1. 瞳の奥の秘密
《ネタバレ》 『TEMO』(I FEAR)というメモに、永年壊れたタイプライターで打てなかった文字『A』を書き足したら・・・『TE AMO』~I LOVE YOU~に変わった。。。これでトドメを刺されました。 映画の面白さが凝縮された作品! [映画館(字幕)] 9点(2010-10-05 01:12:16)(良:1票) |
2. 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
《ネタバレ》 前作「エグザイル」の痺れ度には及ばないまでも、香港ギャング映画の神髄を継承するジョニー・トーの世界を十分味わえる快作! 台詞が少なくて良い(私でも理解できる英語)。俳優陣の表情が素晴しい。圧倒的な銃撃シーン。切なく響く音楽が良い。マカオ・香港の夜景が良い。 主人公の記憶喪失から糞転がしみたいな決戦に至る後半が、張り詰めた緊張感連続の前半と比較して少々物足りないが、ここまで胸躍らせてくれれば申し分なし! [映画館(字幕)] 8点(2010-06-06 02:18:44)(良:1票) |
3. 第9地区
《ネタバレ》 人間に戻る為に、人間共を皆殺し。「アバター」のジェイクと違い、この主人公はエビの為ではなく、自分だけの為に同胞と戦います。最強兵器獲得に執念を燃やす国家機関、異星人の立ち退きを主張する市民、金の亡者のスラム街のギャング、エビ達の殺戮を楽しむ軍人。冷静に観ると、善良な人間が誰一人として登場しないという稀有な作品である。(ヤクザ映画よりワルばかりだ。) あえてB級SF仕立てにして、徹底的に『人間の悪の本質と愚かさ』に迫る快作(怪作)だと思う。 [映画館(字幕)] 7点(2010-05-09 04:53:35) |
4. ゴールデンスランバー(2009)
《ネタバレ》 原作はたぶん相当面白いのだろう。いや面白いに決まっている。このスピード感と多種の登場人物の関わり。読者は、頭の中でこの大活劇を思い描き、主人公に感情移入し、きっとページをめくる手はワクワク感で震えている事であろう。 顔馴染みすぎている俳優陣の想定内の演技。TVドラマと変わらない平易なカメラ使い。原作から実写に至る想像力の膨らみが、制作者側に欠けていたような気がする。全篇に漂う緊張感の欠如は、主人公の「なぜ、逃げるのか。生き延びようとするのか。」という『意思』が観客に伝わっていない事に起因している。生存本能だけならライオンに追われるシマウマと同じではないか。 「たいへん、よくできました」は、あげられないなぁ~。 [映画館(邦画)] 3点(2010-04-12 02:28:30) |
5. NINE(2009)
《ネタバレ》 「シカゴ」の完成度・当時の衝撃度と比較すれば分が悪いのは事実であるが・・・映画の枠組みの中というより広義のエンターテイメントとして、私のお気に入り女優がここまで勢揃いし、過去に魅せた事の無いパフォーマンスを次々と披露してくれただけで感激です! この道のプロのファーギーの「赤のタンバリン」ショーは別格として、ここまでいやらしいペネロペ・貫禄のミセスM(007もびっくり)・白の世界で煌めくケイト・神々しいまでのキッドマン・そしてpureからsexyに変貌する黒のマリオン。イタリアらしい原色主体の色彩が心を踊らせ、幸福感を増幅させます。 平凡な作品の役柄でも十分稼げるオスカー常連のスター達が、この未体験ゾーンに挑戦した事に拍手を送りたい。 [映画館(字幕)] 8点(2010-04-12 02:01:08) |
6. ディア・ドクター
人々の様々な想いが一杯詰まった玉手箱のような作品です。 開けてしまったら、美しいモノも穢らわしいモノもすべて、見つめなければいけません。 [映画館(邦画)] 7点(2010-02-17 02:49:49) |
7. サヨナライツカ
自分の女房の華麗な復帰作なんだから、もっとまともな原作を提供して欲しかったな、辻先生。 辻ワールドの甘い側面しか知らない若者の為にも、「ニュートンの林檎」「オキーフの恋人~」とか・・・興行的には失敗しても、「記憶」に残る映画になると思うのだが。 ちなみに私は辻仁成の大ファンです。永遠の愛を説く甘~い作品群を除いてですが。 [映画館(邦画)] 4点(2010-02-08 02:28:32) |
8. かいじゅうたちのいるところ
