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プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1681.  それでもボクはやってない 《ネタバレ》 
現行の司法体制に対する問題提起。警察・検察の捜査姿勢や、裁判所の在り方に対して批判を込めた内容です。でも一方的に体制を糾弾している印象はありません。出来るだけフラットに、システムの不具合のみを指摘しようとする意図が感じられます。この姿勢は支持します。バランス感覚も素晴らしい。冤罪被害者を主人公に据えつつも、客観的な視点を忘れていません。ただ、そうであるが故にパンチ力を欠くとも思う。本作では主人公のパーソナリティに踏み込んでいません。彼が口にするのは、一般的な冤罪被害者が口にするそれ。その言葉は、検察や弁護人、裁判官が感じ取るレベルと同程度にしか観客に伝わってきません。観客は公判の傍聴人と同じ。主人公には同情します。憤りもある。でも柵の外。火の粉は我が身に届きません。それではやはり物足りないと思う。本作の立ち位置は、報道特番に近い。でもその土俵で勝負するなら、実例をダイレクトに扱っているドキュメンタリーには適わない。運転免許更新の講習で見る再現ビデオのほうが、よほど胸に迫ってきます。本作はドラマ。ドラマの武器を使わないのはもったいないです。“主人公は何故頑なに妥協を拒んだのか?”“裁判を通じて彼は何を感じたのか?”“結局彼は裁判したことを後悔していないのか?”主人公の心の内面を描くことで、観客を物語に引きずり込んで欲しいと思いました。丁寧なつくり。いい映画だと思います。社会的な価値もある。でも映画で何より大切なことは、”面白いこと”だと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2007-11-14 18:21:05)
1682.  オトシモノ 《ネタバレ》 
デモリッシュな脚本とエキセントリックな演出、そしてプリンセスエリカ。この三位一体の連鎖のもとに生まれた奇跡。それが「オトシモノ」だ。もはや既存のジャパニーズホラーのモノサシで本作を語るのはナンセンス。カエルの子はオタマジャクシ、ポメラニアンの子供がコポメラニアンなんて常職に捕らわれたらダメだ。それは足枷に過ぎない。「オトシモノ」を楽しみたいなら、全ての常職をオトシモノべきだ。  ………一見すると、リアリティを欠く場面が目に付く。というかそんなシーンばかりだ。例えば消えた男の子の家を訪ねる沢尻。チャイムも押さず、いきなりドアノブに手をかける。さして家人を気にかける様子も見せず、ズケズケと室内に上がり込んでいく。本来であればリアリティの無い「ダメだこりゃ」な演出だ。でもいかりやはもういない。今や時代はオッパッピー。「そんなの関係ねぇ」何だってアリなのだ。沢尻節のオンパレード。女優オーラ出しまくり。随分お手軽に演じているように見える。勿論それを責めるなら、そんな演技を許した監督に非があるというべきだろう。でもエリカ様に逆らえる人間がいったいこの世にどれだけいるというのだ。むしろ舞台挨拶で「別に」と言わなかっただけ、マシというものだ。もっとも舞台挨拶があったのかどうかは知らないが。トンネルの中の秘密。謎の空間。異形の神のような(というかハエみたいな)モニュメント。事件の真相は一体どこにあるのだろう。青沼八重子も被害者だって?あの赤ん坊が花と蛇?サッパリ分からない。妹だけが生きていたのも不思議。でも分からないからこそ考える楽しみがある。この物語を読み解いてくれた人には、心の中でそっと何かを差し上げたいと思う。象印賞あたりでどうだろう。オチは“友情は素晴らしい”。全くもって取ってつけたようなメッセージだが、何も無いよりはいい。点数的には3点が限界だ。でもよくみて欲しい。これでも平均点は上がる。
[DVD(邦画)] 3点(2007-11-13 18:54:03)(笑:1票) (良:1票)
1683.  ゾルタン★星人 《ネタバレ》 
