1761. ザ・シークレット・サービス
《ネタバレ》 捜査をがんばるおじいちゃん。護衛をがんばるおじいちゃん。走って走って、とにかく走ってがんばるおじいちゃん。 でも恋愛はがんばらなくていい。本当にがんばらないで。いや、まじで。 ピアノ弾いて口説くな。なんか自信満々のくさい台詞はくな。 そんで、相手の女性も本気になるな。何が「もう間違えたくないから。」だ。 そういう問題じゃない。 本編のストーリーも、空しく殺されちゃった相棒も、マルコヴィッチ演じるミッチ・リアリーも、みんなみんな良かっただけに、少々もったいない感じのする作品でした。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-24 05:04:24) |
1762. 沈黙の戦艦
《ネタバレ》 前半は次から次へと魅力あるテロリストが出てくるので期待全開。 そしてセガールさんが本気を出せば出すほど、テロリストの魅力がどんどんなくなっていくので不思議です。セガールさんと比べちゃうと、みんな普通の人になってしまうのが残念ですね。でもそれがセガールさんの一番の魅力なのでどうしようもない。つまりこの人の映画において傑作なんてのはありえないんでしょう。 ただ、誰が見ても普通に楽しめるエンターテイメントとしては、いつも期待通りのものを提供してくれます。この作品もしかり。 悪いやつがとことん悪く、観ている人のフラストレーションをセガールさんが代わりに解消してくれるいつもの手法。悪くないと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-06-24 04:25:25) |
1763. Love Letter(1995)
《ネタバレ》 「Love Letter」というひとつのテーマにそって、さりげない伏線をさりげなく回収し続ける手法は、美しすぎる映像とあいまってこの作品をひとつの芸術にまで高めているような気がします。 この作品では、ラブレターはさまざまな様式をとっているんですね。それは文面であり、声であり、図書カードでした。 どんな姿であっても、大切な気持ちを大切な人へ届けるとき、それはすべてラブレターであるというわかりやすいメッセージがとても心地よく胸に響きます。 山で声に出して亡き恋人へ送る「お元気ですか。私は元気です。」の形なき手紙も、少年樹が少女樹へ宛てた図書カードも、それはそれは素晴らしいラブレターでした。 不器用でシャイだった少年樹にとって、好きな人に想いを伝えるなんてことは並大抵の気持ちではできないでしょう。あの図書カードを渡すのがきっと精一杯だったんでしょうね。ですが、残念ながら、その裏の絵を少女樹に見てもらうことはできなかった。そこでいったんは途切れてしまったはずのラブレターが、なんと渡辺博子からの天国にいる樹へ宛てた手紙によって、ついに大人になった少女樹のもとへ届いてしまうというラストは最早奇跡。 現実世界ではまず起こりえないような感動的なエピソードを創ってしまえちゃうってのは、映画の大きな魅力ですよね。 [DVD(字幕)] 8点(2013-06-23 15:02:15)(良:3票) |
1764. 水滸伝(1993)
《ネタバレ》 ものすごく切なくて、ありえないほど強い。(ごめんなさい、なんかの映画のタイトルぱくっちゃいました。) そんなキャッチコピーが似合いそうな名作。 リンチョン、リンチョンの奥さん、ロー、ツォ、の前半のやりとりが暖かく、面白く、相対的に後半の悲劇がよりいっそうひきたてられています。 あまりに悲劇悲劇しているために、いつまでも信念を貫き通そうとするリンチョンに苛立ちを覚えるほどでした。 ツォが殺され、自分をかばってくれた大臣も殺され、ロケンに奥さんも殺されたのだから、個人的にはもっと怒りをあらわにしてほしかったです。そのほうが共感できたし、ラストのアクションにもっとカタルシスを感じることができた気がします。 ストーリーもアクションも申し分なかったのですが、やはり奥さんとツォには生きていてほしかったな(泣) [DVD(字幕)] 7点(2013-06-23 12:26:49) |
1765. フィアレス
