1. ひばりの森の石松
むむ、新年一発目のレビューはこう、パァーっとした晴れやかな映画にしようと思ってズルズルレビュー書かないでいたら、いつの間にやら23日・・・年をとればとるほど、時間が経つのは早いなあ・・・ま、それはそれとして、久々に観た東映時代劇、しかも明朗快活路線ド真ん中の沢島忠。これは楽しかった。冒頭、茶摘み娘のお君(=美空ひばり・森の石松と二役)が仲間の娘たちに石松の話を聞かせる、というところから始まるので男装のひばりも違和感なく観られる。しかもひばり石松、予想以上にハマり役。リズミカルでテンポの良いセリフをポンポンポーンとまくし立てるひばり石松(当然船中の「江戸っ子だってねえ、飲みねえ飲みねえ、寿司食いねえ」の名シーンもあり)は時にキュートで、時に痛快・爽快。若き日の凛々しい里見浩太郎演じる盗っ人三次との掛け合いもやたら楽しいし、石松に助けられる千恵姫(ちょっとはだづばり、もとい鼻詰まり気味なのが気になるが、それもご愛嬌)とのくだりではホロリとさせられる。突然始まる「竜宮城レビュー(笑)」も、いかにも沢島節。本当に楽しい、楽しい映画です。やっぱこういう能天気・ノンキな作品って大事だよね。今みたいな時代だからこそ、特に。 [DVD(邦画)] 8点(2007-01-23 15:22:56) |
2. 眠狂四郎 勝負
一作目を観てからだいぶ間を空けてこれを観たんですが、、んー、一作目の方が好きだったかも。何つーか、狂四郎、世の中に対してニヒってる割におせっかい焼きで、「ヒネくれてるけど実は良い奴」みたいな感じがしてしまったです。円月殺法の「解説」も何だか野球マンガの「魔球解説」みたいだったし、、ともあれ、最近このシリーズのDVDが全部揃ってるレンタル店を見つけたので(一作目のビデオを借りた店は潰れてしまった・・・)、全部観るぞ~! [DVD(邦画)] 6点(2006-11-15 18:14:28) |
3. マタンゴ
♪キノコの山~のその奥に、マタンゴの島があったとさ~、絵にもかけない美味しさだっとっさ~、マタンゴの島~は食べ盛りっ! [DVD(邦画)] 7点(2006-11-03 18:09:56) |
4. 特攻大作戦
《ネタバレ》 鱗歌さんに同意。戦争とは、元々残虐な人間が残虐な行為をするのではなく、平時ならごくごく普通の人間が残虐な行為をする状態なのだと思う。軍隊という権力を嫌った者たちが、結果的にはその軍隊に貢献してしまうという、矛盾と皮肉(しかも殆どの者が自らの命を犠牲にしている)。この作品がベトナム戦争中に作られた意味は、小さくない。<追記>ちなみに僕は「男泣き」はしなかったけれど、ラストで「ダーティ・ダズン」たちの名前が読み上げられるシーンは、ちょっとグッときました。 [DVD(字幕)] 8点(2006-09-19 18:37:47) |
5. 帰って来たヨッパライ
《ネタバレ》 大島渚の作品をちゃんと観るのはこれが初めて。低予算ミエミエのしょぼいセット、おまけにフォークルの三人は台詞棒読みの大根役者で、最初はちょっとビックリしてしまったのだけれど、興味深く観られた。低予算を逆手に取ってリアリティを意図的に排除し、また夢オチを繰り返したり、途中から冒頭のシーンをそのまま繰り返すことで、作品が「虚構」であることを強調し、観客の視線を「映画の外」に向けさせている。いかにも軟弱な、「いまどき(当時の)」の大学生三人と、厳しい環境で生きてきた韓国人(当時韓国は独裁軍事政権で、なおかつベトナムに派兵もしていた)との対比させ、また後者が前者の服を奪い、名前を奪う、という行為から「国・民族のアイデンティティとは何か?」という問題を観客に提示している、のだと思う、多分。まーぶっちゃけた話、結構難解というか、アヴァンギャルドな作品なので、誰にでもオススメって感じではないけど、個人的には面白かった。一瞬だけど緑魔子のおちちも見られるしね。 [DVD(字幕)] 8点(2006-07-14 17:40:56) |
6. 恐竜100万年
んんー、僕はより「文明的」なのが金髪族で、より野蛮人的なのが黒髪族ってところに、ちょっと引っかかるものを感じてしまったんだけど、それは考え過ぎか。それにつけてもラクエル・ウェル乳じゃなかった、ラクエル・ウェルチ。あの「原始人ビキニ」は、ドンキホーテとかに売ってんのか? [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-07-12 18:11:43)(笑:1票) |
7. ドリトル先生不思議な旅
