1. せかいのおわり
《ネタバレ》 [CS・衛星(邦画)] 10点(2007-06-22 21:14:17)(良:1票) |
2. 僕のスウィング
やっと出逢えました。 子供たちのためにアニメを借りようとレンタル屋でふと見つけたのです。 公開当時、題名とジャンゴ・ラインハルトの名前に惹かれて気にはなっていたのですが、DVDを手に取るまで、その存在を忘れていました。 ああ、とてもいいよ。とてもいい。 音楽もイメージも登場人物たちも、私にとって全てが愛しくかけがえのないもののように思われます。 DVDには、おまけに『ベンゴ』と『ガッジョ・ディーロ』の予告編もついて、それらにも強烈に惹かれました。 「トニー・ガトリフの全作品を観ること」、 これが今の私の映画人生の一つの目標になりました。 [DVD(字幕)] 10点(2006-07-29 17:12:07) |
3. マダガスカル
《ネタバレ》 ↓そうですよね。なかなか面白かったですよね。 とんでもなく強いおばあちゃんとか。ライオンのアレックスが鎮静剤を撃たれて見る幻覚のとぼけた味わいとか。子供より大声で笑っちゃいましたよ。 で、マダガスカル島に着いて、アレックスが島を見渡す時にカメラ(いや画面)が360度パンしてみせるんだけど、この時に映し出される海や空やジャングルの風景の美しさがCGとは思えないくらい素晴らしくて、私ははっきり言って泣きました! まあ冒頭の♪ボンフリーや♪ワンダフルワールドでも泣いちゃうような涙腺ゆるゆるおぢさんだから、当てには出来ないかも知んないですけど。こうした子ども向けのCGアニメーションが描く世界の方が、色と欲に駆られて無闇に殺し合う「大人」なドラマを見せられるより、ずーっと幸せな気分にさせてくれます。 なにより、観終わった後に、子供たちと「面白かったねえ」って笑顔で言い合えることが、最高っす!! [映画館(吹替)] 10点(2005-08-18 21:38:42) |
4. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 ■かつてイーストウッドがヒーロー=正義の味方だったことがあっただろうか?彼は、いつも飲んだくれていたり、家族をないがしろにしたり、やたらと女性にちょっかいをだしたり、盗みを働いたり、あげく人を躊躇なく殺すことすらしてはいなかったか?どちらかといえば、彼は、負け犬の味方、いや実は負け犬そのものだったのではないか!(最近はやりの意味じゃなくてね) ■愛するものにとって、相手が自分のために苦しんでいるのを見ることほど辛いものは無い。それが人生の中で唯一愛したひとであればなおさらだ。彼あるいは彼女は、ウィンクひとつで愛する相手が何を望んでいるのか立ち処に理解してしまう。そこに世間の倫理は意味をなさない。愛するものができることは、ただ相手の望みを叶えてあげること。 ■とはいえ、彼と彼女のとった行動に、正直私は泣けなかった。(泣けるわけがないだろう!)それと、ラストショット(まぶぜ氏にまるで落語のさげのようだと言ったのはこの私です)。この映画に最初から漂っていた「終わること=死への希求」の気配は、じつはイーストウッド一流の罠で、我々観客は彼にまんまと一杯食わせられたのではないか?なぜなら、窓越しからのレモンパイに舌鼓を打つ彼の背中は、私には、まるで次の罠を考えながらひとりほくそ笑んでいるペテン師の不敵な姿にしか写らなかったのだから。 ■それから、まぶぜ氏が本作の異様さについて語っているが、それは本作に限ったことではなく、処女作『プレイ・フォー・ミスティ』の頃から既に顕著だった気がする。フォードやホークス、あるいはヒッチコックのように軽々と映画を撮りながら、画面に否応なしに現れてしまう“異様さ”。だが、それはイーストウッドだけの特徴ではない。思えばそれは、リュミエール兄弟が列車をラ・シオタ駅に到着させた頃にはもう既に現れていたはずだ。現実をありのままに撮りながら、現実とは違う“異様さ”への変貌、すなわち映画そのものに!? ■最後に、ゴダール、リベット、ロメール、そして我らが清順と、映画の最先端をひた走っているのが、なぜか老人ばかりなのは、映画の現状が正に『スペース・カウボーイ』的状況だからか?(ニガ笑) ならば、私は彼にこう言おう。「イーストウッドよ、オリベイラに負けるな!」 [映画館(字幕)] 10点(2005-06-13 19:55:24)(良:1票) |
