1941. パリ、テキサス
《ネタバレ》 不器用で要領よく社会に適応していく事ができない男。ヴェンダース監督が好んで取り上げる人物像。本作の主人公トラヴィスもまさにそんな男でした。弟夫婦の家で息子と再会し、息子との心の距離を少しずつ埋めていく描写が微笑ましく、その後の息子との旅もヴェンダースらしいとても静かなロードムービーが独特の色調が綺麗な映像、ライ・クーダーのギターと共に印象に残ります。ただ、トラヴィスが身勝手に家族の前から姿を消し、今度は息子を連れて弟夫婦のもとを去り、最後はまた再会を果たした妻子のもとを去る。この一連のトラヴィスの行動、特に最後のトラヴィスの選択に全く共感する事が出来なかった。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-17 22:05:26) |
1942. 男はつらいよ
《ネタバレ》 第1作にして「男はつらいよ」シリーズの面白さの全てが既に完璧に備わっていて、寅さんと、おいちゃん、おばちゃん、さくら、社長、御前様、博・・・愛すべき柴又の人々のキャラクターが既に完璧に確立されていて、全てはこの第1作から始まったこの記念すべき作品に付ける点数は10点以外に考えられません!私のレビューの中で男はつらいよシリーズの10点を付ける率が飛び抜けて高くなっていますが、これはもう好きなんだから仕方がありません。寅さんとさくらの2人の兄妹がとても素敵で温かい第1作。寅とさくらが再会した場面(寅さんのうれし涙をこらえての「小便してくらァ」がいいですねえ!)、寅とおいちゃんが大喧嘩をした後、地べたに座り込む寅にそっと寄り添い笑うさくら。さくらが博との結婚を告げるシーン、寅さんファンならみんな大好きなさくらの名台詞「お兄ちゃん!」・・・。心が疲れた時、辛い時何度寅さんと柴又の人々に元気を貰ったか分からない。このシリーズを観る度に日本人に生まれて良かったなあとしみじみ思えるのです。 [地上波(邦画)] 10点(2009-02-16 21:46:01)(良:1票) |
1943. 刑事コロンボ/構想の死角<TVM>
《ネタバレ》 コロンボシリーズの魅力は冴えない風貌でヨレヨレのコートに身を包みボロボロのクルマで犯人邸に乗り込むコロンボが富も地位もある犯人に執拗に食らい付き追い詰めていくところにあるのですが、その点から見ると今回の犯人役のジャック・キャシディはコロンボの犯人役が実によく似合う俳優さんだと思います。この後も度々シリーズでコロンボの相手を演じる事になるのですが、彼のゴージャスさを漂わせる雰囲気や品を感じさせる立ち振る舞いで、度々コロンボの相手役に抜擢されるのにも頷けます。で、今回は確たる証拠が無い中、犯人の高いプライドを巧みに操って自白に追い込むコロンボ。お見事です。 [地上波(吹替)] 6点(2009-02-15 19:58:37)(良:2票) |
1944. 刑事コロンボ/殺人処方箋<TVM>
《ネタバレ》 記念すべきシリーズ第1作。コロンボが若い!コートがヨレヨレじゃない!頭もボサボサじゃない!でも第1作から既に事件の本質の話になかなか入らず、カミさんの話や親戚の話、ようやく用件が終わったと思ったら「そうそう、もう一つだけ」というおなじみの台詞で犯人をイライラさせて犯人の心理を手玉に取るコロンボお得意の心理戦が全開でコロンボのキャラクターはこの後、さえない風貌が味のヨレヨレスタイルに固まっていく訳ですが、犯人を焦らせて徐々に追い詰めていくこの心理戦は第1作にして出来上がっていたんですね。それと、コロンボシリーズ全般に言えるのですが、日本で公開される映画の邦題は首を傾げたくなるものも少なくないですが、コロンボシリーズのサブタイトルの邦題は短く簡潔、センスがあって洒落ていて、作品の雰囲気にとてもよく合っていて本当に秀逸だと思います。 [地上波(吹替)] 7点(2009-02-15 19:52:24)(良:1票) |
1945. イーオン・フラックス(2005)
《ネタバレ》 日本を感じさせる映画の世界観の中に黒髪にしたシャーリーズの女戦士がなかなかのカッコよさです。いつもとちょっと違うシャーリーズが観たいというファンの方はストーリーとか細かい事を考えずに観れば楽しめるかな? [DVD(字幕)] 3点(2009-02-15 11:56:53) |
1946. スタンド・バイ・ミー
《ネタバレ》 さすがに死体探しには行ったことはないけれど、観る度に少年時代の友達とつるんでのちょっとした冒険や遠出が懐かしく思い出されます。もう何度も観たけれど、それでもまた繰り返し観たくなります。初めて観た時、僕はまだ10代だった。それがいつの間にかオジサンの年齢になってしまった。子供の頃がどんどん遠い日々になっていきますが、年齢を重ねるにつれてこの映画のことがもっと好きになっていくんですよね。今が嫌だという事ではないけれど、やっぱり楽しい事ばかり考えていた子供の頃は良かったなあ・・・。 [映画館(字幕)] 8点(2009-02-15 03:09:49) |