子供の頃は「ドリトル先生」をむさぼるように読んでいたので、この映画はずぅ~っと観たくて仕方なかった。実はあんまり原作の内容は覚えていないのだけれど、この映画作品はどちらかというと「ほら男爵」のノリに近いような気がした(歌の中に「先生の言うことは全部が本当じゃないかもしれないけど~」みたいな歌詞もあるしね)。あと、子供の頃は意識しなかったけど、実はドリトル先生って相当アナーキーな人だ。人間界のルールより動物との友愛を重んずるから平気で法律違反もしちゃうし、世間一般の「常識」なんて全く気にしない、どころか「なぜヒトは動物を“ケダモノ”扱いする!?ヒトの方がよっぽど“ケダモノ”じゃないか!」と異議申し立てをして、危うくkey違い収容所に収監されそうにもなる。そういえば、この映画でドリトル先生と仲良しなのはアイルランド人(19世紀にイギリスに住んでるアイルランド人の境遇がどんなだったか、興味のある人は調べてみてね)や、(当時は一人前の人間として認知されてなかったであろう)「女子供」だったりするし、「動物といるのは楽しいけれど、人間は苦手だ」と呟くドリトル先生には厭世的な所も感じられて、泥沼化したベトナム戦争や高まる公民権運動などの映画製作時の世相も無意識に反映してるのかなあ、と思ったりするのだけど、ま、それはそれとして、楽しいファンタジー映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-06-27 18:41:05) |
8. 運が良けりゃ
う~ん、ごめんなさい。面白くないわけではないのだけれど、、確かにブラックではあるし、「力強い庶民の姿を活き活きと描いた」って感じだけど、その描き方が、何というか「優等生が一生懸命不良ぶってる」ように思えてしまった(後で知ったんだけど、山田洋次って東大出身なんだそうな)。それと、ちょっと気になったんだけど、冒頭で借金のカタに娘を女郎屋に売ってしまった親父が出てくるでしょ?例えばその後、その売られた娘が、女郎にはなったけど元気に生きてるよ、とかいうのを描いたりすれば良かったんじゃないかなーと、思ったりしました。ハナ肇は良かったんだけど、ねえ。 [DVD(字幕)] 6点(2006-05-12 17:55:46) |
9. 御金蔵破り
《ネタバレ》 石井輝男作品ってあまり観てないのだけれど、これはなかなか面白かったです。大川橋蔵扮する旗本くずれの若いやくざ者と千恵蔵扮する老いた大泥棒が手を組んで、天下の大将軍の「御金蔵」を狙う・・・という犯罪映画。そこに大川の元同僚で出世コースをひた走る若侍(杉浦直樹)や、獲物を横取りしようとしているやくざの親分(東映時代劇の悪役といえばこの人、安部徹!登場の仕方が可愛い)、そして千恵蔵をお縄にかけようとする、まるでルパンを追う銭形のとっつぁんのような十手持ち(霊界タンバ)などなどの思惑が絡んでいく、スリリングな展開でした。ヒロインの朝丘雪路もなかなか色っぽかった(但し、現在のバラエティ番組とかに出てくる彼女を思い出しちゃうと、ちょっとね、、)。冒頭の牢のシーンでリンチに使われる○○が、百両箱を持ち出すアイテムとして使われるというのが、いかにも石井作品ぽいなーと思いました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-05-12 17:46:16) |
10. 男の顔は履歴書
ワタクシごときがエラソーに言うのもナンだけど、この映画は成功作とは言い難いかも、しれない。とても壮大・シリアスな内容を、いわゆる任侠モノの形(90分程度の上映時間でラストは殴り込み、というパターン)に収めるのは無理があるし、その分台詞が説明的になっていてちょっとダサい(ダサいと言えば冒頭の「この映画は…<中略>…世界中の人間が互いに愛し合い信じあえる日を信じて作られたドラマである」という字幕も、そーとーキッツい。気持ちは分かるが)。のだが、敗戦直後の日本人と三国人(←石原慎ちゃんが好んで使うけど、つまりその頃、無法な在日をそう呼んでたんだな。差別的・侮蔑的なニュアンスを持ってしまっているから、今はあんま使わない方が良いと思う)の対立を軸に人間の善と悪、被害者と加害者という立場が時にダイナミックに反転する様を生々しく描いたこの作品には、えも言われぬ迫力がある。何と言うか加藤泰の、人間の弱さに対する怒り、憎しみや立場を捨てられない事への怒り、と悲しみが伝わってきて「日本人とか三国人とかナントカ人とか、関係ねぇ!同じ人間じゃねぇか畜生ォ!」という声が聞こえてきそうな、ある意味「パッチギ!」以上にパッチギ的な作品。出来れば「パッチギ!」に感動した人にも、或いは嫌悪感を持った人にも、観て欲しい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-04-25 18:25:42)(良:1票) |
