Menu
 > レビュワー
 > 青観 さん
青観さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1963
性別 男性

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123456789101112131415161718
投稿日付順123456789101112131415161718
変更日付順123456789101112131415161718
>> カレンダー表示
>> 通常表示
161.  炎上
三島由紀夫の有名な原作を市川崑監督が演出したことで有名なこの映画、かなりの評価も解ることは解る。しかし、個人的には市川崑監督というと、私は喜劇の方が好きですし、文芸作品なら「ビルマの竪琴」勿論、最初のです。が一番だと思ってます。市川雷蔵の演技も素晴らしいし、宮川一夫のカメラ、撮影は相変わらず素晴らしい。特に金閣寺が炎上していく場面におけるあの映像は宮川一夫カメラマンにしか撮れない美しさと力強さを感じる。それでも話としての暗さがどうも気になって仕方ない。好みの問題という意味でこの点数ですが、一人の人間の心の中に潜んでいる闇、悪、心の葛藤など様々なものをきちんと映画化している所は流石は市川崑監督です。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-16 09:28:38)
162.  石中先生行状記(1950) 《ネタバレ》 
石坂洋次郎原作、成瀬巳喜男監督による三つのお話からなるオムニバス映画!でもって、舞台は東北は青森の田舎町、もう、これだけでこの映画の興味が沸いてしまう。日本で一番好きな川島雄三監督の故郷である青森ってだけで、何だかそれだけで良いのだ!一つ一つの話がどれも面白く見られる。第1話の木匠久美子って女優さん、初めて見る気がするけど、とても元気はつらつ、リボビダンDて感じで良い。どんな感じや?第2話の池部良と杉葉子が互いの父親のことで喧嘩してしまい、仲直りするシーンも良い。石中先生に秀一(池部良)のことを君はどのくらい愛しているのかね?て聞かれてこのぐらいと両手いっぱいに広げて見せる杉葉子の演技も微笑ましくて良い。二人の父を演じている藤原釜足と中村是好も良い味を出してます。そして、最後のお話、これは何と言っても若山セツ子の初々しさに尽きる。本当に笑顔が素敵です。勿論、三船敏郎も黒澤映画では見れない。別の意味で良い雰囲気を醸し出している。それでもやはり一番は若山セツ子!最後の方で三船敏郎と並んで歩きながら二人一緒に「青い山脈」を歌うところなんて、こんな演出をする成瀬巳喜男監督、原作者であって、タイトルにある石中先生でもある石坂洋次郎へのオマージュと感じることの出来るシーンを描く辺りは人間としての優しさを感じる良い場面だ!いずれにせよ、これまたほのぼのとして、良い気持ちにさせられるそんな作品を見せてもらった思いでいっぱいになりました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-12-09 10:13:07)
163.  点と線
松本清張の原作は元々が面白いだけに期待して見ることにした。確かに話そのものはよく出来でいるし、面白いとは思う。ただ、画面に山形勲が出てきた瞬間にどう考えたところで、この映画の犯人はこいつしかいなと思ってしまう。それは山形勲だけでなく高峰三枝子にしても同じで、それにしてもこのキャスティングの何たる凄さ、誰が見たって善人は全く似合わない二人、山形勲と高峰三枝子が夫婦だなんて、普通じゃないよ。その他に眼を向けると三島雅夫も当然、悪者なんだけど、それを上回る山形勲の悪人ぶりもやはり時代劇の中での山形勲の印象が強すぎて、ここでは確かに悪人なんだけど、山形勲にしてはごく当たり前のような感じしか見えず、高峰三枝子にしても松子夫人に比べたらちっとも恐くない。そんな二人をどう逮捕するかというそれまでの話とあのラストにやや引っ掛るものが残ってしまい悪くはないが、あと、一押し物足りない。これはやはり元の原作があまりにも素晴らしいので、原作を超えることはやはり厳しいと痛感させられた。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-08 14:23:36)
