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1.  巴里祭
ルネ・クレール監督の映画は好きですが、その中でもこの代表作「巴里祭」は最も好きな作品です。愛と優しさに包まれたパリジャン、パリジェンヌのユーモア溢れる情景。観終わった後には周りの世界がパーッと明るくなります。現代のお洒落なフランス映画(例えば「アメリ」とか)のルーツも彼クレールの作品にあるのではないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2006-04-05 16:39:28)(良:1票)
2.  河内山宗俊 《ネタバレ》 
おー、オープニングからカッコ良い!山中貞雄監督の作品は「丹下左膳」も良かったけど、こちらも良いですね。一見脈絡の無いストーリーが、様々な事件と因果して予想だにしない展開へと発展する。何と言ってもこの個性的な登場人物が江戸の狭い町内で忙しなく行き来する面白さ!行き当たりばったりのように見えて、実はかなり緻密に計算されとるのでしょうなぁ。クライマックスのチャンバラも見応えがあったし、主演男優二人の男気も素晴らしかったです。金子の「俺は初めて人間というものになれたような気がする」という台詞は奥が深い…。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-02-28 16:45:01)(良:1票)
3.  舞踏会の手帖 《ネタバレ》 
2005年、最後の最後に素晴らしいものを観させて頂きました。これはもう兎に角美しいとしか言いようがない…。他の作品のレビューでも「美しい」を連発しているけど、この作品に限ってはそれ以外言葉が見つからない。優雅なオープニングから舞踏会での乱舞、灰色のワルツの曲、そして極め付けは主演のマリー・ベルの容姿。てっきりもっと頻繁に舞踏会が出てくる映画かと思いきや、実際は過去に舞踏会で踊った相手の亡霊を探しに行くという(中には本当に亡霊になっている人もいたりして)なかなか倒錯したストーリーではありますが、過去に思いを馳せる登場人物たちの心情が丁寧に描かれていて良かったです。また中盤の『第三の男』を彷彿とさせるような印象的なカメラワークも、その場の不穏な空気を駆り立てていて効果的でした。ラストは一瞬何が起きたのか分からなかったけど、巨匠デュヴィヴィエの卓越した演出センスを感じさせます。9点に近い8点。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-29 14:26:15)
4.  民族の祭典
第二部「美の祭典」に比べると競技のバリエーションが少なく、やや面白味に欠けるような気がしますが、相変わらずフィルムに映るアスリートたちの躍動感溢れる映像は素晴らしいの一言です。今日のオリンピック記録映像と比べると色彩こそ無いものの、一つ一つの画の迫力、臨場感などは全く遜色ありません。それどころか寧ろモノクロの映像が光と影のコントラストを生み出していて、より劇的なものになっています。やっぱり見所は超激戦棒高跳びと大会の最後を締め括るマラソンでしょうか、あれには白熱しました。ただヒトラーが生出演していたり、ドイツの国旗がナチスのハーケンクロイツに変わっていたりと時代性を感じさせながらもちょっと生々しいです。そういう意味でもやはり個人的には素直に楽しめる第二部の方が好みかな、と思います。
[DVD(字幕)] 8点(2005-11-20 10:39:47)
5.  美の祭典
なるほど、単なる記録映画じゃないのね。冒頭から木々や小川の自然映像をコラージュする等、早くもレニ・リーフェンシュタールの天才振りを見せ付けています。まるで30年代のソビエト映画を彷彿とさせるような荒々しさに、スローモーションの美しい映像は観ていてこちらは何もしていないのに「スポーツするって気持ち良いな~」と思えてしまいます。特にフィナーレを飾る高飛び込みの迫力は圧巻!そのまま感動のクライマックスへと一気に突き進む。我らが日本人もけっこう活躍していて嬉しい、これは第一部『民族の祭典』も絶対に観たいと思います。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-20 10:33:22)
