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プロフィール
コメント数 2455
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1841.  北国の帝王 《ネタバレ》 
「列車のただ乗りに命を賭ける男」がテーマの映画なんてちょっと前代未聞ですね(笑)。鉄道列車とは普通はどこかに移動するために必要とされるものですが、この映画のホーボーたちは移動地に行く目的があるわけではなく、ホームレスの様に列車で生活している風でもなく、なんかその存在自体が究極の不条理みたいです。そいつらを目の敵にして追い回す車掌との争いは、それだけで現実の世界とはまったく違う別の不思議な空間が広がっている様な感覚すら受けてしまいます。だからこの映画を観るといつも文明滅亡後の闘争を描くSF映画を見せられている様な気になります。 それにしてもリー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインがどアップされるショットは、なんと言うか映画史に残る凄い映像でした(彼らの様な迫力あるご面相の映画俳優は、もう出てこないでしょうね)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-07 17:35:33)
1842.  サイコ・ビーチ・パーティー 《ネタバレ》 
くだらなくてチープなB級をねらって撮ったという感じですが、これが意外とスタッフのセンスが良くて思いのほか楽しめました。今をときめくエイミー・アダムスも出てるのですが、一瞬とはいえ下半身すっぽんぽんのシーンがあるのにはびっくり。ねらって外しているのは判るんですが、実にチープなサーフィン・シーンにはついつい笑ってしまいます。私が一番お気に入りのキャラは女警察署長と警官のコンビで、なぜか署長が女装した男優、警官が男装した女優という“?”な組み合わせなんです。この男優はチャールズ・ブッシュという本作の原作者でもあるのですが、『アダムズ・ファミリー2』にも女装して出演しているし、どうもその気がある人みたいですね。なかなかの才能の持ち主とお見受けいたしました。
[DVD(字幕)] 6点(2011-05-07 00:57:54)
1843.  クリビアにおまかせ!
60年代にオランダで大人気TV番組のミュージカル化だそうで、さしずめ日本で言うと『サザエさん』を実写ミュージカル映画にした様なもんでしょうか。タイトル・バックはバスビー・バークレー風で、ここは必見しょう。主役のクリビアというキャラを演じているルス・ルカという人はオランダでは有名な女優だそうですが、あの顔、どっかでみたことある様な気がするんですけど思いだせない、そう、日本の女優で似た人がいたのかな? なるほどアルバトロスは『アメリ』の二匹目のドジョウを狙ったんでしょうが、ちょっとこれじゃあ無理でしたね(笑)。ミュージカル・ナンバー自体は決して悪くなかったですよ。
[DVD(字幕)] 4点(2011-05-05 23:36:01)
1844.  その男ゾルバ 《ネタバレ》 
遠く離れたアジアの我々にはギリシャ人のイメージは曖昧なものしかなく、せいぜい「陽気な人たち(南国だから)」ぐらいしか頭に浮かばないでしょう。実はあのバルカン半島の民でもあるギリシャ人の民族性はけっこう気が荒く、周辺の国とはしょっちゅう諍いをおこしてきた歴史があります。ゾルバも「戦争に行ったときは、捕虜を殺して女を犯した」と普通のことのように語っているぐらいですが、本作の舞台になったクレタ島というところはゾルバの様なギリシャ本土の人間でもビビるぐらい荒っぽい土地だそうです。イレーネ・パパスを村人総出で殺しリラ・ケドロヴァが死ぬやいなや身ぐるみ剥いでしまうといった蛮行は普通の感覚では嫌悪感がこみ上げてくるだけです。マイケル・ベイツが演じる英国人は半分ギリシャ人だと言うのにギリシャのことは何も知らずに島にやって来て、中途半端なインテリぶりで恋人を殺されるは鉱山開発にも失敗してしまい、結局この映画を通してなにも成就できないで島を去るわけです。ゾルバという男はインテリ作家のベイツと凶暴な島民たちの両者を仲介する使命があったのに、結局単なるピエロで終わってしまったなという印象ですね。ラストのベイツが踊るシーンは、やることなすこと全部ドツボになってしまい、「もうこうなりゃ踊るっきゃないよ!」という開き直りの儀式みたいなもので、人間は誰しもそういう心境になった経験があるんじゃないでしょうか。この映画、どうしてもゾルバのキャラに目が行ってしまうのですが、物語自体もけっこう奥が深い様な気がします。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-04 00:26:49)
