1741. エクスクロス 魔境伝説
真面目に観たらバカを見る。あれだけ携帯を使いまくっていながら、110番に掛けないところが面白い。少なくともこのひと月の間なら、いちばん笑わしてくれた映画だ。ホントに笑える。エンディングの物部氏のオチはある意味斬新! [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-03-14 01:24:56) |
1742. 丑三つの村
《ネタバレ》 山間の村で秀才として持てはやされて、多少いい気になっていた主人公の境遇が、徴兵検査で結核と診断されたことを境に180度転換する。周囲の評価が一変し、役立たず呼ばわりされる。夜這い相手の女性たちからも煙たがられる。自尊心が邪魔をして、事あるごとに村の慣習に抵触して行く。思い通りにならない肉体への焦燥や、やりたい放題だった夜這いがままならない性的不満、その夜這い相手からも馬鹿にされる屈辱などと並行して、いわゆる村社会に於いて主人公が居場所を失ってゆく過程がじわじわと描写されて行く。未来にも絶望した主人公は、彼を蔑ろにした村人を標的に、村を戦場に見立てて出撃して行きます。彼自身も含めた村全体の破壊で閉塞状況を精算しようとした主人公の選択はまさしく狂気です。しかし、村社会が持つ因習への反発や、鬱々としたエネルギーの放出という意味で、当時の自分は主人公の行動に激しく共感してしまった。その共感深度の10点です。性描写と暴力表現が突出しているのでそこに目が行きがちですが、自分にとっては鮮烈な青春映画でした。ちなみに、何名かの方が勘違いされていますが、この映画は成人指定を受けています。性描写ではなく凄惨な殺人シーンが引っかかったと記憶しています。古尾谷さんが亡くなられたときは、この映画のラストシーンが目に浮かびました。 [映画館(邦画)] 10点(2009-03-13 13:26:39)(笑:1票) (良:4票) |
1743. エントラップメント
これは日本語に訳すと、高倉健と沢尻エリカのロマンス? 違うか…。津川雅彦と上戸彩とか? あまり書くことがないもので、すみません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-03-13 11:57:34) |
1744. 名もなく貧しく美しく
《ネタバレ》 ここのレビュー数は多くないけれど、傑作という部類に入る映画だと思います。 日本が最も貧しかった時代に、聾唖者というハンディを負って生きた人たちのお話です。もちろんバリアフリーなんて意識はなく、周囲には差別が蔓延し、不幸や災難が続きます。主人公の夫婦はその苦しい生活の中でも、小さな喜びをかみしめ、一歩ずつ心を充足させ、それを糧に生きて行きます。生きることの意味、幸せの意味を強烈に問いかけられます。 感覚機能が欠損していることは、確かにコミュニケーション能力を低下させる。だけど、この夫婦と周囲の人たちの繋がりはかえって強まっているように思えました。それは、外からの情報が制限された内的世界で、意識を拡散させずに相手のことを一途に想い続けた結果なのだと思います。健常者には真似ができないレベルの必死さや思いやりが産んだ特別な力と言ってもいい。コミュニケーションの本質とは相互理解の行為以前に、相手のことを強く想う姿勢であると諭された気分です。 自分が負ったハンディには負けなかった高峰秀子も交通事故であっけなくこの世を去りました。子育てが一段落して、これからという時だっただけに、残念でなりません。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2009-03-13 03:07:17) |
1745. アメリカン・ギャングスター
《ネタバレ》 普通に面白い映画でした。突っ込みどころもほとんどない。良くまとまっている。その分、強く感じ入る部分が無かった映画とも言えますね。まぁ、汚職をするNYの特別捜査官が一番憎らしい奴だったので、すっきりはした。出来れば自殺させずに逮捕して欲しかったけど。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-03-13 02:44:14) |
1746. 青い山脈(1963)
《ネタバレ》 よく聞くタイトルだけど、観たことがなかった。収穫は芦川いづみです。吉永小百合よりも、教師役の彼女の方が光っていました、というか周囲の女優たちとは違ったオーラを放っていましたね。この映画のなかでは一人だけ群を抜いてモダンな印象でした。決して役柄だけでそう見えていた訳ではないと思います。内容の方は、まぁ公開から50年近く経っているので当たり前だけど、古い。民主的だとか、プライバシーだとか、同じ言葉ではあっても使われる状況や意味合いが今とはちょっと違っていましたね。どーでも良いようなことに町ぐるみで大騒ぎしている感じで、コメディに見えました。コメディなんですよね? 原節子のオリジナルの方が評判が良いみたいで、今度観て見ます。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2009-03-13 02:28:04) |