6.  制服の処女(1931) 《ネタバレ》 
実はこの映画、けっこう不純な動機で観ました。案の定「ベルンブルク先生って女じゃん!」などと喜び勇んで観ていたのですが、これがなかなか真面目な内容でした。主人公の少女マヌエラは他の生徒たちとは違い、先生のことを実の母親のように慕っていたのでしょうね。最後は学園内の"悪の親玉"である校長が打ち負かされたにも関わらず、どこか物悲しい余韻が残ります。昔の人々は良い映画の撮り方を知っていた…。それにしてもジャン・ヴィゴの『新学期操行ゼロ』が"反社会的"という理由から上映禁止処分になり、こういう作品がすんなり公開されるというのは何とも面白い話ですね。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-10-21 22:53:25)
7.  マルクス一番乗り 《ネタバレ》 
上のジャンルに「医学もの」というのが入っていてちょっと笑ってしまいました。そう、確かにこれは一応医学のお話です(笑)。序盤からいつものハチャメチャ具合とは違いちょっと大人し目なので、これが本当にあのマルクス兄弟の映画?などと勘ぐってしまいました。本作は今までの彼らの出演作とは違いストーリーの方にも重点が置かれているようで、マルクス兄弟特有の奇想天外さに薄れギャグもちょっと物足りないように感じますが、その分物語全体のバランスが取れて極めて良質な作品に仕上がっています。マルクス兄弟の映画の中で一番ヒットしたというのも納得。やはりこれも名プロデューサー、アーヴィング・G・サルバーグの手腕故でしょうか。毎度ながらのグルーチョの口八丁、敵役者ウィットモアとの電話シーンには爆笑。更に前作「オペラは踊る」でのコントに磨きを掛けたような、チコとグルーチョのアイスクリーム屋台でのやり取りは傑作!以前はマルクス兄弟なんてどこが面白いのかサッパリ分からないと思っていた自分も、今ではすっかり彼らのファンになってしまいました。
[DVD(字幕)] 8点(2005-10-12 15:39:54)
8.  黄金時代(1930) 《ネタバレ》 
サソリの生態ドキュメンタリーか何かかと思いきや、全く別の話に物語が流れ込む辺りはちょっと斬新でした。果たしてどのような関連性があるのかは知らないけど、とりあえずこの映画に関しては「ストーリーを追おう!」という考えだけは賢明ではないようです。何故ベッドの上に牛がいるのか?とか、あまり深く考えない方が良いです。ただ作品的には『アンダルシアの犬』のようにトコトン意味不明なのではなく、中途半端に訳が分からない感じなので(どんなだよ!)案外すぐに忘れてしまうかもしれません。とは言えそん所そこらに転がっているような、並大抵の作品よりかはよっぽど印象的であることは間違いありません。結局自分にもよく分からないのですが。ただやたらと犬を蹴り飛ばしたり、盲人を蹴り倒したりする乱暴な主人公がちょっと気になります(笑)。
[ビデオ(字幕)] 6点(2005-10-05 23:40:06)(良:1票)
9.  大地 《ネタバレ》 
う~ん、プドフキンの二の舞…(泣)。昔のソ連映画って個々のショットは文句無く素晴らしいのですが、その反面ストーリーが結構チグハグで観ていてどうしても途中で集中力が途切れてしまいます。本作も例外ではありません(あくまで主観なのですが)。ただ先程も言ったようにウクライナの広大な土地の映像、果てしなく広がる青い空、風に靡く大草原、辺り一面に咲き渡るひまわりの花々と、自然風景の描写は美の頂点を極めています。特にトラクターによる稲の刈り込み作業のシークエンスは、もはや一大叙事詩と化しています(笑)。スポークンタイトルの反復表示、役者の鬼気迫る表情、クライマックスは観ているこちらが押し潰されそうになるくらいの圧倒的なパワーに満ち溢れています。雨上がりの後の宝石の如く輝きを放つ林檎のように、後世に伝えていくべきロシア映画が産んだ遺産です。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-27 23:53:54)
10.  有頂天時代 《ネタバレ》 
