1. ガルシアの首
暑苦しくて狭い車内をハエが飛び回り、横に乗ってる友人の首に酒をぶっ掛ける。不快極まりない状況のなか男は車を走らせる。何に向かって走っているのか?金か?地位か?女か?そうじゃない!今まで散々に踏みにじられてきたプライドを取り戻すため、自らの意地のために「ガルシアの首」を乗っけて車を走らす。いつもながら、ペキンパーの描くオヤジ達はブチ切れているのに、哀愁漂い魅力的だ。負け犬の遠吠えで片付けることを許さない、どん底の男がぶちまける魂の雄叫びがこの映画に込められている。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-05-31 02:22:36)(良:2票) |
2. ロング・グッドバイ
《ネタバレ》 グ-ルドが演じるマーロウはかっこ良いというより、とにかくタフだという印象です。公開当時は原作と異なるということでかなり批判されたようだけど、こんなマーロウも嫌いじゃないです。裏切りで友人を失い、飼ってる猫にまで逃げられる始末のマーロウだが、これまでと変わらず都会の片隅のアパートでたばこを吹かし続けることだろう。 ラストの「ハリウッド万歳」の歌や原作と異なり友人テリーの命を奪うという設定で、マーロウの社会から切り離されたような印象が一層強調されます。確かにテリーの言うようにマーロウは敗北者かもしれない。しかし、マーロウが孤立し敗北者の印象が強まれば強まるだけ、私の中ではマーロウの魅力は増していくのです。 [DVD(字幕)] 8点(2005-05-12 23:45:38)(良:2票) |
3. さらば愛しき女よ
《ネタバレ》 ディマジオは若くしてスターで子供の喝采を浴びる一方、マーロウは年老いてトミーの子供には恨まれるかもしれない・・・暗い事務所で一人黙って佇むマーロウの横顔はどこか疲れている。生きていくことのやるせなさを感じさせ、観ているこっちもせつなくなる。事件は解決してもいつものことながらほろ苦い、自分が全力を尽くしても何も変わらない世の中、少ない楽しみだったディマジオの連続ヒット記録も途絶えてしまう。それでも「お前はタフだ」と言い聞かせるようにマーロウは静かに去っていく・・・ レビューを読んでもらえば解るかもしれないですが、完全に映画の世界に浸りきってました。ミッチャムのマーロウは、タフさはあまり感じさせないが、ボギーやグールドのマーロウよりも疲れているせいか哀愁を感じさせ、それがとても魅力的で惹きこまれます。 それとシャーロット・ランプリングは、低音な声、雰囲気ともにローレン・バコールに似てますね。 [DVD(字幕)] 10点(2005-05-07 16:59:50)(良:1票) |
4. チャイナタウン
ジャック・ニコルソンの全く正義を感じさない薄汚れた印象、緊張感と混沌とした雰囲気を醸し出す音楽など、フィルムノワールとしてもハードボイルド映画としても傑作です。人間の清濁混交としたあらゆる行い全てを飲み込んでしまう街としてのチャイナタウンは、安易な発想かもしれないけど、相応しい場所のように思う。誰にとっても得るところはなく、あらゆる行為は無意味となったときジェイクは「なまけ者の街」と呟くが何を言いたいのだろうか?自分は何かを行ったと思っていたが結局は何もできなかった、なまけ者と同じだと言いたいのだろうか。激しい渦に巻き込まれ、すべてが水泡に帰し、ジェイクに残ったものといえば鼻の傷痕と苦い記憶のみ・・・ラストで虚ろな表情で佇むジャック・ニコルソンの表情は印象に残りました。 [DVD(字幕)] 9点(2005-05-03 22:08:07) |
5. 戦争のはらわた
シュタイナーとストランスキーを比較したとき、一般社会で受け容れられるのはストランスキーで、シュタイナーのような存在は許されないでしょう。確かに観念なんてくだらないように思うが、ストランスキー同様観念無しに多くの人間は生きられません。しかし、シュタイナーは違う。だからこそ、彼に惹きつけられるのでしょう。人間が作り出した観念を彼の荒れ狂う生存本能が突き破るのは観ていて爽快です!彼にとって国家や戦争の善悪なんて関係ないし、勲章も邪魔くさい。俺は生きる、生きてやる!例えそれが狂気であろうと生き抜いてやる!彼は叫んでいるように思います。 そして最後の高笑い、彼が笑ってるのはストランスキーに象徴される人間の作り出した観念(又は価値観)すべてではないだろうか? 8点(2004-09-27 00:17:22) |
6. ソドムの市(1975)
まともには見れないシーンもかなりあった…キツイ。支配者というものの危険性、被支配者の無残さ、そんなものを表現するとあの映像になるみたい。権力の恐ろしさや、人間の内面にある残酷性を視覚化したとも言えるのかも。なんにしても見るときにはかなりの心構えが必要。 5点(2002-03-31 22:10:35) |