1. キャビン・フィーバー(2002)
かなり低評価ですが、私は敢えて高評価を献上させて頂きます。まずイーライロスは、ホラー(スプラッター)の特徴を完全に知り尽くしています。私の意見ですが、ホラーとはコメディと紙一重の存在であります。「13日の金曜日」であれ「悪魔のいけにえ」であれ、見方によっては「恐さ」が「笑い」に昇華させるジャンルであります。ちなみに私は「リング」にて、貞子がテレビから出てくるシーンで爆笑してしまいました。 イーライは「どうせ真面目にホラー撮っても笑う奴は居る。ホラー撮ったのに笑われるの癪だなぁ」と思ったのではないでしょうか。そこでイーライは「キャビンフィーバーはコメディを前面に押し出そうか」と捻くれた気持ちで撮ったのではないかと思うのです。しかし、彼は間違いなく天才かと。変化球は何一つ投げられないけど、ストレートは170キロ出せちゃう天才。「キャビンフィーバー」はストレートしか投げられない天才が、無理してカーブを投げてみた作品なのです。超ド真ん中を投げたであろう次回作、「HOSTEL」でイーライロスの天才ぶりが存分に味わえると確信しています。 [DVD(字幕)] 9点(2006-03-01 08:19:34) |
2. ランド・オブ・ザ・デッド
私はジョージ・A・ロメロの大ファンであり、贔屓目に見てしまう所がありますが。しかし、この映画は客観的に尚且つ冷静に鑑賞しても、傑作な一本でしょう。あの独特な社会、設定を考えただけで一見の価値ありです。「パワーダウンした」と意見を結構聞きます。しかし映画の三本柱(あくまで私の考えですが)はストーリー、キャラクター、設定だと思います。その三本柱、全てに於いて高価値があるのではないかと。ドーン~(オリジナル)は奇跡の様な完璧映画であります。それとランド~を比較対象にしてしまと、鑑賞側が損するだけではないでしょうか。 [映画館(字幕)] 9点(2006-03-01 08:00:34) |
3. ソウ
《ネタバレ》 正直、先が読めました。しかし映画は先が読めたかどうかを評価に反映させるには賢明ではない気がします。この映画の欠点は「騙してやろう」と言う製作者サイドの態度がストーリーの勢い止めていたからです。複線や騙し、そこに力を注ぐなら納得できる犯人の目的、人格、写真家の人物描写を補って欲しかった。正直、騙しストーリーよりあんだけ趣向を凝らしたゲームを考えた犯人のキャラクターが気になってしまった。主人公を完全に据えた「世にも奇妙な物語」の方がドラマ性に溢れています。 [DVD(字幕)] 4点(2006-03-01 07:46:29) |
4. “アイデンティティー”
《ネタバレ》 あくまで私の予想ですが。脚本が出来上がり、監督が始めて読んだ時、こう思ったでしょう。「こんな手垢の付いた題材やりたくねぇな」。しかし監督は考えに考えぬいて撮影に臨まれ、そのお陰で良作に仕上がっていると思います。多重人格を題材にした映画は腐る程ありますが、この作品が”多重人格モノ”の息の根を止めるのに一役買うのではないかと。”多重人格”を扱った映画をこれから作る事になると、これ以上の作品を生み出せなければ意味がありません。そういうキッカケを作ったある種、貴重な映画なのかも知れません。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-01 07:32:08) |
5. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 俺が最もリスペクトするお馬鹿監督ジョン・カーペンター。この作品は彼の中で最も成功した作品じゃないでしょうか。カートラッセルとジョン・カーペンターがコンビを組めばお腹いっぱいです。しかし冷静に鑑賞していると、やはり監督の馬鹿っぷりが垣間見れます。お腹、ガバって所とか・・・。最後の親玉、ダイナマイト一発で死んじゃうし。 10点(2004-12-04 18:29:47) |
6. 悪魔のいけにえ
俺の中で一発屋トビー。そしてその大花火が本作。半年前です。夜中の地上波でアメリカのドキュメンタリーが放送されていました。古典ホラーからロメロのゾンビ、果てはクローネンバーグのスキャナーズまで、お偉い映画評論家たちが考察していました。そしてこの悪魔のいけにえも考察材料の対象として登場。評論家達は恐怖の演出法や老人に血を吸わせる行為の意味を熱く語っております。やはりプロの評論家達、中には「なるほどね」って納得してしまう程、考察しています。しかしトビーはそこまで深く考えていないでしょう。そういう奴だと思います、トビーは。 8点(2004-09-01 00:33:05)(笑:2票) |
7. マグノリア
《ネタバレ》 群像劇のラストは人物同士に接点を持たせるのがセオリー。ショートカットでも地震で無理矢理に接点を生み出しました。この作品も降り注ぐカエルによって人物達に接点が生まれます。そしてカエルには「過去を洗い流す」と言う意味があるそうです。この意味を友人から聞いた時、鳥肌が立ちました。 9点(2004-08-31 00:54:19)(笑:1票) |
8. ヒドゥン(1987)
俺の幾多のつっ込みを無視したままドラマが展開されます。ある種の観客無視&自己中心映画です。しかし、面白いから凄い。ラストのアイディアも素晴らしい。 6点(2004-08-31 00:43:52) |
9. 時計じかけのオレンジ
《ネタバレ》 傑作、名作と云われている本作。美術やカメラワーク、音楽も素晴らしいの一言。キューブリックの捻くれた笑いが随所に見られます。女性二人とアレックスのSEXシーン、教師のキャラ、作家の行動、猫屋敷の女性が保有するペニスのオブジェなどね。私の中で、本作は天才が創り上げた「笑い」なのです。 8点(2004-06-18 23:45:02) |
10. ソナチネ(1993)
《ネタバレ》 砂浜でハイビスカスが宙に舞い散ります。そして次のカットで寺島進が殺されます。この寺島進の着ているアロハシャツがハイビスカスなんですね。そんな何気ない映像が北野映画の魅力です。本当に何気無い物語ですが、無意味のカットは一切なし。北野武が言わんとする事が強く胸に突き刺さる。 9点(2003-11-28 21:22:26) |
11. ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
まさに映画史上トップレベルの作品。世界の荒廃感や虚無感、人類の混乱を限られた空間でリアルに描かれている。ファーストシーン、放送局での描写には脱帽。あのシーンだけで世界が混乱している事を観客に強く説明し、次の舞台であるアパートではそれを現実として見せつける。そしてラストシーンでは、もうこの世界(映像)に惹き付けられている自分がいる。そして、絶望感で一杯になり、彼らの行末が気になって仕方がない。こんな心境にさせてくれる映画は、そうない。今までいくつもの映画を鑑賞してきたが、これほど衝撃を受けた作品は未だに見た事がない。 10点(2003-11-28 20:38:00)(良:1票) |