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141.  ファイナルファンタジー 《ネタバレ》 
いろんな意味で単調な映画。まず色が少ない。終始暗いモノトーンが続く。服も宇宙船も飛行機も壁もなにもかも無地。顔の表情も乏しい。悲しみや必死さという感情が表現できてない。だから全く感情移入できず、暗い気分になる。鬱の人には勧められない映画だ。キャラも目新しものがない。女博士は美人だが、かわいげがない。あとはエイリアン2のパクリ。悪役将軍がひどい。効果が無いと分かっているのにクレータを攻撃を強行、亡霊をわざと基地に入れる、限界を超えてゼウス砲を使用して宇宙船自爆。ただ愚かなだけで、魅力がない。敵が強いのなら面白いが、味方が足を引っ張るのはストレスになるだけ。人類はとりあえず安全な場所にいるのだから、あせる必要はないはず。敵の攻撃がすさまじく、人類絶滅まで時間があまり残されていないという設定なら納得できたのだが。SFにありがちだが、説明不足の部分が多い。①隕石に乗ってやってきた亡霊が地球を侵略してゆく映像がほとんどない。だから現在の危機的状況が把握しにくい。世界観を丁寧に描くべきだった。②アキはどうして夢で亡霊の星の出来事を知るのか?亡霊が体内にいるからと思うが説明はない。また亡霊が体内に入って助かった経緯も説明不足。③亡霊はバリア基地の通路では死ぬはずなのにどうして死なかったのか?④亡霊は見えない設定だが、帯電して見えるようになり、最後は帯電してないのに見えてる。⑤亡霊に銃を撃って効果がある説明がない。⑥人が亡霊に接触すると青い姿のものが取りだされる。あれは何?⑦亡霊の星はどうして爆発したのか?戦争が原因だろうか。⑧地球のガイア(精神体)と亡霊の星のガイアが合体して、何が起こったのか?亡霊の星のガイアが浄化されたと思うが、分かりづらい。⑨8つの生命体の説明が不足。どうして8つ必要なの?ドラゴンボール?⑩最初の囮作戦が失敗した理由は?将軍の陰謀?⑪亡霊が宇宙船を襲わないのはどうして?⑫あの鳥だけどうして生きてるの?餌は何?…とまあこんな風に疑問はどんどん出てきます。この手の映画では、見終わって、「地球が助かった、ああ嬉しい」というカタルシスが得られなければ失敗でしょう。「やっと映画が終わった。ああ嬉しい」という人が多かったので、ギネスに載るほどの赤字を生んだのでしょう。悲しい映画です。
[DVD(字幕)] 4点(2010-02-22 16:37:25)
142.  ナイト ミュージアム2 《ネタバレ》 
アクションとギャグ満載の映画のはずなのに、今回はキレがない。事件の発端は、猿のデクスターが黄金の石版を盗んだことによるのだが、その場面が無いのはどういうことか。登場人物は多いが、どれも個性が弱く、印象が薄い。大ボス、カームンラーがバカそうなので、危機感がない。最大の危機である、暗黒の世界の扉が開かれてからのぐだぐだの展開にはげんなり。リンカーンがやっつけて終り。ここは主人公とそのパートナー、アメリアが活躍すべき場面だ。主人公達が活躍し、悪をやっつけることで観客はカタルシスを得られるのだ。他力本願ではだめ。アメリアは女性として魅力的だが、出演時間が多いわりに、あまり物語りに絡まない。逆に、どうでもいい話題で、物語の流れを中断させている。話題が彼女の人生に関わり、彼女を理解するのに必要なことであればいいが、そうではないので冗長に感じる。主人公と彼女の恋愛物語も成立していないと思う。苦し紛れに彼女によく似た人物を登場させるが、所詮別人だ。手下のナポレオン、イワン皇帝、アル・カポネは単なるオバカキャラ。だから、彼らに追われても緊迫感がない。前作のTレックスに追いかけられるシーンでは息を呑んだものだが、今回の大ダコはぬいぐるみに等しい。意外な展開やドタバタ劇を楽しむはずなのに、あらゆることが予定調和になってしまっている。続編の悪しき例である。設定は受け継いでも、新しい緊張感を生み出す新鮮味を出さないと退屈な作品になってしまう。ラストで主人公は会社を売って、自然博物館の再建を図り、夜警の仕事に戻るが、彼の人間性が描かれていないので感動しない。前回は子供との関係がよく描かれていたので、彼の行動には説得力があったし、感情移入できた。彼の”必死さ”に共鳴できたのが前作の成功の要因だったが、今回はそれが失われてしまった。
[映画館(吹替)] 5点(2009-11-11 16:41:01)
143.  ONE PIECE エピソードオブアラバスタ 砂漠の王女と海賊たち 《ネタバレ》 
大ボスが悪賢くて、残忍で、強いというのが魅力です。国王に化けて人民を騙し、国王軍と反乱軍を対決させる。国を乗っ取ろうとしたのですが、本当の目的はある宝物を手に入れることでしたが、それが曖昧のまま終わったのは残念。触れたものに変身できる敵がいたのですが、たいした活躍もせずに終わりました。あんな登場の仕方をしたのですから、きっと伏線だろうと期待していたのに。中ボスの女は意味なく大ボスにやられておしまい。仲間割れはいけません。ルフィたちは不死身で、どんなに危機に陥っても最後は勝つというお約束があるので、いくらアクションが激しくても安心して見ていられる。自己犠牲が売り物ですが、死には至りません。そこらへんがちょっと欠点でしょうか?時限爆弾処理で一人犠牲になりましたが、あれがルフィーの仲間だったらどう思ったでしょうか。彼らは仲間意識が強く、友情に厚く、涙もろく、感情過多です。各々自分の夢の実現をめざして航海しているのですが、全員違う夢です。これほど友情を前面に押し出したアニメは他にないのではないでしょうか?ある意味ベタベタです。マンネリに陥りやすいので、サスペンスや恋愛の要素を加えるとよいのではないでしょうか。