1747. あしたのジョー2
《ネタバレ》 そう、この作品は当時同名のTVシリーズが放送されている最中に公開され、前半は再編集、後半はオリジナルという体裁を取った。おそらく、矢吹丈の生死に関して物議を醸していたラストシーンをTVシリーズより先に劇場で見せることにプロモーション的な意味があったのだろう。 そのラストシーンは、ゴロマキ権藤が帽子を取るカットを見て明快な回答がなされたと解釈した記憶があります。 映画自体は再編集の悪い部分がかなり出ていて、原作に親しんだ人ほど残念に思う作りになっています。未見の方には、自分はテレビシリーズの「あしたのジョー2」を強くオススメしたいです。原作に無かったエピソードが追加されたり、理屈が通らなかった部分を当時の時代に合わせて整合し直したりと、本作のエッセンスを損なわずに筋の通った流れに再構築されています。 この物語のテーマはカーロス戦後に丈が紀子と交わした会話に有ります。↓で【コナンが一番】さんが詳述していただいている台詞です。自分も、特に方向性の定まらない焦燥感に駆られた高校生時代などは、白い灰に燃え尽きるジョーの青春に強い憧れを覚えました。打ち込めることがあるか。そして、そこに全霊を注ぎ切れるか、ということです。でも、年齢とともに視点が微妙に変わってきたことも確かです。残された段平や葉子、西や紀子、ドヤ街の子供たちのことを考えると、白い灰になるまで燃え尽きることを手放しに肯定できなくなった自分がいます。矢吹丈は結局、自分本位に生きただけの奴だったのか? 答は出ていません。自分がいい歳のオヤジになっただけかも知れない。ともあれ、ある時期、矢吹丈の生き方が自分のある部分を支えていたのは紛れもない事実です。そして、今の若い世代が、白い灰になるまで何かに打ち込みたいなんて言ったら、私は手放しで応援してあげたい。 点数はこの再編集映画に対しての評価です。原作やTVシリーズが対象なら、迷わず10点を付けます。 [映画館(邦画)] 5点(2009-03-12 03:51:43)(良:1票) |
1748. あしたのジョー(1980)
原作やTVシリーズを知る人なら、かなり端折られた印象を覚える力石戦までの再編集もの。でも、そこそこ観られるのは主人公・矢吹丈の魅力に尽きる。何かに束縛されることに強烈な拒否反応を示し、そこから自由を勝ち取るためには、法律を犯すし他者を傷つけることも厭わない。自分にとって純粋と思えるもの(例えばドヤ街の子供たちからの親愛)は素直に受け入れ大切にするが、欺瞞を感じたこと(例えば白木葉子の少年院慰問など)は徹底的に否定する。特に抑圧された状態をリカバーする際に発するエネルギーが凄まじい。ボクシングにのめり込むきっかけも「力石」という抑圧からの解放だったと思える。この主人公の不敵で暴力的でナイーブである種の愛嬌もあるキャラクターが、連載当時からもの凄いパワーを放出していたし、それはこの再編集映画からも感じ取れる。ウルフ金串とのクロスカウンターの打ち合いには子供の頃の熱狂が皮膚感覚として蘇った。今作で描いていない部分なので詳述はしないけど、力石戦後に矢吹丈は変わって行きます。そこで初めて「あしたのジョー」は一人の青年の人生を描き切り、いわゆるスポコン漫画&アニメの金字塔として輝きを放ったと思っています。最終的に肯定できる生き方だったかどうかは別にして、私も間違いなく大きな影響を受けた一人。5点はあくまで再編集ものへの評価です。 [地上波(邦画)] 5点(2009-03-11 12:24:43) |
1749. マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
かなり退屈でした。お話にこれっぽっちもリアリティを感じなかったために、結果として共感する箇所が皆無でした。架空の設定でも、キャラクターの感情や人間関係にはもっとシビアな視線が欲しいです。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-03-08 00:33:08) |
1750. あの頃ペニー・レインと
かわいい子には旅をさせろ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-08 00:30:38) |
1751. 全然大丈夫
楽しかったです。でも、自問してしまった。どこにも繋がって行かない細切れエピソードのどこが楽しかったのか…。たぶん、すべてのシーンにしっかりと感情を絡ませているからだと思う。派手さは無いんだけど、微妙な喜怒哀楽がちゃんと演出されているので、見ていて飽きないのでしょう。かなりしっかり計算されてるってことですね。ご大層に構えている割に、何が言いたいのか伝わってこない映画より全然大丈夫です。そして、この映画の中の彼らは不器用でもバカやってても、全然大丈夫って思いました。みんなちゃんと生きてますよ。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-03-07 23:51:40) |