164.  巨人と玩具 《ネタバレ》 
何なんだ?この異常なほどのテンションの高さは?主役の川口浩と野添ひとみは勿論のこと、脇を固める俳優陣、高松英郎に山茶花究に伊藤雄之助といいその他とにかく誰もが異常なほどのテンションの高さを保っている。何と言う凄まじいテンションの高さとテンポの良さ、飛び交う会話の凄まじさ、ストーリーそのものをどこかへ置き忘れていきそうなほどのハイテンションぶりに見ていてとにかくあきれ返るほどの凄さを感じる。そんな中でも高松英郎のテンションの高さは群を抜いている。部長に対して「あなたは、今はもう、必要としていない人間なんだ」「早く退いてください。あなたは現代においては生きる屍」て凄い。今の世の中、こんな言葉を上司に真っ向から言える人間はどれだけいる?いないだろう!思っていること、全てを吐き出すパワーこそこの映画の持っているものではないだろうか!ただ、個人的好みで言うならば、同じ増村保造監督作品では若尾文子主演による幾つかの作品、例えば「妻は告白する」や「赤い天使」だったり「清作の妻」のようなものの方がこの監督らしくて好きです。それでもこの映画の持っているテンポの良さとハイテンションぶりは昨今の日本映画にはなかなかない。見られないものを感じることが出来ます。
[DVD(邦画)] 7点(2007-12-07 22:12:11)
165.  宮本武蔵(1954)
「宮本武蔵」の映画というと幾つか撮られているはいるけど、内田吐夢監督、中村錦之助主演のものが出来が良くて面白い。そこで、ちょっと比べてみようと思って稲垣浩監督のものを借りてきた。これって確かこの年のアカデミー外国語映画賞受賞作品だけど、う~ん?この映画が公開された1954って言えば日本映画が最も凄かった年、これよりも良いもの、面白いものは幾つもある。それなのに、何故ゆえにこれがアカデミー外国語映画賞受賞?絶対に変です。「二十四の瞳」「女の園」「七人の侍」「近松物語」「山椒大夫」という物凄い作品が公開されているのに、何故?主演の三船敏郎にしても誰が見たってこの作品の武蔵よりも「七人の侍」の菊千代の方が圧倒的に素晴らしいし、作品の完成度、面白さでも完全に「七人の侍」の圧勝!まあ、確かに三船敏郎版、宮本武蔵はけして、悪くはない。でも、中村錦之助の演じた武蔵ほどの凄さ、愛嬌も感じない。それに泣きの演技も三船敏郎には合わない。そんな中で興味深いのは中村錦之助版「宮本武蔵」の中では沢庵和尚を演じていた三國連太郎がここでも違う役で出ている。ところが、沢庵和尚に比べるとやはり見劣る。今作で沢庵和尚演じている俳優(私も三島雅夫に似ていると思った)にしても迫力不足!まあ、色々と文句はあるものの、つまらなくはない。しかし、この程度では満足出来ない。本当は5点にしたいと思うけど、お通役の八千草薫の可愛さに1点プラスしての6点!稲垣浩監督の最高傑作は絶対に「無法松の一生」です。勿論、阪妻が演じた方のですよ。
[DVD(邦画)] 6点(2007-12-02 21:31:56)
166.  にあんちゃん
「黒い雨」以降の今村昌平作品には興味も感じなければ惹かれるものがないのたが、この頃の今村昌平作品はどれも良い。これなんか、えっ?今村昌平作品なの?て疑いたくなるほど心温まる作品になっている。この監督独特のしつこさ、ねちっこさが苦手な人にもこれは安心して奨められる。ある炭鉱の話の中で見せる兄弟達の演技に、更には周りの人たちのなんと良い人たち、見終わってああ、明日も頑張ろう!なんかそういう励ましの感じられる作品です。それにしてもやっぱりこの頃の若い長門裕之は桑田圭佑にそっくりだ!
