1821. ミッドナイト・エクスプレス(1978)
《ネタバレ》 物語全てが実話であれば3点ですが、かなりの脚色が加えられているようで(所長殺害は最たるもの)、軽い気持ちで外国で法を犯すと大変な目に遭う事を見せつけられた迫力ある佳作。自業自得の極みであるスーザンとの面会シーンが強烈。マックスはあのまま刑務所で朽ち果てたのか(そもそも何故所内で大麻が吸えるのか)2つの大きな謎であります。音楽が耳に残ります。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-29 01:14:45) |
1822. 悪魔が夜来る
《ネタバレ》 悪魔の手下であるジルとドミニクにあっさり籠絡されるアンヌ、ルノー、ユーグ公を白けた目で観ていたのが、中盤で悪魔がお出ましになってからは物語に一気に引き込まれる。この悪魔はどことなく品があり雄弁だが語る内容は傍若無人で全能の魔力で他人を支配出来るとふんぞり返る。ジュール・ベリーの厭らしさに満ち溢れる演技が素晴らしい。「従順でない者には我慢ならぬ!」(ヒトラーも同様の台詞を吐いていたのだろう)と言いなりにならないジルとアンヌを石像に変えてしまうものの二つの石像からは鼓動が聞こえる。1942年当時のナチスに支配されたフランスで亡命せずに作り上げた監督のフランス人としての矜持に脱帽。 [DVD(字幕)] 9点(2018-01-27 12:15:39) |
1823. バンカー・パレス・ホテル
トランティニャン出演以外の知識なく鑑賞。スキンヘッドのアンドロイドチックな存在感は流石で魅入りましたが、お話は退屈そのものでした。エンキ・ビラルの世界観が好きな方には見応えある作品なのでしょう。 [DVD(字幕)] 4点(2018-01-24 15:13:36) |
1824. アリスのままで
50歳を過ぎてから人や作品の名前が出てこない、仕事中に「今、何をしようと思いついたのか?」が数分後に思い浮かぶ事があり「若年性のアルツやわぁ」と笑いを取ってるのですが、本作は笑い事ではなく、築いたものが少しずつ失われてゆく恐怖のリアルさに身につまされるものがありました。家族のありかたも含めて奇をてらわない誇張のない演出とジュリアン・ムーアの表現力が見事。監督の思いを代弁したかのようなスピーチが胸に沁みます。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-21 23:21:25) |
1825. 甘い抱擁
《ネタバレ》 傍若無人且つ下品な初老のジョージと幼児性が抜けない若いアリスの主従関係に辟易する。二人に割って入る中年のクロフトが絶妙の存在感。絵に描いた堅物クロフトのアリスを見る眼差しに抱いた予感が的中する終盤のアリスとの長回しのキスシーンの溢れる官能美に痺れる。まさに圧巻。硬派アルドリッチ監督が描くレズビアンに仰天。ジョージは二人を惨殺しないものの、アリスの過去を晒す残忍さを見せる。職を奪われ愛人アリスを寝取られたジョージの断末魔の「モ~」が自業自得の憐れを誘う。ベリル・リード、スザンナ・ヨーク、 コーラル・ブラウンに喝采。 [DVD(字幕)] 8点(2018-01-21 12:33:54) |
1826. 孤独な場所で
《ネタバレ》 ディクソンが段々怪しく思えてきて本性を現す姿を楽しみにしていたのですが、真犯人が解る過程がお粗末で白けかえる。無実であっても破局は当然で何の感慨も湧かず。 [DVD(字幕)] 4点(2018-01-17 23:02:54) |
1827. プラダを着た悪魔
《ネタバレ》 部下を公私混同も甚だしく(映画なのでデフォルメされているのでしょうが)こき使うカリスマ面のミランダと、職場を腰かけと思って「石の上にも三年」どころかアッという間に転職したアンドレアに何一つ魅力を感じず二人合わせて0点。カリスマ面から残酷な仕打ちを受けても辞めないナイジェルとエミリーに「食うための仕事・ローンを払うための仕事」ではない「好きな仕事」だから辛抱できる頑張れるのであって好きな仕事に就ける幸せを痛切に感じます。スタンリー・トゥッチに4点、エミリー・ブラントに1点。以上よ。 [インターネット(字幕)] 5点(2018-01-15 13:50:26) |
1828. 長く熱い週末
《ネタバレ》 なかなか分からなかった敵がIRAだったとは。狙われる理由は? モヤモヤしていた時に「あ、そう言えば」と冒頭の台詞の無いシーンが思い浮かぶ。「裏切りのサーカス」を思わせる演出。劇中の台詞にあるようにイギリス軍隊が長年に亘って制圧出来ない組織に勝てる筈もないのに引き下がらない独善的、猪突猛進、破滅型のボスを演ずるボブ・ホスキンスは、エドワード・G・ロビンソンやジェームズ・キャグニーやアル・パチーノを彷彿とさせる。ラストの長回しシーンはギャング映画屈指の名場面。お目当てヘレン・ミレンがイマイチなのと耳障りに感じた音楽に2点減点。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-13 23:51:48) |
1829. パリの灯は遠く
《ネタバレ》 冒頭の牛馬の如く扱われる女性が当時のユダヤ人の立場を見せつけます。ロベールの奔走を手に汗握って応援していたので出生証明書が届いた事にも耳を貸さない姿に唖然茫然でつまらなさにガックリしました。しかし、直後のロベールと彼に絵を買い叩かれた男とのラストショットで感想が一変。ユダヤ人に対する不遜な仕打ちに対する天罰なのか、言いようのない恐ろしさで一杯に。故国を追われた監督の心情も考えさせられた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-11 14:52:03) |
1830. 一日だけの淑女
