161. 北北西に進路を取れ
《ネタバレ》 ヒッチコック作品のなかでは一番好きかもしれない。ダイヤルⅯも良かったですが、好みで言えばこちらが上。当時の都会の様子なんかがわかるのも楽しい。なんだかんだ言って、やはり潤沢な予算で撮られた映画ってスケールが大きくて良いもんです。これぞ映画って感じです。 オープニングの拉致シーンはあまりに強引でしたが、『ああ、これはコメディなんだ』とわりきって見る良いきっかけになりました。 ロジャー・ソーンヒルが、最初のほうこそオバカさんでしたが、途中からかっこよく見えだして良いキャラでした。 そしてヒロインのイヴ・ケンドール。この人がとっても素敵。『あ、やっぱりバンダムの愛人だったんかい』っていうのは残念ポイントではありますが。それ以外はパーフェクト。人生最大のピンチで味方が誰もいないときに、あんな美女が助けてくれるなんて夢のようです。 一般人だったイヴを都合が良いからとスパイにしたてあげてたわけですが、素人があんなに上手く立ち回れるなんてご都合と言えなくもない。ロジャーも途中からスーパーマン化して、ロッククライミングみたいなことまでやりだしたときにゃあ笑っちゃいました。 本物のタウンゼントはなぜ殺されたのかなど、不明瞭な点が放置されたまま。最近の映画に見慣れていると、決して完成度が高いとは言えないかもしれません。 ただ、ラストに崖のシーンから列車のなかへジャンプするシーンなど、もしかすると今、映画やテレビ業界で当たり前のように使われている手法の先駆者はヒッチコックだったのかも。そー考えると、やっぱ偉大な監督さんですよねー。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-08-18 02:43:34)(良:1票) |
162. 夕陽のガンマン
《ネタバレ》 コテコテの西部劇。こーゆーのが見たかった。 クリント・イーストウッドが主役なのかと思ったら、もう一人主役級の人物が。この人が負けず劣らずかっこいい。 モンコとモーティマー大佐、2人の登場シーンがまずかっこいい。 この二人がこれから出会って仲間になるのか。はたまた、敵同士になってしまうのか。それを想像するだけでもワクワクしてしまいます。 二人の初対峙シーンが激アツで、帽子のとばしあいでスキルを競いあうなんてオシャレ。 『北に行くよう説得しろ』と言われ、『南に行け』と進言し、結果『東』に行くことになったのに、なぜか先に待ち伏せしているモーティマー大佐。『お前は逆のことを言うだろうと思っていた。インディオは疑い深いから、違うところに行くだろうと思った。エル・パソ(西)に戻るはずがないから、行先は東しかない。』 ここめっちゃ好きです。モーティマー大佐の手のひらの上で、インディオもモンコも踊らされてます。リンゴ撃ちのシーン最高です。なんかもう『相棒』って感じで良いですよね。 みなさん絶賛されているなか、こんなこと言うのは勇気がいるのですが、個人的には敵の役不足感が残念でした。 登場シーンこそ、カリスマを感じさせるほどの悪党っぷりだったのですが。話が先に進めば進むほど小者っぷりがあらわに。モンコとモーティマーが金の隠し場所から出てくるのを待ち伏せする知恵があるんだったら、金が無事かどうかくらい確認しなさいよ。 そして手下たちにモンコたちを始末させて、金を持ち逃げしようとする小者っぷり。そこは仲間を大切にするワルでいてほしかった。 とゆーことで、凄く期待値が上がってしまったんですが、それに対して終盤が盛り上がり切れなかったかなぁ・・・と。 モーティマー大佐の真の目的が復讐だったっていうのは良かったですけどね。 モーティマー大佐がバウンティハンターやっているのも、いつかインディオにたどりつくためだったんですねぇ・・。 [DVD(字幕)] 7点(2023-08-16 01:06:21)(良:1票) |
163. めまい(1958)