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-11-28 21:40:38)
167.  女猫(1958) 《ネタバレ》 
女スパイに扮しているフランソワーズ・アルヌールのあの何とも悩ましい唇、タイトルにもなっているように本当に猫のような大きな瞳の中に隠されている怪しげな眼差しに話そのものよりも緊張感が漂う。フランソワーズ・アルヌールというこの女優の一番の持ち味、魅力である怪しくて影があり、それでいて、どこか一輪の花のようなあの表情にこの映画の中の男達も私と同じでクラクラしているのだろう!「女猫」と呼ばれたレジスタンスの女スパイが事もあろうにナチスの将校と恋に落ちるという考えられないお話の中で見せる二人の思いがラストに女スパイとして生きてきた者の哀しさと惨酷さが現れているように思う。これはもう、彼女以外では考えられない作品です。レジスタンスものとしては緊張感はそれほど感じないものの、フランソワーズ・アルヌールの映し方、取り調べのシーンで靴下を脱いでみせたり、スカートを半分だけ上げて歩いたりとと何だか違う意味でゾクゾクさせられる。
[ビデオ(字幕)] 7点(2007-11-27 20:54:51)
168.  流れる 《ネタバレ》 
いや~何たる豪華な顔ぶれだ!山田五十鈴のおかみさん、その娘に高峰秀子って、何つう親子だ!他にも常に控えめな田中絹代に小津監督の作品の常連でもあり、相変わらずぶりな芸達者ぶりを披露している杉村春子にいかにも岡田茉莉子って雰囲気の岡田茉莉子、それは岡田茉莉子に限らず、山田五十鈴も高峰秀子も田中絹代も杉村春子も演技なのか?それとも本人そのものなのか?と思わせるほどの素晴らしさ、そんな素晴らしい演技を引き出す成瀬巳喜男監督の凄さ、芸者の世界に生きる女性達の時代に流されながらも逞しく生きる姿が描かれている。そんなこの映画の本当に凄い所は、芸者の話なのにお座敷のシーンを全く描かずに芸者の世界で生きることがいかに難しく、厳しいかを描いて見せている。本当に凄いことだと思います。川を流れる水の音のような静寂しきった乾いた空気、それこそこの監督の持ち味なのかもしれない。ラストにこれまた水の流れる川を映す。そして、そんな川にまるでこの映画のタイトルの「流れる」のように流れて見える船を映して終わる。終わり方もこれまた成瀬巳喜男監督は本当に余韻を残すことに成功している。やはり凄い映画だ。間違いなく傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2007-11-25 18:30:26)
169.  氾濫
増村保造監督で若尾文子とくれば、どうしても期待せずにはいられない。出で来る奴、特に男ども皆、欲望の塊、欲望丸出しである。そんな欲に埋もれた人間ドラマという意味では増村監督の演出はここでも凄まじさを感じる事が出来る。只、好きか?と言われると好きだとは答えられない。その、最大の理由は同じ監督の幾つもの作品で見せる若尾文子の美しくも怪しい魅力が今作品ではあまり、見る事が出来ない。今作品は若尾文子の作品ではあるけど、若尾文子というよりは佐分利信だったり、川崎敬三であったり、船越英二であり、個性的な男達が若尾文子よりも目立っていて、そういう意味で若尾文子ファンとしては物足りない。けして、つまらない作品ではないし、それなりに面白い作品ではあるものの、増村保造監督と若尾文子の黄金コンビ作品としては普通の出来です。
[DVD(邦画)] 6点(2007-11-11 14:01:02)
170.  鰯雲
おっと、にじばぶさん、お一人だけですか!どうも!どうも!こんばんは!二人部屋へ失礼して、ええ、これは成瀬作品としてはちょっと物足りない。また成瀬巳喜男監督作品にしてはあまり見られない。珍しく東京近郊の農村が舞台のしかも、カラー映画!カラーそのものは珍しくもないと思うけど、それが東京近郊のお話てのは成瀬映画ではあんまりないような気がするけど、いかんせん、まだわたくし、成瀬映画に関してはド素人でして、さほど大きく語ることは出来ないのたが、それでも相変わらず、映像はとても美しい。戦争で夫を失った淡島千景演じる未亡人と新聞記者の木村功の二人が並んで歩く海沿いのあのシーンの美しさ、そして、タイトルにもなっている雲!あんな美しい雲はそうは見れない。そのぐらい美しい雲!話そのものはいまいち、面白味に欠けるものの、映像の美しさは一度、見たら忘れられなくなりそうなほどです。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2007-11-09 21:18:40)(良:1票)