5. かげろう(2003)
《ネタバレ》 どうもエロな描写を売りにしているようだが、実は非常にストイックで丹精な演出に貫かれた秀作だと思う。そして、本作に登場する唯一の情交シーンは、抑制の利いた語り口の中では異質なほど丹念に描かれていて一瞬違和感を覚えるが、観終わったあとに実はこの物語の核になっていることが分かり、かえって深い余韻を残す。 こんな映画をどこかで見たことがあるなと、ふと『完全なる飼育 愛の40日』を思い出した。男は過剰で不器用な行動を通してあるひとりの女を愛し(まるでそこに己の全存在を賭けているかのようだ)、やっと愛を勝ち得たかに見えたその瞬間、唐突にやってくる残酷なる運命。彼らはむしろ既に予感=諦念していたかのように(そうだ。確かにこの二作の彼らはそれを口にしていたはずだ)進んでその運命の渦中へと自らを投じる。どちらも愛される女性(運命の女!)の視点から描かれているのもよく似ている。さらに、一般の観客には不親切なほど肝心なことがあまりにも素っ気なく、ぶっきらぼうに描かれているのは、この二作の監督の資質が元々似ているからなのだろうか? しかし、ひとたび観てしまうと、いつまでも癒えない鈍い痛みのような感動が心の奥底に沈殿してしまう。私はこれらを『アフター・ダーク』などに連なる“孤独な魂のフィルムノワール”とでも呼びたい。 [DVD(字幕)] 10点(2005-04-22 14:37:07) |
6. おどるポケモンひみつ基地
劇場では本編の前に上映される30分程の短編、言わば添え物なのですが、これが本編より断然面白いです! 展開は敵役のニャース達がせっかく建設しているひみつ基地をお馴染みのポケモンたちが寄っていたかってぶち壊していくという、かなりベタな展開なのですが、これがなかなか本格的なスラップスティックコメディになっていて、結構笑えます。場内では、大人も子どもも一緒になって爆笑していました。これが面白いんなら、今度うちの子ども達にもサイレント時代のコメディ映画を観せてみようかな。 [映画館(字幕)] 10点(2005-04-15 19:46:56) |
7. Mr.インクレディブル
《ネタバレ》 ■スーパーヒーロー(以下、超人と呼ぶ)とは、状況を瞬時に把握し、直ちに最善の解決策を導き出し、迷うことなく行動に移すことが出来る者である。そして何よりも人々を助けることに生き甲斐を感じる者たちである。冒頭数分間の主人公達の活躍がそれを私たち観客にはっきりと示してくれている。 ■なのに、助けられる方はといえば、超人に完璧を求め、ちょっとしたミスをも許さない。他に誰がそれを出来るというのか?しかも、超人的な能力が備わっているとはいえ、それ以外は彼らも普通の人間と変わらないというのに。国家に庇護され、自らの能力と生き甲斐を封印されたまま目立たぬように日々を送る彼らの姿はとても淋しそうだ。主人公が、自室に飾ったかつての自分の輝かしい姿を記録した写真や新聞記事を見るときの表情にもそれが良く表されていたと思う(というより、“映画の夢”を封印され、好きでもない仕事に日々明け暮れる元映画狂の私自身にその姿を重ね合わせてしまったと正直告白しよう)。 ■だが、一旦封印が解かれたとき、超人達は文字通り水を得た魚のように生き生きとし、その表情は光り輝いている。夫人が、飛行機の爆破から身を呈して子供たちを助けることが出来たのも、親が子に対する愛情以上に彼女もまた超人に他ならないからだ。さらに自動ドアに挟まれたあげくに敵に見つかってしまうという絶体絶命のピンチを、いともあっさりとくぐり抜けるその冷静沈着で鮮やかな身のこなしは、『リオ・ブラボー』のジョン・ウェインも形無しだ。 ■そして、超人の資質は、親から子へと受け継がれる。