141. きみに読む物語
《ネタバレ》 友人で何人かこの映画を勧める人がいたので思い切って見てみました。大勢で野外で食事をしているシーンでノアが仕事や給料を聞かれるシーンでは「タイタニック」を思い出し、出した手紙が遮られる設定で「カラーパープル」を思い出し…まぁよくある話だなぁといった感想です。同じ認知症や記憶障害系の作品ではどちらかといえば「アイリス」の方が好きです。ただ映像も綺麗でしたし、ずっと読んでいた物語がアリーが書いたものだったのを知ってなるほどと思わされたので一見の価値はあるかと思います。あとあの単純な原題からうまく邦題をつけたなぁと思いました。 [DVD(字幕)] 3点(2006-12-28 14:27:59) |
142. カッコーの巣の上で
随分古い作品ですが、統制社会が一企業単位や一家族単位にこれからも存在し続けるであろう時代に、いい警鐘になりえる佳作だと思います。マクマーフィが勝手すぎたりと少々極端な描写も目につきますが、譲歩を知らない相反する者同士の共存がこういった悲劇を招くというのはそこまで大袈裟な話でもないような気がしました。あと主演の二人見事です。 [DVD(字幕)] 8点(2006-12-28 01:16:41) |
143. パンチドランク・ラブ
映像は部分的に綺麗だったりしてよかったと思います。ちょっと色彩が鮮やかすぎかとも思いましたが。あとやっぱりシュールすぎる内容には正直ついていけない部分がありました。人物設定や台詞などを非現実的にするならもっとストーリーも大胆な展開の仕方をしてもよかったのでは。 [DVD(字幕)] 1点(2006-12-28 00:28:02) |
144. 海を飛ぶ夢
死を認める人の意見はそれはそれで然り、死ぬべきじゃないと謳う人の主張も然り。ラモンが突然取り乱したり、空を自由に飛ぶ夢を見たりする場面にはとても切なくなりました。献身的な家族の介護があり、様々な人がラモンの言うことに耳を傾けてくれる(しかもやけに女性にモテる)暮らしの中でも、逆に完全に無意識状態なわけでないからこそ余計につらい思いをしているのがよく伝わってきました。尊厳死に対する答えはない、というのがこの映画の答えなのではないでしょうか。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-27 23:54:44) |
145. マレーナ
《ネタバレ》 小さい頃ってのは恋をしても何も出来なかったよなぁ、ってこの映画を見て改めて思い出させられました。思春期の少年の純情と発芽したばかりの性欲がごちゃごちゃに入り交じった感じがすごくよく描けてると思います。ずっと見ているばかりだった少年が思い切ってマレーナに話しかけたラストは、少年が一歩成長したことを実感させられるシーンでした。ただこれが片田舎の美しい島だったからよかったですが、日本で下着泥棒や木に登って覗きなんてしてたら即連行ですね。あとマレーナが島を追われる発端は別にリンチでなくてもよかったのでは、とも思いました。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-12-27 23:33:23) |
146. ブラウン・バニー
《ネタバレ》 目が合って言葉を交わすでもなく次はキス…こんな凄腕のナンパ男がいたら見てみたいですね。正直最初のバイオレット(だったかな?)が置き去りにされるのは可哀想な気もしましたが。ロードムービー的な要素も強く、映像も音楽も嫌いではないのですが少々ギャロが目立ちすぎ?途中がギャロ一辺倒なのは残念です。ただ話的にはなかなか考えさせられる点も多く、(ギャロにそんな意図があったかはわかりませんが)改めて性犯罪の悲惨さを痛感させられました。ただここまで後味の暗い映画も珍しいかも…「ボーイズ・ドント・クライ」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」以来でしょうか。しかもラストをあんな掟破りな手法で描かなくても充分映画としては成り立ったはずなのでもったいないと思いました。 [DVD(字幕)] 2点(2006-12-26 16:56:44) |
147. クラッシュ(2004)