171.  楢山節考(1958) 《ネタバレ》 
凄い!このリアリズム、恐るべし映画です。全編歌舞伎の世界を思わせる映像美と相成って日本の伝統を感じる音楽に乗せて描かれる何とも恐るべし映画です。この映画の舞台となっている長野県姨捨山、地元なもので勿論、知ってるし、あの山にも登ったこともあるけど、あの山の雰囲気そのものをここまで見事に作り出した素晴らしいセットと映像美に木下恵介監督らしいヒューマニズムとが見事に融合した傑作になっている。まず何よりも田中絹代の演技が本当に恐ろしいほどの凄み、殺気を感じる。この映画の為に本当に歯を抜いてまで望んだというその役者魂にはこれぞ本物の映画俳優としての凄さを見せ付けられた思いでいっぱいです。そんな田中絹代の母を姨捨の山に捨て、雪の降る中、「おっか~」と叫ぶ息子の姿とそれを雪に打たれながら息子との別れをけして、悲しもうとはせずにいる田中絹代、ラスト、今でも実際にある「姨捨の駅」と走る列車を映し出すあの場面には涙が止まらない。これもまた間違いなく木下恵介監督の代表作品であり、そして、日本を代表する傑作間違いなしのとにかく凄い映画です。
[DVD(邦画)] 9点(2007-11-06 22:06:12)(良:1票)
172.  東京暮色 《ネタバレ》 
小津監督の映画の中でも好き嫌いで最も評価が分かれる映画ではないでしょうか!小津映画の特徴であるユーモアラスな会話がここではあまり見られない。しかし、相変わらず画面を通して、見ているこちらにも何かを訴えているようなそんな語り口を感じることが出来る。小津映画史上、最も暗い。まるでホラー映画のような冷たさ、寒さを感じる。のどかな日常の中に見える家族への問い、結婚して家を出たものの、夫と上手く行ってない姉(原節子)にそして、男に騙されて妊娠してしまった妹(有馬稲子)とこの姉妹、二人の終始怒っている顔付き、不機嫌そうな態度、その一方で妻に逃げられた父(笠智衆)と父だけでなく二人の娘まで捨てて別の男と逃げた妻を演じている山田五十鈴の演技が素晴らしい。娘からはああだこうだと散々なことを言われつつ、母親としての辛さを見事に演じ、人生の辛さとは何かを訴える。又、一方では二人の娘達がいなくなった後、一人だけの生活をするこことなった父(笠智集)の背中が語る一人暮らしの生活の寂しさ、哀愁、ラストの笠智衆演じる父のあの姿は本当に人生とは何か?一人暮らしとはこれほど苦しいものなのか?という寂しさがにじみ出ていて泣けてくる。これほど暗く重苦しい小津作品は他にはないと私は思うが、これだけ暗い内容にも関わらず音楽はどこか喜劇っぽいのは、やはり小津監督という監督さんは喜劇の監督さんだとこの映画を見て感じることも出来る。好き嫌いはともかく小津監督らしい人生に対する問いかけ、家族とは何か?そういう内容にこれもまたやはりどこから見ても小津映画!私はやはりこんな暗くて重い作品でも支持致します。
[DVD(邦画)] 8点(2007-11-05 19:49:06)(良:1票)
173.  くちづけ(1957) 《ネタバレ》 
増村保造監督のデビュー作品はどことなくヨーロッパ映画の香りがする。画面全体から漂う雰囲気も男と女の恋愛的映画作りも何もかもヨーロッパ映画のようです。共に犯罪者である父を持つ二人の主人公、川口浩と野添ひとみが互いに意地を張りつつも惹かれるという話そのものは古く感じるものの、とにかく作品のテンポが良いから見ていても退屈するなんてことはない。それとこの映画、後に夫婦となる二人のまるで結婚を予感させるような何とも不思議な作品です。それにしても水着姿にローラースケートっていうのも何だかちょっと変だが、ああいう描写、それこそ増村保造っていう監督さんの持っている感覚なのかな?その感覚に何故か知らないが、ハマりそうな、ヨーロッパの映画人、映画好きにこの監督の多くのファンがいると何かで聞いた。読んだことがあるけど、これを見ると何となく解るような気がします。
[DVD(邦画)] 7点(2007-10-24 21:01:43)
174.  ヘッドライト 《ネタバレ》 
フランス映画を代表する二人の俳優、ジャン・ギャバンとフランソワーズ・アルヌールの「フレンチカンカン」コンビによる大人の恋愛映画です。人間の刹那さ、やるせなさ、哀しみ、そして人としてどう生きるべきか?この映画ではそういった要素が描かれています。フランス映画を見るといつも思うのは哀愁漂う雰囲気作りが本当に上手い。ハリウッド映画にはない独自の静けさ、悲しさみたいなものが素晴らしい音楽と心に染み入る。親子ほど歳の離れた二人が愛し合うという話そのものは古く感じるし、また派手さがない分、退屈に感じる人もいるかもしれないけれど、人間の深い愛情を本当に二人の好演によって見せる辺りはいかにもフランス映画です。ジャン・ギャバンの背中から感じる男の哀愁、そして、フランソワーズ・アルヌールの女性としての哀しみ、ラスト、霧の立ち込める中、トラックに乗って去っていくジャン・ギャバンが何とも言えない男の悲しさを表しているようで、本当に切なくてやるせないそんな映画として、いつまでも心に残りそうです。
[ビデオ(字幕)] 8点(2007-10-21 11:47:40)(良:1票)
175.  黄金の馬車 《ネタバレ》 
やっほう!もう、恐ろしいほどの凄い重厚且つ優雅で見ていてうっとりさせられる。この監督さんの映画はどれもこれも本当に凄い。凄いとしか言えない。とにかく何かも完璧ですよ。この映画!オープニングの舞台の幕がさあっ~と上がった瞬間からまるで自分があの中の世界に飛び込んでしまっているような錯覚になるからこれまた凄い。そして、一人の女性を巡る男と男の闘い。恋愛模様、何と言うことか!この映画が本当に凄い。素晴らしいものになっている要因の一つに二重構造として物語が作られているという何とも贅沢な作りに、あたしゃ、ただただ見入るしかないぐらいの本当にこれぞ、映画!正しく極上のエンターテーメントと言って間違いない。物凄い作品を見た気がします。作品全体に漂う空気、どこを取っても惚れ惚れする美しい映像、何かも見ているだけで本当に幸せです。映画のタイトルにもなっている「黄金の馬車」の中に乗り込んだ大勢の人達の楽しそうな笑顔に、見ている私まで嬉しくなってしまうぐらいの幸福感!あぁ、もう、何かも楽しくて、楽しくて、やめられない。ジャン・ルノワール監督の描く大騒ぎって、なんでこうも優雅な上に上品でそれでいて、楽しいのだろう!あのラストのカミッラ(マニャーニ)の表情の美しいこと。あんな美しい表情、見せられたらそりゃあ、もう、たまりません。文句無しの満点でございます。
[DVD(字幕)] 10点(2007-10-19 21:21:21)
176.  恋人たち(1958)
これは正しくフランス映画!どこをどう取っても、どこから見ても明らかにフランス映画です。こんな美しく官能的で甘いムード溢れる映像美、フランス映画でしか味合うことは出来ません。そして、映画が映画であるためのお手本とでも言えるような映像を写すカメラワークの美しさにはただただため息があふれんばかりの本当に美しい映像の世界!大して面白い話だとは思いませんが、それでも映像だけでこれほど酔わせてしまうその力というものの大きさ、これこそフランス映画ならではだと思います。男と女二人だけの描写、ラブシーンのあの何とも甘いムード、光と影のコントラストの絶妙なまでな映像美、けしてCGでは表現することなど出来ない映像の美しさを見せ付けられているような気がして、二人が水辺のボートの中で抱き合ってるシーンの映し方、これが下手な監督、下手な映画、例えば今の邦画だと大抵の場合は男と女が抱き合う所などただ裸になって抱き合うだけで、それも何もかも見せてしまうものの、この映画ではそういうことはせずに暗い夜のあの映像の中で何が起きているのか?という想像させる力を見ている側に対して与える。これこそ映画の基本!この監督さんはその映画的、文法をよく解ってらっしゃる。それにしてもジャンヌ・モローの恐ろしいほどの美しさ、女性の男への愛とは、何か物凄い女の恐さと情熱みたいなものを感じられずにはいられないそんな映画て気がしたのと同時にフランス映画って、やはり恋愛ものを撮らせると世界で一番上手い。そんな気がこの映画を見ると感じる。
