161. 妹の恋人
ジョニー・デップの快演に尽きます。『パイレーツ~』では怪演でしたが、こちらのほうがデップの演技力全開でしょう。お正月番組定番のスターかくし芸顔負けのパントマイムが絶妙です。メアリー・スチューアート・マスターソンも不思議ちゃんでしたが、デップの方がさらにその右ナナメ上をイッてます。ストーリー自体は、妹思いのいいお兄ちゃんのお話ですが、あんまし印象に残りませんでした。主役の演技を脇役が食っちゃう映画というのは、こういう映画ですね。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-18 18:46:22) |
162. 黄金(1948)
《ネタバレ》 ドブスの高笑いとハワードの高笑い。この対比に尽きます。とにかく笑うしかないや(笑)。サスペンスで展開してコメディで締める。面白い。金に振り回されるだけ振り回されて、全てが始まりに戻る。面白い。これまでお金やお宝をめぐる映画を観てきましたが、これは教育映画ですね。みんなで仲良く山分けか、それとも…。さりげなく勧善懲悪で終わり、『ショーシャンクの空に』を初見したときのような爽快感がありました。しかし、ボギーがここまで強欲で汚い役を演じていたというのはショックですね。 [DVD(字幕)] 9点(2005-12-17 23:16:52)(良:1票) |
163. 怒りの葡萄
お母さんって、とっても偉大だ。この映画でも、くちではトムに「お前がいなくなったらどうなる」と心配するお母さんですが、むしろお母さんがいなくなったらとっくにこの家庭は崩壊している。男は働き、女は家を守る。現代だったら、女性の社会進出やらで田嶋先生あたりがフンッとか言いそうですけど、当時のアメリカは、というかどの国でも男女の役割はこの点にあると思います。住み慣れた土地を追われ、行く先々で合う明日の見えない絶望。貧しくても富める者たちよりも自分たちは強く生きていく。決して簡単には崩れない。強いメッセージを感じました。僕は幸い仕事に就いていますけど、いざとなったら仕事の好き嫌いは選んではいられませんね。 [DVD(字幕)] 9点(2005-12-09 23:38:54) |
164. 真夜中のカーボーイ
聴いたことのあるメロディで、おっ!?となりました。映像は映像美とまでは言わないまでも、『時計じかけのオレンジ』を初見したときのような衝撃はありました。田舎から上京した若者が都会で受けるカルチャーショックのような印象でした。女の子は観ない方がいい内容でしたが(苦笑)。夢をもって挫折するジョーの苦悩は、同性愛とかでなくても男として分かっていくから不思議です。お金を騙し取られても、奇妙な友情のためにお金を融通するジョーの心情は、いかなるものだったか? ぼくの拙い文章表現では何と書いて良いのやら分かりませんが、訴えるものがあったのは確かです。なによりもダスティン・ホフマンの鬼気迫る演技は壮絶でした。作品賞を受賞との触れ込みでしたので観ましたが、当時観た人は相当、衝撃的だったでしょうね。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-07 23:25:20) |
165. 50回目のファースト・キス(2004)
周囲の人間が、いかに身内の病気と向き合うかを教えられました。ルーシーの家族はルーシーを傷つけたくないがために、普段の生活に気を配る。恋人となりたいヘンリーは、なんとかしてルーシーに思い出を残そうと奔走する。逃げたほうがいいのか立ち向かうべきなのか? 観ている人は、自分だったら果たしてどちらを選択して振舞うのがいいのか?そういう点で深く考えさせられました。舞台がトロピカルなので重々しさは帳消しされていますが、ラブストーリーに関心がない人でも胸につまるものがあると思いました。序盤がお下品だというコメントがちらほら見られる映画だったのですが、吹き替えで観ましたので毒は感じなかったですね。保健体育的なエロと思ってもらっていいと思います。ラストは納得できるものがあり、後味すっきり爽快です。 [DVD(吹替)] 8点(2005-12-07 22:52:50) |
166. ミンボーの女
