1781. ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります
《ネタバレ》 老夫婦とワンコ1匹の暮らし。40年を過ごしたアパートの売買話、テロ騒動、ワンコの急病。ここに二人の若かりし思い出話が挿入された物語。モーガン・フリーマンとダイアン・キートンのいぶし銀の二人が醸し出す落ち着いた雰囲気が心地良い。不動産屋のモーレツ仕事人ぶりが作品にメリハリをつけている。イスラムというだけでテロリスト容疑をかけられた青年を「ブチ込め・撃ち殺せ」という売主から買うのを止めたのは分かるものの、売るのを止めた理由が今一つ分からなかったのにモヤモヤが残る。 [インターネット(字幕)] 6点(2018-03-22 16:12:28) |
1782. 黒蘭の女
使用人達が意外にも生き生きしているのと、黄熱病大流行の史実が印象的。毒婦というより小生意気な娘に見えたジュリー。ベティ・デイヴィスなので身構えて観ていましたが、他愛のない悪役ぶりにずっこける。中途半端な盛り上がりの物語が歯痒い。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-22 00:27:25) |
1783. 歌行燈(1960)
お袖と喜多八の裏山での稽古の幻想的な美しさに美術の方々の気迫を感じます。能に何の造詣もないので解り辛いのですが、結末に見るように芸道の厳しさよりメロドラマに重きをおいた作品に感慨も今一つ。山本富士子の固い演技にも引いてしまいました。 [DVD(邦画)] 6点(2018-03-19 09:37:59) |
1784. 少年の町
神父の高い理想を実現させた親友モリスに拍手喝采。「ええハナシやなぁ」とは思いますが、スペンサー・トレイシーのオスカー受賞には「これで?」と拍子抜けであります。 [DVD(字幕)] 5点(2018-03-18 18:58:08) |
1785. サンダーボルト(1974)
《ネタバレ》 むさ苦しいイメージしかないジェフ・ブリッジスの屈託のない笑顔に「へぇ~」っと驚くばかり。私もラストに真夜中のカーボーイが浮かびました。都合良く生き残って都合よく大金をせしめるサンダーボルトに何一つ魅力を感じず退屈なオハナシに眠気が襲う。珈琲3杯飲みながらどうにか完走、疲れました。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-17 23:44:00) |
1786. 必死の逃亡者
犯罪者、被害者一家、官憲、それぞれの必死さが生み出す緊張感が途切れることのない展開。加えて一家の絆の強さにじわじわと感動が湧きあがり、「パパ、僕も人質になるよ」「バカな事を。お前は悪い子だ、パパに楯突いてばかり」に涙腺決壊。ボギーを自分の引き立て役にした感があるフレデリック・マーチにキュンキュンさせられ通しで、ラストの手招きにまた涙。ボギーの手下2人がアホアホでなかったら10点でした。どのようなジャンルでも一級品に仕上げる巨匠に拍手喝采。 [DVD(字幕)] 8点(2018-03-17 20:20:19) |
1787. マタ・ハリ(1931)
スパイとして大した事をしていないグレタ・ガルボの気障ったらしい言動に白けます。切なさ募る別れの場面ではありますが、ただならぬ気配を感じられない中尉さんが何だかなあと盛り上がりませんでした。情けない役柄のライオネル・バリモアにもガックリ。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-16 01:51:49) |
1788. シェイプ・オブ・ウォーター
《ネタバレ》 乳児に負った傷がもとで言葉を発せない女性とアマゾンから連れてこられた言葉を発せない半魚人の恋。互いが自分の事を分かってもらえる事の喜びが滲み出ており、半魚人の得も言われぬ美しい目が語る胸中が切なさをかきたてる。個人的に助演男優賞が相応しいと思ったマイケル・シャノン演ずる力だけが正義と信じているストリックランドが本作のキーパーソン。マイノリティに対するこの男の言動に「便所のような国」発言の大統領が思い浮かぶ。60年代東西冷戦と半魚人の関わりの掘り下げが浅いのが惜しいものの、ラストショットまで目の離せない、余韻の深い、記憶に留まる秀作でした。 [映画館(字幕)] 8点(2018-03-16 01:39:54) |
1789. オックスフォード連続殺人
《ネタバレ》 高邁な数学・哲学理論で彩られていながら事件の真相は数学に何の関係も無い下々の人間臭い動機であるのに白けてしまい、お粗末な結末に「何じゃこりゃ」 天才数学者役のジョン・ハートは見せ場は無く客寄せパンダのようでガックリ。暇つぶしにもならない駄作。 [DVD(字幕)] 3点(2018-03-11 21:40:43) |
1790. いとこのビニー
《ネタバレ》 キッチリと描かれた法廷シーンとコメディの塩梅が絶妙な脚本は見事で、大笑いさせられた法廷モノという稀有な作品。何時もの残忍冷酷な役柄でないジョー・ペシのキレるのを堪えてそうな姿に、何時もなら皆血祭りにあげられているのにと思うと可笑しくてしようがなかった。子宮でモノを考えてそうで理知的であるギャップが魅力のモナ・リサ・ヴィトを演じるマリサ・トメイが輝いていた。勝訴の結末は想定内だが、一発逆転の証言の理詰めさが心地良く、後味もスッキリ爽快。掘り出し物の逸品。 [DVD(字幕)] 8点(2018-03-11 17:30:05)(良:1票) |
1791. 失はれた地平線
飛行機が雪山に不時着する迄は手に汗握りましたが、そこから先はなんともはや、脱力感で一杯でした。「足るを知る」考え方は一理ありますが、競争のない世の中は廃れ滅びると思います。静止画像のシーンは驚きましたが、関係者の方々の尽力に敬意を表します。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-10 22:30:14) |
1792. ある過去の行方
子供達の悲しみに押し潰されそうな表情に象徴される全編を覆う陰鬱な空気が堪らない。この監督が描く女性像(監督は「女などこの程度」という意識があるのか?)に今回も吐き気がした。ミステリー要素は盛り上がらず、身持ちの悪い女に胸糞悪くさせられただけの作品。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-10 22:14:39) |
1793. ひとり狼
《ネタバレ》 渡世の掟のみを心の拠り所に生きる伊佐蔵を演じる市川雷蔵に高倉健とは違う重みを感じる。父子の関わりがひとり狼にそぐわないのだが、決闘後に去って行く後ろ姿はさすがに切ないものがあった。美味しい役どころの長門勇の好演も印象的。 [DVD(邦画)] 7点(2018-03-07 15:45:49) |
1794. キンスキー、我が最愛の敵
《ネタバレ》 クラウス・キンスキー死後に作られた本作。キンスキーの天才はナントカと紙一重ぶりを強調するヴェルナー・ヘルツォーク監督。キンスキーが動の奇人でヘルツォークが静の奇人である事が良く解りました。 原住民エキストラが「貴方(ヘルツォーク)の為にあの男(キンスキー)を殺しましょうか」と真剣に申し出たというエピソードに、こんな最凶タッグの二人と共に仕事をしたスタッフに拍手を送りたい。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-07 15:31:32) |
1795. 天国の門
山河・大地の絵画のような光景、エキストラ達の人いきれと喧騒に、監督と会社の戦争を想像させられる。映像の重厚さと反比例するペラッペラな人物描写が致命的で、2日かけてたどり着いた219分間の結末に何の感情も湧かず。歴史のタブーに触れた事以前にとてつもなくお粗末な脚本に酷評の嵐も納得。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2018-03-04 19:21:43) |
1796. コレリ大尉のマンドリン
《ネタバレ》 ウットリさせられたケファロニア島の風景に。史実を知った事に。イアンニス医師が語る「恋の燃え滓が愛」「愛しているなら言われる前に薪を集め、寒いと思ったらショールをかけてやり、畑から帰るときには花を一輪摘んでやる」に。3点。ジョン・ハートがどの時点で死ぬのだろうかドキドキした事に2点。他は明日になったら忘れているだろう凡作。 [DVD(字幕)] 5点(2018-03-03 20:08:45) |
1797. 椿姫(1921)
《ネタバレ》 椿姫(1937)DVDの特典映像であった本作。サイレントであるのを差し引いてもアラ・ナジモヴァとルドルフ・ヴァレンチノの大仰な表情にドン引きしてしまうものの、ギュッと濃縮されたストーリーは分かりやすく、マルグリットの最期の演出は本作が数段上回る。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-03 00:40:42) |
1798. 椿姫(1937)
原作未読。物語自体は他愛のない悲恋ものでアルマンの未練がましさにイラッとしますが、二人のお顔のみならず立居振舞全てに於いて気品ある美しさに格調の高い作品となっています。ライオネル・バリモアの何時も通りの目力で示す存在感が流石。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-01 14:35:41) |
1799. 我は海の子
《ネタバレ》 何でも金で解決出来ると考えている大富豪の社長の一人息子。母は死別、父は多忙、執事とメイドが世話を焼く。憎たらしい小僧のありがちな成長物語だが、兄のような父のようなマニュエルとの交流が胸に沁みる。ディスコ船長の無謀な競争に嫌な予感がしたのが的中し、そこから先は泣き通し。漁での出来事を話しているであろう車中の父とハーヴェイのラストショットが泣き納め。絶品のスペンサー・トレイシーを思い浮かべるとグッとくる。珠玉の逸品。孫が大きくなったら一緒に観てみたい。 [DVD(字幕)] 9点(2018-02-28 14:01:12) |
1800. ぼんち
暖簾を守る事が何よりも優先される船場の狭い世界の「しきたり」は考えられないものばかりで、祖母の一言一句に呆れ返る。喜久治は結婚はこりごりと何人も妾を作って放蕩するが、大店の主として商いも抜かりない。「気根性のあるぼんちになれ」という亡父の遺言は守ったと言える。男性はこういう人物に憧れるのだろうか。現代劇出演は初という市川雷蔵は絢爛豪華な女優達を従えての見事な演技であり、早逝が惜しいと改めて思う。 [DVD(邦画)] 8点(2018-02-28 00:48:00) |