1861. 蛇の穴
何かが起きそうでハラハラしながら目が離せなかったが大きく盛り上がることなく終わったのが残念。虎の穴なら知ってるけど蛇の穴って? 一番の疑問が解けた光景が強烈で皆が悲しみやトラウマを背負っているのだろうかと考えさせられた。患者をモノとして扱う看護師に対するキック先生の人間として接する姿も印象深い。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-27 09:59:12) |
1862. ミスター・アーサー(1981)
アーサーと執事の一言一句にクスッとさせられた脚本、気品あるジョン・ギールグッド、懐かしの名曲が印象深いが、誰にも共感出来ない深みのない作品。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-11-26 22:40:58) |
1863. 追想(1956)
《ネタバレ》 猛禽類の眼差しのユル・ブリンナーと凛としたイングリッド・バーグマンの放つ大スターのオーラに魅了される。 特筆すべきはヘレン・ヘイズ演ずる皇太后。 謁見シーンからラストまで二人を完全に食ってしまう貫録の存在感で 「私は過去に生きる、貴女には未来がある」に泣けてしようがなかった。 将軍の極々淡い恋心を察した計らいに感動し、互いに「好きだ」と告げるシーンを一切見せない粋な演出に感服し、物語の〆の一言にとどめを刺された。テーマ曲共々珠玉の逸品。 [DVD(字幕)] 9点(2017-11-25 18:37:34)(良:2票) |
1864. ドクトル・ジバゴ(1965)
雄大な風景と澄んだ音楽の効果をもってしても何一つとして響いてこない。身持ちが悪い女と優柔不断な男の単なるよろめきドラマであり、トーニャの視点がすっぽり抜け落ちているのが身勝手な男にとっての都合の良い女を表していて胸糞悪い。動乱の時代背景は何の言い訳にもならず。唯一興味深かったストレルニコフの最期を言葉だけで済ます演出に駄作確定。製作陣のやる気が尽きたかのような尻切れトンボの結末に鑑賞リタイアを思いとどまった事を後悔。原作ありきのせいなのか、ロバート・ボルトやデビット・リーンをもってしてもこんなものしか出来上がらなかったのが残念。3時間以上の駄作にぐったりとなった。 [DVD(字幕)] 3点(2017-11-21 14:56:13)(良:1票) |
1865. ジュリア
《ネタバレ》 初見。度々挿入される回想シーンから二人の絆とそれぞれの人となりが窺える無駄なシーンが一切無い見事な展開。列車内のリリアンから感じる恐怖感が手に汗握るほどではなかったのが残念でしたが、カフェでの再会シーンは圧巻であり二人は愛し合う男女に見えました。今生の別れになるのは想定内でしたが、ジュリア亡き後にその存在までも抹殺されてしまう戦いの陰惨さが堪える。打ちひしがれるリリアンに寄り添うダシール・ハメット、羨ましい光景でした。リリアン・ヘルマン、フレッド・ジンネマン、ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレイブ、気骨のある人達の気迫を感じる名作。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-20 12:26:07) |
1866. 月下の恋
霊の存在を否定する男が数々の心霊現象を目にするありがちな物語。ボディダブルのベッドシーンはトンチンカンな邦題に相応しい失笑モノ。昔あったCM「きれいなだけでは叱られます」があてはまる何も心に残らない凡作。 [DVD(字幕)] 3点(2017-11-15 14:12:50) |
1867. 嵐の中で輝いて
《ネタバレ》 お目当てのジョン・ギールグッドは魅力を発揮できない役どころで肩すかしを食う。リンダのネットリとした口調が生理的に合わなかったせいなのか、その行動は我儘で無鉄砲にしか見えない。エドが彼女の窮地を救う姿にも都合の良さばかりが目について盛り上がらない。突っ込みどころ満載のつまんない作品のまま終わりそうなのをラストで登場するエドに救われる。はにかんだ笑顔に胸が熱くなった。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-13 11:13:57) |
1868. ドレッサー