1845.  トプカピ 《ネタバレ》 
『ミッション・インポッシブル』のトム・クルーズがデータ室に侵入するシークエンスは、本作の引用というか再映像化だったんですね。「偉大なオリジナル」は後年になって観ると既視感を持ってしまうのはつきものですが、どうしてどうして、オリジナルの侵入シーンもとても60年代の映画とは思えない緊迫感に溢れていますよ。ロープにぶら下がる「声が出せないイタリア人」というキャラも、ソダーバーグが『オーシャンズ』シリーズで「英語は理解しているのに中国語しか喋らない中国人軽業師」としてパロっていますね。メルナ・メルクーリはいつも通りの陽気で豪快な女傑ぶりでさすがにちょっとあのダミ声には引いてしまいますが、せこい小悪党を演じたらピカイチのピーター・ユスティノフには楽しませていただきました。こういう懲りない連中を観ていると、生きる希望が湧いてきますね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-01 22:51:34)
1846.  のるかそるか 《ネタバレ》 
自分はてっきり1レースから最終レースまで全部あてて天文学的な大儲けをする話だと想像してたんですが、中穴を4回あてると言う地味というかわりと現実的(?)なお話しでした。この映画の風味は、そういうスリリングな愉しみよりもリチャード・ドレイファスの周囲の人間たちが織り成す人情小話といった趣です。ドレイファスとテリー・ガーの夫婦だなんて、その性格付けからして思いっきり『未知との遭遇』のパロディですよね。ジェニファー・ティリー、ミシェル・フィリップスといった脇をかためる女優が魅力的なのも良かったです。
[DVD(字幕)] 7点(2011-04-29 21:36:23)
1847.  フォー・ザ・ボーイズ 《ネタバレ》 
自らプロデューサーも兼ねて気合が入っているだけに、ベット・ミドラーのパフォーマンスは一見の価値あり、観て損はしないでしょう。ただあの老けメイクはちょっと凄かった、思わず淡谷のり子を思いだしてしまいました。ということは、淡谷のり子は若いころはベット・ミドラーみたいだったということでしょうか(笑)。そしてジェームズ・カーン、本作を観て彼ほど過小評価されている名優はいないとつくづく思いましたよ。この二人の掛け合いは、まるで本当にコンビを組んでるみたいに息が合っていました。ベット・ミドラーの歌う『イン・マイ・ライフ』はもう絶品です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-29 02:14:34)(良:2票)
1848.  チャイニーズ・ブッキーを殺した男 《ネタバレ》 
ナイトクラブのオーナーであるコズモの視点で描かれたちょっと変なテイストのフィルム・ノワールです。終始コズモの行動だけを追っているので、“殺し”をやってからは画面で何が起こっているのかすこぶる判りにくい。このコズモという男もなかなかユニークなキャラで、裏街道とショウビジネスの裏も表も知り尽くしている上に自分でストリップショーの台本を書き演出もして司会までする。演じるベン・ギャザラの渋さは特筆もので、彼の生涯一の演技かもしれません。 実はコズモはカサベテス自身の投影で、ストリップショーは彼が毎回苦労して撮っている映画の暗喩になっているのではないでしょうか。借金を返してやっとクラブを我がものに出来たと思ったら、すぐさまバクチにボロ負けして負債を作っちゃうところなぞ、映画を撮るのに借金を重ねたカサベテスそのものです。コズモに“殺し”を強要するギャングたちは、さしずめカサベテスを苦しめたメジャーのお偉方やプロデューサーたちということなのかな。すると“チャイニーズ・ブッキー”に擬えられた殺してしまいたいほど憎い奴とは誰なんでしょうね(『愛の奇跡』で編集権をめぐって大げんかになったスタンリー・クレーマーだったりして)。なんて考えてみると、本作は実はカサベテスの『81/2』だったのかもしれませんね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-04-28 00:01:08)
1849.  裁きは終りぬ 《ネタバレ》 
