1. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 よかった。だいぶ前に原作を読んだとき、「謎解きと心理の密接な関連」が最大の見せ場になっている小説なので、これは地味過ぎて映像化が難しいと感じた。結果的には、納得の出来。「地味」に徹した堤真一の演技、特に天井で4色問題を考えるシーンが、泣ける。「派手担当」の福山雅治とも意外にいいバランスで、なんだか直木賞受賞作「X」の映画化企画が先にあり、その地味さを埋め合わせるためにテレビシリーズを作ったのでは、と思っちゃったほど。 全然関係ないけれど、テレビシリーズのスピンオフ「ユンゲル」を観たら「ユージュアル・サスペクツ」のオマージュになっていて、笑いました。 [映画館(邦画)] 7点(2008-10-26 19:37:58) |
2. サイン
《ネタバレ》 陰鬱な「宇宙戦争」。ストーリーは単純なのに、音楽の少なさと目を離しがたいカメラ目線、ところどころのユーモアで引き込まれる。信仰とはまた別に、すべてが何かの伏線である、というテーマは、思えば作劇の基礎。片田舎に息づく人生も十分にドラマを含んでいるという意味で、妙に胸に届く。賢い兄と勘の鋭い妹、特に「水が汚染されている」という妹の台詞の繰り返しが効果的。絶望に向かい合うということが、意外に真摯に描かれていると思った。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-07-30 21:28:26) |
3. RED SHADOW 赤影
《ネタバレ》 前半のアクションはゲームのようであまり新鮮ではないと思ったけれど、どんどん忍者映画らしくなくなる後半は、安藤政信のピュアさが全開、村上淳とのコンビの青春映画となり、意外に楽しめた。藤井フミヤ、椎名桔平、吹越満と脇役陣が豪華。そして特筆すべきは布袋寅泰のバラード。映画音楽が似合う人です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-07-30 21:26:51) |
4. 少林サッカー
評判通りのはちゃめちゃな着想。私には少し暴力的な場面が長かったかな。ダンスシーンが楽しかった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-07-03 13:30:26) |
5. コンフェッション(2002)
《ネタバレ》 豪華キャスト、全編凝った映像(冷蔵庫の陰影とか)。それなのに、とても地味に仕上がっているのが、むしろ貴重な感じ。本筋の真偽はともかく、今日に至るテレビのバラエティーの原型を作ったゴングショーのホストが、小心で下世話で、子供の頃から心に傷を抱えていて、虚飾とストレスに追いつめられる様子がうまく描かれていたと思う。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-07-03 13:27:03) |
6. 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
いかりやさんの台詞が「言い残すこと」という感じで、味わい深いです。 [地上波(字幕)] 5点(2005-07-03 13:24:01) |
7. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 深夜なのに、かなりの入り。評判通りとにかく怖い。正当派パニック映画といえるのでは。特に音。雷などの大音響も、席の後方から聞こえるかさこそ動く小さな気配も。普通の下町が粉々になる絶望感で、始まる前は結構賑やかだったグループも息をのんでました。物語は、とにかく一個人が逃げまくるだけ、という点が好感もてた。大統領も学者も、祖国愛も人類愛も皆無。解説も主人公が聞く風評のたぐいだけ。ドラマとしては、何かもうちょっと伏線が欲しかったかもしれないけれど。 [映画館(字幕)] 7点(2005-07-03 13:19:36) |
8. アメリ
《ネタバレ》 ヒロインの切りそろえた前髪と、細い足首がいたずらっ子らしい雰囲気をよく醸していて魅力的。好きな人とすれ違う昼下がりの広場の、オレンジがかった光、そして昼下がりの伸びた人の影が、妙に懐かしい感じでわくわくする。人とわかり合うのは難しくて、とても手間だけれど、手間をかける甲斐はあるのかも、と思わせる一作。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-06-05 22:07:50) |
9. もののけ姫
《ネタバレ》 公開当時、テーマは環境破壊と言われた気がするけれど、2001年を経た今では、異質なものとの軋轢、憎しみと死の連鎖の重さ、愚かさ、拒絶された者の痛みを描いたように思えた。そういう時の流れに耐えるところが、ファンタジーの強さ、醍醐味なのだろうと改めて思う。 [地上波(字幕)] 8点(2005-04-03 20:08:20)(良:1票) |
