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1.  白熱(1949)
母親を車で追跡するシーンや刑務所での面会シーンなど随所に緊張感ある場面があり、それに加えて肝っ玉母ちゃん、嘘つきの欲深女と個性的な登場人物が映画を盛り上げる。なかでも、ギャングとマザコンを組み合わせた主人公は驚きで、粗暴でエネルギッシュといったこれまでのギャングイメージに加えて、狂暴性を持ったコーディなくしてこの映画は成り立たない。この複雑な人物を演じたギャグニーは見事で、小柄だが裡に狂暴性を秘めた雰囲気は、彼にしか出せない雰囲気だと思う。ちなみに、マザコン要素をコーディに加えたのはギャグニーの意見らしい。コーディは最期まで留まることなく悪の道を突っ走り、悩むことも、恐れることもない。コーディの鬱屈していた狂気が全開したようなラストも圧巻で、white heatの原題も頷けました。悪漢映画として今観ても楽しめる傑作だと思います。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-06-02 15:26:55)(良:1票)
2.  キー・ラーゴ
「マルタの鷹」の黄金コンビであるボギーとヒューストンで挑んだ本作だけに、期待したぶんだけショックもでかい・・・南の島という場所も映画全体を覆う勧善懲悪な設定もノワールな雰囲気のボギーと相容れないものがあるし、ローレン・バコールも都市でこそ映える美女で南の島では魅力半減の印象でした。その中で孤軍奮闘しているのがロッコ役のエドワード・G・ロビンソン。「飾窓の女」での中年紳士の役や「深夜の告白」での犯罪に抜群の嗅覚を持つ上司役とは打って変わって、本作ではギャングのボス役を演じてますが、これが圧巻です。ギャング役は俺の十八番だと言わんばかりの活躍で主役のボギーとバコールを完全に喰っちゃってます。本作はエドワード・G・ロビンソンの奮闘を評価して5点です。
[DVD(字幕)] 5点(2005-05-20 01:21:27)(良:1票)
3.  三つ数えろ
ハードボイルド映画の傑作のひとつですが、ストーリーが複雑、というより崩壊してます。ボギーが「運転手を殺したのは誰か教えて欲しい」と聞いたところ脚本家、監督、原作者の誰もわからなかったらしい。そんなわけで、観客が解らないのは当然のことで、マーロウが最後まで解らなかったことは観客も解らないまま映画は終了。映画の雰囲気は好きなんですが、一応サスペンスなので犯人を決めてから映画制作に取り掛かってほしかったというのが正直な感想です。ボギー演じるマーロウも嫌いではないけど、ストーリーに気を取られすぎたせいか、ラストを除くとあまり印象に残りませんでした。個人的にはボギー主演の探偵ものなら「マルタの鷹」の方が上です。
[DVD(字幕)] 7点(2005-05-07 17:03:05)
4.  マルタの鷹(1941) 《ネタバレ》 
どれだけ多くの男がボギーに憧れ挫折していったことだろう、私のように(笑)それ位ボギーはかっこ良く、ハードボイルド映画の傑作と言えます。ボギー扮するサム・スペードは境界線上の人間で、善とも悪とも言えない中間に位置し、決して正義を振りかざすことはない。冷静に見ると悪人顔のボギーには、まさにはまり役です。殺人の罪をウィルマー?(名前が間違ってるかも)に被せるシーンでの悪そうな笑みなどを見ると、ボギーが一番怖かったりします。しかしそれだけではハードボイルドとは言えない、決める所では決めて、はじめて画になるってものです。「相棒が殺されたこと位で、なんで私を許してくれないの?」そんな疑問を持つ彼女に向かって一言、「相棒が殺されたら男は黙っちゃいない」と言い放つボギー、か・かっこよ過ぎです!そうでなくちゃいけません。けど、この映画で一番印象に残ったのはラストシーン、「(鉛の鷹を持ちながら)やけに重いな」と言う警官に一言、「夢が詰まっているのさ」とボギー・・・シビレました!解ってくれるかボギーという感じです。
[DVD(字幕)] 10点(2005-05-07 16:57:37)(良:1票)
5.  疑惑の影(1943)
この世は醜く、家に住んでるのはブタだという極めて悲観的な闇の世界に転落していった叔父と、そういう叔父と出会ったことで光ある世界に戻ってきた姪は双子のように通じ合うと言っていように、この二人は非常に似てます。 姪のチャーリーが憧れ、叔父のチャーリーが惑わされた豪奢な世界は、一瞬だけ画面に映り消えていく舞踏会の映像のように不安定で脆いもろだと感じます。それよりむしろ、退屈に見えても安定した家庭の方が心が落ち着き、チャーリーの父とその友人のように完全犯罪を想像しながら無駄話をしていたいと思うのでした。 
[DVD(字幕)] 6点(2005-05-06 14:44:57)
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