1721. シャッター アイランド
観ていて「ビューティフルマインド」を思い出した。観る者は、前半と後半、まったく違う視点でこの映画を観てしまう。映画のひとつの楽しみ方だ。そういう映画を、あのマーティンスコセッシが撮ったというところが面白い。「その土曜日~」でシドニールメットがタランティーノのような映画を撮ったり、アメリカの映画監督の演出に対する向上心には感心させられる。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-10 21:04:09) |
1722. 劔岳 点の記
人物を映しては、ノッテル役者のアップで見せ、背景を映しては、美しい日本の山々を見せ、分かりやすいストーリーでまさに見せる映画。綺麗な風景には、重厚な音楽がよく合う。観ていて、何故か「炎のランナー」を思い出した。あの映画も肉体の美しさをスローモーションで見せ、音楽が実によく観ているものに染み渡った。クラッシクも悪くないが、出来れば、日本のアーティストでこの映画の景色にあう音楽を奏でる人がいて、その音楽を使っていれば、もっと良かった。 [DVD(邦画)] 6点(2010-12-10 20:53:29) |
1723. ソラニン
《ネタバレ》 完成度の高い原作の世界を壊さず、見事なキャスティングで映画化していると思う。特に加藤とビリーがピッタシだった。ラスト、原作のように橋を渡りながら「久々に俺の超絶ベースが火を吹くよ?」「だったら俺の鬼ドラムが嵐を呼ぶぜ!?」という愛すべき脇役二人のセリフを楽しみにしてたから、ちょっと残念。この映画はこの映画で「映画ソラニン」のラストになっていた。原作未読の方は是非、原作も読んでください。自分は何度、読んだか分からない!!(くらい良い!) [DVD(邦画)] 7点(2010-12-10 00:01:06) |
1724. ラブホテル
《ネタバレ》 ポルノだと思うと、がっかりします。今の映画に比べたら、控えめな演出です。もともと相米監督の長回し演出なので、カメラが人物に迫っていない為、感情移入もしづらいのです。しかし、この映画は最後、名美と元奥さんがすれ違う場面で子供や花びらの散る様子を入れたり、音楽も山口百恵の曲を流したり、昭和のイメージが盛りだくさんです。平成生まれには創る事ができない作品じゃないでしょうか?しかし、映画の冒頭、昔の金貸しってのは、こんなこともするのかとぞ~としました。あれじゃ、主人公がおかしくなるのも無理はない。恐い映画です。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-12-06 08:08:11) |
1725. 死んでもいい(1992)
《ネタバレ》 和製「郵便配達は二度ベルをならさない」といったとこでしょうか。高校球児のような永瀬くんがこんな過激な役を演じているとは驚きです。大竹しのぶの落ち着きのない目も、二人の男が争う時、どうしていいか分からなくなってしまうのに、大いに役立っています。劇中では32歳ってことになっていましたが、私生活ではこの頃、いろんな男性と付き合っていたようで、今はようやく落ち着いた役も演じられるようになりました。良かったですねぇ。しかし、永瀬くん、あの前半のシーンでのアレは大竹しのぶが体を開いてくれたから良かったけど、完全に犯罪ですよ。まぁ何にせよ、ラブシーンは良かったです。この映画、それがなかったら、心の荒む映画になったと思います。キネ旬でも好評価の作品ですが、自分にはこの点数が精一杯です。 [ビデオ(邦画)] 6点(2010-12-06 07:56:24) |
1726. チャイナ・ムーン
《ネタバレ》 某レンタル屋で紹介された一品。警察の人間が犯人の女性に手を貸して、あたふたするという話は結構ありますが(ケビンコスナーの「追いつめられて」とか)、同僚の罠に、はまっていたという展開は意外だった。確かにデルトロは警察側の人間としては怪しすぎるし、ちょい役には存在感ありすぎる。終わってみれば、出来る公務員役にはエドハリスはハマリ役で、その真面目さ故に利用され、しかし男としての魅力もあるので、最後に女性もエドの方を愛するようになっていたという展開に彼はピッタシ。中年の頃のハリソンフォードなんかもこういう役、向いているんじゃないでしょうか?でもハリソンなら最後まで生き残るでしょう。そしてもうちょっとユーモアがあったと思います。エドハリス可哀そう。政治家役なんかも向いてそうですね。彼主演のハッピーエンドがもっと欲しい。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-05 23:05:12) |
1727. アウトレイジ(2010)