ホントにクダラナイし、しょーもない。でもこれは褒め言葉。小ネタの数々を楽しみました。登場キャラクター名のテロップ、「アンダァ~」連発のドライブスルー、動く度に音がするプチプチ宇宙服、クライマックス「チンパンジーは枝を使う」。笑いのセンスは自分好みでした。(ただ関係各位への配慮を欠いたギャグは無いほうが良かった。)無くした記憶を遡るという構成は面白かったです。でも真相が明らかになって行くに連れて失速。タネ明かしに快感感が不足していたのが惜しい。ところで「おスペ」のオチについて。初Hを期待していた彼らを待っていた“アレ”の意味を考えてみました。日本ではマンガ家や画家のイメージが強いアレですが、国際的には軍隊を連想させるモノかと。軍隊のような禁欲生活がこれからも続くのだ!という皮肉?それともアレを被った姿は、あの、松茸というか、その、男性の、そのシンボル風な、暗示というか、(ボカそうとするとすればするほど、逆にヤらしくなるので)…お察しください。
[DVD(字幕)] 6点(2007-11-12 18:38:22)
1684.  ゆれる 《ネタバレ》 
良い噂は耳にしていましたが、納得の出来栄え。確かに素晴らしい。役者はみな上手いし、脚本、演出共に申し分ありません。テーマも心に沁みます。山奥の吊り橋で起きた転落事故。それは本当に事故なのか。真相を知るのは当事者である兄と目撃者の弟だけ。当然事故で処理されるはずの事案。しかし兄は殺人であると自供します。ここから真相は事件と事故の間を揺れ動きます。同時に兄と弟、そして彼らの周りの人たちの心をも揺らします。各人の心の内を慮かることが本作の楽しみ方。とくに事故時の兄の心情が最も興味深い。高所の吊り橋、川の音、空気、風、それまで彼が歩んできた人生、もちろん表情や筋肉の動きに至るまで、提供される全ての情報を基にして彼の心情を読み取ります。ただしあくまで推測。彼の心情は彼にしか分からない。絶対に。“彼はどう思ったか”は“自分ならどう思うか”と同義。彼を通じて観客は自分自身を量ることになります。模範解答は“事故”だと思います。でも判決どおりの“殺人”でも間違いだとは思いません。真実はあやふやなものです。何故弟の偽証を兄は黙って受け入れたのか。ラストの兄の笑顔の意味は?最後まで観客自身への問いかけは続きます。とても深い映画。自分の文章力ではそれを伝えることは出来ません。どうぞ直接ご覧になって、自分自身と向き合ってみることをオススメします。
[DVD(邦画)] 8点(2007-11-11 19:50:18)(良:1票)
1685.  バニラ・スカイ 《ネタバレ》 
単純かつ下世話な言い方をすると、「淫夢とセックスならどちらが良いですか?」という話。主人公が出した答えは「やっぱりセックスがいい!」というもの。自分も賛成です。ただ超イケメンのトム・クルーズに言われてもなぁと思う。素寒貧になったって、どうせモテモテでしょ、とちょっとやっかみ。怪我後の顔で復活を望んだのなら大拍手だったのに。冗談はさておき本題へ。本作の欠点は主人公の最後の決断に、感動が不足していることだと思います。まず問題なのが主人公の設定。トムは生まれながらの大金持ち。いわゆる“勝ち組”です。世間の厳しさを知らないから、簡単に現実を生きるなんて選択できるんじゃないの?と思えてしまう。さらに胡散臭いのが冷凍保存会社。何故トムは夢で混乱してしまったのか。会社の説明では、トムの潜在意識が作用したとのこと。確かにもっともらしい。でも本当でしょうか?冷凍保存の維持管理には大変な費用がかかるはず。トムに莫大な資産がある間ならともかく、資産が底を尽いたお坊ちゃんを繋ぎとめておく理由はありません。冷凍保存会社は、巧妙な手段で彼に目覚めを促したのではないかと推測します。何のことはない、彼は“自ら起きた”のではなく、“起こされた”だけ。だとすると、ますます決断の価値が薄れてしまいます。ビルの屋上から飛び降りるトム。フラッシュバックされる過去の記憶。このシーンは好き。胸が熱くなります。もっと大きな感動に繋がれば傑作になったのではないかと。それだけに惜しいと思いました。
[DVD(字幕)] 7点(2007-11-10 18:03:18)(笑:1票) (良:2票)
