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1.  スオミの話をしよう 《ネタバレ》 
あまり期待せずに見たのだが、誘拐されたスオミ(長澤まさみ)の人物像が語る夫によってまったく違うというのは「羅生門」を思い起させていて引き込まれる部分があるものの、このミステリーとしての部分があまりにも弱く、かといって喜劇として見てもところどころクスっとできるシーンはあるものの、なんか微妙な感じで、言われているように三谷幸喜監督が大河ドラマで組んでいた長澤まさみで一本撮りたかっただけの映画という以外の何者でもない印象で、「ギャラクシー街道」よりは楽しめたものの、見どころは本当にスオミの七変化くらいしか無く、ハッキリ言って凡作で、三谷監督の映画でここまではっきりと見ていてストーリーよりも役者先行というのが分かりやすい作品は初めて見たような。スオミを演じている長澤まさみは先週見た「シン・仮面ライダー」のサソリオーグに続いてとても楽しそうに演じていて、見ているこちらとしては最初は面白いのだが、それがずっと続くせいか、見ていてだんだん飽きが来てしまう。それに終盤、スオミが夫たちの前でそれぞれのキャラを演じて見せるシーンはやりすぎ感があり、見ていてちょっと白けてしまった。それに、ラストの「ヘルシンキ」を歌うシーンが舞台的なのは三谷監督らしいところではあるのだが、このラストシーンがけっこう間延びしていて、本当に舞台だったらアリと思うのだが、映画作品としてはまるごとカットしていたほうがスッキリしたかも。
[DVD(邦画)] 5点(2025-07-20 23:29:51)《更新》
2.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 
今回は樋口真嗣監督が参加しておらず、完全に庵野秀明監督が描く「仮面ライダー」となっているが、序盤のクモオーグ(大森南朋)のエピソードからテレビシリーズ第1話「怪奇蜘蛛男」と同じ場所で撮影しているのはオリジナルへのリスペクトのようなものを感じられ、またこの部分は普通に楽しめたものの、それ意外にもマニアックなオマージュが「シン・ウルトラマン」よりも増えていて、なにか庵野監督の自己満足のように見えてしまい、少しやりすぎに感じた。(クモオーグに「当たらなければどうということはありません。」と仮面ライダーや石ノ森作品と無関係なシャアのセリフを言わせてしまうのもなにか無神経に感じる。笑ったけど。)本郷を演じる池松壮亮のセリフまわしがぎこちなく、変身してもなんか頼りなさそうに見えてしまうし、なにより肝心の仮面ライダーがカッコよくなく、アクションもパンチの後に血しぶきが飛んだりして迫力を出そうとしているのは分かるのだが、なにかもさっとした感じでダサく、かなりイマイチに感じる。ヒロインであるルリ子(浜辺美波)の設定がテレビシリーズと変わっているのも違和感があるし、仕方がないことかもしれないが、あまりにもキャラがアニメっぽいのはやっぱり気になる。また、本来は単純な物語であるはずが、難解な用語を持ち出してわざと分かりにくくしているきらいがあり、それにともなってか説明的な部分も多いなど話が先に進むごとにテンポが落ちていく感じが見ていてイライラしてくる。最初のシリーズが元ならもっと単純な勧善懲悪でいいのに。役者のセリフ回しもぼそぼそで聞き取り辛い部分が多く、これもストレスに感じた。最後の戦闘シーンは映像が暗く見づらいのも良くなく、最終決戦なのに盛り上がれなかったのが残念。サソリオーグ(長澤まさみ)を仮面ライダーの力を借りずに倒しておいて、後になってサソリオーグの毒に仮面ライダーは耐性がないというのは思わず突っ込んでしまった。普通、ヒーロー番組だとそのような強敵にいかにヒーローが勝つかが見どころになるはずなのだが。ショッカーの怪人を演じていた出演者だとこの長澤まさみとハチオーグを演じていた西野七瀬が楽しそうに演じていたのが印象的。KKオーグを演じるのが本郷奏多というのは狙ってのことなのだろうか。本作はこれまでの二本と違ってテレ朝やバンダイなどニチアサでも見かける名前が製作委員会に入っているが、仮面ライダーは確かにゴジラやウルトラマンとくらべると今でも3シリーズの中ではもっともイキイキとしている感が強く、そういう状況であえて本作を大々的にやる必要もなかったのではと思えてくる。いずれにせよ、本作は三本の中でいちばん万人受けしない映画になっているのは確か。庵野監督の実写作品としては「キューティーハニー」のほうが面白かったなあと見終わった直後に思ってしまった。でも、ちゃんと主題歌に子門真人が歌うオリジナルの主題歌をそのまま使っていたのは良かった。少し甘めかもしれないがこれに1点プラスの5点。
[DVD(邦画)] 5点(2025-07-14 00:22:16)(良:1票)
3.  大名倒産 《ネタバレ》 