《ネタバレ》 一夜のリア王公演の閉幕までが実に丹念に描かれている舞台劇。暴君サーと付き人ノーマンの果し合いは鬱陶しい限りだけれど見入ってしまう。劇場は破壊され団員は徴兵される戦時下にあって、正装して空襲警報が鳴っても動じず幕が上がるのを待っている観客達に満足して帰ってもらう、劇団の矜持を二人から感じ取る。ノーマンがサーを失い取り乱すラストは居たたまれない。演技上の果し合いではトム・コートネイに軍配を。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-11-06 10:00:06) |
1869. ヨーク軍曹
《ネタバレ》 製作年を考えると戦意高揚映画にしか見えない。ご都合主義な展開に辟易。放蕩息子であった時から慈愛を注ぎ続ける母と、英雄譚で金儲けすることを拒否したヨークに辛うじて救いを見た作品。 [DVD(字幕)] 5点(2017-11-05 20:13:23) |
1870. 第十七捕虜収容所
描かれる捕虜収容所生活は、捕虜達は愛国心に溢れるでもなし、独軍は管理者としての厳格さはあるものの陰惨さはなし。更に密造酒、鼠レース(爆笑)、覗きの行列(「早くしろ!俺の順番には婆さんになってしまう・・・」爆笑)、チョビ髭達の「ジーク・ハイル!」(爆笑)、大量の煙草、等々実に能天気なもの。オスカーを逃したのが残念なアニマル役のロバート・ストラウスに大笑いさせられる。スパイが判明する件から結末までは一転して手に汗握る緊張感に包まれる。孤高を貫く男(渋すぎる)セフトンの言うとおりあれしか方法はないにせよスパイの最期に息を呑む。ユーモアと非情さの塩梅が絶妙なワイルダー監督の名人芸をいつも通りに堪能させてもらった快作。 [DVD(字幕)] 8点(2017-11-05 09:51:09) |
1871. 将軍たちの夜
《ネタバレ》 クリストファー・プラマー目当ての鑑賞。「待ってました~、オトコマエ~」と座り直した途端に・・・流れ星のような存在でした。 1942年ナチスドイツ占領下のワルシャワで起きた娼婦猟奇惨殺事件。目撃者の証言をもとに絞られた容疑者はガプラー大将、タンツ中将、カーレンベルク少将。上官であっても犯罪は許さないという執念で捜査にあたる情報部少佐グラウ。1944年ヴィシー政権下のパリに舞台は移り異動してきた容疑者たちとグラウが顔を揃え第二の事件が起きる。1964年ハンブルグに舞台は移り第三の事件が起きる。 ワルシャワロケにおける実際の火炎放射器、戦車の砲弾を使用したど迫力の戦闘シーン、ハルトマン伍長とガプラー大将の娘の純愛、グラウとモラン警部の友情、ワルキューレ作戦。詰め込み過ぎのエピソードのせいで冗長になったのは惜しい。 謎解きの面白味は皆無でありながら、大量殺人が行われている戦時下に於いては一人の娼婦殺人の罪を問うグラウは変わり者だと錯覚する事を考えさせられる。 本作を支配するタンツ中将の空前絶後の怪異なキャラクターは特筆もので演ずるピーター・オトゥールに拍手喝采。 [DVD(字幕)] 7点(2017-11-03 21:09:48) |
1872. 偽りの忠誠 ナチスが愛した女
齢87歳にして矍鑠としているクリストファー・プラマー。往時より軍服姿が誰よりも板についている彼は本作でも威厳に満ちた佇まいを見せる。 印象深いのはエディ・マーサンが演じたハインリヒ・ヒムラーで見事な役作りだった。 漂う残忍さはナチスそのもので、傲慢な皇帝を黙らせる冷徹さだった。 物語としては大尉とメイド、皇帝とメイドの交流に現実味を感じなく、肝心のサスペンス色も弱い。都合よくまとめられた結末もまったく物足りない。 [DVD(字幕)] 6点(2017-11-02 13:37:24) |
1873. ラスト・タイクーン
ロバート・ミッチャム目当ての鑑賞。大物俳優がゾロゾロ出てくるがクソつまんないオハナシ。臆面もなく共産主義云々の台詞を吐かせる恥知らずな下衆監督の遺作に見合った滓動画。 [DVD(字幕)] 0点(2017-10-30 16:38:37) |
1874. 尼僧物語
《ネタバレ》 1920年代のベルギーで女子は尼僧になり医学校に研修で派遣される以外医学を学べなかったそうで。ベルギー領コンゴでの医療活動の目的の手段であった尼僧生活。人間離れした厳しい戒律模様を冗長に感じる程丹念に描いている。シスタールークとしての日々の葛藤をフォルテュナティ医師が「君は人としての意思を持っている。修道院が望む尼僧にはなれない」と端的に指摘する。二人のごく淡い思いが忘れ難い。地下活動に身を投じる為還俗するラストシーンの後ろ姿。監督のカトリックへの批判を感じました。キャピキャピしていないヘップバーンを堪能出来た良作。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-30 00:41:30) |
