1921. ワルキューレ
《ネタバレ》 未遂に終わったヒトラー暗殺計画「ワルキューレ作戦」を正確な日時を明確化してその過程は明らかになっている史実にかなり忠実に再現されていると思われます。側近に囲まれて守られているヒトラーに面会が叶う大物(今回はシュタウフェンベルグ大佐)しか暗殺決行は出来ず更に彼は決行後直ちにベルリンに戻り、その後の作戦の指揮も執らなければならない。シュタウフェンベルグ級の人物がもう1人いれば違う結果もあったかもしれない…。という作戦の過程や弱点が予備知識が無い者にも分かりやすく丁寧に作られていると思います。ただ、ヒトラーは暗殺で死ぬ訳ではなく、自殺したという事なので、この作戦が失敗に終わる事は観る者にも明らかな訳で、その面での面白みは無い。しかしこの作戦に関わったシュタウフェンベルグを中心にレジスタンスの男達の人間ドラマはなかなか楽しめました。それだけに作戦の計画から崩壊する過程を日時を追って描くよりは失敗に終わるこの作戦に関わったシュタウフェンベルグと仲間の男達の熱い人間ドラマをもっと見たかった気がします。 また、計画に気付きながらも告発することなく見逃し、しかし計画が失敗した途端に首謀者達を即刻処刑するも、自らも間もなく処刑されてしまうフロム将軍が印象に残った。首謀者達と深く関わる事になる体制側の人物についてのもう少し突っ込んだ人物描写も見たかったとも思います。 [映画館(字幕)] 7点(2009-03-24 22:16:09)(良:1票) |
1922. テス
このような気が滅入りそうになるストーリーの映画は正直あまり好きになれない。嫌なニュースの多い昨今、せめて映画を観ている時くらいハッピーな気持ちになりたいという考えがあるので、多少強引でも、都合の良すぎる展開でも、ハッピーエンドの映画が好きです。しかしこの映画に関してはナスターシャ・キンスキーの凛とした美しさと彼女の演じるテスの芯の強さがとても印象に残りました。 [DVD(字幕)] 4点(2009-03-23 22:46:20) |
1923. マーシャル・エンジェル
《ネタバレ》 久々につまらない映画を観てしまったなあ。感想としてはそんな感じですか。アクションもお色気も中途半端で地味。この手の映画はもっとド派手に弾けてくれたらそれなりに細かい事は気にせず楽しめる娯楽作になると思うのですが…。 [DVD(字幕)] 2点(2009-03-23 09:09:17) |
1924. アトランティック・シティ
《ネタバレ》 街の至る所が建築ラッシュに沸き、合法的なカジノの街に生まれ変わろうと刻々と街の表情を変えていくアトランティック・シティ。そんな街とは対照的な、羽振りの良かった過去を「あの頃は良かった」と懐かしんで生きていく事しか出来ず、活気のある街から置いてけぼりの落ちぶれた小心者の老ギャングを演じるバート・ランカスターが実にいい味を出しています。特にラスト近く、コイントスをして車のキーを渡し、気持ちよくスーザン・サランドンを送り出すランカスターが哀愁漂うも、とてもいかしていた。監督がルイ・マルだからでしょうね。この手の題材のアメリカ映画とは一味違う雰囲気が良かったです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-03-22 23:43:33) |
1925. 道(1954)
《ネタバレ》 最も印象に残るのはザンパノがジェルソミーナを1人残して去っていくシーンです。毛布を掛けてやり、幾らかのお金を握らせ、彼女が好きだったトランペットを置いて去っていく。その表情にはそれまでに見せてきた粗暴さは無く、彼女の方を振り返りながら立ち去るザンパノが印象的でした。あそこが彼の人生という道の分岐点だったんですね。それだけに海岸で号泣するラストシーンのザンパノの姿が悲しい。その時の自分の行動や判断が正しかったのか、それはその時には分からない。答は後になって道の途中で気付く時がある。そしてその道はいくら後悔しても決して引き返してその地点まで戻る事が出来ない。しかしこれから進む道は自分しだいで変えていけるはず。それが人生という道なんですね…。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-03-22 02:59:30) |