久しぶりに見る浅田次郎原作の映画。今まで見た彼が原作の映画はあまり良い印象がなかったのだが、本作は最後まで普通に安心して見ていられた。全体的にテレビ時代劇っぽくはあるし、最後に石橋蓮司がしょっぴかれるところなどまさにそうで、話としては深みも何もないのだが、それが逆に良かったのかもしれない。藩の借金を現代の金額に換算したり、貧乏藩が節約に節約を重ねてピンチを乗り切るのをキャンプやシェアハウスやリサイクルといった現代の言葉に置き換えて説明するのも、何作か同じパターンの作品を見ていてもう見慣れてしまった感はあるものの、その分かりやすさが映画自体の安心感のひとつになっている。主人公の母を演じている宮崎あおいが役のままナレーションでそれを説明しているのでそこになにかシュールさも感じられる。悪役のひとりを演じるキムラ緑子は役の扮装自体が漫画チックでギャグのよう。一か月ほど前に見た「身代わり忠臣蔵」に佐藤浩市の息子である寛一郎が出演していて、雰囲気やっぱ似てるなあと思ったのだが、本作に出演している佐藤浩市を見てやっぱり親子だなあと感じた。わざわざエンドロールのあとにエピローグがあることを冒頭に示すのが良心的。見終わって鮭が食べたくなった。
[DVD(邦画)] 5点(2025-07-06 23:45:50)
4.  身代わり忠臣蔵 《ネタバレ》 
四十七士に討ち取られた吉良は実は影武者だったという話はこれまでも「必殺忠臣蔵」等で描かれているが、本作は吉良が松の廊下で浅野に斬られた際に致命傷を負い、双子の弟を影武者に仕立てるというなかなか斬新な設定で、忠臣蔵映画としては完全に吉良側の視点から描かれているというのも新鮮。とはいえ、全編シリアスタッチではなく、コメディー映画。脚本が「超高速!参勤交代」や「引っ越し大名!」を書いていた人、それになんといっても吉良と主人公であるその弟を演じるのがムロツヨシというところが大きい。とくに前半は兄の影武者に仕立てられた考証=ムロツヨシのキャラの面白さで突っ切っている感じがあり、ノリに慣れるまで少し時間がかかってしまったが、慣れるとけっこう楽しく見れる。冒頭に大石(永山瑛太)と考証の出会いを描いておいて、のちに遊郭で再会した二人が友人になるという展開も面白く、ここからはどう討ち入りまで持って行くのかに興味が沸いた。後半は大石に考証が自分の正体を明かしたあたりからシリアスさが出てきて、兄の身代わりとして潔く討ち取られようという考証の決意は前半のおちゃらけた彼とは違うかっこよさがあり、とても印象的だった。討ち入りでどうなるかはけっこうハラハラしながら見ていたのだが、そう来るかという感じで思わず納得してしまった。(話は忠臣蔵を基にしたフィクションながら、実際にこうだったとしても違和感はないと感じる。)討ち入りを成し遂げた後、吉良側の生き残りが追ってくるのは今まで観た事のない展開だが、そこから急にラグビーが始まってしまうのはあ然としてしまった。とはいえ、こういうのは嫌いではなく、ブラックさに思わず笑ってしまうものの、やはりちょっとやりすぎで浮いてしまった感じがしたのが残念。
[DVD(邦画)] 6点(2025-06-09 00:00:07)
5.  ステキな隠し撮り 完全無欠のコンシェルジュ<TVM> 《ネタバレ》 
「ステキな金縛り」のスピンオフ作品だが、同じ曲が主題歌になっていて一部同じ役名で出ている出演者もいるものの、実際は同じメインキャストを集めて製作された別作品で、内容的には全く無関係なものとなっている。その内容はホテルの新人コンシェルジュ(深津絵里)が様々な宿泊客の要望に対応していくというもので、「大空港2013」に近いものを感じるが、こちらはオムニバス形式となっていて、全編ワンカット撮影ではなく、タイトルにもあるように本当に隠し撮りで撮影したらしく、そのせいか出ている役者がすごくのびのびと演じているのが分かるし、コントを見ているかのような雰囲気もある。とくに料理のできない料理研究家(竹内結子)とニョッキを作るエピソードは完全にコントのノリで面白かった。新作映画の公開を控えた神経質な映画監督はこのドラマの脚本と演出を担当している三谷幸喜監督自身が演じていることもあって、見ながら三谷監督、新作公開前はいつもこんな感じなんだろうなと思えてつい笑えてしまう。コールガール(戸田恵子)の部屋で国会議員(木下隆行)が死んでいるエピソードは最初「Wの悲劇」と同じシチュエーションで思い出さずにはいられなかったが、笑える展開に持って行くのは三谷監督らしいところ。死体役のTKO木下がけっこう体を張っていたのが印象に残る。その中にあって老人(浅野和之)のエピソードや、会社の金を持ち逃げしたサラリーマン(西田敏行)のエピソードはついほろりとさせられる。(「ステキな金縛り」でW主演していた西田敏行のエピソードを最後に持ってくるあたりはいいなあ。)最初に書いたように隠し撮りで撮影されているドラマだが、劇中でも本当に主人公のコンシェルジュが今までの客たちとのやりとりを盗撮魔(生瀬勝久)によって盗撮されていて、その映像を視聴者も見ていたという最後のオチも良かった。少し甘いかも知れないが、「ステキな金縛り」と同じく7点を。