《ネタバレ》 構成といい脚本といい、フリになるちょっとした時系列の組み替えといい絶妙ですね。映像も丁寧に作られてる感じがします。ドン・チードルがちょっとした発言でパートナーの反感を買ってしまう細かな衝突から、ライアン・フィリップが正義漢ぶりながらも結局はヒッチハイカーを信じられずに殺めてしまう大きな問題まで、一貫して人種差別のあらゆる側面を懇切に描いた姿勢には感服です。一般の差別問題では白人が黒人を差別する、というような構図が描かれがちですが、この映画では双方の差別をなくそうとする姿勢、差別は結局あるんだという諦め、差別をなくそうとする反面かえってその意志が悪く表に出てしまう状況などが包括的に描かれている気がしました。ただ見る側とすればもう少し話に抑揚や、クライマックスに向けて加速していく感じが欲しかった感想も残り、少々敷居の高い作品になってしまったのが残念です。映画の本来持つ娯楽性をもう少し追求して欲しかった、かな。 [DVD(字幕)] 6点(2006-12-26 16:34:05) |
148. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 この映画が伝えようとするものは大きいです。「父親たちの星条旗」も合わせて、一貫して反戦の思いが根底にはあるような気もしました(現在のアメリカ人の気持ちが出たのかもしれませんが)。それも反戦を高らかに謳うのではなく、あくまで太平洋戦争の歴史を淡々と描くことでそう思わせる実力は確かなものがあります。映画の中身の話をすると、正直なところCGが粗いような気がしました。身長の何倍もの高さまで立ち上がる炎にしても、船があまりに整然としすぎていたり、悪くはないのですが5年前なら最高と言われていたかも…程度のCGは期待が大きかった反面少々残念でした。また「日本軍の抵抗によって当初よりも戦いが長引いた」感が感じられなかったこと、中村獅童があそこまで尻つぼみにスクリーンから消えてしまったことは途中まで印象的な演技を見せていたので勿体なく思います。また試写会以前からメディアで取り上げられていた二宮和也の演技も、もともと演技派な二宮和也を知っている日本人からしたらあくまでいつもの二宮和也、という感じでちょっとアメリカメディアの今更の評価に振り回されてしまった気がします。。細かな内容に関していえば、伊原剛志がその手で助けた米兵と楽しそうに会話しているシーンでは、この二人もどこか島の別の所で出逢っていたら殺し合っていたのかと思うと、人と人の争う意味の不明さに少し頭が混乱しそうにもなりました。その後の、日本兵が捕虜ということで疑われ米兵に殺されてしまうシーンと対比させ、やはり同様のことを感じざるを得ませんでした。 [試写会(字幕)] 4点(2006-12-25 22:19:49) |
149. シザーハンズ
かなりブラックな要素の強い映画ですね。。人が人(この映画ではロボットですが)に対してここまで簡単に掌を返してしまう怖さや、集団心理の前ではどんなに正しい主張をしていても潰されてしまう現実がよく描かれています。原色に統一された家並みやエドワードの作った刈り込みが映画中の随所に映りこんだりして、おとぎの国での話であることを忘れさせない作りになっていますが、要旨はあくまで現実社会に置かれています。ちょっと前の話でいえば、事実上の公認候補を弟だとか息子だとか祭り上げながら当事者が逮捕されたら知らん顔の政治家たちを見て、この映画の言っていることが証明されたような気もしました。ストーリー面の話をすれば、序盤エドワードが街の人に簡単に受け入れられすぎでは、とも思いましたが。そこはご愛嬌ってとこでしょうか。 [ビデオ(字幕)] 9点(2006-12-25 21:53:19) |
150. ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
《ネタバレ》 テンポのいい展開が何より肝ですね。社会の闇舞台を象徴した少々色褪せ気味の映像映りがいい効果を引き出してる気がしました。ただ結局関係者がみんな死んでうまくいく、的な終わりは若干短絡にまとめすぎ?な印象は拭えません。ともあれ見て後悔はさせない映画です。 [DVD(字幕)] 7点(2006-12-25 21:11:16) |