たけしの映画はセンスがある。それを楽しみに観た。他に何も期待せずに観たので、充分楽しめた。でも非道いシーンを撮りまくって、満足したら、タランティーノのように「キルビル」の後に「イングロリアバスターズ」のような本当に面白い作品を撮ったりするように、バイオレンス以外にも挑戦して欲しい。「ゴッドファーザー」のラストのようなシーンだけで映画一本撮ってしまうことが許される、日本では数少ない映画監督と思うので、バイオレンスは隠し味で、戦争ものとか刑事モノでも撮ってくれるといいなぁと思う。 [DVD(邦画)] 6点(2010-12-03 16:26:17) |
1728. 絞殺魔
《ネタバレ》 創作当時はセンセーショナルだったかも。ゼロ年代に必要なのはこういう二重人格の人がどういう過程を経て、まともになっていくか?そういう映画だと思う。この映画では犯人がなぜ突然、こんな症状を持つに至ったかを描けていれば、もっと面白かったのでは?率直な感想は、最近観たウィリアムワイラーの「コレクター」のように、この頃のミステリーって昼間の犯行が多く、カメラも人物から離れているので、そんなに怖くない。なじみの俳優が追いつめられるとか、悪人はとことん常識はずれとか、そういう展開じゃないから。これはミステリーの古典なんでしょうね。この頃の映画から、客をどう怖がらせるか?という方向に演出が進化していくんでしょう。それでも最初の犯人探しの段階で、一体犯人はどんな人なんだろう?と思わせるとこはフュンチャーの「セブン」を思わせた。超能力まで使ったりして、捜査をたっぷり見せて、1時間もたって、やっと真犯人が出てくるとこは、昔の映画だけど逆に新鮮だった。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-02 18:49:17) |
1729. フリーダム・ライターズ
生まれた時から貧困や差別で、生きていく事に夢や目標を求められない生徒たちが徐々に心を開いていく様子は、正直ウルッとした。ヒラリースワンクも素敵だった。結局、彼らも大変な人生を送っているが、戦争中、もっと悲惨な状況で生きてきた人生の先輩に直接触れたというのが、良い経験になったのでしょうね。教室が「家族」になっていった彼らはこの頃の仲間が親友として、社会に巣立っていくのでしょう。こういう「家族」が出来ていく映画って面白いと思う。いつまでも残って帰ろうとしない場があるなんて素敵だ。今の日本でこういう場を求めるとしたら、どこになるのだろうか?受験地獄の学校、競争社会の会社、そして離婚の多い家族。案外、テレビの「しゃべり場」や、魅力ある歌手のコンサート、そしてネットなどがその代わりになるのかもしれない。実話ってことは、こういう先生がいて、3年4年まで引き続き、その先生が教えると言う決断をした教育現場の判断が実際あったってことだ。そういうところは日本にいて、羨ましく思う。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-02 14:17:59) |
1730. ウエスタン
こんな作品があると、マカロニウエスタンの方が面白いのでは?なんて思っちゃう。ヘンリーフォンダも「荒野の決闘」より、こちらの役の方がはまってる。オープニングの緊張感から、もうこれは期待できると確信した。本場の西部劇は開拓の苦労もあるので、どうしても無からつくりだす苦労や移動する時の苦労、実際てこずったであろう先住民たちとの闘いがメインになるのかもしれない。「男」の生き様をメインに描こうと思ったら、設定だけ借りて、ヨーロッパなどのよその地域の方がかえって創りやすいのかもしれない。この映画のような「間」は、日本の時代劇の武士にもみられる一瞬の勝負にすべてをかける緊張感から生まれるのだろう。探してみると、日本の時代劇の設定だけ借りて、他の国が創っているってこともあったかもしれないですね。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-02 13:55:38) |
1731. 狼よさらば
《ネタバレ》 これもニューシネマに属するのだろうか?今でこそ定着した復讐モノの、ハシリのような映画なのだと思う。でも何故かニューシネマ関連の本を見ても、この映画は取り上げられていない。ラストの政治絡みで主人公がニューヨークから出て行くラストもひねりが効いていて「ハッピーエンド?」って感じで面白いのに。不思議だ。有名な映画だったので、ストーリーはある程度知っていた。最初の幸福な家庭を描いている場面で、これが壊されるのかと思うと、怖かった。実際、壊される場面は酷い。この後、主人公がポーカーフェイスすぎて、普通の生活をするのがはがゆかった。もっと無茶苦茶に暴れてもらった方がすっきりするのに。