[DVD(邦画)] 7点(2025-06-02 00:12:16)
6.  続・新悪名 《ネタバレ》 
悪名シリーズ、かなり久しぶりに見るけど、いつ以来だろうと思って前回見た作品(「新・悪名」)のレビュー確認すると12年前(早!)。シリーズ4作目でタイトルも少々強引感のある「続・新悪名」というのが、まだシリーズとして軌道に乗り切れていない感じがするものの、最後まで安心して見る事ができた。話としては朝吉と彼になついた靴磨きの少女との交流という人情話に、朝吉が巻き込まれた旅一座の興行をめぐる金銭トラブルという任侠映画らしいエピソードが絡むというもの。朝吉と少女のやりとりは微笑ましく、少女の歌の才能を見込んだ清次が彼女をのど自慢に出場させようとするのも面白いのだが、この少女のエピソードがなんか中途半端に終わってしまった印象で、冒頭で母親(ミヤコ蝶々)のひどさを見せていたので、最終的にこの少女はこの母親の元を離れるのだろうと思って見ていると、どうやら最終的にこの母親の元に戻ったようで、なんか見ていてモヤモヤが残り、これだったら旅一座に誘われた時について行った方がこの子にとって幸せだったのではと思ってしまった。それでものど自慢会場での清次とこの母親の漫才のような会話は見ていてつい笑ってしまい、ミヤコ蝶々の喜劇役者としての上手さもじゅうぶんに感じられる。それにこののど自慢の司会者を演じているのが浜村淳(市川崑監督の映画でよく見る俳優の方ではなくてラジオパーソナリティの方。)だったのはビックリ。若いなあ。後半は因島が舞台となり、本作と同じ田中徳三監督が手がけていた1作目、2作目の後日談も出てくるのは見たのがもうけっこう昔なので懐かしく感じた。(麻生イト親分、亡くなってたのはちょっとさびしい。)
[DVD(邦画)] 7点(2025-05-24 17:58:21)
7.  アルキメデスの大戦 《ネタバレ》 
戦艦大和建造を背景にした山崎貴監督の映画。「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を見たついでにこちらもという感じで見たのだが、山崎監督の映画にしては泣かせに走っておらず、戦艦の建造費用が不自然に安く見積もられているカラクリを暴くというその内容自体が興味を引くもので、実際、戦争映画としてはなかなか新鮮なテーマでそこそこ面白く見る事ができた。山崎監督には珍しくドラマ部分も違和感がなく、海軍対陸軍という図式を分かりやすく勧善懲悪に描くのではなく、結局はどっちもどっちとも取れる着地点にしているのは軍隊という組織の一筋縄では行かなさがよく出てて良かったと思う。クライマックスの会議のシーンも緊迫感があって見ごたえはじゅうぶんで、そこからのどんでん返しにつぐどんでん返しも面白かった。普通ならいちばん最後に持ってくるであろう大和沈没シーンを冒頭に持ってきて、結局ここが本作いちばんの派手なVFXの見せ場となっているのも良い。とはいえツッコミどころがないわけではなく、そもそも数式を書いただけでそこまで計算できるのかは疑問だし、わざわざ長門に乗る必要もあるのかなと感じてしまう。それにラストで平山(田中泯)が語る大和建造の理由ももっともらしく聞こえるが、よく聞くといかにも現代人が考えた理由のようでなんか冷めてしまった。でも、漫画原作のフィクションにアレコレ突っ込むのは野暮という気もする。あとここからは出演者に関して。主人公を演じているのが菅田将揮とあってそのキャラはどうしても今年初め頃まで見ていた「仮面ライダーW」のフィリップっぽく見え、最後までそのイメージで見てしまった。橋爪功と國村隼が役柄的には逆のイメージなのだが、あえて真逆の配役をしている感があるのが印象的。山本五十六が舘ひろしというのは絶対違うだろうと言いたい。
[DVD(邦画)] 6点(2025-05-19 00:22:04)《更新》
8.  SPACE BATTLESHIP ヤマト 《ネタバレ》 
「宇宙戦艦ヤマト」を実写化した山崎貴監督の映画。原作アニメはちゃんと見たことがなく、どんなストーリーなのかもよく知らない状態で見たのだが、そんな状態で見てもまず主役の古代を演じるキムタクがキムタク以外の何者にも見えない時点でちょっと萎える。話自体も山崎監督の本作の一つ前の映画である「BALLAD 名もなき恋のうた」(テレビアニメの劇場版の実写リメイク)と違ってテレビアニメの筋を追うかたちになっているためか、展開が早すぎていて、よくある大味なSF超大作映画という印象が拭えない。それでもヤマトが宇宙へ旅立つ序盤はまだそれなりに見れるものの、そこから後は特にみどころもなく、グダグダで、古代を含むヤマトの乗組員たちもただ猪突猛進突っ走っているだけのバカに見える。