1926. ミクロの決死圏
《ネタバレ》 子供の頃TVでわくわくしながら観ていましたね。理科の授業や教科書や理科室の人体模型を見るよりはるかに自分の体内にも存在する小宇宙を実感しました。進路を外れて心臓を通る事になったり、手術室のハサミなどのアクシデントもよく計算されていたと思います。体内の様子が神秘的で幻想的で、そして誰とでも気軽に楽しめる娯楽エンターテイメントとしても今観ても十分面白い。体内に残してきた潜水艇はあのままでいいんですか?とかツッコミどころもあるのですが、CGも無い40年以上も前に作られた本作も映画史の中の記念碑的作品の一つだと思います。 [地上波(吹替)] 7点(2009-03-21 16:14:19)(良:2票) |
1927. アメリカン・グラフィティ
《ネタバレ》 高校生の時TVで初めて見た。僕がまだ生まれてない頃のアメリカの青春群像。音楽と映画の雰囲気が見事な一体感で、タイトルまで知っている曲もあれば曲名は知らないけれど耳にした事のある曲ばかり。そんな音楽にクルマに女の子とのドライブやダンスなど、この映画で描かれる一夜が田舎の高校生の僕には別世界のようでもあり、身近な事のようにも感じられた。鑑賞後はモーレツにアメリカに憧れた。そして今でもたまに観たくなる映画の1つ。当時は憧れの世界だったこの映画。年齢を重ねるごとに同じ映画でも見方や感じ方が変わってくることもある。でも、この映画の雰囲気が大好きである事はずっと変わらない。 [地上波(字幕)] 8点(2009-03-20 18:16:18) |
1928. ショコラ(2000)
《ネタバレ》 ラッセ・ハルストレム監督の映画には小さな町や村がよく似合う。良質のおとぎ話か昔話のようでゆったりとした気分で楽しめる映画です。出番は多くないですが、ジョニー・デップはこういう台詞の少ない役がよく似合いますね。最後のアンリ神父の説教「人間の価値は何を禁じるか、排除するかでは決まらない。むしろ何を受け入れるか、誰を歓迎するかで決まるのでは?」がこの映画の全てを現しているようで感動しました。その後、眉間のしわの取れた伯爵がヴィアンヌと目が合った時に見せた穏やかな表情がカロリーヌの笑顔や祭りを楽しむ村の人々の表情と共に印象に残りました。ジョゼフィーヌの店の名前も良かったですね。親子の旅が終わり、彼が村に戻ってくる。みんなが幸せになるこんなラストの映画がとても好きです。 [映画館(字幕)] 8点(2009-03-18 22:37:09)(良:1票) |
1929. 百万長者と結婚する方法(1953)
《ネタバレ》 この頃のアメリカの陽気なコメディはいいですね。マリリンにはやっぱりコメディがよく似合う。本作でも陽気でかわいいマリリンの魅力が全開。そんなマリリンを観ているだけでも楽しい気分になります。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-17 00:08:22) |
1930. 明日に向って撃て!
《ネタバレ》 ニューシネマは苦手ですがこれは何度でも観たくなる映画です。「スティング」でもそうですが、ジョージ・ロイ・ヒル監督にポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの映画史に残る最強コンビ。面白くない訳がないですよね。2人がそこにいるだけで絵になる。会話も、佇まいも2人の何もかもがカッコいい。そこに絡むバート・バカラックの音楽も効いています。“雨にぬれても”のメロディにのせての自転車に乗るシーンは名シーンですね。2人のほのぼのとした雰囲気に“雨にぬれても”のB.Jトーマスの歌声、メロディがとてもよく似合っていました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-16 23:58:41) |
1931. 紳士は金髪がお好き(1953)
《ネタバレ》 楽しいですね~。音楽に歌にダンスにこの頃の映画の持つ楽しい雰囲気に、マリリンのコメディエンヌとしての魅力が満開。もうそれだけで十分です。本作でも見せてくれる彼女の陽気でどこか子供っぽさを残した可愛らしさが大好きです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-15 14:45:40) |
