1581. 刑事コロンボ/自縛の紐<TVM>
《ネタバレ》 いつになく警部が怒っています。途中からはマイロに対し完全に敬語も使わなくなった。警部と比べると富も地位も雲の上の犯人ですが、これはいつも通り。ですがマイロに殺された被害者の奥さんを精神的に苦しめる卑劣なマイロが許せなかったのでしょう。 普段は庶民派の人情刑事で殺害に及ぶしかなかった犯人の事情に同情を示すこともある警部ですが、今回は心底マイロが許せなかったのか、正義の人、コロンボがいつになくカッコ良く熱い一作。 エンドロールでマイロの経営するジムの何とも幸せそうなCMソングが流れますが、マイロの実像とのギャップの大きさを感じさせ、テレビのCMに対する皮肉のようでいいですね。 最後に本作の笑いドコロを。捜査のため訪れたとある会社で、かなりウザい受付のお姉さんとかなり面倒くさい警部との絶妙の間とそのやり取りには笑わせてもらいました。そして皆さんご指摘の通り、警部のあの青ジャージ姿はかなりヤバいです。 [DVD(吹替)] 7点(2010-07-29 19:15:52) |
1582. エド・ウッド
才能は無い。しかしエド・ウッドには誰にも真似できない人生と映画への情熱やひたむきさがあった。本作を撮ったティム・バートンと同じくエドが生きた時代にもエドの周りには、そんな彼のことが好きだった人々がいたのでしょう。だからこそ酷評続きでも彼は何本も映画を撮ることができたのでしょう。 全編を通し撮影シーンが非常に多く後半はちょっと長く感じられましたが、エドを演じたジョニー・デップも、マーティン・ランド―をはじめ彼の仲間達を演じた俳優陣は皆が本当に素晴らしき怪演でした。 実は僕はエドの映画は観た事が無い。本作を見るまではエド・ウッドという映画史上最低の監督の名前は知っていましたがどんな人間かとかは全く知りませんでした。本作を鑑賞し終えた今、当時のエドの仲間達やティム・バートンと同じく彼に好感を持ってしまっており、彼の映画が観たいとも思っている。特にタコと戯れるあの作品が。でも、観ない方がいいんだろうなあ・・・。でも、もしも観る機会があれば、本作を見た事により優しい目で彼の映画を見る事が出来るような気がしています。 [DVD(字幕)] 7点(2010-07-29 00:10:13) |
1583. クレイジー・ハート
《ネタバレ》 ノミネート歴は数あれどアカデミー賞に縁が無かった大物の一人、ジェフ・ブリッジスがついに受賞の栄誉に輝いた。好きな俳優の一人なので彼の受賞はとても嬉しかったのですが、これは決して永年勤続表彰なんかじゃありません。彼の魅力は色々あると思いますが、男臭さの中に見せる男の色気、そんな彼の醸し出す魅力に年輪を重ねた貫禄が加わった演技は実に見応えがありました。 昔は売れた時期もあったが弟子にあっさり抜き去られてしまい(しかし自らは売れてスターになり、かつての師がどんなに落ちぶれようともリスペクトする姿勢を崩さない弟子の描き方が良かったしコリン・ファレルも好演でした)自らクルマを運転して小さな町から町へ、場末のステージで歌うしかない男。 酒と煙草が手放せず体もボロボロ。そんな彼が幼い一人息子を抱えた女と出会った事で己の人生を見つめ直すというありがちな話ではあるし演出は控え目で感動の味付けもかなり抑えられています。しかし弟子との再会や出会った女とその一人息子との日々を通して、落ちぶれ荒んだ毎日を過ごしてきた初老のカントリー歌手が己の人生を見つめ直す心の軌跡がジェフ・ブリッジスの好演もあって淡々とした描写の中にも伝わってくる映画でした。 [映画館(字幕)] 7点(2010-07-27 20:36:25)(良:1票) |
1584. 恋に落ちたら・・・