[DVD(邦画)] 5点(2009-11-10 05:26:02)
144.  名探偵コナン 水平線上の陰謀 《ネタバレ》 
退屈でした。倒叙形式で、最初から犯人がわかっている。殺害方法やアリバイトリックは稚拙きわまりない。テープで通話中と見せかけるとか、「過去の秘密を知っているから」と呼び出すとか、ひどすぎる。実はこれが作者が観客に仕掛けたトリックで、真犯人は別にいたというのがオチなのだが、これがまた酷い。奥さんを殺したいがために、奥さんに変装し、仮犯人に殺したふりをし、そのあと自分で殺すとか、行動が意味不明。仮犯人と会長がもみ合っているのをナイフで刺しておきながら、仮犯人はそれに気づかないとか。噴飯ものだ。自分の設計した船を沈めて喜んでいるのもどうかと思う。毛利探偵の推理ショーもぐだぐだ。それに過去の事件の犯人の船長のこともきちんと片が付いていない。盛り上げようと意味無く真犯人と毛利探偵を闘わせたり、蘭が船に閉じ込められたりと強引な演出。おこちゃま向けですな。ただかくれんぼのエピソードや貝の金メダルの小ネタがきちんと絡んでくるところは見事。人間ドラマの部分では、無駄がないです。犯人がザコで、カリスマ性がないのが欠点。次回は超絶トリックを期待します。
[DVD(邦画)] 5点(2009-11-10 02:49:21)
145.  ボルト 《ネタバレ》 
自分がスーパードックで、悪をやってくるヒーローだと信じ込まされている俳優犬ボルトの話。彼が物心ついてから初めて外に出て、主人を探して戻ってくるまでのロードムービー成長物語。冒頭のアクションシーンは必見。だが以後のアクションにキレが無いのは残念。せめてラストシーンで”魅せて”ほしかった。成長物語の方だが、ボルトが普通の犬であると認識するまでは楽しめる。長時間記憶できない”メメント鳩”や悪者猫ミトンズ、ボルトを信じるハムスターのライノとのやりとりは笑いがつまっている。認識してからはトーンが変わる。悪者猫が先生役となる。この転換は素晴らしい。ミトンズは世間擦れしており、飼い主に捨てられたトラウマがあり、ボルトを見捨てられなかったりと、キャラの深みが備わっている。ミトンズといることで、ボルトの無垢さが際立つ。ライノは道化役。精神年齢はボルトより幼い。常にボルトを信じ、励ます。この小動物がそこそこの活躍を見せるのも見所だ。全てを知ってしまったボルト。ミトンズは楽園の地を見つけ出し、三人で一緒に住もうと提案する。だが飼い主のペニーを忘れられないボルトは一人で撮影所を訪れる。そこで見た衝撃の事実。俳優犬新ボルトとペニーとの仲むつまじい姿。失意のどん底に落とされる。その後火災が発生し、ボルトがペニーを救助するのだが、これは演出過多ではないだろうか?また助け方も地味すぎた。これはボルトが普通の犬であることを強調したためだが、盛り上がりに欠け、感動のラストシーンにはならない恨みがある。笑えるし、ところどころ感動できる。良質の映画であが、名作になりえてないと思う。それは、ラストシーンの消化不良の部分もあるが、旅の最中にボルトが本当の危機に直面していないからだ。大いなる自己成長をもたらすほどの冒険、危機、試練がないために、ボルトにさほど感情移入できない。動物管理局に捕まってもすぐに脱出できてしまうのが一例。試練や苦しみが大きいほど、成長が大きいのだ。「愛」は描けていたが、「成長」はそれほどでもなかったと思う。惜しい映画です。
[映画館(吹替)] 8点(2009-11-09 23:55:09)(良:2票)
146.  雲のむこう、約束の場所 《ネタバレ》 
日本が南北分断し、北海道が蝦夷と呼ばれる独立国。そこにそびえるユニオンの塔は平行宇宙により世界を書き換えるという超絶兵器。平行宇宙はどういうわけか緩やかにしか機能せず、ほとんどが佐由理という少女の夢の中に吸い込まれる。佐由理は原因不明で3年間眠り続けており、彼女が目覚めると世界が滅びる。浩紀は佐由理を目覚めさせるために、自作の飛行機で塔に侵入。佐由理は目覚め、直後爆弾を発射、塔は崩壊する。塔はかつて浩紀と拓也のあこがれの場所で、いつか飛行機で佐由理をそこに連れてゆくと約束していた。説明不足が目立つ作品だ。佐由理の特殊さは、塔の設計者が佐由理の祖父だからとしか説明がない。爆弾一発で崩壊するなら、いつでも簡単に攻撃できたはず。なんともあっけないラストだ。塔の開発者は登場しないし、あの塔が製作できたなら、もっとすごい兵器を持っていてもおかしくないはずだが、それもなし。しょぼい世界観。そもそも戦争だ、宣戦布告だと騒いでいるのに、登場人物の緊張感のないこと。