1947. 都会のアリス
《ネタバレ》 ヴェンダース監督の作品では一番のお気に入りです。ちょっと心が疲れた時なんかにふと観たくなる映画です。ちょっと子どもっぽさを見せる大人の男とちょっと大人びた言動を見せる少女の2人旅。2人でスピード写真に収まるシーンが大好きです。今までに僕が観てきた映画の中でもかなりお気に入りのワンシーンです。1枚目から最後の1枚まで、2人の表情が少しずつ微妙に変化し、最後の1枚は2人とも実にいい笑顔になる。2人の旅の心の変化がこのスピード写真の2人の表情の中に表現されていたように思います。その写真を嬉しそうに眺め、大切に鞄にしまいこむシーンのアリスがとても可愛らしかったです。アリスがこの男に抱くほのかな恋心と旅の冒頭、全くの無表情だった男が旅の終着点に向かう最後の列車の車中、実に穏やかな表情に変わっていたのがとても印象的でした。どのシーンも観る者の心に優しく響くとても静かなロードムービーです。 [DVD(字幕)] 9点(2009-02-13 23:56:21)(良:1票) |
1948. クィーン
《ネタバレ》 女王陛下を気品あふれる演技で魅せてくれたヘレン・ミレンが素晴らしかったです。アカデミー主演女優賞受賞も納得です。観てみたい気はするけど、日本では皇室をテーマに映画を作るのはちょっと難しいかな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-02-11 20:56:45) |
1949. 遠い空の向こうに
《ネタバレ》 観たよかったなあと素直に感動できる実話に基いた良質の青春映画です。こういう映画と出会った時は幸せな気持ちになりますね。僕は30を過ぎてから初めて観た。できれば高校生の頃に出会いたかった映画です。夢に向かって頑張っている姿っていいですね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-02-11 20:43:55) |
1950. 恋恋風塵
《ネタバレ》 幼なじみ、その2人が仕事のため初めて出た都会、そこでいつしかお互いに芽生えるはかない恋心。とても純粋で切ないラブストーリーでした。日本人が観てもどこか懐かしさが漂う美しい風景と映像、そして登場人物の全く飾り気が無い等身大の素朴な演技がその風景と実に自然に調和していました。候孝賢監督は登場人物に多くを語らせない。でも観る者に彼らの感情が痛いほど伝わってきます。そこに決して多用はせず、しかし効果的に挿入される控えめな音楽も作品の雰囲気に見事に溶け込んでいました。それにしても主演の女の子の演技を感じさせない素朴な可愛らしさがとても印象に残りました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-02-10 23:28:00) |
1951. ポリスアカデミー
《ネタバレ》 最強の愛すべきバカ映画ですね。Sグッテンバーグのマホーニーがまともな奴に見えてしまうほど強烈なキャラのオンパレードが楽しいです。僕のシリーズ通してのお気に入りは拳銃狂のタックルベリーと店を破壊された挙句にポリアカにやってきたスイートチャックおじさんですが、やっぱりこのシリーズはマホーニーの存在が大きかったです。ここ一番で彼がかましてくれるイタズラが最高でした。彼がポリアカを去って以降の作品はつまらなくなってしまいましたね。 [映画館(字幕)] 7点(2009-02-09 23:58:28) |
1952. JAWS/ジョーズ2
《ネタバレ》 評価が高い作品の「2」というと大体評価を落とすものですが、この作品はまずまずの出来だったのではないでしょうか。ただ、前作がロイ・シャイダー署長と共にロバート・ショウやリチャード・ドレイファスが登場人物として実に魅力的だったこともあって作品全体の魅力もやはり「1」には敵わなかったなあという印象です。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-08 20:19:02)(良:1票) |
1953. JAWS/ジョーズ
特に海水浴場が舞台の前半、例のサメ登場のテーマ曲と共にサメのヒレ一つでこれだけ観る者を怖がらせてくれるスピルバーグ監督、お見事です! [DVD(字幕)] 8点(2009-02-08 20:10:34)(良:1票) |
1954. こうのとり、たちずさんで
