Menu
 > レビュワー
 > ザ・チャンバラ さん
ザ・チャンバラさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567891011121314151617181920
212223
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223
>> カレンダー表示
>> 通常表示
161.  プライド&グローリー
法の番人であるはずの警察官が悪に染まるという構図はいかにも映画向きだし、アメリカの公務員に多いアイリッシュ系は家族の絆が深いためドラマも深まる。そんな美味しい題材であるためか汚職警官ものはどれだけあるのか分からないほど多数製作されていますが、本作はそんな中の一本。ハリウッドのお家芸とだけあって本作はきっちり面白いのですが、同時にジャンルにおける標準的な完成度で特に目を惹く点もないため、「これだけか」というガッカリ感も少々あります。これだけの豪華キャストが顔を揃えたのだから、もっと見せてくれるものと期待していたのですが。
[DVD(吹替)] 5点(2012-01-12 19:08:11)(良:1票)
162.  ザ・クリーナー 消された殺人 《ネタバレ》 
クリーナーという職業にスポットを当てた発想は面白いし、脚本は丁寧に練られています。しかし、エド・ハリスが出演した時点で犯人がモロバレになっていることと(他の出演者とグレードが違いすぎ)、監督のレニー・ハーリンにやる気がまったくなかったことが、本作の出来を不幸なものとしています。オチに至るまでの物語にまったく面白みがなく、視覚的な見せ場やストーリー上の山場を作る努力をしていないため、たった90分の作品であるにも関わらず恐ろしく退屈な仕上がりとなっています。ハーリンは脚本に書いてあることをただ撮っているだけという状態で、映画を魅力的にすることには関心がなかったかのようです。この人はミステリーをチマチマ撮る人ではなく、1億ドルバジェットの爆破アクションを撮るべき監督なのです。同様の傾向を持ったマイケル・ベイの登場によって本来の活躍の場を失ったハーリンですが、頭の悪いアクション大作を今一度撮って欲しいものです。
[DVD(吹替)] 3点(2012-01-11 23:38:32)
163.  パッセンジャーズ 《ネタバレ》 
映画の前半、主人公クレアが姉に対してかけた電話が通じなかった時に、「まさか例の映画のあのオチか?」と悪い予感がしました。とはいえ本作はそこそこのスターが共演し、それなりのバジェットもかかっているハリウッド映画。10年も前の大ヒット作と同じオチをかましてくることはないだろう、これはミスディレクションで、もうひと捻りしてくるに違いないと思って最後まで鑑賞したのですが、なんとそのまんまのオチでした。過去の映画のオチをまんま引用し、観客はいまだにこのオチで騙されると思っていた製作陣の手抜きぶり、厚顔無恥ぶりには驚かされました。オチに至るまでの物語にもまるで面白みがなく、たった90分の映画であるにも関わらず、観ているのが苦痛で仕方ありませんでした。。。 本人オチ映画は90年代から00年代にかけて多く製作されましたが、その中でも評価の高かった作品はオチ以外のパートも十分に面白く、オチを知った上での繰り返しの鑑賞に耐えられる完成度を誇っていました。裏を返せば、映画としてのポテンシャルが高ければこそ、オチは衝撃的であることができるのです。この点、後発である本作が、なぜ過去の秀作から学ばなかったのかと不思議でなりません。 
[DVD(吹替)] 2点(2012-01-11 23:16:49)(良:1票)
164.  オール・ザ・キングスメン(2006)
49年版は未見。と言っても本作は再映画化であってリメイクではないとスティーブン・ザイリアンが明言しているので、49年版と見比べる必要は特にないかも。だとすると気になるのが原作の内容です(こちらも未読)。というのも、本作は物語へのピントの当て方がおかしいのです。本来は高潔な人物だったウィリー・スタークが金と権力の亡者になる様が面白いのに、本作はそこを完全にスルー。彼のブレーンである元新聞記者が育ての親や初恋相手の前で右往左往する姿が物語の中心となるため、観ているこっちは物語にまったく興味を持てないという事態が発生しています。俺はダイナミックな権力闘争が見たいんだよ、権力によって一人の男が腐敗していく様が見たいんだよという観客の思いは無視され、どうでもいいメロドラマが延々と繰り広げられます。この狂ったバランス感覚は原作に由来するのか、脚色に由来するのかは気になるところです。なお、スティーブン・ザイリアンによる脚色は相変わらず手堅いのですが、恋愛パートだけは不慣れなことが気になりました。初恋を引きずり続ける主人公の痛みがまったく表現できておらず、そのために初恋相手を演じたケイト・ウィンスレット、及びその兄を演じたマーク・ラファロがほとんど存在意義を示していないという状態となっています(役者が悪いわけではない)。
