1941. ライアー
《ネタバレ》 救急車の隊員、大金を掴んだ太っちょ刑事、火葬、ラストカット。ネタばらしは丁寧なので、つくりとして不親切ではないのでしょう。ただ、思ったほど驚きがありませんでした。ご指摘の方もおられるように同系列『ユージュアル~』には及ばないと思いました。また謎として残った殺人事件の真相についても、あれこれと思いを巡らせようとは思いません。本作の要はそこにはありません。事件そのものに興味を持たせる工夫が欲しいと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-03-04 17:56:59) |
1942. お熱いのがお好き
《ネタバレ》 よく練られたプロットに唸らされます。画のセンスも素晴らしです。例えば寝台列車で酒盛りをするシーン。ひとつの寝台に競い合ってもぐり込み、酒を酌み交わす女たち。フレームの中に女の足足足足…。現実にはこんなシチュエーションは無いでしょう。窮屈で飲めやしないですもの。でも構図として魅力的なのです。それに女たちのはしゃいだ気分、楽しい雰囲気が上手く表現されています。主役2人の女装のハマリ具合も絶妙でした。ビジュアル的に文句なしです。欲を言えば、2人のキャラ付けにメリハリが欲しいところですが、その性格のいい加減さ(+ちょっぴり誠実)が憎めません。さらに本作を“スペシャル”なレベルにまで押し上げているのがマリリン・モンローの存在です。決して演技が上手いとは思いませんが、醸し出す雰囲気は極上の一言。エロティックではなくキュート。私は、清楚で華奢で、幸薄い感じの女性がタイプですが(星野真里がドストライク!)、そんな自分でもモンローの魅力にメロメロでした。非常に完成度の高い作品。ラストの台詞を考えた人は天才だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-03-03 17:27:12) |
1943. ドラえもん のび太の大魔境
秀逸な設定。テンポ良く盛り沢山な内容。飽くなき兵器開発に対する警鐘というメッセージ。子供向け娯楽映画として洗練されていると思いました。設定を論理的に説明すること。展開に整合性を持たせること。誠実な制作姿勢を感じました。この時期の劇場版『ドラえもん』に共通している長所だと思います。また興味深かったのが、当時の世相を反映した思想・価値観(教育的配慮)について。盛んに「男らしい」を連発するしずかちゃん。今ならこのような表現はしないはずです。やはり映画は時代を色濃く映す鑑だと思いました。満足度の高い作品。ただ、お姫様わんこがカワイクなかったのが残念(笑)。 [DVD(邦画)] 8点(2007-03-02 18:21:30) |
1944. ナイスの森 The First Contact
《ネタバレ》 本作のチャプターは「現実」と「非現実」に分けられます。非現実の中には、タイトルに“夢”とあるもの、背景から異世界と分かるもの、現実の中に“あり得ないもの”が登場するもの、アニメなど様々な形態がとられています。虚実入り混じったシュールな世界。“虚”は明らか。さらに“実”も相当怪しい。温泉3人姫の話はどれもウソっぽいし、合コンピクニックは存在しなかった。ラストチャプターに至っては、ノッチ&タケフミが“ウッソーウソソ“とウソ歌を歌い踊っています。そもそも本作に“実”が存在するのか疑わしくなります。全てが虚構、夢なのか。そういえば、友達から夢(寝てる時にみるほう)の話を聞かされている感覚に似ているかも。本人は興奮して喋っていても、聞いている方はつまらない。それは、当人が夢を言葉で再現することに夢中で、“相手に伝える”という作業になっていないから。別に腹は立ちませんし、失望感もありません。でもそれは作品としては致命的なのかもしれません。本作を楽しむ感性と読解力が、自分にはありませんでした。『茶の味』は好きなのですが。 [DVD(邦画)] 2点(2007-03-01 18:35:52) |
1945. フォーリング・ダウン
