1. キートンの蒸気船
《ネタバレ》 半端じゃないな~、バスター。やけに面白いと思ったら監督はチャップリンの助監督をやっていた人なんですね。序盤の帽子エピソードや、後半の刑務所騒動はホンの序の口。終盤の「デイ・アフター・トゥモロー」宜しく吹っ飛んでいく町並みは圧巻!ハリケーン・カトリーナもびっくり(不謹慎)何気に息子がどつかれると怒る、優しい父親も好き。ところで【どんぶり侍】様、私が観たバージョンには音楽が付いていましたが…(LDだったからかな?) [DVD(字幕)] 8点(2006-04-19 21:11:54)(良:2票) |
2. 東への道(1920)
こういう映画を観るとトーキーの到来が至極当然のことのように思えてきます。これ以上何を作れというのか…、一つのメロドラマとして完璧に完成してしまっている。コメディパートやスペクタクルシーンなども秀抜の出来と言って良く、特にクライマックスの凍った川の上を流されていくリリアン・ギッシュのシーンは、既にジャンヌ・モローの撮った「リリアン・ギッシュの肖像」で観ていたにも関わらずやはり手に汗握ってしまった。それからこれはかなり私事で申し訳無いのですが、今回生まれて初めて生の活弁付きサイレントを観たということもありかなり興奮しております。その為本作への評価に多少なりプラスの影響が生じていることかと思いますが、どうか何卒ご容赦下さい(笑) [映画館(字幕)] 9点(2006-02-23 14:11:21)(良:1票) |
3. 学生ロマンス 若き日
《ネタバレ》 サウンド一切無しバージョン(意図的にではなく)で観ました。いやはや、以前に「國民の創生」と「イントレランス」を音無しで観て死にかけた覚えがあるので心配していたのですが、何て事はない。全然面白かったです!オープニング、"都の西北で"という字幕が出て俯瞰状態のカメラが左へ左へと流れていく。やがて物語の主人公の一人である青年の住居へと辿り着くと、そこには破り捨てられた「貸間有ります」の紙屑の山が。またペンキ塗りたての柱を触ってしまい、通行人に手袋を落としたと勘違いされるシーンはまるでチャップリンやキートンのギャグを見ているようで面白いです。取って付けたような感じもするけど、遊び心に満ちていて楽しいです。というかもう一人の主人公が個人的にハロルド・ロイドに見えて仕方が無かったのですが、意識しているのでしょうか?後半のスキーの展開も丁度今回のトリノと重なってタイムリーだし、部屋の壁に映画の写真の切り抜きが飾ってあるところは如何にも洋画好きの小津らしくてご愛嬌。"第七天国"なんて言葉が出てきた時には思わず嬉しくなってしまいました。最後にカメラは元来た風景を右へ右へと流れて行き最初の位置に戻る、そして「終」の文字。何も変わっていないけれど将来は希望に溢れているという、まさに青春にピッタリのラストのような気がしました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-02-14 17:54:41)(良:1票) |
4. キートンのハード・ラック(悪運)
《ネタバレ》 「キートンの自殺マニュアル」、台無しで自力で首を吊るところは笑った。それから有り得ない釣りのシーンも好き。最後は地球の反対側まで行って中国へと辿り着いてしまいました。これぞ正しくキートンの不死身さを証明した一本だと思います。これにて「キートンのハード・ラック」、一巻の終わり(澤登さんのパクリ)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-09 14:36:07) |
5. キートンの警官騒動
「あれ、キートンもう刑務所に入っちゃったの?」と思わせられるオープニングからやられてしまいました。『セブン・チャンス』の花嫁軍団にも引けを取らない大迫力の警官隊、『マトリックス』のエージェント・スミス宜しくゾロゾロと出てくるところは笑いました。やはりキートンの見事な追いかけられっぷりは、チャップリンのそれよりも上手のような気がします。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-11 19:08:51) |
6. キートンの強盗騒動(悪太郎)
《ネタバレ》 恐ろしいくらいのテンポの良さ。物語はただキートンが追いかけられ続けて逃げ回るだけの話なんだけど、そのプロセスに詰め込まれたキートン流早業ギャグに抱腹絶倒!特にキートンを追う警官の数が一人、また一人と増えていくところはニヤニヤしながら観てしまいました。さり気なく巧みに影を取り入れた演出なども有り、最後のエレベーターが建物の屋根を突き抜けてしまうところなんて極地と言えるのではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-11 19:04:28) |
7. キートンのハイ・サイン(ザ・ハイ・サイン)