《ネタバレ》 もしかすると、この解釈は間違っているのかもしれないですけど・・・ マックス(ジェフ・ブリッジス)は、飛行機が嫌いだったという一言エピソードからもわかるように、きっと極度の怖がりだったのです。人一倍死や恐怖というものに対して敏感だったのではないでしょうか。 飛行機が墜落する少し前に、ほかの誰よりも「死」を意識してしまったマックス。そしてその意識は「ああ、自分は死ぬんだ」という諦観の念へといきつきます。そう、きっとマックスの精神は、飛行機の中で光を見た瞬間、実存の世界から別の世界へと昇華されてしまった気がするのです。 マックスは、一足先に誰よりも死の意識に支配されてしまったために、飛行機の中で歩きながら同乗者の人たちに声をかけてまわったり、少年を気遣ったり、墜落後も人々を冷静に誘導することができたのだろうと思うわけです。 マックスは、飛行機の中で光を見た瞬間から、本人が言っているように幽霊のような存在になってしまったのかもしれないです。きっとマックスが想定していなかったことは、自分が生き残ってしまうこと。だから、彼は自分が生きていることにもはっきりと気づかないまま家族のもとに戻ってしまった。そこに現実世界とのずれが生じる。ずれはひずみとなり、時折彼の精神世界を脅かす。その都度彼は自分自身を認識するために、飛行機事故での死の直前に見た光を捜し求め、もう一度あの状況に身を置く必要があったのではないでしょうか。 それが、行き交う車の中の横断であり、屋上でのワンシーンであり、車の運転での自爆だったのだと思うのです。 そして、ラストのイチゴを食べてからの生還。あのイチゴを食べる前に、彼は家族の世界へと戻ることを決めていました。それは、一度昇華された精神世界から、現実の世界へと戻る覚悟の表れでした。でもどうしていいかわからない。だから彼にとって現実世界の代表者である妻に助けを求めたのです。イチゴを食べた瞬間、彼の脳裏に墜落直後の様子がフラッシュバックします。そして妻に助けられたとき、彼は「俺は生きているぞ」と叫びます。 このとき初めて彼は、あの事故から生還したような気がするのです。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-23 12:01:54) |
1766. アビス/完全版
《ネタバレ》 「ファンタジー」は、もしかすると絶対的な目線で観賞すると限界があるのかもしれないです。 この作品、もちろん専門家からするといろいろと言いたくなることもあるかもしれませんが、私程度の知識で観賞するとかなりリアルに感じられます。 それは、潜水艦沈没からそれを救出するまでの流れだったり、軍と民間との目的意識の差異やそこから膨れ上がる確執であったり、また後半のハード・サスペンスだったりです。それに夫婦間の心のすれ違いもそうですね。 ラスト間近の、核弾頭回収(分解)のための深海へのダイブは、見ているほうが奈落へひきずりこまれそうなほどの迫力。本能的な恐怖を掻き立てられる演出で、この作品の中で一番恐怖を感じました。 とまあ、話が長くなりましたが、これが「人間」のリアルな世界。そのリアルを徹底して表現し、人間の限界を私達が感じるときに、突然現れるのが「エイリアン」達です。その出現のタイミングが本当に見事で、私達人間の限界を感じる世界をより明確に描くことで、相対的にエイリアンがもたらす「ファンタジー」の効果が絶大な効果を発揮しているんです。 深海で、「ここにいるよ。」と通信を終えて座り込むバッド。酸素は残り5分。普通に考えれば、ここからの逆転はありえないわけです。また、そう思わせるくらいのリアルさがこの作品にはあります。 ところが、そこで出てくるか、エイリアン。 そう、これこそが僕がファンタジーに求める究極の形のひとつなのです。 [DVD(字幕)] 8点(2013-06-19 04:01:08) |
1767. メイド・イン・アメリカ(1993)
《ネタバレ》 ウーピー・ゴールドバーグは大好きな女優さんです。 「ゴースト」や「天使にラヴソングを」も見ましたが、彼女が出演しているだけでその映画のクオリティが随分と高く感じるんですよ。 で、本作ですが、ウーピー・ゴールドバーグの強烈なキャラ全開なのでやはり楽しいです。しかもウィル・スミスが娘ゾーラ(ニア・ロング)の男友達役で出演し、素晴らしい個性を発揮しています。 「こりゃあ、とんだ拾いもんだ!」と、楽しく観賞していたのですが、何とウーピー・ゴールドバーグのラブシーンが始まるじゃあないですか。これにはまいった。偏見と言われても仕方ありませんが、どー考えてもハル・ジャクソン(テッド・ダンソン)がサラ・マシューズ(ウーピー・ゴールドバーグ)に惹かれるとは思えないんですよ。 