あれで「ダンスには未来がない」だなんてよく言うよ(笑)。「もう踊らない」なんて守れない約束はしない方が良い…と。観る者全てを夢の世界へと誘うフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース共演の傑作ミュージカルです。ストーリー的には『トップ・ハット』よりも面白いと思います。特に25セント騒動からダンス教室までの流れは秀逸。個人的にジンジャー・ロジャースって特別物凄い美人だとは思わないけど(失礼!)、フレッド・アステアと踊っている時の彼女は良く映えています。そして二人のダンスシーンのこれまた長いこと!今時のミュージカル映画では全く考えられませんね。まさに観ているこっちもウキウキ有頂天な気分になる一本です。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-08-15 13:10:04)(良:1票)
11.  まごころ(1939)
子供の頃って友達が泣くと、何故か自分も泣きたくなってきますよね。まずはこの映画、タイトルが抜群に良い!シンプルながらも計り知れないほどの優しさに包まれています。そう、人間には真心が必要なんですね。だから最近の映画はつまらないのか、真心が無くて…とか(^^;。やたら流暢に喋るお婆さんがちょっと気に掛かりますが、そんなことを補っても有り余るほどの成瀬巳喜男の珠玉の作品です。結局映画自体については何一つ語っていませんが(汗)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-06-26 11:48:12)(良:1票)
12.  地獄の天使(1930) 《ネタバレ》 
何だかやけに淡々としているな~と思いながら観ていたのですが、フェードアウトとフェードインばかりだし。飛行船や戦闘機など、実写ならではの本物に拘った(ですよね?)映像は迫力満点です。それからドイツ人がちゃんとドイツ語を喋っているところにも妙に感心してしまったり。機体の重量を落とすために要らない物を投げ捨てるシーンでは、不謹慎ながらも何かのギャグか?と思ってしまいました。その上カミカゼと、この映画やっていることが凄いです。ストーリーも小難しいこと一切無しのストレートで、主人公たちが敵の武器庫めがけて爆弾を投下するシーンでは「地獄の黙示録」のナパーム放出を彷彿とさせました。特に後半、「アビエイター」の撮影シーンさながらの上空で繰り広げられる大空中戦は圧巻!ここまで凄い映像はそうそうお目に掛かれるものではありません。音楽が全く無いというのも「未知への飛行」みたいでユニーク。ただドイツ人の友人という設定は個人的にあまり意味がなかったように思われるのですが…。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-04 12:16:03)
13.  けだもの組合 《ネタバレ》 
何だ、この結末(笑)。こうして観るとつくづくマルクス兄弟の映画には、筋立てというものが存在しないんだなということが分かります。まずはオープニング、キャプテン・スポールディングなんて胡散臭そうな名前の奴はグルーチョしかいないと思っていると早速そこに登場。彼を運んで来たアフリカの現地民に「モグリ営業だな!失せろ」と罵声を浴びせ追い返してしまう早くもグルーチョ節が炸裂。続いてトチ狂ったハーポが銃を振り回しながら銅像めがけて発砲すると、逆に撃ち返されてしまうという異次元のギャグへと突入。他にもグルーチョにおちょくられ続ける"魚売りのエイプ"こと画商チャンドラーとのやりとりや、長回しが何気に凄いトランプシーンで、だんだんいい加減にカードを配り続けるハーポに爆笑。それにしてもゼッポさんは本当に地味ですね、と言うかこの三人が派手すぎるのか。たまにチコとハーポのコントを見ていると「こいつら一体何してんねん?」と思わず突っ込みたくなります。ここまで滅茶苦茶だといっその事、自分もけだもの組合に入れてくれ!という感じです。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-25 17:17:51)
14.  鶴八鶴次郎(1938)
「鶴八鶴次郎」って一人の名前じゃなかったんですね(^^;。三味線弾きの鶴八と新内語りの鶴次郎、この二人が喧嘩したからさあ大変!…いや~、やっぱり昔の日本映画は良いですね。人情があって、味わい深くて面白くて。邦画嫌いの僕でも嬉々として観られてしまいます。そして成瀬巳喜男は素晴らしい!