[DVD(吹替)] 4点(2012-01-07 20:47:04)(良:1票)
165.  アンビリーバブル
ドライな世界は「トゥモロー・ワールド」だし、夫婦愛の描写は「ファウンテン 永遠につづく愛」に似ているし、この映画はSF作品としては標準的な内容であるといえます。しかし監督はドグマ出身のヴィンターベア。彼は自分の作品がありふれたSF映画になることが許せなかったようで、シュールなイメージの大量投入を行うことで、本作を難解な芸術作品に見せようとしています。しかし監督のこの姿勢が映画を厄介なものにしていて(決して難解ではない)、正直言って私は付いていけませんでした。問題は、本筋とは無関係な設定やイメージを無秩序に氾濫させてしまったこと。前半部分は真面目に鑑賞していたのですが、「イメージは投げっぱなしで、どうやら伏線を回収する気はないらしい」ということに気付いてからは、観ているのが苦痛になるほど退屈しました。断片からストーリーを語ろうとする姿勢、真面目な顔をしてギャグを挿入してくる独特の語り口(“空飛ぶウガンダ人現象”なんてダウンタウンのコントですよ)はデビッド・リンチを相当に意識したものですが、シュールの質がリンチよりも粗いのです。リンチ作品は論理的に計算されていて、オチから逆算するとほぼすべての伏線の意味を把握できるのですが、本作には無意味な場面が多すぎます。本作は完璧に失敗作だと思います。唯一の救いはクレア・デインズを美しく撮れていたことで、同時期の「ターミネーター3」ではまったく魅力のなかった彼女が、まるで別人かのように輝いています。役者を美しく撮ることは監督の才能のひとつだと思うので、この点に関しては評価したいと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2012-01-07 14:10:48)
166.  アウトランダー
モンスターを輸送中の宇宙人が事故って地球に不時着。モンスター退治のため宇宙人はそのまま地球に滞在って、まんまウルトラマン第1話なのです。しかもその舞台は現代ではなくバイキングの時代。これはとんでもないバカ映画だと期待したのですが、内容は至って真面目です。演技も演出も真剣そのもの、主演はイエス・キリストを演じた経験もあるジム・カヴィーゼルですからね。その他、バイキングの王にジョン・ハート、ライバル勢力の族長にロン・パールマンと共演陣も渋めで、本作は真っ当な時代劇として製作されています。変におちゃらけていないことは評価できるのですが、同時にこの真面目さが、本作が持つはずだった闇鍋的な面白さを奪う原因ともなっています。内容は「ベオウルフ/呪われし勇者」と大差ないもので、主人公が宇宙人である必要も、敵が宇宙怪獣である必要もなくなっているのです。また、本作のドラマパートは「13ウォーリアーズ」に酷似しているのですが、重厚な男のドラマだった「13ウォーリアーズ」と比較するとキャラクター描写が浅く、見応えに欠けます。SFという前提がドラマを消化不良にしており、SFと時代劇が食い合う形となっているのです。その他、撮影や編集が悪いために訳のわからない場面が多く見られたり、音楽がワンパターンで聞き飽きたり、モンスターのCGが甘かったり(2001年に製作された「ジェヴォーダンの獣」と同水準)と、技術的な面においても残念な部分が目立つ仕上がりとなっています。。。なお、本作は製作費5,000万ドルという大作でありながら、北米での興行成績はわずかに16万ドル。大コケどころか、公開前の時点で勝負を諦めていたとしか思えない成績です。美しいロケーションや渋い俳優陣に対して音楽やVFXが雑なのは、この辺りの事情が関係しているのかもしれません。
[DVD(字幕)] 4点(2012-01-06 20:57:08)
167.  グッド・シェパード
エリック・ロス脚本作品はとにかく長い。フォレスト・ガンプ、インサイダー、コールド・マウンテン、ミュンヘン、ベンジャミン・バトン、代表作はどれも2時間半前後の長尺です。例に漏れず本作も長いのですが、ベテラン監督が手掛けていた前述の作品群に対して、本作の監督を務めたのはロバート・デ・ニーロ。役者としては超ベテランでも監督としては新人同然であったため、案の定、脚本を追い掛けることに終始して冗長な仕上がりとなっています。上映時間は2時間47分なのですが体感時間はそれよりも長く、「そろそろクライマックスかな」と思って時計を見ると、まだ2時間も経過していなかったという笑えない状態となっています。興味深い題材を扱いながら、その面白みを観客に伝え損ねているのです。ソ連のライバルスパイなどは良い味を出していたんですけど、そういう美味しい部分に限って軽くスルーしてるし。そこに追い打ちをかけるのがマット・デイモンのワンパターン演技。デイモンは全編に渡って出ずっぱりで、しかも彼の役どころは思いを胸に秘めて多くを語らない性格(はじめての恋人は聾唖者という分かりやすいキャラ設定)。つまり、デイモンは微妙な表情のみで演技をしなければならないわけですが、彼の演技の引き出しはそれほど多くはなくて、終始難しい顔をしているだけという状態でした。何も語らず、同じ表情で固まっているだけのデイモンを2時間47分も眺めているのは正直つらかったです。同世代の俳優であれば、芸達者なエドワード・ノートンにでも演じさせた方が良かったように思います(鉄仮面を被り、一度も素顔を晒さずとも存在感をアピールした「キングダム・オブ・ヘブン」をご覧ください)。