古代と森雪(黒木メイサ)のロマンス部分に多く時間が割かれている印象だが、はっきり言ってどうでもいい感じで退屈。ラストの古代が一人ヤマトに残って生き残った乗組員を地球に帰そうとするシーンは感動させようとしてるんだろうけど、間延びしていて、とくにみんなが去った後の古代と雪の問答はさっき書いた件もあって「ああ、そうですか。」という感じしかなく白けてしまい、映画を見ている気にすらなれない。戦闘シーンの迫力はそこそこだが、イスカンダルに到着してからのアナライザー(声・緒方賢一)を投入した戦いが「ターミネーター2」の冒頭シーンを思い起こさせるものであったり、いや、それより前に本作は全体的に「アルマゲドン」を思わせる部分も多く、(ラストの展開も「アルマゲドン」っぽい。スティーブン・タイラーを主題歌に起用しているのはもう確信犯だろう。)ハリウッドかぶれに感じてしまうのは邦画の残念なところか。当初は樋口真嗣監督が予定されていたみたいなのだが、仮にこの内容で樋口監督だったとしても受ける印象や感想はあまり変わらなかったかもしれない。山崎監督の映画の中では唯一脚本に監督の名前がない作品(奥さんでもある佐藤嗣麻子監督が単独クレジット。)なのだが、そのへんが関係しているのかな。
[DVD(邦画)] 4点(2025-05-09 00:46:28)
9.  湯道 《ネタバレ》 
脚本を担当した小山薫堂が実際に提唱するという湯道をテーマにしたオリジナルストーリー。あまり期待していなかったのだが、普通にお風呂をテーマとした群像人情喜劇として楽しめた。メインの話からしてすでにありがちなのだが、そこが安心して見ていられるのはいかにも日本映画らしいし、見ていてなにか幸せな気持ちになれる。泣くまでもいかないが、ほろっとさせられるシーンもいくつかあり、中でも、息子の出所を待つ歌好きの常連客(天童よしみ)とその息子(クリス・ハート)が銭湯でお互いを認識し、「上を向いて歩こう」を二人で歌うシーンがとても良い。(「いい湯だな」じゃないのもベタ過ぎない感じがする。)同じ脚本家の「おくりびと」で銭湯の主人役と常連客役として共演していた吉行和子と笹野高史が本作では銭湯の常連客の夫婦を演じているのも面白かった。(吉行和子が亡くなってしまうのは「おくりびと」と同じ。)テーマになっている湯道についてはもう少し成り立ちや所作などを踏み込んで描いても良かった気がして、最後に新しい家元(柄本明)が響き桶を湯道の新しい作法とすると言っているが、なんかピンとこない。湯はマイサンシャインとか「湯」とかけたダジャレも寒いギャグでしかないのだが、この映画だとなんだか許せてしまう。エンディングテーマは登場人物たちが「You Are My Sunshine」を歌うというのも(ちょっと「クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大決戦」のエンディングを彷彿させているが。)最後まで観客に幸せな気持ちのまま劇場を後にしてほしいというスタッフの思いのようなものが感じられた。
[DVD(邦画)] 6点(2025-05-03 23:56:49)(良:1票)
10.  翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。前作は思ったより楽しんで見たのだが、もうそれも5年前でノリを忘れていないか不安だったのだが、やっぱり今回もそのバカっぽさとそれを真剣に演じているキャスト陣のギャップが楽しく、何も考えずに見ることが出来た。今回も突き抜けたネタのオンパレードで、冒頭部分の海女二人に対して麗(ガクト)が「阿久津はどうした!阿久津に何があった!」と叫ぶシーンや、クライマックスの出身地対決で藤原紀香の写真を見た神戸市長(藤原紀香)が反応してしまうシーンのメタさはつい笑ってしまう。しかし、映画全体として見ると、前作より大作然とした印象で、どこか散漫な感じもしてしまい、結果パワーダウンといったところなのはまあしょうがない。でも、前作は麗と百美(二階堂ふみ)のコンビのやりとりが面白かった部分もあったのだが、今回はキャストのクレジットでガクトと二階堂ふみの表示順が逆になり、実際、今回は麗が単独主人公のようになっていて、百美は麗から留守を頼まれるという形で、出番が少なくなっており、必然的にこの二人の絡みも少なくなっているのはちょっと残念。その代わり、今回の悪役である大阪府知事(片岡愛之助)と神戸市長の実際の夫婦が演じるコンビのやりとりが面白く、とくに愛之助演じる府知事のキャラはすごく立っていたように思う。今回も前作と同じく、この話をラジオで聴いている家族(アキラ100%、和久井映見、朝日奈央)が登場し、彼らと一緒に客観視できるようになっているが、今回このパートが前作に比べると物足りなかった気がする。でも、ラジオが始まってすぐのアキラ100%演じる父親の「二度もやる話じゃない」というセリフには思わずうなずいてしまった。