[ビデオ(吹替)] 8点(2007-10-17 21:48:21)
177.  浮草
これ、本当に小津映画?中村鴈次郎に京マチ子に若尾文子に野添ひとみにって、どこをどう見てもどう考えても小津映画といより市川崑監督か増村保造監督の映画を見ているようなキャスティングです。しかし、内容はやはり小津映画らしい人間模様がしっかりと描かれている。ただ、小津映画は松竹の方が私は断然、好きだな!作品そのものはけして、悪いとは思わないし、よく出来ていると思うけど、私の大好きな小津映画とは何か違って見えた。
[ビデオ(邦画)] 6点(2007-09-30 13:56:32)
178.  女の園 《ネタバレ》 
日本映画史に名を残す二人の高峰、W高峰、三枝子と秀子の競演に久我美子、岸恵子とこれまた凄いメンバー、更には名優、阪妻こと阪東妻三郎を父に持つ、これまた父同様、名優と言っていい、田村高廣の俳優デビュー作品らしいこの映画、なんやタイトルからは想像を絶するドロドロした内容も2時間以上という長さも全く感じないままどんどんどんどん物語に引き込まれていく。どこまでも徹底して嫌な女を演じている高峰三枝子の凄まじさ、そんな下で自分達の自由を奪おうとする厳しい制度に対して、真っ向から構えて見せる女達、高峰秀子、久我美子、岸恵子、いずれも素晴らしい。特に高峰秀子が素晴らしい。神経をすり減らしていくあの姿は見ていて何とも哀しい。こういう役を演じるとこの女優は本当に上手いと改めて感じたと共に作品全体に漂う正しく「女の園」に相応しいこれは女達の心の葛藤を鋭く描いている。木下恵介監督の時代を読み取る力を見せ付けられた思いです。これも間違いなく木下恵介監督の代表作の一つと言えよう!
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-09-23 13:19:52)(良:2票)
179.  警察日記
森繁久彌も三國連太郎も本当に上手い。そして、また警察姿もよく似合う。そんな二人がとても優しき人間味に溢れる警察官を好演している。東北の田舎町ののどかな風景も観ていて何だか癒される。特に凄い出来事が起こるわけでもなく、ただただ町の住民と触れ合う姿を描いているだけなのに、やかましい音楽で何か訴えようとする今の邦画にはない何かがこの作品を観ると伝わってくる。映画にうるさい音楽など不要ということがよく解る。この映画の中で描かれている警察の日常、働く姿など、今の警察にはない。感じられない優しさが見られる。子役の一人、二木てる美の上手さには驚きが隠せない。弟の別れのシーンで見せる切ない表情なんて、本当にお見事としか言いようがない。
[ビデオ(邦画)] 8点(2007-09-17 20:20:47)
180.  めし
相変わらず成瀬巳喜男監督の描く世界には人間が生活している空気というものがあって良い。ごく当たり前のことのようだが、そういう当たり前のことを描くのには余計な描写やうるさい音楽や無駄な台詞はいらない。流石はこの監督はその辺のことがよく解っている。平凡な暮らしをしている夫婦の間に東京からやってきた夫の姪が入ってくることで二人の関係がどこかおかしな方へと進んでいく中で、原節子の見せる表情がこの作品のピリピリした空気に合っている。この映画は空気を感じて見せる映画だと思う。あの綺麗な空の下で生活している夫婦の感情を「めし」というタイトルで表すなんて、いかにもこの監督らしい。それにしてもどうしてこんなにも女性の心理を描くのがこの監督は上手いんだ?いつもながら感心させられる。
[DVD(邦画)] 8点(2007-09-01 12:50:32)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS