1. ホリデイ
ただのベタなラブコメだろうと全く期待せず見に行ったら、良い意味で期待を裏切られました。ドアを開けたらそこにはイケメン……なんてありえないシチュエーションだけど、それだけではない映画でした。それぞれの場面がとても丁寧に作られていて、役者さん達がとても楽しそうに演技をしていてとても好感が持てました。これはもう是非見に行って下さい!とても幸せな気分になれます。これは私の勝手な解釈ですが、密かに映画の先輩達への尊敬の気持ちが入っているところも良いですね。 [映画館(字幕)] 9点(2007-03-30 22:25:42) |
2. パフューム/ある人殺しの物語
《ネタバレ》 劣悪な環境で生まれ育った男は人を愛す/愛されることを知らない。道徳/倫理などもってのほかだ。ただ自分の感覚・本能に従って行動するだけ。「匂い・臭い」に執着しながらも自分にそれがないことを知ったとき、それを無我夢中で追いかける男の姿は滑稽にも哀れにも映る。処刑台の上で男は自分の犯した殺人の罪の意識と共に自分が本当に求めたいたものを知る。男の涙は自分の愚かさの象徴とともに失恋の痛みでもある。原作は未読だが、男が自分の人間性を認識する装置としてラストは必要だったのではないか。殺人は行き過ぎかもしれない。しかしもし男が普通の環境で生まれ育っていたならば調香師として成功し普通に恋愛し家庭を築いていただろう。私には男はとかく不器用な人間にしか見えない。彼の心の痛みは私達の心の痛みでもあるのではないか。 [映画館(吹替)] 8点(2007-03-16 17:39:00) |
3. プルートで朝食を
ニール・ジョーダンの作品は『ことの終わり』が好きですが、この作品もいいですねぇ。キリアン・マーフィにやられてしまいました。演技がうまいですよね。『真珠の首飾りの少女』でスカーレット・ヨハンソンの相手役だった少年とはまったく別人。制服のセーターやズボンにひそかにスパンコールやビーズが縫い付けられているのだけれど、あれは誰のアイディアなんだろう。だたお洒落というだけではなくて、IRAといった政治背景や親子関係・友人関係が嫌味なく自然に描かれています。音楽の使い方も最高! [DVD(吹替)] 8点(2007-01-30 21:50:07)(良:1票) |
4. クローサー(2004)
えー!結構評価が低い…。そんなにひどい映画とも思わなかったのですが…。確かに生々しいのですが、4人の性格・心理変化がうまく描かれていたと思います。現実の男女関係ってあんなもんかと…。実際それなりの関係があったものどうしが直接ガチンコすると、あれぐらいにはなるのでは?時間が飛び飛びになっていたのは、舞台が元になっていたせいかと。ただ、アンナは元々、ケイト・ブランシェットだったそうで、彼女の方が良かったような気もします。セリフ回し、音楽にも注目です。 [映画館(字幕)] 6点(2005-05-21 18:45:46) |
5. 真珠の耳飾りの少女
《ネタバレ》 静かにそして美しく17世紀ネーデルランドが動き出す。色と光が少女グリートと画家フェルメールの世俗的な情愛を超えた関係を描き出す。二人がカメラ・オブスクラを覗き込む息遣い、絵の具を調合する時のわずかな体温の触れ合い…。使用人と主人であるが故の抑えられた感情はお互いの感性の中で濃厚に高められていく。市場の喧騒、家事の音、ヒステリックな妻の声…日常の雑音から隔絶されたアトリエで、少女はピアスの穴を開けることで自分の純潔を捧げる。頬をつたわる一筋の涙が真珠の耳飾と重なったとき、切なさが一挙に溢れ出す。その思いは肉屋の恋人を求めることでしか昇華できない。しかしそうだったとしても彼女は幸せだったに違いない。最後に送られた耳飾を握り締め振り返った時の彼女の目のあの「強さ」。あの目に宿った光には心を揺さぶられる。 7点(2004-06-26 22:42:51) |
6. スイミング・プール
サラの微妙な心理描写、サラとジュリーの微妙な共犯関係、そして二人と男達との微妙な駈引き。この「微妙さ」がプールという道具を通して幻想と現実の曖昧な世界へと誘う。海でもない、川でもない、プールの静かな波がまさしくその象徴なのだ。オゾンは好きではないけれど、これにはやられる。ランプリングもサニエも良いけれど、二人に翻弄(!?)される社長、庭師、ボーイフレンドにも注目。キャスティングの「微妙な」うまさに思わずニヤリ。 7点(2004-06-05 09:37:02) |
7. ドッグヴィル
こんな従順な役がニコールなんておかしいぞ、監督!と思いながら見ていると、最後には納得。ニコールが普通のいい人であるはずがない(笑)。彼女のどこかに毒気が潜んでいることを見抜いている監督は流石です。「奇跡の海」も「ダンサー・インザ・ダーク」も、「『あなたのためよ』と言いながら実はそう言っている自分自身が一番可愛いと思ってんだろう、それって実は傲慢だよな、見返りを期待しない無償の愛ってのは『死』しかないんだよ!」って監督に言われているような気がしてかなり痛かった。でも、今回は「愛」の中にある人間の「傲慢さ」以上の人間の「恐ろしさ」=「権力」を見せ付けられました。ちょっとだらだらした感じもあるけれど、あのセットの閉塞感、微妙な人間関係の変化に鳥肌。やっぱりこの監督は凄いです。個人的にはニコールよりもクロエ・セヴィニーが印象に残ってます。ニコールが村に来たことで、トムの興味が彼女に移ってしまって、別にトムのことは好きではないのだけれど(どちらかというと嫌い)、ニコールに嫉妬を抱くところが、セリフは少ないながらも、非常に良く出ていました。今回はあの手ぶれカメラがあまり気にならなかったのですが、映画館を出て、家に帰ったらなんだか船酔いをしたような・・・具合が悪い・・・やっぱりかなりブレてたってことですかね(笑)。 8点(2004-04-09 10:56:29) |
8. サロメ(2002)
《ネタバレ》 アイーダ・ゴメスのダンスは文句なし。迫力あります。でも、映画の内容の問題と言うよりも、舞台の演出自体がちょっと不満。①七つのヴェールの踊りなんだけど、せっかく様々な色の布を重ねて衣装を作っているのに、あのダーク・オレンジの照明ではそれが生かされていない。②最後の最後で○○を出すなら、ダンスシューズも脱ぎましょう。フラメンコだから仕方ないかもしれないけれど、最後のシーンでは裸足だったし。③ヨハネの首にキスするシーンがどうも私には欽ちゃんの仮装大賞に見えてしまって…。というわけで6点です。生の舞台が見たい。 6点(2004-03-12 19:29:18) |
9. ラブ・アクチュアリー
集団劇としては良くできていると思うのですが、19人の誰に感情移入するかで点数が決まってきますね。私は精神病の弟を持つサラ(ローラ・リニー)に一番共感してたので、ちょっと消化不足でした。それにしても、ビル・ナイは前の作品でも落ちぶれたロックスターを演じてましたよね! 5点(2004-02-27 20:55:26) |
10. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 原作が私に合わないのか、それとも脚本・演出が駄目なのか。ともかく理解に苦しむ。固まる前の舗装道路へのいたずらは25年後も残っているものなんだろうか。そういう「粗さ」が目立つ映画。子供時代の子役と俳優達とのイメージの違いも気になる。おまけにショーン・ペン(ジミー)もケビン・ベーコン(ショーン)も25年前の事件を引きずっているようには全く見えない。セリフでいくら「25年前が…」って言ったって、雰囲気で感じなければ説得力が無い。おまけにマーシャ・ゲイ・ハーデン(セレステ)はあんな設定でいいのか。普通、あんな小さな町で近所付き合いをしてたら、ジミーがどんな人間かわかるはずなのに、あんなことを言ってしまうなんて。混乱してたのはわかるけど、その苦悩の描写がちょっと粗雑で、セレステは実は旦那が邪魔だったのではないかと疑ってしまう。現実はこんなもんだと思うし、人間の闇の部分を描くという意味では良い作品なのかもしれないけれど、もう少し綿密に個々の登場人物を描いて欲しかった。ショーン・ペンはがんばってるけど、愛しい者を失った「痛み」が私には、彼自身の「がんばってる」という「痛み」に見えて、ちょっときつかった。アカデミー賞とるのかなぁ…。 3点(2004-01-22 20:17:59) |
11. アイリス(米英合作映画)
ジョンってアイリスのことをずーっと追っているんですよね。やっと追いついたらまた離れていってしまうし。その繰り返し。水泳や自転車のシーンでそれがよく表現されていると思う。愛されるよりも追いかける陶酔、幸福を感じる作品。 6点(2003-09-06 20:51:24) |
12. ゴスフォード・パーク
《ネタバレ》 あらー、マイケル・ガンボンがまた・・・に殺されてるー、という映画です(「コックと泥棒、その妻と愛人」を見た人はわかるはず)。それだけで私は楽しい。 7点(2003-07-17 04:03:43) |
13. 暗い日曜日
「あー、単なる戦争モノに恋愛を重ねた映画かー」と見ていたら、最後は「え、そうなるのー」+涙がほろり…という映画です。イロナとラズロの入浴シーン、大好き。それからあの「髪飾り」に助演女優賞を私はあげたい。あの存在感には人間負けそう。 8点(2003-04-17 02:27:17) |
14. 戦場のピアニスト
ナチが悪い、戦争が悪いというよりも人間が生きるということの根源を「見せられた」感じ。シュピルマンって何をするわけでもなくて、必然・偶然で生きてるだけで、最初は「えー、これでいいわけ」って思うんだけど、人間ってよく考えるとそんなもん。生きるってそんなもん。生かされてるのよね、私達。その辺が恐いほど良く出ている作品。ナチの将校の前でピアノを弾くシーンはピアニストとしての「性(さが)」に鳥肌。「弾きたい」という願望よりも弾くために生まれてきたシュピルマン、生死なんて関係ない。そこにはシュピルマンとピアノだけの世界…。一歩間違えばつまらない反戦映画になりがちな材料をここまで描いたポランスキーに脱帽。減量とピアノの特訓に耐えたブロディ君に脱帽。 9点(2003-03-28 04:25:54) |
15. 8人の女たち
うーん、若手からベテランに至るまで実力派揃いだし、音楽も衣装もセットもお洒落でいかにもフランスって感じなんだけれど、オゾンのしてやったりという笑顔が思い浮かんでどーも入り込めないのよね。この人、もっと素直に作品作りに取り組めないのかしら。頭じゃなくて感覚で勝負!でもイザベル・ユペールのオールドミス振りは演じていて楽しそう。「ピアニスト」でストレスが溜まっていたのか!? 3点(2003-03-28 04:00:45) |
16. スパイ・ゲーム(2001)
ランプリングがレッドフォードに囁くあのワン・シーンだけで私にゃ十分。大人の色気のせめぎあいにゾクゾクドキドキ。ブラピも素敵だけどね。 8点(2002-11-29 23:01:54) |