[DVD(邦画)] 5点(2025-04-27 19:26:32)
11.  ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 《ネタバレ》 
ドラクエは初代ファミコンのⅢをプレイしていた記憶がある(エンディングまでたどり着いたのかは覚えていない。)のとアニメの「ダイの大冒険」(TBSのやつ)を見ていたというくらい(いずれも小学生の頃)で、とくにそれほど思い入れもなく、本作の原作であるⅤもプレイしたことはないのだが、純粋に一本のアニメとして見ると、冒頭部分がゲームそのままの画面であるという手抜き感は感じるし、時間的制約ではしょっている部分も多いのか、よく分からない部分もあるものの、普通にファミリー向けとして無難な印象・・・だったのだが、クライマックスに突然現れるメタ展開には予め知って見ていてもあ然としてしまう。メタ展開自体は嫌いではないし、この部分に山崎貴監督らしさも感じるのだが、子供時代からの(もちろん、現役の子供にも)ファンが多い人気のRPGを原作にしている本作でそれをやるのははっきり言って違うと思うし、下手をすればファンを敵に回すような展開になっていて、印象としてはかなり悪く、山崎監督としては自分色を出したかったのかもしれないが、原作者が監修を担当していながらよくもこういうことをやれるなという気になって呆れてしまう。やはり、テレビゲーム、とくにRPGは仮想現実を楽しむという側面が大きいジャンルで、だからこそこういうことをやられるとすごく冷めてしまう。ここに2点マイナス。ドラクエシリーズのキャラクターデザインは鳥山明が担当していて、本作エンドロールにも原作ゲームのキャラクターデザイナーとしてクレジットされているが、本作のキャラクターデザインは鳥山明の絵に寄せていないのはドラクエにあまり馴染みがあるとは言えない自分でもさすがにあまり良くないのではと思うものの、リュカの前に現れる占いババが「ドラゴンボール」の占いババのような姿だったのはなにか嬉しかった。
[DVD(邦画)] 3点(2025-03-27 20:19:03)(良:1票)
12.  残穢 -住んではいけない部屋- 《ネタバレ》 
中村義洋監督によるホラー映画。中村監督は先週見た「仄暗い水の底から」で脚本に参加していたのだが、本作も偶然か集合住宅が舞台となっていて、同じようなものなのかと思って見始めたのだが、本作は邦画ホラーにありがちなハデに脅かす演出は控えめで、主人公のヒロイン二人が事故物件で起きた心霊現象の謎を探るミステリー中心のストーリーとなっていて、淡々としていて印象としてはかなり地味で、ホラーを期待すると肩透かしかもしれないが、ここ最近鈴木光司原作のホラー映画ばかり見ていたこともあってか、疑似ドキュメンタリーのように展開していく本作はそれがけっこう新鮮に感じられて引き込まれた。二人がマンションの謎を探っていくところは怖さよりも見ているこちらもつい好奇心に駆られてしまい、一緒に謎解きしているような感覚を覚える。雰囲気も良く、語り部的に入る主人公の作家(竹内結子)のモノローグも良い感じで、ホラー映画として見るとしっとりとした怪談的な怖さがあり、やっぱりお化け屋敷的なホラーよりはこういう雰囲気で怖がらせるホラーのほうがわざとらしさがなくて好きだな。でも、それだけに最後の最後で安直な恐怖演出をしていたのはそこだけ急に浮いて見え、ちょっと残念。(ここがなければもう1点アップしていたかも。)エンドロールになっても画面が暗転せず、最後に住職(上田耕一)が絵を見つめるシーンを入れていたのは良かった。最後にもう一言、新人時代に「リング」の冒頭に出演していた竹内結子がホラー映画に主演しているのは感慨深くもある。
[DVD(邦画)] 6点(2025-03-16 18:53:59)
13.  仄暗い水の底から 《ネタバレ》 
監督 中田秀夫、原作 鈴木光司、プロデューサー 一瀬隆重という「リング」トリオによるホラー映画。「リング」では海や井戸が重要な要素として登場していたが、本作は水をテーマにした短編集の一編が原作ということもあり、降り続く雨や湿った空気感などが印象的に描かれ、舞台となる古びたアパートも実にホラー映画らしい雰囲気が感じられるのだが、離婚調停中の女性(黒木瞳)が主人公ということもあり、話としては彼女と幼稚園児の娘(菅野莉央)の親子のドラマが中心になっていて、ただのホラー映画にはしないという製作陣の意気込みも分かるし、実際、シングルマザーの大変さはよく伝わってくる内容になっている。しかし、この母親が情緒不安定気味で被害妄想も強めなので、こんなんで果たして大丈夫なのかと思えてくるし、実際劇中でも指摘されているのはごもっとも。夫(小日向文世)だけでなく幼稚園の職員やアパートの関係者も不快な登場人物ばかりで、仮に本作がホラー映画でなくても怖さを感じるのだが、肝心の行方不明になった少女の悪霊が登場するクライマックスはなんかホラー映画としてはありふれた感じで、それまでの雨や部屋の水漏れによってできた天井の滲みなどの水が登場するシーンや、アパートの不気味さに比べて弱く、煽りは怖かったのにメインは大したことなかったという肩透かし感がある。エピローグの10年後のシーンは別になくてもと思うし、あの大水からよく助かったなあと思えてしまうのだが、ここがあることで後味の悪さをそれほど感じずに見終えれたのはまあ良かったかなと。でも、好みの問題かもしれないが、黒木瞳ってあんまり良い母親には見えないんだよなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2025-03-09 18:13:12)
14.  リング0 バースデイ 《ネタバレ》 
今回は貞子そのものを主人公に、彼女が井戸に落とされるまでが描かれた過去篇となっていて、監督も変わって今までと毛色の違う作品になっているが、おかげでホラー色が少なくてもそれほど気にならずに見れたし、どちらかといえば青春映画のような雰囲気がある作風となっている。でも、貞子が主役の青春映画として見て面白いかといえばはっきり言って微妙で、とくに前半はホラー要素がほとんどなく貞子(仲間由紀恵)が所属した劇団のメンバーの人間模様が描かれていて面白くなりそうなのにこの部分が非常に薄っぺらく、謎の死を遂げた主役女優(奥貫薫)の代役に貞子(仲間由紀恵)が抜擢されるところなどは「Wの悲劇」をなんとなく思い出すものの、ここに至ってこの劇団の話の部分が出来損ないの「Wの悲劇」のように思えてきて、なんか幻滅で、せっかく青年座が協力してるのに勿体なく感じる。後半はホラー要素が強くなるのだが、二人に分離した貞子とかかなり唐突で、二人の貞子は別人格と思って見ているといつの間にか劇団員たちに殺された貞子が復活してるとか(二人で一つの記憶を共有した同じ顔の存在なのかとちょっと考えてしまったじゃないか。)滅茶苦茶で破綻しているとしか思えないし、そもそも冒頭から貞子が劇団内で憎まれているという設定にあまり説得力が感じられないため、この後半のホラー部分も怖さをあまり感じられないものとなっている。それに「トリック」を先に見ていると終盤に貞子が迫ってくるシーンは仲間由紀恵なんだと思いながら見てしまうとどうしても山田にしか見えずギャグのように映って脱力してしまうのも本当のところ。でも、本作がきっかけで「トリック」のオファーがあったみたいなので仲間由紀恵にとっては本作はやはりブレイクのきっかけになった作品のひとつには間違いないのだろう。時代設定は昭和43年なのだが、ちゃんと作り込まれてる感じがして良かった。シリーズは一応これで終わりなのだが、(後年貞子シリーズとして再開してる。)ここまで見てもなぜ貞子の怨念が取り付くのがビデオテープなのかは分からなかったなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2025-03-02 19:11:27)
15.  リング2 《ネタバレ》 
「らせん」を無視した「リング」の映画オリジナル脚本による続編。「らせん」を映画化しているのにまた別の続編を作ってしまうところに商魂逞しさを感じてしまうのだが、「らせん」と比べると「リング」の雰囲気は保たれていて、分かりやすく見やすい作りになっている。でも、やっぱり面白くなく、ホラー映画としても怖さをほとんど感じられないし、貞子の呪いを科学的に解明しようとするところは結局「らせん」と同じようになってしまっている気がしてしまうのだが、やはりそうなるとホラーではなくなってしまい、見ていて冷めてしまう。でも、今回それをやる医者を演じるのが佐藤浩市ではなく、小日向文世なので、この医者に少しうさん臭さが出ていたのは良かったかも。しかし、クライマックスのプールでの実験シーンまでこの調子なので、一体何を見ているのかという気分になってしまうし、そのプールから貞子の井戸につながるという展開も意味不明に感じる。一応、話の本筋としては「リング」にチョイ役で登場し、「らせん」にもヒロインとして登場した高野舞(中谷美紀)が主人公となり、怜子(松嶋菜々子)と高山(真田広之)の息子である陽一(大高力也)を貞子の呪いから守るというものになっているが、はっきり言ってそのストーリーでやるなら「リング」の焼き直しでも構わなかった気がするし、せっかく「らせん」と切り離した続編なのだからもっとホラー色が強くても良かった気がする。全体的に見ればよくある無理にやらなくて良かった続編という気がするのだが、それでも、呪いのビデオを見てしまった女子高生(深田恭子)の死に顔の描写が智子(竹内結子)のそれをちゃんと踏襲していたのは良かった(ここは今回のほうがインパクトあったかな。)し、雅美(佐藤仁美)の後日譚も出て来るので「リング」を見ていればそこが見どころになるかな。
[DVD(邦画)] 3点(2025-02-23 23:56:26)
16.  らせん 《ネタバレ》 
「リング」の続編小説を原作としていて、公開当時は「リング」との同時上映をウリにしていた映画だが、ミステリー仕立てでありつつも、ちゃんと単純なホラー映画としての側面もしっかりとしていた「リング」に対してこちらは科学的・医学的な側面から貞子の謎に挑む内容であり、あえて「リング」と方向性やアプローチを変えた作風となっているのは理解できなくもないのだが、あまりにもその方向に行ってしまったためにホラー映画として見るとほとんど怖さがなく、ただの理屈っぽいだけのSFのようになってしまった感じで、そこがまた面白ければ良いのだが、そうではないために見ていて純粋に退屈で、山場や見せ場もないのではっきり言ってつまらないし、佐伯日菜子演じる貞子も当然のように存在感が感じられない。話が進むたびに分かりにくさも増していくのだが、とくに死んだ舞(中谷美紀)が貞子として生まれ変わってからはついていけなくなってしまった。そして全体的に中途半端であり、ラストシーンなどはそれまでの流れからすると完全に浮いていて結局何が言いたかった映画だったのかよく分からない。ちなみに「リング」と同じグループが歌う主題歌はしっとりとしたバラード調で、主題歌だけはこちらの方が好み。エンドロールの後に「ループ」の告知が出ていて、この時点では映画化する気満々だったのかもしれない。
[DVD(邦画)] 3点(2025-02-17 00:06:21)
17.  ドラゴンボール超 スーパーヒーロー 《ネタバレ》 
見る前は今更レッドリボン軍が敵なのかと思っていたが、悟空が本筋に関わらず、メインを悟飯、ピッコロ、それに3歳のパンの三人にしたことで、うまくストーリーを作っているし、スーパーヒーローに憧れるドクターヘドが悟空たちを悪者と信じ込まされているなど、工夫の利いた脚本になっていて、そのあたりも良かった。新しい人造人間であるガンマ1号と2号のキャラも魅力的だったと思う。とはいえ、全体から受ける印象はいつもの「ドラゴンボール」の劇場版とあまり変わらず、戦わなくなった悟飯が覚醒するまでがあっさりとしていたりするあたりは、テレビアニメや原作漫画だともう少し引っ張っていただろうなあという感じはする(引っ張り過ぎても困るのだが。)し、今回は話に絡んでおらず、出番の少ない悟空はベジータと一緒にビルスの所にいるのだが、いざ登場するとそのシーンがけっこう長く感じてしまったのは少しもどかしかった。(30年ほど前のブロリーの映画「危険なふたり!超戦士はねむれない」のほうがまだ出番は少なかった気がする。)それでも、終盤はバトルをじっくり見せる構成になっており、悟空やベジータの存在を忘れて見ることが出来たのは良かったと思うし、最後まで悟飯とピッコロが主役という姿勢を崩していないのにも好感が持てたし、悟飯が魔貫光殺砲を撃つ戦いの決着シーンは昔から悟飯とピッコロの関係を知っているとやっぱり熱いものがある。惜しむらくは最後の敵であるセルマックスが怪物然としすぎていて、セルの再現体とのことだが、セルにあったようなかっこよさが無くなり、ただ不気味なだけになっていて、それでいて声は同じ若本規夫が演じているというのが残念だった。3DCGによる作画で描かれたシーンもゲームの映像っぽくて何か違和感がある。最後にもう一つだけ良かったところを書かせてもらえば、音楽がこのシリーズでは聞きなれない曲調だと思ったら佐藤直紀が担当していて、この曲がけっこう合っていて良かったし、この手のテレビアニメの劇場版に主題歌がないというのも新鮮だった。
[DVD(邦画)] 6点(2025-01-26 17:29:38)
18.  電磁戦隊メガレンジャーVSカーレンジャー〈OV〉 《ネタバレ》 
スーパー戦隊VSシリーズ第3作で、メガレンジャーとカーレンジャーのコラボ作品。高校生であるメガレンジャーの卒業写真の撮影を控えているというエピソードにカーレンジャーがゲスト登場する構成だが、カーレンジャーが会社員なのもあって、このコラボはすごく自然に感じた。カーレンジャーの浦沢義雄らしいぶっ飛んだギャグ路線がとても好きなのだが、あくまでメガレンジャーのVシネマということで、カーレンジャーのその路線は控えめではあるが、先輩ヒーローとしての顔もちゃんと見せるカーレンジャーにはなにか感慨深いものがある。メガレッドである健太の実家である八百屋はカーレンジャーにも登場していたが、その八百屋の主人を演じていた高月忠が同じくその八百屋の主人である健太の父親として登場するなどハイパーリンク的な部分もあるのが楽しい。このシリーズ前作ではオーレンジャー側の敵としてバラノイアの残党怪人が登場していたが、今回はカーレンジャー側の敵として本作オリジナルであるヘルメドーが登場するのはカーレンジャーの結末的に残党を出しにくいのもあるのかもしれないが、マンネリ化対策のようにも感じる。今回もタイトルどおり両戦隊が対決するシーンもあるのだが、カーレンジャーがネジレジアに操られたのがきっかけというのが実に正統派のヒーロー番組らしい。芋長の芋羊羹も登場しているが、ヘルメドーが最終決戦時に巨大化するのが芋羊羹でなく、ビビデビによってだったのはほんの少し残念だったかな。エンドロールのバックで10人でメガレンジャーのエンディングを再現しているのはなんか良い。
[DVD(邦画)] 6点(2025-01-22 19:46:51)
19.  五番町夕霧楼(1980) 《ネタバレ》 
田坂具隆監督の東映版に続いてこの松竹版も見てみた。東映版は夕子の悲しい生き様を中心に描いていたが、この松竹版は夕子と正順の関係を中心にしていて、東映版でやや唐突に感じた正順の登場だが、こちらでは冒頭から存在に言及があるなどして、自然に夕子と正順のラブストーリーとして見る事ができる作りになっている。しかし、東映版にあったような深みや、きめ細かさがなく、ひたすらあらすじを追ってるだけのテレビドラマのように見え、上映時間は東映版に対して10分ほど短いだけなのだが、まるでダイジェストを見ているように感じた。東映版の佐久間良子演じる夕子は悲しみの中にある純粋さも感じ取れる演技でとても良かったのだが、本作の松坂慶子演じる夕子にはそういったものが感じられず、言ってしまえば松坂慶子そのものに見えてしまい、とてもつらい境遇にいるように見えないのが残念。夕霧楼の仲間たちは一応はそれらしく描かれていて、東映版のようなアットホームな雰囲気はそれほど感じないのだが、女将さん役が浜木綿子(主人公の夕子、夕霧楼ときてこのキャスティングだと狙ってる感じがすごくしてしまう。)というのはいかにもなお母さん感がしすぎてなんか違うし、夕子の最初の客を演じるのが長門裕之というのも分かりやすすぎる感じがする。本作では正順の放火にいたるまでの寺でのエピソードももう少し踏み込んで描かれていたのは東映版の補足としては良かったと思う。しかし、肺病で入院している夕子を寺に連れ込んでのラブシーンは思わず突っ込まずにはいられなかったし、正順が燃え盛る寺に飛び込んで運命を共にするという最期であればいっそのこと正順を主人公にしておいたほうが良かった気がする。東映版では夕霧楼の仲間たちがいなくなった夕子を心配しているラスト近くのシーンがとても印象的だったのだが、本作ではそこは軽く流されてしまったのも残念で、東映版で印象的だった百日紅も登場せず、ラストシーンも趣が違い、あくまで本作は夕子と正順のラブストーリーであることを強調したものになっているが、やはり東映版のラストの方が良かったかな。あと、出演者に関しての見どころと言えば夕霧楼の仲間の一人であるお新を中原早苗が演じていて、松坂慶子との共演はある意味では見ものかもしれない。まあ、すごく下世話な話ではあるのだが。
[DVD(邦画)] 5点(2025-01-13 16:43:40)
20.  五番町夕霧楼(1963) 《ネタバレ》 
水上勉が三島由紀夫の「金閣寺」に対して書いた小説を原作にした田坂具隆監督の映画。「金閣寺」を原作にした市川崑監督の「炎上」を先日見たのでこちらも鑑賞。「炎上」が犯人である学生僧の内面を描いていたのに対し、こちらは学生僧の恋人である遊郭の女性を主人公にしていて、見た直後というのもあって「炎上」に少しだけ出てきた中村玉緒演じる遊女をどうしても思い浮かべてしまうが、本作では学生僧の事件に至る背景よりもこの主人公・夕子(佐久間良子)の悲しい運命が描かれていて、そこに原作の水上勉らしさを感じるし、田坂監督の視線にも優しさが感じられるものとなっているが、その田坂監督の演出も格調高く、女性の儚さや美しさを見事に描き出していて、映画としての深みももちろんじゅうぶん。主演の佐久間良子はこれまで何本か出演作を見ているが、単独の主演作を見るのはおそらくこれが初めてかもしれないが、そんな田坂監督の演出に応えて、素晴らしい演技を見せていて、夕子の悲しみの中にある純粋さというものがよく出ていて、間違いなく本作は田坂監督のみならず佐久間良子にとっても代表作の一本だろう。夕子の売られた遊郭の女性たち(木暮実千代演じる女将さんがすごくいい。)がみな優しく、家庭的な雰囲気を醸し出しているのは少し違和感を残すものの、千秋実演じる夕子の最初の客で、彼女に入れ込む男が肺を病んだ夕子に対して最後は冷たくなるのとの対比になっているのでこれで良いのだろうと思うし、正順(河原崎長一郎)の自殺を報道する新聞記事を見ながら夕子を思う遊女たちからは女性としての強い優しさを感じ、ラスト近くのこのシーンには心を打たれるものがある。夕子の故郷の百日紅の美しさも印象的なのだが、この百日紅が夕子の人生を象徴するような花として描かれているのもドラマに深みを与えている。
[DVD(邦画)] 8点(2025-01-05 18:36:57)
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