特撮はやはり「かぶりもの」に限りますな。「ウルトラQ」を想い出し、微笑ましかった。 [試写会(字幕)] 5点(2010-02-08 01:35:34) |
9. イングロリアス・バスターズ
オープニングの活字と音楽だけで、監督名を当てられる、今時では稀有な存在・・・タランティーノ。 おぞましく且つ爽快な殺戮シーンの連続に、彼の「愚かな人間どもへの賛歌」を感じる。死と女に対する異様なほどの美的描写は、人間本来が持つ「神への畏れ」に近いモノが感じられる。「元々、人間には理性なんぞなかったのさ」と・・・ 一度嵌ったら病み付きになるジャンクフードのように、体に悪いと思いつつ、今回もタランティーノ地獄に嵌められた。 ところで、この作品はドイツでは公開されたのだろうか?仮にナチが日本陸軍の設定だったら、さすがに、私も最後までは正視に堪えられないであろう。 [映画館(字幕)] 7点(2010-01-23 04:01:21) |
10. のだめカンタービレ最終楽章 前編
やはり、上野樹里は凄い!! 原作・アニメ以上の、「のだめ」の感情表現の豊かさに、この一連のシリーズは支えられていると言っても過言でない。次代を担うと云われる宮崎あおい・蒼井優と並んで、もっと評価されて良い女優である。「のだめ」の彼女をいつまでも見ていたいと思いつつ、この役柄のイメージが彼女に必要以上に定着しない事を祈る! [映画館(邦画)] 7点(2010-01-23 03:14:36) |
11. アバター(2009)
現在のハイテクを駆使した果敢な映像美へのチャレンジに、素直に拍手を送りたい。この作品を契機に、今後更に斬新な3D映画が続出するであろう。 しかしながら、今作が歴史に残る作品か?と問われれば、当時での革新的映像であった「猿の惑星」や「スターウォーズ」と比較してしまう。 作品自体の完成度からは、残念ながら、語り継がれる映画とは云えないであろう。 [映画館(字幕)] 6点(2010-01-19 01:57:41) |
12. 脳内ニューヨーク
《ネタバレ》 この作品を論理的に理解する事は、凡人の私には不可能であった。なにしろ、奇才カウフマンの頭の中そのものを、映像化されたのだから。 臨終の直前、自分の一生が走馬灯のように脳裏に駆け巡るという。朝方に見る夢は、妙に現実味があるが、自分の潜在意識によって、僅かに歪曲されるという。 人間の生涯を振り返る~結ばれなかった恋人。人生の岐路の選択。かけがえのない家族・友人。充実した日々。されど果たせなかった夢~ 理解不能な作品のはずなのに、胸の奥の酸っぱい果実が押し潰され、自然と目頭が熱くなる。カウフマンの極めて個人的な脳内エキスに刺激され、自己の半生を重ね合わせ、想い起こす。 人生は、映画の脚本のように都合良くは進まない。だからこそ、素晴しいのだと。 [映画館(字幕)] 8点(2009-12-21 00:48:33) |
13. レスラー
作品内容以上に、ミッキー・ロークの俳優魂に感銘! リングに命を賭けるランディを通して、舞台に命を賭ける俳優・ミッキーを見た。 こういう「仕事バカ」が、廻りの人々を熱くさせ、山が動くのである。どんな仕事でも。 [映画館(字幕)] 7点(2009-11-19 22:26:48) |
14. 笑う警官
訴えたいモノはなんとなく理解できるのだが、それを表現する技術・センスが稚拙な為、緊迫感、重厚感の欠片ひとつない寂しい仕上がりとなっている。 角川氏には、ひとりよがりの監督業はいいかげん、卒業していただき、埋もれた人材の発掘や世間を驚嘆させる企画などプロデューサーとしての手腕を遺憾なく発揮して欲しいものだ。もちは餅屋である。 いい年になっても自己の見極めができない事を、見苦しいと言う。 [映画館(邦画)] 3点(2009-11-19 22:09:39) |
15. 3時10分、決断のとき
《ネタバレ》 西部劇を劇場で観るのは初めてだったと、気づかされた。幼少期に出会ったジョン・ウェインもイーストウッドも「金曜ロードショー」のTV画面の中だ。 本作のオリジナルは当然未見。 「生きている限り、人を殺めてしまう生地獄を味わう男」の葛藤を、ラッセル・クロウが見事に表現している。本来は悪役が似合わないであろう彼が、「悪党になりきったはずの善人」を演じる事で、観客はラストに向けての展開に胸ときめかせる。果たして彼は、親子を見殺しにするのか否かと。 その彼の生地獄に一筋の光明をもたらしたのが、生い立ちは違えど幼少期の自分に瓜二つの少年であり、彼はその魂に“救い”を賭けた。 西部劇にスターは一人で良い!とにかくカッコよければ良い!ベン・ウェイドという男の物語として、すっかり私は取り込まれてしまった。 痛快・衝撃・落涙のラストシーンに、昔の「シェーン、カムバック!」以来の感動を呼び戻してもらった。 [映画館(字幕)] 10点(2009-11-16 03:31:04)(良:1票) |