《ネタバレ》 まず冒頭の字幕から洒落ています。ストーリーの結合性なんてほとんど無いけど、一つ一つのギャグがしっかりと練られて作られているので安心して楽しめます。特に中盤に亘って繰り広げられる射撃ネタには笑いました。序盤、キートンがメリーゴーラウンドの客から奪い取った新聞を広げると、それがどこまでも広がっていくというシュールさも好き。後半の仕掛けたっぷりの屋敷の展開は如何にもキートンらしくて面白く、家の様子をそのまま断面図にして見せてしまうなんて彼ぐらいでしょう。この手のドタバタ短編コメディの中ではなかなか完成度が高い作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-14 17:05:18) |
8. 幕間
ルネ・クレール=ヤン・シュヴァンクマイエル。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-11 22:39:45) |
9. 最後の人
《ネタバレ》 う~ん、まさに服装が人を作るとはこのことでしょうか…。制服を着ている時の主人公は威厳のある大男だったけど、それを脱ぎ捨てた瞬間あたかも化けの皮が剥がされたかのように酷く醜い存在に思えてきました。「サイレント映画は一つの形式としてほぼ完成形を極めていた」という先達たちの言葉通り、スポークンタイトル一つ表示されないこの映画は映像と役者の動きだけで実に巧みに物語を展開していきます。制服を盗んだことから罪の意識に苛まれホテルが倒れてくる幻覚を見るところや、白昼の夢のシーンなど、フリッツ・ラングと言い昔のドイツの監督たちはイマジネーションの止まるところを知らなかったのでしょうか。どんなに凄い人間でも肩書きを破ればただの人ということを教えてくれる、全ての映画の基本サイレントから学ぶべきことはまだまだ多いです。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-07-29 19:09:02)(良:1票) |
10. ドクトル・マブゼ
これはあらゆる犯罪映画の原点とお見受けしました。おそらく黒澤明や清さんもご覧になっているのではないでしょうか。まさか催眠術(と言うかほとんど超能力)までもが話に出てくるとは思いませんでしたが、その催眠シーンがひたすらに凄い!スポークンタイトルまでもが極端に変形してしまうほどの迫力。金持ちの御曹司やスリルを求める伯爵夫人など、様々な人間模様が複雑に絡み合う人間ドラマも面白い。サイレント期のとんでもない傑作に出会えて大満足です。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-23 20:59:08)(良:1票) |
11. 第七天国(1927)
決して華やかだから天国なのではない、心が豊かだからこそ天国なのだ。 7点(2005-03-04 17:53:37)(良:1票) |
12. 裁かるゝジャンヌ
もう邦題から凄すぎる、裁かるゝって…。感想はジャンヌ・ダルクが一日で一気に老けたという感じ。最初は呑気にミカンなんか食べながら観ていたのだけど、皮を捨てに行こうにも矢継ぎ早に画面に繰り出されるショットがあまりにも強烈すぎて、リモコンのストップボタンが押せず結局そのまま最後まで観てしまいました。映画というよりは写真を連続で見せられているという印象が強かったけど、ラスト数十分間の流動感あふれる映像はやはり映画ならではのものだと感じました。火刑に処されているジャンヌを見て涙する人々のカットはあまりにも感動的、というか壮絶。壮絶と言えば主演のルイーズ・ルネ・ファルコネッティ、まるで実録としか言いようがないほどの熱演(というかそもそもあれは本当に演技なのか?)。「ジャンヌよ、貴方は一体何を見つめているのですか?」、、今はもうしばらくこの衝撃を噛み締めていたいので一先ず7点で採点します。 7点(2005-02-06 12:54:14)(良:2票) |
13. 死滅の谷
「第七の封印」+「イントレランス」というところでしょうか。魔法・死神・ゴースト何でも御座れの超絶ファンタジー。特に幽霊たちが行列を成して冥界へと旅立って行くシーンが圧巻で、1921年という時代にしてこの物凄いイマジネーションの連続は、さすが後にあの名作「メトロポリス」を撮る人だけのことはあります。(Der Mude Tod=疲れた死神)原題が指し示す通りこの映画の死神は自分の役目にウンザリして嘆き苦しんでいるという、ベルイマンの映画に出てくる死神とは打って変わって好印象。物語の底辺にあるのは死のイメージで、テーマはずばり愛の力だと思います。何とも摩訶不思議で観終わった後に不思議な印象の残る、まるで夢のような映画でした。 8点(2004-12-30 12:19:02)(良:1票) |
14. リング(1927)
《ネタバレ》 結構真面目なボクシング映画だったので驚いた。ヒッチコック自身がなかなか気に入っていた作品らしいですが、まあ可もなく不可もなくというところでしょうか。何だかんだ言って一番面白かったのは最初の"ワンラウンド・ジャック"のシーンだし、やっぱりヒッチ先生にはスリラーに徹してもらっている方が好きです。とは言えボロボロのワンラウンドカードが新品のツーラウンドに変わるところや、ヒロインが腕輪を片手で隠す辺りのディテールの細かさには脱帽。こういうアイディアって普段はなかなか思い付かないと思うんですよね。あとは「祝杯だ!」なんて言いつつも、主人公の部屋で皆でテンションが下がりまくっているシーンが個人的には好き。サイレントで90分という長さにしては退屈しなかったし、終盤の試合シーンもいつの間にか熱中して観ていたので良かったかなあと。 7点(2004-12-18 11:40:47) |
15. キートンのセブン・チャンス
《ネタバレ》 これ誕生日に観ました(笑)。別に取り計らったわけでもなく偶然そうなったのですが、おかげでもし自分が主人公と同じ境遇に置かれたら?と考えてしまいました(^^;。それにしても今の時代に観てもこれほど面白いサイレントってそうそう無いんじゃないでしょうか。女性を見つけるや否や手当たり次第に求婚しまくるキートンに笑い、牛の大群よりも怖い花嫁の大群にギョッとさせられる(これで花嫁恐怖症になった人は絶対いるハズ)。そして後半は何やら危なげなことを何なくこなしちゃっているし…。あの岩が作り物かどうか知らないけど、まともに直撃するシーンはさすがにヤバいだろと思った。そんな危険にもめげずに有刺鉄線を掻い潜り、愛する女性の元へと駆けて行く。もう随分前に観たので忘れてしまいましたが、リメイクの「プロポーズ」が面白くなかったのは(個人的に)おそらくこのスピード感が無かったからではないでしょうか。ラストは素直に良かったねって感じ。楽しい一時をありがとう、バスター!最高の誕生日プレゼントだよ。 9点(2004-11-14 19:51:51)(良:2票) |
16. 巴里の女性
華やかなタイトルとは裏腹に、けっこう残酷な愛の物語。時代性を考えると凄い作品なのでしょうが、最近の映画に見慣れてしまっているせいか、ただ普通のラブロマンスという感じでいまいちしっくり来ませんでした。チャップリン本人が出ていないシリアスドラマという点では、凄く新鮮な感じがして「観て良かった!」と思えます。それにしてもあのアドルフ・マンジューという人のほんわかとした顔は、役柄上嫌なヤツだとは分かっていてもどこか憎めない感じがしますね。それどころか彼が画面上に現れると妙に場が和んだような気さえするから不思議です。 6点(2004-08-18 20:45:08)(良:1票) |
17. 偽牧師
《ネタバレ》 あくまでも中間を歩いていく、それがチャップリン! 8点(2004-08-08 19:09:51) |
18. 母(1926)
最近までフセヴォロド・プドフキンという人は全く知らなかったのですが、聞いたところによるとエイゼンシュテインらと並ぶ旧ソ連の偉大な監督なんだとか。さすがに70年以上も昔の映画なので多少見苦しい部分はあります、そのせいか観ていてついウトウトとしてしまいました(汗)。タイトルにもなっている母親の絶望に沈んだような表情がとにかく凄く、特にラストシーンなどは一度見たら一生忘れられなくなるような衝撃を受けます。旧ソ連の映画はこれからも勉強していきたいですね。 7点(2004-06-12 23:58:50)(良:1票) |
19. キートンの探偵学入門
あれだけスピーディーな夢を見られたら気分爽快だろうなぁ。この映画はあらすじだけを読んでもよく分からないので、まずは実際に本編を観た方が良いでしょう。・・・すると度肝を抜かれます(^^;。こういう映画を観るたびに思うのが、「昔の人たちは頑張っていたんだな~」ということ。もちろん今の映像技術が発達した映画業界も凄いけど、CGもない時代によくあれだけのものを作れたなと思います。おそらく当時に存在する限りの、ありとあらゆる技術をかき集めて撮影したのでしょうね。その映画人としての熱意と根気だけでこの点数を差し上げられます。やはりウディ・アレンもキートンが好きだったのでしょうか。 8点(2004-05-21 23:20:17)(良:1票) |
20. 戦艦ポチョムキン
《ネタバレ》 「第一章 人々とうじ虫」というタイトルが凄い、何か笑ってしまいます。正直序盤はちょっと退屈…と言うのも観ている方も劇中の水兵たち同様、上級仕官の悪行に耐えなければならないので観ていて歯痒いのですが、一度蜂起が起こってからはひたすら凄まじい。どんどんエスカレートしてやがてかの有名なオデッサ階段での虐殺へと発展する。民衆の握り拳、泣き叫ぶ母親、乳母車、そして破壊されるオデッサ劇場の石造と、モンタージュの偉大さを噛み締めながらただ眼前に広がる地獄絵図に見入ってしまいます。また石段に並ぶ兵隊の影の太く長いこと!まさにエイゼンシュテインは映画の神様ですね。ただオデッサの階段のシーンがあまりにもエキサイティングしたせいか、その反動からかそこから最後の大団円までがまたちょっと眠くなるのですが、これは単純に僕の未熟さ故なので戒めの念も込めて-2点引いておきます。 [DVD(字幕)] 8点(2003-09-08 20:04:27) |