1901. 愛のコリーダ
《ネタバレ》 女の名が「阿部定」と分かった時点で、既に結末は分かってしまう。 しかも、内容はひたすら性交渉のみ。 大島渚監督の果敢なチャレンジ精神と、藤竜也の一世一代の熱演は評価に値するが、映画として良かったかというとそうでもない。 ただし、婆さんとの絡みはインパクトが物凄く、類い稀なる作品であることは実感できた。 殿山泰司の、あっちがダメな乞食もついでにインパクトあり。 それにしても、子供のアレをつまむシーンって、かなり問題があるんじゃなかろうか・・・ [ビデオ(邦画)] 5点(2009-09-21 05:01:20) |
1902. Orz ボーイズ!
ファミリー、キッズ向けの健全すぎるファンタジー。 途中、アニメが何度も挿入されるが、これがまたあざとさが感じられて、嫌悪感が。 それと、終始ガキが騒ぎまくっているのが癇に障った。 アジアのまだ観ぬマイナー傑作映画を探す旅は、どうやら今回は失敗に終わったようである。 だが、アジアのマイナー映画には、珠玉の作品が多く、又それらは、日本で観ている人は少ないので、パイオニアの精神でこれからも探し続けていきたい。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2009-09-18 00:53:11) |
1903. 人間の壁
教育という問題を軸に、日教組や自民党の話も抱合された内容で、政治的な側面もあり、また、教育問題についても真剣に取り組んだ作品である。 香川京子が女教師役を演じているが、本人もおっしゃっているように、どうもしっくりきていない感じがした。 そもそも題材が教育問題で、しかもそれを生真面目に取り上げているから、遊びがまったくない。 例えば、宇野重吉と香川京子のロマンスが、もっと具体的に起きていたら、もう少し遊びのある楽しい作品に仕上がったんじゃないだろうか。 私が宇野重吉の立場だったら、離婚したばかりの香川京子からの好意を利用して、抱きつくなりしただろうに、もったいない! [DVD(邦画)] 5点(2009-09-17 05:37:27) |
1904. 嵐を呼ぶドラゴン
少年の頃に、TV放映を観てあれだけカンフー映画に夢中になったはずなのに、大人になると、こんなにも楽しめないとは・・・ 歳をとって、沢山の映画を観てマイナスになることもあるんだなぁ・・・という感慨におそわれた。 だけど、オープニングのショウ・ブラザースのタイトルのかっこよさ。 あのかっこよさは、少年には分からないであろう、大人だからこそ感じることのできる興奮である。 少年と大人の分岐点。 それはどこにあるんだろう・・・ [DVD(字幕)] 3点(2009-09-15 23:48:44) |
1905. 牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(188分版)
全く面白くない。 しかも異常なくらいに長い。 長いだけでなく、それ以上に長く感じた。 ホウ・シャオシェンの作品と比べると、感情豊かでないというか、親しみのわく、あの柔らかな光線がない。 ただ、台湾映画として、ホウ・シャオシェン作品と共通する部分はあった。 日常にふってわく暴力描写。 どうして台湾映画って、こんなにも地味な暴力描写が多いんだろう。 この頃の台湾は、実際に暴力にあふれていたんだろうか。 だとすれば、台湾のこの時代の荒んだ世相を、画面にストレートに焼き付けていたともとれるが、しかしながらそれ以上につまらないのが事実であって、映画として感銘するにはいたらなかった。 [ビデオ(字幕)] 2点(2009-09-15 21:38:20) |
1906. ポストマン・ブルース
《ネタバレ》 郵便屋の仕事の単調さを描いた前半は、これからの展開に期待をさせて良かったものの、コミカルな刑事達が登場した辺りから、段々、この映画そのものが鬱陶しくなってきた。 刑事達の登場は端役なら何とか辛抱できたかもしれないが、後半に行くに従ってどんどん物語の中心に出てくるもんだから、いよいよもってストレスが爆発。 しかも、中途半端に長い。 刑事達が悪ノリする後半が、とにかく長く感じた。 全体的に安っぽい邦画という印象。 そして、自分には到底合わないシニカルな笑い。 「邦画は安っぽい」というイメージを増長する、A級戦犯的な作品。 [ビデオ(邦画)] 0点(2009-09-14 02:40:12)(良:1票) |