1875. ヒトラー 最期の12日間
《ネタバレ》 自国の負の歴史をドイツ人らしい実直さで表した作品。第一次大戦敗戦後国民の為にと台頭し国民の支持を受けたヒトラーが、「彼らが死んでも同情はしない」「彼らが私を選んだのだから自業自得なのだ」と平然としているのが地下要塞の上で繰り広げられている壮絶な市街戦を一層虚しいものにしている。 こんな筈ではなかった、と。 秘書本人が最後に語る「ヒトラーがあのような怪物だとは知らなかった・・・」云々にそんな筈は無いと言いたい。ヒムラー、ゲッペルス以外の幹部について知識があれば観方も変わるのだろうと思った。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-10-28 20:23:54) |
1876. 愛する人
自分の娘と息子に常々「子供はコウノトリが運んでくるのと違う、軽はずみなことをしたらアカン、もし授かって産むと決めたら成人するまで責任持って育てなアカン、『ダーウィンが来た』に出てくる動物たちも精いっぱい子育てしてるやろ」と話しています。カレン、エリザベス、ルーシーの物語が並行して示され、最後に繋がる脚本の見事さに唸らされる。カレンそのものではないかと感じさせられるアネット・ベニングの演技力が絶品。どういう特殊メークなのか不思議でしようがなかったナオミ・ワッツのおなかが正真正銘の妊婦さんだった事に仰天。添え物的な男性陣の描かれ方が物足りないものの見応えある良作。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-10-28 11:07:12) |
1877. 山河遥かなり
《ネタバレ》 ロケ地ドイツの当時の荒廃模様はまさに国破れて山河あり。救い出された子供たちは皆が無感情で、極めつけのカレル少年に胸が詰まる。少年に人間味を取り戻させる米兵演じる苦手なモンゴメリー・クリフトに初めて感動させられた。まだかまだかとお預けさせられた母子再会に心からの拍手を。 [DVD(字幕)] 8点(2017-10-23 13:58:44) |
1878. 日曜日には鼠を殺せ
《ネタバレ》 憎しみ合うマヌエルと署長の物語に割って入るフランシスコ神父の存在が本作を奥深いものにしています。 「神の法と署長の法、どちらに従うのか」 他作品でも見られた問いかけは監督の強い思いなのでしょう。 また、スペイン内乱で神父(当時10歳)の父を殺害したのは人民側じゃないと言うマヌエルに対する「何の違いが? 命を奪う権利があるとでも?」が返す言葉がないマヌエル同様胸に突き刺さる。 マヌエルの覚悟に、無聊をかこって生き続けるより曾ての闘士として母と一緒に眠りたい思いを見ました。 「ジャッカルの日」が思い浮かんだ敵地の対決模様で迷った末署長よりカルロスを狙撃したのは意外であり、裏切者は許さないという監督の強い思いがここにも表れており圧倒されます。 マヌエルの最期に浮かんだのが母でなくパコであったのは、復讐を託すのではなく、憎しみに縛られず生きて欲しいという願いなのでしょう。 感慨深い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2017-10-23 13:20:16) |
1879. スコルピオ
子供時分にどうしても観たかった念願がようやく叶い、更にポール・スコフィールド出演に期待がパンパンに膨れ上がる。彼の重厚な声に惚れ惚れするも中途半端な役どころでフェードアウトしてしまうのが歯痒い。アラン・ドロンは浮ついているし、バート・ランカスターは痛々しい。空回り感が残念な作品。 [DVD(字幕)] 6点(2017-10-23 09:53:17) |
1880. ハムレット(1990)
《ネタバレ》 初見、原作未読。苦手なメル・ギブソンの嫌味のない熱演に好感が持てました。僅かな出番で物語を引き締めるポール・スコフィールドの凄味に魅入ります。結末は人を呪わば穴二つの上に叔父と母まで死んでしまう重苦しいものでした。諸悪の根源である叔父の淡白さが残念でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-10-21 23:16:58) |