1686.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 
格好良く言えば「刹那的」、悪く言えば「単なるアホ」な若者たちの物語。息苦しい現実から逃避するためにドラッグに明け暮れる日々。彼らの主張は単純明快です。ヨボヨボの爺さんになって何になる。今のこの快楽に意味があるという理屈です。そういう人生観もアリだと思います。明日交通事故で死ぬかもしれないし。ただ、彼らは経験していない。想像の中の漠然とした不安をかき消したいだけ。酸いも甘いも噛み分けた人生の達人が辿り着いた結論とは訳が違います。だから揺れる。ブレブレです。禁ヤク生活を始めてみたり、諦めてみたり。無茶苦茶カッコ悪い。それは主人公自身が一番よく知っていることです。ただ彼は運が良かった。ヤク漬けの生活から足を洗えたことも、一度は就職できたことも。ほぼ奇跡といっていい。でも今までのツケが全部払えたわけじゃない。悪友に巻き込まれて、再びかつての生活に逆戻りかけます。そして最後の主人公の決断。この後味が絶妙でした。軽やかな音楽と相まって、まず先に来るのが爽快感。散々悪友にタカられた主人公の逆襲の一手は気持ちいい。希望もあります。彼は大金を元手に真っ当な人生を目指すという。清涼飲料水の如きノド越しの結末。だのに苦いものが舌に残る。多分アイツはまたドラッグに手を出すだろうなという確信があるから。象徴的なのは、主人公が単語を羅列するところ。ドラッグの名称、不動産屋の仕事、そしてこれから彼が目指す人生について。都合3回同じような言い回しの台詞が出てきます。つまり、ヤク中の時も、就職していても、大金を手にしても、彼は何も変わっていないということ。物語の大半ヤク中だった彼の未来が明るいとは思えない。更に観客も問いかけられます。世間一般で言う“好ましい人生”を表すワードたち。それを耳にして心がザワつきます。こいつらの生活は間違いなくクソだけど、自分の生活はクソじゃないのか。価値観を揺さぶられます。ストーリーは最悪。メッセージには棘がある。でも観客を魅了する技術は相当なものだと思う。こういう映画もキライじゃありません。
[DVD(字幕)] 8点(2007-11-09 18:27:26)(良:3票)
1687.  雲のむこう、約束の場所
「平行宇宙」だとか、「神様のみる夢」だとか難しい単語は詳しく理解しなくてもOK。塔と彼女の因果関係、約束の場所が2人の青年と少女にとってどんな意味を持つのかを押さえておけば問題ないと思います。美術は相変わらず素晴らしいし、作画のクオリティは前作『ほしのこえ』より向上しています。出来としては決して悪くないと思いました。ただ、映画として好きかと問われると厳しい。気になる表現が多々ありました。吉岡秀隆の声が辛気臭い。どこかで聞いたような単語と台詞の羅列。壮大なスケールを小さな物語に閉じ込めたのはいいけど、奥行きが感じられない等々。自分の心のヒットポイントとズレていました。要するにノれないということ。俗っぽいのは好き。ベタは大歓迎なのですが、監督が得意とするセンチメンタリズムが肌に合わないみたいです。顔が大きめの少女のデザインなんか「萌え」ポイントだと思うのですが、全然心に響かない。(というか「萌え」文化が好きになれない。)自分にとっては、ストーリー以上に、作品の受け取り方が難しい作品でした。
[DVD(邦画)] 5点(2007-11-08 18:33:40)(良:1票)
1688.  幸福な食卓 《ネタバレ》 
「お父さんはお父さんを辞めようと思う。」予告編でもシンボル的に使われる、この衝撃的な台詞から物語は始まります。最初は違和感がありました。夫婦は辞められても、親子は辞められない。何言ってるんだろ?という感じ。さらに不思議だったのが家族の反応。怒るわけでも、悲しむわけでもない。かといって諦めてもいない。ただ受け入れています。その理由は後々明かされます。母の言葉が分かり易い。「父さんは父さんの立場に拘らず家族を見守り、私は家を離れたけれどみんなを愛している。」お父さんが辞めると言ったのは、一般的な父親キャラのことでした。それは長男や母親にも言えること。