1. 十三人の刺客(1963)
片岡千恵蔵や嵐山寛寿郎といった往年の時代劇役者は流石に立居振舞いが決まっているね。なるほどこうして見ると、最近の時代劇ドラマは軽い軽い・・・。<ネタバレちょっとあり>ところで、本作の見所は最後の宿場街を舞台にした集団暗殺シーンということだが、これはなかなか見ものでした。と言うのも、てっきり格好のいいチャンバラシーンが出てくるものと思っていたのが、まるでそのような場面がないんですね。宿場街ごとトラップ要塞化して、石は投げるわ、棒でつつくわ、もはや武士の美学なんぞあったもんじゃぁない。気勢をあげて押すかと思えば次の一瞬には引いて、追ってきた敵を陰から刺し殺すといった様は、殺戮の実相を見事に暴いている。「武士とはこうあるべきもの」とか「剣の奥義を極める」等々、前半のシーンでやたら武士としての建前に拘っていた西村晃演じる浪人が、いざ実戦の場で最後にのたうつようにして逃げ回り惨めな死に様を晒すあたり、工藤栄一監督のシニカルな側面が伺える。 8点(2002-09-18 08:25:19)(良:4票) |
2. 2001年宇宙の旅
最初に観た子供の頃はほとんど理解できませんでした。ってなわけで、かなり敬遠していたわけですが、最近になって見直してみると、いろいろと考えさせられることの多い映画です。例えば、キューブリックは「進化論」を本当に信じていたのでしょうか?この映画には頻繁に無機質なモニュメントのような不思議な物体が登場しますが、これは神の見えざる手(あるいは意志)の表象と思われたりします。また、時間の捉え方についても懐疑的な感じがします。過去から未来へと直線的に「時間」が流れているというのは実は幻想(?)であって、実は、過去も未来も「今同時に存在」しているというテーゼを表現しようとしているようにも見えます。宇宙空間に放り出されると、当たり前なことですが、上も下もない世界なんですね。依って立つべき基点が存在しない空間こそが実はこの世の実相だという一見当たり前なことを、あたかも初めて知らされたかのように感じさせてくれる映画というだけで、びっくりしました。 8点(2002-08-09 08:46:55) |
3. 切腹
これまで観た日本映画のなかでも特に印象に残る作品です。それにしても、竹褌で切腹する(させられる?)場面の凄惨さといったら・・・。それといい、仲代演じる武士が単身大名屋敷に乗り込んで、切り合う場面といい、この作品での「刀」のもつ質感の描き方は鬼気迫るものがあります。仲代が刀を振り落とす度に漏らす「フンッ」という息遣いに、武器としての刀の重量感がにじみ出ていたような気がします。こうした描き方は日本映画でしかお目にかかったことがありません。 9点(2002-08-06 12:53:51) |
4. 大魔神
考えてみると、この作品以外にも初期の特撮映画では、一生懸命当時の技術を使って重量感をうまく表現していましたね。この作品でも、大魔神がゆっくりと歩いてくるときの重量感が凄くよく表現されていて、この点ひとつだけでも参ってしまいます。子供のころの感動って、実はそんな部分にあったりしたわけですが、大人になった今でも忘れられません。マジでDVD買おうかと思ってます。 8点(2002-06-13 12:40:23) |
5. スパルタカス(1960)
ハリウッド製史劇映画を語るときに外せないほど有名な作品だ。キューブリック監督ということだが、実際に観てみると・・・、らしくない。カークダグラス演ずるスパルタカスも、当時としては“はまり役”だったのかも知れないが、「グラディエーター」のラッセルクロウを観てしまった後では、「ん?」という感じがしないでもない。オールバックのヘアスタイルがいかにも50年代アメリカ的だからだろうか。剣闘シーンはといえば1回だけしかなく意外なほどあっさりしたものだったし、もっと緊迫感があってもよかったと感じた。ところがである。後半の反乱シーンあたりから一気に緊迫感が与えられ、映画にも凄みが増してくる。イタリア南部の丘陵地帯を埋め尽くすほどのエキストラを使った反乱軍の移動シーンやローマ軍の戦闘隊形などは空前絶後。「ブレイブハート」を撮ったメルギブスンが「スパルタカス」の戦闘シーンを参考にしたというのもうなずける。が、実際の戦闘シーンはというと、やはりよく研究しただけあって「ブレイブハート」の方が一枚上手といった感があるのは確か。バックで流れる音楽が妙に古臭いのがいけなかったかなあ・・・。しかし、そんなことよりも、負け戦で生き残った仲間たちがスパルタカスをかばおうとして「私がスパルタカスだ」と立ち上がるシーンや、最後のアッピア街道沿いに並んだ6千名もの十字架のシーンには胸が打たれてしまった。やはり名作だと思う。 8点(2002-03-26 08:03:39) |
6. 夕陽のガンマン
イーストウッドとりーバンクリーフのためにあるような映画。この男2人を見たい人のためだけにある映画。渋いっス。 9点(2001-10-01 12:51:05) |
7. コレクター(1965)
新潟での少女監禁事件など、最近では、この映画に描かれたようなおぞましい恐怖が現実化している。しかし、怖い時代になったなあ。サイコ系のスリラー映画がお好きな方でしたら、絶対お勧めです。 10点(2001-08-14 12:54:32)(良:1票) |