《ネタバレ》 え?最後そんな終わり方? っていうくらい、長々とひっぱったわりにはあっけないラスト。余韻というものをまるで感じさせてくれません。 最後のネタばらし的な30分。確かにここは面白いんです。 ジュディが正体ばれないように必死なのも面白いし、恋心からジョンの頼みを断り切れないのも面白い。 『私が死んだ彼女に似ているから?』 この言葉が効いているので、ジュディが嫌がるのをジョンが不自然に思わない展開もうまい。 まあ、普通は着せ替え人形みたいに、元カノが着ていた服を着せられたり髪の色まで変えられたりした日にゃあ、百年も恋も冷めそうですけどねぇ。ジュディにとってはマデリンも結局自分だから、そこまで嫌ではなかったのかなぁ・・・。 で、このネタバラシが始まるまでの90分。ここがもうとにかくダラダラと長い。 一つ一つのシーンに無駄が多すぎるし、こんな内容だったらミッジとの色恋沙汰なんて要らないでしょ。もう苦行の90分でした。 そしてこれだけの尺を使いながら、ミッジは放置。 妻殺しの夫も何の罪にも問われないまま終劇。 ええ?なんか後味悪くないですか? [DVD(字幕)] 3点(2023-08-15 15:46:50)(良:2票) |
164. ゴッドファーザー PART Ⅱ
《ネタバレ》 前作が面白かっただけに、すごく残念な出来。 父親として、マフィアの首領として、マイケルとビトーを対比させていくのは面白いと思います。 そのぶん尺が長くなるのは仕方ない。仕方が無いとはいえ、無駄なものはもう少し削ぎ落してほしいと思います。 で、2人分の人生を描く分、それぞれのストーリーはどうしても薄くなりがち。もちろん、限られた時間でしっかり描くことができれば、中身が薄いなどと思うことはないでしょうが・・・。残念ながら今作はどちらのストーリーも薄いです。そしてその薄い内容で3時間越えは正直きついですって。最初の2時間なんて、退屈で仕方なかった。 そしてこれだけの尺をとっておきながら、突然マイケルが公聴会に呼ばれていたり、ビトーがいつの間にか町で権力を握っていたりと、大事なところは割愛。いやいや、描くべきはそこでしょう。祭りだとか、演劇だとか、パーティーでみんなが踊っているシーンより大事なとこでしょう。 本筋と関係ないシーンやエピソードが多い割に、大事なところは説明不足。 行間はあなたの想像力で補いなさいと、いささか不親切設計。 それでもお話が面白ければよいのですが、何しろ暗い。そしてたいして面白くない。 ファミリーに対してはいつも温厚だった1作目のビトーに対し、ファミリーに対しても感情的に声を荒げてしまうマイケルの小者っぷりも見ていて痛々しい。せめてケイとは仲良くしててほしかったかな。 最大の見せ場であるラストは、前作と同じパターンを踏襲・・・ま、いいケドね・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-08-11 02:55:28) |
165. エンド・オブ・ステイツ
《ネタバレ》 前2作とは若干路線変更の3作目。 今までと違うのは、ターゲットの一人がマイク・バニングになったこと。 とはいえ、命を狙われたわけではなく、マイクはスケープゴート。大統領暗殺の濡れ衣を着せられるのであります。 ただまあ結局、マイクは犯人グループに拉致される寸前で逃げだし、結果命を狙われるといういつものパターンになっていくわけですが。 いつもと違うのは、FBIもマイクを追っかけっているってとこでしょう。 つまりは冤罪もの?ってか四面楚歌状態。逃亡サスペンス。 普通は濡れ衣系のサスペンスってミステリー要素も楽しめるのですが、今作は皆無。なにしろ早い段階で犯人グループの正体明かしちゃいますから。ミステリーにする気はさらさらないようです。 前作では大統領がマイクの相棒のような立ち位置でした。 今作ではなんと父親が相棒に。マイクと父親のかけあいは漫才のようで面白いです。 序盤の見せ場はドローン爆撃。時代ですねぇ。これが画的にはとても見ごたえがあるのですが、前2作と比較するとスケールダウン感は否めません。 後半の見せ場は病院内アクション。これが明るくきれいな施設でのアクションなのでなにしろ見やすい。個人的にかなり良かったです。病院大爆破までのカウントダウンもなかなかハラハラさせてくれます。 今作ではFBIが重要な役割を果たすのですが、ちょっとピエロにさせすぎでしょう。いくらなんでも頭が悪すぎます。ちょっとイライラさせられちゃったのでそこはマイナス。女捜査官がやられちゃったときなんか、ちょっと胸がスッとしちゃったくらいです。 あ、ただのモブキャラと思われた頼りなさそうな副大統領が黒幕だったっていうのは意外性があってよかったです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-08-09 03:52:22) |
166. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 かなり有名な作品ですから、観る前から作品に対してイメージが先行していたことは否めない。 自分のなかで神格化されつつも、なんとなく制作年の古さから手が伸びなかった作品。 で、『遂に鑑賞した』っていう、この無駄に上がったハードルのせいで、率直な感想は『思っていたほどではない』という残念なもの。思っていたよりストーリーもしっかりしたものです。 もっと荒唐無稽。もっと自由奔放。もっとぶっとんだものを想像していました。 オープニングはこちらの期待通りの出だし。秩序やモラルからはみ出した存在。この映画でしか見られないような無軌道で無秩序な若者を見事に描いてくれました。純粋な悪のカリスマのようなアレックス。なるほど。評判通りです。怖いもの見たさの好奇心を満たしてくれるのに十分でした。 雲行きが怪しくなってきたのは、保護観察みたいな人が出てきてから。 あれ?なんかアレックス普通じゃね?よくいる不良というか引きこもりというか・・。 決定的だったのは仲間の裏切り。 急に気持ちが冷めていく。 仲間内でのいざこざなんて、その辺にいる有象無象と大差ないじゃん。 もっとクールでミステリアスでカリスマなグループかと思っていました。 がっかりに拍車をかけたのは刑務所に入ってから。 もう普通の人と変わらない。とにかく早く釈放されるためには何にでもすがりつく姿勢に、少なからず落胆しました。 じゃあいっそ破滅的なエンディングを見せてくれるのかと思ったら、決してそういうわけでもなく。 なんか破格の待遇を約束されて、まさかのハッピーエンド? 前半のぶっとんだノリで想像もできないような物語を見たかったです。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2023-08-06 18:05:13) |
167. ダイヤルMを廻せ!
《ネタバレ》 そうかそうか、何か気に入らないと思ったら、そもそも不貞をはたらいた妻が、終始被害者のように描かれているところが気に入らないのだ。愛人の男が、なんだか正義の味方みたいなポジションに居座っているのが気に入らないのだ。 もちろん、殺人が一番悪い。そんなことはぁわかっています。わかっているうえで、心情的にはトニーを応援してしまう。だって人間だもの・・・。でもなんとなくこれは失敗するんだろぉなぁ・・・って思い、そしてその通りになるから、なんか気に入らないんだ。 もとはと言えばマーゴとマークが悪いのに。結局トニーがお縄。不倫関係にある2人は見事に障害を排除して結ばれましたとサ、ちゃんちゃん♪。うん、胸糞悪いです♪。 救いなのは、トニーが『あーあ、ばれちゃったか。』みたいな感じで、潔いほどかっこつけてくれるんです。これで後味がそこまで悪くならない。 だいたい愛人の小説家。トニーが犠牲になってマーゴを助けようなんて、いけしゃあしゃあとどの口が言ってんだコノヤロウ、と虫唾が走ります。この愛人マークが死刑になれば良かったのに。 とゆーわけで、結果そのものは見ていて気分が良いものではなかったです。 ただその過程はとても面白い。 序盤で愛人マークが『現実は小説のように絶対うまくはいかないから』って言ったように、ことごとく計画通りに進まないのが面白い。一番の誤算は、殺し屋が返り討ちにあっちゃうこと。この鋏も予定ではそんなとこにあるはずないのに、予定外のことが起こって裁縫箱からそんなところに置きっぱなし。そのせいで計画が狂っちゃうなんてさすがのトニーも夢にも思わず。 ところが、ここからトニーは機転を効かせまくって、今度は妻を死刑にもっていっちゃう。このストーリー展開はもはや爽快ですらあります。 個人的にはそのままマーゴ死刑エンドでも良かったんだけどなぁ・・・。 伏線の回収はまさに完璧な作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2023-07-30 21:31:37)(良:1票) |
168. エンド・オブ・キングダム
《ネタバレ》 ははは、評価ひっっっく。 私はこれぞエンターテイメントって感じで、存分に楽しんじゃいました。 舞台がホワイトハウスからロンドンに移っただけで、やってることはほぼ同じっていうのも良かったです。 ロンドンに集まった各国首脳を同時多発テロで一網打尽。ここでまず観客の度肝をぬいてから、マイク・バニングの『ダイ・ハード』モード突入。今回は大統領のおまけつき。いや、もう2作目にして早くも安定の面白さです。 意外だったのはリン・ジェイコブス長官の死。『まさかあなたより先に死ぬとはね』、いや、ほんとそうです。基本『死なない側の人間』だと思っていたので、驚きました。 実は事前に次作のキャストだけちらっと見ちゃってたので、次作の大統領がモーガン・フリーマンになっているということは知っていました。・・・・つまり、もしかして大統領やられちゃうんじゃないの~、って、終始ハラハラしながら見られました。なぜならリン・ジェイコブス長官が死んじゃったことで、もう誰が死んでもおかしくないって思ったからです。 途中でⅯI6の美人工作員と合流するので、一緒に戦ってくれるのかと思ったのですが、それはナシ。残念です。 そして最後まで映画を見終わると、結局アメリカが一番怖ぇよ、っていう結論に至る次第です。 それにしても今作のレビュー拝見しますと、みなさまのこの作品に対する切れ味鋭いつっこみが本当に面白くて、お腹抱えて笑っちゃいました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-07-29 00:49:44)(良:1票) |
169. スター・トレック/BEYOND
《ネタバレ》 相変わらずワクワクさせてくれるオープニング。オープニングの出来が一番良いんじゃないかっていうくらい楽しい。 5年探査の旅に出て3年目。その他大勢のモブクルーのみなさんの日常や人間関係をちらっとでも見せてくれるのが嬉しいじゃないですか。 そしてもうひとつワクワクさせてくれたのがヨークタウン。これは映画館や3Dで見てみたかったです。最高の未来都市。公衆転送装置とか、アトラクションのような動きを見せる乗り物とか、面白そうな仕掛けにワクワクが止まりません。でも結局このヨークタウン、あんまり見せてはくれないんですよねー。 さて、ストーリーが動き出す中盤。ここがはっきり言ってつまらない。 まずいくらなんでも一方的にやられすぎ。バリアも効かない。フェザー砲も効かないんだっけ?あまりに相手がチートすぎて、逆に手に汗握らない。ただただ不快な気分にさせられるだけです。 で、惑星に不時着したあと夜のシーンがくるのですが、もう暗すぎて何やっているのかわかりません。そして眠くなる。 後半になるとみんな合流、反撃開始。なのでちょっとだけ面白くなります。ホログラム映像のおとりや、茶色のなんかよーわからんやつなど、便利ギミックも楽しい。 更には、原理はよーわかりませんが、ロックを流して敵を撃破していくのがスーパーご都合主義で爽快。 ヨークタウンの重力が不安定になっているところでのバトルも見た目に楽しい。 よってアイデア満載で、これぞSFっていう楽しさが感じられるのは良いところ。 ただやっぱ中盤はひどくて、絶賛はしづらい映画。他の人にも勧められない。ピンチになるにしても、ピンチのなり方ってもんがあると思います。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-07-27 03:29:19) |
170. 激突!<TVM>
《ネタバレ》 こーゆーシンプルイズベストなスリラーは大好き。それをスティーヴン・スピルバーグが撮ったっていうんだから期待値Max。だったのですが・・・、う~ん、悪くはないんだけどって感じです。 なんか結構いらいらしちゃいました。そのイライラはトラックではなく、主人公のおっちゃんに。 他の車がときどき走っているんだから、その車の後につけるなり、前につけるなりすれば、トラックは手出しできないでしょ。 それにラジエーターホースは自分の責任でしょ。整備不良は自業自得。それでパニックになられても、うるさいだけ。そもそも長距離移動するんだったら、出発前にラジエーターホースくらい替えとけよ。 こーゆー理不尽ものっていうのは、被害者側に原因がないのがミソなんです。被害者側に落ち度があると、ハラハラよりイライラが勝っちゃう。 そんななか、個人的に出色のシーンだったのがバス。似たようなシチュエーションを、他の映画では見たことがありません。 このトラックが、主人公のおっちゃん以外には、いたって好意的なのが逆に怖い。トラックの、『お前だけは許さねーぜ』っていう無言の圧が凄い。 そしてこんなことをされると、主人公は途端に孤独に陥ってしまいます。どれだけトラックが危険でも、それは自分に対してだけ。周りの人にはまるで理解されない恐怖。まるで不良から、自分ひとりがターゲットにされてしまったような、そんな恐怖を感じるのです。 [DVD(字幕)] 6点(2023-07-25 02:54:33) |
171. ゴッドファーザー