『12人の怒れる男』とどうしても比較したくなるところで、アメリカとフランスの陪審制度の違いが判って面白いところです。陪審員の人数は7人と『12人』より少ないのですが、その分7人の家庭事情を描いているところが大きな違いです。各人の問題を抱えた私生活を通して「このように弱い人間たちに裁きを委ねることが果たして正しいことなのか?」という問題提起は鋭いのですが、映画としては却って陪審員たちに力点が置かれ過ぎてしまって焦点がぼけてしまったんじゃないかな。また直接のセリフはないのですが、安楽死させた女医がユダヤ人であることが色眼鏡で観られることの方が重い問題だと感じました。ただ変だなと感じたのは、裁判が数日にわたるのに陪審員たちが裁判所の外で外部の人たちと自由に裁判のことを話していることで、日本の裁判員制度とはえらい違いだなとびっくりしました。
[DVD(字幕)] 4点(2011-04-25 01:29:16)
1850.  炎の人ゴッホ 《ネタバレ》 
「誰を演じてもカーク・ダグラス」で有名なカーク・ダグラスですけど、ゴッホ役は見事になりきったと言えるでしょう(なんせ、昔から自分がゴッホに似ていると自覚していたそうですから)。もっとも、髭面のゴッホだからトレード・マークの顎が隠れたのが成功の要因かも。 ジョン・ヒューストンの『赤い風車』が大ヒットしたので企画されたというのが真相らしいですが、その分ゴッホの実物画を大量に撮影に使って華やかさを出そうとしています。ゴッホの絵のモデルになった人たちを絵とそっくりのふん装で登場させるところなどはなかなか良いアイデアです。そしてゴッホの絵に合わせたカラー映像は見事な色彩で、特に後半アルルが舞台になってからは数あるヴィンセント・ミネリ作品の中でも屈指の鮮やかな映像です。有名な“耳切り”事件はわりとあっさりした描き方ですが、そこも含めてこの作品の弱いところは、アンソニー・クイン演じるゴーギャンとの交流と確執に至る経過にインパクトが感じられないことでしょう。クインもこの役でオスカーを獲ったぐらいで良い演技ですが、どうもダグラスの大芝居と上手くかみ合ってないのではと思いました。あくの強い俳優同士を共演させて映画を撮るのは難しい、という良い見本なのかもしれませんね。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-19 00:02:50)(良:1票)
1851.  クイズ・ショウ 《ネタバレ》 
こういう実話で社会性を持った作品は好きです、個人的には。このお話はいわゆるTVの「やらせ」問題では元祖ともいうべき事件だそうですね。なんでたかが「やらせ」で議会でとりあげる様な騒ぎになるんだよと思いますが、そこはそれぞれの登場人物の思惑が交差していたからで、そこら辺の描写はレッドフォードらしくきっちり描かれていて好感が持てます。ですけど、「誰も損していない、みんな儲けたじゃないか」という大人のロジックがラストを締めることで、この作品の印象を弱めてしまったのじゃないかな。結局、良心から自ら議会で証言したチャールズ・ヴァン・ドーレンだけが貧乏くじを引いたように見えるところが皮肉です。「トカゲのしっぽ」にされた下請けプロの社長や、出世の足がかりにするために事件を調査した弁護士もその後の人生では成功をおさめて裕福になったととれるテロップが流れて、バカ丸出しの観衆が大笑いする映像をエンドタイトルに持ってくるところはなかなか味がある構成でした。 名優ポール・スコフィールドとジョン・タートゥーロの演技が光っているのは当然ですが、映画監督が二人(マーティン・スコセッシとヴァリー・レヴィンソン)も出演しているのも面白い。特にスコセッシはなんか貫禄さえ感じさせる好演でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-18 00:23:00)(良:1票)
1852.  アメリカの影 《ネタバレ》 
ヌーベルヴァーグが始まったのと同時期にアメリカでもこういう映画が製作されていたというのは興味深い。ヌーベルヴァーグやイタリアン・ネオリアリズムと違って俳優はみなプロを使っているので、即興演出と言っても演技にはぎこちなさは感じられない。むしろ目立つのはカサベテスの監督としての技量の未熟さで、シークエンスが変わるごとにブラックアウトする構成はなんか変だし、映像もかえしのショットが合っていない部分があったりするのはちょっと興ざめでした。でもベン・カルーザスがNYをさまようところなど、後年の『タクシー・ドライバー』を彷彿とさせて良い雰囲気でした。「監督業に進出する俳優」が多数いると言うのはヨーロッパ映画界では少ないアメリカ映画界の特長ですが、オーソン・ウェルズ以来であるカサベテスの存在がなければイーストウッドやレッドフォードの成功はなかったかもしれない。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-04-15 21:21:37)