歌舞伎や能・狂言などの日本の伝統文化が何百年にもわたって世襲されていくように、超人の子供たちもまた超人へと成長していく。だから、超人とは、なりたくてなれるものではなく、その資質を受け継いだ者だけが超人たりうるのだ。例えば、主人公の友人フロゾンがロボットに追い詰められ襲われそうになるダッシュを何くわぬ顔でスイスイーと助けに来るのも(正にクール!)、別にダッシュが友人の息子だからというだけではではなく、そうすることこそが超人の取るべき唯一の行動だと心得ているからに違いない。 ■P.S. しかし、アメリカにもこんなにも魅力的な超人一家とその友人達が現れたんじゃあ、我ら日本が誇るカスカベの超人一家とその友人達も負けてはいられませんなあ。『クレしん』スタッフよ、次の一手はどうする? [映画館(吹替)] 10点(2005-04-15 18:10:28)(良:1票) |
8. ダーク・ブルー
《ネタバレ》 戦争によって、主人公は、祖国を失い、愛する女性を失い、愛犬を失い、親友を失い、そして己の自由をも失う。そんな彼にも幸福な瞬間はあった。収容所に差し込む暖かな日差しを浴びて、主人公が見た一瞬の夢=記憶。彼は亡き友と並んで夕日を背に受け大空を飛んでいる。しかし、そんなひとときすらも、一機の離脱=フレームアウトで一瞬に終わりを告げる。映画と共に。 [DVD(字幕)] 10点(2005-04-13 20:48:33)(良:2票) |
9. 17才 旅立ちのふたり
《ネタバレ》 別に奇を衒うわけでもなく、アッと驚く画づくりがあるわけでもない。ただ、想いを語る者とそれを受けとめる者とのバストショットによる一見単純な切り返しや追う者と追われる者との程良い距離感を保った切り返しによるさりげない演出が、映画の真髄を静かに伝えてくれる。さらに、その背景には、主人公ふたりが映画の最後の方で語っていた“光の春”が確かに映し出されている。今、映画とは一体何か?と問われれば、私は端的に、「感情を伴ったアクションと光」だと断言してしまおう。それは例えば、藤本美貴が石川梨花に投げ渡す携帯電話の描く放物線であり、石川梨花が里親に向かって自分の将来を語るのを見つめている塩見三省(演技を超えた感動の眼差し!)の背後にあるサッシに写る陽光の煌めきなのだ。 [DVD(字幕)] 10点(2005-04-13 19:48:57)(良:2票) |
10. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ
制作者に告ぐ。『嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の成功はひとまず忘れなさい。「大人の鑑賞に堪えうる」とか、「映画ファンを喜ばそう」とか余計なことはあまり考えないで、劇場では子供たちがどこで爆笑し、どこで喝采を送っているかをもう一度よーくその目で確認して欲しい。なぜなら、未来が子供たちのものであるように、『クレしん』もまた子供たちのものなのだから。 6点(2004-05-07 18:12:04)(良:2票) |
11. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 敵が城に攻めてきたことを知って、又兵衛の身を案じ、ひとり裸足で駆け出していく廉姫の姿を延々と画くシーンのみずみずしさは、活劇ならではの躍動感と美しさの極みを感じ、繰り返し観ても映画ファン冥利につきます。リアリズム溢れる合戦シーンでも唐突に訪れる又兵衛の死の瞬間でもなく、私にとってこのシーンこそが最良の”サムライ”映画の名シーンであり、ラストの廉姫の微笑みとともに一生忘れることの出来ない感動の記憶となることでしょう。 【おまけ】上映が終わった後、後ろの席で中学生くらいの少女がこんなことを言った。「わたし、もう3回も観ているのに、どうしてこんなに泣けるのかしら?」。お嬢さん、それでいいんですよ。映画はいかにして泣けるか。それしかないのです。どうぞ、何度でもお泣きなさい。 10点(2004-04-07 17:19:23)(良:2票) |
12. 家路(2001)