《ネタバレ》 小さなイライラの積み重ね。溜まったストレスの大きさは自分では案外分からないものです。キレるきっかけは僅かな事でいい。瞬間的にキレた場合は、すぐ我に帰ることが出来ます。しかし“タガが外れた”時はそうはいきません。本作の主人公はこのケース。ただし車を捨てた時点で、完全に外れている訳ではありません。ちゃんと段階を踏んでいます。破壊を実行するごとに、その内容もアイテムもエスカレート。そして殺人という一線を越えます。高いハードル。「プレゼントを壊された」「相手がナチス信仰者」という2つの要因が彼の背中を押しています。砕け散ったのは、プレゼントだけではありません。とてもリアルに感じました。自分が本作の主人公にならないとは言い切れない。ですから彼には、“失業していた”とか“もともと短気だった”“精神的に病んでいた”という設定は必要無かった気がします。主人公と対比される存在が退職間際の刑事。嫌味な上司にアホな同僚。不安定な妻。彼もまた、いつキレてもおかしくない状況です。しかし彼は決してキレたりしません。つまり普通の人はキレたりしないという意味。これも不要です。普通の人がキレるから、誰の身の上にも起こりうるから怖いのだと思います。主人公が特別な存在になってしまったことで、少し醒めてしまいました。残念。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-02-28 18:05:00)(良:1票) |
1946. ローレライ
《ネタバレ》 ローレライ自体に殺傷能力がないこと。しかもシステムとしては貧弱で未完成。でも海戦において絶大な威力発揮する。この設定に惹かれました。香椎由宇もその完璧すぎる容姿が、役にピッタリ。もちろんコスチュームもグッド。本作が原作に忠実なのかどうかは知りませんが、小説がベストセラーになったのも頷けます。ストーリーは面白いと思いました。キャスティングも良。とくにピエール瀧の芸達者ぶりには感心しました。だのに映画としてB級テイストが漂うのは、映像と脚本が弱いから。映像は資金的な問題ゆえ仕方が無いにしても、取って付けたような展開(佐藤隆太のエピソード)でドラマチックさをアピールする手法には閉口しました。さすがに安っぽい。でも全体的にみればそんなに悪くないです。作品に深みを与える描き込みがあれば、だいぶ印象が違ったと思います。 [地上波(邦画)] 6点(2007-02-27 18:24:13) |
1947. ザスーラ
《ネタバレ》 ゲームの存在理由について、一切説明が無いのが凄い。もちろん『ジュマンジ』ありきという部分もあるのでしょうが、変に言い訳するよりも「世の中には不思議なことがある」で押し切る強引さが素敵です。テーマはベタ。エピソードも想定内とはいえ、ちゃんと伏線を張った展開に好感が持てました。宇宙飛行士の正体のサプライズも良。思っていた以上に楽しめました。映画館の大スクリーン向けの作品だと思います。ラストがやけにアッサリしていたので、もうひと押し欲しいところ。ザスーラを離婚した両親にやらせてみるとか、間違えてもう一回スタートボタンを押してしまうとか。それでも家族で安心して観られる娯楽SFとして、利用価値のある作品だと思いました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-26 17:51:36) |
1948. フィッシャー・キング
《ネタバレ》 罪の意識を負いながら、罰が与えらないこと。贖罪が叶わぬことは、罪の重さを知る者にとっては最大の罰です。理不尽な形で愛する者を失うこと。これもまた神から罰を与えられたようなもの。ジャックはともかく、バリーには何ら非がありません。しかしこういった悲劇が突如降り掛かるのも現実です。重い罰を与えられた2人の出会いは、単なる偶然か、あるいは神の配剤か。いずれにしてもこの出会いが、2人の人生を動かします。瀕死の状態の彼らを救った“癒し”。それは聖杯に象徴されます。もちろんウソ聖杯にその力はありません。彼らにとっての聖杯は、恋人の支えであり、友情でした。心を傷つけるのも人なら、癒すのもまた人。もっともジャックは後悔の念を、バリーは妻を失った悲しみを、一生負い続けるのは変わりません。真のハッピーエンドは、本作には存在しないのだと思います。しかし2人は罪に対する“許し”を得ました。僅かな許し。でもそれが生きる力になるのだと思います。重いテーマでありながら、自分は楽しく、そして正面から物語と向き合えました。脚本が抜群に素晴らしい。駅の舞踏会、夜の公園シーンを、忘れることはないでしょう。 [DVD(字幕)] 9点(2007-02-25 00:19:04) |
1949. トレジャー・ハンターズ