《ネタバレ》 この頃のデ・ニーロはこんな冴えないオッサンの役でいい味出していましたね。そして感情の起伏を表情に出さないビル・マーレイも持ち味十分の役どころでした。最後の決闘は何万ドルとか色々あったのにそれで終わっちゃうんですか?という感じでしたがこの二人のこんな役どころだからこれで良かったのかも。ただ、冴えないオッサン役デ・ニーロにマーレイと揃えたんだからもう少しコメディ色を出した作品にしても良かったんじゃないかなと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2010-07-25 00:13:29) |
1585. がんばれ!ベアーズ
テイタム・オニールは「ペーパームーン」といいい本作といい、ちょっと勝ち気で生意気な女の子の役がいいですねえ。ダメチームだったベアーズの監督になった、飲んだくれで一見だらしなくてひと癖ありそうな中年男のウォルター・マッソーもまたハマリ役でした。試合は負けるより勝ったほうがいいに決まっている。でも勝ち負けだけが全てじゃない。決勝戦の終盤の大切な場面で試合に出してもらった、補欠だった少年が外野フライをキャッチしたシーンなんて本当に素晴らしかった。大人も子どももそれぞれの感動があってそれぞれの楽しみ方ができます。いい映画です。 [DVD(吹替)] 8点(2010-07-25 00:07:48)(良:1票) |
1586. 電話で抱きしめて
色々と惜しい映画。ウォルター・マッソーとメグ・ライアンの父娘のシーンはどれも素敵でした。これがウォルター・マッソーの遺作なんですね。最後まで彼らしい役でさすがの存在感でした。そしてとにかくメグがかわいい。一方メグの姉妹にメグの夫にメグの母親にメグと駐車場で事故った男といった、この父娘以外の登場人物が上手くいかしきれていない。そして電話のシーンが多すぎで、しかもそのほとんどが誰かと揉めている電話なので見ていて少々疲れました。しかし本当に久しぶりにメグの映画を観ました。色々言いたい事がある映画ですが、素敵なメグを見る事が出来たから良しとしておこう。 [DVD(字幕)] 4点(2010-07-22 22:10:26)(良:1票) |
1587. モーターサイクル・ダイアリーズ
《ネタバレ》 後に歴史にその名を残す革命家となる医大生の南米大陸放浪の旅。大袈裟な出来事を無理に挿入する事も無く控え目な音楽や演出で非常に淡々としていますが、だからこそ旅の風景の描写や旅先で出会う名も無き人々との心の通い合った交流を見ていると、きっと本当にこんな感じの旅だったのだろうと思えます。 後に革命家となる恵まれた環境にあった医大生が、一つ一つの出会いを通して世の中に対する矛盾や疑問、そして使命感が心の中で少しずつ芽生えていく過程が淡々とした中にもとても上手く描かれていました。 若者の純粋なエネルギーを感じさせてくれる良質の青春映画であり、人間の力強さや自然の偉大さを感じさせてくれる、ロードムービーや人間ドラマとしても心に残るいい映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-07-20 23:12:12) |
1588. ボローニャの夕暮れ
《ネタバレ》 会社からすぐ近くのミニシアターの本作のポスターがとてもいい感じだった。夫婦と一人娘、見るからに幸せそうなセピア色の家族写真。幸せなイタリアの家族の物語か、と思っていたらかなりシビアな話でした。 戦争中から戦後に渡るこの家族の崩壊と再生の物語。ひたすら娘を溺愛する父。娘を心配するあまり行き過ぎた行動を取ってしまう。また、ある事件まで表面化する事は無かったが潜在的に存在していた娘と母の確執。いや、娘が母に抱くコンプレックスか。 何があっても常に娘のそばに居ようとする父と娘の心の触れ合いはよく分かるのですが、二人の心の間に解決しなければならない問題があった母と娘は結局戦後に再会するまで全く触れ合いが無かった。 そして最後はこの家族が再び新たなスタートをきったという娘の語りで映画は終わりますが、母と娘、更には夫婦間の関係修復への過程、心の軌跡が描かれておらず、原題「ジョヴァンナのパパ」の通り父と娘の物語として見ればいいのかもしれませんが、家族の崩壊と再生の物語としては物足りなさを感じました。 [映画館(字幕)] 5点(2010-07-18 12:38:48) |
