1621. 遠い道のり
グイ・ルンメイの美しさが際立ったアジアの逸品。 『藍色夏恋』で初めて目にした時は、特別魅力的には感じなかったが、本作では透明感があり、どこか神秘的な美しさを持つ少女に見えた。 この時25歳。 25歳としての大人の魅力も見せながら、細い肢体を中心とした少女的な魅力も感じられる。 彼女が最高の美しさを持った頃に撮られた、まさに絶妙のタイミングの作品ではないだろうか。 話としては台湾映画らしいのんびりとしたもので、特別楽しくはないが、ゆっくりとした時の流れに、身を委ねる気持ち良さがある。 謎の多いストーリーで、何度か観ても鑑賞に耐え得る作品だ。 [DVD(字幕)] 8点(2010-06-30 00:36:22) |
1622. 午後3時の初恋
《ネタバレ》 劇中に“初恋”というフレーズが出てこないのに、この邦題は何とやらという感じだが、初恋という響きに相応しい透明感とみずみずしさを持ったアジア映画である。 台湾特有の、家屋の横を真っ直ぐに通る電車道。 その傍らに佇む、ひなびた時計店。 そこで繰り広げられる純粋なラブストーリー。 特に良かったのは、主人公の男女が川を二人で歩き、初めて手を触れ合うシーン。 それと共に流れる音楽が、これまた良い。 男女の出会いから生まれる、初めての肌と肌の接触。 その時の弾む心。 それが画面に現れた時、映画ならではの胸躍る感動をおぼえた。 終わらせ方はすっきりしないものの、それが奥行きをもたらしているとも取れる。 精神が分裂し、それにより親友の魂が宿るといった、オカルト的設定には難があるが、台湾の風景描写の素晴らしさ、純粋な恋愛を描いた内容など、それなりに楽しめるレベルの佳作だ。 [DVD(字幕)] 7点(2010-06-27 22:20:48) |
1623. アキレスと亀
《ネタバレ》 後半の、はちゃめちゃ芸術人生は、コメディ色が強くなり、それほど感じ入るものはなかったが、前半から中盤にかけての芸術への傾倒の過程をブラックユーモアたっぷりに描いた部分は、ほんと面白かった。 直接的なギャグではなくて、武や武映画を好きな人なら微妙に分かるという、微妙な感じのギャグが満載。 とにかく人が次々に簡単に死んでいくところなんかは、いつもの武映画。 寺島進のヤクザ役カメオ出演も印象大。 豪華な役者陣を贅沢に少しだけ出演させて、流れるようにストーリーが進んでいくのも小気味いい。 でも一番印象に残っているのは、汚い工場で事務員として地味に働く麻生久美子。 こんな仕事場で腐り気味に働いている状況で、地味に美しいこんな女性がいたら、まさしくイチコロだろう。 しかも相手からアプローチ。 これは一種の夢物語だ。 [DVD(邦画)] 7点(2010-06-27 00:07:00)(良:1票) |
1624. チャップリンの冒険
チャップリン短編喜劇の中では上位にくる面白さ! 特に前半がいい! 脱獄囚に扮したチャップリンが、お誂えむきの「縞々囚人服&帽子」をかぶっている時点で、もう大爆笑! そして、指名手配犯のチラシにのっている写真が、どうにも間抜け面で最高! その脱獄囚チャップリンが、得意のちょこまかとした動きで、とにかく走り回る! これがまた愉快痛快。 チャップリンのストーリーテーラーとしての魅力よりも、原点とも言える動きの面白さを体験できる短編である。 [DVD(字幕)] 6点(2010-06-26 19:40:48) |
1625. チャップリンの移民
チャップリン後年のドラマ性が垣間見られる作品。 ドタバタ喜劇というより人情劇という内容である。 [DVD(字幕)] 5点(2010-06-26 13:21:19) |
1626. チャップリンの霊泉
チャップリンの短編喜劇の中では標準の出来具合。 [DVD(字幕)] 5点(2010-06-26 08:54:00) |
1627. DNAがアイ・ラブ・ユー
台湾の綺麗な街並みとかっこい外車の数々が、まぶしい羨望を巻き起こす。 そんな前半は良かったが、後半のメインはもっぱら“スライム”。 気色悪いのもあるけど、それ以上にショボイというか情けないほどにくだらない。 台湾映画の現在は感じ取れたけど、特別収穫のある作品ではなかったのが残念。 [DVD(字幕)] 5点(2010-06-26 00:33:15) |
1628. 銀河系
前衛的映画なのだろうが、さっぱり意味が分からない。 それでいて、またもや“前衛映画”と“新宿西口”の意味不明な取り合わせ。 内容的に意味が分からない時点でイライラするのに、しかも新宿西口登場の必然性にも納得がいかず、不快感もピークに。 途中で出てくる坊主がまたむかつく。 どう考えても強くないはずなのに、主人公は太刀打ちできない。 この理不尽さが前衛的なのか? いや、違うはず。 いや、どっちでもいいや! [映画館(邦画)] 0点(2010-06-24 19:27:46) |
1629. チャップリンの番頭
でたーーー! チャップリンがボクシングを披露! 私はこれが大好きで、チャップリンが腕をグルグルチャキチャキ動かしてるのを見るだけで愉快になれる。 チャップリンの動きはどれも面白いけど、やっぱりこのボクシングの動きが一番面白い。 [DVD(字幕)] 6点(2010-06-23 23:10:50) |
1630. チャップリンの消防夫
チャップリンのビルよじ登りにはど肝を抜かれた。 しかも途中ブランブランとおふざけも見せるし。 キートンのアクションも危険だが、本作のチャップリンのアクションも危険極まりない! スタントマンを使っているそこらの俳優なんかよりよっぽど凄い。 たまに凄いことをやって、ほとんどはスタントマンを使っているくせに、大物面している香港のチェンさんは見習って欲しい。 [DVD(字幕)] 6点(2010-06-23 22:34:42) |
1631. 縮図
借金のカタに芸者として売られた女性の半生を描いた作品。 新藤兼人脚本・監督、そして新藤監督の妻、乙羽信子主演。 死にそうな時はみんな優しいが、少しでも回復すると、みんなで金づるとして扱われる一人の女性。 死にそうな時にだけ優しくて、本当にその人のことを思っていると言えるのだろうか? 例えば、死にそうまでいかなくても、弱りきった時にだけ優しい言葉をかけてきて、普段は利用ばかりしてくる人間を非難すべきと捉えるか、それとも本当に困った時は心配してくれるのだから味方と捉えるか。 自分にとっての周囲の人間に対する、敵か味方かの捉え方。 それを非常に深く掘り下げた作品で、自分の周囲にいる様々な人間に対し、信頼すべきか否か、ぐっと考えさせられる作品である。 ちなみに私個人の考えを言えば、参っている時にだけ同情してくるようなレベルの人間は、自分の味方とは到底思えない。 日頃から助け合ってこそ、仲間と言えるのではないだろうか。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-06-22 23:20:33) |
1632. ウエスト・ゲートNo.6
実に映像センス抜群の台湾映画! 色使いも素晴らしい! そして、男も女も若くてすがすがしい! 犯罪ドラマに変化していく終盤は無視して、前半から飛ばす展開を楽しめたので満足。 三姉妹が出てくるが、メインのコよりも他の二人の方がかわいかったのはご愛嬌。 韓国人も出てくるし、自称「竹野内豊」も出てくるわで、実にごった煮のアジアンテイストが楽しい。 日本では創ることのできない、現代台湾色が十二分に発揮された、アジア青春映画の秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2010-06-21 00:06:42) |
1633. 毒婦高橋お伝
出演者に私の苦手な下膨れが多く、正直、参った。 特に、“毒婦”お伝は美女という武器を使って男を翻弄する役なのだが、下膨れで横顔のアゴラインがむくんでいてどうにも魅力を感じようがなく、致命的に物語に入り込めない。 だが、どうもこの作品には怪しげな雰囲気が漂っていて、それが面白い。 カルト的な味わいのある日本映画である。 [映画館(邦画)] 6点(2010-06-20 15:52:01) |
1634. 薔薇いくたびか
若尾文子と南田洋子が20代前半の頃に共演した貴重な作品で、長谷川一夫のスーツ姿を見られたり、市川雷蔵や勝新太郎などが端役で出演していたりと、キャスト面では申し分なし。 ただし脚本的にはかなり問題あり。 都合の良すぎるストーリー展開には、見ていて苦笑せざるを得なかった。 特にラストの30分は、完全に蛇足。 普通に二人がくっついて爽やかに終り、というベタな終わらせ方の方が数倍良かったような気がする。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-06-20 00:46:16) |
1635. ビバ!監督人生!!