マトリックスやスターウォーズなど各種オマージュ(パロディ)が楽しい。無茶な展開満載ですが、それがイイ。大いに笑いました。結末は無難にまとめた感はありますが、気楽に観られて良いのではないかと。教訓、熊に襲われたら胎児の姿勢で乗り切れ(嘘)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-24 18:58:13) |
1950. 茶の味
《ネタバレ》 脱力コメディと思いきや、さにあらず。単なる不条理系とも少し違う。シュールなテイストを織り交ぜつつも、物語の組み立ては思いのほかベタ。その不思議で柔らかい世界観が本作の魅力だと思います。ただ全体的に狙いすぎ。一般受けする作品ではありませんでした。最近の邦画に多い“ナチュラルテイスト”は、本作でも感じられます。浅野忠信に代表される“演技をしない演技”。ただし、そればかりが先行すると味気ない。本作では我修院達也の濃い味と、子役坂野真弥の強烈な存在感が作品に旨みを与えています。描かれるのは、ある家族の日常。各人に用意されるエピソードは、特別なものではありません。誰もが経験するようなごく普通のこと(一部を除く)。でも本人にとっては何だってスペシャルです。人を成長させ、人生に味わいを与えてくれる。タイトル「茶の味」は、文字通り家族ですするお茶の味。毎日飲むお茶だから安いお茶です。そんなに旨くない。でも何故か心が和む味。それが作品の味であり、人生の味なのだと思います。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-02-23 18:04:41) |
1951. 何がジェーンに起ったか?
《ネタバレ》 姉への嫌がらせというレベルから、殺人にまで事態はエスカレートします。ジェーン破滅への道が本作のストーリー。2時間超という長尺が上手く活かされています。展開が緩やかなので、状況の正確な見極めが難しい。泥沼に沈むかの如く、気付いたら最悪の局面を迎えています。展開は巧みです。そして最も秀逸なのがタイトル。“ジェーンは何を起こしたか”ではなく、“ジェーンに何が起こったか”。最後にタイトルの真意が明かされます。本作の要所は現在進行形の事件にあるのではなく、数十年前の自動車事故にあった。いやベイビー・ジェーンと呼ばれていた少女時代にまで遡るのかもしれません。殺人事件の元凶はどこにあるのか。自動車事故の真実、幼い頃の家庭環境。加害者と思われたジェーンが被害者に変わります。これはサスペンスから悲劇への転換も意味します。もちろんジェーンの責任は間逃れない。しかし彼女を取り巻いた人達、ベイビー・ジェーンを作り上げた人達にも等しくその罪が問われるはずです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-02-22 18:15:23) |
1952. 大停電の夜に
《ネタバレ》 数多の人生が交差する大都会。クリスマスイヴに起こった大停電。それはサンタから“特別な夜”のプレゼントだった。設定はロマンティックですし、凝った構成は嫌いじゃありません。でも味付けが自分の嗜好に合いませんでした。とにかく脚本がクサイ。言葉は悪いですがコントを観ているような感覚。だのに雰囲気は精一杯オシャレ。観ていて気恥ずかしいです。ベタなのは構いません。というか大好物。でもこれだけベタを重ねると流石にバランスが悪い。表面的な演出が安っぽさを助長します。それはキャストにも言えること。顔ぶれは豪華。しかし満足感がありません。(それでも寺島しのぶは一人“職人”でした。)ストーリーはよく練られていたと思いますが、ツメが甘い。なぜ核となるトヨエツのBARに、香椎ペアのみ登場させないのでしょう。奇跡的偶然を重ねているだけに、逆に不自然です。クライマックスで得られるはずの爽快感が損なわれています。(主軸に絡まないジョーカー的ポジションならあっていいと思います。ただし2人は適任ではありません。)素材は良いのに、調理方法と味付けが好みではありませんでした。味に深み旨みがなく、甘さだけが際立っていたように感じます。ただ自分は甘党なので、点数も甘めです。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-02-21 18:19:14) |
1953. 悪魔の棲む家(2005)