[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-05-15 20:56:02)(良:1票)
15.  マルクス兄弟 オペラは踊る
マルクス兄弟の映画は二回連続で外してしまったので、もう見限ろうかと思っていたのですがここに来てようやく馴染んだのか、これは凄く面白かったです。相も変わらず滅茶苦茶な内容…(^^;、これがマルクス・ブラザーズの醍醐味ですね。伝説の密室ギャグも去ることながら、階段から転げ落ちるわ幕を這い上がるわで大爆笑。三人の個性も本作ではそれぞれ突出しているように思います。毒吐き暴走のグルーチョ、喋らず能天気なハーポ。サポート・まとめ役、そしてピアノの名手チコ。この三人だけは絶対に死んでも敵に回したくないと、切にそう思ったのでした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-04-28 13:31:14)
16.  猟奇島 《ネタバレ》 
「狩る者」が「狩られる者」へと変わる恐怖…、とかそんな大袈裟なものでもないです。フルメタのハートマン軍曹風に言えば、プレデターのハントの方がまだ気合が入っているという感じ。はっきり言って一番迫力があったのは冒頭の船が吹っ飛ぶシーン、ジョーズも出てきたしあそこはさすが『キング・コング』の監督さんだなぁと思いました。私的にはあそこまで引っ張ったんだからもうちょっとじっくり展示室の中身を見せて欲しかったのですが…。上映時間も中途半端に短いし、これじゃあレンタル料金に見合わないかな?なんて思ったり(半額だったケド)。発想は良いのでリメイク希望です。
6点(2005-03-13 10:37:40)
17.  ニノチカ
ルビッチ版「イースト/ウエスト」。機械人間ガルボが徐々に人間性を取り戻していく様は必見!ソ連の社会主義体制をコケにしているとかそんなことはどうでも良く、自分もまだ見ぬパリに恋焦がれるだけです。
8点(2005-02-27 10:07:03)
18.  天使(1937)
より洗練されたエルンスト・ルビッチの大人のラブストーリー。まさしく彼女は天使、 それでいてどこか堕天使の面影も残しているところが魅力パーフェクトです。見せない演出とは恐れ入りました、勉強になります。
8点(2005-02-23 16:44:17)
19.  新学期 操行ゼロ 《ネタバレ》 
いやー面白い、観ていて思わず顔が綻んでしまう。きっとジャン・ヴィゴもこの映画の中の子供たちと同じように操行ゼロな人だったんでしょうな。冒頭、曲芸師のように次から次へとパフォーマンスを始める少年たち。消灯の合図と共にベッドの上で暴れ出す子供たち、この瑞々しさ!枕の羽が舞い散るシーンはその幻想性に神懸っています。チャップリン先生、飄々とした教頭のキャラクターも好き、お前はユロ伯父さんかい。しかしこんな内容で上映禁止処分とは手厳しい時代だったんですね。逆に「新学期 操行アリ」とかいうタイトルで優等生クラスの話だったら何の問題もなく公開されたことでしょう、そんなの一部の教育関係者を除いて誰も観たがらなさそうだけど。
8点(2005-02-21 00:41:05)
20.  アタラント号
本編が始まる前にこの復元版が完成されるまでの経緯をくどくどと説明されたので、今の時代に自分がこの映画を観られることは甚く幸せなことだと思えてきました。「芸術的要素と娯楽的要素が一体となったとか」そんなことはどうでも良く、凄く愉快な映画。特に猫好きのおっさんと途中で出てくる行商人のキャラクターが良い味を出しています。主人公の影は意外と薄い。レスリングの技を披露するシーンなんかはなかなか革新的だと思ったんですけど、現代ではあまりパクられていませんね。もしや『マトリックス』?(笑)
8点(2005-02-20 12:25:14)
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