犯人が分からないので、街のチンピラをすべて敵とみなして、それ故に「アマチュア刑事」として、市民から人気が出る演出はもっと派手にやってくれても良かった。何せ、この映画は盛り上がりに欠けている。ブロンソンのクール過ぎる演技に煮えきれぬものを感じたのが正直な感想。(レビュー読んでて知ったのですが、この映画シリーズもんなんですね。主人公の怒りに火がついた程度で第1作目は良かったのかもしれない。)チンピラにゴールドブラムに似てるのがいるなぁと思ってたら、本人だったのは驚きだ。彼のあのギョロッとした目はやはり中々いるもんじゃないなぁ。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-23 23:39:43) |
1732. 女はみんな生きている
男対女の全面戦争。男の武器は暴力と麻薬。女の武器はセックスと知恵。かくしてハイテンポな展開で話は進む。女性を世話してくれて当たり前、いてくれて当たり前、とか思っている男性にはぞ~っとする話だったんじゃないでしょうか?結局、勝敗は金をもつのはどっち?というところにあるのがちょっと不満。最後は「愛」で仲直りとなって欲しかったですが、まずは長年、従属させられた女の恨みをはらす時間が必要なようです。だから、この話は女の勝ち!ってことになりますが、男の自分にはちょっと面白くなかったですね。最後まで退屈しないし、面白かったですが、評価は1点マイナス。でも男って恋におちると無様ですよね。よ~く分かります。でも女の方もしばらく会わないとかするテクニックを振り回すのは勘弁して欲しい。恐れず、双方、愛し合おうじゃないですか!と思ってしまいました。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-23 19:35:39) |
1733. 愛が微笑む時
《ネタバレ》 シナリオがよく練れてると思った。4人の生きてる人生へのけじめのつけ方が、実に映画センスがあると思った。特に警官のビリーのシーンには、ほろりと来た。100分くらいの短い映画だけど、実にきちんと無駄なくまとまっていたと思う。そしてアメリカ人の死への考え方がよく現れている。こういう「爽やかな」映画は日本の感性では撮れないだろうなぁ。でも自分は嫌いじゃない。アメリカのたくさんの人種の集まった世界で、きちんと生きようとすれば、こういう世界観になるだろうなとしみじみ思った。でも途中、さまよい続けた彼らが生前、果たせなかった無念さをはらせると分かった時の喜びのシーンで「まさか、これミュージカル?」と一瞬不安になりましたよ。アクセントくらいで止めてくれたのでほっとした。自分、ミュージカルはちょっと苦手なんですよね。それからロバートダウニー以外、みんなよく知らない俳優だけど、演技力ありますよね。ゴーストの彼らがウロウロしているのに、それを見えない演技って難しいんじゃないかな? [DVD(字幕)] 7点(2010-11-23 16:45:09) |
1734. カレンダー・ガールズ
高齢社会向けのドラマ。こういうシルバー映画は歓迎。面白ければ、もっと歓迎。これはディズニーだから、安心して観られる。ディズニーの撮るヒューマンな実写映画は良いのが多いと思う。品がある。この映画もそう。もし大衆のいやらしさを描こうとすれば、出来ただろうが、これは粉石けんのCM業界やモデルとなったおばちゃんの旦那がセックスレスというゴシップ記事にそれがちらっとうかがえたぐらいで、そもそもそういう狙いの映画ではないので、これで良いと思う。イギリスの自然のきれいな農村での、品のあるおばちゃんたちの、奮闘記なのだから。確かに女性の裸は癒しになるし、絵にもなる。それにしても教会で歌う、あの曲。「炎のランナー」でも印象に残ったけど、良い曲ですねぇ。 [DVD(字幕)] 7点(2010-11-23 16:18:40) |
1735. 陽はまた昇る(2002)
NHKのドキュメンタリーは面白い。やはり、功績を成し遂げた人物の実際の顔を見ると、映画にはできない何かが伝わってくると思っていた。だから、この映画も期待してなかった。でも観たら、これが面白い!映画の可能性を見直した。俳優の熱意みたいのが物語を引っ張り、2時間チョイの映画体験で、社会の「理想」みたいのが感じられる。元気づけられる。これはドキュメンタリーでは難しいのではないか?西田敏行の演技も良かった。浜ちゃんのイメージが強いので、ちょっと心配したが、彼はやはり俳優だった。そして、松下幸之助をだれが演るんだ?って思ってたら、おお~というキャスティング。その存在感を見事に演じていた。感動した。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-11-16 12:08:44) |
1736. 集団左遷