1853.  卒業(1967) 《ネタバレ》 
ダスティン・ホフマンがあたりまえだけど若い! これが実質映画デビューで、すでに30歳だったとは思えない新鮮な演技です(この人『マラソンマン』でもほとんど40歳でまだ大学生が演じてるから凄い)。今の若い人にはなかなか理解できないベンとエレインの行動だけど、あの時代のカルチャーというか若者のパワーに心を揺さぶられる人もいるはずです。ニューシネマ全盛期ですが、この映画はそのまま絵になる様なショットが多くて、マイク・ニコルズの才気には感服です。そしてキャサリン・ロス、この瑞々しさは永遠にフィルムの上に刻まれていくでしょう。 しかし数ある恋愛映画の中でも、このカップルほど長続きしそうもないと感じられるキャラは他にないのでは(笑)
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-13 01:04:05)
1854.  NINE(2009) 《ネタバレ》 
オリジナルのストーリーを大体忠実にミュージカルしていますが、同じフェリーニ原作のミュージカル『スイート・チャリティ』が元ネタを徹底的に再構築した手法に比べると、女優がひとりずつ一歌を披露する平板な構成はちょっと古めかしいのではないでしょうか。オリジナル『81/2』の伝説的なフィナーレをどういう風にミュージカルとして見せてくれるのか期待していたのに、思いっきり肩すかしくらわされたのにはがっかりです。 とは言え各女優たちのパフォーマンスはやっぱ素晴らしく、特にぺネロぺ・クルスのダンスのエロさはちょっと凄まじかったです。ミス・キャストと評判悪いデイ・ルイスですが、あれでセリフがイタリア語だったらイタリア男としての違和感はなくなったと思いますよ。もっとも、ルイスはハビエル・バルデムが降板したためピンチヒッターだったそうなので、しょうがない面もありますけど。そしてソフィア・ローレン、その美しさはやっぱ凄い存在感でした(ソフィア・ローレンは考えてみればフェリーニの映画に一度も出演してないのですが)。
[DVD(字幕)] 6点(2011-04-10 22:04:55)
1855.  インセプション 《ネタバレ》 
「記憶」をテーマにした『メメント』で映画史に革命を起こした(と、自分は感じている)クリストファー・ノーランが今度は「夢」をモチーフにした映画を撮ったと言うので期待したのですが、まあ何と言うかぼちぼちの出来だったかなというのが感想です。ディカプリオたちは他人の夢に入り込んで潜在意識を操作するというミラクルな技術を持っているのに、その技術を使ってやっているのが産業スパイだというのがリアリティに欠ける気がします。俺だったらもっと凄いことやってやるのに、と残念がる人も多いのでは。考えてみれば、これって“時間を止める”に匹敵する様な妄想を呼び起こさせる設定だと思いますけど。 意外とその“なんでもあり”的な夢の世界の映像に突拍子のなさが少なかったのは拍子抜けでした。いちばんインパクトがあったのは、車道を列車が爆走してくるシーンで、後半の雪山での展開は安っぽいアクション映画みたいでいただけません。ラストのコマがまわるカットは、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、解釈を観客に丸投げした様なところがあり、ノーランらしさが感じられて良かったですね。
[DVD(字幕)] 7点(2011-04-10 01:51:52)
1856.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
