1. バグダッド・カフェ
《ネタバレ》 せつなくてちょっと笑えて,ほっとする佳作.ありがちな設定と先の読める展開なのに,同じゆったりしたテンションで最後まで飽きさせない.微妙なラインを最後まで割らずに綱渡りをわたりきっている,脚本と演出に脱帽です.どうやったらこんな作品が生まれるのだろうか.ヒステリー嫌いな僕としては,なぜあんなにイライラしてヒステリー爆発な女性が穏やかになったのか説明不足の感も有るけど,まあおとぎ話ということなのでしょう. 画の作りかたもすばらしく,給水塔をはしごに上って磨いている着飾った太めの中年女性なんてすばらしく面白いカットが印象的です. 8点(2004-05-04 15:32:18) |
2. エンゼル・ハート
悪魔に魂を売ると言うことがどういうことなのか,その恐ろしさが伝わってきた....こえ~!!「お前の魂は私のものだ!!」ちびりそうでした.... 9点(2003-10-06 19:20:37) |
3. スタンド・バイ・ミー
少年の日を懐かしく思い出し失われた情景にノスタルジアを感じ,さらに「正しくあろう」とし弁護士になった少年は無法者に刺し殺されるという現実を突きつけられる.のめり込むことが出来ればきっといい映画でしょう.でもすでに十分ひねくれてしまった僕としては斜に構えて見てしまいいます.ニューシネマパラダイスの方が,僕的にはしっくりきて切ないです. 6点(2003-06-15 21:45:29) |
4. ダイ・ハード
エンターテイメントとしてこれ以上の完成度を見せる映画は今まで観ていない.白黒時代の黒澤監督が現代にいたらきっとこんな映画を作ったんではないだろうか.悪役側(テロリストではなく実は泥棒というのも気が利いている)の主役の準備の良さ,頭領としてのカリスマ性,機転が利く頭の良さ,冷酷に人を殺す残酷さ,どれをとっても最高の悪役ではないでしょうか.悪役がいいと映画がしまります.この手の映画は悪役,ヒーロー役どちらにしても「俺ならこうするのに」とか「馬鹿じゃないの,もっとこうすればいいだろうに」とか思ってしまうと興ざめなんだけど,どちらも目一杯能力を発揮して,お互い攻撃,反撃の機会を捉え機転を利かせ勇気を振り絞って戦ってます.最初から最後まで映画の世界にすっぽり入ってしまいます.「スピード」とは大違いです.「所詮ハリウッドのアクション映画」だけど,すばらしい完成度!!織田裕二の「ホワイトアウト」はこの映画とプロットが全く同じなのになぜあんなにつまんないのかなー??? 10点(2003-06-11 18:34:17) |
5. ベルリン・天使の詩
人生皆いろいろな問題を抱えながら生きていかなければならない.そして人生は有限の時間しか許されていない.でもまた無限の時間を持つということもけっして人間で言うところの「幸せ」ではあり得ない.生まれて死んでいくまでの時間,感じることの出来るリアルな体験を積み重ねながら過ごすことは無駄ではなく,「普通に生きていくことで,いいんだよ」ということをそっと教えてくれ,背中を押してくれる作品.子供の目線では物心ついて感受性豊かなときの世界の見え方が,ブルーノ・ガンツが人間になる時の鮮烈なカラー映像は我々が当たり前のことと普段捕らえているささやかな日常のすばらしさが,図書館で詩を読む老人の孤独なつぶやきは人生を送り年をとることの切なさが,観るたびに胸に迫る.人生これでいいんだろうか,自分の生き方が実は間違っているのではなかろうかとよく考えるが,必要以上に悲観的になったり,即物的な考えに陥りそうになったりしてしまいニュートラルに考えることは意外に難しい.あたまがごちゃごちゃして,どうにもならなくなったときにこの映画を観ることにしてます.どんな才能があればこのような映画が出来るのか,とにかくすばらしい奇跡的な作品.それはそれとして,僕はナスターシャ・キンスキーよりもソルヴェイグ・ドマルタンの個性的で優しいまなざしが好きです.満点です. 10点(2003-06-11 18:15:44) |
6. ブラック・レイン
DVD海外通販で「おっ!ブラックレインやすいじゃん9ドルじゃんついでにかっとこ.いやーつまんない映画だったけど松田優作の狂気はいった入魂の演技が9ドルでみれるならほしいや」と思って注文して届いてみたら....井伏鱒二の「黒い雨」だったときには萎えた.でもいまはきちんと日本版もってます.何度みても松田優作は凄いとしか言いようがない. 3点(2003-06-06 00:47:28) |
7. 風の谷のナウシカ