柴田恭平の行動はスカッとする。辛い現実をバッサリと斬ってくれるような映画は大歓迎。左遷組の行動はドタバタタッチで描かれてましたが、平成版赤穂浪士と思えるような一本筋の入った作品でした。この映画から15年くらい。今や当たり前のようにリストラの行われる日々。他人事と思って観ていた人も色んな人生をたどっているでしょう。(自分もですが・・)それなのに、この映画は今でも充分面白い。でもリストラされる方も年収1千万とか退職金3千万とか、今では想像できないくらい破格の金額。これでは企業はもたないはずだ。今だったら、正社員から派遣社員にさせられて、低賃金で同じような仕事をやらされるんだろう。そして派遣切り。映画の素材になるようなネタは転がっているのに、こんな起死回生な痛快映画は見受けられませんね。是非、今でこそ、このような映画を観てみたい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-11-15 14:54:16) |
1737. ひとひらの雪
根岸監督、この頃は離婚を扱った作品を撮ってますよね。それから2010年の今、「ヴィヨンの妻」「透光の樹」で強い愛を描くようになりました。はかない愛から強い愛へ。監督自身、この長い間で色々経験されたんでしょうね。この映画では男に都合のいい愛を描いてて、主人公は結局一人になっちゃう。身勝手だもん。しょうがないよね。そんな役を演じている津川さん、実に役にマッチしてました。映画的に成功してるんじゃないでしょうか?秋吉久美子は「透光の樹」でも惜しげもなく絡みを演じてましたが、この作品「ひとひらの雪」があって、その「透光の樹」につながっている感じがしました。昭和の「愛」ははかなく、平成の「愛」は強いのだ!と何となく、勝手にうなずいた次第です。 [ビデオ(邦画)] 5点(2010-11-13 04:15:14) |
1738. ゼロの焦点(1961)
犬童監督の「ゼロの焦点」を先に観て、ストーリーを知っていた為、映画への集中力が続かず、作品にのめりこめなかったです。謎解きの部分が説明っぽくて、個人的には犬童作品の方が映画的に良く整理できていたんじゃないかと思ったのですが・・・白黒は苦手だ。ただ野村芳太郎作品のこちらの方が登場人物(特に犯人)が「モンスター」ではなかったですね。ドラマチックではないですけど、その点は良い意味で評価できるんじゃないかと思います。白黒に慣れてる人だったら、自分にもありうる展開と思えて、感情移入できたんじゃないか?と思うのです。 [ビデオ(邦画)] 6点(2010-11-10 22:34:24) |
1739. あこがれ美しく燃え
《ネタバレ》 全然「美しく燃え」てない!ドロドロですやん。タイトルは直訳の「ラブレッスン」でいいんじゃないですか?この「あこがれ美しく~」のタイトルに惹かれ、ビデオのパッケージの写真を見て、妄想がふくらんで観てしまったが、ただただ女性の臨時教員のいやらしさが描かれていた映画だった。ま、自分もある程度、それを観たさに観てしまったのはあるんですけど・・・戦争で廃人になってしまった夫に満たされず、性に目覚めた少年に溺れていく女教員。最初はウハウハだった少年も同年代の女の子の瑞々しさに触れて、徐々に女教員にげんなりしていく。この少年、羨ましいような、気の毒のような。「青い体験」のようにあり得ない展開じゃなかったので良かったが、もうちょっとHな場面があれば、もっと良かった。でも、この作品の主人公は監督の息子らしいので教育上、あまり過激なシーンは撮れなかったのかもしれないっすね。 [ビデオ(字幕)] 5点(2010-11-08 08:52:05) |
1740. パララックス・ビュー
《ネタバレ》 「大統領の陰謀」のアランJパクラらしく、静かなサスペンスである。物語は常に主人公の視点から語られ、組織の恐さがヒタヒタと伝わる。しかし、編集長が殺されてからの、主人公の心情がどうなるのかが描いてないので、あれ?とここで観ている者は取り残される。復讐?好奇心?正義感?最後の議員暗殺の場面は何のために主人公が動いているのかが分からない。だから主人公が殺されて、恐らく彼のせいにされるんだろうけど、そこが映画を観てて、主人公の無鉄砲さだけが印象に残り、「バカだなぁ」と思ってしまう。特に入り口に向けて走っていくラスト。誰かいるに決まっているよ!大体、あんな恐ろしい組織に単身乗り込むなんて無茶だよ。でも当時はそんな映画がなかったから、斬新だったかもね。ただ、殺しではなく、病死や単なる事故死にみせる暗殺集団のやり方に平和に見せかけてる今でも実はこのような暗殺が行われているのじゃないか?と思ったね。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-06 19:57:32) |