1. 浪人街(1990)
《ネタバレ》 池袋の文芸座で観ました、初日に舞台挨拶付きで。 たしか勝新さんの大麻パンツ事件で公開遅れたんだよね。 この映画みて以後、あたしの中で石橋蓮司さんの評価が急騰しましたよ。 居合いの母衣さんかっこいいです。 そしてラストの百人切りに浪人たちがひとりまたひとりと駆けつけるとこが、なんていうかぞくぞくしてウルッとキタ。 ていうかさ、原田芳雄さんが刀の束背負ってやってきて 「おし~ん~…聞こえるか~っ」 って叫んだとこからもう泣けてたかもしんない。 [映画館(字幕)] 9点(2007-12-12 21:55:22) |
2. フォレスト・ガンプ/一期一会
《ネタバレ》 DVDでもTVでも何回か観てる。最初のころは「知的障害者をダシにしてるな」「結局は拝金主義かよ」なんていうネガティブな印象があった。しかしそれでもフォレストの真っ直ぐで懸命な生き方姿に惹かれてしまい、二度三度と観続けるうちにこちらの印象も変わった。フォレストは、IQ70以上ではあるので障害者には当たらないもののちょっと鈍い自分をことさら卑下するでもなく、あるがままを受け入れその制約の中で努力する。ストーリーの端々で経済的な成功について触れられているが、彼の価値観の中でより大切なものは仲間の役に立つことであったり、友達との約束を守ることであったり、周囲の人間が幸せになることであったりする。ひねくれてしまったダン中尉を立ち直らせ(おそらく最後にアジア系の奥さんをもらっていることから、完全に吹っ切れたのだろう)、ババのお母さんへ大金を贈り、迷走し続けるジェニーに尽くす彼に、それでも神様は全てを与えない。ジェニーは天に召される。それでもフォレストの心は曲がらずポジティブである。この真っ直ぐさは、80年代"Born in the USA"で歌われていたようなアメリカへの怒りや恨み辛みに対して提示された、ひとつの答えなのかもしれない。ところでフォレストの適度な鈍感さと一所懸命な愚直さは男性に求められる美徳であるが、この映画のように堂々と描かれてしまうと個人的には気恥ずかしく思った。それをマイナス点。 [DVD(吹替)] 8点(2007-02-15 16:47:05) |
3. ゴッドファーザー PART Ⅲ
《ネタバレ》 なんといっても最後のマイケルでしょう。ケイの叫びともアンソニーの嘆きとも違う。30年以上かけて築き大切にしてきた、そして今ここに来て引退することで守ろうと決めた大事なものが粉々に壊れ失われてしまった、言わば彼の人生の全てを否定されたようなもの。それを思うとこれがマイケルの人生の終わりだったのかもしれない。これまで長い間被っていた仮面を脱ぎ捨ててしまった瞬間、それがあの完全に脱力した表情なのかな。PartⅢはこの最後の破滅の瞬間に向かうための映画なんだと思う。絶望と後悔しか見えない。最悪のエンディングなのについつい何度もマイケルの最後の叫びを見てしまう。これが父性の愛の限界だと思いつつ贖罪のつもりで見てしまう。見ても結局多くの男は変節しないで、最後は同じように"Aaaahhhgg...."って叫ぶんだろうなって思う。 [DVD(吹替)] 8点(2007-01-29 15:58:53) |
4. ボーイズ・ドント・クライ
これも痛い映画でつね。『ピアニスト』のときと同じく正視に耐えなくてDVD何度も止めちゃいました。これは性同一性障害にスポットライトを当てて「差別はよくない」なんてこと言いたかった訳ではなくて、不幸なめぐり合わせと貧困、教育の問題なんだと思ったでつ。底辺に暮らす人たちにしてみれば理由なんて何だってよかった。たまたまキリスト教的道徳規範で悪・脅威の対象とされているものに憎悪が向けられた。キャンディスもラナのおかん(綾戸千絵似)もジョン(「K-19」ではがんばった)もトムも、ティーナという触媒がなければそれなり平和に暮らせてたかもしんない。うん、彼らが一方的に悪いわけじゃないでつ。貧困と教育不足からくるモラルの低さと無理解でつよね。ていうかそもそも実在したティーナ自身、軽犯罪繰り返しつつそんな社会にいて我を通してた訳だから愛と自由を求めた代償でもあるのかも。映画じゃそのへんの犯罪暦はっきり描いてなかったみたいでつけどね。この得たものと失ったものっていうのがあるから、全く救いが無いストーリィとも言えないんじゃないかなって思ったでつ。 [DVD(吹替)] 7点(2007-01-20 14:58:53) |