《ネタバレ》 キ、キンタマちぢみあがった((;゚Д゚))ガクガクブルブル だって怖いんだからしょうがないもん。僕も、日常業務の中で苦情処理の仕事もやってますが、ここまでひどくはないけど非常に似ている…。しょせんあいつら金が目当てなんだけど、絶対に「金額」をくちにしませんよ、ホントに。 警告! この映画を観て、低い点数をつける人はヤクザの本当の恐ろしさを全然分かってませんよ! 最後、まひる弁護士に頼らず、自力でヤクザを撃退するのが最大のテーマであり、それが分かりやすくて非常に良い。村田雄浩なんて僕とおんなじだぁ。僕も上司から同じように指導されています。小松方正の忘れ物のカバンの件、たしかに確実に相手の身元を確認しなくっちゃね。こちらに非がある点だけは素直に認めましょう。しかし、いわれのない強要には毅然と断りましょう。よし、頑張るぞ! …、頑張るぞ…。 [DVD(吹替)] 8点(2005-11-24 21:50:41) |
167. 十二人の怒れる男(1957)
《ネタバレ》 野球のチケットと回らない扇風機だけで、この緊迫した時間と空間を作り上げるなんてスゴイ!僕も会社で終業時間が近づくと(まだかなまだかな)とソワソワするクチです。みんな家に帰りたいばっかの状況の中で1人敢然と11人に立ち向かうのってすごく勇気のいることだと思います。12人だと票が割れちまうじゃないか、と思っていましたが、採決を決める13番目は誰か、言わなくても観ていれば分かることだと思います。よく考えると、皆どこにでもいる普通の人たちなのに、誰もがヘンリー・フォンダのように英雄?になれるから不思議なもんです。ひとり、またひとり、ミカン取りがミカンになるかのように無罪に考えを変えていく様は、論客でなくとも痛快さを感じると思います。おじいちゃん陪審員の癇癪が好転していて面白い。本人は本気で怒ってるんだけどなぜか笑ってしまいます。「ところであんた、名前は?」この一言で僕の開いたままの口がさらに開いてしまいました。日本でも裁判員制度について議論がなされていますが、この映画を観るとさらに賛否が分かれてしまいますね。 [DVD(吹替)] 9点(2005-11-16 15:21:56) |
168. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 この映画を観て、新潟県中越地震を思い出しました。阪神大震災がみんなお互いに助け合ったのに対し、新潟県の地震では『車中泊』やトイレの衛生面への不平不満という、プライベートの確保というかエゴイズムのような印象を感じていました。この映画でも、動く車を見て、1台の車を奪い合う群集が、今まで観たどのゾンビ映画よりも怖かったです。モンスター映画ではなく、得体の知れないものから逃げる恐怖と、混乱の中での恐怖と、惹き付けられるものはありました。なぜ生き残れたのかが不明なのが、製作者の狙いだと分かっていても釈然としませんが、これで良かったような不思議な感じもします。トム・クルーズが肩を脱臼しやしないかが一番ドキドキしました。 [DVD(吹替)] 6点(2005-11-10 21:57:36)(良:1票) |
169. ピエロの赤い鼻
《ネタバレ》 変人の父親を嫌がる少年の気持ち、よく分かります。しかし、なぜピエロを演じ続けるかを知り、本当の父親を知る。泣かせるじゃないですか。戦争ものって、ドイツ軍人を悪人にする映画が多いですけど、この映画では、やむなく軍にいる軍人の哀しみも謳っている。軍人も平民も身を挺して人を助ける。あのとき「生ある限り希望がある」と言ったゾゾの一言があったからこそ、愛する妻、子供がいる。たとえ変人と思われてもいい。そんな生き方を選んだお父さんってエライ! しかし『奇人たちの晩餐会』のピニョンさんが主人公なので、顔だけで笑ってしまいます。 [DVD(吹替)] 8点(2005-11-05 13:06:09) |
170. エバー・アフター
これは良かった! 久しぶりに清々しい、爽快感に満ちた映画を観ました。誰もが知っているシンデレラの話だったのもありますが、ドリュー・バリモアの元気な演技に深夜の2時に観たのに惹きこまれました。継母と長女が憎ったらしく、王子もほどよくバカなのが良い。あんなに虐げられても、我慢の限界まで継母に愛されようとしたダニエルの気丈さに、つい涙がでそうになりました。継母もやなやつだったけど、一度だけ見せた亡き夫への思いをはせた表情だけが救いのような気がします。シンデレラのお話の先入観をもって観ると、非常に楽しめる映画だと思います。勧善懲悪って、やっぱりいいなぁ!スカッとする! [DVD(吹替)] 9点(2005-11-05 08:43:29)(良:1票) |