《ネタバレ》 桂福団治さんに演じてもらいたい人情噺。一円にもならない事にも「始めたからには引けん」という親分の侠気に惚れてしまう。真相が何時バレるかハラハラし通しでもはやこれまでとアニー同様観念した途端の奇蹟以上の出来事と見事な演出に感無量。立場は違えど「ヒト」として持ち合わせる人情に心洗われる名作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-01-09 13:07:12) |
1831. 黄金のアデーレ 名画の帰還
《ネタバレ》 オーストリア国家相手の裁判に費やしたマリア82歳から90歳まで8年間の物語。過去と現在を自在に行き来する秀逸なカメラワークで見せる絵画に纏わる一族の歴史とマリアの心模様が実に見応えがありました。ヘレン・ミレンはドンピシャのキャスティングで見惚れました。勝訴して「私は両親を置いて逃げた」とむせび泣くマリアに、絵画まで連れて帰るのか、故国に留まって然るべきでしょう。ナチスに蹂躙されたオーストリアが一方でユダヤ人を蹂躙していた事実が何ともやるせない。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-01-08 14:31:13)(良:1票) |
1832. オペラハット
《ネタバレ》 ゲイリー・クーパー定番の善人が最後に勝つという監督定番の物語。悪い気はしませんが予想通りに事が進み盛り上がりに欠けるもどかしい作品。クライマックスの裁判での反撃シーンは癖をあげつらうだけで拍子抜けでしたが、中身は空っぽの恥知らずでも喋った者勝ちでグッと肚に収めて喋らなければ負けである事を痛烈に感じたところに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-07 17:02:29) |
1833. 百万円貰ったら
《ネタバレ》 パラマウント社の総力を結集したような製作陣と俳優陣。巨万の富は得たが信頼や愛情を注ぐ人を得られなかった余命僅かの社長さんから百万ドル(円じゃない)を与えられた8人それぞれの物語。後味の良いもの悪いものとバラエティに富んだ着想が素晴らしい。印象深いのはウォーカー夫人と紙幣偽造犯と死刑囚と陶器販売店店員。社長がお友達を得たラストが素晴らしい。 [DVD(字幕)] 8点(2018-01-06 16:51:28) |
1834. 生活の設計
85年前に描かれた三角関係のラブコメのカラリとした爽やかさが心地良い。ゲイリー・クーパーとフレデリック・マーチを都合の良い男としてかしずかせるミリアム・ホプキンスは女冥利に尽きますね。夢物語を堪能できる良作。 [DVD(字幕)] 6点(2018-01-06 16:00:37) |
1835. キングスマン: ゴールデン・サークル
《ネタバレ》 予備知識無しでの初日初回の鑑賞。お目当てコリン・ファースの回想シーンで胸がキューン。待ってましたの登場シーンの冴えないオッチャン姿にショボーン。 マーク・ストロングとの別れの場面(・・・Country roads take me home To the place I belong West Virginia mountain mamma Take me home country roads・・・・ 熱唱は本作一番の名場面で左隣の人と一緒に小声で歌いながら胸がジーン)後の活躍にウットリ。 特筆すべきはエルトン・ジョンでコリンと共にロボット犬と戦う姿に笑わされ、「今日は水曜日だろ」のWednesday night's Alright for fightingに懐かしさを覚えました。 折角出演してくれたジュリアン・ムーアの悪党としての淡白さが(大女優にはこれが精一杯か)惜しい。 コリン・ファースのファンの方には楽しめると思われる快作。 [映画館(字幕)] 8点(2018-01-05 16:46:17)(良:2票) |
1836. ジャックナイフ
《ネタバレ》 メグス、デイヴ、マーサ。生きる事にくたびれた三人が、帰還して最初にしたい事を語る圧巻のシーンを機に憑き物が落ちたよう表情となる。ベトナム帰還兵を扱った作品では地味ではあってもデ・ニーロ、エド・ハリス、キャシー・ベイカーの人物を表現する力を見せつけられた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-04 00:15:56) |
1837. 悪の花園
《ネタバレ》 南米に金鉱掘りに向かう船の故障で下船したメキシコで落盤事故に遭った男の救出に向かいあっさり救出した後に先住民と戦う。何じゃこりゃ? な物語。ゲイリー・クーパーは定番の優等生ぶりで見せ場無し。彼を引き立てつつ、おいしい所をさらっていったリチャード・ウィドマークが印象深い。人間扱いされていない先住民の描写が酷い。 [DVD(字幕)] 6点(2018-01-03 10:00:37) |
1838. 夜の人々(1948)
《ネタバレ》 ボウイとキーチ、「俺たちに明日はない」のバカップルとは違う瑞々しい二人の逃避行。結末は分かり切っているものの、それが仲間の裏切り(置手紙を勧める女の顔つきには吐き気がする)によるところがやるせない。監督処女作にして名作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-03 09:35:25) |
1839. 死の谷
《ネタバレ》 更生して穏やかな暮らしを送るための最後の強盗。無法者の身勝手な夢が叶う筈がないのですが、手を繋いでこと切れた二人と、二人の幸せを確信しながら鐘を鳴らす神父さんの姿に切なさで泣けてしまいました。また、多くの者たちの裏切りを見せつけられて、何時の時代も街中が裏切りに溢れているのを再認識させられます。傑作西部劇。 [DVD(字幕)] 9点(2018-01-01 13:48:20) |
1840. ボー・ジェスト(1939)
冒頭から結末までが見事な展開で目が離せない。謎が明らかになる度に深い感慨に包まれる。秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-31 20:22:23) |