[DVD(吹替)] 4点(2012-01-02 20:24:33)(良:1票)
168.  ディファイアンス 《ネタバレ》 
ハリウッドで定期的に製作されるホロコースト映画にはプロパガンダ臭がするため、私はそれらに対して懐疑的な姿勢を持っています。本作についても「どうせいつもの『私達は被害者です』映画だろう」と高を括って観ていたのですが、前半を見終わって、これはホロコースト映画ではないことに気付きました。ユダヤ人の被害者意識が殊更には強調されていないし、ナチスによる残虐行為もほとんど登場しません。それどころか、ユダヤ人の中にも仲間を苦しめる者がいたことや、捕虜となったドイツ兵にリンチを加える場面がきちんと描かれていて、ユダヤ人寄りの映画ではないことがはっきりとわかります。本作のテーマはホロコーストではなく、森で数年間立て篭もらざるをえなくなった人々の戦いという、恐ろしく単純なものだったのです。ダニエル・クレイグ演じるトゥビアの、リーダーとしての苦悩に対して特にスポットが当てられるのですが、リーダーシップに関する考察としては興味深い内容となっています。立て篭もったユダヤ人達は食うにも困る状態にあり、そんな中では「自分さえ良ければ」という風紀が横行しがちとなります。自分の生存すらままならぬ状況では、他人を思いやる余裕などないからです。だからこそ、集団を維持するための強力なリーダーシップと厳格な規律付けが求められるのですが、ここでトゥビアはひとつの大きな問題にぶち当たります。いよいよ状況が極まり、規律を無視する者が現れた時、リーダーとしてこれにどう対処すればよいのか?ある者は、「食糧は全員で平等に分配する」という規則を破り、貴重な食料を独り占めしようとしました。ある者は、「妊娠をしてはならない」という規則を破り、子供を作ってしまいました。トゥビアは、前者に対しては死を与えましたが、後者は無罪放免としました。しかし、規則違反という点では後者に対しても何らかの罰が与えられるべきではなかったのか?ここに集団維持や規則というものの難しさがあります。例外を認めると規律は崩壊してしまうし、かといって厳格すぎると形式が先行して規律が破綻してしまう。結局、トゥビアはこのジレンマを乗り越えることができず、クライマックスではリーダーとして機能不全に陥ってしまいます(運よく援軍に救われただけで、あのままでは全滅していました)。「こんなオチ、ありなの?」とも思ったのですが、なかなか興味深い着地点だとも思いました。
[DVD(吹替)] 7点(2011-12-19 01:59:34)
169.  2012(2009) 《ネタバレ》 
21世紀のジョン・ギラーミンことローランド・エメリッヒが放つ、映画史に残る大バカ超大作でした。これまでもエメさんは大風呂敷広げまくりのバカ映画を作ってきましたが、今回はバカの度合いが桁外れ。合衆国大統領が娘にまで隠している国家機密を、なぜかド田舎でDJやってるキ○ガイが事細かに知っているという不思議。超極秘とされている箱舟建造場所まで知っているのはナゼなんだ。その箱舟は全長が数キロにも及ぶ巨大船であるにも関わらず、工具がたったひとつ挟まっただけで動かなくなるというハリボテ仕様。「ドアが完全に閉じないとエンジンが動かない」って、一体どんな設計してるんだ(笑)。主人公は自分達が助かりさえすれば良いと思っている超絶ワガママ人間で、眼下で数千万の人間が死んでいても冗談を言えるタフな心を持っています。彼らが乗る巨大輸送機を使えば数百人の命を救えたにも関わらず、10人程度の身内・知り合いだけを乗せて火事場から飛び立つという倫理観の欠落ぶりには呆れました。合衆国大統領、輸送機のパイロットら、勇気を出して自己犠牲を買って出た人間は必ず死ぬという暴虐ぶりで、生き残った人間達はその自己犠牲について省みることもなく「俺が俺が」と言い続ける有様。ラストでは、家族の絆を取り戻したんで邪魔になってきた再婚相手が、実に調度良いタイミングで死んでくれるというハイパーご都合主義が炸裂します。生き残ったファミリーは、彼らの生存のためにあれこれ頑張ってくれた再婚相手のことを微塵も思い出すことなく、「俺ら生き残って良かったよねぇ」と新天地への希望を膨らませるのでした。。。なんだこの映画は(笑)。もしこれらすべてが計算のうちで、アメリカ人の貪欲さを描く壮大なブラックコメディであったとしたら、この映画は世紀の大傑作であると思います。ただし、ヘルムズリー博士がたまに英雄的な行動をとったり、家族愛で泣かせようとするくだりがいくつか挿入されている点から判断すると、エメさんはこの映画を大真面目に作ってるっぽいんですよね。その頓珍漢ぶりがなんともカックンなのですが、映画史上最大の破壊が繰り広げられる前半の素晴らしさに免じて5点とします。