「映画は、解釈するものでも理解するものでもなく、感じ取るものだ」と私は信じている。現実を、ある距離を置きつつ、只じっと見据える。だが、決して非情なわけではない。むしろ、慈しみと少しばかりのユーモアも交えながら対象を見つめること。「主人公の孤独や悲しみとは、これこれこう言うものですよ」なんて、いちいち説明しなければいけないというのなら、映画なんてものは、何の存在価値もありゃしない。「映し画かれたものから観客に何を感じ取ってもらえるか?(あるいは、観客の側から言えば、何を感じ取れるのか?)」、この問い掛けを、90歳を超えても尚精力的に投げかけてくれるマノエル・ド・オリベイラ監督の存在に、私は大いなる憧憬を抱いている。ブラボー! 10点(2003-11-21 12:20:37)(良:3票) |
13. グリーン・デスティニー
『英雄』を観に行けないとグチをこぼしていたら、映画狂の友達に「それよりこっちを先に観ろ」と勧められてビデオで観た。で、観ているそばから「ああこういう作品に出逢えるから映画って止められないよねえ」という悦びと「こういう作品こそ映画館で観たかった」という悔しさとが同時にこみ上げてきてしまった。自分の感情をひたすら押し隠す古風な大人の恋と、一目出逢ったその時から己の感情の赴くままに愛し合う若者の恋を軸に、今まで観たこともない官能的なアクションがファンタジックに展開される。そう、これぞ正に活劇!。特に竹林のシーンは白眉ですな。”あーもうどうにでもして”って感じで、おじさんはTVの前で身悶えておりましたよ、ホンマに。 追記:地上波で観ても面白かったから満点献上ってことで。 10点(2003-10-18 15:15:54)(笑:1票) (良:1票) |
14. ウォーターボーイズ
TVで観ただけなんだけどさあ。いいんじゃない、これ。とにかく「伊勢佐木町ブルース」には、腹わた捩れそうな位笑った笑った。誰かさんも言っているけれど、全編学園祭ノリで作られた感じがかえって良かったんじゃないか。ただ夢中になって何かをやりたいという若者ならではの熱い想いもそれとなく感じられたので。 確かに"映画の出来"なんてことを考えちゃうと、細かい部分ではいろいろと言いたくなるだろうけれど、彼らが自らの肉体で見せてくれるシンクロの演技とその後の晴れ晴れとした表情は、「紛れもなく映画的」たっだし、おじさんとしては目頭がとても熱くなりました。 ただ、ひとことだけ言わせてもらえれば(おやじ臭くてスマン)、シンクロの指南役は竹中直人じゃなくて、柄本明にやらせた方が良かったんじゃないか。はしゃぐ若者らを尻目にひとり静かに小指を立てキセルをふかしている"オカマの鬼軍曹"、なんてね。 8点(2003-06-24 14:20:47) |
15. 愛の世紀
《ネタバレ》 疲れていたせいか、前半の白黒部分では危うく寝そうになった。が、後半一転してビデオ撮影によるカラー映像になって、がぜん盛り上がった。ゴダールの映画は、繰り出される映像と音にいかに心を震わせられるかが勝負の分かれ目なのだ(寝てる暇はないってことね)。本作も海を捉えた映像が頗る良い! 引用は、分かった者勝ちみたいなところがあるが、意識しないでいてもひとたび心の琴線に触れると思わぬ大きな感動がこみ上げてくる。今回は、『アタラント号』のミッシェル・シモンの唄もそうだが、パウル・ツェランの『死のフーガ』の朗読(恐らく彼自身による)レコードが出てきたのには本当に驚いた。そして、ラストはリュミエールへの回帰。やはりゴダールは映画の申し子だと思う。 9点(2003-01-07 19:57:37) |
16. ピストルオペラ
もう映画を撮らないのでは、と清順ファンを不安がらせたが、10年ぶりの本作は、期待に違わぬ(というか、いつもこの監督はひとをくっている)美酒となった。見方を変えると、江角マキコを平成の映画女優の星とするための一大特訓映画ともいえるが、彼女の頑張りぶりを見るだけでも酔える。とかく監督のやりたい放題が一部批評家からやり玉に挙げられたりもするが、はっきり言って、これでいいのだ! 9点(2002-11-26 12:07:19) |