1752. スター・ウォーズ/ジェダイの復讐
《ネタバレ》 前作で突き抜けたと思われたスペースファンタジーは再び凡作に戻る。自分は「帝国の逆襲」のダークでシビアな世界観の続編を期待していたのだけど、予定調和的なストーリーに終始して、なにひとつ驚きがなかった。もちろん、特撮は当時の最先端を行っていたけど、ストーリーがぬるいと台無しになる。あの森の惑星で小熊(イゥオークだっけ?)の着ぐるみが大挙して戦争ごっこをするシーンがもの凄く幼稚で、主人公が手首を切り落とされた前作と同じシリーズとは思えなかった。森の惑星に関して言うと、ハン・ソロたちの戦いも戦争ごっこに見えた。もうひとつ。ルークが妹の存在に気付くシーンがいやにあっさりしていて拍子抜けしました。後のエピソードⅢでアナキンがダークサイドに翻るときもあっさりだった。このシリーズは重大なことが起伏無く流れることが多い。唯一の例外は「帝国の逆襲」の父親の告白。全部あれくらい衝撃的に演出して欲しかったですね。余談ネタだけど、これ以外に代表作がないマーク・ハミルとキャリー・フィッシャーは、言われてみれば顔つきは似ている。きっとそれがキャスティング理由だ。 [映画館(字幕)] 5点(2009-03-05 03:19:53)(良:2票) |
1753. スター・ウォーズ/帝国の逆襲
《ネタバレ》 この作品にはやれらた。あのどうでもいいような第一作(エピソードⅣ)の続編がこれか、という思いだった。それだけ、一気に登場人物の厚みと世界観が広がったように思う。予算が増えたことも一目瞭然。そして、予算さえあればどんなことが出来るのかを分かり易く見せてくれた。見どころはたくさんあったけど、自分はこの映画の主人公をミレニアム・ファルコン号だと思っている。円盤型飛行体の飛び方の概念を覆すアイデアと、その運動性をリアルに見せた特撮表現(そう、CGではなく特撮!)は当時の技術の中では群を抜いて圧倒的でした。操縦者がチョイ悪っていうのもカッコいい。そして、ベイダーの重々しさと非道が際立っていて、前作に比べて随分と出世したものだと思っていたら、父親だったとは…。これはホントに衝撃でした。ルークの手首が切り落とされた瞬間に映画館の気温が5度くらい下がった気がしたけど、あの告白の瞬間にさらに5度くらい下がった。初作を能天気なスペースファンタジーと思っていた自分は、その続編とは思えないシビアな変貌ぶりに痺れました。エンディングには確かに納得しないものが残り、ひとつの映画として正しい方向性なのかということを真剣に考えた作品でもあった。ともあれ、自分をこのシリーズのファンにさせた記念碑的な作品。 [映画館(字幕)] 9点(2009-03-05 02:53:31)(良:2票) |
1754. スター・ウォーズ
公開時は中学生でした。その時の感想は、正直どうってことなかったです。米国での大ヒットをメディアが大々的に取り上げ、騒ぎ過ぎている印象でした。オープニングだけが凝っているキワモノ的なイメージもあった。ただ、ところどころに何?と云う引っ掛かりもあった。ベイダーとオビ・ワンの対決シーンでベイダーが「I've been waiting for you,obi-wan(この時を待っていたぞ、オビ・ワン)」などと30年後のエピソードⅢで初めて真意が分かるようなことを言ったり、ジャバとか皇帝って奴がいるらしいけど姿を現さなかったり、主人公にやられるのがセオリーと思えるベイダーが生き残ったり…。これらは、後のエピソードで繋がったときに初めて意味を成しました。そして、その繋がりこそが、この映画の楽しみ方のように後々は思うようなりました。なので、自分の中でこのシリーズがブレークしたのは「帝国の逆襲」からです。 ちなみに自分はこの作品をSFとは思いません。どこにも、サイエンスは無いですよ。これはファンタジーというジャンルの映画だと思います。 以下は余談の思い出話。大学時代に高名な写真家のO氏(故人)と映画の話をする機会があった。1980年代の前半のこと。「お好きな映画は何ですか?」「スター・ウォーズ」「(意外…)どこが良かったんですか?」「砂漠にいる奴のキャタピラーが付いたランドクルーザーの汚れ具合」「…細かいところを観てらっしゃるんですね」「写真家ですから」「!」。この会話は自分には結構衝撃的で「表現」について考える契機を与えてくれました。 [映画館(字幕)] 6点(2009-03-05 02:35:53)(良:1票) |
1755. デッド・サイレンス(2007)