[DVD(吹替)] 5点(2011-12-06 20:20:06)(笑:2票)
170.  ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記
「インディ・ジョーンズ」も「ハムナプトラ」も古代エジプトに題材を求める中で、アメリカ合衆国の浅い歴史からアドベンチャーを捻りだすというこのシリーズの基本コンセプトは嫌いではありません。また、過去のアドベンチャー大作が古き良き時代をその舞台として設定していたのに対し、「現代を舞台にアドベンチャーをやったら?」という本シリーズの思い切った切り口も悪くはないと思います。撃ち合い、殴り合い、殺し合いはなく(主人公は銃を持っていない)、あくまで頭脳を駆使した謎解きと追っかけのみという見せ場作りも、その意気込みは買いましょう。。。 ただし、製作陣が自らに課した厳しい条件に耐えられるだけの脚本を準備できていないことが、本作を不幸にしています。謎は魅力的ではないし、謎解きにも面白みがありません。先祖の汚名を晴らすことと、幻の黄金郷を発見することがどうやったらイコールになるのかがまったく腑に落ちないし、ニコラス刑事がブツブツつぶやくとすぐに謎が解けてしまうというマヌケな謎解きにも、途中から付き合いきれなくなります。英国女王の執務室に潜入する、合衆国大統領を誘拐する、歴代大統領のみしか見ることを許されない極秘文書を覗き見る、やってることはとんでもないのに、どれもこれもがアッサリと成功するためにまったく見応えがありません。せっかくの見せ場が見せ場として機能していないのです。キャラクターの動かし方もうまくなくて、エド・ハリス演じるウィルキンソンは場面によって別人かと思うほど性格が安定していないし、ハーヴェイ・カイテル演じるセダスキーはその存在自体が不要。今回はゲイツの助手のライリーにスポットが当たっているものの、残念ながら彼の成長物語にはなっていません。もみあげのないニコラス刑事の髪型は気持ち悪いし、ダイアン・クルーガーは相変わらず学者には見えません。テンポは悪くないので見れない映画ではないのですが、一方問題点をここまではっきりと指摘できる映画も珍しく、良い評価のしようのない仕上がりとなっています。 
[DVD(吹替)] 4点(2011-12-05 01:16:21)
171.  G.I.ジョー(2009)
原作が男の子向けの玩具であり、アメコミよりもさらに下の年齢層を対象とした作品であるため、本作の設定の粗さには文句を付けません。敵組織の目的がサッパリわからなかったり、国際社会におけるG.I.ジョーという組織の位置付けが謎だったりしますが(各国領空に自由に侵入する権限を持っている一方で、地元警察に拘留されたりする)、男の子向けのアクション大作でそういう細かいことを言うのは野暮ってやつです。しかし、本作の構成のマズさは指摘されるべきでしょう。とにかくペース配分がメチャクチャで、映画は2時間もたずに失速します。G.I.ジョー登場にはじまり(スネークアイズかっこよすぎ!)、メタルスーツによる見たこともないチェイスが繰り広げられる前半は大いに楽しめるのですが、物語にまったく起伏がない状態で緊張感皆無の撃ち合いをダラダラ続けているだけでは、後半に入ると一気に飽きが来ます。前半ほどインパクトのある見せ場を配置できなかったことも致命的で、本作はペース配分が完全に狂っています。。。 「ハムナプトラ」以降のスティーブン・ソマーズ作品はすべてこの傾向にあって、冒頭からフルスロットルで見せ場を畳みかけるものの、途中で息切れしてクライマックスでは平凡なドンパチをやってしまい、尻すぼみになって終わるということをここ10年間繰り返しています。この監督が「インディ・ジョーンズ」に憧れているということはわかります(「ザ・グリード」は当初、ハリソン・フォードが主演する予定だった)。冒頭で観客の心を掴み、冒険の世界に引きずり込むというアクション映画が心底好きなのでしょう。ただし、冒頭でハデな掴みをやれば、観客はそれ以上の見せ場を本編に期待します。スピルバーグにはその期待に応える力量があったのですが、残念なことにこの監督にはその力量がありません。だからこの人の映画はつまらない。予算制約によって冒頭に掴みのアクションを入れられなかった「ザ・グリード」がフィルモグラフィ中もっともバランスの良い娯楽作に仕上がっていることが何とも皮肉です。 
[DVD(吹替)] 4点(2011-11-02 23:44:35)
172.  パーフェクト・ゲッタウェイ 《ネタバレ》 