《ネタバレ》 長いので何回かに分けて見るつもりだったのに、あんまり面白くて一気に見てしまいました。おかげで寝不足の一日になってしまった。 どーしても古い映画は敬遠しがちだったのです。 理由➀ 様式美がもてはやされていて、実際の面白さはそーでもなかったりするから。 理由② 様式美に凝り固まっていて、テンポが遅そーだし、退屈そーだから。 理由③ 各ジャンルのパイオニアってだけでもてはやされていて、実際の面白さはそーでもなかったりするから。 そんな自分の浅はかな固定観念をものの見事に粉々にしてくれました。『色褪せない』ってのはこーゆーことなんですねぇ。 小難しい映画かと思っていたのですが、そーでもなかったのも良かったです。 確かに人物相関図はやや複雑ですが、中心人物たちだけ押さえておけばストーリーは割とシンプル。実は単純な成り上がり系ストーリー。マフィアのドンの息子でありながら、堅気の主人公マイケルが、運命に翻弄されてマフィアの世界へと否が応にも巻き込まれていく物語。ファミリーのなかでも、一人だけ非マフィアでボンボンな感じのマイケルが、次第に頭角を現していくのはある種痛快でした。危険で予断を許さない状況のなか、マイケルの一挙手一投足に期待せずにはいられません。 それにしてもアル・パチーノにもこんなに若いときがあったのですねー。最初アル・パチーノだと気づきませんでした。 兄のソニー、相談役のトム・ヘイゲン、暗殺実行役のクレメンザなど、脇を固める面子も強烈な個性。1人1人に大なり小なりドラマあり。にも関わらず、ファミリーの存亡をかけた駆け引き、闘争、そして世代交代というこの映画の本流も決して見失わない見事なストーリー構成。なんとバランスの良い映画なんでしょう。 ただひとつ難を言うなら、マイケルとアポロニアのエピソードは個人的には不要でした。 マイケルには一人の女性を愛し、基本はストイックでいてほしかったものです。アポロニアとのエピソードは、なんだか極上のウイスキーに混ぜられた不純物のようでした。 それにアポロニアが死ぬやいなや、ケイ・アダムスのところに戻っていって、なんと節操のない。 マイケルの好感度を下げるだけのこのエピソード、本当に必要だったのでしょうか。 それにしてもあれだけ事が大きくなるのを避けて慎重に動いていたのに、結局暗殺という力業でカタをつけちゃうんですね~。 もちろん、偉大なるゴッド・ファーザーの死を待っていたというのが理由なんでしょうけど、・・・・それを踏まえても、だったら状況がこれだけ悪化するまえになんとかなったんじゃないかという気も・・・ [ブルーレイ(字幕)] 9点(2023-07-24 00:50:39)(良:1票) |
172. 裏窓(1954)
《ネタバレ》 ええ~?ここまでつきあったのに、真相もやもやって何?ジェフリーズたちだけすっきりした顔して、こっちは全然すっきりしないんですけど。 でもジェフが寝落ちする前に、確かに悲鳴のようなものは聞こえたし・・・。 結局ソーワルドはジェフを殺しにかかったし・・・。 家に不法侵入されて、指輪を盗られただけであれば、警察に電話すればいい。でもそれをしないっていことは、ソーワルドはやはり妻を殺していたってことでいいのかなぁ・・・。う~ん、そこは最後はっきりさせてほしかったなぁ。 終盤は結構盛り上がるのですが、序盤から中盤がなにせ退屈。軽妙洒脱なトーク劇だけでもたせるには少々長すぎです。 でもサスペンスだし、ミステリーだし、きっと面白い何かが起こるのだろうと見続けた結果がこれか~。 そしてこの作品一番のミステリーは、リサがなぜジェフにそっこんなのかということ。 歳だって離れてそう。かと言ってお金があるようにも見えない。年上ならではの包容力や魅力も感じない。しかもリサに対して否定的な意見ばかり言って、結婚する気もない。いや、ほんとリサはこの人のどこが良いんでしょ? もしかしたらこの映画は、『いるはずのない理想の女性』を登場させた、当時の男性たちの願望詰め合わせ映画として人気だったんじゃなかろうか・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2023-07-22 03:30:10) |
173. サイコ(1960)