1907. どついたるねん
ボクシング好きの私という観点で観ると、ただボクシングの試合を観ているだけでは分からないボクサーの裏側というか、体重を搾ることの大変さとか、そういう部分が実にリアルで楽しめた。 それに対し、映画好きの私という観点から観ると、赤井英和のあまりの素人さぶりに映画としての質の問題を考えてしまった。 そんな中、原田芳雄は孤軍奮闘の熱演。 元々、そんなに好きな俳優ではなかったが、そんな自分の原田芳雄に対する印象を変えてしまう位のかっこよさ。 赤井英和のまずい演技にも関わらず、この作品が映画としての体裁を立派に保っているのは、他ならない原田芳雄の熟達した熱演に拠る所が大きいと思う。 [DVD(邦画)] 6点(2009-09-13 16:24:18)(良:1票) |
1908. どっこい生きてる
《ネタバレ》 なんとも暗い作品で、観ていて楽しい気分にはなれない。 最後は希望を含んだ展開をみせて終わるものの、どこか強引で少し不満。 子供が危険にさらされて、奮起してまた日雇いで仕事を探す、という意味であろうが、日雇いで何とかなるなら、一家心中なんか考えなかったはず。 そこら辺が少し納得がいかない。 ただし、河原崎長十郎の演技は迫真に満ちており、往年の爽やかな印象とはかけ離れた落ちぶれた男をすんなり演じているのはさすがである。 それにしても、中村翫右衛門が中村翫右衛門に見えなかった! 役作りのせいか、それとも老けたせいか。 もっと小粋な雰囲気をもった役者だと思っていたので、すこし寂しい気分だ。 [DVD(邦画)] 6点(2009-09-10 05:55:41) |
1909. クレールの膝
ロリコンで膝フェチの気色悪い勘違いヒゲ野郎に、生理的嫌悪感が爆発。 というか、冒頭でこのヒゲ野郎が登場した時点で、気分が悪くなった。 まず、ヒゲがうざい。 そして、単に膝が綺麗な少女に変態的性欲を感じただけなのに、理屈をつけてそれを正当化。 最後のオチをみれば、ロメールがこのヒゲ野郎を滑稽な存在として描きたかったことは理解できるものの、とにかくそれまでが気持ち悪さ全開で、最後まで観ていることが非常に苦痛だった。 このヒゲ野郎に生理的嫌悪感を感じさえしなければ、愚かな男のおかしなお話で終わっただろうが、私の様に不快感を感じてしまうと、不快極まりない作品と感じてしまうに相違ない。 又、ロメールならではのセリフの多さにも辟易。 ウザキャラ達の勘違い会話を聞いているだけで仕事の疲労が倍増してしまったよ! ロメール作品は二度と観まいと心に誓った作品。 それにしても、あのヒゲ野郎は男の中のクズだ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2009-09-08 23:31:03) |
1910. 變臉~この櫂に手をそえて~
《ネタバレ》 こりゃ、いかん、安っぽいヒューマニズム臭が漂い過ぎだ。 大体、あの老人は気色が悪い。 老人と少女との心温まるヒューマンドラマといったところだろうが、陳腐な作りで感動に至らない。 大体、少女が落下して、タイミング良く受け取るシーンなんて、まさに臭すぎ。 都合良すぎる。 全てにおいて胡散臭く、そしてあざとい演出が癇に障った。 [ビデオ(字幕)] 2点(2009-09-07 02:08:39) |
1911. 静かなる男
これはつまらない。 乱暴な男に、がさつな女。 そんな二人のラブストーリー。 終わりそうで終わらず、変に寄り道するストーリー展開にイライラ爆発。 このままエンドレスかと思いきや、無理矢理ハッピーエンド。 なんじゃこりゃ。 [ビデオ(字幕)] 1点(2009-09-06 23:07:09) |
1912. 泥の河
《ネタバレ》 レーザーディスクにて図書館で鑑賞。 LDってのは、あの重さ、あのデカさがとにかく個性的で、リッチな印象がある。 さて、本作について。 1980年代の邦画最強の1本ということで、かなり期待して観たが、残念ながらその期待を上回ることはなかった。 子供が主演で、実にうまい子役だとは思うが、子役に頼り過ぎ。 俳優や女優の深みのある演技や、若手俳優や女優のフレッシュ感とかが映画の良し悪しを左右すると思っているだけに、これだけ子役に出ずっぱりをやられちゃうと、感心はするが、どうも映画としてはいまいち楽しめない。 ただし、蟹をマッチで焼く子供ならではの残酷さ、子供が売春行為を目の当たりにしてしまうことの背徳感は、モノクロの泥臭い映像と相まって、心に強く突き刺さった。 小栗康平がこの1本目で賞を総なめにして監督デビューするが、この作品で過大に評価されてしまったのではないか。 その後の作品も『死の棘』を除いて良いと感じた作品もなく、ここまで賞を与えてしまった功罪というものを考えずにはいられない。 [レーザーディスク(邦画)] 5点(2009-09-06 17:10:45) |
1913. 燃えつきた地図
勅使河原宏監督、最大の失敗作。 特に、安部公房とのコンビは、『他人の顔』『砂の女』という傑作を残しているだけに、これはなんとも哀しい作品となってしまった。 唯一良かったのは、勝新太郎と渥美清のからみの部分だ。 そっけない勝新太郎に、しつこくからんでくる渥美清。 この対照的な二人が、絶妙な間でもって電話で話すシーンは、自殺という暗いネタが背後ありながら、とてつもないユーモアを感じてしまった。 話をロクに聞いてもいない勝新太郎に、たたみかける様にしつこく話しかける渥美清のセリフまわしは、後の寅さんのごとく天才的なものを感じた。 虚しい朝の訪れを、独特のセリフまわしで話す渥美清を観られたことが、この作品を観た唯一の収穫であった。 [映画館(邦画)] 3点(2009-09-06 00:18:54) |
1914. 暗戦/デッドエンド
《ネタバレ》 音楽がどうも気に入らなかったのと、アンディ・ラウがそれほど好きな俳優ではないこともあって、完全には乗りきれなかったものの、小道具の使い方や意外な展開、そしてスピーディで飽きさせない内容は、なかなか楽しめた。 特に気に入ったのは、最後に宝石をニセモノと称して、バスで何度か居合わせた女性にプレゼントしてしまうところ。 ここにちょっとしたロマンスのスパイスが効いており、じんわりと心に残った。 [ビデオ(字幕)] 6点(2009-09-06 00:07:19)(良:1票) |
1915. エノケンの頑張り戦術
エノケンは別に好きではないので、それほど面白くはなかったが、主演二人のもの凄いアクションシーンに圧倒された。 頸を捻るシーンは、これがほんとに頚椎がやられちゃうんじゃないか、と観ているこっちが心配になるくらい無理に捻るのだ。 按摩のシーン→頸を捻る→取っ組み合い→寝技→ボクシング 、とアクションは流れるように展開され、この作品がコメディであることを忘れさせるほど、スピーディで、ど派手なアクションシーンであった。 これほど危険なアクションシーンはかつて観たことがない。 ハリウッドのどんなに有名なアクション映画でも、この二人のアクションには到底及ばないであろう。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-09-05 08:46:04) |
1916. 遥かなる山の呼び声
《ネタバレ》 高倉健の「奥さん~」で始まるしぶ~い語りかけ。 「奥さん、体触ってもいいですか」。 おっと、こんなセリフはなかったね。 ところで、武田鉄矢のパートは要らん! さて、本題。 これはまさしく男女それぞれの性というものを実に雄弁に語っている。 高倉健が雨しきる夜、いきなり倍賞千恵子のもとに現れる。 最初、倍賞千恵子は高倉健をあやしみ、距離を置く。 しかし、高倉健の人間性、男らしさに触れるにつれ、次第に心を開き、ついには恋心が生まれる。 しかし、そこで高倉健は去ろうとする。 男は女に近づき、そして去る。 それを必死に食い止めようとする女。 女という生き物はなんて不思議な生き物なんだろう。 あれだけ最初は煙たがっていたのに、男が意を決して去ろうとしても、そこに食らいつく。 男はちょっとした気で近づいても、女はそれに一度取り込まれると、もう離れたくなくなる。 男の気まぐれ、女の一途な想い。 そして、一度好きになった男が殺人犯と分かっても、好きな気持ちは変わらないという、女の心の強さ。 男女がそれぞれに持つ性質を、実に分かりやすく描いていて見事だ。 最後の電車の中のシーンが、最後の最大の見せ場だが、ここは少々強引さが感じられる。 しかし、そこは山田洋次マジック! 強引だなぁ、と思わされるも、まんまと高倉健の熱い男の涙にやられてしまった。 親が無惨に死んでもこらえたその涙。 その涙も、倍賞千恵子の「待っている」の一言で、あっさり頬を伝う。 ケレンミのあるラストシーンだが、実に力強く感動に導かれた。 山田洋次監督作品としては、『男はつらいよ』シリーズを別格とすれば、本作が最高傑作かもしれない。 [DVD(邦画)] 8点(2009-09-02 22:54:14) |