デヴィッド・トゥーヒーはハリソン・フォード版「逃亡者」のオリジナル脚本を書いたことで注目され、当初は子供向けアドベンチャーだった「ウォーターワールド」をダークなディストピアSFに書き直すなど(ケビン・コスナーがせっかくの毒気を消したために映画の出来は散々でしたが)90年代のハリウッドでは一目置かれる脚本家でしたが、2004年にユニバーサルが年間最高クラスの予算を投じて製作したSF大作「リディック」を微妙な結果に終わらせてしまい、それ以降はハリウッドの表舞台から姿を消していました。そんな御大が5年ぶりに手掛けたのがこの「パーフェクト・ゲッタウェイ」なのですが、大物脚本家の満を持しての復帰作とだけあって、これが壮絶な仕上がりとなっています。あまりに面白くてぶったまげました。。。 この映画、不気味な予兆を重ねる前半部分からイヤ~な汗をかかせてくれます。ちょっとした不親切からヤバイ相手に絡まれ、凄惨な事件に引きずり込まれていくという導入部はいわゆる「テキサスもの」の流れなのですが、これを閉塞感のあるテキサスではなく開放感あるハワイでやったところが本作の新しいところ。陰惨な連続殺人とハワイとはイメージ的に結びつかないのですが、浮かれた新婚カップルが他人とトラブルを起こして楽しい気分がブチ壊されるという誰もが容易に想像できる不快感を間に挟んだことで、両者をうまく結び付けています。主人公カップルが疑心暗鬼に陥る中盤も巧く作られていて、現在行動を共にしているカップルはどうやらヤバそうだが、もっとヤバいカップルから目を付けられている手前、このカップルからは離れられないという緩やかな八方塞がり感がお見事です。そしてラストには空前絶後のオチが待っているのですが、加害者と被害者が逆転し、主役と脇役が交代するという大胆なオチには意表を突かれました。「ズルい!」とも思ったのですが、犯人カップルの会話を振り返ると、これがオチと見事に整合しています。観客の先入観を利用して彼らを被害者であると錯覚させていただけで、彼らの会話は獲物を選別する犯人の会話としてきちんと成立しているのです。この大胆さと緻密さには完全にやられました。お見事!
[DVD(吹替)] 8点(2011-10-31 19:52:29)(良:1票)
173.  クライム&ダイヤモンド 《ネタバレ》 
残念ながら面白く感じませんでした。全体的なプロットは良いのですが、細部があまりに雑なのでアラばかりが気になります。そもそも主人公フィンチは詐欺師なのですから、彼の語る物語には真実と嘘が巧妙に混じり合っていて、その嘘を解き明かしていく過程で全体像が見えてくるというのがこの手の映画の基本でしょ。例えばダイヤモンドに係るエピソードはラスト近くにまで伏せられていて、最後の最後で主人公の目的はダイヤモンドを奪うことだったという話にすればよかったのですが、そういう捻りがこの映画にはありません。詐欺師がバカ正直に事実を話してどうすんだって感じです。また、タイトルにもなっているクレディス・タウト氏に係る謎についても同様です。刑務所を脱獄した主人公フィンチは逃亡用の新たな身分を得るためクレディス・タウトという死者の名を騙るのですが、このクレディス・タウトとはマフィアの逆鱗に触れて暗殺された人物でした。タウト氏は生前から正体不明の人物であったことが劇中で語られるため、彼の正体が映画の重要なピースのひとつになると考えるところですが、驚いたことにタウト氏に係る伏線は完全に放棄されて映画は終わってしまいます。この雑さはさすがにアウトでしょ。その他にも本作にはご都合主義が横行していて、中でもダイヤモンドを掘り起こしたい主人公が自ら刑務所に収監されるエピソードの粗さには唖然としました。主人公:俺を刑務所に収監してくれ→警察:自分を刑務所に入れろっておかしくないか?ま、いいか。主人公:俺が刑務所内の庭を掘ることを認めてくれ→警察:刑務所の庭に何か埋まってるのか?ま、いいか。結果、何の苦労もなくダイヤモンドを掘り起こしてしまう主人公。犯罪ミステリーでこんな頭の悪いやりとりをしちゃいけないでしょ。詐欺師である主人公が口八丁手八丁で警察に無理な要求を飲ませるというプロセスを入れていればストーリーの説得力が増すし、主人公のキャラクター付けにもなったはずなのですが、シナリオはそうした工夫を完全に怠っています。監督・脚本を担当したクリス・バー・ヴェルなる人物は本作以降ハリウッドから姿を消していますが、有名俳優を何人も配置したこの企画をこの程度の仕上がりに終わらせたのでは、干されたのも仕方ないと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2011-10-28 09:52:19)(良:1票)
174.  告発のとき 《ネタバレ》 