日本特撮怪獣映画の原点にして頂点。おそらく本作を超える怪獣映画はどんなに頑張っても製作出来ないだろう。自分が生まれて初めて観た怪獣映画がNHKで放映された『ゴジラ』だったのは感慨深いものがあります(たしか日曜日の夕方だったことまで40年以上たっても記憶に残っています)。 円谷英二の特撮は単なる技術の成果ではなく、ゴジラの「見せ方」へのこだわりがリアルな恐怖を生んでいる。当時のハリウッド映画では主流ではなかったゴジラのスーツアクションも、技術的に未熟だったためにあまりに重くなり過ぎたことが却って“巨大な生物”としての生態を感じさせることに成功しています。 そして海外の人には決して理解されそうもないのが、日本人にとってゴジラは“戦争の災禍”と“核の恐怖”の表象として恐怖心理を刺激することでしょう。シリーズを重ねるごとにゴジラの恐怖が薄れてゆくのは、戦後の復興と経済成長が重ね合わされて興味深いところです。しかし21世紀の今日、日本人は再び“原発が吐き出す放射能の恐怖”に直面させられることになったわけで、『ゴジラ』が持つテーマ性はこれからも色あせることはないでしょう。
[地上波(邦画)] 10点(2011-04-07 00:16:48)(良:1票)
1857.  特攻大作戦 《ネタバレ》 
ご存知『イングロリアル・バスターズ』の元ネタの一本。普通これだけ男を集めた映画ならひとりぐらい女性ファン用に二枚目俳優が混ざるものですが、まあ見事なまでにいかつい悪人面を集めたものです。そして「七人もの」の定番なのは集まった男たちが何か特技を持っているところですが、12人がただ凶悪犯であるということしか特徴がないというのもある意味いさぎよいところです。その12人とリー・マーヴィンをキリストと使徒たちになぞらえるシーンまであり、ちょっと悪乗りし過ぎです。中でも私のお気に入りはウォーデン将軍役のアーネスト・ボーグナインで、この人その後に三作作られた続編に全部ウォーデン将軍で出演しているんですね。それだけこのキャラは観客に受けたってことなんでしょう。前半の訓練パートはアルドリッチらしいごついユーモアに満ちて楽しめて、いざ敵地降下してからは計画は狂いっぱなしで結局12人のうちチャールズ・ブロンソンしか生き残らなかったのですが、不思議と悲壮感が全然ないところも私は好きです。ブロンソンがラストに言う、「将軍殺しが病みつきになりそう」は名セリフです。
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-04 20:40:35)
1858.  ニューヨーク、アイラブユー
今まで観たことない様な構成で、オムニバス好きな私としては満足の一編でした。イメージビデオ風あり、ファンタスティック調のエピソードあり、そしてオチが秀逸なコメディありとそれぞれの監督が撮った素材をここまで上手くつなげられたのは、編集の手腕でしょう。クリス・クーパーとロビン・ライト・ペンのエピソードが個人的には好みです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-02 00:55:08)
1859.  ブロンコ・ビリー 《ネタバレ》 
深刻なテーマを取り上げる様になる映画としては完璧な後年の作品より、初期から中期の軽く荒削りなタッチのイーストウッド監督作の方が個人的には好みです。その中でも本作はイーストウッドのベストフィルムと言っちゃってもいいんじゃないかな。 他愛もないお話しなんですが、弱者や負け組への温かいまなざしがとても心地よい。ブロンコ・ビリーを始め登場人物の造形が良く考えられていて生き生きしている。サンドラ・ロックのツンデレぶりと後半のイーストウッドへのデレデレぶりの変わりっぷりが、イーストウッドの男としての願望がストレートすぎるほど単純に表現されていてもう笑うしかありません。ジェフリー・ルイスの絡み方などはストーリー・テリングとしては粗さが感じられますが、実に愛すべき一篇です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-03-31 23:08:00)
1860.  恋人たち(1958) 《ネタバレ》 
まるでモーパッサンの短編小説のヒロインの様な奔放な衝動に駆られる女が主人公ですが、演じるのがジャンヌ・モローですからこれはありです。ジャンヌ・モローはルイ・マルが撮るともっとも美しくなると再確認いたしました。ジャン・クロード・ブリアリと肌を交わしてからの彼女の表情・仕草の妖艶なことと言ったら、ちょっと頭がくらくらするほどでした。彼女が生きる田舎のブルジョア生活も、ブルジョア階級出身のマルだからとってもリアルに描いています。同時期のヌーヴェル・バーグ作品とは明らかに違う質感の作品です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-26 23:32:44)
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