《ネタバレ》 モノクロ映画に初挑戦。映画『ヒッチコック』を見てから、どーにもこーにも興味が湧いて見ちゃいました。 ブルーレイで見たこともあってか、思っていたより鮮明な画像で大変見やすかったです。 冒頭の横領はなんだったんだとか、あの思わせぶりな警官はいったいなんだとか、後半の展開とは全然関係のない前半。いや、もしかしてこれミスリードっていうやつじゃないですか?当時リアルタイムでこれを見た人は、予想していた展開とは全くちがう動きを見せ始めるストーリー展開に、ただただ驚いたかもしれないですね。 テンポはお世辞にも良いとは言えません。見る人によっては無駄が多いと思えるかもしれません。ですがこれを60年以上前の映画の味だととらえることもできると思います。 そして最近の映画と違って目が疲れない。カメラワークがせわしない昨今の映画と比べ、1つ1つのシーンを落ち着いて見せてくれます。これは今の映画にはない良さかもしれないですね。 現代のホラーやサスペンスと比べてしまえば、いささか刺激は足りないかもしれません。 グロい描写もほとんどないので、ホラー初心者の方はこーゆー映画から見始めていくといいのかも。 それにしても、ホラーというジャンルはあまり時代を感じさせない、良いジャンルだなぁと思う今日この頃です。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-07-20 04:15:05) |
174. エンド・オブ・ホワイトハウス
《ネタバレ》 なんか既視感があると思ったら、これダイ・ハードと同じシチュ。できればホワイトハウスの内部を知り尽くしているからこそできる、地の利を活かした戦いみたいなものがもっとあれば良かったかなと。隠しアイテム見つけるだけじゃね。それはそれでちょっとテンション上がるけどサ。 テロリストの総大将カンが、『我々は死んだと思われている』って大統領に言っていましたが、ケルベロスコード入力しちゃったら『まだ生きています』って言っているようなもんじゃん。あのヘリに搭乗した仲間と人質は無駄死にもいいとこ。そんな死に方させるなら、テロリスト側の紅一点のお姉ちゃんに華々しい死に場所を用意させてほしかったです。 こうしてみると、終盤は脚本の詰めの甘さが結構ひどいかもです。 ですがホワイトハウスが陥落するまでは圧巻の迫力。このシークエンスだけでも見る価値ありです。 そっからさきは、特殊部隊出身のマイク・バニングのダイ・ハードアクションを満喫。一粒で二度おいしい映画です。 そうは言っても裏切者君の動機が、国家反逆罪を背負うにはすげぇ曖昧だったり、やっぱ気になる点は多々ありでして。せめて裏切者君の大切な家族が人質にとられていてやむを得ずって感じなら、また深みも出たんでしょうけど。動機ぐらい納得いくものを用意してほしかったです。 とゆーことで、脚本重視の方や完璧な整合性を求める方には向かない映画と言えそうです。 あ、ただし、ちょっと誤解されている方がいらっしゃるみたいなので、1点だけ補足説明を。 アッシャー大統領は自分のケルベロスコードを言ってしまったわけではありません。最後のケルベロスコードは暗号解読ソフトかなんかで解読されちゃったのです。ただ3つのコードをすべて解読するには数日かかると、最後のほうのシークレットサービス長官と誰かのやりとりでさらっと説明されています。だから、大統領以外のコードは拷問や脅迫で吐かせたわけです。確かに説明不足でわかりにくいとは思いますけどね。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2023-07-18 15:11:05) |
175. SAFE/セイフ
《ネタバレ》 ジャンル『ステイサムもの』っていうのがあってもいいくらい、ステイサムものです。 今作のステイサムは特に強く、もはやスティーブン・セガールがのりうつっています。 愛する妻が殺されて茫然自失とはいえ、冒頭やられっぱなしになっているのが不自然なほど驚くべき強さです。 ただ前半にフラストレーションをためるだけためさせといて、後半いっきに爆発させるっていうストーリー展開は嫌いじゃないです。 これぞ間違いなくカタルシスを感じる王道パターン。 まさかの四つ巴戦ってのもアツい。チャイニーズマフィア、ロシアンマフィア、悪徳警官ズ、ステイサム(笑)。 ステイサム以外は全員悪党。更には市長、その市長とつながっている刑事、少女に親切にした女性も全員悪党。 いや、きもちいいくらいクズばっかりです。 対するステイサムは一人。仲間、協力者、いません。しかも女の子のお守りつきのハンデマッチ。 にもかかわらず、銃で、素手で、時には皿で、どいつもこいつもかたっぱしから皆殺し。まさに鬼神のごとき活躍ぶり。こーゆー感じのスカッとするアクション映画はスティーブン・セガール以来でしたので、とにかく爽快でした。 