理想的な家族の姿では無いのかもしれません。でも居心地は悪くない。みんなが笑顔を見せることが出来ます。それで十分だと思いました。「君はみんなに守られている」と言った彼氏の言葉は正しい。誰もが支えられて生きている。見えるサポートもあれば、見えない助力もあるということ。それにしても、この家族はホントにいい人ばかり。それに真面目なのだと思う。だから追い込まれてしまうのでしょう。自己防衛の手段として、それぞれが身の振り方を考えた結果、お母さんは家を出て、お兄さんは進学ルートを離れ、お父さんはお父さんを辞めた。やがて主人公にも危機が訪れます。彼女史上、未曾有の大ピンチ。そんな時、彼女に避難場所を教えてくれたのが小林ヨシコでした。これはとっても有難いこと。他人の言葉だから素直に聞けることもあります。家族でも、恋人でも、趣味でもいい。自分の緊急避難場所を確保しておくことは重要です。それこそ生死にかかわる。いつも不機嫌そうで手先が不器用な女は、この家族にとっても救いの女神でした。ラスト、お父さんはやっぱりお父さんを続けると言います。お兄さんは真剣に彼女と向き合い、お母さんは家に戻ってきます。みんな避難場所から帰ってきました。歩く力を取り戻したら、また歩き出せばいい。主人公も前を向いて歩き出せました。もっとも、実際はこんなに上手くいかないと思います。キレイにまとめ過ぎです。でもそれは本作の優しさだと思いました。人生は長い。危機は必ずあります。そんな時、この映画はきっとヒントをくれる。
[DVD(邦画)] 8点(2007-11-07 18:28:36)(良:2票)
1689.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 
夢で再現される彼女との思い出は、ただの電子信号です。でも実際に体験した記憶。それを消去するということは、自分の人生の一部を消去することと同じ。大切なのは未来。そのためには過去を捨てよう。その理屈も分かります。実際、捨てなければ生きていられないような辛い記憶もある。未来志向は否定しません。でも未来だけが尊いとも思わない。未来と同等に過去にも価値があります。今自分が在るのは、過去の自分があるから。良い経験もあれば、そうでない経験もある。嬉しい楽しい思い出と一緒に、辛くて悲しい記憶もある。その総てで自分は出来ています。どれが大切で、どれが不要かは分からない。どの経験も大切な心のピースです。心にトゲが刺さったら痛い。最悪、それが元で死ぬこともあります。でもトゲごと包み込んで自分の血肉に換えれば大丈夫。トゲも自分の一部です。主人公と彼女は、もう一度やり直す決心をしました。再び辛い目に合うのは承知の上です。どんなにマイナスが多くても、プラスの魅力には勝てないということ。棘を恐れて薔薇を避けるのは、その美しさを知った人間には出来ないことです。だから経験は何ものにも代え難い。苦味や渋みも旨みのうち。捨てるのは、やっぱりもったいない。嬉しさ半分、苦しさ半分で上等。2人の選択に胸が熱くなるのは、人生を肯定してくれているからだと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2007-11-06 18:28:00)(良:3票)
1690.  デッドコースター
設定だけでなく、前作の流れを汲んだ正統派の続編。ショッキングシーンのえげつなさはパワーアップ。でもスッキリと見せる工夫をしているので、悪趣味ではありません。殺しのバリエーション豊富。フェイクもふんだんに取り入れられており、飽きずに観られました。生還要件が提示された部分が、前作と一番の違い。そして長所です。漠然と死の恐怖から逃げるよりも、生き残る希望があったほうが、恐怖が高まると思います。ただ難点もちらほら。死の予兆が無いトラップが散見されたこと。助かるための要件がいとも簡単に(何の根拠もなく)提示されたこと。仕掛けそのものの遊び心が弱まった点等々。それでもテンポの良さがこれら短所を目立たなくしています。概ね良好。個人的には前作よりも高評価です。
[DVD(字幕)] 7点(2007-11-05 18:19:26)(良:2票)