1932. キング・オブ・コメディ(1982)
《ネタバレ》 あまり好きな映画ではないですが、本作で見せてくれたデ・ニーロの素晴らしき怪演は数ある彼の名演技の中でもかなり強く印象に残っています。自室でジェリーと大声で妄想の真っ最中にお母さんに叱られているデ・ニーロがカワイイです。ジェリーの車から降りた次のシーンで本当にジェリーと一緒にランチしてる!とびっくりしたけど次の瞬間これが妄想だと分かる。何なんだこれは…?と、これでもうデ・ニーロとスコセッシ監督の作る独特の世界に一気に引き込まれます。妄想、薄ら笑いに高笑い、何度もオフィスに押しかけ、別荘で空気が読めず友達の如く振舞う様子や漫談に至るまでデ・ニーロの表情と演技を見ているとやっぱり彼は凄いなあと思わされます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-03-15 03:44:41) |
1933. バンド・オブ・ブラザース<TVM>
《ネタバレ》 実に素晴らしい戦場の人間ドラマでした。一話ごとの完成度が高く、部下を愛し、部下のために行動し、部下を失う上官の気持ちやお互いを思いやる戦友の絆の深さなど一人一人の戦場の人間描写が見事でした。また、幾度となく登場する重傷を負い、死んでいく兵士の最後の表情に戦争の惨さを感じずにはいられません。第8話の2日目の斥候を出す作戦の際、「朝までゆっくり眠れ」というウィンターズの勇気ある決断には感動しました。全10話中、第9話と最後の第10話が特に印象に残ります。ラストでE中隊の面々が野球をする姿と共に語られるその後の人生、それに続く今なお健在なE中隊の方々の回想にも感動しました。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-14 11:17:47) |
1934. サン・ジャックへの道
《ネタバレ》 亡くなった母親の遺言に強制され、あるいは遺産目当てで巡礼の旅に出た仲の悪い3人の兄弟が旅の果てにもっと大切な物に気付くというストーリーを軸に、この3兄弟と共に旅に出る人達が皆個性豊かでひたすら徒歩で行くゆったりとしたロードムービーの展開の中、様々な事情を抱えた彼らが次第に心を通わせ1つになっていく過程に心が和みます。最初は最もこの旅をバカにしていた長男が「一緒に旅をしている僕らは皆兄弟だ!」と神父に盾突くシーンがとても良かったですね。旅が終わり、皆が笑顔になっていたラスト、特にラムジィが温かく迎えられる様子に観ている僕の顔にも自然に笑みが広がっていました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-03-11 23:47:40) |
1935. さらば、わが愛/覇王別姫
《ネタバレ》 京劇で女形を演じる為に生まれてきたかのような蝶衣、「さらばわが愛 覇王別姫」に主演する為に生まれてきたかのようなレスリー・チャンの妖艶さが凄かった。脇を固めるコン・リー、グォ・ヨウも印象に残る見事な演技を見せてくれました。(この2人、チャン・イーモウ監督作品「活きる」では庶民の夫婦役でしたが、この時の2人も素晴らしかったです)覇王別姫で人気を博した蝶衣のまるでそのストーリーを生きたかのような人生と中国の動乱の時代に翻弄された京劇と登場人物の波乱に満ちた人生を描いた圧倒的なスケールの叙事詩に釘付けで実に中身の詰まった3時間でした。ラストの壮絶な幕切れに鑑賞後はかなり長い時間余韻に浸ってしまいました。チェン・カイコー監督の、京劇の女形の壮絶な人生を描いたという、まさに本作と同じ世界に再び取り組んだ「花の生涯―梅蘭芳」がもうすぐ公開されますね。今度はどんな京劇の世界と人生を見せてくれるのか楽しみです。 [映画館(字幕)] 9点(2009-03-08 20:19:21) |
1936. 薔薇の名前
《ネタバレ》 原作は読んでいないし、中世の時代背景やキリスト教に関する知識も無いので全てを理解していたかという自信は無いですが、話の軸がそちらではなく、あくまで修道院の連続殺人の謎解きミステリーであったので楽しむ事が出来ました。薄暗く終始夜のような寒々しい修道院、数々の仕掛けの施されたまるで迷路か迷宮のような図書館、次々に登場する得体の知れない修道士など、ミステリーの舞台となる修道院の怪しげな雰囲気に引き込まれます。そんな雰囲気の中、謎を解き明かしていくショーン・コネリーの渋い魅力とクリスチャン・スレーターの純粋な若者の2人の存在が輝いていました。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-07 21:46:09) |