美しくも寒々しい色合いが印象的で、橋の上の国境線で片足を上げ、鳥の翼のように腕を少し上げて佇む男の姿と国境の向こう側で銃を構えて警戒する警備兵の姿がとても印象に残っています。原題の意味は分からないのですが、その姿はまさに邦題「こうのとり、たちずさんで」の姿でした。あと一歩踏み出さば殺されるかもしれない。しかしそれでも国境を越えていく、超えざるを得ない難民。国境とは何なのかを観る者に静かに問いかける非常に重い映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-08 11:22:48) |
1955. ルパン三世 カリオストロの城
アニメはあまり観ないのですが、本作だけは子供の頃から何度も観ているし、アニメでは唯一DVDも買いました。やっぱりクラリスのキャラクターがいいです。子供の頃、クラリスに恋した男子は結構多いのではないでしょうか。ルパンが塔から塔をジャンプするシーンは何度見ても笑えます。どうやって運んできたのか、ニッポンのパトカーでカリオストロ公国に勇ましく乗り込んできた銭形のとっつぁんがいい味出してましたね。最後の名台詞でとっつぁん、一番美味しい所を持っていったね! [地上波(邦画)] 8点(2009-02-06 23:59:46) |
1956. グッバイガール
《ネタバレ》 ヒゲ面のリチャード・ドレイファスと美人女優とはちょっと違うマーシャ・メイスンの2人がとても素敵に見えました。2人の会話からにじみ出る人間臭さが何ともいい味で、それでいてロマンティックで。二ール・サイモンの脚本がお見事です。初めて出会った二人が深夜に大声で喧嘩を繰り広げたアパートの前の同じ公衆電話からラストは・・・!ラストは多分ハッピーエンドなんだろうなあと思ってみていたら期待通り、いや、期待を上回る爽快感に心地よく浸らせていただきました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-02-06 22:51:22)(良:1票) |
1957. サイコ(1998)
《ネタバレ》 噂には聞いていたのですが、このほとんどそのまんまコピーにはある意味驚きでした。ガス・ヴァン・サントのヒッチコック監督へのリスペクトが映画になったものなのでしょうね。また、彼にとってはずっとやりたかった企画なのでしょうが、これではリメイクする必要があったのかを問われるのも仕方ないと思います。ただ、オリジナルを何度も観ているのでこの2つの「サイコ」の見比べはそれなりに楽しめました。 [DVD(字幕)] 4点(2009-02-05 11:25:32) |
1958. こころの湯
《ネタバレ》 中国の下町の銭湯を舞台にした中国を代表する名優、朱旭演じる銭湯を経営するお父さんの下町の庶民のおじさんぶりが実にいい味で2人の息子達と銭湯の常連客達の人情がお風呂のお湯のようにとても温かいお話でした。経済発展による都市開発と共に街の表情を変えつつある現代中国。このあたりの事情は日本も同じですね。 [DVD(字幕)] 6点(2009-02-04 21:41:15) |
1959. カサンドラ・クロス
《ネタバレ》 パニックムービーといえばハリウッドのお家芸の一つと言えると思いますが、アメリカのパニックムービーとは一味違うヨーロッパの香りがいいですね。。演技派の実に渋い顔ぶれが揃った豪華キャストも見応え十分でした。今観るとさすがに古さを感じる部分も確かにあるのですが、そこは30年以上前の作品。仕方のないところです。”目的地”まで線路の上を走るしかない、止まることも許されない、逃げ場の無い閉ざされた空間の張り詰めた空気や焦燥感がとてもよく出ていて、無駄の無いストーリー展開も素晴らしくとても完成度が高い作品だと思います。非常に静かで不気味でもあるラストも印象に残ります。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-02-04 19:05:56) |
1960. ギター弾きの恋
《ネタバレ》 常に音楽があって、全編を漂う音楽とノスタルジックな雰囲気が素敵なラブストーリーでした。アレンらしくないといえばらしくない作品。アレンの過去の作品に「カイロの紫のバラ」という、これも本作と同じくご本人が出演しない切なく素敵なラブストーリーがありましたが、こういう作品では彼は自分をよく分かっていて映画には出ませんね。でも、そこは出たがり喋りたがりアレンさん、エピソードを紹介する役に回ってしっかりご出演。そして途中エメットが演奏から逃げ出して隣の建物に飛び移って、飛び込んだ先が偽札偽造団のアジトだったというシーンにアレンらしいジョークがさらりと挿入されていて思わずニヤリとさせられました。少々不器用で素直な自己表現が苦手なギタリストを素敵に演じたショーン・ペンも良かったですが、顔の表情だけで見事に感情を表現したサマンサ・モートンがとても可愛らしく、素晴らしい演技だったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-02-02 23:57:30)(良:1票) |