不満点を挙げるなら、チャイニーズマフィアのボス、ロシアンマフィアのボス、汚職警官のウルフ警部、市長、この人たちが生き残っているのが気に入らない。せめて妻を殺したロシア野郎くらいはやっちゃって良かったんじゃない?セガールなら有無を言わさず秒殺なのに、ジェイソン・ステイサム演じるヒーローは、妙なところで紳士的なのが玉に瑕だ。 ちなみに市長がウルフ警部に、ルークがいかに凄い人物か説明するシーン。『切り札』みたいなこと言っちゃって。ここ、個人的に胸アツ激アツシーンです。だからてっきり市長はルークの理解者で味方になるかと思いきや、こいつはこいつで悪い奴なのね。残念。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-07-16 20:56:05)(良:1票) |
176. デンジャラス・ラン
《ネタバレ》 ミステリアスな雰囲気のプロローグ。これは小難しい感じのやつかと不安に・・・。 いえいえ、実際はそんなことはなく、いたってよくある・・ごほんごほん、失礼(^_^;) まあ悪く言えばありきたり。良く言えばシンプルでわかりやすい。そのぶん新鮮さや斬新さとは無縁ですが。でも人の好奇心をくすぐるくらいのミステリー要素はあるんですけどね。定番ならではの面白さだって約束されています。 私は個人的にトビン・フロストが持っているブツが気にはなっていたのですが。要はCIAやM16といった諜報機関の不正・汚職詰め合わせファイル。CIAの役付きが、そんなものを暴露されているとは困ると暗殺者グループを差し向けただけっていう、小者臭漂う真相なのは拍子抜けでした。テロから市民を守るとか、そーゆーのだったらもう少し大儀を感じられてアツくなれるんですけどねぇ。フロストの体験談で、ぎりぎり大儀を感じられるくらいです。 ある程度映画を見慣れている人からすれば、すべて予想の範囲内でしかストーリーが動きません。 私は定番・王道・ありきたり、嫌いじゃないのでそれなりに楽しめますが。そーじゃない人には物足りないかもしれませんね。 アクションが、アップの多用。激しいカメラの切り替わり。そして暗い。だから総じてとても見づらい。特に追っかけっこのときがひどい。驚かせるのも、油断したところで突然車ドーン。狙撃バーン。の繰り返し。いや、それ自体は良いんですが、そればっかりだとあまりに芸がない・・・。技術とセンスの無さを、テンポと勢いで誤魔化しているかのよう。 ・・・・まあ、最近のアクション映画ってこんなのばかりですが。 そろそろ作り手の自己満足、独りよがりは卒業してもらって、見る側のことを考えたアクションを撮ってほしいものです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-07-16 05:56:55)(良:1票) |
177. ヒッチコック
《ネタバレ》 そーいえばヒッチコックの映画って見たことない・・・ どーしてもモノクロ映画ってなかなか見る気が起きなくて・・・ そんな私が『サイコ』を見たくなってしまう、そんな映画です。 なんかこの映画見て、俄然興味が湧いてきちゃいました。 ライトな伝記ものとして、大変そつなく簡潔にまとめられています。『サイコ』の制作の裏側に限定したことで、90分という短さにまとめられたのも良かったのかもしれません。 当時の映倫は非常に厳しかったんだとか、配給会社のパラマウントとの確執だとか、当時としてはきっと珍しかったであろう猟奇サスペンスを撮るのは大変だったんですねぇ。 ( ゚д゚)ハッ!もしかして『サイコ』だけモノクロなのは、パラマウントが出資してくれなかったから?単なる資金不足? それにしても、ヒッチコックは奥さんも映画製作に協力していたのですね。お互いの仕事のことがわかっているから、反発しながらも苦しいことも嬉しいことも分かち合えている様子がなんか良かったです。私も妻と同じ職場なので、なんだかすごく共感しちゃいました。 ・・・だからこそ、奥さんがウィットに惹かれていくようなエピソードって必要だったのか、これこそ蛇足じゃないかと思う次第です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-07-12 14:53:36) |
178. スター・トレック/イントゥ・ダークネス