これは困りました。まったく面白みのない捜査が90分以上も続くため酷い評価をしてやろうと思っていたら、ラスト30分で監督の意図がわかった瞬間に傑作になってしまいました。まったく面白くないが、素晴らしさは十分に伝わってくる映画。とても評価に困ります。 タイトルの” the Valley of Elah”とは古代イスラエル軍とペリシテ軍の決戦の地。ペリシテ軍が誇る巨人兵士ゴリアテにイスラエル軍は戦意喪失し、誰も戦いを挑まない状態が40日に及んでいました。そんな中ゴリアテ退治に名乗りを上げたのがダビデという羊飼いの少年でしたが、その小さな体では甲冑を身につけることも刀を振ることもできないダビデは、小石5つとパチンコだけを手にゴリアテに挑みます。絶望的な戦力差の戦いでしたが、ダビデは恐怖に負けず冷静に石を放ち、見事ゴリアテの額を砕いてこの戦いに勝利しました。。。 この物語が示すことは、勇気を持てば大きな力が与えられるということ。本作の主人公ハンクも、息子達に勇気を持つことを求めました。しかし現実は伝説ほど容易ではありません。もしゴリアテが都合良く倒れてくれなかった場合、ダビデはどうなっていたのか?それが明かされるのが本作のクライマックスです。「勇気を持て」という親達の期待に応えてイラクに出征した若者たちは戦争の狂気に勝つことができず、完全に壊れた状態で祖国へ戻ってきました。ハンクは息子を殺した犯人を探して執念の捜査を続けてきましたが、その捜査の果てに、若者を戦地に送り込んだ自分達こそが息子を死に追いやった加害者であることを思い知るのです。ハンクには息子を救うチャンスがありました。戦争の狂気に直面したマイクがハンクに助けを求めて電話をかけてきたのですが、ハンクは息子のSOSに気付かず、ただ「戦友に涙を見せるな」というアドバイスだけをして会話を終わらせてしまいます。もしここで息子の弱さを受け入れていれば、息子を狂気で失うことはなかったのですが。。。 本作は戦場の狂気というよくあるテーマを扱っており、その内容は「ディア・ハンター」「フルメタル・ジャケット」はたまた「ランボー」とも似通っているのですが、ダビデの物語を絡めることでテーマを普遍的な親子の葛藤にまで敷衍している点がポール・ハギスの抜群の構成力の為せる技。本作は評価に困る映画ではあるものの、この惚れ惚れするほどの構成の巧さに8点以下は付けられません。 
[DVD(吹替)] 8点(2011-10-27 21:18:24)(良:3票)
175.  PLANET OF THE APES/猿の惑星
【2011/10/24レビュー変更しました】 リアリティとSFとの間で絶妙なバランスをとっている猿の特殊メイクと、その特殊メイクで大暴れするティム・ロスの演技は素晴らしいのですが、それ以外には特に見どころのない仕上がりとなっています。公開当時には「期待したほどではないが、それなりに観ることはできる娯楽作」というのが本作の一般的な評価でしたが、現在になって見返すと完全な駄作だと思います。原作及びオリジナルは文化の対立や文明の逆転がテーマだったのですが、一方で本作の主人公レオは猿が支配する世界に直面しても特に驚きを見せないし、猿達もレオが持ち込んだハイテクに対して恐れを抱きません。これこそが本作最大のミスであり、異なる文化が遭遇した時のリアクションをより丁寧に描写していれば、もっとマトモな映画になっていたはずです。。。「猿の惑星」をリメイクする企画はなんと1988年から存在しており、93年には当時世界一の大スターであり、肉体派俳優としてチャールトン・ヘストンの後釜に適任だったアーノルド・シュワルツェネッガー主演、オリバー・ストーン監督で話が進んでいたのですが(シュワは、同じくヘストン主演の「オメガマン」リメイクにも関わっていました)、これが何年かけてもまるで企画がまとまらないハリウッド史上屈指の問題児となりました。95年頃にはストーンが抜け、かわりにクリス・コロンバスやピーター・ジャクソン、ローランド・エメリッヒが次々と関わるもうまくいかず、97年頃にはシュワの相談役として企画に参加するようになったジェームズ・キャメロンがプロジェクトの中心人物となり、98年頃になるとキャメロン製作・脚本、マイケル・ベイ監督で話が進んでいたのですが、結局頓挫。そしてキャメロンが抜けた後にこの企画を引き継いだのがティム・バートンでした。錚々たるクリエイター達が挫折を繰り返した企画にバートンはビビったのか、本作のバートンは徹底的に保守的です。シナリオ通りに撮影を進めることを優先したためバートンらしさは失われ、普通のアクション大作に終わっています。物語は宇宙ステーションにはじまり、知能を発達させた猿とのファーストコンタクト、都市からの脱出、人間と猿との大決戦、そして猿文明のルーツの暴露とテンコ盛りではあるものの、監督の腰が座っていないために観客の感情や知的好奇心に訴えるSFアクションになっていません。 
[映画館(字幕)] 1点(2011-10-25 00:06:01)(良:5票)
176.  ストーリーテリング 《ネタバレ》 
トッド・ソロンズという監督は過激な題材を扱いつつも直接的な暴力や性描写は徹底して避ける人なのですが、「フィクション」編ではかなり露骨な性描写がなされています。また、主題について登場人物がセリフではっきりと喋ることも例外的であり、「フィクション」編はソロンズ作品としてはかなり異色な仕上がりなのですが、ここにソロンズの意図があります。恐らくこのパートは過激な描写があれば立派な社会派作品として扱われる風潮への反乱であり、外面的なショックのみに反応する観客達を挑発するためだけに作られたパートなのです。こんな底意地の悪い前振りを作り、そしてそんな前振りのためだけに当時人気が出始めていたセルマ・ブレアを裸にしてあんなことやこんなことをやらせたソロンズ、恐るべしです。 そうして「フィクション」編によるウォーミングアップを終えて後半の「ノンフィクション」編に入ると、映画のイタさはフルスロットル状態となります。殺人者やレイプ魔がひしめき合っていた「ハピネス」をも超える漆黒の闇が広がるのですが、そのあまりのイタさにすっかり魅了されました。本作にヘンタイは登場しないのですが、無気力人間スクービーを除く登場人物全員が無神経であり、本人の自覚のないうちに他人を傷つけまくります。「ハピネス」のような極端さがないだけこちらの方がリアルだし、身近に感じる分見応えがありました。さらに本作が凄いのは映画史上最大のタブーにまで踏み込んだことで、ユダヤ人の被害者ナショリズムや拝金主義にまで鋭く言及しています。「うちのおじいさんはホロコーストの被害者だ(おじいさんは戦前にアメリカに移民しているため、実際にはホロコースト経験者ではない)」と言い張るリビングストン家の人々が南米からの移民である家政婦をボロ雑巾のようにコキ使い、その献身に一切の感謝もせず使い捨てにしてしまうという展開が準備されています。その家政婦が善意の被害者であるかと言えばそうでもなく、レイプ殺人を犯した孫のために涙し(孫の無実を信じているわけではなく、孫は確かにレイプ殺人を犯したが、それは悪いことではないという無茶な論理で泣くのです)、ラストでは一家虐殺までを行います。とにかく登場人物全員がどうしようもなく、観客に何の拠り所も残さない徹底したダークぶりには恐れ入りました。 
[DVD(吹替)] 8点(2011-10-24 23:56:49)(良:1票)
177.  ハンニバル(2001)
前作は、連続殺人犯の追跡と若き捜査官の成長物語を軸とした王道の刑事ものでしたが、そこにレクター博士という特殊なスパイスを加えたことで、歴史的な傑作へと変貌を遂げた作品でした。対して本作はレクター博士を見るためだけに作られた続編であり、多くの要素が有機的に絡み合っていた前作と比べると、根本的に分の悪い企画だったと思います。いわば「美人すぎる○○」みたいなもので、政治家やスポーツ選手にしては美人なので世の注目を集めるが、その美貌のみを抽出してグラビアなんかをやらせると、一気に色褪せてしまうというあのパターンと同じ。レクター博士は脇役でこそ映えるキャラクターなのです。バッファロービルを捜査するクラリスに重要なヒントを与えるが、決して多くは説明しない。「もうあと一言欲しい」というところでクラリスと観客を放り出してしまうことが、彼の知性や存在感をより大きく感じさせていました。一方本作では主人公となった博士が何から何まで丁寧に説明してくれるのですが、このことが彼の存在を小さくする原因となっています。リドリー・スコットは企画が根本的に抱えるこの欠点を理解していたようで、開き直って残酷な見せ場をこれでもかと盛り込むことで観客の恐怖心を煽ろうとしますが、完成した映画は見せれば見せるほど恐怖の底が知れてしまうという悪循環に陥っています。メイソン・ヴァージャーというもう一人の狂人を加えるというテコ入れもなされていますが、このキャラクターも完全な出オチで、インパクトがあるのは初めて顔を晒す場面のみ。ビジュアルの巨匠リドリー・スコットの限界がここにあったと思います(かと言って、仮にジョナサン・デミが続投しても優れた作品を作れたとは思えませんが)。
[DVD(字幕)] 4点(2011-10-03 23:58:52)(良:1票)
178.  ニンジャ・アサシン
「こんなに楽しめるクソ映画は久しぶり!」というのが率直な感想です。殺人マシーンが人間性に目覚めて組織を裏切るという凡庸な題材をとり、さらには脚本に何の捻りもないため話は全然面白くありません。主人公の生い立ちが描かれる前半のつまらなさには筆舌に難いものがあり、見るのが苦痛で仕方ないほどでした。しかしこの映画、中盤の大乱闘から突如息を吹き返します。ライブアクションとCGを巧みに使い分けたカッコいい見せ場の連続には目が釘付けになりました。ニンジャ軍団がベラボーに強いことにも燃えましたとも。前半では脚本を追うだけだった演出も中盤以降はノリノリで、主人公が武器を鎖鎌から日本刀に持ち換えた瞬間に音楽が変わり、スピーディな早回しからスローモーションに転換する場面には、あまりのカッコよさに鳥肌が立ちました。完全武装の特殊部隊vsニンジャ軍団という世界中の男子が妄想した見せ場もばっちりモノにしており、ハリウッド製ニンジャ映画に求められるものはきちんと詰め込まれています。