5. イグジステンズ
見終わってからクローネンバーグだったと知りました。道理で既視感。こりゃ1999年版ビデオドロームだ。もう十年もしたら次の同テーマ作品やるのかな。それなり面白いけど狭い視野からの現状批判て感じ。斬新さは感じない。造形関係は影響与えると思うけどね。妙なエロティック風味は観客サービスか?だったらジュード・ロウよか女優に金かけてよかったんじゃない? [DVD(字幕)] 5点(2006-11-24 13:45:12) |
6. エグゼクティブ・デシジョン
《ネタバレ》 Bフレッツの無料配信で鑑賞。うん、確かにセガールが序盤で消えたのにはびっくりした。っていうかこれで観客にも緊迫感を共有させようっていうキャスティングだったのかな。よくこんな役受けたなセガール。しかしそう考えると爆弾処理にしても"スリーパー"探しにしても、なんか計算して引っ張ってる企画者の意図が透けて見えるようで、なんか客として舐められてるみたいな気がしたのね。それでもまあこういうのはよく練られた脚本ていうのかな。操縦士が殺されたために自分で操縦?ああそれで冒頭の練習の場面が伏線か…なんて斜に構えて鑑賞しちゃいました。エンディングまで来て、なんかまるで『ダイハード』じゃんっていう既視感。最後の最後でちょっとカートラッセルの役が薄っぺらく感じちゃった。所詮このひとも製作側からしたら将棋の駒かよって思った。男優としてなんか臭いの薄い感じがちょっと物足りなかったな。いや足は臭かったみたいだけどさ。なんて貶してるけどまあおもしょかった。アメリカ映画産業謹製って感じ。王道なんだろなこういうのが。 [インターネット(字幕)] 8点(2006-06-12 22:28:36) |
7. オール・アバウト・マイ・マザー
なにかにぶら下がったまま不平だけもらす。最近では男女を問わずそういう自立していない生き方が当たり前のようになっていまつが、ここに出てくる女性たちはみな自分の足で立って歩いてる気がしたでつ。 男にどう見られるかとか結局男なしじゃ生きられないなんていう弱気な言葉は出てきません。過去の自分について『孤独を避けるためなら女は何でもする』って言えたのはむしろ乗り越えたからなのかな。 男優がらみのプロットが少ないためか誰も異性に対する無意識の媚びみたいなものを全く感じさせないのは演出なんでしょうか。それと堕胎という選択肢が出てこないのはカソリックのお国柄なのか。いずれにしてもぶら下がったり寄りかかったりしない芯の強い生き方でつ。 男に対して人格もなにもなく「ペニス」ってだけ言われるとかなりさびしいものがありまつが、実生活で女性に対して同じようなこと言ってる自分に気がつき少し反省。 バルセロナでマヌエラが勝手に楽屋へ入り込む場面に違和感がありましたがこれはどうなんでしょ。このへんはスペインならアリなのかな?もすこし自然なプロットにして欲しかったきもしまつ。 ラストで大女優ウマの孤独な部分が際立ちまつが、そのあんはっぴいな余韻の意味合いがいまひとつ消化不良でつ。 7点(2004-01-25 17:15:12) |
8. シックス・ストリング・サムライ
クールで熱いチャンバラ西部劇。 抜けば珠散る仕込みギター。 マッドマックス2な子連れ狼でつ。 School of Rockよかこっちが上でしょ。 [映画館(字幕)] 10点(2003-11-24 15:27:46) |
9. 地獄(1999)
すごいでつね、『シベ超』の仲間でつ 水野晴夫がでてればパーフェクトでしたが、出てなかったので1点でつ 個人的にはそこまで極めてほしかった 惜しいえいがでつ 1点(2003-11-15 21:34:39) |
10. サウスパーク/無修正映画版
おもしろかったの。アニメ&ミュージカルなのでソフト風味だけどアメリカのやな体質をそれなりきちんと描いてると思ったの。アメリカンヒストリーXはすごかったけどこれに比べるとまだまだ一面的だったかもしんない。サダム・フセインを薄っぺらに描いてたのはまあそういう映画だから仕方なかったのかもしんないけどこの映画の限界なんだろな。でもエンタテイメントなんだしこれでいいんじゃないかしら、アンクルファッカー。 8点(2003-08-30 23:30:57) |
11. CUBE