1589. 8人の女たち
人間の嫌な部分をこれでもかと見せながらもちょっとコミカルな女8人による一家の主人殺害犯は誰だ?というミステリー・ミュージカル仕立てといった作品。しかし、このミュージカルが上手くいっていない。緊迫した状況の中に挿入されるミュージカルの部分がどうも滑稽に見えてしまい、屋敷の中に誰かに殺された一家の主の死体があるってのに呑気に歌って踊っている場合か!?とツッコミを入れたくなってきました。色鮮やかな衣装に身を包んだ女優陣の豪華な競演という雰囲気は楽しめましたが・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2010-07-17 17:37:25) |
1590. パリ空港の人々
《ネタバレ》 スピルバーグが豪華キャストで撮った「ターミナル」と比べると空港の華やかさも無く美女とのロマンスも無く地味な作品ではあるのですが僕は本作の方に惹かれました。 ここは確かにパリのはずなんだけれどパリじゃない。世界中のどこでも無い場所。そんな場所に世界からそっぽを向かれてしまった、この世界に行く場所も帰る場所も失ってしまった人々の少し物悲しくも可笑しな人間模様。 大晦日の夜にテーブルの上に再現したパリの街、そしてこっそり空港を抜け出したパリの街が良かったですね。雑踏と華やかなネオンに彩られたパリではなく、人気が無くどこか淋しげな深夜のパリの雰囲気がいい。 恐らくもうあと何日か辛抱すれば自由にパリの街に出ていける主人公の男とは違い、それが叶わない人々の身近なようでとても遠い街であるパリの夜景を眺める淋しげな表情とそんな彼らの心の内を表しているかのような淋しげな深夜のパリの風景、そして主人公の男とギニア人の少年が歩き出す先にはきっと希望があると信じたいラストシーンが鑑賞後も不思議な余韻となって心に残ります。 [DVD(字幕)] 8点(2010-07-14 22:48:17) |
1591. リトル・ヴォイス
LV役のジェイン・ホロックスの演技力と歌唱力には驚かされた。内向的な女の子、恐らく年齢の設定としては20歳前後か。この時彼女は30代半ばなんですよね。驚くほど違和感が無く、たった一度だけでしたが観客を魅了したステージの歌は本当に素晴らしかった。もう一人、内向的な男を演じたのはユアン・マクレガー。彼もまたこんな役を演じると見事にはまりますね。さらにはイカれた母親にはずっと頭にきましたがこの役が実によく効いていて言うまでも無くマイケル・ケインはどんな役を演じてもやはり上手い。(特に“it‘s over”の彼は絶品!)成功を掴む大ハッピーエンドもありかもしれませんが本作のラストもあの2人にとってのハッピーエンドなのでしょう。最後の鳩を放つ、LVの本作で見せた最も生き生きとした表情がそれを見事に表しています。 [DVD(字幕)] 7点(2010-07-13 21:11:14)(良:1票) |
1592. 生きてこそ
生命の危機に立たされたことも無い、目前に迫りくる凍死や餓死の恐怖にさらされたこともない自分に彼らの生き延びる為の非常に重い決断について語ることなんて出来ません。ショッキングな内容の実話ですが人間の生命力、精神力の強さが力強く描かれた映画でした。その重い決断の場面も含め描き方としては軽めだったかもしれませんが、今も生還者と犠牲者の遺族のほとんどが故郷の小さな町で共に暮らしているという。テーマが重すぎるだけに描き方としてはこれが限界だったのでしょう。そしてDVDの特典には様々な生還者の体験談が収録されていましたが、生涯忘れられない辛い体験の記憶を語る生還者の重い一語一語は本編よりも心に残るものでした。 [DVD(吹替)] 6点(2010-07-13 21:06:04)(良:1票) |
1593. 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく
シリーズを通してマドンナの多くが人生の分岐点(その多くは結婚だったりする)に迷い、最後は寅さんがそっと背中を押してくれる・・・というスト-リーが多く、本作も最後はマドンナが結婚を決意するのですが本作のマドンナの木の実ナナさん、あまりにも情熱的でパワフルな紅奈々子のキャラクターが寅さんのマドンナ像としてはちょっと熱すぎだったかな、という気がしました。しかし、引退を決めた最後の公演で彼女が歌う姿はとても良かったですね。そして最後の舞台を見にいくことが出来ないと言いながら実はそっと一番後ろで気付かれずに彼女が歌う姿を見つめて立ち去る寅さんが男前でしたね。冒頭に熊本の山村で留吉に語った男の美学そのままの姿でした。 [DVD(邦画)] 6点(2010-07-11 16:41:44) |
1594. 大統領の陰謀
個人的にはケネディからニクソン、この時代の事件の究明や人物にスポットを当てた映画は好きなのですが、特に本作はこの時代や事件の背景に関する余程の知識が無いと全てを理解する事は難しい映画だと思います。 しかしどんな些細な情報でも関係者の裏を取り、一つ一つの小さな点を突破口に線に結び付けていく地道な取材、妨害や圧力に屈しない姿勢などジャーナリストの現場の最前線を描いたとても熱い映画でした。 名前は出てくるものの、敢えて黒幕や妨害工作を行う者はほとんど登場させず、困難に立ち向かうジャーナリストの姿を伝える事に的を絞った映画でもあるので事件の背景など全て分からなくとも、身の危険を感じながらも重い口を開いていく証言者や事件の究明に挑むジャーナリスト達の熱き人間ドラマとして充分に見応えのある映画となっています。 [DVD(字幕)] 7点(2010-07-09 10:20:55) |
1595. エドtv
週刊誌やワイドショーが有名人のプライバシーやゴシップを面白おかしく書き立て報じる。発行部数増や視聴率アップのために行き過ぎるTV界やマスコミに対する問題提起を当事者だけでなく視聴者の反応なども織り交ぜコメディタッチで、エドの行動を追うTV界やマスコミの騒ぐ様を逆に風刺をきかせて面白おかしく描いたロン・ハワード監督はさすがに上手い。しかし中盤から後半はかなり長く感じられたしちょっと飽きがきました。 番組スタッフの「さて、次はエドに何をさせる?」「ジルの人気が出てきたのでジルを投入しよう」などという、もうこれはやらせのように途中までは会議の内容通りに行動してしまうエドも結局TVに踊らされていただけのようでありながら、今までさんざん人のプライバシーを商売道具にしてきたTV局の幹部が逆に自身のプライバシー・ネタでやり込められるという落としドコロはよく出来ていたし面白かったと思います。 [DVD(吹替)] 5点(2010-07-08 16:10:33) |
1596. ロバと王女
美しい色彩感覚にあふれた画を撮らせたら天下一品のジャック・ドゥミ監督。これまでの作品でも見せてきた色や音楽に対するこだわりが細部にまで感じられるメルヘンの世界。このジャック・ドゥミの創り出す美しい世界にミシェル・ルグランの美しい音楽が流れている。そこに美しいカトリーヌ・ドヌーブがいる。僕にとってはこれだけでもう十分なのです。この3人による「シェルブール」や「ロシュフォール」と比べると特に前半から中盤はミュージカルの要素が控えめになっていますが、挿入される歌がどれも素敵でいいアクセントになっており、これもフレンチ・ミュージカルの傑作をこれまでにも撮ってきたジャック・ドゥミ監督のこだわりだったのでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2010-07-07 22:55:08) |
1597. トランザム7000