《ネタバレ》 このところまがい物のホラーをたくさん観たせいもあるけど、これは正統なホラーという認識です。そこそこ怖かったです。人形って現実世界でもシチュエーションと照明の関係でとっても怖く見えることがあるけれど、その特性をよく活かしてました。アホな刑事も使いよう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-05 02:11:52) |
1756. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
《ネタバレ》 ダークだけどカラフル、というこの監督独特の絵作りは健在でした。磨きが掛かったといっても良い。それと、パイ屋の女主人が面白い。トッドが最初に殺した理髪師が悪い奴だと聞いただけであっさり殺人を容認したり、子供は大切にするけれど、死体はミンチにしてパイの材料にしたりと、なかなか奇天烈なお姉さんだった。でも、見どころはそれだけかな。元々はブロードウェイのヒット作ってことで、そのままミュージカルにしたようだけど、1日経ったらミュージカルだったことを忘れてました。それほど歌うことに必然を感じなかったし印象に残っていない。普通に台詞を喋っているシーンのなんと見易かったことか。血塗れの復讐を果たした末に自らも罰を受けるという流れはありきたりで面白みなし。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-03-05 01:56:20) |
1757. 少林少女
《ネタバレ》 これは酷いなぁ。「少林サッカー」と「死亡遊戯」をネタにしたような内容で、かといって何ひとつまともに描けていない。ダークサイドネタということで「スター・ウォーズ」も入ってたかな。柴咲さん、君はかなり練習したんだと思うよ。役者たちには申し訳ないが、志が感じられない制作サイドにはこの点数が妥当。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2009-03-05 01:51:08) |
1758. 黄泉がえり
《ネタバレ》 生き返った人たちが概して大人しく、特に何をする訳でもなかったので、生き返ることの意味合いが曖昧になったと思います。そして、曖昧なまま、また消えて行った印象です。取り巻きの喜怒哀楽より、生き返った人たちにもっと迫って欲しかった。 腹が立ったシーンがひとつ。生き返った子供が翌日の夕方に消えると報告に来たとき、草彅クンは少年の状況を気遣わずに自分の想いだけをぶちまけてました。しかも「よみがえって欲しくない人がいる」なんてことまで言ってた。生き返った子供の前で言う言葉か! 酷いシナリオだと思う。草彅クンの下手さ加減や長ったらしいコンサートシーンは言うに及ばす。 料理の仕方によってもっと良くなる設定を台無しにした、ということでこの点数。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2009-03-05 01:44:29) |
1759. モンゴル
チンギスが出世して行く過程を描いた映画かと思ったら、もっと内面に比重を置いていました。部族の後継争いの渦中で幼少から監禁と逃亡を繰り返したが、苦しい状況でも意思を曲げなかった。かなり頑固で辛抱強い奴です。子供の頃に選んだ嫁さんを何年も忘れずにちゃんと迎えに行く。とても律儀で一途な奴です。監禁されている間に嫁さんが他の男との間に作った子供をあっさり自分の子供として受け入れます。度量が大きく胆力も備わってます。でもチンギスの軍勢が大きくなって行くところは思いっきり端折られていて、その過程が見えないと実像に迫れなかった印象です。チンギス・ハーンの認識は歴史の教科書よりも進歩したし、モンゴル民族の習慣が垣間見られたことには意義がありましたが…。それにしても、良い嫁の条件が、顔が平べったくで目が細くて足が強い(太い?)女性って、モンゴルの男たちは可哀想かも。浅野忠信のモンゴル人は、モンゴルの人の目にはどのように映ったのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-24 04:01:16) |
1760. バッテリー
自分は学生時代に陸上競技をやってた為に走ることには少しうるさいんですが、この主人公、ランニングフォームが綺麗です。足腰にいいバネがあって、それだけで運動神経の良さが伺えます。スポーツを扱った映画なのに役者の運動適性を無視した作品が多い中、この映画は及第点ですね。自分は現在、趣味でテニスをやってますが、同じ球技でも野球との決定的な違いに思い至りました。野球には「キャッチ」があるんですね。特にバッテリーはその繰り返し。ちょっと青臭いことを言いますが、投げた者の想いもボールと一緒に受け止めることができるのが野球の良さなのだと、この映画を観ていて思いました。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-02-24 03:47:01) |