1691.  ミート・ザ・ペアレンツ2 《ネタバレ》 
新郎側の両親が登場して、前作より豪華さアップ。それがそのまま物語の面白さにも繋がっています。続編としては意外と少ない成功パターンかと。家族同士の軋轢は、価値観の相違に基づくもの。正しいとか間違いとかいう類のものではありません。それでもフォッカー家のほうが共感できる。というか馴染みやすい。結末はフォッカー家スタイルの完全勝利でした。爽快です。でもバーンズ家(というよりデ・ニーロスタイル)が全部悪いわけじゃない。そのあたりのフォローがあるともっと良かった。それにしてもあの子の「あ~す ほーーる」は可愛かったなあ。ちなみにうちの子(2歳)は「おっぱっぴー」ばかり言っています(苦笑)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-11-04 17:35:50)
1692.  松ヶ根乱射事件 《ネタバレ》 
代わり映えしない周りの景色。体温の上がらない日々。希望は品切れ中だけど、閉塞感は毎日バーゲン。思考の幅が狭くなり、判断力が鈍くなっていく。それはこの町に住む人々全員に共通しています。泥沼に足を踏み入れていく主人公の兄。交際中の女の娘に手を出す父。母は世間体を気にするばかり。今歩いている道を唯一の道だと信じて疑わない人々。いや、意識か無意識か可能性に目を閉じているのだと思う。もっといい道(人生)があったらたまらない。今までの生き方を否定することになってしまうから。斜め下を一心不乱に見つめ続ける。そんなふうに見えます。気が滅入るほどリアリティがある。だから笑えます。同時に寂しい。ラストに提示されるのは、現状肯定。三浦友和は現実をただ受け入れます。木村祐一は、お宝を換金するのを諦めます。ラスト、主人公は拳銃を乱射。現状に対する最後の足掻きか。でも何も変わらない。ただ、そのことを確認したかっただけなのかもしれない。元の生活を彼はまた始めるのでしょう。語り口はニュートラルなので、希望を見出せないこともない。でも個人的には、他人事と思えず、なんとも後味が悪かったです。完成度は高くセンスもある作品。でも苦い。苦すぎる。
[DVD(邦画)] 6点(2007-11-02 18:28:28)(良:1票)
1693.  トランスアメリカ 《ネタバレ》 
性同一性障害の主人公に両刀使い?の息子。この2人を「父と息子」と捉えて良いのかよく分かりません。でもよく似ています。やっぱり親子だと思う。本音を言えば、性同一性障害者が家族にいたら、自分なら頭を抱えると思う。ポルノ男優も同じ。親の立場にしてみれば、やり切れないでしょう。世間体も悪いし。主人公の母親の態度は酷いと思うけど、実際はあんなものだと思います。でも血のつながりは断ち切れない。どんなに拒絶しても、結局は徒労に終わる。肯定するしか道はありません。勘当して世間体を保つことに、何の意味もありません。諦めが肝心。とかく負のイメージが強い“諦め”という言葉。でも悪いことじゃない。この場合、違う価値観にシフトするだけのこと。父親と売春男という関係が、母親とポルノ男優に変わっても、大したことじゃない。認め合って肯定し合って生きていくことほうがずっと幸せ。設定は少々奇抜ですが、とても真っ直ぐなファミリードラマ。エピソードも豊富で、ロードムービーとしても面白かったです。それにしても、主演のお父さんが女優だと知ってお口あんぐり。完全に男優が女装をしているのだとばかり。ちんもあったし。物語よしで、演技もよし。得した気分です。
[DVD(字幕)] 8点(2007-11-01 18:26:43)
1694.  ほしのこえ