10. エリン・ブロコビッチ
《ネタバレ》 物語は意外にあっさりしていると感じた。子供の成長に象徴されるエリンの生命力、そこから生まれる説得力を観る映画だろうが、それより裁判所の青、原告の居間の黄といった色味の使い分けが面白かった。冒頭に登場するエリン本人がすごくきれいで、妙に納得。 5点(2005-03-27 01:13:23) |
11. 壬生義士伝
《ネタバレ》 中井貴一の情けないようでいてタフな半笑いが名演。確かに鳥羽伏見の噴煙の後の30分がやけに長いし、幕末から満州へ、いいことのない人生の物語が悲しくて、あまり共感はできなかったけれども。時代劇特有の暗い画面に、生きる紐帯を象徴するような白い握り飯が鮮やか。 5点(2005-02-05 11:25:40) |
12. スパイダーマン(2002)
《ネタバレ》 トビー・マグワイヤは格好いいんだか悪いんだかよくわからないけれど、最初のコスチュームが手作りという点に共感。ウィレム・デフォーがさすがの存在感でした。 4点(2005-01-29 01:18:05) |
13. HERO(2002)
《ネタバレ》 皆さん指摘なさってますが、アクションというより舞踏では。砂や葉や水の動きという舞台装置、そして繰り返し出てくる膨大な兵士と矢。この美意識を、実際の映像として撮ってしまう執念に脱帽。「十歩」という数へのこだわり、旗の色の小道具にファンタジーを感じました。 6点(2005-01-25 02:12:30) |
14. ブリジット・ジョーンズの日記
爆笑。ベストセラーの映画化だし、コメディだし、そんなにリキを入れなくても一定の成功を予測できただろうに、ちゃんと体を張って演技するレニー・ゼルウィガーが見事!日本で言えば男女7人の大竹しのぶみたいなものでしょうか…例える必要もないけど。古いし。 6点(2005-01-23 11:59:03) |
15. ボーン・スプレマシー
《ネタバレ》 シリーズ前作同様、陰謀の謎解きは難しく、実はよく飲み込めなかった。でも、手持ちの多い映像と、灼熱のゴアから粉雪舞うモスクワへというスピード感にのせられた。デイモンとカール・アーバンが共に短髪なのが格好いい。それからボーンのサッカー選手のようにいつも周囲を見ている眼の良さ! ただし結末は少しロマンチック過ぎるかと思ったけれど、いかが。 6点(2005-01-15 20:09:11)(良:1票) |
16. ボーン・アイデンティティー
《ネタバレ》 説明が少なく、肝心の「計画」の理屈はよくわからない。だけど、雰囲気はかなり楽しめた。ショッキングな場面の後でさっと時間を確認するような、主人公の職人肌とも言える知的な人物像。冬のヨーロッパの暗い町並み。そして大迫力のカーチェースの直後にふうっと我に返るシーンなどの抑えた演出。これらのバランスが絶妙。一人バランスを崩しているアウトローなヒロインの、奇妙な気っぷの良さがまた良かった。 6点(2005-01-05 00:14:58)(良:1票) |
17. ハウルの動く城
《ネタバレ》 強い少女は健在。やっぱりワルツと美しい映像、特に冒頭近く、空を歩くシーンが素敵。この時点で恋に落ちたってことじゃないでしょうか。美しい自然を旅したあと、ちっぽけな下町の帽子屋に帰ってくるところも良い。ただ城を壊すあたりから、意味がよくわからなくなったけれど。老女の包容力が妙に印象に残りました。 7点(2004-11-24 00:49:08) |
18. 血と骨
《ネタバレ》 背景に静かに存在するセットの情景や、そこで遊ぶ子供たちが意外に印象的。見たことがない時代なのに、とてもリアルに感じた。それはやはり、丁寧なつくり、ということなのだろうか。原作では読後感が強烈だった父子間の暴力は、スピード感ある場面転換で、むしろユーモラスに感じるほど。たけしの存在感は圧倒的だけれど、むしろ、それと対峙する鈴木京香、中村優子という女の映画、のように思ったのだけれど… 6点(2004-11-20 03:31:20) |
19. コラテラル
《ネタバレ》 まるで舞台のような対話劇。運転手と検事、そして銀髪のトム・クルーズが狭いタクシー車内で語りまくる。エンドロールが流れたとき、たまたま後ろの席にいた観客同士が、「なにこれ」と怒っているのが聞こえた。確かにサスペンスとしての新味はないかもしれない。しかし、だからこそ、夜を超えていく野性の印象が、奇妙に後をひく。音楽がどれも格好いい。 7点(2004-09-17 01:49:32) |
20. フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白
《ネタバレ》 類い希な米国の知性が、なぜ引き返せなかったのか。答えは霧の中なのだろう。ただ言えることは、戦争は何も解決しない、ということではないだろうか。淡々としたフィリップ・グラスの音楽が秀逸。 6点(2004-09-03 00:57:14) |