《ネタバレ》 義父が盛んに言う「悪いのは家じゃない。罪を犯すのは人間だ。」という台詞。義父を凶行に駆らせたのは確かに悪魔の仕業。しかし何故悪魔の代理人に彼が選ばれたのでしょう。先の事例から察するに、成人男性だった(悪魔の原型に近い)という理由もあるでしょう。でもそれだけではない気がします。同じ物を食べても、食あたりを起こす人と平気な人がいるのと同じ。彼が選ばれたのは、心の闇に付け込まれたからだと思います。血の繋がりの有無を見せつけられたよう。ここが一番残酷かも。結果的に被害は犬一匹に止まりましたが、家族の間に出来た溝は深い。おそらくずっと埋まることはないでしょう。この手のジャンルとしては奇跡的な被害の少なさ。恐怖の質も即時的なものなので気軽に観られると思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-02-20 18:16:36)(良:1票) |
1954. ミッドナイト・エクスプレス(1978)
《ネタバレ》 「監視状況下での脱出計画の面白さ」と「脱出成功時のカタルシス」。それが“脱獄もの”の面白さだと思います。閉鎖空間がもたらす濃密な空気。秘密裡に事を進行させるという緊張感。設定そのものが秀逸です。その見地からすると、本作は“脱獄もの”とは言えません。そもそも脱獄に重点が置かれていません。刑務所内の緊張感も希薄。主人公に同情は出来るものの、基本的には自業自得という話。カタルシスは小さいです。でも観客に訴えかけるメッセージは痛烈でした。主人公に突きつけられたもの。それは貴重な時を奪われる、人生を無駄にするという現実です。即効性の恐怖ではありません。しかし一度意識してしまうとダメです。その焦燥と不安たるや絶大。人格を崩壊させるほどの威力を持ちます。本作では、あくどい世話人への暴行、面会での自慰行為という形で端的に表現されています。誰でも同じような恐れを感じたことがあるはずです。皆、時間に囚われている。本作はそのことを再認識させます。時を奪われることは、命を奪われること。時間はかくも尊い。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-19 18:23:38)(良:1票) |
1955. 50回目のファースト・キス(2004)
《ネタバレ》 自分はいわゆる“難病もの”というのが苦手です。設定で泣けるのは何となくずるい気がするから。悲しい結末が予想できるからです。そのため、そういう雰囲気を漂わせている作品は敬遠しがちになります。本作についても躊躇はありました。でも思い切って鑑賞することに。衝撃的でした。自分の抱いていた“難病もの”の定義が覆りました。徹底して明るいつくり。終始一貫ラブコメディ。気持ちよく笑えました。その分当事者の苦しみ、周りの人の悩み葛藤は描けていないのかもしれません。しかし、全てをありのまま描くのが、いつも良いとは限りません。病気は理解して欲しい。けど同情して欲しくはない。同じ悩みを抱える人たちも、こんな明るい作品を望んでいる気がします。“毎回ファーストキスなんてステキ”。見方を変えれば、感じ方も変わる。いろんなことに当てはまります。とっても前向き、爽やかにハッピー。いいお話でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-02-18 18:11:40)(良:2票) |
1956. 鳶がクルリと
《ネタバレ》 仕事を請け負ってくれる鳶職人を探す貴奈子。この時彼女はパンツスーツです。でも万策尽きて再び「日本晴れ」を訪れた時はピンクのスカート。おやっ。つまり彼女は、1日の間にパンツ→スカートと着替えています。“フ・エロモン”を強調するため、わざわざ着替えたのでしょう。でも単なる制作上のミスではないかと思えてしまう。このあたりが本作の弱点。“丁寧なものづくり”が感じられれば、自然と良い方へ受け取ったと思います。凝った視覚表現やアイデアは悪くない。でも全てがその場限り。言い方は悪いですが、思いつきのよう。例えば、つみちゃんの身軽さ。結構アピールが強いので最後の大仕事の伏線かと思いきや、結局活かされないまま終了。肩透かしもいいところ。意外とベールに包まれた鳶という仕事。その題材選びはいいと思いますし、興味深い点もありました。でも“伝えたいもの”が何か分からなかった。なお、随分とベタ?な鳶職人像でしたが、関係各位からクレームは無かったのでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2007-02-17 18:12:58) |
1957. 暗黒の恐怖