数々の映画賞を受賞し、2008年上半期台湾の興行収入第1位を獲得した作品だけあって、大いに楽しめた。 内容的には、“台湾版「監督・ばんざい!」”と言われているように、監督自身の人生を重ね合わせた様なもので、人生の悲喜こもごもが詰まっている。 こういったアジアの良作を楽しめる機会は少ないだけに、観ることができただけも嬉しい限りである。 追記。 ラストのインタビューシーンの一番最後に出てくる女のコがあまりに可愛くて、作品自体を忘れそうになりました! [DVD(字幕)] 7点(2010-06-19 00:41:01) |
1636. 練習曲
《ネタバレ》 ホウ・シャオシェン監督の『憂鬱な楽園』でアジアの映像美を撮ってみせたチェン・ホァイエンが、監督業に進出し自らメガホンをとった上に、脚本と撮影までこなした作品。 これがどんな出来栄えになったかと期待して観たのだが、内容はかなり薄く、不発。 意味もなく耳が聴こえない設定の青年が、自転車で台湾を一周するというロード・ムービースタイルの作品だが、設定の割に面白くない。 やはりこういったロードムービーは、行く先々での様々な人々の出会い、それに関するエピソードが充実していないと厳しい。 青年がただ自転車で台湾を一周するだけのお粗末な内容には、大分がっかりした。 貴重でいて秀でたアジア映画を一斉にDVDでシリーズ発売した「珠玉のアジアン・ライブラリー」シリーズだが、面白い作品が目白押しの中、本作は残念ながら最下位に位置する作品だった。 [DVD(字幕)] 4点(2010-06-18 22:19:24) |
1637. チャップリンの勇敢
これはチャップリンの短編作品としては、かなり面白い部類に入るのではないだろうか。 とにかく動きまわる! この動きをただ呆然と観ているだけで楽しめてしまう。 動きだけでこれだけ楽しませるチャップリンは、やはり偉大だ。 でも、チャップリンが最後に選ぶ女性は、いつも気色が悪い女性ばかり。 太めで、白目をむいている。 たまには痩身でナチュラルな目つきの女性を選んでほしいものだ。 [DVD(字幕)] 6点(2010-06-15 23:44:36) |
1638. チャップリンのスケート
チャップリンがこんなにスケートが上手いなんて! あとは何となく観ていたら何となく終わってしまったという感じ。 まだ未完成なチャップリンという印象。 [DVD(字幕)] 4点(2010-06-15 23:40:49) |
1639. ビリディアナ
《ネタバレ》 カンヌ映画祭パルムドール作品。 生理的に気分の悪いシーンが何度も出てくるが、カンヌが好みそうな濃い演出と負のパワー漲る内容に圧倒された。 ビリディアナを演じたシルヴィア・ピナルという女優さんは、ブロンドが映えとにかく美しく、それとは対照的に下賎の民たちは、色々な意味で恐ろしく醜い。 この対照的な二つの存在が交錯し、やがてはビリディアナを汚染していくという流れに、変態と名高いルイス・ブニュエルの変態たる所以をみた気がする。 終盤の“最後の晩餐”は圧倒的にやかましく不快。 しかし、それを呼び寄せたのは、美しきビリディアナ。 軽はずみな施しが、やがては惨劇を生むという流れは、まさしく「反宗教的」だ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-06-15 01:45:01) |
1640. 続・飢える魂
《ネタバレ》 終りまで観て、結果としては凡作かなぁ、と。 なんだか突っ走るものが感じられない。 終り方もまったくよろしくない。 三橋達也を殺すところなんか、うまく話を収めるためとはいえ、強引過ぎる。 これだけ不倫関係を散りばめて、恋愛の自由を訴えた内容なのに、最後は家庭に収まって終りってのは、納得がいかない。 大体、中年太りした轟夕起子が魅力的な未亡人に描かれている時点で、居心地がすこぶる悪い。 更には、轟夕起子に関するサブストーリーが全く不要で、このサブストーリーのせいで二作に渡る長尺になっているのが納得いかない。 南田洋子に関するエピソードのみで、普通に90分前後にまとめ、ラストは全てを捨てて恋に走る・・・ってな展開の方が流れ的に自然だし、キレが良い気がした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-06-13 19:09:40) |