起承転結を有する物語というよりは、言葉(単語)とイメージ映像で世界を紡いでいる印象。いわば詩のような。内なる心の世界の具現化。究極の遠距離恋愛で描かれるセンチメンタリズム。その切ない世界観に共感できた人にとっては、この上なく甘美な作品だろうと推測します。一編の詩に心を奪われるのと同じ。ただしその反面、間口は狭いと思います。国民的ベストセラーになる詩集があまり無いように、ポエムというジャンル自体が市民権を得ているとは言いがたい。かくいう自分も正直苦手です。そういう意味で、そもそも一般受けし難い作品なのだと思います。“アニメーション”として評価した場合、その背景美術の美しさは特筆するに値します。文句なくすばらしい。ただ、キャラクター造形は×。単純に作画力が足りていません。技術があるのか無いのかよく分からない。最大の難点はオリジナリティが感じられないこと。何処かで見たような景色で、人を感動させるのは難しいと思います。ただ、光る要素は確かに感じます。次回作に期待したいです。
[DVD(邦画)] 5点(2007-10-31 18:27:51)(良:1票)
1695.  自虐の詩 《ネタバレ》 
中谷主演や類似設定ゆえ、『嫌われ松子の一生』との比較は避けられない本作。コメディ色が強い前半は同監督の『トリック』を、不幸話が続く中盤から終盤にかけては、確かに『松子』を彷彿とさせます。シンボルシーンのちゃぶ台返しは序盤に集中。バリエーションを付けて楽しませてくれます。阿部の顔はそれだけで“勝ち”みたいなものだし、遠藤憲一も巧い。堤節が楽しめるコメディパートは概ね上々の出来。笑いはOKです。ただし“泣き”の方はパッとしません。『松子』で培った中谷の演技をはじめ、役者陣は申し分なかっただけに、演出・脚本面での不手際が感じられます。幸江の過去の回想場面は冗長で中弛み。シリアスモードに水を差す阿部のロン毛。熊本さんとの後日談も取って付けたような。完成度という尺度で『松子』と比較するのは相当厳しい。DVDレンタルやテレビ放映等が済んだ頃の評価は、5~6点台で落ち着くと思います。でも自分は本作が好き。大好きです。エンドクレジット、海に漂う大量のクラゲを見つめながら胸に込み上げるものがありました。(※クラゲは黒沢清監督の某作と同じ比喩表現。でも物語に取り込めておらず、これまた使い方は下手です。)ラスト赤子を抱えて寄り添うイサオと幸江。「幸も不幸も関係ない」「人生には明らかに意味がある」そんな当たり前の事を言葉に出すのは恥ずかしい。でも本作のように下手な映画はそれでいい。不粋なやり方でも観客の心に届けばいい。シチュエーションで泣かされていると思います。多分に主題歌の影響もある。原作が素晴らしいのでしょう。そうだとしても構いません。冷静に映画を分析するよりも、素直に自分の心と向き合うほうがきっと幸せ。自分の人生が愛おしく思える。そんな映画はダメじゃない。下手くそだけど、いい映画だと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2007-10-30 18:33:54)(良:2票)
1696.  g@me.(2003) 《ネタバレ》 
『模倣犯』の登場で、自分の中の邦画サスペンスの株価は急落しました。その後も『レディ・ジョーカー』『千里眼』等趣味に合わない作品が続き、ハードルは下がりっぱなし。しかも本作の主演は藤木直人だという。こりゃツッコミを楽しむ作品かなと高を括っていたのですが、意外や意外面白い。1人称視点のトリッキーな物語を堪能しました。懸念された藤木についてもそんなに悪くなかった。演技は予想通りアレでしたが、犯人のキャラクターには合っていたと思います。仲間の演技は当初違和感だらけ。事の真相を知れば納得できるものの、彼女が意識的に「樹里」を演じていれば、もうワンランク上のサスペンスになったとは思います。不要なサービスカットやIZAMの演技にも疑問符がつく。オチも安っぽい。ただ、全体的にみれば十分楽しめるレベルにあると思います。出発は誘拐ゲーム。最後は恋のゲーム。原作は相当面白いのでしょう。
[DVD(邦画)] 7点(2007-10-28 20:45:38)(良:1票)
1697.  Dr.チョッパー
チョイとヤバめのイクラだったのにお腹を壊さなかったのも、飛び出してきたネコを轢かなかったのも、アルバトロス作品を観た後だったからかも。そういう意味で、役に立ちました。あ、でもtotoBIGは…ダメかな。
[DVD(字幕)] 3点(2007-10-27 00:35:46)
1698.  陽気なギャングが地球を回す