高いレイティングにも関わらず北米だけで製作費の元をとるほどのヒットになったのも、男の子が喜ぶものを漏れなく詰め込んだおかげでしょう。主演のRainも素晴らしい熱演を披露しています。ニンジャ映画の主演に韓国人俳優が起用されたことには不満もあったのですが、本編を見ればこのキャスティングに納得できます。これほどのアクションをこなせて、おまけに英語を話せる若手俳優は、残念ながら今の日本では見当たらないのです。また、Rainはイケメンではないものの不思議な色気が漂っている点でもミステリアスな主人公にふさわしい空気を持っていました。こちらもまた、薄味のイケメンが多い日本芸能界にはない魅力です。
[DVD(吹替)] 7点(2011-09-24 20:16:36)(良:2票)
179.  実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
本作は3つのパートから構成されているのですが(連合赤軍結成までを描く序盤・のちに山岳ベース事件として知られる総括リンチを描く中盤、あさま山荘事件へと雪崩れ込む終盤)、タイトルが示す通り、あさま山荘事件そのものではなくそこに至る過程を重視することで、あの事件が非常に分かりやすくなっています。また、本作のように歴史的経過を追う作品は事実の要約に終始してつまらないものになりがちなのですが、本作は山岳ベース事件という美味しい部分を山場に持ってきたことで、映画としての面白さがグっと増しています。連合赤軍との付き合いもあった監督にとって本作は思い入れの強い企画だったようなのですが、ただ個人的な思いをぶつけるだけの映画に終わらせず、観客にうける形を追求したことで客観的な完成度も維持できています。俳優の演技も良く、森恒夫と永田洋子の恐ろしさは尋常ではありません。どこかで聞きかじってきたそれらしい理屈を大声で主張し、そんな自分の言葉に酔って周りが見えなくなる森、こういう男って確かにいます。他の女性に対する個人的な僻みや嫉妬心をいつまでも覚えていて、まっとうな理由付けができるタイミングでウサを晴らす永田、こういう女性もいます。彼らをレクター博士やジョン・ドゥのようなモンスターとして描くのではなく、ありふれた人格の延長としてその凶暴性を描いたことで、より恐ろしさが増しています。両者とも指導者には向かないタイプの人間なのですが、組織を結成した大物達が逮捕されるか逃亡したかという状況では、彼らが組織を仕切らざるをえなくなっていました。さらに、学生運動に何万人もが参加していた時代は過ぎ去り、運動では社会を変えられないことが明らかになった時代。少しでも我に返れば「俺達は一体何をやってるんだ」と自覚してしまうことが怖くて、彼らは内面世界へと固執するようになっていました。気に入らないことがあれば「革命のためだ!」と叫んで暴力をふるう、それによって自身の指導力不足と一向に成果をあげられない焦燥感を同時に紛らわせることが出来たというわけです。なんとも恐ろしい世界。しかし、組織のメンバー達も革命ごっこを止めたくないからリーダー達の蛮行に黙って従っていたというのですから、こちらもまた恐ろしい限りです。
[DVD(邦画)] 8点(2011-09-23 20:05:26)(良:3票)
180.  マイ・ブラザー(2009)
サム帰還後のドラマが薄すぎるため映画全体のバランスはイマイチであり、売れっ子俳優のスケジュール調整を優先して脚本を練り上げる時間がなかったような印象を受けましたが、それでも俳優陣の演技力と監督の演出力によって水準以上の作品には仕上がっています。とにかくこの映画、「気まずさ」の演出が実にお見事。夫の死という悲しみを乗り越えて新たな生活を開始した矢先に、すっかり別人となった夫が帰還してくる。誰も口には出さないが、どの顔にも「死んでいてくれた方がよかったのに」と書いてあるわけです。そんな思いを必死に隠そうとする家族と、自分は邪魔者になったことに薄々気づきながらも、なんとか元の場所に戻ろうとする夫。両者の間に流れる居心地悪い空気の表現が実に見事で、見ている私までが胃の痛むような感覚を覚えました。また、本作は帰還兵の物語であると同時に兄弟の物語でもあるのですが、こちらの面でも見応えがあります。親の期待に応えようと必死で努力する上の子供に対し、甘ったれてはいるが家族の愛情を一身に受ける下の子供。単純な家族愛の話に終わらせず、愛憎入り混じる兄弟の関係をドラマに織り込んだことで映画全体に深みが出たし、物語をより一般化することに成功しています。「ディアハンター」や「父親たちの星条旗」、果ては「パールハーバー」とも類似した内容の本作ですが、兄弟の愛憎関係を軸にしたことで独自のポジションを築くことに成功しています。
[DVD(吹替)] 7点(2011-09-14 00:55:06)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS