1. ウィング・コマンダー
《ネタバレ》 どうやらこのウィング・コマンダーはアメリカでは有名なシューティング・ゲームのシリーズらしくて、それを忠実に再現した映画のようです。映画の中ではナブコムやピルグリムなどの用語が頻繁に出てくるのですが、ゲームをやったことの無い人(僕もそうでしたが)はちょっと置いてけぼりにされてしまいそうです。ストーリーはほどほど、役者の演技もなかなかなこの映画、アクションだけは誰でも楽しめる内容だったと思います。ただ、1つツッコミを入れさせていただくと、主人公の親友とその彼女が戦争中だというのにイチャイチャ&ニヤニヤしすぎです。イチャつきがエスカレートして命令違反を犯すこと2回(1回目で反省しないところがもうダメ・・・)。そして2回目には事故が起こってしまい、彼女が死んでしまいます。主人公の親友も仲間も彼女の死を嘆き悲しむですが、自業自得以外の何物でもないわけで・・・。なのに、「仲間の死を乗り越えて行こうぜ」みたいな展開になって行くところがちょっと無理がありました。僕には戦争中に最前線で戦っているにもかかわらず、恋人とイチャついて命令違反を犯して恋人を失った単なるバカップルのエピソードとしか映りませんでした。そしてこのエピソードのせいで地球が危機的状況にあるという緊迫感を削いでしまった気がします。 さてさて、これだけだとどこにでもあるB級映画のようですが、実はこの映画は「マトリックス」のネオが銃弾を避けながらのけぞるシーンで有名になったマシンガン撮影が世界で初めて使われた映画なのでちょっと驚きです。で、一見の価値があるかどうかと言われると、やっぱりそうでも無い(笑)。というのもマシンガン撮影の使われているシーンが「マトリックス」や「ソードフィッシュ」などと違ってそれほどインパクトが無いんですよ。だって使われているシーンが主人公の親友がニヤついているシーンなもんで・・・。男がニヤついているシーンで使う手法じゃないだろうに・・・。そういう風にどこかズレてる所がB級映画ならではなのかもしれませんけど。 6点(2004-09-18 14:01:45) |
2. ジョー・ブラックをよろしく
《ネタバレ》 3時間は正直長かったですが、「生」とは何か?「死」とは何か?そして「愛」とは何か?をじっくりと考えさせてくれる映画でした。登場人物の描写がとても丁寧で、その時その時でそれぞれのキャラクターが何を思い、考えているのかがとても分かりやすかったです。きっと監督がこの映画で描きたいものをきちんと俳優も理解していたんでしょう。俳優達も自分たちの演技力を最大限に活かし切れたんじゃないかと思います。スクリーン上の役者たちはとても輝いていました。個人的に一番好きなシーンはウィリアムの65歳の誕生日にウィリアムの長女アリソンが「お父さんの娘に対する好みは構わない。ただあなたは私のお父さんであることには変わりが無い」みたいなことを言うシーンです。長女のアリソンは父親のためを思って65歳の誕生日を盛大にしようと躍起になっていました。しかしそれは本当に父親が望んでいるものとは違います。それでも娘の精一杯の気持ちを優しく受け入れるウィリアムの姿はとても感動的で思わず涙してしまいました。映画のラストには賛否両論ありましょうが、穏やかな気持ちになれる映画です。 7点(2004-09-14 17:53:53) |
3. アンツ
《ネタバレ》 CGアニメなので楽しく気軽に見れましたし、見ている間は結構面白かったです。しかし見終わってみてこの映画について考えて見ると、色々と疑問が残りました。アリの社会を人間社会に見立てて自由主義礼賛、独裁・差別反対というメッセージを前面に押し出したせいで実際のアリの生態が捻じ曲げられすぎていて違和感を感じました。アリが政治をやるのもいいんですけど、アリの社会って女王アリが中心なはずなのに何故か将軍が実権握っちゃってるし、その将軍が働きアリを全滅させて兵隊アリだけの国を作ろうとするのも何の得があってそうするのか筋が通っていません。主人公のZものび太みたいな魅力ゼロのキャラで、努力なんてほとんどしていないのに運だけ良くて物事が勝手に上手く運んでしまう展開はなんともお粗末。なんで王女バーラがZに惹かれたのかが謎でした。 5点(2004-09-14 17:51:54) |
4. 鬘(かつら)職人の日記
見ていてちょっと怖かったですね。死の臭いがぷんぷん漂っているような雰囲気がすごくよく出ていたと思います。これは短編ですが、もっと長いバージョンの映画が見てみたいと思いました。 6点(2004-03-28 23:20:14) |
5. クイズ・ショウ
《ネタバレ》 「今さらTVのヤラセに驚かないよ」という意見は的外れでは無いと思うが、この映画の舞台をもう一度思い出して欲しい。時代は1950年代の後半。映画が作られた頃から数えて40年前、今となっては約50年も前の話なのだ。クイズ「21」が始まる時間になれば誰もがチャンネルをクイズ「21」に回し、仕事帰りのサラリーマンは「21」を見るために足早に帰宅の途につく。家に帰れなかった者は近くの家の窓にへばりつき、「21」を視聴する。このオープニングを見れば「21」が当時のアメリカ人にとってにどれほどのものだったかが容易に分かる。当時のアメリカ人にとって毎週放送のあるクイズ「21」は、今の日本に例えればワールド・カップの日本戦が毎週あるようなものだったのかもしれない。それほどにアメリカの民衆が熱狂していた「21」のヤラセに、超エリート一家のヴァン・ドーレン家の1人で名門のコロンビア大学で講師をしているチャールズ・ヴァン・ドーレンが関与していたというのだから、その衝撃は計り知れない。この映画では3人の人物に焦点が当てられているが、ステンペル(ジョン・タトゥーロ)とグッドウィン(ロブ・モロー)はユダヤ人という共通点があり、グッドウィンとチャールズ・ヴァン・ドーレン(レイフ・ファインズ)はエリートという共通点がある。そしてステンペルとチャールズは「21」で戦い、ヤラセで決着を付けたという因縁がある。この3人のトライアングルが実に見事でドラマチックな展開を見せる。そして注目したいのが、このスキャンダルの後グッドウィンはJFKのスピーチ・ライターになり、その後アメリカに少なからぬ影響を及ぼしたという点だ。クイズ「21」のスキャンダルはTVの倫理観を揺るがし、TVの視聴者に対する影響力の大きさを物語っただけでは無く、アメリカの激動の60年代の到来を予感させる象徴的な事件だっと言えるだろう。このアメリカの転換点を象徴する大事件を約2時間で観客に提示する事が出来たロバート・レッドフォードの手腕は見事。 8点(2004-03-26 19:07:35)(良:1票) |
6. 真実の行方
《ネタバレ》 大司教殺しの容疑者アーロン(E・ノートン)をめぐって敏腕弁護士マーティン(R・ギア)とジャネット(L・リニー)が私情をはさみながら法廷で対決するのですが、マーティンとジャネットの2人の複雑な関係がとてもドラマチックで、とても見ごたえがありました。最後の5分間が無くても十分法廷サスペンスとして楽しめる内容なのですが、それを無に帰する衝撃のラストが待っていました。ただここで疑問なのが、弁護士と何十時間も一緒にいた心理カウンセラーを騙せるほどの演技力と周到な計画が立てられるアーロンが、なぜ短絡的で突発的な犯罪を犯したのか…?ということです。あれだけの才能があれば、逮捕される事無く完全犯罪を成し遂げることぐらいたやすいのではないでしょうか。ラストは確かに衝撃なのですが、それまでのプロセスが少し無意味になってしまったところが勿体無かったですね。 7点(2004-03-18 10:48:55) |
7. 奇跡の海
自分なりに考えることは色々あるんですけど、言葉になりません。【veryautumn】さんのレビューが良い感じなんで、そちらを是非ご覧になってください。 7点(2004-03-03 22:00:00) |
8. プラクティカル・マジック
《ネタバレ》 かわいいな~。ニコール・キッドマン、ダイアン・ウィースト、エヴァン・レイチェル・ウッドなど、お婆ちゃんから少女まで女性の可愛らしさが詰ってますね~。サンドラ・ブロックは、相変わらずごっついけどね~。しかしそのサンドラ・ブロックと恋に落ちちゃう刑事さん、一見幸せそうだけどあなたも死ぬ運命なんだよ…。つかの間の幸せをご堪能あれ。■追記:そうか、そうか。呪いは消えちゃったのね。どうでも良いけどエヴァン・レイチェル・ウッドはサンドラ・ブロックの娘というよりニコール・キッドマンの娘って感じだったな~。 7点(2004-03-03 21:42:23) |
9. ユージュアル・サスペクツ
《ネタバレ》 1回目はビビりますが、2回目、3回目となると、ちょっとズルいな~と思っちゃいますね。それでも、K・スペイシー、B・デル・トロが好きな僕は画面に釘付けですが。 10点(2004-03-01 03:49:41) |
10. もののけ姫
《ネタバレ》 作品としての完成度や物語のメッセージの伝え方はナウシカやラピュタには到底及びませんが、この映画は善悪のはっきりした分かりやすい登場人物しか居なかった今までの宮崎作品とは一線を画するのではないかと思います。「もののけ姫」ではサン、モロ、エボシ、乙事主、ジコ坊などが自分たちなりに生きるために対立・敵対しています。しかし、アシタカのように客観的な視点から見れば、誰が善で誰が悪かということは全く言えないのです。それぞれの立場から敵対し、話し合う場を持たずに武力で争いを起こしてしまう「もののけ姫」の登場人物たちの姿は、ファンタジーでありながら実際の人間社会を見ているかのようです。立場の違いによって引き起こされた無益な争い事の果てに、アシタカはサンにこう言います。「サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。『共に生きよう。』」と。この映画のキャッチコピーは「生きろ」でしたが、この映画のテーマは「住む場所や進む方向性が違っても、争わずに『共に生きる。』」ということなんじゃないでしょうか。 8点(2004-03-01 03:01:26)(良:1票) |
11. メン・イン・ブラック
ゴキちゃん踏み潰してグチャ~って、気持ち悪りぃ~。もっと怪物が『綺麗に』大暴れしてくれれば、もっと楽しめたんですけどね~。 6点(2004-02-25 23:46:42) |
12. イディオッツ
《ネタバレ》 「イディオット(Idiot)」は「愚か者」とか、「ばか者」、「白痴」の意。さて、映画の中のイディオッツ・グループは「正常」であるにもかかわらず、社会に上手く適応できず、社会から排除されてしまいました。「精神異常な人は社会で守らなければならない。」という社会的規範を逆手に取って、彼らは精神異常の振りをして無銭飲食を繰り返し、働かずに生きています。僕は正常な人間であるイディオッツ・グループの人たちが自分を精神異常に装うことで、「自分は精神異常のふりをしているんだ。だから自分は正常なんだ。」と社会に適応できなかったという現実から目を背けようとしているように思いました。また、イディオッツ・グループは食事中にヨダレを垂らしたり、とんでも無い行動を取っているのに、一般の人は平静を装って対応します。そんな一般の人の「私は精神異常の人を差別をしませんよ」という偽善をイディオッツ・グループは裏でバカにしたりもします。そういう彼らの姿勢は、「正常」であるはずの自分たちがどうして社会から排除されてしまったのに、「異常」と判断されている「精神異常」の人たちがどうして社会から守られるのか、という「社会」、「現実」に対する皮肉なのだと思います。人間社会の不合理を鋭くえぐり、何が「正常」で何が「異常」なのか、人間とは何かという疑問を観客にぶつけた後、フォン・トリアー監督は答えを示さないまま、中途半端に映画を完結させてしまいます。何を感じ、何を思ったのか、監督に試されているような映画です。 8点(2004-02-19 09:53:11) |
13. ボクと空と麦畑
《ネタバレ》 パッケージと邦題のイメージでは何となく心温まるほのぼの映画かな~と思って借りてみましたが、本当はイギリスのジメっとした雰囲気とゴミの悪臭が立ち込めてくるような暗く陰湿な話です。友達の死を目撃してしまった主人公の少年の心はスコットランド独特の雰囲気そのままに晴れません。少年の心の闇を癒してくれるのは、彼が発見した麦畑の見える家だけです。その秘密の場所に行く事で彼は心の平静を保つ事が出来ました。そして、息を呑んだのは主人公の少年とその家族が迎える結末です。やりきれなさの残るこの結末は心を沈ませます。しかし、この完成度の高い暗さが、なんとも美しい。 7点(2004-02-19 08:52:54) |
14. ROOM 13
部屋番号が「13」の部屋で起こる、「13」の短編で構成された映画です。 一つ一つの短編はとてもよく出来たサスペンスだと思いました。ただ、サスペンスに簡単に騙される体質なのにもかかわらず、全編を一気に見たせいか頭がサスペンス慣れしてしまって7、8話目くらいから結末が見えてしまいました。と言うわけで13話連続で見るのはお薦め出来ません。 7点(2004-02-15 16:11:27) |
15. ビースト/巨大イカの大逆襲(TVM)
B級映画の魅力満載です。見ていてもあんまり力も入らず、ほどほどの恐怖とスリルを味わえます。しかし、B級と言えども意外と出来が良かったりします。最近、テレビでやらなくなっちゃいましたが…。 5点(2004-02-11 00:00:57)(良:1票) |
16. いちご同盟
テレビでやっていたのを何となく見たんですけど、期待していなかった分、めちゃめちゃ泣いてしまいました。岩井俊二と北野武作品以外で邦画で好きな映画ということこの映画です。 7点(2004-01-29 00:11:56) |
17. ミザリー
子供(小学生)の頃見た映画で怖かった映画は結構いっぱいある。「エイリアン」、「IT」、「バタリアン」、そして「ミザリー」。大人になってそれらの映画を思い出すと、「エイリアン」なんて作りものだし、怖いというか、ちょっとかわいく見える。「IT」はほとんどギャグ。ピロだ、ピエロだと笑ってしまう。「バタリアン」は実際に見直したら、恐怖なんかそっちのけで懐かしさで泣いてしまうかもしれない。しかし、「ミザリー」は違う。今思い出しても怖い。「ミザリー」で描かれている恐怖は人が人に対して抱く歪んだ感情。クリーチャーに対する恐怖は慣れれば薄れてしまうけど、独占欲だとか、嫉妬だとかっていう感情は今も昔も誰でも持っている根源的なもの。その恐怖は今も色褪せずに、僕を震え上がらせる。あ~、こわい。 9点(2004-01-24 06:31:49) |
18. マルコヴィッチの穴
《ネタバレ》 マルコヴィッチのことをよく知らないと何でマルコヴィッチの中に入りたがるのか?と疑問に思っちゃいますが、理由はちゃんとあります。彼の演技は他の俳優から見ても異色であるが故に、彼の演技から何かを学ぼうと多くの映画関係者がマルコヴィッチと仕事をしたがっているのです。それはジョン・マルコヴィッチは俳優としてだけでなく人間としても他の人とは全く違う感性を持っているからです。その感性の源とされるのが、マルコヴィッチは常に自分とは何かという哲学的な問いを自分に課していることです。そのこだわりは他の人に比べて異常に強いようで、マルコヴィッチと一緒に劇団を立ち上げたことがあるゲイリー・シニーズは「マルコヴィッチは20年間、自分の目の裏、自分の心の裏にあるものを理解しようとして演技をしてきた。」と言っています。実際、映画の中でマルコヴィッチは自分の頭の中に入り、新たな次元を垣間見ることになります(この行為はまさにマルコヴィッチが20年間続けてきたこと、そのもの)。そういう意味ではこの映画「Being John Malkovich(マルコヴィッチになること」はマルコヴィッチの考えていることを知ってみたいというマルコヴィッチのファンの欲求に応えたものであると同時に、マルコヴィッチが抱える彼独自の問いに対する一つの解答を映像で示したものだと思います。この映画で見られる世界がまさにマルコヴィッチが求めていた解答だとは思いませんが、マルコヴィッチの穴(Being John malkovich)という映画はマルコヴィッチの人生観をそのまま表したもので、本当は彼だけのための映画なのではないかと思いました。 7点(2004-01-24 05:52:04)(良:3票) |
19. マグノリア
《ネタバレ》 12人の迷える子羊たちのドラマはどれも胸を打つものばかりで、そのドラマだけでも見る価値はありました。ただ、それらのエピソードが最後にどのように繋がるのかがこの映画の見所だったのですが、カ○○が○ってくるとは誰が予想できたでしょうか。このラストは誰も予想は出来なかったし、表面的に見ればこれらのエピソードは繋がりきってはいません。カ○○が○ってきたのは救済の象徴だったと言われればそうかもしれないけど、その出来事はただの偶然かもしれません。必然か偶然か、それはこの映画の冒頭でも問われていたことでなのですし、答えはありません。だからカ○○が○ってきたという出来事は人それぞれの解釈に委ねられるべきなんだと僕は思いました。ただ、その出来事が必然であろうが偶然であろうが、12人の迷える子羊たちの心が少し洗われたのは確かです。 7点(2003-12-24 05:41:02) |
20. マイ・ドッグ・スキップ
《ネタバレ》 主人公の少年は犬のスキップがいないと何もできなくて、ドラえもんに頼りきっているのび太を思わせてかなりムカつきます。そんな少年もスキップと一緒にだんだん成長していくのですが、犬好きの人にとっては正直、少年の成長物語なんてどうでも良いのです。スキップの賢さ、優しさに愛しさを覚え、スキップの死を悲しみ、「自分ってやっぱり犬が好きなんだな~」と素直に思わせてくれるのがこの映画の魅力なんですから。だから犬好きの人から絶大な評価を受けているのでしょう。 9点(2003-12-20 23:38:33) |