11. 吹けば飛ぶよな男だが
いかにもお涙頂戴な話ではあるし、緑魔子は千秋(実じゃなくて、ココリコ遠藤の奥さんの方)みたいだし、正直小沢昭一の活弁風ナレーションは無い方が良いと思ったのだけれど、なべおさみ演じるチンピラ三郎が良かった。下っ端ヤクザ(犬塚弘)や、三郎に「このド淫売!」と罵られながらも心の奥底でつながっているトルコ風呂の女将(ミヤコ蝶々)の描き方はいかにも森崎東らしい。も少し山田色が薄ければ良かったかな、と個人的には思う。 [DVD(邦画)] 7点(2006-03-25 15:33:30) |
12. アラバマ物語
他の方も言及されていますが、2003年アメリカ映画協会でアメリカ映画ヒーロー第一位に選ばれたのが本作の主人公。てなことでバリッバリの差別告発社会派ドラマかと思いきや、良い意味で裏切られました。大恐慌時代のアメリカの田舎町における日常が子供の目を通して淡々と、しかし陰影を湛えて描かれていて、派手さはないものの観た後深い余韻が残りました。余談ですがこの作品で何度も繰り返される印象深いメロディ、あれって「この森で、天使はバスを降りた」の音楽に似ていた気がするのですが気のせいでしょうか?そういえばこの作品の「ブー」と「この森~」の「ジョニーB」のキャラクターにも似通った点が多いように思えました。 [DVD(字幕)] 9点(2006-03-25 14:27:10) |
13. 野盗風の中を走る
またまたイニシャルKさん、お先に失礼します。さてこの「野盗風の中を走る」、タイトルもカッコ良いけど、中身もカッコ良くて面白いっすよ~。少し「七人の侍」に似てるところもあるけれど、少し違うのが農民たちを救う善玉が野盗であるということと、彼らが最初から農民たちを助けようと思っていたわけではないところ。最初は「俺たちもたまには善行しなくちゃな」なんつって食べ物を施してあげただけだったのに、フトした事で人心厚かった前領主の忘れ形見と勘違いされてしまって段々その気になってくるところなんかとても楽しいし、時にホロリとさせられる。野盗を演じた面々もみんな「良い面構え」でかっちょ良い(特に“はやて”役の佐藤がワイルドでイイ!)し、稲垣浩監督の快活でダイナミックな演出もビシビシ決まっております。こういう、それほど知られてなくても面白い作品が、まだまだ昔の邦画にはいっぱいあるんだと思うと、なんだか嬉しくなっちゃうよね。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-01-25 19:20:31)(良:2票) |
14. 笛吹川
イニシャルKさん、お先に失礼いたします。この作品、戦国時代を舞台にしているけど、主役は武将ではなく戦国の時勢に翻弄される貧しい農民の家族。戦後15年目に製作されたこの作品に戦争の記憶が反映されているのは、おそらく間違いないでしょう。「いくさになんて行くんじゃねえ!」と息子たちに懇願する母と「先祖代々世話になっているおやかた様のためなんだぞ!」と気勢を上げる長男、最初は「オラいくさになんか行かねぇ」と言っていたのが兄たちに影響されて自らも死地に赴き、兄弟とともに自決する三男・・・きっと終戦直前の沖縄や、或いは旧満州でも、同じような事があったのだろうなあ、と実感しました。途中で何度も鳴らされる、まるで「諸行無常」を象徴するような鐘の音が印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-01-25 19:10:56) |
15. 君も出世ができる
これも「幻の湖」のオールナイト上映で観ました。この作品が最後の上映で、確か夜中の三時から四時半くらいだったので、かなーり眠かったのですが、結構面白かった。50年代のアメリカ製ミュージカルを模倣したスタイルですが、単なる真似っこでなく、ちゃんと消化して「和魂洋才(?)」してて、数少ない和製ミュージカルの成功例と言って良いのではないでしょうか。内容は、東京オリンピックを控えて景気も上向きの時代を背景に、ハリキリ社員のフランキー堺とマイペース型の高島忠夫が恋でも仕事でも成功を収める、というノー天気な作品ですが(まぁでも、ミュージカルだしね)、ダンスも歌も楽しくて良かったです。社長の二号(←って死語だよねえ・・・愛人のことです)役の浜美江が小悪魔的な魅力を放っていてとても可愛かった。ただ、今度観る時は、睡眠を充分取った状態で観たいなあ(笑)。 [映画館(字幕)] 7点(2006-01-11 15:34:23) |