1917. 最高殊勲夫人
終始ハイテンション、そして細やかな舞台演出と、卒のない内容で最後まで楽しめたものの、源氏鶏太が原作のせいか、ストーリーが変にまとまりすぎていて、どうも窮屈だった。 女性達は揃いも揃って毒を吐きまくるが、これが痛快というより、むしろ辟易してしまう内容で、観ていて爽快になるようなものでもない。 女性陣は又、華やかながら、魅力に欠けるキャラクターばかりで、心が休まらない。 若尾文子も、他の増村保造作品の若尾文子に比べて、女性的な魅力がいまいち発揮されていなかった。 [DVD(邦画)] 6点(2009-09-02 00:13:20) |
1918. 孤独な場所で
《ネタバレ》 とにかく終り方が良い。 あの破滅的なエンディング。 見事な終わらせ方だった。 そもそも、ボガートは暴力的で、別に殺人疑惑がなくても、遅かれ早かれ主人公二人の仲は破綻したに違いない。 大体、何が原因であれ、これから結婚しようとする相手をあそこまで恐れているようでは話にならないのではないか。 誤解とかいう以前の問題である気がする。 ボガートは、今まで大嫌いな俳優の一人だったが、本作でそんなに苦手でもなくなった。 迫力もあり、迫真の演技も光っていた。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-01 22:04:55) |
1919. 恋のエチュード
明らかに『突然炎のごとく』と似た作風である。 『突然炎のごとく』は感情移入が全くできず、数多く観てきたトリュフォー作品の中でも苦手な作品となってしまったが、本作はそれほど違和感は感じなかった。 しかし主人公が、ここまで姉妹にこだわり続ける男にしては、かなり軽薄であり、その辺も腑におちない。 そしてまた、ジャン=ピエール・レオは名優だが、この作品の主人公としては適役でない気がする。 彼にはもっとガキっぽくて、舌っ足らずな少年(風)が似合うからだ。 卒のないストーリー運びと、尺の長さから、かなり王道なフランス恋愛映画と感じはしたが、トリュフォーにはもっと別の魅力があると思う。 それは、“遊び”を使った軽妙な喜劇、もしくはヌーヴェルヴァーグ全開の馬鹿げた恋愛こばなしとか。 本作のような、王道をいくフランス恋愛映画のような作品では、トリュフォーの魅力は十分には感じることはできなかった。 それと、トリュフォーならではの、体のパーツ、もっと具体的に言えば「足」に対するこだわりが影を潜めてしまっている。 どこか偏執的でマニアックな感じのする捻じ曲がった恋愛映画なんかを撮らせると、天才的な力を発揮する監督だけに、こういった重厚な音楽が背景に流れるような、美しさが前面に出た恋愛映画は向いてないんじゃなかろうか。 トリュフォー作品の鑑賞数も22本となり、未見の作品はほとんどなくなった。 トリュフォーは、男女を描きつつも、多様な作品に挑戦した監督であった。 トリュフォーを好きな映画ファンが、一番好きなトリュフォー作品を挙げると、それぞれが結構違った作品を挙げたりすることが多いが、それだけトリュフォーという映画作家が、奥行きが広く、チャレンジ精神が旺盛な監督だったということを、伺い知ることができよう。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-31 22:15:15) |
1920. 死の棘
ホラーであり、コメディ。 この絶妙な味わい。 いやぁ、楽しかった。 しかし、岸部一徳が演じた夫は凄い。 ここまで妻に食いつかれて、最後まで立っている。 いや、途中何度か倒れかけはしたが、それでも持ちこたえた。 この映画の何が凄いって、この夫でしょう。 この映画は、私のような妻帯者に“浮気”というものの怖さを強烈にうったえてくる。 こんな映画を観た後は、とてもじゃないが、浮気なんてさらさらする気も起ってきません。 それにしても、この当時の精神病院って、怖いのねぇ・・・ 電気ショック療法に、持続睡眠療法?! 風景描写も含め、そんな時代背景を垣間見れるところも、本作の見所の一つだ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-30 22:39:55) |