16. わたし出すわ
小池栄子の性格で、小山田サユリの容姿の妻なら人生幸福だなぁ~と思いつつ・・・ 80年代からの邦画衰退期において、瑞々しい感性を持って、スモッグに霞む夜空に唯一輝く一等星だった森田氏は、(ハル)以降、自らの進化を止めてしまったのだろうか? 現在の邦画隆盛は若手監督の台頭に拠る処大であるが、オジサン世代にも挑戦を続けてもらいたいものである。どうせ枯れるなら、徹底して枯れてくれ! [映画館(邦画)] 4点(2009-11-16 01:58:06) |
17. 母なる証明
《ネタバレ》 オープニング・・・けったいなオバハンの踊りに=??? 前半・・・溺愛母子の関係に=嫌悪感 同じ布団で寝るな~! 中盤・・・燃える母さん刑事に=拍手 あなたは中村玉緒(流石姫子)か! 後半・・・真犯人判明と急展開に=驚愕 嫌な予感はしてたが、このオチかぁ!!! エンディング・・・安息の訪れた母子に=嗚咽 母さん、もっと踊りなさい。。。 非常に、非情に、疲れる素晴らしい映画です。 [映画館(字幕)] 9点(2009-11-11 02:24:20)(良:1票) |
18. 私の中のあなた
《ネタバレ》 ドレス&メイクアップしたケイトが階段から降りてくるシーン~「メリーに首ったけ」でプラムに向かう高校生メリーの姿に重なった! 当時のキャメロン・ディアスの美しさと言ったら・・・こんなに立派な大女優になられるとは・・・と、つい別の感慨に耽ってしまいました。 微妙に前後する回想シーンの中を、全登場人物(犬も含む)の感情表現がきめ細かく描かれており、非常に好感の持てる作品だと思います。ただ、歌詞が耳障りな挿入曲が情景を歪めており、インストルメンタルに統一して欲しかった。 全員が善人という、現実には有り得ない設定を最期まで貫き通し「命と愛」を表現した点は敬服しますが、「美しすぎる虚構」に涙する余裕は、私にはありませんでした。 [映画館(字幕)] 5点(2009-11-11 01:55:08) |
19. 空気人形
《ネタバレ》 人形に感情を持たせる題材から、人間の本質を垣間見せるという「ピノキオ」的手法は、決して珍しくはないのだが、現代東京を舞台にダッチワイフを起用するとは・・・変態是枝監督の面目躍如! 是枝ワールドの素晴しさは、人と人との関わりの中で見え隠れする人間の弱さ・愚かさ・残虐性~それこそヒトの本質か~を究極の優しさに満ちたカメラアイで、さりげなく切り取る所業にある。人間のダークサイドをこれほど美しく描写できる者は希有だ。「誰も知らない」同様、東京の光景のワンカットのみで私は目頭が熱くなる。 今回は、ぺ・ドゥナ(何と云う肉体美!)という愛玩具を手中に収めた監督は、日活ロマンポルノ的アプローチで若干、自己の悪趣味を披露しつつ、他人の暖かい息で満たされたい孤独な者達を、慈愛と自虐を持って描いています。 オルゴールの旋律が、無機質な豊洲のマンション群の一室・一室に命という灯りを点すように響き亘ります。 [映画館(邦画)] 8点(2009-10-18 03:09:44) |
20. サマーウォーズ
《ネタバレ》 絵作りが素晴らしい。縁側から眺める日本の原風景とweb内での仮想世界を、美しい自然色とコテコテの原色で、違和感なく描いている。各キャラクター(アバターも)の個性も精密に表現されている。細田+貞本コンビは現在の日本アニメ界を代表する映像クリエーターである事に疑いない。 しかし、肝心のストーリーはありきたり。「2001年宇宙の旅」を連想させる人工知能の叛乱は、SF系の映画では使い尽くされたパターン。イマイチ少年が周囲に激励され、オトコに変わり、憧れの女性と結ばれるというお涙ほろり攻撃は、あだち充の「タッチ」で十分かな。花札で世界を救うのは、少々強引だな。 「時かけ~」の成功は、天才・筒井康隆の原作あればこそと、再認識した次第。 このコンビでの再挑戦を望む。 [映画館(邦画)] 5点(2009-09-23 23:34:57) |