1937. 潮風のいたずら
《ネタバレ》 ゴールディ・ホーンがとても可愛く、コメディエンヌとしての魅力あふれる何度でも観たくなる映画です。実生活でも夫婦であるカート・ラッセルや子供たちとの息の合った掛け合いが微笑ましくとても楽しいです。笑って、泣いて、ケンカして、一生懸命生きて、普段着の自分と高級ドレスに身を包んだ自分のどっちが本当の自分なのかに気付いて、本当の1つの家族になって、最後はみんな幸せ。観ている僕たちにも幸せな気持ちと元気を分けてくれる陽気な人生賛歌です。沿岸警備艇の乗組員の「違反行為に愛の告白は入っていない」の台詞が素敵でした。 [DVD(字幕)] 9点(2009-03-07 13:20:27)(良:1票) |
1938. once ダブリンの街角で
《ネタバレ》 何となくTVで観始めたのですが、冒頭の街角で歌う「彼」の歌から一気に引き込まれました。評判が良く、期待して観て期待通りだった映画もいいけど、こういう素晴らしい映画との偶然の出会いって本当に嬉しいですね。できれば映画館で彼の歌を聴きたかった。また、「彼女」もとても素敵で良かったです。楽器屋で彼はギター、彼女はピアノで2人で歌う姿がものすごく素敵でいい雰囲気でした。そしてレコーディングのシーン、彼の飾り気の無い等身大の自分の思いをぶつけた歌詞、その腹の底から吐き出すような歌い方、その歌う表情とそれに合わせる彼女のピアノと控えめだけど綺麗な歌声。こんなに感動する歌を久しぶりに聴いた気がした。作品全体が何となく悲しげで、出会った頃から二人が結ばれない予感がした。一緒にロンドンに行く終わり方も悪くないけど、2人が自分でそれぞれの道を歩み始めたラストはこれからの2人の人生に幸あれと応援したい気持ちで一杯になった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-03-06 22:56:32) |
1939. 新・男はつらいよ
《ネタバレ》 「笑える」という要素を考えた場合、この第4作はシリーズ屈指のとても面白い作品になっていると思います。それだけでも本作に十分高得点を付けられると思うのです。お馴染み、寅さんが帰ってきた時に起こるとらや騒動。本作のハワイ旅行騒動は何度見ても本当に面白い。また、後半に栗原小巻演じる春子先生に恋をする寅さんが「は~るが来た!は~るが来た!」ととらやに入ってくる場面や、婦系図を語るおいちゃんとそれを聞く寅さんの2人の見せる至芸にも何度観ても大爆笑です。大笑いさせてくれる場面やエピソードが一杯詰まった第4作。とっても貴重なおばちゃんのスカート姿も素敵な第4作。8点とさせていただきます。 [地上波(邦画)] 8点(2009-03-05 14:41:25) |
1940. 続・男はつらいよ
《ネタバレ》 寅さんの葛飾商業の恩師、坪内散歩先生と寅さんのお母さんを演じる東野英治郎さんとミヤコ蝶々さんが実にいい味を出しています。特に散歩先生が好きですね~。酒を飲みながら寅さんを叱り付け、神妙な顔でその説教を聞く寅さん。このかつての恩師と教え子の2人のいる場面がとても素敵です。そこに絡む本作のマドンナ、佐藤オリエ演じる夏子もとても魅力的です。散歩先生が寅さんを呼びつけ、かつての教え子に「江戸川のウナギが食いたい」無茶を言い、寅さんに一旦断られると「もういい!」ダダをこねる恩師。老いについてしみじみと考えさせられますが、教師を退職した後も自宅で英語を教えている近所の子ども達に囲まれ、親孝行な娘と自分を慕ってくれるかつての教え子と過ごした散歩先生の人生最後の日々はとても幸せだったでしょうね。あたたかい気持ちにさせてくれるラストはシリーズ屈指のとても素敵なラストシーンだと思います。そうそう、病院のベッドの上で腹巻に鉢巻姿でバイの様子を披露する寅さん。これはもう渥美清さんの真骨頂ですね。 [地上波(邦画)] 9点(2009-03-05 14:37:16)(良:3票) |