《ネタバレ》 とっても厳しいご意見が多いなか、旧シリーズを知らない私はおおいに楽しめました。 前作のように、カークがなし崩し的船長になっちゃうような不自然な流れはありません。 カークはもうすでにキャプテンで、仲間たちとある星を救うところから物語は始まります。このオープニングから見所満載。火山の迫力、それが一瞬で凍り付くシーン、そんなクライマックスのような見せ場を惜しげもなく導入部分で見せちゃう。最近の娯楽映画のよいところが出ているように感じました。 星を救い、仲間を救ったが、干渉するのは重大なルール違反。船長の任を解かれ、スポックとは離れ離れに。あーあと思いましたが、ここで新たな脅威襲来。だれも気付いていないなか、カーク一人だけがこの罠に気づいている展開が何気にアツい。 そう、今作はストーリーがイケています。マーカスとハリソン(カーン)という二大悪を用意。更にはその二大悪同士が敵同士という設定。マーカスもハリソンもそれぞれ陰謀があるから、ストーリーが二転三転して面白い。前作とは違い、中盤以降はとにかく目が離せません。 アクションシーンで好きなのは、ハリソンがグリンゴン相手に無双するシーン。 正直ここでのハリソンはかっちょよく、そしてなんか理性を感じ、そんなハリソンが仲間なのかと思わせるほどにマーカス提督は極悪。でもマーカス提督が極悪にならざるをえないほどハリソンは超危険人物で。 旧作のスター・トレックを知らない身としては今作単体での評価とはなりますが、非常に面白かったデス。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-07-10 01:04:03)(良:1票) |
179. パラノーマル・アクティビティ5
《ネタバレ》 『第一夜』のフレーズが出てくると、ぐっとパラノーマルっぽくなります。「呪いの印」ではそのフレーズが出てこなかったし、そもそも定点カメラもなかった。なんか足りないな~と思った原因はそれか。今作を見てわかりました。 さて、今作ではまた設定をいじくっております。 『あの人』=『トビー』を復活させるためには6月6日生まれの子供二人の血が必要・・・。とうとう男の子である必要もなくなりました。まあ、いい加減な後付け設定はこのシリーズの持ち味ですね。 今作ではついにトビーが黒いもやもやで視覚化されます。そのぶん突然「わあっ」って驚かされる感覚は軽減されたように感じます。ここにきて真っ当なホラー映画っぽくなってきたと感じるのですがいかがでしょう。 更には1988年のビデオテープに映るケイティが、こちらの家の様子を見ているというアイデアが斬新。なんかぞっとする恐ろしさを感じて好きでした。パターン化されたなかに、新しい試みを取り入れていて、個人的には良かったです。 最後がいつも通りのパワーゲームで終わってしまったのはなんだかなぁ。まあ映画としては正解なんでしょうけど。 結局はいつも通りのバッドエンドか。両親も神父もみんな殺しちゃってかわいそうに。 まあでもトビー君、ようやく体を手に入れられて良かったですね。ごくろうさまでした。 [DVD(字幕)] 7点(2023-07-08 15:11:40) |
180. パラノーマル・アクティビティ/呪いの印
《ネタバレ》 もう真相だとか真実だとかはどーでもよくなった感じ。 実は、謎は謎のままだったほうが面白かったりするものです。特にホラーは、真相がわからないほうが次に何か起こるかわからない予測不能の面白さってのを演出できたりします。 この映画もまたしかり。アナがなぜ優等生君やジェシーを狙ったのか。18歳男子なら誰でも良いのか。肝心なことは何ひとつ教えてくれず、思わせぶりなヒントを餌に、ただひたすら驚かせ、怖がらせてくる。だいたい、ジェシーたちの母親が身籠っていたときから何やら怪しい儀式を妊婦にしてたんだぜ~みたいなとんでもないこと言いだすし。かと思いきや、ラストはもうしっちゃかめっちゃかで、魔女たちにとりかこまれるわ、ケイティたちの家にワープするわで、もうやりたい放題。 ま、要するに開き直っちゃっているわけですね。整合性とか前作の関連付けとかストーリーとかどうでも良いだろうと。とにかくびびらせておけば観客は喜ぶだろうと。・・・つまりアトラクションです。5分待ちくらいのアトラクションです。 で、ここまで割り切られちゃうと、それはそれで楽しかったりするのです。出てくるオネーチャンもかわいくて良い感じです。 見て損はないのではないでしょうか。 いや、人によるか。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-07-07 14:41:45) |