拓也と研究員の女の恋愛は物語に絡まないのでカットすべき。全体に危機感がないので、だから観ていてのめり込めないのだ。また浩紀と拓也のバイト先の社長岡部がテロリストの親分であったり、拓也の通う研究室の室長と岡部が旧知の仲だったり、拓也が国家保護下の佐由理を研究室から簡単に連れ出せたり、中学生二人がジェットエンジン飛行機と製作できたりと、いい加減なご都合主義も目立つ。二人のうちどちらかが特殊能力を持っているとか、権力を利用できる立場にあるとかすればよかったのだ。浩紀と佐由理が夢でつながっているのは愛があるからと説明できるが、計画に反対だった拓也の態度が急に変わったのはどう説明できるのか?加えて、時間軸の違う断片を細切れに見せられるので、観ていて疲れる。もっと整理できたはず。ラストだが、戦争が始まってから飛行機が出るのでは遅いだろう。戦争を回避するために塔を爆破させるのなら理屈は通るし、感情移入しやすい。結局彼らは戦争に一役買っただけだ。青臭い学園恋愛映画としてのエッセンスは備えていて、そこが救いだ。回想シーンで始まるので郷愁を誘い、昔の約束を守るという主題が良い。バイオリンの小物も上手に使っている。恋愛メインで、SF戦争ものをスパイスに使うやりかたが間違っている。SF戦争メインで、恋愛を絡める程度でよかったのだ。 
[DVD(邦画)] 5点(2009-11-09 15:27:34)
147.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 
人間ドラマに注目してみた。粉川刑事は、不安神経症で悩み、サイコセラピーマシンによる治療を試みる。彼の夢は映画監督になること。友人がいて一緒に映画を作り、将来の夢を語り合った。だが友人は夭折し、彼も挫折、刑事になった。そのせいで映画が嫌いになる。犯人を取り逃がしたことと、夢を失ったことのトラウマがある。夢の中でパプリカを助ける英雄を演じたことでトラウマは消えた。犯人を捕らえ、映画も観れるようになった。これをサポートする千葉(パプリカ)、時田(天才)、所長、氷室はどうだろうか?彼らの人間ドラマはあまり描かれていない。千葉と時田が結ばれるのがオチだが、その伏線がほとんどないので唐突感がある。所長のキャラが定まらない。しっかりしているようで、しっかりしていない。いてもいなくてもいいのだ。氷室は抜け殻である。一方敵はどうか?大ボスの理事長のトラウマは何か?年老いて、歩けないだけしか描かれていない。大妄想の持ち主で、夢と現実の世界を支配しようという野望のある人物にはみえない。描きこみが足りない。アシスタントの小山内は、科学者として時田の足元に及ばないことと、好きな千葉から軽んじられていることがトラウマとなっている。それで理事長に操られるようになった。これは分かりやすい。DCミニのシステムが分かりにくいのは欠点だ。夢を他人と共有できるというのはいいが、アナフェラキシー効果で現実の中に夢が侵入してくるとか、ネットからも夢に入れるとか、複雑すぎないか?というか、やりすぎではないか?千葉とその分身であるパプリカが同時に存在するのをどう説明する?それに夢と現実の境界が曖昧になりすぎて、現在そこにある危機が認識できない。どうせ夢だろうと思うと引いてしまう。美しい夢ならしばらくの間浸っていたいと思うが、ビル街を人形やロボットがごちゃごちゃ行進するような殺伐とした夢では、早く終わってくれと願うだけ。オイディプス、人魚、孫悟空、ピノキオ、ターザン、みんな借りてきたキャラで薄っぺらい。だから映画として重みに欠ける。現実世界で、理事長と小山内はどうなったのか?粉川はどうやって犯人を逮捕したのか?千葉と時田の恋愛の成就する瞬間は?意識不明だった氷室は?多くがおいてきぼりのまま残される。これでは夢オチにも等しい内容。描き込みが凄いのは評価できる。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-09 07:51:33)
148.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
松子の家庭環境は決して最悪ではない。経済的には中流で、妹弟もいて、両親の愛情もそこそこ受けている。松子は父を愛しているが、父の愛情が病気の妹に注がれるのを妬んでいる。父の愛情を自分に向けるためにコミカルな表情をする。愛の飢えの始まりである。松子の不幸を描いているが、本当に不幸なのは他にいる。筆頭は妹で、寝たきりの人生で終る。次は作家志望の男で、自分の才能に絶望して自殺した。もう一人は龍で、家族の愛情は一切知らなかったと言っている。松子は美しく成長し、中学の先生となるが、修学旅行の盗難事件をきっかけにで転落人生に転じる。彼女が家出した心痛で父が死亡、弟から家族の絆と断たれる。家族と故郷を失った松子は、男性に頼るしかなかった。というか、自分を必要とする男性と共依存関係になる。必要とされることでしか、自己の存在意義を感じられない。だから暴力を振るわれても、相手に尽してあげたいと願う。トルコ嬢も厭わない。これが龍をして松子を神と呼ばしめた。不幸な形の自己犠牲。暴力は時にこじれ。殺人に発展する。松子は理容院の男と同棲を始めたばかりのときに逮捕される。タイミングが悪い。刑務所でめぐみという親友を得たのは最大の幸福。出所後は理容院の男と暮らそうと美容師の資格を取るが、出所すると男には妻子がいた。そして愛を知らない男、龍と再会。龍がお金を盗んだのが転落のきっかけだったので、皮肉なめぐり合わせだ。またまた不幸に。松子は足を悪くし、龍は刑務所へ。龍を待つことを唯一の希望にしていたが、逃げらる。以後心を閉ざし、世間と関わりをもたなくなった。ただ一つ、アイドルのファンになることを除いて。典型的な現実逃避。ファンレターとして綴った履歴のバカ正直で長いこと。涙がでます。誰かに理解して欲しかったのですね。返事が来ずに絶望。めぐみと再会し、夢で妹のヘアカットをしたことで、社会復帰をめざす。そんな矢先、中学生に暴殺される。甥の笙が松子の人生を知り、理解を示すのがこの映画の救いの部分。子供に殺人をさせたのは欠点だ。ミュージカル仕立てでテンポがよい。不幸をエンターテイメントとした初の映画だろう。不幸な人生だが、そこに何とか意義を見出してあげたいという心理が働くように作ってある。あのとき、ああしたら、こうしたらと、つい考えてしまう。か弱い松子の”徳”がそうさせるのだ。愚かだが、菩薩のようでもあった。合掌。
[DVD(邦画)] 8点(2009-11-08 16:09:56)(良:1票)
149.  きみがぼくを見つけた日 《ネタバレ》 
ヘンリーとクレアの恋愛物語。ヘンリーは5歳のとき、母の運転する自動車がクラッシュする寸前に瞬間移動する。初めてのタイム・トラベル(以下TT)である。母は死亡。本能が危険を感じたときにTTするのかと思ったが、関係なかった。ヘンリーの前に未来からやってきた本人が出現し、いつか理解できる時がくるからと励まし消える。TTは自分の意思に関係なく、ある日ある時ある場所に勝手に移動していまう病気のようなもの。ただ自分に重要な場面に飛ぶ傾向があるらしい。母は歌手で死ぬ前にも歌ってくれた。またヘンリーの娘も歌えばTTを管理できるようなことを言っていた。だが歌は何の伏線でもなかった。こういう無駄な部分が目立つ。ヘンリーとその胎児、娘たちにはTT能力がある。時間遺伝子を持つからだ。ではヘンリーの父はどうか?たびたび登場するが、その人物像は描かれない。ヘンリーがTTで苦しんでいるのは父が一番理解しているはず。父子の関係を濃厚に描けば、人間ドラマに厚みが増しただろう。又未来からやってきた娘のアドバイスでケンドリック博士に診断を依頼するが、結局何の役にも立たない。無駄キャラである。ロトナンバーを覚えて財を成すのも観客の反発を買うだけ。クレアは6歳でTTしてきたヘンリーと会う。同時代に二人はいるのだがクレアが18歳くらいになるまで会わない。二人は結婚するが、TTの妻としてはストレスも多い。子供ができても胎児がTTして流産。悪趣味である。夫がパイプカットしても別の夫がTTしてきて妊娠。掟破りである。TTものとしては美しくないのだ。自分の死期が迫っており、そのことを未来の娘から聞く。とすれば何とか回避できそうなものだが、期待はずれに終る。死んでも別の夫がTTして出現。何でもありである。節操がなさすぎではないか?夫婦と未来の子とが協力しあって、問題や困難に打ち勝つような展開にすべきだった。ヘンリーは常になすすべがなく、逃げ回るだけで、それでは観客は手に汗を握らないのだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-28 02:22:51)(笑:1票)
150.  エスター 《ネタバレ》 
最初にケイト(母)の死産のシーンがあるのですが、そのあと悪夢とつながっていて、どこまでが本当が分かりませんでした。それから池でマックス(聴覚障害の少女)を溺れさせたことがあるとかなんとか…、アルコール依存症の原因とか、よくわかりませんでした。死産したのが悪夢を見るようになった原因を推測します。いずれによせ母は精神が不安定でカウンセリングも受けている。それで解決策が養子をもらうというのもよく分かりません。子供が二人もいるのに、死んだ子への愛情を養子に捧げたいなんて心理があるんでしょうか?精神が不安定な母親に子育ては難しいのですが。そしてエスター登場。最初から怪しさ全開。悪魔のような子ですが、オチはあれです。子供にしては頭が良かったり、絵がうまかったり、ピアノが弾けたり、古いものが好きだったり、残虐だったり、などの謎が全てが説明できます。その点では矛盾はありません。よくいちゃつく夫婦で、しまいには台所で○○してしまいます。意味がないなあと思っていたのですが、これは伏線でした。楳図かずおの「洗礼」のような展開になります。この部分はホラー映画の中でも新しいのではないでしょうか。ただ全体を通じて怖くないです。怖がらせ方が中途半端。少女をもっと悪魔的に描かないとだめでしょう。残虐性は抑えつつ、より狡猾な手口で周囲を恐怖のどん底に落しこんでもらいたかったです。祖母はいるのに物語にはからまなかった。
[映画館(字幕)] 6点(2009-10-28 01:33:54)(良:2票)
151.  メメント 《ネタバレ》 
斬新な手法の光る映画だが、頭がこんがらがるので、楽しめるものではない。妻を殺された男が犯人を追い復讐する話。だが肝心なところは曖昧のまま。犯人の一人は射殺したが、もう一人レニーを殴った犯人が本当にいたのか?警察はいないとしている。復讐を是認する刑事テディの手引きで、ジョンGを殺すが、これが真犯人かどうか、不明。2番目のジョンGのジミー殺害は、テディの陰謀。3番目のジョンGのテディ殺害は、レニーの作り話とナタリー情報の偶然による。妻が死んだのは、インシュリン多量摂取で、一種の自殺。レニーにとっては自殺幇助過失?のようなもの。つまり憎むべき妻殺しの犯人はおらず、ジョンGはレイプ犯に過ぎない。レニーはジミーの服を脱がせてから殺害するが、これは服を交換するため。その理由は不明。ジミーの車とお金を奪うが、これは気まぐれ。その後お金はどうなったのか?テディはジミーの靴のサイズが自分のと合うかチェックしたり、ジミーの車に執着している。汚職刑事のようだ。レニーはデート嬢を呼び、妻が死んだときの状況を再現させる。これは儀式のようなもので、薄れゆく記憶を呼び覚ますためだろうか?その後妻の形見の品を燃やす。記憶として昇華したいのだろうか?解釈に苦しむところだ。ナタリーはレニーを騙し、ボスのドットと対決させる。悪い女だが、その前にレニーがナタリーの恋人ジミーを殺しており、おあいこである。ナタリーがテディの車の情報を与えたのは同情からだが、ジミー殺しの首謀者はテディなので、結果的に因果応報である。今後どうなるか?ドットが復讐に戻ってくれば危険が及ぶ。ジョンG探しはテディの協力がないので、全く進まないはず。映画の流れからすれば、誰かに利用されてしまうだろう。モーテルでも部屋を二つ借りるはめになる。レニーはメモ魔だが、本当に記憶を残したいのなら、日記帳や雑記帳をつけるべき。そこに写真やメモを貼り、補完すればいい。レコーダーやビデオを使えばなおいいだろう。刺青は文字数が限られ情報不足。失笑である。彼は記憶を残したいのではなく、謎を残したいのだろう。謎を追い、犯人を探すことが唯一の生きがいなのだ。インシュリンで妻を殺したという罪悪感が、無意識にそうさせるのか?架空の復讐に支配され、架空の犯人を追う哀れな男の物語。記憶の曖昧さをが主題。観客が自分の記憶に疑いを持てば、監督の思い通りである。
[DVD(吹替)] 8点(2009-10-24 23:04:50)
152.  木曜組曲 《ネタバレ》 
全体を通してスリルや緊迫感が無いのが残念。自殺か、他殺か?誰かに嫌疑がかけられているのに、食べたり、飲んだり、「その話はあとでしましょう」とか、間合いが悪いのだ。推理が作家重松時子が死んでから四年も経ってからというのも同じ。命日に女性だけ集まって、「三日間飲んで、食べて、遊んで」という設定もリアリティに欠ける。一般の人でもそうだが、まして忙しい作家達なら、そんな悠長なことはできないだろう。芝居も魅せてはくれない。鈴木京香と原田美枝子を除けば、褒められた演技ではない。加藤登紀子はヒドイ。心理劇なのだから、感情が揺れ動きが画面から伝わってこなければ観客はついてゆけない。道具立ての洋館と料理にも不満足。誰もがあこがれるような豪華な洋館とおいしそうな料理で、観客を魅惑すべき。共に平凡で、安っぽい印象しか残りませんでした。ネタバレのあとでも疑問が残ります。①ミートソースの毒混入は誰がしたのか?たぶんえい子だが。②ミートソースの毒に何故すぐに気づいたのか?匂いはそんなにしないはず。③絵の裏に隠した尚子宛の手紙の謎が解明されていない。「あとは計画をよろしくお願い」の計画とは?後継者になること?④絵里子は携帯電話を持ってないと嘘をついた。だがいたずら電話をしたのは知人なので、隠す理由はない。⑤静子は時子の才能がもう無いことを知らしめるために、いじわるな小説を送り続けた。そんなことのためにわざわざそんなことをする人がいるだろうか?これこそミステリー。⑥五人が食事をしているときに時子が自殺したはずなのに、ラストシーンでは編集者えい子が出かけたときに自殺している。⑦冒頭ワープロにナレーションが入り、この映画が絵里子のドキュメンタリーの体裁を取っている。これは最後まで貫かれているのか?絵里子の知らないことまで描かれるが。⑧自殺の動機だが、書けなくなったら筆をおけばいいだけなので弱い。最後の作品は尚子が書いており、後継者もいる。男性であれば芸術至上主義者のように、あのようなことをする動機も考えられるが、女性では想像しにくい。不治の病で、余命が短いなどの設定があればよかった。「木曜日は好き」で始まる詩的文章やボードレールの引用などは雰囲気を盛り上げる効果があり、良かったと思います。
[DVD(邦画)] 5点(2009-10-19 14:29:27)
153.  バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌 《ネタバレ》 
売りはバイオレンス・シーンだけという映画。テロリストの主張は意味不明なので無視。子供対決より、むしろ首都爆破テロを題材にすればよかったのに。ペア連動死亡制はどういう意図が?最初に死んだ女の子、かわいそう。七原を殺すために送り込んだのだから、足をひっぱってどうするの。立入禁止エリア設定も意味無し。武器はテロリストのそれを上回るものを持たせなさい。テロリストの人数多すぎ。ガキや赤ん坊は出さないで。邪魔だから。島なのに物資が豊富すぎ。何故ピアノがあるの?ロウソク多すぎ。島なのにパソコンで全世界に映像配信?自衛隊弱すぎ。ヘリ、戦車、バズーカ砲ぐらい用意せよ。あの二人、どうやって生き残ったの?最初からみんなと一緒に逃げればよかったじゃん。先生はあそこにどうやってやってきたの。何のために。あの国は何故勝手にミサイル攻撃しているの?生徒に個性が欲しい。軍事オタク、インテリ、格闘技家、体操選手、忍者子孫など。武器もバリエーションを考えてほしい。いつまで経っても同じドンパチの連続じゃ飽きますよ。テロリスト達を捕まえて、彼らにバトルロワイヤルさせれば悲劇性が盛り上がったのに。不条理なところが売りのはずなのに。「テロリストを殺して来い」では合理的すぎる。
[DVD(邦画)] 2点(2009-10-17 05:12:12)
154.  エクソシスト ディレクターズカット版 《ネタバレ》 
ホラー映画を全世界に知らしめた金字塔的作品。考古学者のメリン神父は、イラクで悪魔像や聖コインを発掘。悪魔が復活し、エクソシストとして再びと対決する日が近いのを知る。犬のケンカ、片目の男、突然の馬車の出現、夕日の中での悪魔像との対峙など演出が冴える。カラス神父はボクサーで精神科に学ぶが、神父の道を選んだ。だが今は、信仰の危機を抱えている。ホームレスの声に耳も貸さない。老母はぼろアパートで健康不安を抱え、独り暮らし。ある日倒れて病院に運ばれたが、精神病棟。私立病院に入院させるお金がないのだ。母にののしられ、親子の断絶。続く母の孤独死。神は存在するのか?カラスの心の善と悪の闘いが、映画の大きなモチーフ。リーガンは女優の娘で経済的にも恵まれ、明るい性格。だが父親の不在(離婚)が暗い影を落す。父に取って代わろうとするバーグ(監督)を気にし、父を電話でののしる母の声に心を痛める。母クリスは娘を狂おしいほどに愛しており、娘を何とか助けたいと様々な療法を試みるが、どれも成功しない。精神的に追い詰められてゆく様子が詳細に描かれる。彼女の悩み、苦しみが見るものを感情移入させる。母子の愛情物語でもある。カラス神父はクリスに相談されるが、憑依を信じない。リーガンの口から母の声、ホームレスの声を聞くが、半信半疑。悪魔が聖水に騙されたふりをすると、憑依ではないと結論づける。信仰のゆらぎが判断を鈍らせているのだ。だが、テープの逆回転で悪魔が少女を殺そうとしているのを知り、少女がお腹に水ぶくれの文字で助けてと必死に訴えるのを目にすると、信仰が蘇り、対決を決意。メリル神父登場。悪魔との壮絶な闘いに自信を失うカラス。「あんないい子なのにどうして憑依されるのか?」メリルが答える。「我々を絶望させるためだ。自分が獣のように心が醜く、神の愛に値しないと思わせるため」誰の心にも悪魔が忍びこむ隙がある。この映画の本当の怖さはここにある。再び信仰を取り戻すカラスだが、メリルは持病の心臓発作で死ぬ。カラスは少女を助けるため、唯一できることをする。自分の身を犠牲にするのだ。カラス神父の魂の救済の物語でもある。刑事もいい味を出している。残念なのは、たった二人で儀式を行ったこと。大勢ですれば、もっと盛り上がった。ところで、テープ解析する部屋の看板に「TASUKETE!」と書いてあるのに気づいただろうか?
[DVD(字幕)] 10点(2009-10-13 12:29:59)(良:2票)
155.  猫の恩返し 《ネタバレ》 
ハルは高校生。学校を遅刻してツイてない一日。帰りに小箱をくわえた猫を救う。それが猫の王子だったために、贈り物をもらう。ねずみ、猫じゃらしなど有難くないものばかり。片思いの町田君は彼女と歩いている。落ち込んでいると、猫の国に招待される。王子の嫁になれとも。断る間もなく使者は消える。どこからか声が。「猫の事務所を訪ねなさい」訪ねると男爵猫バロン、ブタ猫ムタ、カラスのトトがいた。「猫の国はまやかし。自分の時間を生きられない者が行くところ」と警告を受ける。そこへ使者が来て、無理やり猫の国へ。猫に変身してしまい。花嫁にされそうになるが、バロンとムタが助けてくれる。危機になると白猫が脱出口を教えてくれた。迷路を抜け、塔に登るが、猫の王により、塔は半崩壊。そこに猫の王子登場。ハルではなく、白猫を嫁にすると宣言。小箱は花嫁へのプレゼントだった。白猫はハルが子供時代に助けた猫と判明。こちらの方が本当の猫の恩返し。猫の国に長く留まると帰れなくなってしまう。やっとのことで塔の上の出口に出たが、そこは現実世界の空の上。三人で墜落するが、トトが仲間のカラスと共に助けてくれた。無事に帰還。早起きし、朝食を作る毎日。町田君も気にしなくなった。成長したのだ。問題点:①猫の国が良いのか、悪いのか分からないまま進む。②危機感がない。白猫はかつて人間だったが戻れなくなったという設定なら良かった。③危機感がないので、脱出できても喜びがない。④脱出するのに他力本願。自力で苦労しながら頑張る姿がない。⑤頑張ってないので、成長もあまりみられない。⑥「自分の時間が生きられる」というテーマが見えてこない。もし宮崎駿が監督をしていたら、最後のカラスの螺旋階段を降りるシーンなどは、華やかな一大スペクトルとなり、大きな感動をもって見れたことでしょう。作画上の欠点は、キャラの表情や動きにタメや誇張がないので、のめり込めないこど。宮崎アニメのキャラがどれほど活き活きしているか、見直して勉強してほしいです。そして良い作品を作ることが、宮崎監督への恩返しでしょう。