それから先は、「ええ?」「ええ?」「えええ?」「どこでぇ?」と、ハルがサラに惹かれちゃった理由ばかりが気になってしょうがなかったです。 ストーリーを考えれば、確かにハルとサラが恋仲になったほうが、説得力はあるのですけど、どーーーーーしても不自然に見えてしまうのです。 ちなみに本作では、ハル・ジャクソンが何気に常識も良識も持ち合わせていて、一番大人ではないかと思いました。 ウーピーや、ウィル・スミスや、ニア・ロングももちろん良かったのですが、なんか最後まで見ると、彼のキャラクターが一番良かったですね。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-19 03:15:56) |
1768. 泉のセイレーン
《ネタバレ》 普段無意識のうちに、人は自分の「欲」に関する部分にはストッパーをかけるものです。それは自分の社会的地位であったり、長年の経験で培われてきた良識やモラルだったり、さまざまな心理的制限がそこに働くからでしょう。 ましてや本作の牧師夫婦なんてものは、普通の人以上に倫理感とモラルを求められる存在。その二人が、今までの人生でおそらく関わることのなかった、倫理感やモラルとはかけ離れた芸術家一家としばらく一緒に過ごすわけです。当然、何か起こりそうな予感は最初からしていまして、そして当然何かが起こるのです。 ただそれは、著しく常識を逸脱したものではありません。確かに不倫のような行動もあっちゃうわけですが、どちらかというと精神的抑圧からの解放というほうが本作のテーマに近いと思います。 そういうわけで、決して画的にもストーリー的にも派手な展開にはなりません。かと言ってリアルかと言えばそうでもなく、むしろ後半は精神世界の解放を夢の描写を交えながら幻想的に描きます。 したがいまして、観る人によっては、退屈極まりない映画になってしまうかもしれませんね。僕はそれなりに楽しんで観る事ができました。なんかちょいちょいイギリスジョークみたいなのが入ってくるせいか、みんながぽんぽん脱ぐせいか、出てくる人達がみんな個性的な割に、他者に対して愛情とか思いやりみたいなのを持っているせいか理由はよくわかりませんが、なんか最後まで飽きることなく観られました。 ちなみに最後に一瞬だけ、ちょっとしたサプライズ演出があります。多分そーじゃないかなーとは思っていましたけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-16 17:00:27) |
1769. ジェニファー・ロペスの救命看護
《ネタバレ》 あくまで「救命看護」というのがこの映画のポイントです。 がっつり医療系のドラマを想像しがちですが、どちらかというとサバイバルの要素が強いような気がします。 実際この作品、メキシコのジャングルの中に仲間の乗ったセスナが墜落し、そのセスナに積んであった医療用品のほとんどを現地の盗人たちに盗られてしまうものですから、「手も足も出ない状態」が多いのです。 優秀な医師が何もできずにイライラしている状況。そこで新米看護師達が、何もできないながらも、けが人のそばにいて励まし続ける。そう、これは「医療」ではなく、「看護」の物語なわけです。 で、医師たちは治療したくてもできないとなれば、あとはひたすら救援要請をし続けることになっていきます。ですがこの救援要請も、メキシコの内部情勢がいろいろ絡んできて全然うまくいきません。 リアルといえばリアルな内容なのかもしれませんが、知らず知らずのうちにフラストレーションがたまっちゃうんですよ。それに、中だるみになっちゃうようなシーンが割りとちょこちょこ挿入されて、緊迫感がその都度そがれてしまいます。その割に、医療ものの醍醐味みたいなシーンは少ないので、期待していたほどの充足感は得られないのです。 ・・・なんか残念! [DVD(字幕)] 5点(2013-06-15 10:10:30) |
1770. ハックフィンの大冒険