すごい映画をつくったなぁと思うし,ヒットを出さなきゃ成らないのが監督の宿命だからこんなことを言っては怒られるかもしれませんが...自然を破壊する人間が悪で,自然そのものが善であるというステレオタイプの安っぽい自然保護の視点がやでやでたまらない.原作で描かれている「生命をいじくる権利は少なくとも人間にはない.いじくらなければ人間という種が存続できないのならば,自ら滅びる覚悟はある」という骨太の自己破滅的あるいは狂気を含んだ決意は,少なくともこの映画からは感じられない.この映画をみた子供たちはきっと全ての生き物はほかの生き物を殺しながら生きているという現実をわすれ,物質的に恵まれた今の環境が世界的には希有であることに気がつかないまま,もっと言えば自然を保護することで捨てなければならないことがあるということに思いをいたすことなく「自然を守らなきゃ」と考えるに違いない.すばらしい作品であると思うが,個人的にはこの映画が訴えようとしていることは嫌いだ.原作からばっさり削られた部分,ナウシカの持つ狂気を抜きにして自然保護は成り立たないはず.もののけ姫で描かれている「人間は自然を破壊しなければ生きていけないのだからこそ,自然そのものと折り合いをつける努力をしなければならない」というメッセージのほうが健全で受け入れることができる.映画のナウシカは自然を大事にする自分でありたい人のマスターベーションムービーであり,原作の漫画ナウシカのメッセージは,人間の生きたいと願う欲望を否定するものだ.たくさん書いたけど,僕自身何度もみてるしすばらしい歴史に残る映画であることは否定しません.ストーリーはおもしろいし主人公は魅力的だし音楽はすばらしい.でもメッセージ性があってすばらしいという意見には賛成しかねるということです. 5点(2003-06-06 00:33:25)(良:3票) |
8. アマデウス
天才を理解するという残酷な才能を与えられた「凡庸」な人間が,その天才性を理解できるがゆえに嫉妬に駆られ狂気におちてゆく.天才ではない自分はサリエリをみているといたたまれない気持ちになる.自分に与えられたささやかな才能に満足し感謝しつつ生きるのか,望んでも得られない完璧な才能を目の当たりにし,自分が持ち得ないものへの渇望を感じながら生きてゆくのか.「将来のために」いま努力をすることが尊いことであるという教育を受けた世代としては,現状を肯定し満足することが進歩をやめてしまうことにつながるという漠然とした不安感がある.この映画をみて何とも言えない不安定な精神状態に毎回陥るのは,与えられたものに満足できないとこうなるよと言われている気がするからだろう.この絢爛たる映像と音楽に彩られた作品は,だからこそ多くの人を魅了しているのだろう.最高の映画の一つです.時代を超えて残る作品でしょう. 10点(2003-06-04 23:20:59)(良:1票) |
9. シャイニング(1980)
いったいどうやったらこんな映画が作れるのだろうか.全く既存の恐怖映画と違う手法で恐怖を演出している.オープニングの空撮映像ですでになぜか怖い.音響も抜群.バーテンも最高に雰囲気あるし,会話を交わしているうちに徐々に正体を現すグレディも最高に怖い.アバンギャルドなトイレといい,絢爛なゴールドルームといい,床の絨毯の柄といい全てが芸術的に怖い.恐怖におののくシェリー・デュバル の表情も最高のキャラ立ち.でもなんと言ってもジャックニコルソン!!ちょっと笑いながら切れるタイプライターのシーンはお気に入りです.何度みても「完璧だ...」とため息が出る怪作. 10点(2003-06-04 22:22:38) |
10. バック・トゥ・ザ・フューチャー
面白い!!完璧な脚本と映像表現で構築された映画版「夏への扉」。このジャンルでの最高峰でしょう。3年おきぐらいに見たくなる。これぞマッドサイエンティスト!!みたいなキャラ立ちの良い博士もいい!!あ、インデペンデンスデイの博士と比べるとまともです。 8点(2003-06-04 01:34:49) |
11. ニュー・シネマ・パラダイス
人を思いやり心配することのせつなさ、つらさ、すばらしさを伝えてくれる傑作。生きていくということは切ないことなんだと見るたびに思い知らされ、無垢だった頃を思い出し限りない憧憬を感じてしまう。今時分は帰郷した主人公と同じくらいの年齢だから「じわっと目頭が熱くなる」位ですんでいるのだろうが、きっとじい様になる頃みたら気が狂うほど切なくなってしまうんだろーなー。。。 10点(2003-06-04 01:31:28) |
12. パリ、テキサス
とにかく僕と奥さんの中ではほかに並ぶもののない映画です.こんな映画が作られるなんて,奇跡的です.人と関わっていくこと,人を愛すること,人に愛されること,最終的には人生を歩んでいくことの切なさ,哀しみが胸に迫ってきて,どうしようもありません.最初にみたのは学生の頃でした.その後10回以上はみてます.子供が生まれた今もう一度みてみると,さらに切なさが湧きあがってきます.常に強く理性的に生きていけると信じていた自分が人生の困難にぶつかったとき,「意外と俺ももろいなー」と実感してからさらに涙なしではみれなくなりました.映画の中にでてくる楽しかった時代の8mmフィルム,最高です. 10点(2003-06-03 01:04:25) |