171. キートンの蒸気船
バスター・キートン初体験! 最初、DVDを再生したとき、音声はともかく、音楽も流れなかったので、故障か?と思いましたが、これがサイレント映画というものなんですね。チャップリンとはまた違うコメディアンでした。パンを届けに行くくだり、いま流行り(笑)のハリケーンで飛ばされて木にぶら下がるくだり、たった68分の映画なのに濃密すぎます。父親も短気なところが滑稽でした。大道具さんの技術が素晴らしすぎる。どうやってあれだけの大きさの家を吹き飛ばしたのだろう。肝心な部分をCGに頼る現代映画にない、知恵を絞りに絞った、まさに芸術! チャップリンの映画を観て、映画というものを評論してきた気でいた自分がとっても恥ずかしい。まだまだ偉人っていたんですね! [DVD(字幕)] 8点(2005-11-04 21:54:01)(良:2票) |
172. 黙秘
キャシー・ベイツの演技力のすさまじさには度肝を抜かれます。スティーブン・キングのダークさを忠実に演技できるのは彼女をおいて他にいないと思います。夫の横暴に必死で耐える弱き妻、娘を守る強き母、両方を同時に演じるのは、地で演技できそうで結構むずかしいと思います。真実を思い出した娘との葛藤と理解が胸に響きます。サスペンスなのにヒューマンドラマ。原作がしっかりしていると映画にもムダがない。過去の回想シーンへの入り方もごく自然に入っていくので、まるで小説を読んでいるかのよう。ボブ・ガントン、ここでも出てきましたね。まるで隠れキャラだ(笑) [DVD(吹替)] 8点(2005-11-04 12:59:29)(良:1票) |
173. 西部戦線異状なし(1930)
戦闘シーンのすさまじさを見せつける映画が多い中、この映画の、最前線での兵士たちの恐れは直球的で、賛辞に値する。この映画を観て、戦争を美化している映画(キムタクの『君を忘れない』とか)に嫌気を感じてしまいました。戦争の怖さ、空しさを知っているからこそ、郷里での恩師の扇動教育に激しい怒りを感じる主人公に、同感してしまいます。戦争って、首脳も悪いですが、疑問を持たずに助長する人間も同罪ですね。殺し合いよりも、食料の奪い合いのシーンが印象的でした。さすが、戦争を知ってる現役世代の人たちが撮った作品ではある。 [DVD(字幕)] 8点(2005-11-03 17:27:30) |
174. 失われた週末
この戦勝で、みんなが酒を飲んで浮かれている時代に、禁断のテーマ『アルコール中毒』という社会派サスペンスを作るとは、ビリー・ワイルダー監督、世相に挑戦的だ。ウチの親父もアルコール中毒だったが、この映画の行動どおり(笑)。彼女が献身的すぎてメロドラマに走っているのが残念でした。ドン・バーナム本人のどん底ぶりは合格ですが、むしろ振り回される周りの人間の悲劇も描いてくれていれば、もっと評価は高い作品に仕上がったと思います。この映画と『レクイエム・フォー・ドリーム』はメンタルヘルスの教材に使えそうですね。しかしシャンデリアに隠した酒ビンの射影といい、ドン・バーナムの終盤の幻覚といい、チャッチイけど演出には目を見張るものがありました。 [DVD(字幕)] 6点(2005-11-02 19:05:39) |
175. Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?(2004)
《ネタバレ》 リメイクとしては忠実ですね。日本のオリジナルは人生につきまとう空しさがテーマだったのに対し、アメリカ版は陽気にテンポよく(ちょっと早すぎるけど)進んでいって小気味がよいです。リチャード・ギアだと、キザな演技をしても不快感がないので好感触でした。女性がパワフルでセクシーに描いているのもハリウッドならでは。原日出子が控えめな明治生まれのような貞淑妻ぶりに対し、スーザン・サランドンはパワフルな妻として演じていましたね。同僚の嘲笑を見て、竹中直人がこそっと隠れたのに対し、スタンリー・トゥッチはアクティブに反撃してましたね。日本とアメリカの違いだよなぁ、やっぱ。ダンスの映画というよりも、日米の考え方の違いを探すという点で非常に楽しめる映画でした。あえて言えば、やっぱり日本のオリジナルの方が伝わるものが多いと思いました。 [DVD(吹替)] 7点(2005-10-29 23:00:48) |
176. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 てっきり女性ボクシングチャンピオンになってハッピーエンドの映画だとばっかり思ってました。やっぱり映画は前知識なく観る方が正解ですね!スポーツ物のセオリーである”すごい素質のある若者”という人物設定をばっさり切り捨てて、生きがいと夢を持った31歳の貧しいウェイトレスという主人公。物語の展開も動と静の波をつけた、素晴らしい映画でした。ボクシング、そして終盤のあの場所でのヒラリー・スワンクの体を張った演技には、ズンッと胸を打つものがありました。すでにオスカーを受賞した女優なのに、「この映画の役だけは、どうしても自分にやらせて下さい」とクリント・イーストウッド監督に直訴したというエピソードから察するに、知識がないくせにいちいち脚本や演出にチャチャをいれる二流役者たちと違って、本当に『映画』を作りたいという3人の一流の役者たちの熱意が、モロに映画に反映されていました。こういう映画に出会えたことを幸せに思います。物話は幸せじゃないけどね。・゚・(ノД`)・゚・。 [DVD(吹替)] 9点(2005-10-29 22:48:51) |
177. ザ・プロデューサー
《ネタバレ》 いたたっ! 髪の毛はやめてっ! 毛が、毛が抜けるぅ~(笑) [DVD(字幕)] 7点(2005-10-26 11:15:55) |
178. サンセット大通り
最近、演技に迫力がある役者が少なくなってきてますが、久しぶりに、”ド迫力”の演技というものを観させていただきました。一言で言って「こわい」。周囲の嘲笑に気がつくことなく、出るつもりでいる映画(ウソ)のために女優としての磨きをかけるノーマが哀れでたまらない。スポットライトを浴びて、涙するノーマの心境って、過去の栄光への回顧をうまく描写していました。『イヴの総て』と大接戦だったと知りましたが、内容の濃さでこちらが軍配でしょう。『情婦』といい、この映画といい、女優を演じる女優に伝説の大女優を平気で起用する、ビリー・ワイルダー監督は意地が悪いだー。 ワイル…、悪いだー。 [DVD(字幕)] 9点(2005-10-25 18:35:48) |
179. 摩天楼を夢みて
いまでこそ超一流のあのケビン・スペイシーが、なんと『若造』扱い! すごすぎる!特に高価なセットを使ってるわけでもありません。役者の演技だけで淡々と進むのに、全員が鬼気迫る演技を魅せてくれる。冒頭から終業まぎわで、しかも雨。しかしそれでも「契約取ってこい!」のアレック・ボールドウィンの罵声。営業やってる僕らからすれば、よーく分かる…。男尊女卑とかで思われたくないんですけど、同じ専業主婦の方でも、家でふんぞり返ってせんべい食ってる主婦とかに、あんたのご主人はこんなに頑張ってるんだぞ!と、ぜひ観せてやりたい、骨太な映画です。最近、リフォーム詐欺とか問題になってますが、どんな会社の営業マンだって、実態はこうだと思います。ジャック・レモンが愛弟子アル・パチーノのために顧客のふりをするシーンなぞ、2人が大物俳優とかいう以前に、脚本にぞくぞくしてしまいます。コメディしか観てこなかったのですが、ジャック・レモンの老獪ぶりが凄まじい。なんでこの演技でアカデミー賞に引っかからなかったのか、全く理解できませんヽ(`Д´)ノ この映画のDVD化を何年も待ったかいがありました。さすが現代最高の演劇作家が作り上げた作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2005-09-30 23:27:40) |
180. がんばれ!ベアーズ
《ネタバレ》 ヤンキースのエースの反乱は、かなり衝撃的でした。マクドナルドやケンタッキーを食べてるせいか、可愛いけどテイタム・オニールもポテ腹だったのはちょっとショック。大人の汚い部分と、子供の純粋な部分を見た印象です。なにげにBGMも豪華すぎる気が(笑)。勝ち負けも大事なんだけど、それ以上に一生懸命努力してきた仲間を讃え合う姿が微笑ましかったです。子供に過保護で勝ち組・負け組とか言ってる今の日本では、絶対に作れないですね、こういう映画は。 [DVD(吹替)] 7点(2005-09-29 11:15:42) |