《ネタバレ》 アドベンチャーとしては、父からの虐待や奴隷制、人種差別に詐欺といった爽やかではない内容が続くので、はっきり言って爽快感や解放感は感じられないです。 つまり、アドベンチャーやファンタジーに求める要素がこの映画には正直少ないんです。かと言って、奴隷制や人種差別の話を掘り下げているかと言えば、そうでもない。要所要所では確かにまじめに奴隷制や人種差別の問題に対して強いメッセージを発信しようとしています。ただアドベンチャーやコメディといった、エンターテイメントの要素も入れて、楽しい作品にしようとしているため、当然ながら雰囲気が軽い。説得力もなくなっちゃっているんですよ。 エンターテイメントとしても、まじめな感動系のストーリーとしても、中途半端でどっちつかずな感じです。さらっと映画の表面だけを楽しんだ感じで、あまり物語りには入り込めなかったですね。 [DVD(字幕)] 5点(2013-06-07 15:02:32) |
1771. パワー・オブ・ワン
《ネタバレ》 心に残る素晴らしい映画でした。 青年PKは、自分自身運命に翻弄され、幼少期に過酷ないじめを受け続けたからこそ、虐げられる立場にあった黒人たちの気持ちが痛いほどわかったのでしょう。 PKにとっては肌の色の違いによって人が差別されることが、あきれるほどにくだらないことでした。映画の中では常に異色の存在であるPK。彼の価値観は現代の私達に近く、当然当時のアパルトヘイト政策下では受け入れられるはずもありません。彼のまわりで悲劇が繰り返されるのはもはや必然だったのかもしれないです。 あまりにシビアな内容に、重く、暗くなってしまいそうなのに、全然そうならないのがこの映画の素晴らしいところ。むしろ、全編に渡って明るく爽やかなイメージが作品を支配しています。これはきっと、PK、ドク、ヒールピート、セント・ジョン、ポータ、マリア、ギデオンといった、彼とその周りの人達が、いつも希望を抱き続け、自分たちの信念を貫き続けたからでしょう。 この映画の中から感じられるのはいつも希望なのです。そしてその希望を信じて疑わないPKたちの心です。彼らの希望は、彼らの心は、言葉となり、歌となり、そして教育となって彼らの世界を駆け巡ります。 片目を失ったギデオンをPKが気遣ったときにギデオンが「俺の目なんかより教育だ。」と顔を輝かせているのを見たときは、涙が止まりませんでした。 どんなに過酷な状況に陥っていても、そこに希望があることが大事なのだと教えられました。 命がけで英語を学ぼうとする人々の姿に、教育の大切さを知ると同時に教育を当たり前のように受けられる現代の私達がいかに恵まれた環境にいるかを実感しました。 ドクが言った「人生で最も大切なのは健康と教育だ」と言ったことば、僕もこれからの人生で胸に刻んでおこうと思いました。 [DVD(字幕)] 10点(2013-06-06 02:29:03)(良:2票) |
1772. ガンクレイジー(1992)
《ネタバレ》 まるで「悪人」のようなストーリー。 この映画においても、「犯罪者=悪」という構図を根底から覆し、主人公たちより最低な人間たちを犠牲者という形で見ることが出来ます。 正直、何をやっても状況は悪くなる一方で、最後には悲劇が待っているだろうと予想される映画というのは、観賞するのがなかなか辛いものがあります。 そこにあるのは閉塞感や絶望感であり、浅はかな愚行を行ってしまう主人公たちへの憤りです。そんな空気が蔓延している映画が、楽しめるはずがないっすよ。 と、言いたいところですが、やはり一定の完成度と、それなりの雰囲気を持っている作品でありましたので、二人の子供のようなピュアな気持ちに心打たれることもしばしば。 好みでいけば苦手なタイプなんですけどねー。 こうゆう映画のほうが結構心に残ります。 [DVD(字幕)] 6点(2013-06-05 23:50:03) |
1773. 忠臣蔵外伝 四谷怪談
《ネタバレ》 「きっと変な映画だー」という先入観をものの見事にひっくり返されるほど、真剣に撮られた作品でした。 いや、変な映画ではあるんですけどね。なんか出演者のみなさんがもの凄く大真面目なので、もう映画に見入ってしまって、犬がかけまわり始めた頃にはもうすっかりこの映画の虜でした。 お梅さんたちは、いったいいつになったら正体をあらわすのだろうと思っていましたら、正真正銘、人類だったようで、それが一番ビックリですよ。 お梅さんたち一行の登場シーンで、「ようよう、こりゃあキレイな姫さんじゃねーかぁ。一杯つきあえよ。」みたいな感じで登場する3人組は、目のつけどころが尋常じゃないと思いました。 ラスト、いきなりSFみたいな世界観をつきつけられて、急に映画の世界からはじきとばされるような感覚を味わいましたが、良い意味でたんぱくにすっきりまとめてくれて良かったです。 夢でうなされそうだったので、変な余韻残して欲しくなかったんですよね。 [DVD(邦画)] 8点(2013-06-04 00:04:28)(笑:1票) (良:1票) |
1774. エル・マリアッチ
《ネタバレ》 う~ん。なぜだかは忘れちゃいましたが、ものすごく期待して見てしまいました。で、期待には程遠い内容でしたので、「あれ~。なんかあんま面白くないなー。」という気持ちになっちゃいましたね。 あまり楽しめなかったひとつの要因は、これはもう好みの問題ですが、夢のシーンというのが昔から肌に合わないのです。それも定期的に何回も挿入されるタイプはほんとダメです。なんか、一回一回気持ちがそこで冷めてしまうんですよ。で、なんかそのせいでテンポまで悪く感じられてしまうのです。このジャンルにしては珍しく、途中でちょっとダレちゃいましたからね。 人違い、すれ違い殺人のアイディアは面白いし、女優はちょっと好みではなかったけど、結構良い味出していたし、エル・マリアッチが孤軍奮闘でめっちゃ頑張って敵を倒していくシーンはテンション上がったし、要所要所は面白いのに映画全体は正直期待はずれ。 でも皆さんのレビュー見て、「低予算・親戚出演・実はシリーズもの」という事実を知って、「なるほど!」と妙に腑に落ちました。けどやっぱつまらんかったしなー。「デスペラード」とか知らんもん(聞いたことはあるけど)。そのうち見るとは思いますが。 [DVD(字幕)] 4点(2013-06-02 18:29:15) |
1775. レッドロック/裏切りの銃弾
主役のマイケル(ニコラス・ケイジ)ってなんとも言えない「なんとかなるんじゃね?」オーラが出ている気がするんです。その雰囲気が、作品全体に緩衝材となって影響しちゃっているようです。はっきり言えば、ちょっと緊張感に乏しいと思われます。 もちろん、その空気が好きな人向けにあえてそういう空気のサスペンスアクションを作ったのであれば、それはかなり成功していると言えるでしょう。 また、その空気感が醸し出すリアリティやドラマ性といったものが、大掛かりなアクション映画では感じられない独特の情緒を生み出している気もします。 特に後半はサスペンスとして見ればいまひとつかもしれませんが、人間ドラマとして見ると何気に怒涛の展開で、ラストは個人的にかなりしっくりきて満足でした。 かと言って、好きなタイプの映画かと言えばそうでもないので、点数つけるとしたらこれくらいになっちゃいますね。でもこの映画、好きな人は大好きでしょうね。 [DVD(字幕)] 5点(2013-06-02 17:52:37) |
1776. ハネムーンは命がけ
冒頭からがんがん攻めてくる、アメリカンジョークなのかどうかもわからないギャグのオンパレードに、「うわぁー、これやっちまった系の借りちゃったかなー」と思いきや、ラストまで破綻することなく無難に楽しめるサスペンスコメディになっていました。 この作品、全然本格的なミステリーではないのですが、このミステリーが後半になって何気に良いスパイスになってくるんです。 コメディもミステリーもラブストーリーも、ひとつひとつはたいしたことないのですよ。ところが、この3つのバランスが意外に絶妙で、ちょっと面白い作品に仕上がっています。 まあ強くオススメできるような映画ではありませんが、たまに肩の力を抜いて気軽に観賞する分には、こんな映画も良いのかなって感じのテイストでございます。 興味のある方はどうぞ。 [DVD(字幕)] 5点(2013-06-01 23:22:42) |
1777. 舟を編む
《ネタバレ》 辞書を作る話に2時間。・・・どんなものかと思いましたが、静かながらも熱く真剣な気持ちが伝わり続ける、力強いドラマに感動。日本の映画の良さが全部出ているのではないかと思っちゃうくらいの味わい深さでした。 馬締君も香具矢ちゃんも、出演者の皆様それぞれが地味ながらもすごく良い味をだしてくれているわけですが、なかでもとりわけオダギリジョー演じる西岡さんが最高に好きですね。 「映画ってやっぱり楽しくなきゃね!」と思っている僕にとっては、西岡さんがからむたびに映画館でおこる笑いが心地よく、それでいて彼が泣くシーンにはこちらも胸を打たれてじーんとしちゃいました。 また、「まじめっておもしろい」の映画のキャッチフレーズ通り、確かに「まじめ」もつきつめれば良い意味で面白い。正真正銘の真面目さから生み出される面白さというものをしっかり堪能させてもらいました。 いや、この映画は本当に良かったです。 この映画を観て元気づけられる人って、世の中にいっぱいいるんじゃないですかね!日本人の良さって、何と言っても「まじめであること」だと思うんです。そしてやっぱり「ものづくり」にかける誠意や熱意だと思うのです。 もともと日本人が持っている良さってものを、辞書作りとそれに携わる人達のドラマを通して再認識させていただきました。 [映画館(邦画)] 8点(2013-05-31 03:08:26)(良:3票) |
1778. バラ色の選択
《ネタバレ》 誰も彼も親切で良い人達ばかり。 そんな中ただ一人、アンドニー・ヒギンズ演ずるクリスチャン・ハノーヴァーがもうわかりやすいクズ野郎で、このクズ野郎がここぞとばかりにクズっぷりを発揮しまくるものですから、積み重ねられたクズパワーから発散されるラストのカタルシスと爽快感が半端ないのです。 そのクズっぷりはと申しますと、契約書の進展具合を小出しにしてはダグを良いように使いまくり、アンディのことはもて遊びの嘘つきまくりで、ダメ押しの国税局員との癒着にいたっては最優秀クズ野郎賞を受賞するかの勢いです。 それに対しますマイケル・J・フォックス演じるダグ君。 こちらはいつものスーパーラッキーっぷりで対抗。それはもう終盤に至るまで、ありえないほどの親切を大放出し、その度重なる投資を最後の最後でまとめて回収する大技をお見舞いします。 当然、百戦錬磨のスーパーラッキーご都合大王に、そんじょそこらのクズ野郎がかなうはずもなく、最後はお約束通り夢も恋も何もかも、オール総取りの一人勝ちで、クズ野郎に大差をつけて勝ってくれるのでした。そして彼の勝ちを疑わない観客にも、これ以上ない満足感を味あわせてくれるのです。 いや、いいんじゃないでしょうか、これで。だってマイケル映画だもん。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-31 02:12:30)(良:1票) |
1779. 奇跡の旅
《ネタバレ》 きっと、何度も何度も撮り直したんだろーな。・・・なんて、無粋なことを考えてしまう。 いっぱいっぱい撮って、なんか脚本にぴったりの映像をつなげたんだろーな。・・・なんて、無粋なことを考えてしまう。 大人になるってことは、子供のときには気づかなかった作品の深さや面白さに気づく反面、子供のときのように純粋な気持ちで観ることはもはやできないってことだろーな。・・・なんて、どーでもいいことまで考えてしまう。 上記のように、ちょっとだけ心も目も濁っちゃってる僕にも、この作品、とても良かったです。 この映画はですね、きっと家族とか恋人とか、仲の良い友人とかと一緒に見るとすごくすごく楽しいのではないでしょうか。 そんでそんで、観終わった後に、「別れのシーン、すごい切なかったね。」「何気にすごい動物のシーン多くなかった?」ってみんなで話しながら楽しい気持ちに浸っちゃったりしてね。 そいでもって、「でも、猫が流されるシーンとか、ハリネズミとか、あれって動物虐待なんじゃ・・・」ってつっこみもきっちり入れて楽しんだり・・・・なんて、無粋なことを考えてしまう。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-30 05:45:17) |
1780. 不法侵入
《ネタバレ》 サイコなキャラが最も恐怖感を出すのは、本性を見せたときではなく本性を隠しているとき。今作でも、警官ピート(レイ・リオッタ)の笑顔や親切心が一番恐ろしい。 終盤、カレンが目覚めたときに、さも当たり前のように料理を準備しているピート。ここが狂気のひとつの到達点だと思います。これ以上の恐怖演出はないでしょう。 したがいまして、これはサイコ・ストーカーものとしては王道を地でいく無難な作品なのですが、その王道を完璧にこなしてくれているので緊張感と焦燥感は一級品です。 「なんか頭のおかしい奴に、心臓とまらない程度にドキドキさせてほしいわ~」と思ったら、きっとこの作品がオススメです。 「不法侵入」というタイトルにひかれて、防犯のお手本になるかと思っている人には、まったくならないのでオススメしません。犬も猫も友人も入り放題のノーボーダー状態です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-27 11:44:26) |