『世界が百人の村なら』じゃないけど、現代社会を構成するそれぞれ典型みたいな人たちをメンバーにしてるよに思ったの。頼りになるリーダーだった警官がどんどんストレスで変わっていく様が怖かったの。ていうか実社会でこういう変わり方することってよくあるからリアルな気がしたの。一皮剥くとだれでもエゴイストってことなのかしら。妙に反省しながら観てしまったの。リーダー不在・利己主義横行・先行き不透明・つのる閉塞感って、なんか新聞読んでるみたいでつ。サイコサスペンスというより社会風刺なのかな。そゆことなら、こんな映画でなくもっとリアルなもの観たいでつ。 6点(2003-08-15 22:25:32) |
12. シベリア超特急
ほんとうに、もうなんていったらいいか。監督・脚本・主演、このうちどれかひとつでもほかの人がやってたら、ここまでのレベルのものを完成できなかったと思いまつ。シベリアってほんと寒いんだなと思ったでつ。 0点(2003-08-11 22:26:46)(笑:4票) |
13. スリーピー・ホロウ
意外。おもしょかった。ホラーっていうかファンタジーなのね。キテレツくんみたいなジョニーデップがコミカルでいい。思ったより軽いしすっきり。 8点(2003-08-09 21:09:02) |
14. リング(1998)
ごめんなさい。良い点がみつかりませんでした。 4点(2003-08-09 20:59:59)(笑:1票) (良:1票) |
15. ジャンクション
見終わって考えたの。あれがふつうに黒人白人逆じゃなかったら、たぶん「ふぅん」で終わってたと思ったの。そしたらなんかこわかったの。身近で差別をみてないあたしたちにとっては、かなり意味のある1本だと思うの。 6点(2003-08-02 00:30:36) |
16. ボクシング・ヘレナ
いやぁ~ん、みんな辛口。当時封切りで歌舞伎町まで行きました。このテーマは'65のコレクターに近いものを感じてましたので見逃せなかったの。四肢切断&監禁というと極めて暴力的な印象を受けますが、むしろ泣きながら「いかないでくれ~理解してくれ~愛してくれ~」と叫んでいるような感じをうけたでつ。だから男女逆の設定でも良かったかも。恋愛の暴力性みたいなものは男も女もそんなに変わらないと思うから。そういう意味でラストの夢オチはありだと思うの。だって嗜虐趣味からじゃないんだもの。狂うほどの恋からふと我に返り、血塗られた己が両手を見て恐れ悲しむ。そんな印象をうけたでつ。 9点(2003-07-31 01:06:58) |
17. 鮫肌男と桃尻女
はじめ原作の漫画を読んだときすでに十分映画っぽい内容でしたが、映画は原作そのままじゃなかったの。原作には若人"我修院"あきらの山田君はいなかったの。でも、この映画は山田君につきるの。暗視スコープで2丁拳銃のアブナイ山田君なの。すごいの。ブルーベルベットのデニス・ホッパーくらいの存在感。山田君最高でつ。もうこれは恋でつ。 9点(2003-07-30 23:56:09)(笑:1票) |
18. ブラス!
借金まみれ・組合の裏切り者・貧乏の子沢山な息子が好きでつ。塵肺病みのおやじが倒れるのなんて、あざといな~と思いながらうるうるしちゃいました。なんか寅さん映画みたいな暖かさを感じてしまうのはあたしだけかしら。 9点(2003-07-22 00:16:46) |
19. マルコムX
《ネタバレ》 表面的かもしれませんが、こんなふうに感じたでつ。能力や努力に関係なく、生まれだけで生き方が制限されるアメリカ社会。おとなしい奴隷になるか、犯罪者になるか。そのどちらも間違っている。社会も変えなきゃいけないし、自分たちの負け犬根性も正さなければいけない。おそらくここまでがマルコムの主張として描かれたと思うでつ。で、スパイク・リー監督独自の主張として、こんなことをいいたかったのではないかと思うでつ。カリスマ的なリーダーが必要なんじゃない。結局自分のふところが豊かになれば、仲間のこと社会のことなんてそっちのけで、既得権を争って足の引っ張り合いがはじまってしまう。でもそれじゃいけない。ひとりひとりがマルコムのように理想を持って動いていかなきゃ変わらない。最後に子供たちひとりひとりにアイムマルコムXって言わせたのはそゆことかなとおもったでつ。なんかダメダメな高校に赴任してきた熱血ラガーマン教師みたいでつ。でも映画でも出てたけど、アメリカ政府はそういう変化を望んでないっていうか、むしろそういう芽は摘み取りたいみたいなのね。ごり的に、せつない映画でつ。メッセージが重くて、単なる映画としては批評しにくいでつ。 8点(2003-07-21 21:43:20) |