[DVD(邦画)] 6点(2009-10-12 16:49:44)
156.  ギブリーズ episode 2 《ネタバレ》 
折角観たのでメモを残しておきます。カレー編:ブタ顔のサラリーマン(宮崎駿監督の分身?)が、バナナや御菓子食べながら、皆を食事に誘う。眼鏡の野中君は目も口も無く、影が薄い。ザコキャラだろう。ブタがメインキャラと思っていると、ゆかりさんがメインだった。10倍カレーで店主と勝負。勝負に勝って千円入手したけど、口の中に辛さは残っていて、店を出たから辛さ爆発、地球を何週もして、宇宙にまで飛んでいった気分。会社で上司と口をきくと、口から火が出て大火傷。ナンセンスギャグ。最後は三人で笑いを誘うコスプレダンス。三人とも表情がほとんどないので、見慣れるのに時間がかかりそうだ。初恋編:野中君が初恋の人、愛ちゃんを思い出す。運動会、フォークダンス、絵が隣同士でからかわれたこと。自転車に乗って、そんなことを夢想していると会社を通り過ぎてしまい、女子社員に呼び止められた。そういえば、子供の頃自転車で自分の家(洋服屋)に帰るのに、愛ちゃんが店にいたのでそのまま素通りしてしまったことがあった。恥ずかしがり屋なのだ。先日は、電車で帰宅中、隣の女の子が寝て寄りかかってくるので、駅を乗り過ごしてしまった。優しい性格である。野中君は女子社員のことが好きだ。女子社員も野中君のことが好きだ(初恋のことを聞くくらいだから)。野中君は案外もてるのだ。彼は眼鏡をかけ、目と口がない。これは世に埋もれるように生活している、ごくごく普通の人の象徴。表情がないと、空想が働き、かえって親近感が湧く。男なら彼に自分を投影してしまうだろう。がんばれ野中君、恋に仕事に。帰宅編:アザラシのゴマちゃんのような人物が、宙に浮きながら帰社する。宙に浮いているのは、たまに早く帰れたので心が浮き浮きしていることを表現しているのだろう。途中だれかが不満を漏らしていたり、美女やQ太郎のような人物とすれ違ったりする。心に余裕があると帰宅も楽しめるものだ。そこへ車がやってきて、窓から鈴木Pが顔を出す。ドキリ!会社に帰れといわれるかと心配したが、挨拶だけだったのでホットする。ほんまアニメの仕事っちゅうもんはきついなあ。何故か関西弁である。ぼやきは関西弁が似合う?つづく。
[DVD(邦画)] 3点(2009-10-12 13:51:51)
157.  ブレードランナー/ファイナル・カット 《ネタバレ》 
科学が発達して、人間と人造人間(レプリ)との区別がつかなくなった世界。レプリは感情と移植記憶を持ち、人間との間に愛も生まれる。人間であることとは何か、生命とは何かを問う作品。だがいくら科学が発達しても、人間と見まがう人造人間を造るのは土台無理と思うので感情移入できない。寿命が少ないことに不満なレプリが反乱するが、そもそもロボット三原則を埋め込むとか、人間とすぐ区別がつくデザインにするとか、長年生きて満ち足りた人生の記憶を移植しておけば済む話。レプリを見分けるのに感情テストは笑える。ピッとスキャンすれば判別できそうなものだが。ボスのロイは、処理屋デッカを助けてやり、静かに死ぬ。仲間はみな殺され、自分の死も近いと悟ったロイ。彼の感情は、他人の生命を慈しむまでに発達し、自分の死を受け容れる。「恐怖の連続だろう、それが奴隷の一生だ」「思い出もやがて消える、時が来れば、涙のように、雨のように」感動的な場面だ。雨の未来都市はリプリの心象風景。光の点滅や影、雨、ビル群などで感情を表現する演出手法は芸術的。よくぞここまでと感心する。が、レプリが強制労働に従事してきた辛い過去、美しい宇宙の光景などが言葉でしか紹介されないので、人生ドラマとしての深みに欠ける。創造主の社長に復讐するのはいいが、逃亡の為に人を殺したり、親切なセバスチャンを殺すのはダメ。単なる悪党に堕している。レプリの一人が蛇ダンサーというのも必然性なく、悪趣味。デッカは、レプリを処理するのに何のためらいも無かったが、自分の正体を知ったレイチェルが涙するのを見て、心が動き、彼女に恋する。ロイの死でレプリへの同情は決定的となり、レプリを人間の仲間として受け容れる。ここでもデッカの過去が紹介されていれば、ラストはもっと感動的だったろう。レイチェルがデッカに「テスト受けたことある?」と聞き、夢のユニコーンの折紙が置いてあることから、デッカがレプリであると示唆されるが、これは不要。人間とレプリの心の交わりを描いているのだから、全否定となる。もし記憶を埋め込むとして、ユニコーンは使わないでしょう。ユニコーンの夢は人間の証明とも思えます。ブレードランナーを観た日本人は、「強力わかもと」の夢を見るか? 