16. ひばり・チエミの弥次喜多道中
久々に映画で声を上げて笑いました。東映時代劇の良さと沢島忠の良さが出ている、とってもノンキで楽しい娯楽作品。ヒロインに出くわすたびにひどい目に遭う千秋実がやたら可笑しいし、あ、あと弥次喜多に扮した時の江利チエミのアンヨがとっても健康的で実に美味しそ・・・いや、魅力的。ただ、敢えて難を言うと、前半とても良いテンポでカンカンカーン!と話が進んでいったのが後半ちょっとだれてしまったように感じられたのが少し残念。でも、何度も観たくなる、とても愛らしい作品でした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-27 15:26:44) |
17. 月形半平太(1961)
行友李風が創造した幕末の勤皇志士、月形半平太は大人気のキャラクターで、戦前・戦後を通じ幾度となく映画化されている・・・らしいのだけれど、僕が作品に接したのは、恥ずかしながら今回が初めて。女性達に「月さま」と呼ばれ慕われている粋な月形を大川橋蔵が溌剌と演じていて十分面白かったのだけれど、マキノ作品としてはちょびっともの足りない、かな。多分原作には忠実なのだろうけど、そういう原作とかストーリーを壊してしまう「マキノマジック」を期待してたので・・・。ま、丘さとみが可愛いから許すけど。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-01 17:55:12) |
18. 源氏九郎颯爽記 秘剣揚羽の蝶
うーん・・・確かに女優さん達は綺麗で魅力的(特に北沢典子演じる聾唖の少女が可憐)なのだけれど、どーしても一箇所、ツッコまずにはいられない所が・・・この作品で中村錦之助演じる源氏九郎は、初音の太鼓という義賊(?)に扮しているんだけど、何で?だってさあ、例えば遠山の金さんが、庶民の中に紛れて捜査をするために「遊び人の金さん」になるのは分かるよ(顔は変わってないのに何で桜の刺青見るまで誰も気づかないんだよ、というツッコみ所はあるにしても)?んでも、源氏九郎がわざわざ変装する必然性、ないじゃん別に。目立ちたくないならあんなカッコ(長髪に白装束)しなくたって、ずっと初音の太鼓のカッコをしてりゃ良いのに、なーんでわざわざ井戸の奥に「隠し変装部屋」まで作る?そんなコスプレ好きの凄腕剣士ってどうよ?まあ、そんな事を突っ込むのは野暮というものかもしれないけれど、何だか普通に鑑賞することが出来なかったのでした、ゴメンナサイ。 [ビデオ(字幕)] 5点(2005-12-01 17:44:30) |
19. 大通りの店
うむむ、チェコの映画というとカレル・ゼマンとかのストップモーションアニメの印象が強かったのだけれど、こんなごっつい映画もあったのね。ナチに嫌悪感を抱きつつも無力な主人公の描き方が凄くリアル。善良だけど平凡で、弱さも狡さも併せ持つ市井の人間が時代の不条理に翻弄される様が痛々しく、生々しい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-12-01 17:12:42) |
20. ドノバン珊瑚礁
んむっ。今まで「ジョン・フォードにハズレなし」と思っていたけれど、これはチト微妙。話の流れがチグハグしてて、観ながら何度も「?」が頭をよぎってしまった(映画において「物語の整合性」が絶対不可欠だとは思わないのだけれど)。特に、あのフランス領事館の人は何がしたかったのか、よく分からん。最初に出て来た時「赴任先を変えてくれ」という手紙を本国に出してたけど、それにしちゃ島の暮らしに別段不満があるようにも思えなかったし。それに中国人や日本人の描き方にも、ちょっと差別的なものを感じてしまった(でもまあ、手塚治虫だってステレオタイプな黒人を描いてたりしてたんだから、時代柄しょうがないという面もあるのかな)。ただこの作品、大勢の人々がわらわら画面に登場する所が、妙におかしい。島民が、わらわら、兵隊さんも、わらわら。その「わらわら」な感じが、何だか気持ち良くて「うむ、これが“映画的快感”というものなのかもしれない」とか思ったりも、しました。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-19 19:23:12) |