まあアホな映画なんですが、大好きな映画なんですよ。キャスト良し、テンポ良し、音楽良し、ギャグも良し、気軽に観てただ笑っていればいい。素晴らしきコメディです。 若き日のサリー・フィールドのじゃじゃ馬娘ぶりも、ジャスティス保安官と息子のギャグ親子も(保安官役のジャッキー・グリーソンが素晴らしすぎです)バンディット&スノーマンの痛快さも皆が見事に愛すべきキャラクター揃いです。 広大で陽気で大らかなアメリカがたっぷり味わえる、お気楽でユルいんですがそれでいてスピード感あふれるアメリカ南部の州横断ぶっちぎり愉快痛快ロードムービー! [DVD(字幕)] 9点(2010-07-06 21:50:31) |
1598. 花の生涯 梅蘭芳
《ネタバレ》 前後半(梅蘭芳を演じる俳優が変わる)でガラリと作風が変わります。まずは前半に描かれた京劇の世界の華やかさと厳しさは非常に見応えがありました。梅蘭芳の青年時代を演じる俳優の京劇の舞台での美しさ、普段の姿のはかなげな姿、この俳優の美しさ、存在感が印象に残ります。 前半のクライマックスである師弟対決では敗れ去ることになる師の描写が見事。客に物を投げつけられ罵声を浴びせられ、誰もいなくなった客席に向かって渾身の演技を披露する師の姿、弟子に対し最後の教えを説く師の姿に京劇役者の誇りが見事に描かれていました。 そして後半。前半はたっぷりと美しい京劇の舞台を見せてくれたのと比較すると後半は京劇の描写がほとんど無く、京劇の魅力自体はほとんど描かれていない。ドラマチックな展開も無く淡々と大人になってからの実在した京劇スターの知られざる苦悩を描いた伝記となっていますが、描かれる様々な出来事それぞれが薄味で淡白になってしまっている感があります。 後半に梅蘭芳を演じるのはレオン・ライ。前半の青年時代の俳優と比較すると華は無いですが、これは実在した京劇のスターの伝記であり梅蘭芳という成功と名声を手にした京劇スターの知られざる苦悩や孤独感を演じたその姿からはレオン・ライの持ち味が十分に発揮されています。 本作は梅蘭芳の伝記であると共に彼に魅せられた男の物語でもあるのですが、その男を演じたスン・ホンレイの存在感と好演も見逃せません。特に後半は“覇王別姫再び!”と思って見る映画ではなく、チェン・カイコー監督が「覇王別姫」とは全く別の視点で実在した京劇スター、梅蘭芳という一人の人間を見つめた映画となっています。 [DVD(字幕)] 7点(2010-07-04 19:05:33) |
1599. 摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に
絶頂期のマイケル・Jの魅力全開の映画ですね。世の中そんなに甘くは無いぞ!と思いつつも、この頃の彼にはそんな突っ込みドコロなど吹き飛ばしてしまうほどの魅力がありました。典型的サクセスストーリーですがギャグもいい感じで楽しく観ることができる映画です。ただ、音楽が所々大げさに感じてしまい、音楽の使い方があまり上手くいっていないように感じられました。 [DVD(字幕)] 5点(2010-07-01 21:36:39) |
1600. 鉄道員(1956)
既に大人になった姉、兄とは随分年が離れた幼い末っ子の少年の目線で見つめた、どこにでもありそうな家族の崩壊と再生の物語。よくある設定のホームドラマではありますが、その人物描写が素晴らしいです。 家族の心が離れ離れになっていく前半から中盤、重い雰囲気も漂いますが、微笑ましさやユーモアを感じさせる末っ子の言動、父、そして優しい母や姉と末っ子との触れ合い、鉄道員の父の仕事仲間であり親友の独身男の存在や行きつけの酒場の常連客達の生き生きとした描写が心を和ませてくれます。 僕はイタリアの庶民やその家族の物語を描いたドラマが好きなのですが、それは人生には辛い時期もありますが、そんな中に派手さは無いですがイタリア映画が見せてくれる人間臭さや可笑しさやあたたかさがとても好きなんです。ですが何故か本作はずっと見落としていた作品でした。それを映画館で見る事が出来た。ありがとう、午前十時の映画祭。 [映画館(字幕)] 8点(2010-06-29 15:13:02)(良:2票) |