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-11 06:34:15)
158.  エイリアン/ディレクターズ・カット 《ネタバレ》 
SF、ホラー部門で革新的な進歩を遂げた記念碑的作品。その影響力は計り知れない。しかし、今観直してみると、いくつか疑問が湧きます。星間旅行ができ、人間と見分けがつかない人造人間が作れる科学力があるのに、惑星への着陸に失敗して故障するなんてしょぼいです。故障させる必要もないですね。また地球外生物の宇宙船や化石を見つけたのに、そのことは一切言及されないのはどうしたことか。写真撮ったり、採集したりして記録に残すでしょう。世紀の発見ですよ。見せ方がうまいです。ゴシック・ホラーの見本のようなもの。なかなか姿を現さないエイリアン。光の点滅、影、水蒸気、サイレン、コンピュータ音、火などの演出で恐怖を盛り上げます。舞台が宇宙船で、他に逃げ場がないのが怖いです。閉塞感をつくるのが本当にうまい。エイリアンのデザインはまさに芸術。三つの変態と繭があり、飽きさせません。血液が強い酸なので、ヘタに殺せない。実に厄介です。クルーは軍人ではなく一般人なのでみな怖がり。そこが少し不満です。脳みそが筋肉でできているような軍事おたくや仲間を犠牲にする卑怯者、知恵と勇気のある者など、バラエティに富んだ人物が欲しかった。ボーナスの苦情をいう輩は不要でしょう。リプリーは船を爆破させますが、その必要はないでしょう。脱出すればいいのだから。ブレットが猫を探す場面で、水が雨のように降ってますが、何故ですかね。水道管が故障しているんでしょうか?コンピュータの反乱は「2001年宇宙の旅」、腹から怪物出てくるのは「遊星からの物体Ⅹ」という先駆者があります。途中、地球まで10ヶ月かかると言っていたのに、最後リプリーは地球まで6週間と言っている。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-09 15:47:48)
159.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
天才が二人も出来てくるので、さぞやもの凄い不可能犯罪との対決かと思いきや、DVの元夫を衝動的に殺した母子を助けるという小さな話。むしろ序のクルーザー爆破事件の方がインパクトが強い。ミステリーとして読み解くと、アラが目立ちます。天才のはずなのに、死体を切り刻んで捨てたり、浮浪者を殺して顔をつぶしたり、脅迫状送ったり、身代わりに出頭したり、まさに凡人のやることです。警察が浮浪者の死体を元夫と間違うわけがありません。家族が確認しますし、DNA判定も行います。宿にあった髪の毛となんかと比較しません。浮浪者仲間の目撃者もいるでしょう。彼らは助け合って生きてます。美しくない回答です。正々堂々、出頭して正当防衛を主張すればよかったのです。ラブストーリーとして読み解くとどうでしょうか。石神は人生に絶望していた。が、隣の母子の会話やお弁当で生きる希望を見出した。母の靖子に恋したのです。結果愛という不合理さを取り入れた回答は非論理的になってしまった。ただ天才なのに何故絶望したのか不明。論文をどんどん発表すればいいのに。石神の愛は無条件の愛ではなく、利己的な愛。献身ではなく、押し付け。天才+絶望+愛=押し付け+殺人。靖子の立場に立つと、殺人の身代わりまでしてくれた石神の愛に報いたい、一緒に贖罪したい気持ちは十分理解できます。いい人ですね。靖子の告白を聞いたとき、石神は初めて真実の愛を知り、号泣したのです。それで何もかも正直にしゃべり、川で凶器が見つかります。靖子の愛の方が献身的といえるでしょう。ミステリーと思わせて、実はラブストーリー。「簡単な引っかけ問題」ですが見事です。ダンカンへの脅迫状でのミスリード。というか、いかにも怪しげなダンカンそのものがミスリード。雪山で湯川が殺されるかもしれないというサスペンス。山からの景色を心から美しいと言える石神は、利己的とは言え、初めて愛に生きる喜びを味いました。悲劇を盛り上げます。このへんは成功しています。でもオバカすぎる警察は失敗。両者が知力を尽さないと面白くありません。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-09 05:08:40)
160.  魔法にかけられて 《ネタバレ》 
夢と魔法のおとぎの国から追放されて現代のニューヨークにやってきたプリンス。善意のたかまりでしかないプリンスと、ニューユークっ子の対比がコミカルに展開される。このあたりのずっこけぶり、ぶっとび具合は本当に楽しい。口から金魚吐き出すプリンスは衝撃的ですらあります。ただ現実の世界では魔法が使えない約束のはずなのに、部屋の掃除の場面だけ使えるってのはどうだろうか?統一を欠いていないだろうか。リスのジェスチャーゲームは最高ですね。さてロバートと付き合うようになって、プリンスが成長してゆきます。真善美だけだったプリンスが、哀しみ、怒りの感情を獲得し、真の愛とは何かを自らに問うようになります。一目逢っただけの王子と結婚してそれで幸せだろうか?そんな疑問を抱くようでは、もうおとぎの国には帰れません。ロバートと結ばれてハッピーエンド。これはよし。王子はどうでしょうか?ずっこけ具合が中途半端。成長もしないです。ロバートの婚約者ナンシーは、ロバートが真実のキスをするのを許します。現代的で、あきらめがはやい女性です。そしてロマンティックなことが好きなこともあって、王子と共におとぎの国へ。そこでは葛藤はないので、二人は当然結ばれます。いいんでしょうか?いいとしましょう。ドラゴンのCGは他の動物に比べてしょぼかったですし、決闘もしょぼかった。曲はいいけど、歌はうまくない。あっと、舞踏会のドレスをカードで買うのは夢がないですね。彼女は洋服作りの才能があるのだから、自作にすべきでしょう。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-08 14:55:59)
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