肺ペスト(黒死病)を扱った社会派サスペンス。その題材ゆえ、緊張感が途切れないのが強みです。自分の正義を信じ突っ走る主人公。その懸命さは分かるのですが、独断ぶりも鼻に付きます。彼は職務を全うしようとするあまり、周りが見えていません。しかし様々な障害が彼に教えます。人には立場があること。見方によって物事の捉え方が変わること。そして協力無くして大事は成せぬことを。一人の男の成長物語でもありました。(主人公は妻も子ある男。社会的には立派な大人。そんな彼でも成長できる。成長は子供や若者の専売特許ではないことに勇気づけられました。)手がかりゼロの状態から感染経路を追っていく過程は見応えあり。ただペストの恐怖がイマイチ実感として沸きません。それだけ今は恵まれているという事なのでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-16 18:26:28)(良:1票) |
1958. ナースのお仕事 ザ・ムービー
最大の難点は朝倉いずみが撃たれるシーン。「映画なんだから派手にいこうよ。やっぱり主役が撃たれるってのが定番でしょう。」「でも刑事ドラマじゃないんだから。」「いやいや、病院に犯人が立て篭もるってことにすりゃあ、イケるって。」企画段階の会話が聴こえるようです。映画ならではの特殊性、お祭り要素を持たせたいのは分かります。でも無理矢理感は否めない。能天気コメディもいいですが、まずはドラマありきだと考えます。少なくともテレビシリーズ(とくにファースト)が支持されたのは、基本となるドラマ要素(いずみの成長。先輩ナースとの友情)がしっかりしていたからだと思います。取って付けたようなエピソードは、刺激的であっても作品のバランスを崩すだけです。人気を博した原点のドラマに立ち戻っての、丁寧なものづくりを望みます。 [地上波(邦画)] 4点(2007-02-15 18:19:18) |
1959. ピーナッツ
《ネタバレ》 題材もキャストも、出来る限りの誠実さと丁寧さが本作にはあったと思います。奇をてらわず、オーソドックスに作ろうという姿勢も感じます。もっとコメディ色を強くすることも出来たはずです。内村プロデュース(NO PLAN)ファン向けということを考えれば。またコント職人としてのウッチャンがそこにいれば。しかし本作を作ったのは、芸人ウッチャンではなく、映画監督を志していた専門学校時代の内村光良であったような気がします。だから直球で勝負した。その気持ちは分かるし支持したいです。でも次回作は、内Pという縛りのない作品を期待したい。そこが本当の勝負どころかと。なお個人的にお願いがあります。次回作では盟友の出川哲朗に台詞のある役をあげてください。それがダメならせめて顔が分かる程度のエキストラで。今回の役ではいくら何でもかわいそうです。「そりゃねえよ。チェン」と嘆く哲ちゃんの声が聞こえるよう。ま、それもいいか(笑)。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-02-14 17:53:18)(良:1票) |
1960. アイドルとデートする方法
《ネタバレ》 お話自体は、ありがちなラブコメ。恋敵となる2人の男が対照的です。例えるなら、スーパーアイドルがフェラーリで、スーパーの店長は原チャリ。それくらいポテンシャルに差がありました。同じスーパーでもだいぶ違います。店長は彼女を奪い取るために派手なアクションを起こしません。トラックの前に飛び出て「ぼくは死にません」と叫んだり、ステータスを上げるために司法試験を受けたりしません。彼女の幸せのためと自分に言い訳し、黙って身を引こうとします。ドラマとしては物足りません。でも現実はこんなものかなと思います。彼は原チャリとフェラーリの値段を比較して諦めた訳です。でもどちらを選ぶかは彼女が決めること。原チャリにだって風を切る爽快感、燃費の良さがあります。とりあえず告白しない事には何も始まりません。それを教えてくれた女バーテンダーは本当にカッコ良かったです。台詞も気が利いていて◎。“6つの笑顔”のくだりはウルッときました。なお本作で最も素晴らしいのがヒロインのキャスティング。美人ではないけれど、愛嬌のあるルックスが純朴な田舎娘にピッタリでした。ベタもベタですが、こんなお話大好きです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-13 18:32:54)(良:1票) |