デフォルメの効いた演出に、オシャレのスパイスを振りかけて。この試みは面白いと思います。ただノリが上滑りしているような。佐藤曰く、「銀行強盗はロマン溢れるもの」。綿密な計画と大胆な行動の上に成り立つ芸術作品。佐藤の演説は時間稼ぎの手段。派手な服装は人相を分かり難くするため(その割に私服も派手だけど)。それぞれに意味があります。芸術性も感じられる。でも、ドキドキもワクワクもしません。つまりロマンが無いということ。それは緊張感が欠如しているから。軽いノリはOK。でも緊張感まで無くしたら元も子もありません。この部分の手抜かりが作品の質を下げていると感じます。キャスティグはまずまず。佐藤浩市や鈴木京香のような大人の役者を配したのは正解。更なるビックネームもこのお遊びに付き合ってくれたら、もっとオシャレだったと思います。方向性はアリ。でもデコレーションに凝る前に、まずやるべきことがあると思いました。
[DVD(邦画)] 5点(2007-10-26 19:00:12)(良:1票)
1699.  寝ずの番 《ネタバレ》 
“ウィット”や“ウエット”に富んでおり、随所でニヤリとさせられます。もちろん爆笑もある。役者陣もみな上手い。「楽しめなかった」と言えばウソになります。ただ、エピソードを積み重ねただけなので平坦な印象は拭えません。「そそ」と「かんかんのう」といった目玉を、序盤に使ってしまったので中盤がやや薄いか。それでも「歌合戦」からの畳み掛けはお見事でした。ポイントはラストの電車踊り。あの輪の中に入れたか否か。一緒に踊れた人は、本作を十分に堪能できた人。一門や、堺正章、監督と同じように内輪に入れたということです。(一緒に踊っていたけれど、蛭子能収は外の人だと思う。)残念ながら自分は内に入れなかった組。このチェックは結構厳しい。それ相当の人生経験を必要とします。年を取っているだけではダメ。もちろん、そういう経験をしているから偉いと言う訳ではありません。観ている景色が違うだけ。夕日が美しいと思う人もいれば、車のフォルムにみとれる人もいる。どの景色が美しいかは、それぞれが決めればいいと思う。ただし、監督は多分そう思っていない。(不遜な言い方で申し訳ないですが)謙虚さが感じられない。この景色が世界で一番だと信じて疑わない。「楽しめない奴はイキじゃないね」と自信満々です。主義義主張のない監督よりは100倍マシ。だけどその強い自信の前に、弱い人間は萎縮してしまう。江頭に爆笑し、ダチョウの竜ちゃんに腹を抱える自分のセンスがダメなんじゃないかと思えてくる。(いや実際ダメなんですけど。)内輪に入れて共感できた人には素晴らしく心地いい世界。ただ敷居は驚くほど高いと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2007-10-25 19:57:59)(良:1票)
1700.  パプリカ(2006) 《ネタバレ》 
夢と現実が交錯する物語の場合、その区分が曖昧になることが多い。そこから派生する幻惑・幻想・酩酊感がウリだったりもする。本作も、後半にかけて夢と現実の境が無くなっていきます。でも夢か現実か、あるいはその混合世界か、自分が何処に立っているのかは判断できます。戸惑いはあっても、迷子にはなりません。物語の骨子は明確で、物語のナビゲーションは丁寧でした。これは勿論プラスの要素。ただその反面、面白味には欠けます。夢は所詮個人の思考の産物。「一見制約が無さそうで、しっかり制約のある世界」を真面目に描きすぎたかと。この辺のさじ加減は難しい。地図とコンパスが無かったら目的地には着けないけど、保護者同伴の冒険旅行にワクワク感はありません。もう少し乱暴でも良いと思いました。点数は8点。私的には高得点です。でも「8点止まり」という感じ。凄くもったいないと思いました。ちなみにオチは世の男性に“夢”を与えるもの。あの超おデブのボクちゃんが、クールビューティーなパプリカ本体をゲットするとは!でも彼は天才でもあるしなぁ。やっぱシビアな結末なのかも。
[DVD(邦画)] 8点(2007-10-24 17:20:44)
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