとめあげることでいっぱいいっぱいになってしまい、この膨大な情報量が観客に伝わるかどうかとか、クライマックスで観客はカタルシスを味わえるかどうかということは二の次にされています。直し屋として有名なロバート・タウンが脚本家に名を連ねている時点で察するべきだったのですが、それにしても、思いの外低い完成度には驚かされました。トム・クルーズ以外のキャストを完全に持て余すという名優の無駄遣いぶりもかなりのもので、本作よりも2ランクも3ランクも劣るメンバーで製作された『逃亡者』に批評面でも興行面でも及ばなかったことにも納得がいきます。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-17 01:53:35)(良:1票)
157.  サンダーハート 《ネタバレ》 
午後のロードショーにて鑑賞。いかにも午後ローらしい可もなく不可もなくな内容で、なかなかの豪華メンバーが顔を揃えながらも日本では劇場公開されなかったことにも納得がいきました。。。 ネイティブ・アメリカンの霊媒を捜査に活用するという斬新すぎる試みは空回りしているし、ヴァル・キルマー扮するレイ捜査官が己のアイデンティティを辿るドラマとしても感動が不足しています。根本的な問題として、ミステリー映画であるにも関わらず序盤から悪い奴がモロバレになっているのはどうかと思います。「ネイティブ・アメリカン=被害者、白人=加害者」というありがちな図式を避けるために、ネイティブ・アメリカンの社会内にも対立があるという構図を持ち込んだアイデアは評価できるのですが、映画後半になるとその構図がすっかり忘れ去られ、白人の悪事を糾弾するいつものネイティブ・アメリカン映画に落ち着いてしまった点にはガッカリでした。。。 コーエン兄弟作品でお馴染みのロジャー・ディーキンスによる撮影は美しく、ヴァル・キルマーは精悍でカッコいい、ハリウッド映画としての体裁はしっかりと整っているので、2時間を飽きさせない出来となっていたのが救いでした。
[地上波(吹替)] 5点(2012-09-07 22:10:37)
158.  レオン/完全版 《ネタバレ》 
はっきり言って蛇足な完全版です。劇場版は観客の想像に任せることで絶妙なバランスをとっていたのですが、完全版では描写がはっきりとしすぎてその味が失われています。マチルダがレオンの仕事に同行して人殺しを覚える場面など要らなかったし、レオンの昔話も不要でした。レオンに童貞臭さがあってこそマチルダとの恋愛が「ロリコン」にならずに済んでいたのに、過去の悲しい恋愛を持ち出してそれなりの人生を送ってきたことを明示されると、二人の関係性への解釈が大きく変わってしまいます。DVDやブルーレイの商品展開を見るとベッソンは劇場版を葬って完全版を主流にしたい様子なのですが、その判断は間違いだと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2011-01-17 21:35:52)(良:1票)
159.  ディープ・ブルー(1999)
B級モンスター映画としては及第点の仕上がりだと思います。及第点であって合格点ではないのは、B級ならではのバカバカしくも突き抜けた盛り上がりに欠け、かといって真剣な鑑賞に耐えうる大作の風格を持つわけでもなく、中途半端な仕上がりとなっているからです。例えば前年に公開された「ザ・グリード」は、途中までモンスター映画だったものが終盤では怪獣映画に変わってしまいます。あの偏差値の低い大盤振る舞い、理屈ではなく面白さ重視の姿勢こそがB級モンスター映画に必要なものなのですが、一方この映画、設定はバカなのに映画としての体裁を整えようとする面が時折顔を出し、もうちょっとムチャクチャやって欲しいという手前のところで止まってしまっています。。。この映画、真面目なのか不真面目なのかがよくわかりません。遺伝子を改造されたスーパーシャークが暴れ回るという物語は完全にB級なのですが、その割に撮影には妙に気合いが入っています。そこら中から水が噴き上がり、いくつものセットを浸水させるという撮影はかなり本格的で、「アビス」や「タイタニック」に匹敵するほど。90年代後半には「スフィア」や「ヴァイラス」など海洋パニック映画が何本か作られているのですが、それらは舞台こそ海ではあっても、水を使った撮影はほとんどやっていない代物ばかり。その中にあって、本作は完璧主義のキャメロンと同等の仕事をやっているのです。そんな真面目な撮影の一方で脚本や演出はかなり雑で、登場人物は魅力に欠けるし、見せ場は単調だし、水が迫ってくるというタイムリミットも映画にまったく活かせていないし、もうちょっと丁寧に考えれば面白くできたのにという惜しい点がいくつもあります。また、雑なら雑で「ザ・グリード」のように突き抜けてしまえばいいのですが、「遺伝子操作という倫理的タブーを犯したから、われわれはそのしっぺ返しを受けているのだ」なんて説教臭い話が入ったり、「おかしくなりすぎないように」という配慮からかスーパーシャークの暴れ方が意外と地味だったりで、B級モンスター映画としてもやりきれていません。ハーリンの演出も全盛期と比べるとパワーが足りていなくて、とにかくこの映画のすべてが「あともうちょっと足りない」というもどかしい状態となっています。
[DVD(字幕)] 5点(2010-09-19 22:25:23)
160.  フィラデルフィア 《ネタバレ》 
難病ものにして、差別と闘う法廷劇。監督は「羊たちの沈黙」で主演男優賞と主演女優賞をダブル受賞させた(この快挙を成し遂げた監督は歴史上たった3人)ジョナサン・デミ。いかにも賞の匂いのプンプンする映画だけあって、素晴らしい俳優陣が集まっています。演技ができて華もあるトム・ハンクスとデンゼル・ワシントンは文句なしの仕事ぶりだし、ゲイの恋人を演じたバンデラスのなよなよした演技も見ものです。またこの手の社会派ドラマはハリウッドのお家芸だけあって、本編のお膳立てをする前半部分の処理もお見事。上映時間を冗長にすることなく観客に必要な情報を伝えるため、時に視点を変え、時に時間軸をいじりながら、手際良く設定を裁いていきます。楽しんで見るような題材ではないのですが、映画としてきちんと面白く撮られていること、観客に伝えるべきことを伝わるように表現する姿勢には好感が持てました。。。と、面白いのは前半まで。あれほどてきぱきとした前半と比較すると後半はえらくゆっくりしているし、かといってじっくり描くべき大きな山を作れているわけでもないので、正直言って退屈します。裁判の最初に、デンゼルは陪審員に向かって「これからやるのは映画で見るような裁判ではありません。劇的な証拠や証言者が見つかるという展開もありません」と宣言しますが、これは観客である私達に対する監督からの宣言だったようです。弁護士による舌戦が繰り広げられることも、キーパーソンを巡る駆け引きもないため、法廷ものの醍醐味は味わえません。被告側弁護人によって論理を崩されてデンゼルは負けるのではないかという危機的局面を迎えることも、陪審員の心を動かせるかどうかという最後の緊張感もなく、こちらが勝つことが100%分かっている法廷劇がひたすら繰り広げられるのみです。好意的に捉えれば、エンターテイメントとしての装飾を排除した製作陣の真摯な姿勢の現れとも解釈できるのですが、ここまで何も起こらないのは映画としてちょっと寂しいかなと思います。ドラマ面についても、製作側が意図しているほど感動的には仕上がっていません。2時間感情移入して見てきたベケットが死ねば観客は悲しいと感じるに決まっているのですが、それ以上の感動につながっていません。ベケットと家族とのドラマがばっさり落とされているようでしたが、ここを克明にしておけば印象は変わったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2010-09-05 00:42:06)
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